JP3977674B2 - 基板の塗布装置及び基板の塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の塗布装置及び基板の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では,ウェハ表面にレジスト液を塗布し,レジスト膜を形成するレジスト塗布処理,ウェハにパターンを露光する露光処理,露光後のウェハに対して現像を行う現像処理等が行われ,ウェハに所定の回路パターンを形成する。
【0003】
現在,前記レジスト塗布処理においては,回転されたウェハの中心にレジスト液を吐出して,ウェハ表面にレジスト液を拡散させるスピンコーティング法が主流をなしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,スピンコーティング法は,ウェハを高速で回転させるため,ウェハの外縁部から大量のレジスト液が飛散し,無駄になるレジスト液が多い。また,レジスト液の飛散により当該装置が汚染されるため,頻繁に洗浄しなければならない等の弊害が生じていた。
【0005】
そこで,ウェハを回転させるスピンコーティング法に代えて,ウェハとレジスト液吐出部を相対的に移動させながら,レジスト液吐出部からレジスト液を吐出させ,例えばウェハ上に略矩形波状に満遍なく塗布する,いわゆる一筆書きの要領の塗布方法が提案できる。このいわゆる一筆書きの要領の塗布方法では,例えばレジスト液吐出部がウェハ上をY方向に往復移動しながらレジスト液を吐出し,レジスト液吐出部が折り返す度にウェハがX方向に少し移動して,塗布位置をずらすことによって,ウェハ全面にレジスト液が塗布される。
【0006】
一方,いわゆる一筆書きの要領の塗布方法では,例えば溶剤濃度が高く粘性の低いレジスト液が使用され,レジスト液がウェハ上に線状に塗布される。しかしながら,そのままでは,塗布経路に沿ってレジスト液が盛り上がってしまうので,塗布後にレジスト液をウェハ全面に拡散させる必要がある。このため,レジスト液の低粘性を維持するために,レジスト液内の溶剤が揮発しないようにウェハ上を,例えば蓋で覆うことが必要となる。そして,溶剤の揮発を効果的に抑制するためには,当該蓋をできる限りウェハに近づけることが望ましい。
【0007】
しかしながら,ウェハ上に蓋を設けて,ウェハをX方向に移動させると,ウェハと蓋との間にX方向に向かう気流が形成される。そして,当該気流は,蓋の影響を受けて速度勾配を有しており,当該速度勾配によってウェハ表面に剪断応力が発生するため,当該剪断応力によって塗布直後のレジスト液の塗布状態が乱される恐れがある。また,蓋をウェハに近づけるにつれ,剪断応力は大きくなり,レジスト液の平坦性が失われることも懸念される。このようにレジスト液の平坦性が損なわれると,ウェハ上に均一な膜厚のレジスト膜が形成されなくなるため,歩留まりの低下を招くことになる。
【0008】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,いわゆる一筆書きの要領でレジスト液等の塗布液を塗布する場合に,ウェハ等の基板に塗布された塗布液の溶剤の蒸発を抑制しつつ,塗布液の平坦性を確保する基板の塗布装置と基板の塗布方法とを提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば,基板に塗布液を塗布する塗布装置であって,前記基板上を所定方向に往復移動して,当該基板に塗布液を吐出する塗布液吐出部と,前記基板を保持して,前記所定方向と直角方向をなす一方向に水平移動可能な保持部と,平面から見て基板が前記塗布液吐出部よりも前記一方向側に移動した際に,前記基板の上面を覆う蓋とを有し,前記蓋の下面は,前記塗布液吐出部側が低くなるように傾斜していることを特徴とする基板の塗布装置が提供される。なお,前記蓋の下面が傾斜していればよいので,平板状の蓋を斜めに傾斜させて設けてもよいし,下面が傾斜した形状を有する蓋を設けてもよい。
【0010】
このように,基板上を所定方向に往復移動可能な塗布液吐出部と,当該所定方向と直角方向をなす一方向に移動可能な基板の保持部とを有することによって,基板と塗布液吐出部とを相対的に移動させ,基板上に矩形状に満遍なく塗布液を塗布する,いわゆる一筆書きの要領の塗布方法が実施できる。また,基板の上面を覆う蓋によって,基板に塗布された塗布液から溶剤が蒸発することが抑制され,塗布液の低粘性が維持される。
【0012】
そして,蓋の塗布液吐出部側を低くすることによって,塗布直後の基板が前記一方向側に移動する際に,基板と蓋との間に狭い隙間が形成される。そして,基板の移動によって当該隙間に形成された剪断流れによって,塗布液表面に剪断応力が生じ,当該剪断力によって塗布液を平坦化することができる。特にいわゆる一筆書きの要領で塗布液が塗布された場合には,塗布直後に塗布経路に沿った塗布液の盛り上がりが形成されるが,当該剪断流れによって塗布液が平坦化され,塗布液の平坦性が向上される。
【0013】
上述した前記蓋の下面は湾曲していてもよい。このように,蓋の下面を湾曲させることによって,基板と蓋との間の気流が湾曲面に沿って滑らかに流れ,当該気流の挙動が安定する。これによって,気流の影響を受ける塗布液が安定し,基板上に適切な塗布膜が形成される。
【0014】
前記蓋は,平板形状を有し,前記蓋の一部を昇降させる蓋昇降機構を有するようにしてもよい。このように蓋昇降機構を設けることによって,蓋を所定距離昇降させ,蓋を傾斜させることができる。また,昇降距離を調節することによって,蓋の傾斜角度を調節することができるので,基板と蓋との隙間の距離が調節可能となる。したがって,かかる距離を好適なのもに調節することによって,気流の影響を抑制しつつ,塗布液からの溶剤の揮発を最小限に抑えることができる。また蓋の厚さを一様とすれば,温度ムラを抑えることが可能になる。
