JP3974757B2 - 厚板鋼鈑の圧延方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小波を抑制しつつ厚板鋼鈑を圧延する方法に関するものである。なお厚板鋼鈑とは、厚さが4mm以上の鋼鈑を指すものとする。
【0002】
【従来の技術】
厚板鋼鈑の圧延においては、ワークロール出側における板反りが原因となって、小波と呼ばれる一定ピッチの凹凸が鋼鈑端部に発生することが知られている。この小波は後工程において矯正することが容易ではなく、製品の平坦度に悪影響を及ぼす。
【0003】
そこで従来から、異周速圧延と呼ばれる技術を用いて板反りを防止し、小波の抑制を図っている。異周速圧延とは、上下のワークロールの周速度に差を与えながら圧延する技術である。図1に概念的に示すように、異周速圧延における厚板の反り量は形状比γと呼ばれる値によって変化し、形状比γの小さい領域では下側ワークロールの周速を上側ワークロールの周速よりも大きくすると上反りとなり、形状比γの大きい領域では上側ワークロールの周速を下側ワークロールの周速よりも大きくすると上反りとなる。
【0004】
ここで形状比γとは、γ=(R*ΔH)1/2 ÷(平均肉厚)として定義される値である。ただし図2に示したように、Rは下側ワークロールの半径、ΔHは厚板の入側肉厚H1と出側肉厚H2との差、すなわち圧下量である。また平均肉厚は入側肉厚H1と出側肉厚H2との算術平均、すなわち(H1+H2)/2である。
【0005】
図1に示されるように、下ロール高速の曲線と上ロール高速の曲線とは形状比γが例えば1.6付近(この値は圧延装置により多少異なる)でクロスする。このため、パススケジュールから計算された形状比γがこのクロスポイントの何れの側に来るかによって、上側ワークロールと下側ワークロールの周速比を逆転させながら厚板鋼鈑の異周速圧延を行なうことにより、小波の原因となる板反りを制御して小波の発生を抑制することができる。
【0006】
しかし実際には、図1中に記載したようにこのクロスポイントの前後には制御効果が不安定となる領域(不安定領域)が存在する。この領域ではワークロールの周速比の影響よりも、厚板の上下面の温度差、ワークロールの表面状態等の他の要因の影響が大きくなるため、反りの方向や反り量を人為的にコントロールすることが困難となる。しかも工業的な厚板圧延のパススケジュールにおいては、その途中で形状比γがこの不安定領域に入ることを避けがたい場合がある。このため異周速圧延を行なっているにもかかわらず、厚板鋼鈑が反ることによる小波の発生を十分に防止することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、小波の発生を従来よりも抑制することができる厚板鋼鈑の圧延方法を提供するためになされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の厚板鋼鈑の圧延方法は、形状比γに応じて上側ワークロールと下側ワークロールの周速比を制御して厚板鋼鈑の異周速圧延を行なうとともに、制御効果が不安定となる領域(不安定領域)においては、ワークロールの回転数を4〜16rpmに落とした極低速圧延を行なうことを特徴とするものである。ここで形状比γとしては(R*ΔH)1/2 ÷(平均肉厚)の値(ただし、R:ロール半径、ΔH:入側肉厚−出側肉厚)を用いるものとする。形状比γが不安定領域よりも大きいときには下側ワークロールの周速を上側ワークロールの周速よりも大きくし、形状比γが不安定領域よりも小さいときには上側ワークロールの周速を下側ワークロールの周速よりも大きくして異周速圧延を行なうことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を示す。
図3は圧延機のシステム構成図であり、1は上側ワークロール、2は下側ワークロール、3,4はそれぞれのバックアップロールである。上側ワークロール1は上ミルモータ5により駆動され、下側ワークロール2は下ミルモータ6により駆動される。これらの上ミルモータ5及び下ミルモータ6は、主幹制御盤7からの回転数指令を受けている。主幹制御盤7は基本的に圧延プロコン8により制御されるが、運転室9から低速指令を与えることもできるように構成されている。
【0010】
加熱炉において1000〜1200℃程度に加熱されたスラブは、図3に示される圧延機によりリバース圧延を繰返し、目的とする肉厚とされる。図4はこのリバース圧延工程を模式的に示す線図であり、この例では厚さが245mmのスラブのリバース圧延を繰り返すことにより、最終板厚が4.5〜100mmの厚板鋼鈑を得る。
【0011】
図4に示すように、一般的なパススケジュールによると圧延の初期においては形状比γが十分に大きいため、主幹制御盤7から下側ワークロール2の周速を上側ワークロール1の周速よりも大きくする回転数指令を与え、異周速圧延を行なう。この段階においては厚板の反りを十分にコントロールすることができ、小波の発生が防止される。
【0012】
しかし板厚が次第に薄くなると形状比γが不安定領域に入り、異周速圧延による反りのコントロールが不可能となる。そこで本発明では形状比γが不安定領域に入ったとき、主幹制御盤7からの回転数指令により上側ワークロール1と下側ワークロール2を4〜16rpmに落とした極低速圧延を行なう。この極低速圧延は下ロール高速の異周速圧延と同時に行なうこともできる。
