JP3978337B2 - 窓開閉ユニット及び窓開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンク機構を介して駆動手段からの駆動力を動力伝達して窓開閉体を開閉させる窓開閉ユニット及びその窓開閉ユニットを備えた窓開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の壁面には、突出し窓、外倒し窓、又は、内倒し窓などと言われる各種の揺動開閉窓が広く設置されている。これらの窓は、壁面に設けられた窓枠と窓開閉体(ガラスとかまちから構成される。)を窓開閉ユニットで連結し、該ユニットからの駆動力を窓開閉体に動力伝達することにより、窓開閉体を開放又は閉鎖するように構成されている。そして、従来から窓開閉ユニットの構造として様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、実公昭58−53910号公報(以下、「第1の従来構成」という。)では、窓開閉体の開放動作方向に付勢するダンパーなどの窓開放機構を窓枠に備え、各窓開閉体間に掛け渡されたワイヤを巻取り又は送り出すことにより窓開閉体の開閉動作を行う窓開閉ユニットが提案されている。また、実公昭61−16382号公報(以下、「第2の従来構成」という。)では、窓開閉体に連結されたチェーンと該チェーンに噛合するスプロケットを窓枠に備えた窓開閉ユニットが提案されている。そして、この窓開閉ユニットでは、スプロケットを駆動させ、その駆動力でチェーンを押し出し又は引き込みすることにより窓開閉体の開閉動作を行うように構成されている。
【0004】
しかしながら、第1の従来構成では、窓枠に窓開放機構を設けると共に、窓開閉体を閉鎖する際には窓開放機構の付勢力に打ち勝つ力が必要であった。そのため、ワイヤの耐久性などの問題から巻取りドラムの小型化が困難であり、装置全体の小型化が難しかった。さらに、第1の従来構成では、ワイヤを転向させるために多数の滑車が設けられており、巻取り力(駆動力)の伝達効率が悪かった。また、第2の従来構成では、引き込んだチェーンを収容するためのケースを窓枠に設ける必要があり、該チェーンを収容するためにはケースが大型化していた。さらに、第2の従来構成では、チェーンをケース内に送り込んで収納するようになっており、チェーンのケース内での摺動抵抗及びチェーンを屈曲させるための力が必要であり、駆動力の伝達効率が悪かった。
【0005】
そこで、このような問題点を解決するために、実公平6−50631号公報(以下、「第3の従来構成」という。)の窓開閉ユニットが提案されている。この窓開閉ユニットは、窓枠に雌ねじ体を螺合したねじ棒を備え、雌ねじ体と窓開閉体を大小のアームからなるリンク機構で連結し、ねじ棒の回転による駆動力をリンク機構で動力伝達することにより窓開閉体の開閉を行うように構成されている。このように窓開閉ユニットにリンク機構を採用すれば、第1の従来構成における窓開放機構、ワイヤ及び巻取りドラムなどの構成が不要になると共に、第2の従来構成におけるチェーン及びスプロケットなどの構成が不要となる。従って、窓開閉ユニットを小型化することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、揺動開閉窓においては、窓開閉体を閉鎖(全閉)状態から開放状態とする際、風圧に打ち勝つだけの力(開放動作方向の力)が必要とされる。また、窓枠の周縁には、全閉時の気密性を確保するために気密材が設けられており、全閉時には該気密材と窓開閉体とが密着した状態となっている。そのため、窓開閉体を閉鎖(全閉)状態から開放状態とする際には、窓開閉体と気密材の両者を引き離すためにある程度の力(開放動作方向の力)が必要とされる。また、その一方で、開放状態にある窓開閉体を閉鎖(全閉)状態とする際には、窓開閉体と気密材を密着させて気密性を確保するために、気密材をある程度圧縮できるだけの力(閉鎖動作方向の力)が必要とされる。従って、窓開閉ユニットは、窓開閉体の開き始め時又は閉じ終わり時に大きな力が窓開閉体に伝達されるように駆動力を効率良く伝達できることが望ましい。
【0007】
しかしながら、第3の従来構成のように、駆動源となるねじ棒と窓開閉体をリンク機構を介して連結する場合、ねじ棒の回転による駆動力は、リンク機構を介して窓開閉体に動力伝達されることになる。そのため、窓開閉体には、駆動力が間接的に伝達されることになり、大小のアームからなるリンク機構を採用した窓開閉ユニットにおいても第1,第2の従来構成と同様に駆動力の伝達効率が依然として悪かった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、窓開閉体を開閉動作させる際に、該窓開閉体に対して効率良く駆動力を伝達することができる窓開閉ユニット及びその窓開閉ユニットを備えた窓開閉装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、駆動手段からの駆動力を動力伝達する複数のアームからなるリンク機構を介して窓開閉体を開閉動作させる窓開閉ユニットにおいて、前記駆動手段には可動部材が設けられ、前記リンク機構には、前記可動部材からの動力伝達を受けて揺動する第1アームと、該第1アームからの動力伝達を受けて揺動する第2アームと、該第2アームと前記窓開閉体との間を動力伝達可能に連結する第3アームとを備え、該第3アームには前記可動部材と係合可能な係止部が設けられており、前記窓開閉体の開度が全閉状態を含む所定開度以内にある場合に、前記可動部材と係止部とが係合して前記可動部材から第3アーム直接的に動力伝達が行われる構成とされたことを要旨とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の窓開閉ユニットにおいて、前記第1アーム及び第2アームのうち、いずれか一方のアームには連結軸が設けられると共に、他方のアームには前記連結軸を一定範囲内での変位動作を許容して係合する軸受け部が設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の窓開閉ユニットにおいて、前記連結軸は前記第1アームから第2アームへの動力伝達時に作用点として機能する第1連結軸と前記窓開閉体の開放動作方向に対する動力伝達時における少なくとも終点側で前記軸受け部に当接係合する第2連結軸を備え、前記軸受け部は前記終点側で前記第2連結軸が当接係合した際に前記第2アームが前記窓開閉体の閉鎖動作方向に動力伝達するのを規制する揺動規制部を備えていることを要旨とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の窓開閉ユニットと、該ユニットにおける駆動手段を駆動制御するための制御手段と、該制御手段による制御内容を指示するための操作手段とを備えた窓開閉装置を要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を突き出し形態の窓開閉体を備えた窓開閉装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に基づき説明する。
【0016】
図1には、建物内から窓開閉装置10全体を見た場合の概略構成が示されている。同図において、建物の壁面Kには、複数の窓枠11が並設されている。なお、窓枠11は、縦枠11aと横枠11bから略矩形状に形成されている。そして、窓枠11の上縁には、略矩形状であって金属製のかまち12の中央にガラス13が嵌め込まれた窓開閉体14が蝶番(図示しない)を介して蝶着されている。また、窓枠11の周縁には、窓開閉体14の全閉状態時に該窓開閉体14と窓枠11との気密性を確保するための気密材(図示しない)が設けられている。また、窓枠11の下縁には、窓開閉体14を開閉動作させるための窓開閉ユニットWが設けられている。
【0017】
この窓開閉ユニットWは、ケース15内に駆動源と当該駆動源からの駆動力を窓開閉体14に動力伝達するためのリンク機構RKを備え、該リンク機構RKは、駆動源と窓開閉体14との間に連結されている。そして、駆動源からの駆動力によりリンク機構RKが伸びる方向(窓開閉体14の開放動作方向A)に動作すると、窓開閉体14は、リンク機構RKを介して動力伝達された駆動力で開放される。その一方、駆動源からの駆動力によりリンク機構RKが縮む方向(窓開閉体14の閉鎖動作方向B)に動作すると、窓開閉体14は、リンク機構RKを介して動力伝達される駆動力で閉鎖される。
【0018】
また、窓開閉ユニットWには、窓開閉体14の開閉動作を指示する操作手段としての操作ボックス16が接続されている。この操作ボックス16は、建物の壁面Kに装着され、窓開閉体14の開放を指示する開操作釦16aと窓開閉体14の閉鎖を指示する閉操作釦16bを備えている。
【0019】
次に、窓開閉ユニットWの具体的な構成について図2及び図3に基づきさらに詳細に説明する。
図2は、窓開閉体14の全閉状態時、ケース15内にリンク機構RKが収納された状態を示すと共に、図3は、窓開閉体14の全開状態時、ケース15内からリンク機構RKが露出された状態を示している。
【0020】
前記ケース15には、窓開閉体14を開閉動作させるための駆動源となるモータMが備えられている。また、モータMは、操作ボックス16からの操作指示を受けて該モータMを駆動制御(正逆回転)する制御手段としての駆動回路17に接続されている。また、モータMの回転軸には、図示しない減速機構を介して開閉駆動用ねじ棒(以下、単に「ねじ棒」と言う。)18が連結されている。このねじ棒18は、その両端に図示しない軸受が装着されており、モータMの回転時には軸線方向(図3において左右方向)への移動が規制された状態で軸線回りに回転するように設けられている。
【0021】
また、ねじ棒18には、可動部材としての雌ねじ体19が螺合されており、該雌ねじ体19は、ねじ棒18の回転により軸線方向(図3において左右方向)へ螺進するようになっている。より詳しくは、図3に示すように、雌ねじ体19は、ねじ棒18の先端側(左側)の動作位置P1から基端側(右側)の動作位置P2の間を螺進範囲とされている。なお、本実施形態では、雌ねじ体19が動作位置P1に位置している場合に窓開閉体14が全閉状態となり、動作位置P2に位置している場合に窓開閉体14が全開状態となる。そして、本実施形態では、モータM、ねじ棒18及び雌ねじ体19により駆動手段が構成されている。
【0022】
また、リンク機構RKは、第1アーム(小アーム)20、第2アーム(大アーム)21、及び、第3アーム(補助アーム)22から構成されている。
前記第1アーム20は、平面視略矩形をなす平板状に形成されており、その基端側は雌ねじ体19に対して揺動点Y1を中心に揺動可能(図3に示す揺動方向D1)に連結されている。そして、第1アーム20は、図2に示す全閉状態時、ねじ棒18の回転駆動により雌ねじ体19が動作位置P1から動作位置P2に向かって螺進すると、揺動点Y1を中心として反時計回りに揺動する。この雌ねじ体19の動作(動作位置P1→動作位置P2)及び第1アーム20の動作(反時計回りの揺動)は、窓開閉体14の開放動作方向Aに対する動力伝達時の動作となる。
【0023】
また、第1アーム20は、図3に示す全開状態時、ねじ棒18の回転駆動により雌ねじ体19が動作位置P2から動作位置P1に向かって螺進すると、揺動点Y1を中心にして時計回りに揺動する。この雌ねじ体19の動作(動作位置P2→動作位置P1)及び第1アーム20の動作(時計回りの揺動)は、窓開閉体14の閉鎖動作方向Bに対する動力伝達時の動作となる。
【0024】