【0015】
また,前記蓋昇降機構は,前記蓋における前記一方向側の両端部付近を昇降させるように構成されていてもよい。このように,蓋の両端部を昇降させることによって,当該両端部の昇降距離を調節し,蓋の傾斜角度を調節することができる。また,前記蓋体の両端部の両方を昇降させることによって,前記蓋全体を上下動させることができるので,基板と蓋との隙間の距離を変えることができ,当該隙間の距離を変えることによって基板と蓋間に形成される気流を制御することができる。したがって,塗布液の種類や基板の移動速度に応じて当該隙間の距離を調節し,基板上の塗布液の溶剤の蒸発を抑制しつつ,塗布液の平坦性を確保することができる。
この場合,前記基板上の塗布液の膜厚に基づいて前記蓋昇降機構の昇降度合いを制御する制御装置をさらに有するように構成してもよい。
【0016】
請求項6の発明によれば,塗布液吐出部が基板上を所定方向に移動しながら,基板上に塗布液を塗布する工程と,塗布液吐出部が基板の外方に到達した際に,当該基板を前記所定方向と直角方向をなす一方向に所定距離移動させる工程と,その後塗布液吐出部が基板上を前記所定方向の逆方向に移動しながら,基板上に塗布液を塗布する工程とが繰り返し行われ,基板表面に塗布液が塗布される基板の塗布方法であって,前記基板を前記一方向に移動させる際に,基板上面を覆う蓋を当該基板と同じ前記一方向に移動させる工程と,前記塗布液吐出部が前記所定方向の逆方向に移動して前記基板に塗布液を塗布する際に,前記蓋の移動する前の元の位置に前記蓋を移動させる工程とを有することを特徴とする基板の塗布方法が提供される。
【0017】
請求項6によれば,上述したいわゆる一筆書きの要領の塗布方法が実施される。また,基板を前記一方向にずらす際に,蓋も同じ方向に移動させるので,基板の移動によって基板と蓋との間に形成された気流の速度勾配が小さくなる。これによって,当該気流が基板上の塗布液に与える影響が軽減され,当該塗布液の挙動が安定し,塗布液の平坦性が確保される。また,塗布液吐出部が基板上に塗布液を吐出している際に,前記蓋を元の位置に移動させるので,蓋が基板上からずれて基板上の溶剤が多量に揮発することが無く,蓋を移動させるためのスペースも最小限に抑えられる。
【0018】
前記蓋が元の位置に移動する際の速度を,前記蓋が前記一方向に所定距離移動する際の速度よりも遅くしてもよい。このように蓋を低速で戻すことによって,この際に基板と蓋間に速度勾配を有する気流が形成されることを抑制できる。したがって,基板上の塗布液に悪影響を与えることなく,蓋を元の位置に戻すことができる。
【0019】
請求項8の発明によれば,基板に塗布液を塗布する塗布装置であって,前記基板上を所定方向に往復移動して,当該基板に塗布液を吐出する塗布液吐出部と,前記基板を保持して,前記所定方向と直角方向をなす一方向に水平移動可能な保持部と,前記所定方向に沿った隙間をあけ、かつ前記一方向に沿って並べて設けられた前記基板の上面を覆う第1の蓋および第2の蓋と、前記第1の蓋を前記所定方向の直角方向に移動させる蓋移動装置とを有し、前記塗布液吐出部は、前記隙間内を往復移動することを特徴とする,基板の塗布装置が提供される。
【0020】
このように,蓋を前記所定方向の直角方向に移動させる蓋移動装置を備えることによって,上述の請求項6又は7に記載の基板の塗布方法が好適に実施できる。したがって,基板と蓋間に形成される気流が基板上の塗布液に与える影響が軽減され,当該塗布液の挙動が安定し,塗布液の平坦性が確保できる。
【0021】
なお前記蓋の温度が調整可能であれば,基板上の塗布液からの蒸発を制御することが可能である。この場合,前記蓋の温度は10℃〜23℃の範囲で調整されるのがよい。10℃より下がると,蓋の表面が結露する恐れがあり,また23℃を超えると,塗布された液からの蒸発が却って促進される恐れがあるからである。このような温度調整の手段としては,例えば蓋の中に冷却水の流路を形成したり,蓋の中にペルチェ素子やヒートパイプ装置を収納することが提案できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本発明にかかる基板の塗布装置が搭載された塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図であり,図2は,塗布現像処理システム1の正面図であり,図3は,塗布現像処理システム1の背面図である。
【0023】
塗布現像処理システム1は,図1に示すように,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理装置を多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられている図示しない露光装置との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイス部4とを一体に接続した構成を有している。
【0024】
カセットステーション2では,載置部となるカセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。そして,このカセット配列方向(X方向)とカセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)に対して移送可能なウェハ搬送体7が搬送路8に沿って移動自在に設けられており,各カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0025】
