JP3975971B2 - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体レーザの製造方法および半導体装置の製造方法に関し、特に、窒化物系III−V族化合物半導体を用いたリッジ構造の半導体レーザに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクの高密度化に必要である青色領域から紫外線領域におよぶ発光が可能な半導体レーザとして、AlGaInNなどの窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの研究開発が盛んに行われている。書き込み型光ディスクの実現には、少なくとも20mW以上の光出力が必要であるが、中村らのグループはこの材料系を用いたハイパワーレーザの作製に関して報告している(Appl.Phys.Lett.,72(1998)2014, Jpn.J.Appl.Phys.,37(1998)L627)。この半導体レーザはリッジ形状のストライプを有し、そのリッジ側面はSiO2 膜などの絶縁膜で保護されており、p側電極はリッジ上面のp型コンタクト層部分にのみ接触するような構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の報告の半導体レーザでは、光出力−電流特性にキンクがあり、また、通電直後からの電流の上昇が見られており、実用上問題がある。このキンクは光出力の増大とともに、高次モードでの発振が起こっていることを示しており、その抑制のためには、リッジ部とリッジ外部との屈折率差を下げるか、あるいはストライプ幅を狭くする必要がある。しかしながら、この場合、リッジ外部は屈折率の小さいSiO2 あるいは空気であるため、屈折率差を変化させることは容易ではない。また、ストライプ幅を狭くすることはプロセス上の困難を伴う。
【0004】
一方、通電直後からの電流の上昇は、活性層の熱的な劣化によって引き起こされていると考えられる。これを抑制するためには、活性層で発生した熱を有効に外部に逃すことが必要であるが、この半導体レーザの構造は、リッジ上面のp型コンタクト層表面以外の部分は、熱伝導の悪いSiO2 で覆われているため、熱を逃しにくい。
【0005】
したがって、この発明の目的は、安定に横モードを制御して高出力時の高次モード発振を抑制することができ、しかも熱放散性に優れている半導体レーザを容易に製造することができる半導体レーザの製造方法を提供することにある。
【0006】
この発明の他の目的は、熱放散性に優れた長寿命の半導体装置を容易に製造することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、単結晶の部分と多結晶の部分とからなる化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0008】
この発明の第2の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、柱状構造を有する化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0009】
この発明の第3の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体からなる埋め込み半導体層を電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法により成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0010】
この発明の第4の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体からなり、活性層の屈折率以下の屈折率を有する埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0011】
この発明の第5の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、化合物半導体を用いた実屈折率導波型の半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させ、この際、この埋め込み半導体層のうちのリッジの両側の部分の少なくとも一部が非単結晶であるようにする工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0012】
この発明の第6の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、単結晶の部分と多結晶の部分とからなる窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の第7の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、柱状構造を有する窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0014】
この発明の第8の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、少なくとも一部が非単結晶である窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法により成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第9の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように、少なくとも一部が非単結晶である窒化物系III−V族化合物半導体からなり、活性層の屈折率以下の屈折率を有する埋め込み半導体層を成長させる工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第10の発明は、
リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた実屈折率導波型の半導体レーザの製造方法において、
リッジ形状のストライプを形成する工程と、
リッジを覆うように窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させ、この際、この埋め込み半導体層のうちのリッジの両側の部分の少なくとも一部が非単結晶であるようにする工程と、
リッジの上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0015】
この発明の第11の発明は、
化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、単結晶の部分と多結晶の部分とからなる化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第12の発明は、
化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、柱状構造を有する化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第13の発明は、
化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体からなる埋め込み半導体層を電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法により成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第14の発明は、
窒化物系III−V族化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、単結晶の部分と多結晶の部分とからなる窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第15の発明は、
窒化物系III−V族化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、柱状構造を有する窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第16の発明は、
窒化物系III−V族化合物半導体基体に凸部を有し、この凸部の周囲の部分が埋め込み半導体層により埋め込まれている半導体装置の製造方法であって、
凸部を形成する工程と、
凸部を覆うように、少なくとも一部が非単結晶である窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法により成長させる工程と、
凸部の上の部分の埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
この発明の第1、第2、第3、第4、第7、第8、第10および第11の発明において、半導体レーザは、典型的には、実屈折率導波型半導体レーザである。また、この発明の第1、第2、第3、第5、第6、第7、第8および第10の発明において、埋め込み半導体層の屈折率は、典型的には、活性層の屈折率以下である。
【0016】
この発明において、埋め込み半導体層に含まれる非単結晶の部分は、典型的には多結晶であるが、場合によっては非晶質であってもよく、さらには多結晶の部分と非晶質の部分とが混在してもよい。この埋め込み半導体層は、典型的には、単結晶の部分と多結晶の部分とからなり、一般的には、単結晶の部分は埋め込み半導体層のうちの下地層と接触する部分に、エピタキシャル成長により形成される。また、この埋め込み半導体層は、典型的には、柱状構造を有する。この埋め込み半導体層を構成する柱状結晶の太さ(幅)は5nm以上300nm以下である。
【0017】
この発明において、窒化物系III−V族化合物半導体は、Ga、Al、In、BおよびTlからなる群より選ばれた少なくとも一種類のIII族元素と、少なくともNを含み、場合によってさらにAsまたはPを含むV族元素とからなる。この窒化物系III−V族化合物半導体の具体例を挙げると、GaN、AlGaN、AlN、GaInN、AlGaInN、InNなどである。
【0018】
この発明において、埋め込み半導体層の材料としては、半導体レーザあるいは半導体装置の材料系などに応じて種々の化合物半導体を用いることができるが、具体例を挙げると、窒化物系III−V族化合物半導体、Alx Ga1-x As(0≦x≦1)、(Alx Ga1-x y In1-y P(0≦x≦1、0≦y≦1)、Znx Mg1-x y Se1-y (0≦x≦1、0≦y≦1)などである。より具体的には、例えば、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザにおいては、埋め込み半導体層の材料として、窒化物系III−V族化合物半導体、例えばAlx Ga1-X N(0≦x≦1)のほか、Alx Ga1-x As、(Alx Ga1-x y In1-y P、Znx Mg1-x y Se1-y などを用いることができる。また、GaAs系半導体レーザにおいては、埋め込み半導体層の材料として、Alx Ga1-x Asや(Alx Ga1-x y In1-y Pなどを用いることができる。また、AlGaInP系半導体レーザにおいては、埋め込み半導体層の材料として、(Alx Ga1-x y In1-y Pを用いることができる。
【0019】
この発明において、特に、窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層は、成長原料の分解温度以上760℃以下の成長温度、具体的には、例えば480℃以上760℃以下の成長温度、好適には、520℃以上760℃以下の成長温度で成長させる。また、この埋め込み半導体層の成長には、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、ハイドライド気相エピタキシャル成長あるいはハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)法、分子線エピタキシー(MBE)法などのほか、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタリング法などを用いることができる。
【0020】
