JP3973391B2 - 加湿装置及びこれを備えた電気暖房機器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水を気化させて加湿する加湿装置と、これを搭載した電気暖房機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和機としての加湿装置は、例えば特開平8−136017号公報に記載されているものが知られている。この加湿装置は、自然蒸発式加湿装置の下流側に、加湿された通過空気流を加熱する電気ヒータや補助熱交換器からなる加熱手段が配置され、この加熱手段の下流側に通過空気流の出口温度を検知する出口温度検知手段が配置され、この出口温度検知手段の出力に基づいて加熱手段の加熱量を制御するようにしている。
【0003】
また、別の加湿装置として、実開昭58−148520号公報に記載されたものは、モータ及びその回転軸に羽根とテーパ形状の吸水管を取り付け、水槽部の水を吸水管の多数個の穴から加湿フィルターに向けて飛散させ、この水で濡れた加湿フィルターに乾燥空気を通過させ、加湿効果を得るようにしている。
【0004】
さらに、実開昭63−134326号公報に記載された冷風扇では、加湿フィルターに脱臭剤を含有させ、貯水タンク内の水や送風空気の脱臭を行なうようにしている。
【0005】
また、本出願人は、事務所や会議室などの換気の少ない密閉化された部屋では、部屋内の人が多いと、呼吸により排出される二酸化炭素やたばこの煙、ホコリなどの空気汚染物質が増加するため、人間をリラックスさせる効能を有するマイナスイオンと、マイナスイオンのみの発生では除去できない空気中の浮遊細菌を積極的に除去するプラスイオンとを発生させるイオン発生装置が搭載された空気清浄機を提案し、実用化している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、脱臭、除菌効果を上げるために、加湿フィルターやこれに水を供給する貯水タンクに脱臭や除菌効果を有する薬剤を保有させる場合には、特別な薬剤を買い求める必要があり、取扱いにくいという問題を有している。
【0007】
また、自然蒸発式加湿装置を搭載した電気暖房機器において、加湿空気流を加熱する電気ヒータは、極力使用せずに加湿運転をするのが消費電力の低減の意味からも好ましいが、この加湿用の電気ヒータを暖房用の空気流を加熱する電気ヒータと併用して運転したときに、電気ヒータの消費電力に限度があり、中途半端な能力しか発揮できないといった問題があった。
【0008】
この問題は、水分を含んだ加湿フィルターに空気を当てて気化させることで電気ヒータの消費電力を抑え、上記問題を解決することができるが、加湿フィルターに空気を通過させて気化するときに、加湿フィルターの空気の通過密度がバラツキ、加湿量が安定しないといった問題があった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、加湿機能を充分発揮し得る加湿装置及びこれを搭載した電気暖房機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、本体より取出し自在な水タンクと、該水タンクの水を一時的に貯める水受けタンク部を有する加湿トレーと、水で気化して加湿する加湿フィルターと、前記加湿トレーの上方において前記加湿フィルターを収納し、送風手段から吸込んだ空気を前記加湿フィルターを介して本体の吹出口に案内する加湿トレーカバーと、前記水受けタンク部の一側に配設され、水受けタンク部に溜まった水を加湿フィルターに送る汲み上げポンプと、該汲み上げポンプにより汲み上げて加湿フィルターの上方から散水する散水手段とを備え、前記加湿トレーカバーの底面に、加湿フィルターで気化しなかった水を前記水受けタンク部に戻す通路を形成する穴を有し、該穴は、加湿トレーカバーの底面において、前記ポンプの配設位置と反対側の加湿トレーカバー側壁近傍に形成されたことを特徴とする。
【0015】
この構成によると、加湿トレーカバーから水受けタンク部に落下する水に気泡が混入しても、水受けタンク部においてポンプと反対側から落水するため、ポンプがエア噛みなどを起こして異常音を発生するのを防止することができる。
【0016】