ウェハ搬送体7は,ウェハWの位置合わせを行うアライメント機能を備えている。このウェハ搬送体7は後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置32に対してもアクセスできるように構成されている。
【0026】
処理ステーション3では,その中心部に主搬送装置13が設けられており,この主搬送装置13の周辺には各種処理装置が多段に配置されて処理装置群を構成している。該塗布現像処理システム1においては,4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第1及び第2の処理装置群G1,G2は塗布現像処理システム1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセットステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置群G4は,インターフェイス部4に隣接して配置されている。さらにオプションとして破線で示した第5の処理装置群G5を背面側に別途配置可能となっている。前記主搬送装置13は,これらの処理装置群G1,G2,G3,G4,G5に配置されている後述する各種処理装置に対して,ウェハWを搬入出可能である。なお,処理装置群の数や配置は,ウェハWに施される処理の種類によって異なり,処理装置群の数は,1つ以上であれば任意に選択できる。
【0027】
第1の処理装置群G1では,例えば図2に示すように,本実施の形態にかかる塗布装置としてのレジスト塗布装置17と,露光後にウェハWを現像処理する現像処理装置18とが下から順に2段に配置されている。処理装置群G2の場合も同様に,レジスト塗布装置19と,現像処理装置20とが下から順に2段に積み重ねられている。
【0028】
第3の処理装置群G3では,例えば図3に示すように,ウェハWを冷却処理するクーリング装置30,レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置31,ウェハWの受け渡しを行うためのエクステンション装置32,レジスト液中の溶剤を蒸発させるためのプリベーキング装置33,34及び現像処理後の加熱処理を行うポストベーキング装置35が下から順に例えば6段に重ねられている。
【0029】
第4の処理装置群G4では,例えばクーリング装置40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,クーリング装置43,露光後の加熱処理を行うポストエクスポージャーベーキング装置44,45,現像処理後の加熱処理を行うポストベーキング装置46が下から順に例えば7段に積み重ねられている。
【0030】
インターフェイス部4の中央部にはウェハ搬送体50が設けられている。このウェハ搬送体50はX方向(図1中の上下方向),Z方向(垂直方向)の移動とθ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転が自在にできるように構成されており,第4の処理装置群G4に属するエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,周辺露光装置51及び図示しない露光装置に対してアクセスして,各々に対してウェハWを搬送できるように構成されている。
【0031】
次に上述したレジスト塗布装置17の構成について説明する。図4は,レジスト塗布装置17の構成の概略を示す縦断面の説明図であり,図5は,レジスト塗布装置17の構成の概略を示す横断面の説明図である。
【0032】
レジスト塗布装置17のケーシング60内には,図4,図5に示すように,X方向(図5中の上下方向)に長く上面が開口した略箱形状の外容器61が設けられている。外容器61は,ウェハWの搬入出が行われる搬送部LとウェハWの塗布が行われる処理部Rとを有しており,処理部Rは,X方向正方向側に位置し,搬送部Lは,X方向負方向側に位置している。
【0033】
外容器61内には,上面が開口した略箱形状で,ウェハWを収容する内容器62が設けられている。内容器62の中央部には,ウェハWを吸着して保持する保持部63が設けられている。保持部63の下部には,モータやシリンダ等を備えた駆動部64が設けられており,保持部63が昇降可能になっている。これによって,ウェハWの搬入時に昇降して,主搬送装置13からのウェハWの受け渡しを好適に行うことができる。また,保持部63は,駆動部64によって回転可能になっており,保持部63に保持されたウェハWを回転させ,アライメントを行うことができる。保持部63には,例えば超音波振動子65が取り付けられており,保持部63を高周波数で振動させて,ウェハW上に塗布されたレジスト液を振動で均すことができる。内容器62の内側底部には,レジスト液の溶剤を貯留する溶剤槽66が設けられている。これによって,内容器62内を溶剤雰囲気に維持することができる。
【0034】
外容器61の内側底部には,長手方向(X方向)に伸びるレール68が設けられており,内容器62は,当該レール68上に移動自在に設けられている。レール68には,内容器62を移動可能とする内容器移動機構69が設けられている。内容器移動機構69は,電力によって内容器62を移動させるモータ等を備えた内容器駆動部70,内容器駆動部70に電力を供給する電源71及び電源を調節して内容器駆動部70を制御する内容器制御部72とによって構成されている。これによって,内容器62がレール68に沿って搬送部Lと処理部R間を移動可能になる。また,内容器62が塗布時に所定のタイミングで所定距離を移動できるので,これに伴って,内容器62内の保持部63が一方向としてのX方向正方向側に間欠的に水平移動可能になる。