この発明において、埋め込み半導体層の材料としてAlx Ga1-x Asを用いる場合の成長温度は一般に400〜600℃、(Alx Ga1-x y In1-y Pを用いる場合の成長温度は一般に400〜600℃、Znx Mg1-x y Se1-y を用いる場合の成長温度は一般に300〜600℃である。これらの埋め込み半導体層の成長には、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法などのほか、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタリング法などを用いることができる。
【0021】
上述のように構成されたこの発明による半導体レーザの製造方法によれば、リッジの両側の部分が、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層により埋め込まれることにより、平坦性良くかつリッジ全体を埋め込むことが可能となる。このため、リッジ部からの熱の放散性が高くなることから、活性層の劣化が抑制され、半導体レーザの長寿命化を図ることができる。
【0022】
さらに、埋め込み半導体層を構成する化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体の混晶組成比を適切に選ぶことにより、リッジ部と埋め込み半導体層との屈折率差を容易に制御することができるため、高次モードでの発振を抑制し、光出力−電流曲線におけるキンクをなくすことが可能となる。したがって、ストライプ幅を極端に狭くする必要がなく、容易に製造することができる。
【0023】
また、特に窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層の成長に有機金属化学気相成長法、ハイドライド気相エピタキシャル成長法あるいはハライド気相エピタキシャル成長法または分子線エピタキシー法を用いた場合には、成長温度を760℃以下にすることにより、平坦性良くかつリッジ全体を埋め込むことが可能となる。
【0024】
上述のように構成されたこの発明による半導体装置の製造方法によれば、凸部の周囲の部分が、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層により埋め込まれていることにより、平坦性良くかつ凸部全体を埋め込むことが可能となる。このため、凸部が発熱源となるような場合、その凸部からの熱の放散性が高くなることから、素子の劣化が抑制され、半導体装置の長寿命化を図ることができる。
【0025】
また、特に窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層の成長に有機金属化学気相成長法、ハイドライド気相エピタキシャル成長法あるいはハライド気相エピタキシャル成長法または分子線エピタキシー法を用いた場合には、成長温度を760℃以下にすることにより、平坦性良くかつ凸部全体を埋め込むことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態について説明する前に、埋め込み層による埋め込み特性および埋め込み層の結晶性の評価を行うために行った予備実験の結果について説明する。評価用の試料の作製方法を図1〜図3に示す。
【0027】
すなわち、まず、図1に示すように、あらかじめサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したc面サファイア基板1上にMOCVD法により例えば520℃程度の温度でアンドープのGaNバッファ層2を成長させた後、1000℃の成長温度で、MOCVD法により、GaNバッファ層2上に、アンドープのGaN層3、p型AlGaN層4およびp型GaN層5を順次成長させる。これらのGaN系半導体層の成長原料は、例えば、III族元素であるGaの原料としてはトリメチルガリウム((CH3 3 Ga、TMG)を、III族元素であるAlの原料としてはトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al、TMA)を、III族元素であるInの原料としてはトリメチルインジウム((CH3 3 In、TMI)を、V族元素であるNの原料としてはアンモニア(NH3 )を用いる。また、キャリアガスとしては、例えば、水素(H2 )と窒素(N2 )との混合ガスを用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばモノシラン(SiH4 )を、p型ドーパントとしては例えばビス=メチルシクロペンタジエニルマグネシウム((CH3 5 4 2 Mg)あるいはビス=シクロペンタジエニルマグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いる。
【0028】
次に、GaN系半導体層を成長させたc面サファイア基板1をMOCVD装置から取り出す。次に、図2に示すように、p型GaN層5の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.4μmのSiO2 膜6を形成した後、このSiO2 膜6上にリソグラフィーにより所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法によりSiO2 膜6をエッチングし、ストライプ形状とする。次に、SiO2 膜6をマスクとして例えばRIE法によりp型AlGaN層4の厚さ方向の所定の深さまでエッチングを行うことによりリッジ部を形成する。このRIEのエッチングガスとしては例えば塩素系ガスを用いる。
【0029】
次に、図3に示すように、再度MOCVD法により、例えば、Al組成が60%のAlGaN埋め込み層7を基板全面に成長させて、リッジ部の両側の部分を埋め込む。
【0030】