また、第2アーム21は、第1アーム20よりも長尺であって平面視略S字をなす平板状に形成され、その基端側はケース15に設けられたアームベース23に対して揺動点Y2を中心に揺動可能(図3に示す揺動方向D2)に連結されている。そして、第1アーム20と第2アーム21は、該第2アーム21の長手方向略中央において連結部24で連結されている。
【0025】
ここで、連結部24の構成について説明する。
前記第2アーム21の長手方向略中央には、長孔状をなす軸受け部25が形成されている。この軸受け部25は、第2アーム21の長手方向に向かって略直線状に伸びる第1軸受け部25aと当該第1軸受け部25aから第2アーム21の短手方向に向かって略円弧状に伸びる第2軸受け部25bを備えている。そして、軸受け部25は、第1,第2軸受け部25a,25bが平面視略「λ(ラムダ)」状をなすように一体形成されている。
【0026】
また、第1アーム20の先端側には、軸受け部25に係合され、その状態で一定範囲内の変位動作が許容された第1連結軸26及び第2連結軸27を各別に挿通するための挿通孔26a,27aが形成されている。また、連結部24は、平面視略矩形のアームプレート28を備え、当該プレート28には、第1連結軸26及び第2連結軸27を各別に挿通するための挿通孔26b,27bが形成されている。
【0027】
従って、連結部24は、第1アーム20とアームプレート28の間に第2アーム21を介在させた形態で構成されている。そして、第1,第2連結軸26,27は、各挿通孔26a,26b,27a,27b及び軸受け部25に挿通され、前記両連結軸26,27は軸受け部25の内周面に係合された状態となっている。また、前記両連結軸26,27は、その両端部を第1アーム20及びアームプレート28に対してかしめることにより固着されている。即ち、本実施形態の連結部24では、第1アーム20側に連結軸としての第1,第2連結軸26,27が設けられる一方で、第2アーム21側に軸受け部25が設けられている。
【0028】
このように第2アーム21は、連結部24によって第1アーム20に連結されることにより、該第1アーム20からの動力伝達を受けて揺動点Y2を中心として揺動する。より詳しくは、第2アーム21は、図2に示す全閉状態時、雌ねじ体19が窓開閉体14の開放動作方向Aに対する動力伝達時の動作をすると、第1アーム20からの動力伝達を受けて揺動点Y2を中心として時計回りに揺動する。この第2アーム21の揺動動作は、窓開閉体14の開放動作方向Aに対する動力伝達時の動作となる。また、第2アーム21は、図3に示す全開状態時、雌ねじ体19が窓開閉体14の閉鎖動作方向Bに対する動力伝達時の動作をすると、第1アーム20からの動力伝達を受けて揺動点Y2を中心として反時計回りに揺動する。この第2アーム21の揺動動作は、窓開閉体14の閉鎖動作方向Bに対する動力伝達時の動作となる。
【0029】
また、第2アーム21が連結されたアームベース23は図示しない軸受を備え、第2アーム21はケース15とアームベース23を連結する連結軸23aの軸線回りの揺動が許容されている。即ち、窓開閉体14は、開放動作方向A及び閉鎖動作方向Bに向かって開放動作又は閉鎖動作する際、窓開閉体14の上縁に装着された蝶番を基点として揺動することになる。そのため、第2アーム21は、窓開閉体14の揺動に連動して、窓枠11の上下方向に揺動することが許容されている。また、同様に、ねじ棒18に螺合された雌ねじ体19及び第1アーム20は、第2アーム21の揺動(連結軸23aの軸線回り)に追従してねじ棒18の軸線回り(=連結軸23aの軸線回り)に揺動することが許容されている。
【0030】
また、第2アーム21の先端には、平面視略「く」の字状をなすように平板状に形成された第3アーム22が連結されている。この第3アーム22は、長手方向略中央において、第2アーム21に対して揺動点Y3を中心として揺動可能(図3に示す揺動方向D3)に連結されている。また、第3アーム22の基端側は、連結金具29に連結されると共に、当該連結金具29を介して窓開閉体14のかまち12に連結されている。この連結金具29は、第3アーム22側に連結される第1連結金具30と、該第1連結金具30に連結されると共にかまち12に固着される第2連結金具31を備えている。また、第1連結金具30と第2連結金具31は、第3アーム22の揺動を一定範囲内で許容するスライド機構32を介して連結されている(図2に示す。)。このスライド機構32は、図2に拡大図示するように、前記両連結金具30,31に挿通される連結ピン33と、第1連結金具30の両端部に位置するように連結ピン33に装着される一対の付勢ばね34,35で構成されている。即ち、このスライド機構32は、揺動点Y3を中心とした第3アーム22の揺動を許容している。
【0031】
また、第3アーム22の先端には、窓開閉体14の開度が全閉状態(図2)を含む所定開度以内(0度〜5度の範囲内)である場合(所定の条件下)に、雌ねじ体19に設けられた係止ピン19aと係合する係止部としての切り欠き部36が形成されている。この切り欠き部36は、係止ピン19aの外径と略同一幅で、略直線状をなす第1切り欠き部37と、第3アーム22の先端に向かって拡幅された第2切り欠き部38を一体形成して構成されている。
【0032】
従って、第3アーム22は、図2に示す全閉状態時、切り欠き部36と雌ねじ体19の係止ピン19aが係合された状態となっている。この状態で、第3アーム22は、雌ねじ体19が窓開閉体14の開放動作方向Aに対する動力伝達時の動作をすると、係止ピン19aを介して雌ねじ体19からの駆動力が直接的に動力伝達され、揺動点Y3を中心として揺動する。また、雌ねじ体19が動作位置P2側に向かってさらに螺進すると、第3アーム22は、窓開閉体14の開度が所定開度を超えるまでの間、雌ねじ体19からの駆動力を直接的に動力伝達された状態となる。また、第3アーム22は、スライド機構32により揺動点Y3を中心とした揺動が許容されつつ、第2アーム21の揺動に応じて開放動作方向Aに向かって移動する。なお、このとき、雌ねじ体19からの駆動力は、切り欠き部36の内側面のうち、図2において右側に位置する第1係合面36aに付与されることになる。