【0035】
図5に示すように,例えば外容器61のX方向負方向側の外方に位置する図示しない洗浄部には,塗布時にウェハW上を覆いウェハWの塗布範囲を限定するマスク部材73が待機されている。マスク部材73は,平板形状を有し,その中央部に塗布範囲に対応した開口部73aを有している。
【0036】
マスク部材73は,図示しない搬送装置によって内容器62内のウェハW上方に移動可能に構成されている。内容器62の内側壁には,マスク部材73をウェハW上方で支持するマスク支持部材74が設けられている。かかる構成によって,図示しない洗浄部に待機されていたマスク部材73を,ウェハWが保持部63に保持された後に内容器62内に搬送し,マスク部材73をウェハW上部のマスク支持部材74上に載置することができる。これによって,後述する塗布液吐出部としての吐出ノズル85によって上方から吐出されたレジスト液がウェハWの所定の範囲にのみ塗布され,当該範囲以外に吐出されたレジスト液をマスク部材73によって遮断し,回収することができる。
【0037】
外容器61の処理部R側には,図5に示すように塗布時にウェハWの上面を覆う平板状の蓋75,76が設けられている。蓋75,76は,外容器61の開口形状に適合するように平面から見て四角形状に形成されている。蓋75は,X方向正方向側に,蓋76は,X方向負方向側に並べて設けられている。蓋75と蓋76との間には,隙間dが設けられており,後述する吐出ノズル85が当該隙間d内をY方向に往復移動し,下方のウェハWにレジスト液を吐出できるようになっている。また,蓋75,76は,内容器62の上端との間にほぼ隙間が無いように設けられており,内容器62が蓋75及び76の下方に位置した際に内容器62内を所定の雰囲気に維持できるようになっている。なお,本実施の形態においては,請求項1の蓋は蓋75に対応する。
【0038】
蓋75は,外容器61の内側壁に設けられた支持部材77,78によって支持されている。支持部材77は,蓋75のX方向負方向側に配置され,支持部材78は,蓋75のX方向正方向側に配置されている。
【0039】
蓋75は,図4に示すように蓋昇降機構80によって昇降自在に構成されている。蓋昇降機構80は,支持部材77を昇降するシリンダ等を備えた昇降駆動部81と,当該昇降駆動部81の動作を制御する制御部82とを有する。昇降駆動部81は,支持部材77の下方を支持し,支持部材77を上下方向に移動させることができる。これによって,支持部材77を所定距離上昇させ,蓋75をX方向負方向側が高くなるように傾斜させることができる。
【0040】
上述の吐出ノズル85は,隙間d内に位置するように設けられる。吐出ノズル85は,外容器61の蓋76上に設けられたノズル移動機構86によってY方向に移動可能に構成されている。
【0041】
ノズル移動機構86は,図6に示すようにケース86aによって覆われており,当該ケース86a内には,吐出ノズル85を保持し,スライドさせるためのスライダ87が設けられている。スライダ87は,Y方向に伸びる駆動ベルト88の一部に固定されて設けられている。また,駆動ベルト88は,外容器61のY方向側の両側にそれぞれ設けられた駆動プーリ89と従動プーリ90間に掛けられている。駆動プーリ89は,回転駆動モータ91によって正転・反転される。かかる構成から,回転駆動モータ91によって駆動プーリ89が回転され,駆動ベルト88が移動し,スライダ87がY方向にスライドして,吐出ノズル85が隙間d内を往復移動することができる。
【0042】
また,吐出ノズル85を保持しない側の駆動ベルト88には,スライダ87と重量的にバランスの取れたバランスウェイト92が設けられており,スライダ87の移動時に発生する揺れを最小限に抑制できるようになっている。
【0043】
以上の構成から,ウェハW上方の吐出ノズル85をY方向に往復移動させながら,ウェハW上にレジスト液を吐出し,内容器62をX方向正方向に間欠的に移動させることにより,いわゆる一筆書きの要領でウェハW表面にレジスト液を塗布することができる。
【0044】
次に,以上のように構成されているレジスト塗布装置17の作用について,塗布現像処理システム1で行われるフォトリソグラフィー工程のプロセスと共に説明する。
【0045】
先ず,ウェハ搬送体7がカセットCから未処理のウェハWを1枚取りだし,第3の処理装置群G3に属するエクステンション装置32に搬送する。次いでウェハWは,主搬送装置13によってアドヒージョン装置31に搬入され,ウェハW上にレジスト液の密着性を向上させる,例えばHMDSが塗布される。次にウェハWは,クーリング装置30に搬送され,所定の温度に冷却される。そして,所定温度に冷却されたウェハWは,主搬送装置13によって,例えばレジスト塗布装置17に搬送される。
【0046】
レジスト塗布装置17でレジスト液が塗布されたウェハWは,プリベーキング装置33に搬送されて,加熱処理され,次にエクステンション・クーリング装置41に搬送されて,冷却される。次いでウェハWはエクステンション・クーリング装置41からウェハ搬送体50によって取り出され,その後,周辺露光装置51を経て露光装置(図示せず)に搬送され,ウェハW上に所定のパターンが露光される。露光処理の終了したウェハWは,ウェハ搬送体50によりエクステンション装置42に搬送され,その後,主搬送装置13によってポストエクスポージャーベーキング装置44に搬送され,加熱処理が行われた後,クーリング装置43に搬送され,冷却処理される。
