JP3973494B2 - リジェネバーナおよびその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気経路の配管に取り付けられている排気用切替弁の腐食のためにリジェネバーナの運転に支障をきたすことを防止できるリジェネバーナおよびその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リジェネバーナはよく知られているように、炉内に向けて互いに相対向させて配置される一対で一組のバーナを複数組設備し、これらバーナにはそれぞれ蓄熱器を備え、一対のバーナの一方に燃料ガスと燃焼用空気を供給して燃焼を行わせると同時に、他方のバーナからは排ガスを吸引させ、この燃焼動作と吸引動作を各組の一対のバーナ相互で交互に行わせることにより、吸引動作時には蓄熱器で排ガスから排熱を回収し、燃焼動作時には蓄熱器で回収した排熱で燃焼用空気を加熱するようにして、これにより省エネルギ化を図っている。
【0003】
従来のリジェネバーナaにおける燃焼用空気や排ガス等のバーナbへの供給・排出系統を、図2を参照しつつバーナbの運転状態に従って説明すると、燃焼動作に際しては、燃焼用空気と燃料ガスがバーナbへ供給される。燃焼用空気は、他のバーナへも接続されている給気経路cの分岐部d上流側に設けた給気用電磁弁eを開くと、給気風量制御ベーンfで風量制御されつつ給気ブロアgによって給気経路c内に導入され、さらに分岐部d下流側に設けた各バーナbの給気用切替弁hを開くことにより、蓄熱器iを通過して加熱されつつバーナbへと供給される。燃料ガスは、他のバーナへも接続されている燃料供給経路jの分岐部k上流側に設けた燃料用電磁弁lを開くことで導入され、さらに分岐部k下流側に設けた各バーナbの燃料用切替弁mを開くことにより、バーナbのバーナノズルnへと供給される。燃料ガスとしては通常、コークス炉ガス(以下、COGという)、高炉ガスや転炉ガスにCOGを混合したガス(以下、Mガスという)などが使用される。この燃焼動作時には、排気経路oは各バーナbの排気用切替弁pによって閉じられている。
【0004】
他方、吸引動作に際しては、排ガスが炉から排出される。排ガスは、他のバーナへも接続されている排気経路oの分岐部q下流側の排気用電磁弁rを開いた状態で、分岐部q上流側に設けた各バーナの排気用切替弁pを開くことにより、蓄熱器iを通過して排熱回収されながら排気風量制御ベーンsで風量制御されつつ排気ブロアtによって炉から吸引される。この吸引動作に際しては、給気経路cおよび燃料供給経路jはそれらの切替弁h,mによって閉じられている。また、バーナbには、バーナノズルnに水や空気などの冷却媒体を流通させて冷却するために、冷却媒体供給系uおよび冷却媒体排出系vが接続されている。
【0005】
複数組のバーナbをコントロールするリジェネバーナaの代表的な制御方法は、負荷が100%〜30%程度まではすべてのバーナbを比例的にターンダウンさせる(火力を増減させる)「比例制御」を実行し、それ以下の負荷でのターンダウンについては、すべてのバーナbに対し、これらを適当な間合いで稼働させたり停止させたりする「時間比例ON−OFF制御」を実行し、さらに負荷が低下した場合には、全バーナbのうちのいくつかを停止状態とする「間引き制御」を実行する方法である。間引き制御の対象となった停止状態のバーナbでは、燃焼動作はもちろんのこと、吸引動作も停止され、このバーナbをコントロールする各切替弁m,h,pはすべて閉状態とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したCOGやMガス等の燃料ガスを燃焼させた後の排ガス中には、SO2が含まれる。このSO2は、排ガスの温度が酸露点(脱硫COG燃焼排ガスでは一般に、130℃〜140℃)以下に低下すると結露し、水分(H2O)と反応して硫酸(H2SO4)分を生じる。そして従来にあっては、排気経路oの配管に取り付けられている排気用切替弁pに、この硫酸による腐食が発生し、この排気用切替弁pの腐食のためにリジェネバーナaの運転に支障をきたすおそれがあるという課題があった。
【0007】