図4〜図6は、それぞれ成長温度(Tg )を800℃、760℃および730℃としてAlGaN埋め込み層7の成長を行ったときのリッジ部およびその近傍のAlGaN埋め込み層7の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真を基にして図を描いたものである。図4〜図6から明らかなように、成長温度が800℃の場合にはリッジ側面に埋め込まれていない領域(空洞)が存在する。また、成長温度が730℃の場合、AlGaN埋め込み層7の表面は平坦であるが、成長温度が上がるにつれて、AlGaN埋め込み層7の表面の凹凸が大きくなっている。成長温度が800℃の場合には、AlGaN埋め込み層7は単結晶であるが、成長温度が760℃の場合にはAlGaN埋め込み層7は一部が柱状構造を有する。また、図示は省略するが、成長温度を900℃とした場合には、AlGaN埋め込み層7の表面の凹凸は大きくないが、AlGaN埋め込み層7にクラックが発生する。このように単結晶層で埋め込んだ場合には、リッジ側面が埋まらない、表面の凹凸が大きくなる、クラックが発生する、といった問題がある。したがって、リッジ側面を埋め込み、かつ、クラックが発生しないようにするためには、少なくとも一部が多結晶である半導体層で埋め込む必要がある。また、リッジを埋め込んだ後のレーザプロセスを容易にし、かつ、電極との密着性を高めて熱はけを良くする観点からは、AlGaN埋め込み層7の表面の凹凸が少ないことが望ましい。以上のことから、AlGaN埋め込み層7の成長をMOCVD法を用いて行う際の成長温度は760℃以下にすることが望ましい。
【0031】
図7〜図9は、それぞれ成長温度(Tg )を520℃、730℃および760℃としてAlGaN埋め込み層7の成長を行ったときのリッジ部およびその近傍のAlGaN埋め込み層7の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果得られたAlGaN埋め込み層7の構造を図式化したものである。
【0032】
図7に示すように、成長温度を520℃とした場合には、AlGaN埋め込み層7は下地と接触した部分は下地からエピタキシャル成長した単結晶となっており、さらにこのエピタキシャル層から柱状に結晶が成長していて柱状構造を形成している。柱状結晶の下部の太さは17〜30nmであった。各柱状結晶の配向には多少のばらつきが存在する。AlGaN埋め込み層7の残りの部分は多結晶となっている。AlGaN埋め込み層7の表面は平坦性は良好であった。
【0033】
図8に示すように、成長温度を730℃とした場合には、AlGaN埋め込み層7は下地と接触した部分は下地からエピタキシャル成長した単結晶となっており、その上の部分は柱状に結晶が成長していて柱状構造を形成している。エピタキシャル層の厚さは約70nm程度であった。また、柱状結晶の下部の太さは50〜80nmであった。AlGaN埋め込み層7の表面には高さが約30nm程度の凹凸が存在した。
【0034】
図9に示すように、成長温度を760℃とした場合には、AlGaN埋め込み層7は下地と接触した部分は下地からエピタキシャル成長した、欠陥の少ない単結晶となっており、その上の部分は柱状に結晶が成長していて柱状構造を形成している。エピタキシャル層の厚さは約130nm程度であった。また、柱状結晶の下部の太さは約270nmであった。各柱状結晶の配向はほぼそろっている。また、各柱状結晶には面欠陥が非常に多く導入されている。AlGaN埋め込み層7の表面には高さが約160nm程度の凹凸が存在した。
【0035】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0036】
図10はこの発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザを示す。このGaN系半導体レーザは、SCH(Separate Confinement Heterostructure)構造を有するものである。
【0037】
図10に示すように、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいては、例えば厚さが400μmのc面サファイア基板11上に、アンドープのGaNバッファ層12を介して、n型GaNコンタクト層13、n型AlGaNクラッド層14、n型GaN光導波層15、例えばアンドープGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層16、p型GaN光導波層17、p型AlGaNクラッド層18およびp型GaNコンタクト層19が順次積層されている。
【0038】
GaNバッファ層12は厚さが例えば30nmである。n型GaNコンタクト層13は厚さが例えば4μmであり、n型不純物として例えばシリコン(Si)がドープされている。n型AlGaNクラッド層14は厚さが例えば0.7μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。n型GaN光導波層15は厚さが例えば0.1μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。アンドープGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層16は、例えば、井戸層の厚さが3nm、障壁層の厚さが4nmである。
【0039】
p型GaN光導波層17は厚さが例えば0.1μmであり、p型不純物として例えばマグネシウム(Mg)がドープされている。p型AlGaNクラッド層18は例えば厚さが0.7μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。p型GaNコンタクト層19は厚さが例えば0.3μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。
【0040】
n型GaNコンタクト層13の上層部、n型AlGaNクラッド層14、n型GaN光導波層15、活性層16、p型GaN光導波層17およびp型AlGaNクラッド層18は所定幅のメサ形状を有する。また、このメサ部におけるp型AlGaNクラッド層18の上層部およびp型GaNコンタクト層19には一方向に延在する所定幅のリッジ部が形成されている。このリッジ部の延在方向は例えば〈11−20〉方向であり、幅は例えば4μmである。
【0041】
このリッジ部の両側の部分には、例えばアンドープのAlGaN埋め込み層20が埋め込まれている。このAlGaN埋め込み層20は少なくとも一部が多結晶(または柱状構造)により構成されている。
【0042】
