JP3976711B2 - 磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは安定した走行特性と優れた磁気出力特性を有する磁気テープ、特にデジタル記録方式の磁気テープに有用な二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向積層ポリエステルフィルムとして、ポリエステル層の厚みと該層中に含有する微粒子の粒径を特定の関係にしたフィルムが知られている(例えば、特開平2―77431号)。
【0003】
近年、磁気テープのデジタル記録化が進み、かつまたテープのコストダウンから磁性層やバックコート層のより一層の薄層化が進められている。かかる薄層化で、その表面性がベースフィルムの表面性に影響される程度が従来より一層大きくなっている。
【0004】
磁気テープは、そのほとんどのシステムにおいて、記録再生時に複雑な走行系を走行するが、磁性層面やバック面(又はバックコート層面)が接触する部分での走行性のバランスが悪いと、トラックズレ等の欠点が生じてしまう。例えば、DLT(デジタル リニヤ テープ)においては、磁性層面やバックコート層面と接触する部分での走行性のバランスが悪いと、LTM(ラテラル テープ モーション)と言われる欠点が生じる。
【0005】
【特許文献1】
特開平2―77431号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる問題点を改善し、磁気テープとしたときに安定した走行性を奏し、シグナルとノイズの比S/Nが高い(以下、出力特性良好ということがある)磁気テープ用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、微粒子を0.01〜2wt%含有するポリエステル層Aをポリエステル層Bの片面に積層した2層の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル層Aの厚みt(μm)が0.5〜3μmであり、ポリエステル層Aの厚み(t)とこの層中の微粒子の平均粒径d(μm)の比(t/d)が5〜30であり、かつポリエステル層A表面の金属に対する摩擦係数μkAとポリエステル層B表面の金属に対する摩擦係数μkBの比(μk B /μk A )が1.2〜4.0である磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルムによって達成される。
【0008】
また、本発明は、その好ましい態様として、(1)ポリエステル層Aの厚みt(μm)とこの層中の微粒子の平均粒径d(μm)の比(t/d)が11〜25であること、(2)ポリエステル層A中の微粒子の含有量が0.05〜1wt%で、ポリエステル層Bが平均粒径0.005〜1μmの不活性粒子を0.001〜0.3重量%含有すること、(3)フィルム全体の厚みが9μm以下であること、(4)ポリエステル層Bの中心面平均粗さWRaBが0.1〜7nm、ポリエステル層Aの中心面平均粗さWRaAが4〜10nmであることのいずれか少なくとも一つを具備する磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルムも包含する。
【0009】
さらにまた、本発明によれば、上記本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムをベースフィルムとした磁気テープ、特に記録方式がデジタル記録方式である磁気テープも提供される。
【0010】
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。このポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィルム形成性特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいは1,4―シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。
【0011】
本発明において、ポリエステルとしてはアルキレンテレフタレートおよび/又はアルキレン―2,6―ナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましく用いられる。
【0012】
これらポリエステルのうちでも特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレートはもちろんのこと、例えば全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸および/又は2,6―ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールである共重合体が好ましい。その際、全酸成分の20モル%以下はテレフタル酸および/又は2,6―ナフタレンジカルボン酸以外の上記芳香族ジカルボン酸であることができ、また例えばアジピン酸、セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等であることができる。また全グリコール成分の20モル%以下はエチレングリコール以外の上記グリコールであることができ、また例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き芳香族ジオール;1,4―ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)等であることもできる。
【0013】
また、本発明におけるポリエステルには、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω―ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合あるいは結合するものも包含される。
【0014】
さらに本発明におけるポリエステルには、実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトール等を共重合したものも包含される。
【0015】
上記ポリエステルは、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。上記ポリエステルとしては、o―クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が0.4〜0.9のものが好ましく、0.5〜0.7のものがさらに好ましく、0.55〜0.65のものが特に好ましい。