例えば、腐食のために排気用切替弁pの閉め切り性能が劣化し、これによって間引き制御時などに間引きの対象となったバーナbの排気経路oが適切に遮断されずリークを生ずると、排気ブロアtの吸引作用も手伝って当該バーナbの蓄熱器iの低温側が負圧状態となりやすく、これにより炉内の排ガスがバーナbから排気経路oへと流入し続けて蓄熱器i周辺を含む配管温度が過度に上昇し、この結果リミッターによって上限温度リミットが設定されている蓄熱器i低温側のオーバーヒートを引き起こして、当該バーナbが間引き制御対象から解除されて燃焼動作に移ったとたんにリミッターが作動してしまって、リジェネバーナaの運転を継続し得なくなることが想定される。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、排気経路の配管に取り付けられている排気用切替弁の腐食のためにリジェネバーナの運転に支障をきたすことを防止できるリジェネバーナおよびその運転方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるリジェネバーナは、SO2成分を含む排ガスが発生する炉内に向けて複数設置され、燃焼動作時には燃料供給経路から燃料ガスが供給されるとともに給気経路から燃焼用空気が供給され、吸引動作時には排気経路へ排ガスを排出するバーナと、これら燃料供給経路、給気経路および排気経路にそれぞれ、各バーナに対応させて設けられ、該バーナの燃焼動作と吸引動作とを切り換えるべく開閉される燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁とを備え、複数のバーナのうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁のすべてを閉じて停止状態とするリジェネバーナにおいて、各バーナとその排気用切替弁との間の上記排気経路に、流体を充填するための流体充填経路を接続するとともに、各排気用切替弁下流側の上記排気経路に、希釈用の流体を導入するための流体導入経路を接続したことを特徴とする。これにより、排気経路の配管に取り付けられている排気用切替弁の腐食のためにリジェネバーナの運転に支障をきたすことが防止されるとともに、排気用切替弁下流側からも排気用切替弁周囲の排気経路の内圧を高めて排気用切替弁からのリークを抑えることができ、オーバーヒートを抑制することができて、リジェネバーナの継続的な運転が保証される。
【0010】
また、前記流体充填経路には、充填用流体の流量を調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする。これにより、充填用流体を必要量だけ排気経路へ導入することが可能となる。
【0011】
さらに、前記流体充填経路が、各給気用切替弁上流側の前記給気経路に接続され、充填用流体として上記給気経路の燃焼用空気が導入されることを特徴とする。これにより、安価に設備できる。
【0012】
また、本発明にかかるリジェネバーナの運転方法は、SO2成分を含む排ガスが発生する炉内に向けて複数設置され、燃焼動作時には燃料供給経路から燃料ガスが供給されるとともに給気経路から燃焼用空気が供給され、吸引動作時には排気経路へ排ガスを排出するバーナと、これら燃料供給経路、給気経路および排気経路にそれぞれ、各バーナに対応させて設けられ、該バーナの燃焼動作と吸引動作とを切り換えるべく開閉される燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁とを備え、複数のバーナのうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁のすべてを閉じて停止状態とする運転が行われるリジェネバーナの運転方法において、バーナを停止状態にしたときに、停止したバーナとその排気用切替弁との間の上記排気経路へ流体を充填するとともに、停止したバーナの排気用切替弁下流側の上記排気経路へ希釈用の流体を導入するようにしたことを特徴とする。これにより、排気経路の配管に取り付けられている排気用切替弁の腐食のためにリジェネバーナの運転に支障をきたすことが防止されるとともに、排気用切替弁下流側からも排気用切替弁周囲の排気経路の内圧を高めて排気用切替弁からのリークを抑えることができ、オーバーヒートを抑制することができて、リジェネバーナの継続的な運転が保証される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるリジェネバーナおよびその運転方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1には、本発明にかかるリジェネバーナ1の好適な一実施形態が示されている。本実施形態のリジェネバーナ1における燃焼用空気や燃料ガス、排ガスの供給・排出系統の基本的な構成は、図2に示した従来技術とほぼ同様である。リジェネバーナ1は、炉内に向けて互いに相対向させて配置される一対で一組のバーナ2を複数組備える(図1には、一つのバーナ2が示されている)。