【0033】
また、第3アーム22は、図3に示す全開状態時、雌ねじ体19が窓開閉体14の閉鎖動作方向Bに対する動力伝達時の動作をすると、スライド機構32により揺動点Y3を中心とした揺動が許容されつつ、第2アーム21の揺動に応じて閉鎖動作方向Bに向かって移動する。そして、窓開閉体14の開度が所定開度以内に達すると、第3アーム22の切り欠き部36は、雌ねじ体19の係止ピン19aに係合され、該係止ピン19aを介して雌ねじ体19からの駆動力が直接的に動力伝達される。なお、このとき、雌ねじ体19からの駆動力は、切り欠き部36の内側面のうち、図2において左側に位置する第2係合面36bに付与されることになる。
【0034】
即ち、第3アーム22は、窓開閉体14の開度が全閉状態を含む所定開度以内にある場合、切り欠き部36と係止ピン19aとが係合状態(連係状態)とされ、雌ねじ体19からの駆動力が直接的に動力伝達されることになる。この状態において、第3アーム22と雌ねじ体19との間が直接的に作動連結し、窓開閉体14のかまち12に連結された第3アーム22は、雌ねじ体19からの駆動力を窓開閉体14に対して直接的に動力伝達することになる。なお、本明細書において、「連係」とは、一方の手段(切り欠き部36)と他方の手段(係止ピン19a)とが、互いに係合可能な関係にあり、両者が係合した状態で機構的に連結されることをいう。また、本明細書において、「作動連結」とは、一方の手段(第3アーム22)と他方の手段(雌ねじ体19)との間が、一方の手段から他方の手段へ動力伝達が可能な状態で機構的に連結されていることをいう。
【0035】
次に、このように構成された窓開閉ユニットWを備えた窓開閉装置10において、窓開閉体14が開閉動作される態様を図4及び図5に基づき説明する。なお、図4及び図5では、簡略化のため、リンク機構RK、雌ねじ体19、アームベース23及びスライド機構32のみを図示している。
【0036】
最初に、図2に示す全閉状態の窓開閉体14を図3に示す全開状態に開放するための動作を説明する。
図4(a)に示すように、窓開閉体14の全閉状態時、ねじ棒18に螺合された雌ねじ体19は、動作位置P1に位置している。また、軸受け部25に係合された第1,第2連結軸26,27は、該軸受け部25の動作位置(始点)P3側に位置している。また、第3アーム22の切り欠き部36には、雌ねじ体19の係止ピン19aが係合された状態となっている。
【0037】
この状態において、前記各アーム20〜22は、動作位置P1に位置する雌ねじ体19により、窓開閉体14を閉鎖動作方向Bに引き込むように付勢されることになる。また、切り欠き部36と係止ピン19aとの係合、及び、軸受け部25の動作位置P3に対する第2連結軸27の係合により、窓開閉ユニットWはロック状態とされている。即ち、雌ねじ体19が動作位置P2に向かって螺進しない限り、第1アーム20から第2アーム21への動力伝達が行われない状態となっている。
【0038】
そして、操作ボックス16の開操作釦16aが押下操作されると、該操作ボックス16は、窓開閉ユニットW(駆動回路17)に対して窓開閉体14の開放を指示するための信号を出力する。この信号を受けた駆動回路17は、モータMを駆動制御し、ねじ棒18を回転駆動する。そして、ねじ棒18が回転駆動すると、雌ねじ体19は、動作位置P1から動作位置P2に向かって螺進する(図4(b))。
【0039】
また、第1アーム20は、雌ねじ体19からの駆動力を受けて、該雌ねじ体19と共に動作位置P2側に向かって移動する。この第1アーム20の移動により、軸受け部25の動作位置P3に位置している第2連結軸27及び動作位置P3’(図4(a)に示す。)に位置している第1連結軸26は、軸受け部25の動作位置(第1終点)P4側に変位移動する。なお、動作位置P4は、第1軸受け部25aの終点側に相当し、第1連結軸26が係合される。即ち、第1連結軸26は、軸受け部25において、動作位置P3’から動作位置P4の範囲内の変位動作が許容されている。
【0040】
そして、雌ねじ体19が動作位置P2に向かってさらに螺進し、第1連結軸26が動作位置P4に係合すると、第1アーム20は、第1連結軸26を作用点として機能させ、雌ねじ体19からの駆動力を第2アーム21へ動力伝達が可能な状態とされる。即ち、この状態において、窓開閉ユニットWのロック状態が解除される。
【0041】
一方、第3アーム22は、図4(a)の状態において、切り欠き部36と係止ピン19aが連係状態にされている。そのため、第3アーム22は、雌ねじ体19からの駆動力を直接的に受けて、揺動点Y3を中心として反時計回りに揺動する。即ち、第3アーム22は、雌ねじ体19(係止ピン19a)からの動力伝達を受けて強制的に揺動することになる。また、第3アーム22は、揺動に伴う第1連結金具30の変位(第2連結金具31の左方領域への変位)移動がスライド機構32により許容される。この状態において、雌ねじ体19と窓開閉体14との間は、第3アーム22により直接的に作動連結されている。そのため、窓開閉体14には、第3アーム22が揺動点Y3を中心として反時計回りに揺動することにより、雌ねじ体19の駆動力が直接的に動力伝達される。従って、該駆動力は、窓開閉体14を開放動作方向A側に押し出す力となって、窓開閉体14は開き始める。
【0042】