リッジ部のp型GaNコンタクト層19およびその両側のAlGaN埋め込み層20上にp側電極21が設けられている。このp側電極21は、例えばNi膜、Pt膜およびAu膜を順次積層したNi/Pt/Au構造を有し、これらのNi膜、Pt膜およびAu膜の厚さは例えばそれぞれ10nm、100nmおよび300nmである。ここで、AlGaN埋め込み層20は高抵抗であるため、p側電極21がp型GaNコンタクト層19およびAlGaN埋め込み層20の両方に接触しているにもかかわらず、電流はリッジストライプ部にのみ流れる。また、メサ部に隣接する部分のn型GaNコンタクト層13上にn側電極22が設けられている。このn側電極22は、例えばTi膜、Al膜、Pt膜およびAu膜を順次積層したTi/Al/Pt/Au構造を有し、これらのTi膜、Al膜、Pt膜およびAu膜の厚さは例えばそれぞれ10nm、100nm、100nmおよび300nmである。
【0043】
次に、上述のように構成されたこの第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法について説明する。
【0044】
このGaN系半導体レーザを製造するには、まず、図11に示すように、あらかじめサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したc面サファイア基板11上にMOCVD法により例えば520℃程度の温度でアンドープのGaNバッファ層12を成長させた後、基板温度を所定の成長温度に上昇させて、MOCVD法により、GaNバッファ層12上に、n型GaNコンタクト層13、n型AlGaNクラッド層14、n型GaN光導波層15、例えばアンドープGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層16、p型GaN光導波層17、p型AlGaNクラッド層18およびp型GaNコンタクト層19を順次成長させる。ここで、Inを含まない層であるn型GaNコンタクト層13、n型AlGaNクラッド層14、n型GaN光導波層15、p型GaN光導波層17、p型AlGaNクラッド層18およびp型GaNコンタクト層19の成長温度は例えば1000℃程度とし、Inを含む層であるGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層16の成長温度は例えば700〜800℃とする。これらのGaN系半導体層の成長原料は、例えば、III族元素であるGaの原料としてはトリメチルガリウム((CH3 3 Ga、TMG)を、III族元素であるAlの原料としてはトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al、TMA)を、III族元素であるInの原料としてはトリメチルインジウム((CH3 3 In、TMI)を、V族元素であるNの原料としてはアンモニア(NH3 )を用いる。また、キャリアガスとしては、例えば、水素(H2 )と窒素(N2 )との混合ガスを用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばモノシラン(SiH4 )を、p型ドーパントとしては例えばビス=メチルシクロペンタジエニルマグネシウム((CH3 5 4 2 Mg)あるいはビス=シクロペンタジエニルマグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いる。
【0045】
次に、GaN系半導体層を成長させたc面サファイア基板11をMOCVD装置から取り出す。次に、図12に示すように、p型GaNコンタクト層19の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.4μmのSiO2 膜23を形成した後、このSiO2 膜23上にリソグラフィーにより所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜23をエッチングし、ストライプ形状とする。次に、SiO2 膜23をマスクとして例えばRIE法によりp型AlGaNクラッド層18の厚さ方向の所定の深さまでエッチングを行うことによりリッジ部を形成する。このRIEのエッチングガスとしては例えば塩素系ガスを用いる。
【0046】
次に、図13に示すように、再度MOCVD法により、例えば、成長温度を520℃として、Al組成が60%のAlGaN埋め込み層20を全面に成長させて、リッジ部の両側の部分を埋め込む。この520℃という成長温度では、AlGaN埋め込み層20は少なくとも一部が多結晶となる。この場合、Al組成を60%と大きくしてもAlGaN埋め込み層20にクラックが発生せず、かつ、平坦性よくリッジ全体を埋め込むことが可能である。
【0047】
次に、AlGaN埋め込み層20を成長させたc面サファイア基板11をMOCVD装置から取り出す。次に、図14に示すように、基板全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.4μmのSiO2 膜24を形成した後、このSiO2 膜24上の、AlGaN埋め込み層20の盛り上がった部分以外の部分の上方に所定形状のレジストパターン(図示せず)をリソグラフィーにより形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜24をエッチングする。
【0048】
次に、図15に示すように、SiO2 膜24をマスクとして例えばRIE法によりエッチングを行うことにより、リッジ部の上方のAlGaN埋め込み層20の盛り上がった部分を除去する。
【0049】
次に、SiO2 膜24をエッチング除去した後、図16に示すように、上記と同様なプロセスで所定形状のSiO2 膜25を基板表面に形成する。
【0050】
次に、図17に示すように、このSiO2 膜25をマスクとして例えばRIE法によりn型GaNコンタクト層13が露出するまでエッチングを行うことにより、n型GaNコンタクト層13の上層部、n型AlGaNクラッド層14、n型GaN光導波層15、例えばアンドープGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層16、p型GaN光導波層17、p型AlGaNクラッド層18およびAlGaN埋め込み層20をメサ形状にパターニングする。
【0051】