【0014】
これら複数組の複数のバーナ2には、これらへ一括して燃焼用空気を供給するための給気経路3と、炉内の排ガスをこれらから一括して排出するための排気経路4とが接続され、これら給気経路3および排気経路4にはこれらを各バーナ2に接続するために分岐部3a,4aが備えられる。また複数組の複数のバーナ2には、それらにそれぞれ設けられたバーナノズル5へ一括してCOGやMガスなどの燃料ガスを供給するための燃料供給経路6が接続され、この燃料供給経路6にもこれを各バーナに接続するための分岐部6aが備えられる。
【0015】
給気経路3には、その分岐部3aよりも燃焼用空気の流れ方向上流側に、給気経路3を開閉する開閉自在な給気用電磁弁7と、燃焼用空気の風量を制御する給気風量制御ベーン8と、燃焼用空気を給気経路3を介して各バーナ2へ圧送する給気ブロア9とが設けられる。同様に、排気経路4には、その分岐部4aよりも排ガスの流れ方向下流側に、排気経路4を開閉する開閉自在な排気用電磁弁10と、排ガスの風量を制御する排気風量制御ベーン11と、排ガスを排気経路4を介して炉内から吸引する排気ブロア12とが設けられる。また、燃料供給経路6には、その分岐部6aよりも燃料ガスの流れ方向上流側に、燃料供給経路6を開閉する開閉自在な燃料用電磁弁13が設けられる。
【0016】
さらに、給気経路3には、分岐部3aよりも下流側に、各バーナ2それぞれへの燃焼用空気の供給・停止を切り替える開閉自在な給気用切替弁14が設けられる。また、排気経路4には、分岐部4aよりも上流側に、各バーナ2それぞれからの排ガスの排出・停止を切り替える開閉自在な排気用切替弁15が設けられる。さらに、燃料供給経路6には、分岐部6aよりも下流側に、各バーナノズル5それぞれへの燃料ガスの供給・停止を切り替える開閉自在な燃料用切替弁16が設けられる。給気経路3と排気経路4とは、各バーナ2との接続位置前段で集合されて、一括してバーナ2に接続される。
【0017】
各バーナ2には、バーナノズル5と集合された給気経路3および排気経路4との間に配置されて、これを通過して炉内から排気経路4へと排出される排ガスから排熱を回収し、また給気経路3からこれを通過してバーナ2へと供給される燃焼用空気を、回収した排熱で加熱するための蓄熱器17が備えられる。さらに、各バーナ2には、それらのバーナノズル5に水や空気などの冷却媒体を流通させて冷却するために、冷却媒体供給系18および冷却媒体排出系19が接続される。
【0018】
そして、本実施形態にかかるリジェネバーナ1は基本的には、各バーナ2とその排気用切替弁15との間の排気経路4に、流体を充填するための流体充填経路22が接続される。また、流体充填経路22には、充填用流体の流量を調整する流量調整手段として充填流体量調整用コック23や絞りが設けられ、さらに好ましくは、流体充填経路22は、各給気用切替弁14上流側の給気経路3に接続され、充填用流体として給気経路3の燃焼用空気が導入される。
【0019】
図示例に従って詳述すると、排気経路4には、各バーナ2の排気用切替弁15よりも排ガスの流れ方向上流側であって、かつ蓄熱器17の低温側に、流体充填経路22の一端が接続され、この流体充填経路22の他端は、同じバーナ2の導入流体量調整用コック21よりも燃焼用空気の流れ方向上流位置で流体導入経路20に接続され、この流体導入経路20を介して給気経路3と接続されて、これにより給気ブロア9で圧送されている燃焼用空気が、排気用切替弁15と蓄熱器17との間に充填されるようになっている。また、充填流体量調整用コック23は、給気経路3から排気経路4への燃焼用空気の充填流量を調整するために開度調整可能に構成される。これにより、燃焼用空気を必要量だけ排気経路4へ導入することができる。
【0020】
また本実施形態にあっては、各バーナ2の排気用切替弁15下流側の排気経路4に、希釈用の流体を導入するための流体導入経路20が接続される。また、流体導入経路20には、希釈用流体の流量を調整する流量調整手段として導入流体量調整用コック21や絞りが設けられ、さらに好ましくは、流体導入経路20は、各給気用切替弁14上流側の給気経路3に接続され、希釈用流体として給気経路3の燃焼用空気が導入される。