【0016】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層Aとポリエステル層Bの2層より構成される。2層のポリエステルは同じものでも違ったものでもよいが、同じものが好ましい。
【0017】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気テープとする場合、ポリエステル層A側に好ましくはバックコート層を、ポリエステル層B側に磁性層をコーティンするものである。
【0018】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、金属に対するポリエステル層Aの摩擦係数μkAとポリエステル層Bの摩擦係数μkBの比(μkB/μkA)が1.2〜4.0である。ここで金属とはSUS(=ステンレス鋼)である。実際にハード中の走行系で、磁気テープと接触する部分(例えば、ガイドピン、磁気ヘッド)に使われる金属に相当するものである。この比(μkB/μkA)の値が1.2未満、あるいは4.0を超える場合、磁気テープの走行が不安定となり、出力特性の低下を引き起こすので好ましくない。
【0019】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層Aの厚さt(μm)と平均粒径d(μm)の比(t/d)の値が5〜30、好ましくは11〜25である必要がある。この比(t/d)の値が5未満の場合、粒子が脱落しやすくなり、ベースが削れやすいという弊害を生じるし、一方30を超えると、ポリエスル層Aと反対側のポリエステル層B表面に層A中の粒子の影響(=うねり)を生じさせ、出力特性を低下させるので好ましくない。
【0020】
前記ポリエステル層Aの厚みは0.5〜3μm、さらには0.6〜2.5μmであることが好ましい。
【0021】
前記二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層Bの中心面表面粗さWRaBが0.1〜7nm、ポリエステル層Aの中心面表面粗さWRaAが4〜10nmであることが好ましい。
【0022】
この中心面平均粗さWRaはWYKO社製非接触式3次元粗さ計(TOPO―3D)を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm2)の条件で測定したものである。
【0023】
前記中心線表面粗さWRaA、WRaBが上記範囲をはずれた場合、層A表面と層B表面の金属に対する摩擦係数のバランスがくずれ、走行性に悪影響を及ぼし、出力特性の低下を生じさせるので好ましくない。
【0024】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層A中に少なくとも一種の微粒子を0.01〜2wt%含有する必要があり、好ましくは0.05〜1wt%である。この含有量が0.01wt%未満だと、目的とする摩擦特性が得られず、またベースの巻き取り性を悪化させる。一方この含有量が2wt%を超えると、目的とする摩擦特性が得られないばかりか、フィルム表面を著しく粗化させ、耐削れ性及び出力特性を悪化させるので好ましくない。
【0025】
前記ポリエステル層A中の微粒子は、少なくとも一種が粒径比(粒子の長径/短径)が1.0〜1.3の粒子、特に球形状の粒子であると、出力特性がより一層良好となるので望ましい。
【0026】
この微粒子は、相対標準偏差が0.6以下、更には0.5以下であることが好ましく、この場合出力特性がより一層良好となる。
【0027】
上記の好ましい粒子特性を満足するものとしては実質的に球形のシリカ粒子、架橋ジビニルベンゼン粒子、架橋シリコーン樹脂粒子)などがあげられる。しかしながら、上記特性を阻害しない範囲で、その他の粒子、例えば炭酸カルシウム、アルミナ、二酸化チタン等の粒子を用いてもよい。また、粒子は二種類以上用いてもよい。
【0028】
前記二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル層Bに不活性粒子を含有している必要は特にないが、不活性粒子を含有する方が好ましい場合が多い。この場合は、平均粒径が0.005〜1μm、特に0.05〜0.6μmの不活性粒子を0.001〜0.3重量%、さらに0.005〜0.2重量%、特に0.005〜0.1重量%含有させるのが好ましい。これにより、摩擦係数がより一層良好となるのみならず、フィルムの巻姿も良好となる。この不活性粒子としてはポリエステル層Aに含有させる微粒子として例示したものを好ましく挙げることができる。ポリエステル層A,Bに含有させる滑剤微粒子の種類や大きさは同じでも異なっていてもよい。
【0029】
本発明における二軸配向積層ポリエステルフィルムは、従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。例えば、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィルムを二軸配向させる方法で得ることができる。この未配向積層フィルムは、従来から蓄積された積層フィルムの製造法で製造することができる。例えば、ポリエステル層Aと、反対面を形成するポリエステル層Bとを、ポリエステルの溶融状態又は冷却固化された状態で積層する方法を用いることができる。さらに具体的には、例えば共押出、エクストルージョンラミネート等の方法で製造できる。上述の方法で積層されたフィルムは、更に従来から蓄積された二軸配向フィルムの製造法に準じて二軸配向フィルムとすることができる。例えば、融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押出して未延伸積層フィルムとし、次いで該未延伸積層フィルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/又は横方向に再度延伸してもよい。このようにして全延伸倍率は、面積延伸倍率として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜25倍が特に好ましい。さらにまた、二軸配向積層フィルムは、(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0030】