【0013】
一般にワークロールの回転数を極度に落とすと、ベアリングを損耗させるおそれがあるとされている。このため従来は安全を見込んで、ワークロールの回転数を20rpm以下に落とすことは稀であった。しかし本発明では、上記のように形状比が不安定領域に入ったときにワークロールの回転数を4〜16rpmという極低速にまで落として圧延を行なう。
【0014】
図5に示すように、ワークロールの回転数を低下させると小波高さは減少し、上記のようにワークロールの回転数を4〜16rpmにまで低下させると、不安定領域においても小波高さを1.5mm以下に抑制できることが確認された。図5のグラフから見ると小波高さを減少させるためにはワークロールの回転数はできるだけ小さい方が好ましいのであるが、図6に示すようにワークロールの回転数を落とすとベアリングが耐え得る圧延可重が次第に減少する。このため実用的な圧延機ではワークロールの回転数を4rpm以下とすることは困難である。またワークロールの回転数を16rpm以上とすると小波高さを抑制する効果が小さくなるため、本発明では4〜16rpmの範囲を選択した。
【0015】
このようにパススケジュール上、形状比γが不安定領域に入ったときには極低速圧延を行なうが、更に圧延が進行して形状比が不安定領域よりも小さくなったときには、図4に示すように周速比を逆転させ、上側ワークロール1の周速を下側ワークロール2の周速よりも大きくして異周速圧延を行なう。この状態においては再び厚板の反りを十分にコントロールすることができるようになり、小波の発生を防止することができる。
【0016】
上記したように、本発明は形状比γに応じて異周速圧延と極低速圧延とを切り替えることにより、従来から厚板圧延において不可避とされていた小波を減少させることに成功したものである。なお圧延条件は千差万別であり、リバース圧延のパススケジュール全体において形状比が不安定領域に入ることもあるが、その場合には全工程を極低速圧延とすることが好ましい。
【0017】
【実施例】
板厚が245mmのスラブを加熱炉で加熱し、圧延機入側で約850℃の熱間状態でリバース圧延を開始した。圧延初期においては上側ワークロールの周速/下側ワークロールの周速=9/10として下側ワークロール高速の異周速圧延を行ない、板厚が60mm以下となって形状比γが不安定領域に入ったときにはこの周速比を保ったまま、下側のワークロールの回転数を15rpmに落として極低速圧延を行なった。そして形状比γが不安定領域を脱したときには、上記の周速比を10/9に逆転させて上側ワークロール高速の異周速圧延を行ない、最終目的肉厚である28mmの厚板を得た。従来法では最終製品の小波高さの平均値は1.7mmであったが、本発明方法により異周速圧延を行なった結果、小波高さの平均値は0.8mmに減少した。
【0018】
また同様に最終目的肉厚が50mmの厚板を圧延した。この場合、従来法では最終製品の小波高さの平均値は1.9mmであったが、本発明方法により異周速圧延を行なった結果、小波高さの平均値は1.3mmに減少した。この小波高さの減少は数値的には小さいものであるが、製品品質の評価上においては非常に大きいものである。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の厚板鋼鈑の圧延方法は、形状比γに応じて異周速圧延と極低速圧延とを切り替えることにより、従来から厚板圧延において不可避とされていた小波を減少させることに成功したものであり、客先からの平坦度向上の要求に応えるうえで、効果の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異周速圧延における形状比γと厚板の反り量との関係を示すグラフである。
【図2】形状比の説明図である。
【図3】圧延機のシステム構成図である。
【図4】リバース圧延工程を模式的に示す線図である。
【図5】ワークロール回転数と小波高さとの関係を示すグラフである。
【図6】ワークロール回転数と許容される圧延可重との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 上側ワークロール
2 下側ワークロール
3 バックアップロール
4 バックアップロール
5 上ミルモータ
6 下ミルモータ
7 主幹制御盤
8 圧延プロコン
9 運転室
Claims (3)
- 形状比γに応じて上側ワークロールと下側ワークロールの周速比を制御して厚板鋼鈑の異周速圧延を行なうとともに、制御効果が不安定となる領域においては、ワークロールの回転数を4〜16rpmに落とした極低速圧延を行なうことを特徴とする厚板鋼鈑の圧延方法。
- 形状比γとして、(R*ΔH)1/2 ÷(平均肉厚)の値(ただし、R:ロール半径、ΔH:入側肉厚−出側肉厚)を用いる請求項1記載の厚板鋼鈑の圧延方法。
- 制御効果が不安定となる領域よりも形状比γが大きいときには下側ワークロールの周速を上側ワークロールの周速よりも大きくし、制御効果が不安定となる領域よりも形状比γが小さいときには上側ワークロールの周速を下側ワークロールの周速よりも大きくして異周速圧延を行なう請求項1記載の厚板鋼鈑の圧延方法。
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