【0021】
具体的には、排気経路4には、各バーナ2の排気用切替弁15よりも排ガスの流れ方向下流側であって、かつ分岐部4aの上流位置に、流体導入経路20の一端が接続され、この流体導入経路20の他端は、同じバーナ2の給気用切替弁14よりも燃焼用空気の流れ方向上流側であって、かつ分岐部3aの下流位置で給気経路3に接続され、これにより給気ブロア9で圧送されている燃焼用空気が、排気用切替弁15下流側の排気経路4へ導入されるようになっている。また、導入流体量調整用コック21は、給気経路3から排気経路4への燃焼用空気の導入流量を調整するために、開度調整可能に構成される。これにより、燃焼用空気を必要量だけ排気経路4へ導入することができる。
【0022】
さらに本実施形態にあっては、各バーナ2とその燃料用切替弁16との間の燃料供給経路6に、不活性ガスを導入するための導入経路24が接続される。導入経路24には、燃料供給経路6への不活性ガスの導入・停止を切り替える切替手段として不活性ガス用切替弁25が設けられる。この不活性ガス用切替弁25には、燃料用切替弁16、給気用切替弁14および排気用切替弁15のすべてが閉じられたことを検出して検出信号を出力する検出手段26が接続され、不活性ガス用切替弁25は検出手段26から検出信号が入力されることで燃料供給経路6へ不活性ガスを導入するようになっている。また、導入経路24には、不活性ガスの流量を調整する流量調整手段として不活性ガス導入量調整用コック27や絞りが設けられる。
【0023】
具体的には、燃料供給経路6には、各バーナ2の燃料用切替弁16よりも燃料ガスの流れ方向下流側であって、かつバーナノズル5の上流側に、導入経路24の一端が接続され、この導入経路24の他端に接続された図示されない不活性ガス供給源から、N2ガスなどの不活性ガスが燃料用切替弁16とバーナノズル5との間に導入されるようになっている。検出手段26は、通常のシーケンス制御もしくはコンピュータ制御で動作され、燃料用切替弁16、給気用切替弁14および排気用切替弁15の開閉状態を監視し、これら切替弁14〜16すべてが閉じられたときに検出信号を生成して、不活性ガス用切替弁25に出力する。これにより、不活性ガスの供給制御を自動化することができる。不活性ガス用切替弁25は、導入経路24を開閉するために開閉自在に構成され、検出手段26から上記検出信号が入力されたことに応じて導入経路24を開くようになっている。これにより、不活性ガスを必要なときに燃料供給経路6へ導入することができる。また、不活性ガス導入量調整用コック27は、不活性ガス供給源から燃料供給経路6への不活性ガスの導入流量を調整するために、開度調整可能に構成される。これにより、充填用流体を必要量だけ燃料供給経路6へ導入することができる。
【0024】
次に、本実施形態にかかるリジェネバーナ1の運転方法について説明する。リジェネバーナ1は上記従来技術で説明したように、負荷状態に応じて運転状態が切り換えられる。通常は複数組のすべてのバーナ2を稼働状態とし、燃料用切替弁16、給気用切替弁14および排気用切替弁15を開閉制御することにより、一対のバーナ2の一方に燃料ガスと燃焼用空気を供給して燃焼動作させると同時に、他方のバーナ2からは炉内の排ガスを吸引する吸引動作を行わせるようにし、この燃焼動作と吸引動作を各組一対のバーナ2相互で交互に択一的に行わせるようになっている。
【0025】
すなわち、リジェネバーナ1の運転に際しては、すべての電磁弁7,10,13を開くとともに給気ブロア9および排気ブロア12を駆動し、燃料供給経路6からバーナ2へ燃料ガスを供給するとともに、風量制御ベーン8で風量制御しつつ、給気経路3から燃焼用空気をバーナ2へ供給し、排気経路4から排ガスを排出する。この際、複数のバーナ2のうち、燃焼動作させるバーナ2では、その燃料用切替弁16および給気用切替弁14を開くとともに、排気用切替弁15を閉じ、また吸引動作させるバーナ2では、排気用切替弁15を開くとともに、燃料用切替弁16および給気用切替弁14を閉じる制御が実行され、蓄熱器17はバーナ2が吸引動作中であるか、燃焼動作中であるかに応じて、排ガスから排熱を回収したり、燃焼用空気を加熱する。
【0026】