得られる二軸配向積層ポリエステルフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)のヤング率は、それぞれ400kg/mm2以上2000kg/mm2以下が好ましい。このヤング率が400kg/mm2未満だと、磁気テープと磁気ヘッドとのあたりが不足し、電磁変換特性の低下をまねき好ましくない。一方、ヤング率が2000kg/mm2を超えると、フィルムの製膜性が低下し好ましくない。MDのヤング率は400〜900kg/mm2であり、TDのヤング率は550〜1500kg/mm2であることが特に好ましい。
【0031】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは好ましくは9μm以下、さらに8μm以下、特に3〜7μmである。
【0032】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、上述した特性から、磁気テープの支持体(ベースフィルム)として、特にデジタル記録方式の磁気テープの支持体として好ましく用いられる。
【0033】
なお、本発明における種々の物性値及び特性は以下の如く測定されたものであり、かつ定義される。
【0034】
(1)粒子の平均粒径
フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製PR―3型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーに結びつけ、観察箇所をかえて粒子数5000個以上で次の数値処理を行い、それによって求めた数平均粒径dを平均粒径とする。
【0035】
【数1】
d=Σdi/n
ここで、diは粒子の円相当径(μm)、nは個数である。
【0036】
(2)粒子の含有量
サンプルを、ポリエステルは溶解するが粒子は溶解しない溶媒を用いて溶解し、溶液から粒子を遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
【0037】
(3)非接触式3次元中心面平均粗さWRa
WYKO社製非接触3次元粗さ計(TOPO―3D)を用いて測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm2)の条件にて測定を行ない、該粗さ計の内臓ソフトによる表面解析より、WRaは以下の式により計算されアウトプットされる値を用いる。
【0038】
【数2】
【0039】
Zjkは測定方向(242μm)、それと直行する方向(239μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
【0040】
(4)ポリエステル層Aの積層厚さ
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表層から3000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では、表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は一旦極大値となった粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これを表層厚みとする。条件は次の通りである。
【0041】
▲1▼測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
西独、ATOMIKA社製、A―DIDA3000
▲2▼測定条件
1次イオン種 :O2 +
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流:200mA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :5.0×10-9Torr
E―GUN :0.5KV―3.0A
なお、表層から深さ3000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線高電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し表層厚さを求めても良いし、また電子顕微鏡による断面観察で粒子濃度の変化状態やコントラストの差から界面を認識し、積層厚さを求めることも出来る。
【0042】
(5)フィルムの摩擦係数μk
図1に示した装置を用いて下記のようにして測定する。図1中、1は巻出しリール、2はテンションコントローラ、3,5,6,8および11はフリーローラ、4はテンション検出機(入口)、7はステンレス鋼SUS304製の固定棒(外径5mmφ、表面粗さRa=20nm)、10はテンション検出機(出口)、12はガイドローラ、13は巻取りリールをそれぞれ示す。
【0043】
温度20℃、湿度60%の環境で、ポリエステル層A表面またはポリエステル層B表面を7の固定棒に角度θ=(152/180)πラジアン(152°)で接触させて毎分200cmの速さで移動(摩擦)させる。入口テンションT1が35gとなるようにテンションコントローラ2を調整した時の出口テンション(T2:g)をフィルムが50往復走行したのちに出口テンション検出機で検出し、次式で走行摩擦係数μkを算出する。
【0044】
【数3】
μk=(2.303/θ)log(T2/T1)
=0.868log(T2/35)
(6)出力特性
シバソク(株)製ノイズメーターを使用してビデオ用磁気テープのS/N比を測定し、表1に示す実施例4のテープに対するS/N比の差を求める。使用するVTRはソニー(株)EDV―6000である。
【0045】
なお、磁気テープの製造法は次の方法で製造する。
【0046】
下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性塗料とする。
磁性塗料の組成:
針状Fe粒子 100重量部
塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体 15重量部
(積水化学製エスレック7A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部
酸化クロム 5重量部
カーボンブラック 5重量部
レシチン 2重量部
脂肪酸エステル 1重量部
トルエン 50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
シクロヘキサノン 50重量部
この磁性塗料を二軸配向積層ポリエステルフィルムの片面(層B)に、塗布厚3μmとなるように塗布し、次いで2500ガウスの直流磁場中で配向処理を行ない、100℃で加熱乾燥後、スパーカレンダー処理(線圧300kg/cm、温度80℃)を行ない、巻き取る。この巻き取ったロールを55℃のオーブン中に3日間保持した後、1/2インチ巾に裁断して磁気テープを得る。
