JP3976162B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池の製造方法係り、特に球体セルを用いた太陽電池の製造方法および太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体のpn接合部分には内部電界が生じており、これに光を当て、電子正孔対を生成させると、生成した電子と正孔は内部電界により分離されて、電子はn側に、正孔はp側に集められ、外部に負荷を接続するとp側からn側に向けて電流が流れる。この効果を利用し、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子として太陽電池の実用化が進められている。
【0003】
近年、単結晶、多結晶シリコンなどの直径1mm以下の球状の半導体(Ball Semiconductor)上に回路パターンを形成して半導体素子を製造する技術が開発されている。
【0004】
その1つとして、アルミ箔を用いて多数個の半導体粒子を接続したソーラーアレーの製造方法が提案されている(特開平6-13633号)。この方法では、図5に示すように、n型表皮部とp型内部を有する半導体粒子207をアルミ箔の開口にアルミ箔201の両側から突出するように配置し、片側の表皮部209を除去し、絶縁層221を形成する。次にp型内部211の一部およびその上の絶縁層221を除去し、その除去された領域217に第2アルミ箔219を結合する。その平坦な領域217が導電部としての第2アルミ箔219に対し良好なオーミック接触を提供するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の太陽電池(上記ソーラーアレー)では、アルミ箔201にパンチ等により打ち抜いて開口を形成し、半導体粒子207をこのアルミ箔201の開口に埋め込んでいた。このため、半導体粒子207をアルミ箔201の開口に対して正確な位置合わせをしてから埋め込まなければならなかった。
【0006】
また、p型内部211の電極は第2アルミ箔219、n型表皮部の電極はアルミ箔201であり、これら2枚のアルミ箔を接触させないように、上面のアルミ箔201の裏面をアルマイト処理をする工程や、ポリイミド等の絶縁性樹脂をコーティングする工程が必要になり、太陽電池の内側電極の形成、外側電極の形成、および、両電極間の絶縁層形成にかかる製造工程数が非常に多くなってしまい、作業性が良くないなどの問題点があった。
【0007】
さらに、上記2枚のアルミ箔間に間隙(ギャップ)が存在するため、半導体粒子207と太陽電池の基板となるアルミ箔との固着性が悪く、信頼性に問題が生じるなどの問題点があった
よって、上記のような従来の太陽電池の製造方法および太陽電池では製造方法が困難であり、製造コストも高くなってしまうものであった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、低コストかつ簡単で受光効率の優れた太陽電池の製造方法提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の太陽電池の製造方法は、第1導電型半導体層を有する球体基板表面に、第2導電型半導体層を形成してなる球体セルを用いた太陽電池の製造方法において、加熱した金属板の表面に、熱可塑性樹脂を塗布する工程と、前記球体セルを、前記熱可塑性樹脂の表面から半分程度露出するように、埋め込み、前記熱可塑性樹脂を固体化する工程と、前記熱可塑性樹脂で被覆されていない前記球体セルの表面の前記第2導電型半導体層を除去する工程と、前記第2導電型半導体層を除去した前記球体セルの表面に露出した第1導電型半導体層に接触するように、第1の導電性部材を塗布する工程と、前記球体セルを金属シートに載置して加圧する工程と、前記熱可塑性樹脂を除去する工程と、前記金属板を取り外し、前記金属シート上と前記球体セルとの下部を覆うように絶縁性樹脂を塗布した後、該絶縁性樹脂を硬化させる工程と、前記球体セルおよび前記絶縁性樹脂を覆うように、透明導電膜を形成する工程と、第2の導電性部材を、球体セルの側面上の前記透明導電膜に接するように塗布する工程と、前記金属シートと前記第1導電型半導体層との電気的な接続をとる工程と、を含むことを特徴とする。
かかる方法によれば、pn接合領域が球体であるため、pn接合領域の面積が大きく光の変換効率が高い太陽電池を製造できる。
また、球体セル表面を覆う導電膜が透明であるため、太陽光を受ける面積が大きく、かつ、球体セルの下に敷いた金属シートから反射した太陽光を取り込むことができるため、太陽光の受光効率が良い。
さらに、製造工程が簡単で、信頼性の高い太陽電池を製造できる。
【0010】