そして、図4(b)の状態において、雌ねじ体19が動作位置P2に向かってさらに螺進すると、その駆動力を受けた第1アーム20は、図5(a)に示すように、揺動点Y1を中心として反時計回りに揺動する。また、第2アーム21は、第1連結軸26を介して第1アーム20からの動力伝達を受けて、揺動点Y2を中心として時計回りに揺動する。このとき、軸受け部25の動作位置P4’(図4(b)に示す。)に係合されている第2連結軸27は、第1アーム20の揺動に応じて、軸受け部25の動作位置(第2終点)P5側に変位移動する。この動作位置P5は第2軸受け部25bの終点側に相当し、該動作位置P5には第2連結軸27が係合される。即ち、第2連結軸27は、軸受け部25において動作位置P3→動作位置P4’→動作位置P5の範囲内の変位移動が許容されている。
【0043】
また、第2軸受け部25bの内周面39は、第1アーム20の揺動軌跡と一致するように円弧状をなしており、第2連結軸27は該内周面39に当接係合された状態で動作位置P5に向かって変位移動する。そして、この内周面39に対して第2連結軸27を当接係合させることにより、第2アーム21が窓開閉体14の閉鎖動作方向Bに動力伝達することを規制している。即ち、第2軸受け部25bの内周面39は、第2アーム21の戻り規制(開放動作方向A→閉鎖動作方向B)をしており、揺動規制部に相当する。
【0044】
また、第3アーム22は、スライド機構32により揺動点Y3を中心とした揺動が許容されつつ、第1アーム20及び第2アーム21の揺動に応じて開放動作方向Aに向かって移動する。また、雌ねじ体19の係止ピン19aは、切り欠き部36の第1係合面36a側に駆動力を付与しつつ、切り欠き部36の開口側に向かって相対的に案内される。なお、第3アーム22は、係止ピン19aと切り欠き部36が連係状態を維持している間、雌ねじ体19の駆動力が直接的に動力伝達されている。
【0045】
そして、図5(a)の状態において、雌ねじ体19が動作位置P2に向かってさらに螺進すると、その駆動力を受けた第1アーム20は、図5(b)に示すように、揺動点Y1を中心として反時計回りにさらに揺動する。また、第2アーム21は、第1連結軸26を介して第1アーム20からの動力伝達を受けて、揺動点Y2を中心としてさらに時計回りに揺動する。また、軸受け部25の第2軸受け部25bに係合された第2連結軸27は、動作位置P5に向かってさらに変位移動する。
【0046】
そして、窓開閉体14の開度が所定開度を超えると、図5(b)に示すように、係止ピン19aと切り欠き部36の連係状態が解除される。従って、雌ねじ体19と窓開閉体14との間は、第3アーム22による作動連結が解除され、雌ねじ体19の駆動力が窓開閉体14に直接的に動力伝達されなくなる。この状態において、第3アーム22は、第2アーム21からの動力伝達を受けて、雌ねじ体19の駆動力を窓開閉体14に伝達し、該窓開閉体14は動力伝達された駆動力により開放動作方向Aに押し出されるように開放動作する。その後、雌ねじ体19が動作位置P2に到達すると、第2連結軸27は軸受け部25の動作位置P5に係合される。この状態で、窓開閉体14は、図3に示すように、全開状態とされる。
【0047】
次に、図3に示す全開状態の窓開閉体14を図2に示す全閉状態に閉鎖するための動作を説明する。なお、窓開閉体14の閉鎖時、窓開閉ユニットWは、窓開閉体14の開度が所定開度に達するまでの間は、前述した窓開閉体14の開放時と同一の動作であるため、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0048】
前記操作ボックス16の閉操作釦16bが押下操作されると、該操作ボックス16は、窓開閉ユニットW(駆動回路17)に対して窓開閉体14の閉鎖を指示するための信号を出力する。この信号を受けた駆動回路17は、モータMを開放時とは逆回転となるように駆動制御し、ねじ棒18を回転駆動する。そして、ねじ棒18が回転駆動すると、雌ねじ体19は、動作位置P2から動作位置P1に向かって螺進する。
【0049】
また、第1アーム20は、雌ねじ体19からの駆動力を受けて、揺動点Y1を中心として時計回りに揺動する。また、第2アーム21は、第1アーム20からの動力伝達を受けて、揺動点Y2を中心として反時計回りに揺動する。このとき、軸受け部25の動作位置P5に係合されている第2連結軸27は、第1アーム20の揺動に応じて、軸受け部25の動作位置P5から第1軸受け部25aの動作位置P4’に変位移動する。また、第3アーム22は、第2アーム21からの動力伝達を受けて、雌ねじ体19の駆動力を窓開閉体14に伝達し、該窓開閉体14は動力伝達された駆動力により閉鎖動作方向Bに引き込まれるように閉鎖動作する。
【0050】
そして、窓開閉体14の開度が所定開度に達すると、雌ねじ体19の係止ピン19aは、第3アーム22の切り欠き部36における第2係合面36b側に当接し、係止ピン19aと切り欠き部36が連係状態となる。即ち、雌ねじ体19と窓開閉体14との間は、第3アーム22により直接的に作動連結される。この状態で、雌ねじ体19が動作位置P1に向かってさらに螺進すると、雌ねじ体19の駆動力は、第3アーム22(切り欠き部36の第2係合面36b)を介して、窓開閉体14に直接的に動力伝達される。
【0051】
そして、図4(b)の状態から雌ねじ体19が動作位置P1に向かってさらに螺進すると、第1アーム20は、雌ねじ体19からの駆動力を受けて、該雌ねじ体19と共に動作位置P1に向かって移動する。この第1アーム20の移動により、軸受け部25の動作位置P4に位置している第1連結軸26は、動作位置P3’に向かって変位移動する。また、軸受け部25の動作位置P4’に位置している第2連結軸27は、動作位置P3に向かって変位移動する。
【0052】