【0047】
そして冷却処理が終了したウェハWは,主搬送装置13によって現像処理装置18に搬送され,現像処理が行われ,その後ポストベーキング装置46,クーリング装置30と順次搬送され,各装置において所定の処理が施される。その後,ウェハWは,エクステンション装置32を介してカセットCに戻され,一連の塗布現像処理が終了する。
【0048】
次に,上述したレジスト塗布装置17の作用について詳しく説明する。先ず,ウェハWがレジスト塗布装置17に搬送される際には,内容器62がX方向負方向側の搬送部Lに待機している。そして,前工程の終了したウェハWは,主搬送装置13によって内容器62内に搬送され,予め上昇して待機していた保持部63に受け渡される。保持部63に受け渡されたウェハWは,保持部63に吸着保持され,駆動部64によって所定の高さに下降される。このときのウェハWは,例えば,ウェハWが処理部R側に移動された際に,蓋75,76との間隙が4mm程度になるように位置される。
【0049】
その後,図示しないアライメント機構によりウェハWのノッチ又はオリフラが検出され,当該検出に基づいて,保持部63が回転され,ウェハWが所定の位置に位置決めされる。次に,図示しない洗浄部に待機されていたマスク部材73が外容器61外から内容器62内に搬送され,マスク支持部材74上に載置される。このとき,内容器62がマスク部材73で覆われた形となり,マスク部材73によっても,内容器62内の溶剤雰囲気が維持される。次いで,図7に示すように内容器移動機構69によって内容器62がX方向正方向に移動され,ウェハWのX方向正方向側の端部が吐出ノズル85の下方に位置したところで停止される。
【0050】
次に,吐出ノズル85がノズル駆動機構86によって,図8に示すように塗布が開始されるスタート位置S,すなわち,Y方向負方向側のウェハW外方の位置まで移動される。このとき,図9に示すように昇降駆動部81によって蓋75の吐出ノズル85側に位置する支持部材77が上昇され,これに伴って蓋75が傾斜されて,吐出ノズル85側の蓋75とウェハWとの間隙が広くなる。
【0051】
次いで,いわゆる一筆書きの要領のレジスト液の塗布が開始される。このときのレジスト塗布工程を,図8を参照して説明すると,先ず吐出ノズル85が,スタート位置SからY方向正方向に所定の速度で移動しながら,線状のレジスト液をウェハW表面に吐出する。そして,吐出ノズル85は,ウェハWのY方向正方向側の外方まで進み,マスク部材73上で一旦停止する。このときもレジスト液は吐出され続け,ウェハW以外の場所に吐出されたレジスト液はマスク部材73により受け止められ,回収される。
【0052】
次いで内容器移動機構69によって内容器62がX方向正方向に所定距離ずらされ,ウェハWもX方向正方向にずらされる。このとき,ウェハWの移動に伴い,ウェハWと蓋75との間隙にX方向正方向に向かう気流が形成されるが,ウェハWと蓋75との間隙が例えば4mm以上設けられており,さらに吐出ノズル85側の間隙が広く設けられているため,当該気流の影響は最小限に抑えられる。
【0053】
その後,吐出ノズル85は,折り返して,引き続きレジスト液を塗布しながら,Y方向負方向に移動し,ウェハW外方まで進んで停止する。そして,ウェハWがX方向正方向に所定距離ずらされ,再び吐出ノズル85は,折り返しY方向正方向に進んでウェハW上にレジスト液を吐出する。
【0054】
かかる工程を繰り返して,吐出ノズル85が,図8に示すEND位置Eまで来たところで,レジスト液の吐出が停止され,レジスト塗布が終了する。これによって,レジスト液がウェハW上に略矩形波状に塗布され,ウェハWの全面にレジスト液が塗布される。
【0055】
次いで,保持部63に取り付けられている超音波振動子65によってウェハWが振動され,ウェハW上のレジスト液が均され平坦化される。
【0056】
その後,内容器62が搬送部L側に移動され,マスク部材73が外容器61内から搬出される。そして,内容器62の保持部63から主搬送装置13にウェハWが受け渡され,レジスト塗布装置17からウェハWが搬出されて,レジスト塗布装置17における一連の処理が終了する。
【0057】
発明者の実験によれば,図10示すようにウェハWと蓋75との間隙を1mmにする(折れ線b)よりも,当該間隙を広げて4mmにする(折れ線a)方が,ウェハWに塗布されたレジスト液の膜厚が均一になることが確認されている。すなわち,ウェハWと蓋75との間隙を4mm以上にすると,ウェハWに塗布されたレジスト液が当該隙間に生じる気流の影響を受けなくなり,レジスト液の平坦性が確保される。以上の実施の形態では,ウェハWと蓋75との間隙を4mm以上にしたので,ウェハWがX方向正方向に移動した際に発生した当該間隙内の気流の影響が抑制され,レジスト液の平坦性が確保される。
【0058】
塗布直後のレジスト液は,溶剤が揮発していないため最も粘性が低く気流等の影響を受けやすい。前記実施の形態では,蓋昇降機構80によって蓋75の吐出ノズル85側を高くし,傾斜させたので,塗布直後のウェハWがX方向に移動し,蓋75と初めて対向した際に,蓋75との間隙が最も大きくなり,気流の影響が最小限に抑えられる。また,ウェハW上のレジスト液にあまり影響を与えないX方向正方向側の蓋75を低くしたので,ウェハWとの間隙を狭められ,レジスト液からの溶剤の蒸発が抑制される。
【0059】
