JP3976609B2 - タイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法及びその装置に係わり、更に詳しくは成形ドラムに対して供給する一対のビードの供給状態が正常であるか否かを判定し、成形後のタイヤの品質を向上させるビードのセッティング位置判定方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤ成形工程の第1段階グリーンタイヤ(未加硫タイヤ)の成形工程において、成形ドラム(バンド成形ドラム)上のグリーンタイヤに左右一対のビードを供給してセットする場合、左右のビード間の距離、平行度及び成形ドラムのドラム軸に対して直角度がずれた状態でビードを組付けると、左右が非対称で変形したタイヤができてしまい、完成タイヤの品質に大きな影響を与えると言う問題があった。
【0003】
従って、ビードセット時の上記のようなビード間の距離、平行度及び成形ドラムに対する直角度の管理は非常に重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来のビードセット時の管理方法は、特殊な治具を用い、しかもタイヤ成形機を停止させて行っており、タイヤの生産性を向上させることが出来ないばかりか、作業の安全上からも成形作業中での測定や確認作業は非常に難しいと言うのが現状である。更に、何らかの異常が発生した時点で直ちに処置することは不可能に近い。
【0005】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、タイヤの成形工程中にビードのセット状態が正常であるか否かを判断し、正常状態のビードのみをタイヤにセットすることで、完成タイヤの品質を低下させず、またタイヤの品質不良も未然に防止でき、更にビードのセット状態が容易で、しかも正確に判断することが出来るタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、この発明のビードのセッティング位置判定方法は、左右一対のビードローダの複数箇所に配設したビード保持部にそれぞれビードをセットし、該ビードローダをトランスファー装置の受渡し位置まで旋回させた後、前記ビード保持部に保持されているビードを受渡し位置まで移動させたトランスファー装置のビード把持手段により移載保持させ、トランスファー装置を元の位置まで移動させて位置決めが完了した際、左右一対のビードローダの相対向する複数箇所に取付けた距離センサーによりビード間の複数箇所の距離を測定して左右一対のビードが平行であるか否かを判定し、更に成形ドラムの中心軸と直交する向き配設する基準リングを基準として、前記左右一対のビードの向きが成形ドラムの中心軸と直交するか否かを判定し、前記左右一対のビードの平行度の判定結果と前記ビードの直角度の判定結果に基づき、成形ドラムに対してビード供給状態が正常であるか否かを判定することを要旨とするものである。
【0007】
前記左右一対のビードローダに取付けた距離センサーは、ビードローダの相対向する周方向の少なくとも3ヵ所以上に設けて測定を行い、また左右一対のビードの平行度の判定及び左右一対のビードの向きが成形ドラムの中心軸と直交するか否かの判定結果は、制御装置により演算処理して行うものである。
【0008】
このように、左右一対のビードをトランスファー装置へ移載し、位置決めが完了した時、ビードローダの相対向する周方向の複数箇所に取付けた距離センサーによりビード間の複数箇所の距離を測定して左右一対のビードが平行であるか否か、また成形ドラムの中心軸と直交するか否かを測定して判定し、正常状態のビードのみを成形ドラムに供給してセットするので、完成タイヤの品質を低下させず、またタイヤの品質不良も未然に防止できるものである。
【0009】
また、この発明のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定装置は、成形ドラムの軸線方向に対して移動可能で、かつビード把持手段を備えた左右一対のトランスファー装置と、このトランスファー装置のビード受渡し位置に旋回可能な左右一対のビードローダと、成形ドラムの中心軸と直交する向き配設する基準リングとから成り、前記左右一対のビードローダに、周方向の複数箇所に拡縮可能なビード保持部をぞれぞれ設けると共に、該ビードローダの相対向する周方向の複数箇所にビード間の距離及び基準リングとビードとの間の距離を測定する距離センサーを設け、この複数の距離センサーを演算装置を備えた制御装置に接続したことを要旨とするものである。
【0010】
前記距離センサーは、左右一対のビードローダの相対向する3ヵ所以上に設けるものである。
【0011】
このように、トランスファー装置のビード受渡し位置に旋回可能な左右一対のビードローダに、ビード間の距離及び基準リングとビードとの間の距離を測定する距離センサーを設け、この複数の距離センサーを演算装置を備えた制御装置に接続したことで、ビードのセット状態を簡単な装置により容易に判断することが出来ると共に、常に正確に判断することが出来るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、この発明を実施した第1段階のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定装置の概略正面図を示し、1は片持ち状態で設置された成形ドラム(バンド成形ドラム)、2a,2bは成形ドラム1に対して移動可能な左右一対のトランスファー装置(バンドトランスファー装置)を示し、このトランスファー装置2a,2bの側面にはビード把持手段3が取付けられ、また前記トランスファー装置2a,2bの側部には、該トランスファー装置2a,2bのビード受渡し位置Zに対して旋回可能な左右一対のビードローダ4a,4bが設置されている。
【0014】
