JP3979223B2 - 工作機械のクーラント濾過装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械から排出される使用済みクーラントを濾過した後、再び工作機械に戻す工作機械のクーラント濾過装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
旋盤、切削機等の工作機械には、工具の冷却等のために使用されたクーラントを回収し、クーラント中に含まれる切り屑や切粉などを取り除いた後、前記工作機械に戻すクーラント濾過装置を備えたものがある。前記クーラント濾過装置は、回収したクーラントを貯溜するクーラントタンク、前記クーラントタンク内のクーラントを吸い上げるポンプ、前記ポンプの吸込口に設けられ比較的大きな切り屑等を除去するサクションフィルタ、前記ポンプによって吸い上げられたクーラントを前記工作機械に戻す還流路、前記還流路の途中部に設けられクーラント中の細かい切り屑等を除去する濾過フィルタ等を備えて構成されている。
【0003】
前記濾過フィルタは還流路の途中に設けられているため、目詰まりした時の洗浄作業や交換作業が面倒である。そこで、前記クーラント濾過装置には、濾過フィルタが目詰まりしたときに前記濾過フィルタに逆方向にクーラントを流して前記濾過フィルタを洗浄する逆洗機構が設けられている。
【0004】
これに対して、前記クーラント濾過装置は通常、サクションフィルタを洗浄するための特別な構成を備えていない。従って、サクションフィルタが目詰まりした場合は、ポンプの吸込口から取り外して洗浄したり交換したりする必要がある。特に、加工時に比較的大きな切り屑が多量にできる工作機械が備えるクーラント濾過装置の場合は、サクションフィルタの洗浄や交換を頻繁に行わなければならず面倒であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、還流路のうちクーラントタンク側の端部に設けられたサクションフィルタの早期の目詰まりを防止することができる工作機械のクーラント濾過装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の工作機械のクーラント濾過装置は、工作機械から排出される使用済みクーラントを回収して貯溜するクーラントタンクと、前記クーラントタンク内のクーラントを前記工作機械に戻す還流路と、前記還流路に設けられ前記還流路内を工作機械側に向かって流れるクーラントを濾過する濾過フィルタと、前記還流路のうち前記クーラントタンク側の端部に設けられたサクションフィルタと、前記濾過フィルタにクーラントを逆流させることにより前記濾過フィルタを洗浄する逆洗手段と、前記濾過フィルタを逆流したクーラントを前記クーラントタンクに排出するための排出路とを備え、前記排出路を、その先端部から排出されるクーラントが前記サクションフィルタに向かうように構成したところに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、濾過フィルタを逆流したクーラントは、排出路を通ってクーラントタンク内に排出される。このとき、クーラントは排出路の先端からサクションフィルタに向かって吐出されるため、その勢いによりサクションフィルタに付着している切り屑が除去される。
【0008】
この場合、前記サクションフィルタを中空状に構成すると共に、前記排出路の先端部を、前記サクションフィルタの外面と対向配置すると良い(請求項2の発明)。
【0009】
上記構成によれば、濾過フィルタの逆洗時に排出路から排出されるクーラントがサクションフィルタの外面に直接的に当たり、その勢いでサクションフィルタの外面に付着している切り屑等が飛散する。
【0010】
また、前記サクションフィルタは中空状に構成すると共に、前記排出路の先端部を、前記サクションフィルタの内部に配置することも良い構成である(請求項3の発明)。
【0011】
上記構成によれば、濾過フィルタの逆洗時に排出路から排出されるクーラントはサクションフィルタフィルタの内側から外側に向かって流れる。つまり、サクションフィルタを逆方向にクーラントが流れるため、サクションフィルタの外面に付着している切り屑等を効率良く除去することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例を図1ないし図3を参照しながら説明する。図1は本実施例に係るクーラント濾過装置の全体構成を示している。図1において、クーラント濾過装置1は、工作機械2から排出される使用済みクーラントを回収し貯溜するクーラントタンク3、クーラントタンク3内のクーラントを吸い上げる中圧ポンプ4(吐出圧1.5〜7.0MPa)、前記中圧ポンプ4の吐出口4aに接続された第1の還流パイプ5、前記第1の還流パイプ5にフィルタ装置6を介して接続された第2の還流パイプ7を備えている。
【0013】