他方、負荷が低下した場合などには、すべてのバーナ2を稼働状態とはせず、一部のバーナ2は、燃焼動作も吸引動作も行わない停止状態にする制御、例えば間引き制御が実行される。停止状態としたバーナ2では、それを制御する各切替弁14〜16がすべて閉じられ、これにより燃料ガスも燃焼用空気も供給されず、また排ガスの排出も停止される。このように複数のバーナ2のうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁16、給気用切替弁14および排気用切替弁15のすべてを閉じることにより停止状態としてリジェネバーナ1を運転する際、本実施形態では、停止したバーナ2とその排気用切替弁15との間の排気経路4へ流体充填経路22から、充填用流体として給気経路3の燃焼用空気を導入するようになっている。
【0027】
具体的には、充填流体量調整用コック23を開くと、その開き量に応じて、稼働状態にあるバーナ2に向かって燃焼用空気を圧送している給気ブロア9からの燃焼用空気を、閉じられた給気用切替弁14より上流の給気経路3から流体充填経路22を介して、閉じられている排気用切替弁15とバーナ2との間の排気通路4へと導入することができる。これにより、蓄熱器17と排気用切替弁15との間の排気通路4内圧力を上昇させることができ、たとえ腐食により排気用切替弁15の閉め切り性能が劣化してリークを生ずるようなことがあっても、このリークに伴う排気経路4の負圧化を防止でき、これにより排ガスの排気経路4への流入を抑制してそれに伴う蓄熱器17低温側のオーバーヒートを抑制することができて、リジェネバーナ1の継続的な運転を保証することができる。充填される燃焼用空気は排ガスの濃度を希釈することもでき、排ガスの酸露点を下げることができて排気用切替弁15の腐食を防止することも可能である。
【0028】
通常は充填流体量調整用コック23を閉じておき、蓄熱器17低温側でオーバーヒートが頻発するようになったら、徐々に開いて、燃焼用空気を充填すればよい。燃焼用空気の充填量としては主に、リークがあってもそれに抗して排気経路4内圧力が負圧ならない程度の必要最小量に設定すればよい。充填流体量調整用コック23は、上記検出手段26からの検出信号が入力されることに応じて自動的に適宜開度で開かれるように設定してもよい。
【0029】
また本実施形態にあっては、流体導入経路20を備えていて、停止したバーナ2の排気用切替弁15下流側の排気経路4へ流体導入経路20から、希釈用の流体として給気経路3の燃焼用空気を導入するようになっている。具体的には、導入流体量調整用コック21を開くと、その開き量に応じて、稼働状態にあるバーナ2に向かって燃焼用空気を圧送している給気ブロア9からの燃焼用空気を、閉じられた給気用切替弁14より上流の給気経路3から流体導入経路20を介して、閉じられている排気用切替弁15より下流の排気通路4へと導入することができる。
【0030】
従来、排気経路4の配管に、硫酸による腐食が発生するという課題があった。この腐食の発生については、いくつかの原因があり、例えばリジェネバーナ1の運転制御に関連して引き起こされる場合があった。具体的に説明すると、リジェネバーナ1の高負荷運転状態では、吸引動作により蓄熱器17を出た直後の排ガスの温度は通常200℃前後に設定されていて、腐食を生ずることのない十分に高い温度設定がなされている。しかしながら、低負荷状態になると、排ガス温度は低下し、排気経路4を流通している間に酸露点以下になってしまう場合がある。また特に、負荷の低下によりリジェネバーナ1を間引き制御に移行させた場合、間引き制御の対象となった停止状態のバーナ2の排気経路4では、排気用切替弁15が閉じられて吸引動作が停止され、排ガスの流通が停止される。この吸引動作の停止によって排気用切替弁15の下流側に滞留した排ガスの温度は次第に下がっていき、そして間引き時間が長引けば長引くほどその温度が低下して、酸露点以下になってしまう。また他方、例えば配管構造上、排気経路4の配管長さが長ければ長いほど排ガス温度の低下傾向は顕著になり、酸露点以下に下がってしまうおそれがあった。これらいずれの原因にあっても、排気経路4中の排ガス温度が酸露点以下に至ることで硫酸分を生じ、これにより配管に腐食が発生していた。
【0031】