前記左右一対のビードローダ4a,4bは、図2及び図3に示すように、十字状の旋回フレーム6の表面に、シリンダー7を介して放射方向に拡縮可能なローラ状のビード保持部8が取付けられ、また旋回フレーム6は、ベースフレーム9に架設した支持軸10に旋回可能に支持された旋回アーム11の先端に取付けられている。
【0015】
前記旋回アーム11には、ベースフレーム9に取付けられた旋回シリンダー12のロッド12aが連結され、旋回シリンダー12を伸縮作動させると、前記ビード保持部8を備えた十字状の旋回フレーム6は、ビードローダ4a,4bの待機位置S1と、トランスファー装置2a,2bのビード受渡し位置Zとの間を旋回するように構成されている。
【0016】
前記ビードローダ4a,4bの十字状の旋回フレーム6のそれぞれ側面には、各ビード保持部8に保持されたビードW(ビードリングにフィラーを貼付けた完成ビードを言う)間の距離及び後述する基準リング5とビードWとの間の距離を測定する複数個(この実施形態は90度間隔で4個、両面で8個)の光学的な距離センサー13がそれぞれ設けてあり、この複数の距離センサー13のセンサーヘッドは、センサーヘッド検出面とビード面とが平行になるように取付け、更に左右一対のビードローダ4a,4bに対して左右対称位置となるような位置関係に配置する。また図6に示すように、演算装置14を備えた制御装置15に接続されている。
【0017】
なおこの実施形態では、ビードローダ4a,4bとして、十字状の旋回フレーム6を使用し、この旋回フレーム6に設けた4箇所のビード保持部8によりビードWの内径を保持するように構成しているが、この実施形態に限定されず、少なくとも3ヵ所以上でビードWの内径を保持してセンターリング出来るものであれば、特に数には限定しない。
【0018】
また、前記距離センサー13の数も、3ヵ所以上に設けてビード間の距離及び基準リング5とビードWとの間の距離を測定するのが望ましい。
【0019】
前記左右一対のトランスファー装置2a,2bは、図4〜図6に示すように、成形ドラム1のドラム軸線XーX(ドラム回転軸1aの中心線)と平行に敷設されたガイドレール16上にリング状に形成されたトランスファー装置2a,2bのフレーム17が移動可能に載置され、このフレーム17の内周面の数箇所(この実施形態では4箇所であるが数は限定されない)に、前記ビードローダ4a,4bのビード保持部8から移載されるビードWの表裏面を保持するビードクランプユニットを構成する前記ビード把持手段3が取付けられている。
【0020】
ビード把持手段3は、ビードWの表裏面を挟持する開閉可能な把持爪18と、該把持爪18を開閉するシリンダー19とで構成されている。
【0021】
次に、タイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法を、図6(a)〜(d)の作動説明図を参照しながら説明する。
【0022】
まず、左右一対のビードローダ4a,4bの複数箇所に配設したビード保持部8に作業者がそれぞれビードWをセットし、該ビードローダ4a,4bを待機位置S1からトランスファー装置2a,2bの受渡し位置Zまで旋回させた後、トランスファー装置2a,2bをビードを受渡し位置Zまで内側に移動させてビード保持部8からトランスファー装置2a,2bのビード把持手段3に移載させて保持させる。
【0023】
そして、トランスファー装置2a,2bを元の位置まで外側移動させて位置決めが完了した際、左右一対のビードローダ4a,4bの相対向する複数箇所に取付けた距離センサー13により測定光Pを照射させてビードW間の複数箇所の距離Lを測定して左右一対のビードが平行であるか否かを判定する。
【0024】
即ち、トランスファー装置2a,2bを元の位置まで外側移動させて位置決めが完了した位置は、成形ドラム1にビードWをセットするビード間隔Lと同じであり、距離センサー13の測定開始は、トランスファー装置2a,2bを元の位置まで外側移動して位置決めが完了したタイミングを成形ドラム1からの信号を受信すると直ちに測定を開始する。
【0025】
左右一対のビードローダ4a,4bの複数箇所に配設した距離センサー13からビードWの周方向側面の数カ所(この実施形態では90度間隔で4か所)にスポット光(測定光P)を照射し、距離センサー13のセンサーヘッド(発光面)とビード測定面と距離をそれぞれ測定し、その測定値を制御装置15に入力して演算装置14により演算する。
【0026】
そして、図6(b)に示すように、ビードWの複数箇所で測定したビード間隔Lの距離がそれぞれ演算結果により基準値の範囲内であると判定した場合には、左右のビードWは平行であると判断し、また測定値の一か所以上がズレており、そのビード間隔L1が基準値の範囲外である場合には、図6(c)に示すように、左右一対のビードWは平行状態でないと判定する。
【0027】
また、左右一対のビードWの平行度の判定と同時に、左右一対のビードWの向きが成形ドラム1のドラム軸線XーXと直交するか否かを判定する。
【0028】
即ち、図6(d)に示すように、トランスファー装置2a,2bのビード把持手段3に保持されているビードWと左右一対のビードローダ4a,4bの複数箇所に配設した距離センサー13との間に、ビード把持手段3からビードWを取外した後、成形ドラム1のドラム軸線XーXと直交する向きの基準リング5を挿入して把持させ、この基準リング5の位置を演算装置14が記憶する。そして、この演算装置14に記憶したデータをもとに、左右一対のビードWのみを交換しながら、ビードWの向きが成形ドラム1のドラム軸線XーXと直交するか否かを判定するものである。
【0029】
即ち、基準リング5とセットされたビードWとの距離をビードローダ4a,4bの複数箇所に配設した距離センサー13により測定光Pを照射して測定し、成形ドラム1とビードWの角度θを制御装置15に入力して演算装置14により演算し、その結果が90度(直角度)であると判定した場合には、ビードWが成形ドラム1のドラム軸線XーXに対して直角であると判定する。