また,蓋昇降機構80によって,蓋75の傾きを調節することができるので,吐出ノズル85側の蓋75とウェハWとの間隙の広狭を調節することができる。これによって,溶剤の蒸発を抑制しながら気流の影響を抑えられるように当該間隙を調節することができる。また,レジスト液の種類,ウェハWの大きさ等に応じて,適宜間隙を変更することも可能である。
【0060】
以上の実施の形態では,蓋75のX方向正方向側は支持部材78によって支持されていたが,図11に示すように蓋75のX方向正方向側の端部にヒンジ部材100を取り付けるようにしてもよい。これによって,蓋75の端部を中心に,蓋75が回動できるようになり,蓋75の傾斜動作が好適に行われる。
【0061】
なお,蓋75を傾斜させるにあたっては,蓋75を予め斜めに設けるようにしてもよいし,図12に示すように下面が傾斜した形状を有する蓋105を用いてもよい。
【0062】
以上の実施の形態では,蓋75の吐出ノズル85側が高くなるように蓋75を傾斜させたが,蓋75の吐出ノズル85側が低くなるように傾斜させてもよい。かかる場合を第2の実施の形態として説明すると,例えば,図13に示すように,第1の実施の形態と同様に吐出ノズル110よりX方向正方向側に平板状の蓋111を設ける。蓋111は,ウェハWが蓋111の下方に移動した際にウェハWとの間隙が4mmになるように設けられる。蓋111は,支持部材112及び113によって支持され,蓋111のX方向負方向側を支持する支持部材112には,当該支持部材112を下降させる蓋昇降機構114を設ける。蓋昇降機構114は,支持部材112を支持し,支持部材112を上下動自在な昇降駆動部115と,当該昇降駆動部115を制御する制御部116とで構成される。なお,他の部分の構成は,第1の実施の形態と同様であり,説明を省略する。
【0063】
そして,レジスト液の塗布処理においては,塗布開始前に,支持部材112を蓋昇降機構114によって所定距離下降させ,蓋111の吐出ノズル110側が低くなるように蓋111を傾斜させる。このとき,ウェハWが蓋111の下方に移動した際の蓋111とウェハWとの間隙が吐出ノズル110側で1mm程度になるようにする。その後,ウェハWにレジスト液が塗布され,ウェハWがX方向正方向に進むと,ウェハWが蓋111の下方に位置し,ウェハWと蓋111との間に4mmの隙間が形成される。そして,ウェハWがX方向正方向に間欠的に移動した際に当該間隙内に速度勾配を有する気流が形成され,当該気流の速度勾配によって,レジスト液表面に剪断応力が働く。そして,当該剪断応力によって塗布直後のレジスト液が平坦化される。
【0064】
このように,第2の実施の形態によれば,ウェハWと蓋111との間隙を積極的に狭め,当該間隙の気流に基づく剪断応力によって,ウェハW上のレジスト液が均され,レジスト液の平坦性を確保することができる。
【0065】
以上の実施の形態では,蓋を昇降させるための昇降駆動部を吐出ノズル側の支持部材にのみ設けたが,X方向正方向側の支持部材にも設けてもよい。例えば,図14に示すように蓋昇降機構80が,当該支持部材78を支持し上下動させる昇降駆動部120と,昇降駆動部120を制御する制御部121とを有するようにする。そして,例えば塗布前に各支持部材77及び支持部材78が所定距離ずつ上昇され,蓋75が吐出ノズル85側が高くなるように傾斜される。これによって,第1の実施の形態と同様に,ウェハWと蓋75間に形成される気流が制御され,レジスト液の平坦性が確保される。
【0066】
また,かかる場合には,支持部材77と支持部材78を所定距離ずつ昇降することで,蓋75全体の高さも調節することができる。例えば第1の実施の形態では,支持部材78をウェハWとの間隙が4mmになるようにしていたが,レジスト液の平坦性と溶剤の揮発量とを比較考量し,4mm以上にしてもよいし,4mm以下にしてもよい。これによって,ウェハWと蓋75との間により適切な間隙を設けることが可能となる。また,蓋75全体の高さを変更するタイミングは,レジスト液の塗布中であってもよい。塗布中は,蓋75は傾斜されており,ウェハWは移動されているため,常に最適な間隙は変動しており,塗布中に当該間隙を変動させることによって,より厳密に当該間隙内の気流を制御し,レジスト液の乱れを最小限に抑制することができる。なお,以上の蓋を2箇所で昇降する場合は,前記第2の実施の形態にも適用される。
【0067】
以上の実施の形態で記載した蓋は,平板状であったが,図15に示すように蓋125が下に凸に湾曲していてもよい。かかる場合,ウェハWと蓋125との間に発生する気流がスムーズに流れ,安定した気流が形成される。これによって,当該気流によってウェハW上のレジスト液が乱されることが抑制され,レジスト液の平坦性が確保される。なお,蓋125は,上に凸の湾曲形状であってもよい。
【0068】
次に,蓋75をX方向に移動させ,蓋75の移動を制御できる蓋移動装置を設けるようにしてもよい。以下,かかる場合について,第3の実施の形態として説明する。
【0069】
第3の実施の形態におけるレジスト塗布装置130には,例えば図16,図17に示すように外容器131の処理部R側の内側壁にX方向に延びるレール132を設ける。平板状の蓋133をレール132に沿って移動自在になるように設ける。レール132には,蓋133をレール132に沿って移動させるためのモータ等を備えた蓋駆動部134を設け,当該蓋駆動部134の移動は,内容器62の移動を制御する内容器制御部72によって制御される。内容器制御部72は,内容器62と蓋133を同期させて移動させたり,それぞれを独立に移動させたりすることが可能である。このように,蓋移動装置は,例えばレール132,蓋駆動部134及び内容器制御部72によって構成される。なお,他の部分の構成は,上述した実施の形態と同様であり,説明を省略する。