その一方、第3アーム22は、雌ねじ体19からの駆動力を直接的に受けて、揺動点Y3を中心として時計回りに揺動する。即ち、第3アーム22は、雌ねじ体19(係止ピン19a)からの動力伝達を受けて強制的に揺動することになる。また、第3アーム22は、揺動に伴う第1連結金具30の変位(第2連結金具31の右方領域への変位)移動がスライド機構32により許容される。この状態において、雌ねじ体19と窓開閉体14との間は、第3アーム22により直接的に作動連結されている。そのため、窓開閉体14には、第3アーム22が揺動点Y3を中心として時計回りに揺動することにより、雌ねじ体19の駆動力が直接的に動力伝達される。従って、該駆動力は、窓開閉体14を閉鎖動作方向B側に引き込む力となって、窓枠11の周縁に設けられた気密材を圧縮し、窓開閉体14が閉じられる。
【0053】
そして、雌ねじ体19が動作位置P1に到達すると、第2連結軸27が軸受け部25の動作位置P3に係合され、窓開閉体14は、図2(図4(a))に示すように全閉状態とされる。このように窓開閉体14が全閉状態になると、前述同様に動作位置P1に位置する雌ねじ体19により、窓開閉体14はリンク機構RKを介して閉鎖動作方向Bに引き込まれるように付勢される。従って、窓開閉ユニットWはロック状態とされる。
【0054】
次に、本実施形態の窓開閉ユニットWにおいて、窓開閉体14の開放時及び閉鎖時に窓開閉体14に対して動力伝達される力の大きさを参考までに図6に基づき説明する。なお、図6では、窓開閉体14の開閉に必要な力に対して、本実施形態の窓開閉ユニットW及び従来の窓開閉ユニットが動力伝達する力を比較して示している。
【0055】
図6は、縦軸を力[N]、横軸を窓開閉体14の開度(度)に定めたグラフであり、該開度に対する窓開閉体14に動力伝達される力(駆動力)の関係が示されている。なお、グラフに示した窓開閉体14の開閉に必要な力(実線で示す。)は、高さ:600mm×幅:600mmで、重さ:11kgの窓開閉体14を想定して算出されている。
【0056】
図6に示すように、窓開閉体14は、その開き始め時及び閉じ終わり時(何れも窓開閉体14の開度0度)に最も大きな力(略100[N])が必要とされている。そして、窓開閉体14は、その開度が略1.5度程度になるまで開閉に必要な力が減少し、その後は、開閉に必要な力が徐々に増加することになる。
【0057】
まず、従来の窓開閉ユニットでは、駆動源(雌ねじ体19)の駆動力がリンク機構RKを介して窓開閉体14に間接的に動力伝達されるため、伝達効率が悪くなっている(このときの力を一点鎖線で示す。)。そのため、従来の窓開閉ユニットでは、開き始め時及び閉じ終わり時に窓開閉体14に伝達される力が開閉に必要な力を下回ることになる。
【0058】
これに対して、本実施形態の窓開閉ユニットWでは、窓開閉体14の開度が所定開度(0度〜5度)以内の場合、駆動源(雌ねじ体19)と窓開閉体14が第3アーム22を介して直接的に作動連結されている。そのため、駆動源(雌ねじ体19)の駆動力は、第3アーム22を介して窓開閉体14に直接的に動力伝達されることになり、伝達効率が向上されている(このときの力を破線で示す。)。従って、本実施形態の窓開閉ユニットWでは、開き始め時及び閉じ終わり時に窓開閉体14に伝達される力が開閉に必要な力を上回ることになる。
【0059】
従って、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)窓開閉ユニットWは、所定の条件下(窓開閉体14の開度が所定開度以内の場合)において、雌ねじ体19と直接的に作動連結する第3アーム22を備えている。そのため、雌ねじ体19の駆動力は、窓開閉体14に連結されている第3アーム22に直接的に動力伝達される。従って、窓開閉体14を開閉動作させる際に、該窓開閉体14に対して効率良く雌ねじ体19の駆動力を伝達することができる。
【0060】
(2)また、窓開閉ユニットWは、窓開閉体14の開放時、窓枠11の周縁に設けられた気密材と窓開閉体14を引き離すだけの力を窓開閉体14に動力伝達することができる。その一方で、窓開閉ユニットWは、窓開閉体14の閉鎖時、気密材を十分に圧縮できる力で窓開閉体14を引き込むことができ、室内と室外の気密性を確保することができる。さらに、窓開閉ユニットWは、リンク機構RKを採用して構成されているため、窓開閉ユニットWを小型化することができ、窓開閉装置10の小型化に貢献することができる。
【0061】
(3)窓開閉ユニットWは、所定の条件下(窓開閉体14の開度が所定開度以内の場合)において、雌ねじ体19と第3アーム22が連係状態となるように構成されている。そのため、雌ねじ体19から第3アーム22へ直接的に動力伝達を行うことができる。特に、窓開閉体14に対して大きな力を伝達する必要がある開き始め時及び閉じ終わり時に雌ねじ体19の駆動力を第3アーム22を介して直接的に窓開閉体14へ動力伝達することができる。
【0062】
(4)窓開閉ユニットWは、雌ねじ体19と第3アーム22を連係状態とするために、雌ねじ体19側に係止ピン19aを、第3アーム22側に切り欠き部36を備えている。そして、所定の条件下において、係止ピン19aと切り欠き部36とを係合させている。そのため、複雑な機構を備えることなく、簡単な構成で連係状態を作り出すことができ、窓開閉ユニットWの小型化、低コスト化に貢献することができる。また、係止ピン19aと切り欠き部36を係合させることにより、雌ねじ体19から第3アーム22へ直接的に、かつ、確実に動力伝達を行うことができる。
【0063】
(5)第1アーム20と第2アーム21は、軸受け部25、第1連結軸26及び第2連結軸27からなる連結部24により連結されている。そして、軸受け部25は、第1連結軸26及び第2連結軸27を一定範囲内での変位動作を許容し得るように長孔状に形成されている。そのため、軸受け部25で第1連結軸26及び第2連結軸27を変位動作させることにより、窓開閉ユニットWのロック機構を構成することができ、窓開閉ユニットWのロック機構を簡単な構成にすることができる。また、ロック状態及びその状態の解除は、第1連結軸26及び第2連結軸27の変位動作を長孔状の軸受け部25で案内するため、前記両連結軸26,27を安定して動作させることができる。従って、ロック状態及びその状態の解除を確実に行うことができる。