【0030】
このようにして、ビードWの平行度の判定結果と前記ビードWの直角度の判定結果に基づき、成形ドラムに対してビード供給状態が正常であるか否かを判定し、ビードWが平行状態でなかったり、直角ではないと判定した場合には、ビードWのセットをやり直す作業を行うものである。
【0031】
このような方法により、左右一対のビードWが平行であるか否か、また成形ドラム1のドラム軸線XーXと直交するか否かを測定して判定し、正常状態のビードWのみを成形ドラム1に供給してセットすることで、完成タイヤの品質を低下させず、またタイヤの品質不良も未然に防止できるものである。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにタイヤの成形工程中にビードのセット状態が正常であるか否かを判断し、正常状態のビードのみをタイヤにセットすることで、完成タイヤの品質を低下させず、またタイヤの品質不良も未然に防止でき、更にビードのセット状態が容易で、しかも正確に判断することが出来る効果がある。
【0033】
また、トランスファー装置のビード受渡し位置に旋回可能な左右一対のビードローダに、ビード間の距離及び基準リングとビードとの間の距離を測定する距離センサーを設け、この複数の距離センサーを演算装置を備えた制御装置に接続したことで、ビードのセット状態を簡単な装置により容易に判断することが出来ると共に、常に正確に判断することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施した第1段階のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定装置の概略正面図である。
【図2】左右一対のビードローダの側面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】トランスファー装置のビードクランプユニットの側面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】(a)〜(d)は、ビードのセッティング位置判定方法の説明図であり、(a)はビードと距離センサーとの位置関係の説明図、(b)は左右一対のビードが平行である状態の説明図、(c)は左右一対のビードが平行でない状態の説明図、(d)は、ビードの直角度の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 成形ドラム(バンド成形ドラム)
2a,2b トランスファー装置(バンドトランスファー装置)
3 ビード把持手段
4a,4b ビードローダ
5 基準リング 6 旋回フレーム
7 シリンダー 8 ビード保持部
9 ベースフレーム 10 支持軸
11 旋回アーム 12 旋回シリンダー
12a ロッド 13 距離センサー
14 演算装置 15 制御装置
16 ガイドレール 17 フレーム
18 把持爪 19 シリンダー
20 バキュームカップ W ビード
Z ビードを受渡し位置 L ビードW間の距離
XーX ドラム軸線 P 測定光
Claims (5)
- 左右一対のビードローダの複数箇所に配設したビード保持部にそれぞれビードをセットし、該ビードローダをトランスファー装置の受渡し位置まで旋回させた後、前記ビード保持部に保持されているビードを受渡し位置まで移動させたトランスファー装置のビード把持手段により移載保持させ、トランスファー装置を元の位置まで移動させて位置決めが完了した際、左右一対のビードローダの相対向する複数箇所に取付けた距離センサーによりビード間の複数箇所の距離を測定して左右一対のビードが平行であるか否かを判定し、更に成形ドラムの中心軸と直交する向き配設する基準リングを基準として、前記左右一対のビードの向きが成形ドラムの中心軸と直交するか否かを判定し、前記左右一対のビードの平行度の判定結果と前記ビードの直角度の判定結果に基づき、成形ドラムに対してビード供給状態が正常であるか否かを判定するタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法。
- 前記左右一対のビードローダに取付けた距離センサーは、ビードローダの周方向の少なくとも3ヵ所以上に設けて測定を行う請求項1に記載のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法。
- 前記左右一対のビードの平行度の判定及び左右一対のビードの向きが成形ドラムの中心軸と直交するか否かの判定結果は、制御装置により演算処理して行う請求項1または2に記載のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定方法。
- 成形ドラムの軸線方向に対して移動可能で、かつビード把持手段を備えた左右一対のトランスファー装置と、このトランスファー装置のビード受渡し位置に旋回可能な左右一対のビードローダと、成形ドラムの中心軸と直交する向き配設する基準リングとから成り、前記左右一対のビードローダに、周方向の複数箇所に拡縮可能なビード保持部をぞれぞれ設けると共に、該ビードローダの相対向する周方向の複数箇所にビード間の距離及び基準リングとビードとの間の距離を測定する距離センサーを設け、この複数の距離センサーを演算装置を備えた制御装置に接続して成るタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定装置。
- 前記距離センサーは、ビードローダの周方向の少なくとも3ヵ所以上に設けた請求項4に記載のタイヤ成形機におけるビードのセッティング位置判定装置。
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