本発明の第2は、請求項1に記載の太陽電池の製造方法において、前記球体セルを配列させるための保持部材を用いて、前記球体セル同士の間隔を空けて配列することを特徴とする。
かかる方法によれば、保持部材の形状に合わせて、球体セルの配列の形状・間隔を設定できるので、太陽電池に適した球体セルの配列が容易に実現できる。
【0011】
本発明の第3は、請求項2に記載の太陽電池の製造方法において、前記球体セルが縦横に格子状に配列することを特徴とする。
かかる方法によれば、第2の導電性部材による配線がし易い形状であり、受光効率の良い球体セルの配列をとることができる。
【0012】
本発明の第4は、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法において、前記透明導電膜よりも低い抵抗値の前記第2の導電性部材を、前記球体セルの側面上の透明導電膜に接するように塗布することを特徴とする。
かかる方法によれば、電極までの配線抵抗を低くできる。
【0013】
第1の参考例である太陽電池は、内部が第1導電型半導体層、表面が第2導電型半導体層からなる球体セルを具備し、前記球体セルの一部の第1導電型半導体層が露出し、該第1導電型半導体層が第1の導電性部材を介して金属シートに電気的に接続するように、該金属シート上に前記球体セルが載置され、前記球体セルの表面は、絶縁性樹脂によって前記金属シートと電気的に絶縁された透明導電膜によって覆われ、該透明導電膜と第2導電型半導体層とが電気的に接続され、第2の導電性部材が、前記球体セルの側面上の前記透明導電膜に接するように接続されてなることを特徴とする。かかる構成によれば、製造が容易で単純な構造であり、内側電極と外側電極の短絡が発生せず、受光面に設けられた透明な絶縁層により受光効率の優れた太陽電池を実現できる。
【0014】
また、第2の参考例は上記第1の参考例の太陽電池において、前記球体セルが縦横に格子状に配列されてなることを特徴とする。かかる構成によれば、受光効率の良い球体セルの配列をとることができる。
【0015】
また、第3の参考例は上記第1又は第2の参考例の太陽電池において、前記第2の導電性部材の配線パターンに設けられたパッド部に接続されたボンディングワイヤーにより、太陽電池の一方の電極に接続され、前記透明導電膜の外周には、前記絶縁性樹脂が配置され、該絶縁性樹脂の外周には、前記金属シートが配置され、該金属シートは、ボンディングワイヤーにより、太陽電池の他方の電極に接続されてなることを特徴とする。かかる構成によれば、ボンディングワイヤーによる接続が容易にでき、電極を容易に形成可能な太陽電池を実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る太陽電池の製造方法について一実施の形態を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽電池の(a)平面図、(b)A−A線の断面概要図である。
本発明の実施形態に係る太陽電池1は、図1の(a)に示すように、透明導電膜22に覆われた球体セル10が縦横に格子状に配列され、これらの球体セル10の側面上の透明導電膜22に接するように第2の導電性部材23が接続され、この第2の導電性部材23の配線パターンに設けられたパッド部23aに接続されたボンディングワイヤー24により、太陽電池1のマイナス電極25に接続されている。また、透明導電膜22の外周には、絶縁性樹脂21が配置され、さらに、この絶縁性樹脂21の外周には、金属シート17が配置されており、この金属シート17は、ボンディングワイヤー26により、太陽電池1のプラス電極27に接続されている。
【0018】
なお、上記の球体セル10の配列方法は、縦横に格子状に配列しているものであるが、千鳥状の配列方法などの配列方法などでもよく、第2の導電性部材23による配線パターンが設けられるように球体セル10同士が間隔を空けて配置されていれば任意の形状に配列してもよい。
【0019】
さらに詳しく太陽電池の断面構造を説明する。図1の(b)は、(a)のA−A線の断面図である。
この図1の(b)に示すように、内部のp型半導体層11(第1導電型半導体層)とpn接合を形成するn型半導体層12(第2導電型半導体層)を有する球体セル10は、その一部のp型半導体層11が露出している。そして、この露出したp型半導体層11のみが接する(n型半導体層11は接しない)ように、金属シート17上に載置されている。さらに、球体セル10は、絶縁性樹脂21によって金属シート17と電気的に絶縁された透明導電膜22によって覆われ、この透明導電膜22とn型半導体層12とが電気的に接続されるように構成されている。