次に、SiO2 膜25をエッチング除去する。次に、基板表面に所定形状のレジストパターン(図示せず)形成し、真空蒸着法などにより基板全面にTi膜、Al膜、Pt膜およびAu膜を順次形成した後、レジストパターンをその上のTi膜、Al膜、Pt膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、図18に示すように、メサ部に隣接する部分のn型GaNコンタクト層13上にn側電極22が形成される。次に、n側電極22をオーミック接触させるためのアロイ処理を行う。同様なプロセスで、メサ部におけるp型GaNコンタクト層19およびその両側の部分のAlGaN埋め込み層20上にp側電極21を形成する。次に、p側電極21をオーミック接触させるためのアロイ処理を行う。
【0052】
この後、上述のようにしてレーザ構造が形成されたc面サファイア基板11を劈開などによりバー状に加工して両共振器端面を形成し、さらにこれらの共振器端面に端面コーティングを施した後、このバーを劈開などによりチップ化する。以上により、図10に示すように、目的とする埋め込みリッジ構造およびSCH構造のGaN系半導体レーザが製造される。
【0053】
図19に、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの光出力−電流特性の測定結果の一例を示す。ただし、AlGaN埋め込み層20の成長温度は520℃である。図19より、良好な光出力−電流特性が得られていることがわかる。
【0054】
以上のように、この第1の実施形態によれば、成長温度520℃で成長させた、少なくとも一部が多結晶のAlGaN埋め込み層20でリッジを埋め込んでいることにより、リッジ全体を平坦性良く、かつ、Al組成が高い場合にもAlGaN埋め込み層20にクラックを発生させずに埋め込むことが可能である。さらに、p側電極21と下地との接触面積を広くすることができることから、動作時に発生する熱の放散性を高めることが可能であり、このため通電中の電流上昇を抑制して、半導体レーザの長寿命化を図ることができる。さらに、AlGaN埋め込み層20のAl組成を変化させることにより、リッジ部とリッジ外部との屈折率差を制御することが可能であり、横モードを容易に制御することが可能である。
【0055】
また、この第1の実施形態によれば、次のような利点を得ることもできる。すなわち、一般にGaN系半導体の成長では、成長雰囲気中の水素により、成長層中のp型不純物(アクセプタ)が不活性化する問題があるため、p型層の成長後に、窒素雰囲気中でポストアニールを行う必要がある。しかしながら、この第1の実施形態においては、AlGaN埋め込み層20の成長中は、最表面がこのAlGaN埋め込み層20となるため、成長雰囲気中の水素がp型層を直接アタックせず、かつ、p型GaNコンタクト層19までの成長を行う1回目のエピタキシャル成長においてp型層に取り込まれた水素はこのAlGaN埋め込み層20を通して脱離する可能性がある。このため、ポストアニールを行わないでも、AlGaN埋め込み層20の成長中にp型層中のp型不純物を活性化させることが可能である。
【0056】
図20はこの発明の第2の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザを示す。このGaN系半導体レーザもSCH構造を有するものである。
【0057】
図20に示すように、この第2の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいては、リッジ部の両側の部分に、高抵抗のAlN埋め込み層26が埋め込まれている。このAlN埋め込み層26は少なくとも一部が多結晶により構成されている。その他のことは、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様であるので、説明を省略する。
【0058】
また、この第2の実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法は、AlN埋め込み層26をECRスパッタリング法により形成することを除いて、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法と同様である。
【0059】
この第2の実施形態によれば、ECRスパッタリング法により形成した、少なくとも一部が多結晶のAlN埋め込み層26でリッジを埋め込んでいることにより、リッジ全体を平坦性良く、かつ、AlN埋め込み層26にクラックを発生させずに埋め込むことが可能である。さらに、p側電極21と下地との接触面積を広くすることができることから、動作時に発生する熱の放散性を高めることが可能であり、このため通電中の電流上昇を抑制して、半導体レーザの長寿命化を図ることができる。さらに、AlN埋め込み層26の屈折率はSiO2 あるいは空気に比べて大きいため、従来のリッジ構造のGaN系半導体レーザよりもリッジ部とリッジ外部との屈折率差を小さくすることができ、横モードの安定化を図ることが可能となる。また、ECRスパッタリング法によりAlN埋め込み層26を形成していることから、埋め込みを簡便に行うことが可能である。
【0060】
図21はこの発明の第3の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaAs系半導体レーザを示す。
【0061】
図21に示すように、この第3の実施形態によるGaAs系半導体レーザにおいては、n型GaAs基板31上に、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaAsクラッド層33、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造の活性層34、p型AlGaAsクラッド層35およびp型GaAsキャップ層36が順次積層されている。p型AlGaAsクラッド層35の上層部およびp型GaAsキャップ層36には一方向に延在する所定幅のリッジ部が形成されている。
【0062】
このリッジ部の両側の部分には、例えばn型AlGaAs埋め込み層37が埋め込まれている。このn型AlGaAs埋め込み層37は少なくとも一部が多結晶または非晶質領域により構成されている。
【0063】