【0070】
次いで,第3の実施の形態のレジスト塗布装置130の作用について説明すると,レジスト塗布装置130内に搬入されたウェハWは,内容器62内の保持部63に保持され,内容器62の移動によって塗布が開始される位置まで移動される。そして,レジスト液の塗布が開始されると,先ず,吐出ノズル85がスタート位置SからY方向正方向に移動して,ウェハW上にレジスト液を吐出する。吐出ノズル85がウェハWのY方向負方向側の外方まで到達すると,そこで一旦停止される。
【0071】
そして,内容器62がX方向正方向側に所定距離移動し,ウェハWの塗布位置がずらされる。このとき,内容器制御部72によって,図18に示すように蓋133がX方向正方向に内容器62と同期されて同じ距離だけ移動される。続いて吐出ノズル85がY方向負方向側に移動し,ウェハW上にレジスト液を吐出する。このとき,図19に示すように蓋133が元の位置にゆっくり,例えばX方向正方向側に移動したときよりも低速で戻される。
【0072】
吐出ノズル85がウェハWの外方まで達すると,停止され,内容器62がX方向正方向側に所定距離だけ移動され,ずらされる。このとき,蓋133も先程と同じようにウェハWに同期してX方向正方向に移動する。そして,吐出ノズル85が再びY方向正方向に移動した際に,蓋133は,元の位置に戻される。
【0073】
このように,内容器62がX方向正方向にずれる際に,蓋133を同じようにX方向正方向に移動させ,その後吐出ノズル85がY方向に移動してレジスト液を吐出している時に,蓋133を元の位置に戻すようにする。こうすることによって,ウェハWがX方向正方向に移動した際にウェハWと蓋133との間に形成される気流の速度勾配が小さくなり,レジスト液表面に働く剪断応力を小さくすることができる。また,吐出ノズル85がY方向に移動している間に,蓋133をゆっくり元の位置に戻すので,隙間dが広くなってウェハWからレジスト液の溶剤が揮発することが抑制できる。また,低速で戻すので,このときの移動によって速度勾配の大きい気流が形成されレジスト液に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0074】
ところで,ウエハW上に塗布されたレジスト液などの塗布液は,膜厚が大きいほど液が移動しやすい。また蓋75は,ウエハW表面に接近させるほど,ウエハW上の液の蒸発を抑えて乱流の発生を抑えることができる。したがって,膜厚が大きいほど蓋75とウエハW表面との距離を離し,膜厚が小さいほど蓋75をウエハW表面に近づけることが好ましい。
【0075】
したがって,昇降駆動部81の動作を制御する制御部82に対して,予めウエハW表面に塗布されるレジスト膜の膜厚に基づいて,支持部材77を上下動させる度合いを入力しておくことによって,かかる膜厚の厚さに基づいた蓋75のウエハW表面に対する接近離隔度を好適に制御することが可能である。
【0076】
この場合,例えば図20に示したように,制御部82に対して膜厚を入力する入力装置140を制御部82と接続し,一方,制御部82には,予め膜厚と当該膜厚に対応した,蓋のウエハWに対する好ましい接近離隔度の関係を記憶した記憶部を設ける。かかる構成を採用することで,入力装置140から入力された膜厚情報に基づいて,制御部82は,前記記憶部に登録されている当該膜厚に応じた最適な蓋75の接近離隔度を選択し,これを昇降駆動部81に出力する。これに基づいて,昇降駆動部81は蓋75を接近離隔させる。このことは図11,13,14に示した例に対しても有効である。
【0077】
またウエハW上に塗布されたレジスト膜等の塗布膜からの蒸発は,温度に大きく左右される。この点に関し,例えば図21に示したように,蓋75の内部に温度調整部141を収納して,蓋75の温度,特に蓋75の下面の温度を制御するようにしてもよい。温度調整部141自体は,例えば冷却水が流通する流路,ペルチェ素子,ヒートパイプ等のよく知られた技術を採用することができる。
【0078】
また温度制御の範囲は,例えば10℃〜23℃の範囲が好ましい。10℃より下がると,蓋75の表面が結露する恐れがあり,また23℃を超えると,塗布された液からの蒸発が却って促進される恐れがあるからである。そしてこのような範囲で蓋75の温度を制御することで,ウエハW表面上の塗布膜からの蒸発が抑えられ,結果的に気流の発生を抑えることが可能である。蓋75の材質については,ステンレス鋼やアルミニウムなど,熱伝導性の良好なものが適しており,樹脂や石英ガラスはあまり適当ではない。なおウエハWの上方を覆っている蓋76についても,同様にして,その内部に温度調整部142を収納しても良い。
【0079】
以上の実施の形態は,ウェハ上にレジスト液を塗布する塗布装置について適用したものであったが,本発明は,絶縁膜等を形成するための他の塗布液を塗布する塗布装置,例えばSOD,SOG膜等を形成するための塗布装置においても適用できる。また,以上で説明した実施の形態は,半導体ウェハデバイスの製造プロセスのフォトリソグラフィー工程における塗布装置について適用したものであったが,本発明は半導体ウェハ以外の基板例えばLCD基板の塗布装置においても適用できる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば,基板と蓋との間に発生する気流を制御することによって,塗布液の平坦性を確保できるので,基板上に所定膜厚の均一な塗布膜が形成され,歩留まりの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態にかかるレジスト塗布装置を搭載した塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】図1の塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】図1の塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】レジスト塗布装置の構成を示す縦断面の説明図である。