前記工作機械2は、主軸(図示せず)と主軸を回転駆動するモータ2a等を備えており、前記主軸に装着された工具8の内部を貫通する穴にクーラントが供給されるようになっている。これにより加工中に前記工具8の先端からクーラントが吐出される。前記工具8の先端から吐出されたクーラントは、工作機械2の下部に設けられた図示しない回収槽を通してクーラントタンク3に回収、貯溜されるようになっている。
【0014】
図2及び図3に示すように、前記クーラントタンク3は、その上部開口を塞ぐ蓋3aを備えており、前記蓋3aの上に中圧ポンプ4が載置されている(尚、図1では蓋3aの記載を省略している)。中圧ポンプ4の吸込口4bに接続されたパイプ9は、前記蓋3aを貫通しクーラントタンク3の内部まで延びている。前記パイプ9の下端部には円筒状のサクションフィルタ10が接続されている。前記サクションフィルタ10は、クーラントタンク3の底面に対して略平行に配置されている。
【0015】
図1に示すように、前記フィルタ装置6は、液入口11a、液出口11b、液排出口11cを備えたハウジング11と、前記ハウジング11内に収容された中空円筒状の濾過フィルタ12とから構成されている。濾過フィルタ12の外周面とハウジング11との間には空間が形成されており、液入口11a及び液排出口11cは前記空間に連通し、液出口11bは前記濾過フィルタ12の内部に連通している。
【0016】
第1及び第2の還流パイプ5及び7は、それぞれハウジング11の液入口11a及び液出口11bに接続されている。第1及び第2の還流パイプ5及び7には両者の圧力に基づいて濾過フィルタ12の目詰まりを検出するための差圧スイッチ13が接続されている。また、第2の還流パイプ7の端部は、モータ2a上部において回転継手14を介して主軸の貫通穴に接続されている。第2の還流パイプ7のうち前記回転継手14の手前部にはバルブAが取付けられ、前記フィルタ装置6の近傍にはバルブBを介してエア源15が接続されている。
【0017】
一方、ハウジング11の液排出口11cには排液用パイプ16(排出路に相当)が接続されている。排液用パイプ16の途中部にはバルブCが取り付けられている。また、排液用パイプ16の下端部は、クーラントタンク3の内部に配置されている。クーラントタンク3内に位置する排液用パイプ16の先端部は、クーラントタンク3の底面とほぼ平行に、且つ、サクションフィルタ10の外周面に向かって延びるように構成されている(図2及び図3参照)。上記構成により、排液用パイプ16の先端開口から吐出される逆洗後のクーラントは、前記サクションフィルタ10の外周面に向かうようになっている。
【0018】
前記工作機械2の各部の動作及び前記フィルタ装置6の各部の動作は、図示しない制御装置により制御されるように構成されている。前記制御装置は、予め記憶された加工プログラムに基づいて主軸に装着された工具8によるワークの加工作業やワークの交換、工具8の交換作業等を実行する。また、工作機械2による加工中は、外部から入力される操作信号或いは予め記憶された制御プログラムに基づきクーラント濾過装置1が駆動され、工作機械2から排出されるクーラントを回収及び濾過した後、再び工作機械2に戻す。
【0019】
即ち、制御装置は、バルブAを開放すると共にバルブB及びCを閉鎖した状態で中圧ポンプ4を駆動する。これにより、中圧ポンプ4のポンプ作用によりパイプ9を介してクーラントタンク3からクーラントが吸い上げられる。このとき、クーラントに含まれる比較的大きな切り屑はサクションフィルタ10によって除去される。
【0020】
クーラントタンク3から吸い上げられたクーラントは、第1の還流パイプ5をフィルタ装置6に向かって圧送され、液入口11aからフィルタ装置6のハウジング11内に流入する。その後、濾過フィルタ12を外面から内面に向かって通過し、液出口11bから第2の還流パイプ7を通って工作機械2に戻される。このとき、クーラントに含まれる比較的小さい切り屑は濾過フィルタ12によって除去される。従って、本実施例では、パイプ9、第1及び第2の還流路5及び7が還流路として機能する。
【0021】
また、制御装置は、予め設定された所定のタイミングで(例えば、加工サイクルの間に行われるワーク交換中)、予め記憶された制御プログラムに従って濾過フィルタ12の洗浄作業(逆洗作業)を実行する。
【0022】
つまり、中圧ポンプ4の駆動を停止し、バルブAを閉鎖すると共にバルブCを開放した状態でバルブBを0.3秒間開放する。これにより、エア源15からの加圧された空気(圧力0.4〜0.6MPa)が液出口11bを通ってケーシング11内に流入し、このエア圧により濾過フィルタ12内のクーラントが濾過フィルタ12を内側から外側に向かって、即ちクーラントをクーラントタンク3から工作機械2に戻す経路とは逆方向に噴出する。つまり、本実施例では、エア源15が逆洗手段として機能する。
【0023】
この結果、濾過フィルタ12に付着していた切り屑等が剥離されて濾過フィルタ12の外面とケーシング11との間の空間に落ちる。続いて、制御装置は、1.7秒間、中圧ポンプ4を駆動すると共にバルブBを閉鎖する。これにより、クーラントタンク3内のクーラントは、第1の還流パイプ5を通ってフィルタ装置6に流入し、ケーシング11内に溜まっている切り屑等と共に液排出口11cから排液用パイプ16を通ってクーラントタンク3に流入する。