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る太陽電池の具体的な製造方法の一例を以下、説明する。
図2は、球体セル10の構造を模式的に示した断面図であり、p型半導体層11を有する球体基板の表面にn型半導体層12が形成されている。
以下、本実施の形態で用いるこの球体セル10の形成方法の一例について説明する。
【0021】
直径1mmのp型多結晶シリコン粒を真空中で加熱しつつ落下させ、結晶性の良好なp型多結晶シリコン球(p型半導体層)11を形成し、この表面に、フォスフィンを含むシランなどの混合ガスを用いたCVD法により、n型多結晶シリコン層(n型半導体層)12を形成する。ここでCVD工程は細いチューブ内でシリコン球を搬送しながら、所望の反応温度に加熱されたガスを供給排出することにより、薄膜形成を行うものである。
【0022】
なお、この工程は、p型多結晶シリコン粒を真空中で加熱しつつ落下させながら球状化し、p型多結晶シリコン球(p型半導体層)11を形成するとともに、落下途上で所望のガスと接触させることにより、n型多結晶シリコン層(n型半導体層)12を形成する様にすることも可能である。
【0023】
次に、上述の球体セル10を用いた太陽電池の製造方法の一例を、図3,図4を用いて説明する。
【0024】
図3は、工程(a)〜(f)を説明する概略断面図である。
図4は、工程(g)〜(k)を説明する概略断面図である。
まず、図3の(a)に示すように、30秒〜120秒間、60℃〜100℃に加熱した金属板13(例えば、アルミニウム、銅、SUS等)の表面に、熱可塑性樹脂14(例えば、ワックス等)を塗布し、なじませる。
【0025】
次に、図3の(b)に示すように、球体セル10を配列させるための保持部材15(例えば、ホルダー等)を用いて間隔を空けて配列された球体セル10を、熱可塑性樹脂14の表面から半分程度露出するように、埋め込む。そして、球体セル10が熱可塑性樹脂14になじむまで放置し、なじんだ時点で、金属板13を強制的に急冷させて常温に戻し、熱可塑性樹脂14を固体化する。
【0026】
次に、図3の(c)に示すように、熱可塑性樹脂14で被覆されていない球体セル10の表面を、例えばフッ硝酢酸等のエッチング剤を用いてエッチング処理を施すことにより、この部分のn型半導体層12を除去する。
【0027】
次に、図3の(d)に示すように、エッチング処理を施された球体セル10の表面に露出したp型半導体層11に接触するように、例えば、銀、銅、アルミニウム等からなる導電性ペースト16(第1の導電性部材)を塗布する。
【0028】
次に、図3の(e)に示すように、全体を逆さまにして、金属シート(例えば、アルミシート等)17の上に載置して押しつける。
【0029】
次に、図3の(f)に示すように、バイス(万力)18等を用いて、矢印で示すように上下から圧力を加えて、球体セル10を金属シート17にめり込むように押しつけた後、バイス(万力)18で押しつけた状態のまま、電離炉(図示せず)に入れ、導電性ペースト16を硬化(キュア)させる。この硬化(キュア)処理の温度は100℃〜300℃、時間は1時間〜3時間にて行うことが好ましい。
【0030】
次に、図4の(g)に示すように、例えば、50℃〜80℃に加熱した有機溶剤19(例えば、アセトン、エタノール等)の入った容器20に浸して、熱可塑性樹脂14を除去する。なお、図示しないが上記の加熱した有機溶剤19をシャワーのように噴射させるシャワー方式を用いて、熱可塑性樹脂14を除去してもいよい。
【0031】
次に、容器20から取り出し、金属板13を取り外す。そして、図4の(h)に示すように、p型半導体層11と、n型半導体層12との間の電気的短絡を防ぐため、絶縁性樹脂21(例えば、エポキシレジン等)を金属シート17上と、球体セル10の下部を覆うように塗布した後、硬化(キュア)させる。この硬化(キュア)処理の温度は100℃〜300℃、時間は1時間〜3時間にて行うことが好ましい。
なお、図3の(f)の工程において、球体セル10を金属シート17にめり込むように押しつけたことにより、金属シートの裏面に突出するようにバリ17aができている。
【0032】
次に、図4の(i)に示すように、球体セル10および絶縁性樹脂21を覆うように、透明導電膜22(例えば、ITO等)を形成する。
【0033】
次に、図4の(j)に示すように、透明導電膜22よりも低い抵抗値の(例えば、銀、銅、アルミニウム等からなる)導電性ペースト23(第2の導電性部材)を、球体セル10の側面上の透明導電膜22に接するように塗布する。この導電性ペースト23は、太陽電池1の外部電極に接続する配線となる(図1の(a)参照)。
【0034】
