JP3974955B2 - 調心輪付きの転がり軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、調心輪付きの転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、例えば圧延機のロールの両端部を支持する軸受については、ロールの一端部と他端部とを調芯させるために、調心輪付きの転がり軸受が使用されている。この調心輪付きの転がり軸受は、外輪の外周に球面部を形成し、この球面部を調心輪の内周の球面部に嵌合して、外輪を調心可能に支持するものであり、上記調心輪90と外輪92とは、通常、ノックピンによって相対回転するのが規制されている。
【0003】
この種の転がり軸受において、上記調心輪90の内周の相対向する位置には、外輪92を組み込むための一対の入れ溝91が形成されている(図3参照)。この入れ溝91は、調心輪90の一端部90a側から幅方向の途中部まで延びており、外輪92の軸線を調心輪90の軸線に対して直交させた状態で、その外周の球面部92aを各入れ溝91に導入した後、外輪92を、その軸線が調心輪90の軸線に合致するように90°回転させることにより、調心輪90に外輪92を組み込むことができる。
【0004】
ところが、上記調心輪付きの転がり軸受は、調心輪90の入れ溝91部分に大きな負荷が作用すると、この入れ溝91部分を起点として調心輪90が割れることがある。このため、上記転がり軸受を装置に組付ける際には、負荷を受ける側に上記入れ溝91が位置しないように組み付ける必要がある。従って、調心輪90の全周に負荷が作用する等、使用条件によって負荷が作用する位置が変動する場合には、上記調心輪付きの転がり軸受を使用することができないという問題があった。
【0005】
また、負荷が作用する位置が変動しない場合であっても、軸受寿命を延ばすために、一定期間使用した後、外輪92を調心輪90とともに回動させて、外輪92の負荷を受ける位置を変更することにより、転がり軸受を再使用することが行われている。しかしこの場合においても、上記入れ溝部分に負荷が作用するのを避けるために、調心輪90を180°回転させる必要があるので、負荷を受ける位置の変更を一度しか行うことができず、軸受寿命を効果的に延ばすことができないという問題があった。
さらに、外輪を調心輪に組み込んだり、調心輪から取り外したりするには、外輪の軸線が調心輪の軸線と直交するように外輪を入れ溝に対応する直径線を中心に回動させる必要があるので、その着脱作業が困難であり、分解点検等のメンテナンス作業に手間がかかるという問題もあった。
【0006】
なお、上記調心輪として、プレスによって円周上の一箇所を分断して、その内径を拡開できるようにしたものが提案されている(例えば実開平6−32736号公報参照)。この調心輪によれば、内径を拡開させることにより、その内部に外輪を組み込むことができる。ところが、大形の調心輪については、外周を分断するための荷重が過大となって、これを精度よく分断することができない。このため、上記円周上の一箇所を分断した調心輪は、大形のものには適用することができないという問題があった。
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、負荷が作用する位置が変動する場合でも支障なく使用することができるとともに、軸受寿命をさらに延ばすことができ、メンテナンスが容易で、しかも大形のものにも適用することができる調心輪付きの転がり軸受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明の調心輪付きの転がり軸受は、内輪と、外周に球面部を有する外輪と、上記内輪と外輪との間に介在された軸方向二列の転動体と、上記外輪の球面部を調心可能に嵌合支持する調心輪とを備える、ロールの端部を支持する調心輪付きの転がり軸受において
上記内輪は、その外周に鍔を有しておらず、かつ上記外輪は、その内周に鍔を前記軸方向二列の転動体のそれぞれ軸方向両側に有しており、
上記調心輪を、軸方向の中央部で軸線に直交する平面に沿って2分割することで、前記軸方向二列の転動体が前記平面の軸方向一方側と軸方向他方側とにそれぞれ配設されており、かつ、
上記外輪と調心輪とがノックピンにより相対回転が規制されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記の構成の調心輪付きの転がり軸受によれば、上記調心輪を、軸方向の中央部において、軸線に直交する平面に沿って2分割しているので、調心輪を構成する一方の部材と他方の部材とを、外輪の両側から当該外輪の球面部に嵌合させることにより、外輪を調心輪に組み込むことができる。ここに、調心輪に外輪組み込み用の入れ溝を形成する必要がないので、調心輪の全周の何れの位置でも、負荷を支障なく受け止めることができる。
また、上記調心輪を構成する一方の部材と他方の部材とを、互いに突き合わせたり離反させたりすることにより、外輪を調心輪に組み込んだり調心輪から取り外したりすることができるので、調心輪の着脱が容易となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の調心輪付きの転がり軸受の要部断面図である。この調心輪付きの転がり軸受Aは、内輪1と、外周に球面部21を有する外輪2との間に、転動体としてのころ3を軸方向に二列介在し、上記外輪2の球面部21に、調心輪4を嵌合したものである。上記内輪1は、その外周に鍔を有しておらず、一方、上記外輪2は、その内周に鍔を前記軸方向二列のころ3のそれぞれ軸方向両側に有している。