【0047】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0048】
[実施例1、2]
ジメチル―2,6―ナフタレートとエチレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を、更に滑剤として表1に示す添加粒子を添加して常法により重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.61の層A用及び層B用ポリエチレン―2,6―ナフタレート(PEN)を得た。
【0049】
このポリエチレン―2,6―ナフタレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いて層Bの片側に層Aを積層させ、表面仕上げ0.3S程度、表面温度60℃の回転冷却ドラム上に押出し、厚み120μmの未延伸積層フィルムを得た。
【0050】
このようにして得られた未延伸積層フィルムを120℃に予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表面温度のIRヒーターにて加熱して4.0倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、145℃にて横方向に5.0倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを210℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み9.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムのヤング率は縦方向600kg/mm2、横方向900kg/mm2であった。また他のフィルム特性は表2に示す。
【0051】
[実施例3、4、比較例1〜3]
表1に示す粒子を使用し、ジメチル―2,6―ナフタレートの代りにジメチルテレフタレートを使用した以外は実施例1、2と同様の方法でポリエステル層A、層B用のポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。
【0052】
このポリエチレンテレフタレートのペレットを170℃で3時間乾燥後、実施例1、2と同様にして未延伸積層フィルムを得た。(但し、回転冷却ドラムの表面温度を20℃とした。)
このようにして得られた未延伸積層フィルムを78℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上方より850℃の表面温度のIRヒーターにて加熱して2.3倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に3.6倍に延伸した。さらに引き続いて、110℃にて予熱し、低速・高速のロール間で2.0倍に縦方向に延伸し、更にステンターに供給し、90℃にて横方向に1.5倍延伸し、得られた二軸延伸フィルムを220℃の熱風で4秒間熱固定し、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0053】
これらのフィルムのヤング率は縦方向600kg/mm2、横方向600kg/mm2であった。また他のフィルム特性を表2に示す。
【0054】
各層厚みについては、2台の押出機の吐出量を変えることにより調整した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表2から明らかなように、本発明によるものは優れた出力特性を有する。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気テープの走行安定性を良好にし、それに伴う出力特性を向上させる二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することができる。このポリエステルフィルムは、磁気記録媒体のベースフィルムとして、特に1/2インチビデオテープ、8mmビデオテープ、データカートリッジテープ、デジタル方式のビデオテープ等の磁気テープのベースフィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行摩擦係数測定装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1:巻き出しリール
4:テンション検出機(入口)
7:固定棒(SUS製)
10:テンション検出機(出口)
13:巻き出しリール
Claims (7)
- 微粒子を0.01〜2wt%含有するポリエステル層Aをポリエステル層Bの片面に積層した2層の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル層Aの厚みt(μm)が0.5〜3μmであり、ポリエステル層Aの厚み(t)とこの層中の微粒子の平均粒径d(μm)の比(t/d)が5〜30であり、かつポリエステル層A表面の金属に対する摩擦係数μkAとポリエステル層B表面の金属に対する摩擦係数μkBの比(μk B /μk A )が1.2〜4.0であることを特徴とする磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステル層Aの厚みt(μm)とこの層中の微粒子の平均粒径d(μm)の比(t/d)が11〜25である請求項1記載の磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステル層A中の微粒子の含有量が0.05〜1wt%で、ポリエステル層Bが平均粒径0.005〜1μmの不活性粒子を0.001〜0.3重量%含有する請求項1又は2記載の磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- フィルム全体の厚みが9μm以下である請求項1、2又は3記載の磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステル層Bの中心面平均粗さWRaBが0.1〜7nm、ポリエステル層Aの中心面平均粗さWRaAが4〜10nmである請求項1記載の磁気テープ用二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムをベースフィルムとした磁気テープ。
- 記録方式がデジタル記録方式である請求項6記載の磁気テープ。
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