【図5】レジスト塗布装置の構成を示す横断面に説明図である。
【図6】ノズル移動機構の構成を示す斜視図である。
【図7】内容器が処理部R側に移動した場合のレジスト塗布装置の構成を示す横断面の説明図である。
【図8】レジスト液の塗布経路を示す説明図である。
【図9】蓋を上昇させた状態を側面から模式的に示した外容器の説明図である。
【図10】ウェハと蓋との間隙を変えてウェハ上のレジスト液の膜厚を計測した実験結果を示すグラフである。
【図11】蓋にヒンジ部材を取り付けた場合の外容器内を模式的に示す側面図である。
【図12】他の形状を有する蓋を用いた場合の外容器内を模式的に示す側面図である。
【図13】第2の実施の形態における外容器内の構成を模式的に示す説明図である。
【図14】蓋の2箇所に昇降駆動部を取り付けた場合の外容器内を側面から模式的に示す説明図である。
【図15】蓋を湾曲形状にした場合の外容器内の構成例を示す説明図である。
【図16】第3の実施の形態におけるレジスト塗布装置の構成を示す縦断面の説明図である。
【図17】図16のレジスト塗布装置の横断面の説明図である。
【図18】第3の実施の形態におけるレジスト塗布装置の作用を説明する外容器の模式的な平面図である。
【図19】第3の実施の形態におけるレジスト塗布装置の作用を説明する外容器の模式的な平面図である。
【図20】制御部に対する膜厚の入力装置を備えた例の説明図である。
【図21】内部に温度調節部を有するカバーの説明図である。
【符号の説明】
1 塗布現像処理システム
17 レジスト塗布装置
61 外容器
62 内容器
63 保持部
72 内容器移動機構
75 蓋
76 蓋
77 支持部材
78 支持部材
81 昇降駆動部
85 吐出ノズル
W ウェハ
Claims (13)
- 基板に塗布液を塗布する塗布装置であって,
前記基板上を所定方向に往復移動して,当該基板に塗布液を吐出する塗布液吐出部と,
前記基板を保持して,前記所定方向と直角方向をなす一方向に水平移動可能な保持部と,
平面から見て基板が前記塗布液吐出部よりも前記一方向側に移動した際に,前記基板の上面を覆う蓋とを有し,
前記蓋の下面は,前記塗布液吐出部側が低くなるように傾斜していることを特徴とする,基板の塗布装置。 - 前記蓋の下面は,湾曲していることを特徴とする,請求項1に記載の基板の塗布装置。
- 前記蓋は平板形状を有し,
前記蓋の一部を昇降させる蓋昇降機構を有することを特徴とする,請求項1又は2のいずれかに記載の基板の塗布装置。 - 前記蓋昇降機構は,前記蓋における前記一方向側の両端部付近を昇降させるように構成されていることを特徴とする,請求項3に記載の基板の塗布装置。
- 前記基板上の塗布液の膜厚に基づいて前記蓋昇降機構の昇降度合いを制御する制御装置をさらに有することを特徴とする,請求項3又は4に記載の基板の塗布装置。
- 塗布液吐出部が基板上を所定方向に移動しながら,基板上に塗布液を塗布する工程と,塗布液吐出部が基板の外方に到達した際に,当該基板を前記所定方向と直角方向をなす一方向に所定距離移動させる工程と,その後塗布液吐出部が基板上を前記所定方向の逆方向に移動しながら,基板上に塗布液を塗布する工程とが繰り返し行われ,基板全面に塗布液が塗布される基板の塗布方法であって,
前記基板を前記一方向に移動させる際に,基板上面を覆う蓋を当該基板と同じ前記一方向に移動させる工程と,
前記塗布液吐出部が前記所定方向の逆方向に移動して前記基板に塗布液を塗布する際に,前記蓋の移動させる前の元の位置に前記蓋を移動させる工程とを有することを特徴とする,基板の塗布方法。 - 前記蓋が元の位置に移動する際の速度は,前記蓋が前記一方向に所定距離移動する際の速度よりも遅いことを特徴とする,請求項6に記載の基板の塗布方法。
- 基板に塗布液を塗布する塗布装置であって,
前記基板上を所定方向に往復移動して,当該基板に塗布液を吐出する塗布液吐出部と,
前記基板を保持して,前記所定方向と直角方向をなす一方向に水平移動可能な保持部と,
前記所定方向に沿った隙間をあけ、かつ前記一方向に沿って並べて設けられた前記基板の上面を覆う第1の蓋および第2の蓋と、
前記第1の蓋を前記所定方向の直角方向に移動させる蓋移動装置とを有し、
前記塗布液吐出部は、前記隙間内を往復移動することを特徴とする,基板の塗布装置。 - 前記蓋の温度が調整可能であることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5又は8に記載の基板の塗布装置。
- 前記蓋の温度は10℃〜23℃の範囲で調整されることを特徴とする,請求項9に記載の基板の塗布装置。
- 前記蓋の中に冷却水の流路が形成されていることを特徴とする,請求項9又は10に記載の基板の塗布装置。
- 前記蓋の中にペルチェ素子が収納されていることを特徴とする,請求項9又は10に記載の基板の塗布装置。
- 前記蓋の中にヒートパイプ装置が収納されていることを特徴とする,請求項9又は10に記載の基板の塗布装置。
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