【0024】
このとき、排液用パイプ16の先端開口から吐出されるクーラントは、サクションフィルタ10の外面に向かって噴射される。このため、サクションフィルタ10に付着している比較的大きな切り屑は、排液用パイプ16から吐出されるクーラントの勢いにより除去される。
【0025】
尚、本実施例では、回転継手14の手前にバルブAを設けると共に逆洗作業中は前記バルブAを閉鎖した。このため、エア源15から排出される空気が第2の還流パイプ7内に残っても、その空気により主軸や工具8内のクーラントが押し出されて工具8先端から漏れ出ることを防止できる。
【0026】
また、制御装置は、差圧スイッチ13の出力信号に基づき濾過フィルタ12の目詰まりを検知したときは、その旨を報知する。この場合は、使用者は、操作パネルを操作して濾過フィルタ12の逆洗作業を実行させることができる。
【0027】
このように本実施例によれば、濾過フィルタ12の逆洗作業を実行する毎に排液用パイプ16の先端開口から排出されるクーラントによりサクションフィルタ10の外面に付着している切り屑を取り除くことができる。従って、サクションフィルタ10を洗浄或いは交換する時期を遅らせることができる。
【0028】
図4は本発明の第2の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には同一符号を付している。即ち、この第2の実施例では、排液用パイプ16をパイプ9の途中部から前記パイプ9内に挿入し、その端部がサクションフィルタ10の内部に位置するように構成している。そして、前記排液用パイプ16の先端開口から排出されるクーラントがサクションフィルタ10の内側から外側に向かって噴出するように構成している。
【0029】
上記構成によれば、サクションフィルタ10を逆方向にクーラントを通過させることができ、サクションフィルタ10の外面に付着している切り屑等を効率よく除去することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の工作機械のクーラント濾過装置では、クーラントタンク内のクーラントを工作機械に戻す還流路に設けられた濾過フィルタの洗浄作業を実行する毎に、クーラントタンクに排出されるクーラントによって、前記還流路の端部に設けられたサクションフィルタの外面に付着した切り屑等を除去することができるので、前記サクションフィルタを洗浄したり交換したりする時期を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すものであり、工作機械のクーラント濾過装置の概略的な全体構成図
【図2】ポンプ側面から見て示すサクションフィルタと排液用パイプとの位置関係を説明するための図
【図3】ポンプ正面から見て示すサクションフィルタと排液用パイプとの位置関係を説明するための図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
図中、1はクーラント濾過装置、2は工作機械、3はクーラントタンク、5は第1の還流パイプ(還流路)、7は第2の還流パイプ(還流路)、9はパイプ(還流路)、10はサクションフィルタ、12は濾過フィルタ、15はエア源(逆洗手段)、16は排液用パイプ(排出路)を示す。

Claims (3)

  1. 工作機械から排出される使用済みクーラントを回収して貯溜するクーラントタンクと、
    前記クーラントタンク内のクーラントを前記工作機械に戻す還流路と、
    前記還流路に設けられ前記還流路内を工作機械側に向かって流れるクーラントを濾過する濾過フィルタと、
    前記還流路のうち前記クーラントタンク側の端部に設けられたサクションフィルタと、
    前記濾過フィルタにクーラントを逆流させることにより前記濾過フィルタを洗浄する逆洗手段と、
    前記濾過フィルタを逆流したクーラントを前記クーラントタンクに排出するための排出路とを備えてなる工作機械のクーラント濾過装置において、
    前記排出路は、その先端部から排出されるクーラントが前記サクションフィルタに向かうように構成されていることを特徴とする工作機械のクーラント濾過装置。
  2. サクションフィルタは中空状をなし、
    排出路の先端部は、前記サクションフィルタの外面と対向配置されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械のクーラント濾過装置。
  3. サクションフィルタは中空状をなし、
    排出路の先端部は、前記サクションフィルタの内部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械のクーラント濾過装置。
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