COGやMガスを燃焼させることで発生する排ガスの酸露点は、その濃度を希釈することによって低下させることができ、本実施形態にあっては、排気経路4への燃焼用空気の導入による排気用切替弁15下流側における排ガス濃度の希釈化により、硫酸の生成を押さえることができ、排気経路4の配管が腐食することを防止することができる。従ってまた、排気用切替弁15の腐食も防ぐことができる。また、流体導入経路20を介して排気用切替弁15下流側に燃焼用空気を導入することにより、排気用切替弁15周囲の排気経路4の内圧を高めて排気用切替弁15からのリークを抑えることができ、この面からも蓄熱器17低温側でのオーバーヒートを抑制することができる。
【0032】
燃焼用空気の導入量としては、排ガスの酸露点を、排気経路4の配管内温度よりも下げることができる必要最小量に設定すればよい。また導入流体量調整用コック21は、上記検出手段26からの検出信号が入力されることに応じて自動的に適宜開度で開かれるように設定してもよい。
【0033】
上記流体導入経路20および流体充填経路22いずれにあっても、これらを給気経路3に接続して燃焼用空気により希釈や充填を行うようにしたので、別途独立に経路を設備する場合に比べて、安価に構成することができる。
【0034】
さらに本実施形態にあっては、導入経路24を備えていて、停止したバーナ2とその燃料用切替弁16との間の燃料供給経路6へ導入経路24から不活性ガス、例えばN2ガスを導入するようになっている。具体的には、検出手段26により各切替弁14〜16が閉じられてバーナ2の停止状態が検出されるとこれに応じて自動的に不活性ガス用切替弁25が開かれ、これにより不活性ガス導入量調整用コック27の開度に応じて、不活性ガスが不活性ガス供給源から導入経路24を介して、閉じられている燃料用切替弁16とバーナ2との間の燃料供給通路6へと導入される。
【0035】
従来、排ガスが燃料供給経路6へと侵入して、硫酸により燃料供給経路6の配管に腐食が発生するおそれがあった。そしてこの腐食の原因となる排ガスの燃料供給経路6への侵入が、リジェネバーナ1の運転制御に関連して引き起こされる場合があった。例えば、負荷の低下によりリジェネバーナ1を間引き制御に移行させた場合、間引き制御の対象となったバーナ2の燃料用切替弁16が閉じられるが、この閉止された燃料用切替弁16とバーナ2との間の燃料供給経路6に、炉内に晒されているバーナノズル5から炉内の排ガスが侵入して拡散する。このバーナノズル5は上述したように冷却されるため、この冷却によってバーナノズル5と燃料用切替弁16との間の配管部分に拡散した排ガスはその温度が酸露点以下に低下し、この結果バーナノズル5やその周辺の配管、燃料用切替弁16などに腐食を生じさせてしまう。燃料用切替弁16が腐食するとその閉め切り性能が劣化して、リジェネバーナ1の切替動作不良を引き起こしやすくなる。そしてこの燃料供給経路6の腐食の問題は特に、バーナノズル5の口径が大きい場合に顕著であった。バーナノズル5の口径は、発熱量が小さく燃焼に大流量を要する燃料、例えば上記COGやMガスなどを使用する場合、また、鉄鋼加熱炉用など燃料流量として600万kcal/hにも達する場合などに、大きく設計される。そしてこのような大口径のバーナノズル5では排ガスが侵入して拡散しやすく、上記問題が起こる可能性が高かった。
【0036】
本実施形態にあっては、バーナ2と燃料用切替弁16との間の燃料供給経路6へ不活性ガスを導入することができるので、排ガスがバーナノズル5から侵入するのを抑制できるとともに、当該不活性ガスによって燃料供給経路6内の排ガスの濃度を希釈してその酸露点を下げることができ、バーナノズル5やその周辺の配管、燃料用切替弁16などが腐食することを防止することができる。また、不活性ガスを燃料供給経路6へ導入するようにしたので、安全性を確保することができる。不活性ガスの導入量もしくは導入速度としては、排ガスの酸露点を、燃料供給経路6の配管内温度よりも下げることができる程度、もしくはバーナノズル5からの排ガスの侵入速度を超える程度に設定すればよい。
【0037】
上記実施形態にあっては、流体導入経路20および流体充填経路22を給気経路3に接続する場合を例にとって説明したが、これに限定されることはなく、また使用流体も燃焼用空気に限られるものではなくて、独立に経路を設け、また流体として外気などを導入するようにしてもよいことはもちろんである。また、不活性ガス導入量調整用コック27は、不活性ガス用切替弁25によって不活性ガスの供給・停止を切り替えることができるので、必須の要素ではなく、必要に応じて備えればよい。