リッジ部のp型GaAsキャップ層36およびその両側のn型AlGaAs埋め込み層37上にp側電極38が設けられている。このp側電極38としては、例えばTi/Pt/Au電極が用いられる。一方、n型GaAs基板31の裏面には、n側電極39が、このn型GaAs基板31とオーミックコンタクトして設けられている。このn側電極39としては、例えばAuGe/Ni電極やIn電極が用いられる。
【0064】
次に、上述のように構成されたこの第3の実施形態によるGaAs系半導体レーザの製造方法について説明する。
【0065】
このGaAs系半導体レーザを製造するには、まず、図21に示すように、n型GaAs基板31上に、例えば有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、例えば800℃程度の成長温度で、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaAsクラッド層33、活性層34、p型AlGaAsクラッド層35およびp型GaAsキャップ層36を順次成長させる。
【0066】
次に、AlGaAs系半導体層を成長させたn型GaAs基板31をMOCVD装置から取り出す。次に、p型GaAsキャップ層36の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.4μmのSiO2 膜を形成した後、このSiO2 膜上にリソグラフィーにより所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜をエッチングし、ストライプ形状とする。次に、SiO2 膜をマスクとして例えばウエットエッチング法またはドライエッチング法によりp型AlGaAsクラッド層35の厚さ方向の所定の深さまでエッチングを行うことによりリッジ部を形成する。
【0067】
次に、再度MOCVD法により、例えば、成長温度を450℃として、n型AlGaAs埋め込み層37を全面に成長させて、リッジ部の両側の部分を埋め込む。この450℃という成長温度では、n型AlGaAs埋め込み層37は少なくとも一部が多結晶または非晶質となる。この場合、このn型AlGaAs埋め込み層37にはクロスハッチが発生せず、かつ、平坦性よくリッジ全体を埋め込むことが可能である。
【0068】
次に、n型AlGaAs埋め込み層37を成長させたn型GaAs基板31をMOCVD装置から取り出す。次に、基板全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.4μmのSiO2 膜を形成した後、このSiO2 膜上の、n型AlGaAs埋め込み層37の盛り上がった部分以外の部分の上方に所定形状のレジストパターン(図示せず)をリソグラフィーにより形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜をエッチングする。
【0069】
次に、このようにして形成されたSiO2 膜をマスクとして例えばウエットエッチング法またはRIE法によりエッチングを行うことにより、リッジ部の上方のn型AlGaAs埋め込み層37の盛り上がった部分を除去する。この後、このSiO2 膜をエッチング除去する。
【0070】
次に、真空蒸着法などにより基板全面にTi膜、Pt膜およびAu膜を順次形成してp側電極38を形成する。一方、n型GaAs基板31の裏面にAuGe/Ni膜やIn膜を形成することによりn側電極39を形成する。
【0071】
この後、上述のようにしてレーザ構造が形成されたn型GaAs基板31を劈開によりバー状に加工して両共振器端面を形成し、さらにこれらの共振器端面に端面コーティングを施した後、このバーを劈開などによりチップ化する。以上により、目的とする埋め込みリッジ構造のGaAs系半導体レーザが製造される。
【0072】
この第3の実施形態によれば、リッジ構造のGaAs系半導体レーザにおいて、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0073】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0074】
例えば、上述の第1、第2および第3の実施形態において挙げた数値、構造、基板、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、基板、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0075】
また、上述の第1および第2の実施形態においては、リッジストライプの延びる方向をc面サファイア基板1の〈11−20〉方向にしているが、このリッジストライプの延びる方向は〈1−100〉方向にしてもよい。
【0076】
また、上述の第1および第2の実施形態においては、基板としてc面サファイア基板を用いているが、必要に応じて、SiC基板、Si基板、スピネル基板などを用いてもよい。
【0077】
さらに、上述の第1および第2の実施形態においては、この発明をSCH構造のGaN系半導体レーザに適用した場合について説明したが、この発明は、例えば、DH(Double Heterostructure)構造のGaN系半導体レーザに適用してもよい。
【0078】
また、上述の第3の実施形態においては、この発明をDH(Double Heterostructure)構造のGaAs系半導体レーザに適用した場合について説明したが、この発明は、SCH構造のGaAs系半導体レーザに適用してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による半導体レーザの製造方法によれば、リッジの両側の部分が、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層により埋め込まれるので、安定に横モードを制御して高出力時の高次モード発振を抑制することができ、しかも熱放散性に優れている半導体レーザを容易に製造することができる。
【0080】