【0064】
(6)軸受け部25には、第1連結軸26及び第2連結軸27の2つの連結軸を変位動作させるようになっている。そして、軸受け部25は、第2連結軸27を動作位置P5に向かって変動動作させるための第2軸受け部25bを備え、第2連結軸27は第2軸受け部25bの内周面39に当接係合された状態で動作位置P5へ変位動作している。そのため、第2連結軸27と内周面39との当接係合により、第1アーム20の揺動を安定させることができる。また、第2連結軸27と内周面39との当接係合により、該内周面39は、第2アーム21の戻り規制を行うことができる。従って、窓開閉ユニットW(リンク機構RK)を安定して動作させることができる。
【0065】
(7)第3アーム22は、スライド機構32を介して窓開閉体14に連結されている。そのため、スライド機構32により第3アーム22の揺動が許容され、第3アーム22を安定して動作させることができる。
【0066】
(8)また、窓開閉体14には、第2アーム(大アーム)21よりも揺動量が小さい第3アーム22が連結されているため、窓開閉体14の開閉動作に対するアームの逃がし代を小さくすることができる。即ち、揺動量の大きい第2アーム21を窓開閉体14に連結した場合の逃がし代よりも逃がし代を小さくすることができる。従って、スライド機構32は、逃がし代を小さく設定することができるため、逃がし代が大きく設定されたスライド機構が不要となり、窓開閉ユニットW(窓開閉装置10)の小型化に貢献することができる。
【0067】
なお、前記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、第1アーム20に第1,第2連結軸26,27を、第2アーム21に軸受け部25を設けているが、第1アーム20に軸受け部25を、第2アーム21に第1,第2連結軸26,27を設けても良い。
【0068】
・前記実施形態では、軸受け部25が長孔状に形成されているが、軸受け部25は溝の形態で構成しても良い。この場合、連結部24を構成するアームプレート28は省略することができる。
【0069】
・前記実施形態では、軸受け部25に第1,第2連結軸26,27の2つの連結軸が変位動作するように構成されているが、第1連結軸26のみを変位動作するように構成しても良い。この場合、軸受け部25は、第1軸受け部25aのみで構成し、該第1軸受け部25a内で第1連結軸26を変位動作させる。
【0070】
・前記実施形態では、軸受け部25が第1,第2連結軸26,27の変位動作を許容する形態で構成されているが、該変位動作を許容しない形態で軸受け部を構成しても良い。具体的には、動作位置P4に位置する第1連結軸26のみによって第1アーム20と第2アーム21を連結する。この場合、軸受け部25は、長孔に代えて、第1連結軸26の回転を許容し得る円形孔で構成する。そして、図4(b)の状態を窓開閉ユニットWの全閉状態とし、この状態から雌ねじ体19の駆動力を各アーム20〜22に動力伝達し、窓開閉体14の開放又は閉鎖を行う。
【0071】
・前記実施形態では、第3アーム22の切り欠き部36が第1係合面36aと第2係合面36bを備えて構成されているが、切り欠き部36は、第1係合面36a又は第2係合面36bのいずれか一方の面を備えて構成しても良い。例えば、窓開閉体14の開き始め時に大きな力を動力伝達させる場合には第1係合面36aのみを備えて切り欠き部36を構成する。また、窓開閉体14の閉じ終わり時に大きな力を動力伝達させる場合には第2係合面36bのみを備えて切り欠き部36を構成する。
【0072】
・前記実施形態では、モータMの回転をねじ棒18に伝達し、該ねじ棒18の回転により螺進する雌ねじ体19の駆動力をリンク機構RKに動力伝達しているが、エアシリンダーや油圧シリンダーなどを用いて、リンク機構RKに駆動力を動力伝達しても良い。また、モータMを省略し、手動でねじ棒18を回転させて駆動力を発生させても良い。
【0073】
・前記実施形態は、窓開閉体14の開度が0度〜5度の範囲内において雌ねじ体19(係止ピン19a)と第3アーム22(切り欠き部36)が連係状態となるように構成されているが、その範囲は前記実施形態に限定されない。即ち、窓開閉ユニットWは、窓開閉体14の開き始め時及び閉じ終わり時に大きな力を動力伝達できれば良く、連係状態となる窓開閉体14の開度を、例えば、0度〜3度程度に設定しても良い。そして、この連係状態は、第3アーム22に設けられた切り欠き部36の長さ(切り欠き部36の深さ)を調節することにより任意に変更できる。
【0074】
・前記実施形態は、突き出し形態の窓開閉体14を備えた窓開閉装置10に具体化したが、窓開閉体14の形式は、前記実施形態に限定されない。例えば、外倒し窓や内倒し窓を備えた窓開閉装置に窓開閉ユニットWを適用しても良い。また、前記実施形態では、窓開閉ユニットWを窓枠11の下縁に設けたが、窓枠11の上縁や左右縁(縦枠11a)に設けても良い。
【0075】
・前記実施形態では、操作ボックス16に開操作釦16a及び閉操作釦16bを設け、窓開閉体14の開放又は閉鎖を指示するように構成されているが、操作ボックス16からの指示内容は前記実施形態に限定されない。例えば、窓開閉体14の開放量を任意に調節できるように、開放量を指示できる構成であっても良い。
【0076】