【0038】
さらに、上記実施形態で説明した導入流体量調整用コック21、充填流体量調整用コック23および不活性ガス用切替弁25は排気経路4および燃料供給経路6の状況に応じて、択一的に開いても、あるいはいずれか2つ、さらにはすべてを同時に開くようにしてもよく、これら導入流体量調整用コック21、充填流体量調整用コック23および不活性ガス用切替弁25の開閉操作の連携や不活性ガス導入量調整用コック27の調整による燃焼用空気の排気経路4への導入や充填、不活性ガスの燃料供給経路6への導入によって配管各部の腐食や各切替弁14〜16の性能劣化などを効果的に防ぐことができ、これによりリジェネバーナ1の適正な稼働を保証することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかるリジェネバーナおよびその運転方法にあっては、排気経路の配管に取り付けられている排気用切替弁の腐食のためにリジェネバーナの運転に支障をきたすことを防止することができるとともに、排気用切替弁下流側からも排気用切替弁周囲の排気経路の内圧を高めて排気用切替弁からのリークを抑えることができ、オーバーヒートを抑制することができて、リジェネバーナの継続的な運転を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるリジェネバーナの好適な一実施形態を示す系統図である。
【図2】 従来のリジェネバーナを示す系統図である。
【符号の説明】
1 リジェネバーナ
2 バーナ
3 給気経路
4 排気経路
6 燃料供給経路
14 給気用切替弁
15 排気用切替弁
16 燃料用切替弁
22 流体充填経路
23 充填流体量調整用コック
Claims (4)
- SO2成分を含む排ガスが発生する炉内に向けて複数設置され、燃焼動作時には燃料供給経路から燃料ガスが供給されるとともに給気経路から燃焼用空気が供給され、吸引動作時には排気経路へ排ガスを排出するバーナと、これら燃料供給経路、給気経路および排気経路にそれぞれ、各バーナに対応させて設けられ、該バーナの燃焼動作と吸引動作とを切り換えるべく開閉される燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁とを備え、複数のバーナのうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁のすべてを閉じて停止状態とするリジェネバーナにおいて、各バーナとその排気用切替弁との間の上記排気経路に、流体を充填するための流体充填経路を接続するとともに、各排気用切替弁下流側の上記排気経路に、希釈用の流体を導入するための流体導入経路を接続したことを特徴とするリジェネバーナ。
- 前記流体充填経路には、充填用流体の流量を調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排気経路に充填用流体を充填する経路を接続したリジェネバーナ。
- 前記流体充填経路が、各給気用切替弁上流側の前記給気経路に接続され、充填用流体として上記給気経路の燃焼用空気が導入されることを特徴とする請求項1または2に記載の排気経路に充填用流体を充填する経路を接続したリジェネバーナ。
- SO2成分を含む排ガスが発生する炉内に向けて複数設置され、燃焼動作時には燃料供給経路から燃料ガスが供給されるとともに給気経路から燃焼用空気が供給され、吸引動作時には排気経路へ排ガスを排出するバーナと、これら燃料供給経路、給気経路および排気経路にそれぞれ、各バーナに対応させて設けられ、該バーナの燃焼動作と吸引動作とを切り換えるべく開閉される燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁とを備え、複数のバーナのうち、一部は稼働状態としながら、残りは、その燃料用切替弁、給気用切替弁および排気用切替弁のすべてを閉じて停止状態とする運転が行われるリジェネバーナの運転方法において、バーナを停止状態にしたときに、停止したバーナとその排気用切替弁との間の上記排気経路へ流体を充填するとともに、停止したバーナの排気用切替弁下流側の上記排気経路へ希釈用の流体を導入するようにしたことを特徴とするリジェネバーナの運転方法。
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