最後に、金属シート17裏面に突出したバリ17aを押し込むことにより、図4の(k)に示す状態となる。このようにして、球体セル10のp型半導体層11の露出部分に押し込んだバリ17aが、くい込むように接触し、金属シート17とp型半導体層11との確実な電気的な接続が実現できる。
このようにして、本実施の形態に係る太陽電池(図1参照)が形成される。
【0035】
上述の実施の形態において、第1導電型をp型、第2導電型をn型として、説明を行ったが、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても同様に製造できるものである。
また、p型多結晶を球状基板とする球体セルを用いたが、p型単結晶またはp型アモルファスシリコンなどを用いても良い。
【0036】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明に係る太陽電池の製造方法よれば、pn接合領域の面積が大きく光の変換効率が高い太陽電池を製造できる。また、球体セル表面を覆う導電膜が透明であるため、太陽光を受ける面積が大きく、かつ、球体セルの下に敷いた金属シートから反射した太陽光を取り込むことができるため、太陽光の受光効率が良い。また、球体セルの配列の形状・間隔を自由に設定でき、太陽電池に適した球体セルの配列が容易に実現できる。これらの効果により、低コストかつ簡単な太陽電池の製造方法で、受光効率の優れた太陽電池を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る太陽電池の(a)平面図、(b)A−A線の断面概要図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る太陽電池に用いる球体セルの構造を説明する断面概要図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法における工程(a)〜(f)の概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る太陽電池の製造方法における工程(g)〜(k)の概略断面図である。
【図5】従来の太陽電池を説明する断面概要図である。
【符号の説明】
10 球体セル
11 第1導電型(p型)半導体層
12 第2導電型(n型)半導体層
13 金属板
14 熱可塑性樹脂
15 保持部材
16 導電性ペースト(第1の導電性部材)
17 金属シート
17a (金属シートの)バリ
18 バイス(万力)
19 有機溶剤
20 容器
21 絶縁性樹脂
22 透明導電膜
23 導電性ペースト(第2の導電性部材)
23a パッド
24,26 ボンディングワイヤー
25 マイナス電極
27 プラス電極

Claims (4)

  1. 第1導電型半導体層を有する球体基板表面に、第2導電型半導体層を形成してなる球体セルを用いた太陽電池の製造方法において、加熱した金属板の表面に、熱可塑性樹脂を塗布する工程と、前記球体セルを、前記熱可塑性樹脂の表面から半分程度露出するように、埋め込み、前記熱可塑性樹脂を固体化する工程と、前記熱可塑性樹脂で被覆されていない前記球体セルの表面の前記第2導電型半導体層を除去する工程と、前記第2導電型半導体層を除去した前記球体セルの表面に露出した第1導電型半導体層に接触するように、第1の導電性部材を塗布する工程と、前記球体セルを金属シートに載置して加圧する工程と、前記熱可塑性樹脂を除去する工程と、前記金属板を取り外し、前記金属シート上と前記球体セルとの下部を覆うように絶縁性樹脂を塗布した後、該絶縁性樹脂を硬化させる工程と、前記球体セルおよび前記絶縁性樹脂を覆うように、透明導電膜を形成する工程と、第2の導電性部材を、球体セルの側面上の前記透明導電膜に接するように塗布する工程と、前記金属シートと前記第1導電型半導体層との電気的な接続をとる工程と、を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載の太陽電池の製造方法において、前記球体セルを配列させるための保持部材を用いて、前記球体セル同士の間隔を空けて配列することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  3. 請求項2に記載の太陽電池の製造方法において、前記球体セルを縦横に格子状に配列することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法において、前記透明導電膜よりも低い抵抗値の前記第2の導電性部材を、前記球体セルの側面上の透明導電膜に接するように塗布することを特徴とする太陽電池の製造方法。
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