・前記実施形態では、第1〜第3アーム20〜22からなるリンク機構RKにおける第1,第2アーム20,21の連結部24を軸受け部25と第1,第2連結軸26,27で構成しているが、この連結部24を別形態のリンク機構に採用しても良い。例えば、小アーム(第1アーム20)と大アーム(第2アーム21)からなるリンク機構の連結部として採用することもできる。このリンク機構では、大アームが窓開閉体14に連結され、小アームからの動力伝達を受けて大アームが揺動し、該揺動によって窓開閉体14に動力伝達を行う。また、このリンク機構に連結部24を採用した場合であっても、前述したように連結部24の構成を変更することができる。
【0077】
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記係止部は、前記窓開閉体の開放動作方向に対する動力伝達時及び前記窓開閉体の閉鎖動作方向に対する動力伝達時のうち、少なくともいずれか一方の動力伝達時に前記可動部材と係合する係合面を備えて構成されている窓開閉ユニット。なお、前記実施形態では、第1係合面36a及び第2係合面36bが係合面に相当する。
【0078】
(ロ)前記第3アームは、当該アームの揺動を許容するスライド機構を介して前記窓開閉体に連結されている窓開閉ユニット。
【0079】
(ハ)駆動手段からの駆動力を動力伝達する複数のアームからなるリンク機構を介して窓開閉体を開閉動作させる窓開閉ユニットにおいて、前記リンク機構には、少なくとも前記駆動手段の駆動力に基づき揺動する第1アーム及び該第1アームからの動力伝達を受けて揺動する第2アームを備え、前記第1アーム及び第2アームのうち、いずれか一方のアームには連結軸が設けられると共に、他方のアームには前記連結軸を一定範囲内での変位動作を許容して係合する軸受け部が設けられている窓開閉ユニット。
【0080】
(ニ)前記連結軸は前記第1アームから第2アームへの動力伝達時に作用点として機能する第1連結軸と前記窓開閉体の開放動作方向に対する動力伝達時における少なくとも終点側で前記軸受け部に当接係合する第2連結軸を備え、前記軸受け部は前記終点側で前記第2連結軸が当接係合した際に前記第2アームが前記窓開閉体の閉鎖動作方向に動力伝達するのを規制する揺動規制部を備えている窓開閉ユニット。
【0081】
(ホ)上記の窓開閉ユニットと、該ユニットにおける駆動手段を駆動制御するための制御手段と、該制御手段による制御内容を指示するための操作手段とを備えた窓開閉装置。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、窓開閉体を開閉動作させる際に、該窓開閉体に対して効率良く駆動力を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 窓開閉装置の全体構成を示す概略図。
【図2】 窓開閉体が全閉状態である場合の窓開閉ユニットを示す平面図。
【図3】 窓開閉体が全開状態である場合の窓開閉ユニットを示す平面図。
【図4】 (a)は窓開閉ユニットがロック状態とされた様子を示す平面図、(b)は窓開閉ユニットのロック状態が解除された様子を示す平面図。
【図5】 (a)は雌ねじ体の駆動力が第3アームに動力伝達されている様子示す平面図、(b)は雌ねじ体の係止ピンと第3アームの切り欠き部の連係状態が解除された様子を示す平面図。
【図6】 本実施形態の窓開閉ユニットと従来の窓開閉ユニットにおいて、窓開閉体に動力伝達される駆動力の大きさを比較した説明図。
【符号の説明】
M…モータ(駆動手段を構成する。)、RK…リンク機構、W…窓開閉ユニット、12…かまち(窓開閉体を構成する。)、13…ガラス(窓開閉体を構成する)、14…窓開閉体、16…操作ボックス(操作手段)、17…駆動回路(制御手段)、18…開閉駆動用ねじ棒(駆動手段を構成する。)、19…雌ねじ体(駆動手段に設けられた可動部材)、20…第1アーム(リンク機構を構成する。)、21…第2アーム(リンク機構を構成する。)、22…第3アーム(リンク機構を構成する。)、36…切り欠き部(係止部)、26…第1連結軸(連結軸)、27…第2連結軸(連結軸)、25…軸受け部、39…内周面(揺動規制部)。

Claims (4)

  1. 駆動手段からの駆動力を動力伝達する複数のアームからなるリンク機構を介して窓開閉体を開閉動作させる窓開閉ユニットにおいて、
    前記駆動手段には可動部材が設けられ、前記リンク機構には、前記可動部材からの動力伝達を受けて揺動する第1アームと、該第1アームからの動力伝達を受けて揺動する第2アームと、該第2アームと前記窓開閉体との間を動力伝達可能に連結する第3アームとを備え、該第3アームには前記可動部材と係合可能な係止部が設けられており、前記窓開閉体の開度が全閉状態を含む所定開度以内にある場合に、前記可動部材と係止部とが係合して前記可動部材から第3アーム直接的に動力伝達が行われる構成とされた窓開閉ユニット。
  2. 前記第1アーム及び第2アームのうち、いずれか一方のアームには連結軸が設けられると共に、他方のアームには前記連結軸を一定範囲内での変位動作を許容して係合する軸受け部が設けられている請求項1に記載の窓開閉ユニット。
  3. 前記連結軸は前記第1アームから第2アームへの動力伝達時に作用点として機能する第1連結軸と前記窓開閉体の開放動作方向に対する動力伝達時における少なくとも終点側で前記軸受け部に当接係合する第2連結軸を備え、前記軸受け部は前記終点側で前記第2連結軸が当接係合した際に前記第2アームが前記窓開閉体の閉鎖動作方向に動力伝達するのを規制する揺動規制部を備えている請求項2に記載の窓開閉ユニット。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の窓開閉ユニットと、該ユニットにおける駆動手段を駆動制御するための制御手段と、該制御手段による制御内容を指示するための操作手段とを備えた窓開閉装置。
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