【0010】
上記調心輪4は、内周に上記外輪2の球面部21に合致する球面部4aを有しており、軸受箱や圧延ロール等に組み込まれた状態で、上記外輪2を調心可能に支持することができる。この調心輪4は、軸方向の中心部において、その軸線に直交する平面に沿って2分割されている(図2参照)。この調心輪4を構成する一対の環状部材41,42は、同一形状のものを左右対称に組み合わせたものである。この一対の環状部材41,42のそれぞれの外周側の端部には、軸受箱や圧延ロール等との相対回転を規制するノックピンを打ち込むための切欠43が設けられている。
【0011】
なお、上記外輪2と調心輪4とは、円周上の所定箇所に設けられたノックピン5によって、相対回転が規制されている。また、上記ころ3は、保持器6によって所定間隔毎に保持されている。さらに、上記外輪2及び調心輪4には、潤滑剤を補給するための油孔7が形成されている。
【0012】
以上の構成であれば、上記調心輪4を構成する一方の環状部材41と、他方の環状部材42とを、外輪2の両側からその球面部21に嵌合させることにより、外輪2を調心輪4に組み込むことができる。ここに、調心輪4に外輪2を組み込むための入れ溝を形成する必要がないので、調心輪4の全周の何れの位置においても、負荷を受け止めることができる。このため、外輪2を回転させる場合等、負荷が作用する位置が変動する使用条件下においても、転がり軸受Aを支障なく使用することができる。
【0013】
また、外輪2を固定輪として使用する場合等、負荷が作用する位置が変動しない使用条件下であっても、当該外輪2の負荷を受ける位置を、従来の2箇所からノックピン5の部分を除いた少なくとも3箇所にすることができる。このため、転がり軸受Aの使用回数を従来の2回から少なくとも3回にすることができる。即ち,軸受寿命を来よりもさらに延ばすことができる。
しかも、調心輪4を構成する一対の環状部材41,42を、相互に突き合わせたり引き離したりするだけで、外輪2を調心輪4に組み込んだり、調心輪4から取り外したりすることができるので、その着脱作業が容易となる。このため、分解点検等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
さらに、大形の調心輪4についても、容易且つ精度よく製造することができるので、当該大形の調心輪についても支障なく適用することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように、この発明の調心輪付きの転がり軸受によれば、上記調心輪を、軸方向の中央部において、軸線に直交する平面に沿って2分割しているので、調心輪に入れ溝を形成することなく、外輪を組み込むことができる。このため、調心輪の全周の何れの位置でも、負荷を支障なく受け止めることができる。従って、負荷が作用する位置が変動する使用条件下であっても、転がり軸受を支障なく使用することができる。
【0015】
また、負荷が作用する位置が変動しない使用条件下であっても、外輪の負荷を受ける位置を増やすことができるので、転がり軸受の使用回数を増して、その軸受寿命を効果的に延ばすことができる。
しかも、調心輪に対する外輪の着脱を容易に行うことができるので、分解点検等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
さらに、大形の調心輪についても、容易且つ精度よく製造することができるで、当該大形の調心輪についても支障なく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の調心輪付きの転がり軸受の一つの実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】調心輪を分解した状態を示す要部断面図である。
【図3】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 ころ(転動体)
4 調心輪
A 調心輪付きの転がり軸受

Claims (1)

  1. 内輪と、外周に球面部を有する外輪と、上記内輪と外輪との間に介在された軸方向二列の転動体と、上記外輪の球面部を調心可能に嵌合支持する調心輪とを備える、ロールの端部を支持する調心輪付きの転がり軸受において
    上記内輪は、その外周に鍔を有しておらず、かつ上記外輪は、その内周に鍔を前記軸方向二列の転動体のそれぞれ軸方向両側に有しており、
    上記調心輪を、軸方向の中央部で軸線に直交する平面に沿って2分割することで、前記軸方向二列の転動体が前記平面の軸方向一方側と軸方向他方側とにそれぞれ配設されており、かつ、
    上記外輪と調心輪とがノックピンにより相対回転が規制されていることを特徴とする調心輪付きの転がり軸受。
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