この発明による半導体装置の製造方法によれば、凸部の周囲の部分が、少なくとも一部が非単結晶である化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層により埋め込まれるので、凸部全体を平坦性良く埋め込むことができ、しかも熱放散性に優れている半導体装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備実験に用いた試料の作製方法を説明するための断面図である。
【図2】予備実験に用いた試料の作製方法を説明するための断面図である。
【図3】予備実験に用いた試料の作製方法を説明するための断面図である。
【図4】成長温度を800℃としてAlGaN埋め込み層を成長させた場合のリッジ部およびその近傍のAlGaN埋め込み層の断面図である。
【図5】成長温度を760℃としてAlGaN埋め込み層を成長させた場合のリッジ部およびその近傍のAlGaN埋め込み層の断面図である。
【図6】成長温度を730℃としてAlGaN埋め込み層を成長させた場合のリッジ部およびその近傍のAlGaN埋め込み層の断面図である。
【図7】成長温度を520℃として成長させたAlGaN埋め込み層の構造を示す略線図である。
【図8】成長温度を730℃として成長させたAlGaN埋め込み層の構造を示す略線図である。
【図9】成長温度を760℃として成長させたAlGaN埋め込み層の構造を示す略線図である。
【図10】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザを示す斜視図である。
【図11】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図16】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図17】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図18】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図19】この発明の第1の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザの光出力−電流特性の測定結果の一例を示す略線図である。
【図20】この発明の第2の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaN系半導体レーザを示す斜視図である。
【図21】この発明の第3の実施形態による埋め込みリッジ構造のGaAs系半導体レーザを示す斜視図である。
【符号の説明】
1、11・・・c面サファイア基板、13・・・n型GaNコンタクト層、14・・・n型AlGaNクラッド層、15・・・n型GaN光導波層、16・・・活性層、17・・・p型GaN光導波層、18・・・p型AlGaNクラッド層、19・・・p型GaNコンタクト層、20・・・AlGaN埋め込み層、21・・・p側電極、22・・・n側電極、31・・・n型GaAs基板、33・・・n型AlGaAsクラッド層、34・・・活性層、35・・・p型AlGaAsクラッド層、36・・・p型GaAsキャップ層、37・・・n型AlGaAs埋め込み層、38・・・p側電極、39・・・n側電極

Claims (8)

  1. リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
    上記リッジ形状のストライプを形成する工程と、
    上記リッジを覆うように窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させ、この際、この埋め込み半導体層のうちの上記リッジの両側の部分が、下地層と接触する単結晶の部分とその上の柱状結晶からなる多結晶の部分とからなるようにする工程と、
    上記リッジの上の部分の上記埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
    ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  2. リッジ形状のストライプを有する、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザの製造方法において、
    上記リッジ形状のストライプを形成する工程と、
    上記リッジを覆うように窒化物系III−V族化合物半導体からなる埋め込み半導体層を成長させ、この際、この埋め込み半導体層のうちの上記リッジの両側の部分が、柱状結晶からなる多結晶からなるようにする工程と、
    上記リッジの上の部分の上記埋め込み半導体層を除去する工程とを有する
    ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  3. 上記埋め込み半導体層を構成する柱状結晶の太さは5nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザの製造方法。
  4. 上記埋め込み半導体層を成長原料の分解温度以上760℃以下の成長温度で成長させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザの製造方法。
  5. 上記埋め込み半導体層を480℃以上760℃以下の成長温度で成長させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザの製造方法。
  6. 上記埋め込み半導体層を520℃以上760℃以下の成長温度で成長させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザの製造方法。
  7. 上記埋め込み半導体層を有機金属化学気相成長法、ハイドライド気相エピタキシャル成長法、分子線エピタキシー法または電子サイクロトロン共鳴スパッタリング法により成長させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザの製造方法。
  8. 上記埋め込み半導体層はAl x Ga 1-X N(0≦x≦1)からなることを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザの製造方法。
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