上記加湿装置は夫々単独の機器として使用することもできるが、この加湿装置を搭載した電気暖房機器に使用した場合、暖房と加湿機能の併用運転をしても能力が充分発揮し得ることになる。すなわち、本発明では、上記加湿装置と、通過空気を加熱する加熱体、及びこの加熱体に空気を送る送風手段からなる暖房装置とを備えたことを特徴とする加湿機能付き電気暖房機器も提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る加湿装置を搭載した電気暖房機器の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は加湿装置を搭載した電気暖房機の正面側の概略斜視図、図2は同じく正面側の概略分解斜視図、図3は同じく電気暖房器の背面側の概略斜視図、図4は同じく電気暖房器の背面側から機器本体に収納する加湿装置の概略分解斜視図である。図5は電気暖房機の側面からみた空気の流れを示す概略構成図、図6は電気暖房機の正面からみた空気の流れを示す概略構成図である。
【0019】
図1ないし図6において、1は機器本体、2はタンクカバー、3は吹出口、4は水タンク、5は把手、6は空気フィルター、7は加湿トレー、8は加湿トレーカバー、9は加湿フィルター体、10は加湿トレー収納部である。
【0020】
機器本体1は、図1から図4に示すように、箱型形状に形成され、その背面上部に形成された把手5によって持ち運び可能とされている。機器本体1の前面下部には、加温あるいは加湿された空気を機器外に放出さするための吹出口3が形成され、その上方には水タンク4を収納する貯水タンク収納部1aが形成され、水タンク4は前面のタンクカバー2により着脱自在に収納できるようになっている。
【0021】
機器本体1の背面側では、図3〜図5に示すように、上部に空気吸込口31が形成され、この吸込口31には空気フィルター6が取り付けられている。機器本体1の背面下部には加湿トレー収納部10が凹設されており、この収納部10に、加湿トレー7、加湿トレーカバー8および加湿フィルター体9を含む加湿部Cが着脱自在に収納できるようになっている。
【0022】
機器本体1の内部には、図5及び図6に示すように、背面の空気吸込口31から前面の吹出口3に至る空気通路17,18,22が形成され、この通路に加湿フィルター32を保持する加湿フィルター体9と、通過空気を加熱する加熱体としてのセラミックヒータ12と、これら加湿フィルター体9やセラミックヒータ12に空気を送る送風手段としての送風機30と、プラスイオンとマイナスイオンとを発生させるイオン発生装置19とが配置されている。
【0023】
すなわち、本実施形態の電気暖房機器は、水タンク4や加湿フィルター32を具備する加湿装置Aと、通過空気を加熱する加熱体12及び加熱体12に空気を送る送風機30を備えた暖房装置Bと、プラスイオンとマイナスイオンとを発生させるイオン発生装置19とが主要機能部品となっており、暖房装置Bの加熱体12及び送風機30を加湿装置Aを運転するときに駆動させるようにしている。
【0024】
吹出口3は、図6に示すように、イオン発生装置19からのイオンを含んだ空気を吹き出す副吹出口21と、加湿フィルター体9やセラミックヒータ12を通過した空気を吹き出す主吹出口20とを備え、主吹出口20は吹出口3の左右方向でほぼ全幅近く形成され、副吹出口21は主吹出口20の端側に並設されている。
【0025】
機器本体1内に形成された空気の経路は、図5および図6に示すように、送風機30により機器本体1の吸込口31から吸込んだ空気をセラミックヒータ12で加温して、そのまま主吹出□20より放出されて室内を暖房する第1通路17と、吸込口31から吸込んだ空気をセラミックヒータ12を経由して加湿フィルター体9に送られ、加湿フィルター体9に吸込まれている水分を前記乾燥した空気又は加温した空気で離脱させて、水分を含んだ空気として主吹出口20より放出され、室内を加湿する第2通路18と、送風機30で吸込んだ空気をセラミックヒータ12を通らず、イオン発生装置19を通して副吹出口21より放出されて室内の浮遊細菌を除去する第3の通路22との3通路からなり、吹出□3では3通路を一つにした形状としている。
【0026】
送風機30は、図5および図6に示すように、機器本体1に回転自在に支持された円筒形のフアン14と、このファン14を回転させるファンモータ15とから構成されている。そして、ファン14の回転により、室内の空気を吸込口31から吸込み、セラミックヒータ12を介して、そのまま主吹出口20より吹出すか、加湿フィルター体9を通して主吹出口20から加湿空気を放出するか、または吸込んだ空気をイオン発生装置19を通して副吹出口21から放出ようにしている。この送風機30は、加湿を多量に発生させるときに風量を多くし、加湿を少量にするときに風量を少なくするようファンモータ15の回転数が制御される。
【0027】
セラミックヒータ12は、送風機30の下流側に配設された正特性を持つヒータであって、暖房、加湿装置の運転時に駆動させる。セラミックヒータ12は、加湿装置の運転時には極力使用せず、加湿の立上がりを早めたいときや加湿を多量に発生するときに駆動させるよう制御される。
【0028】
加湿装置Aは、図4および図5に示すように、本体1より取出し自在な水タンク4と、水タンク4の水を一時的に貯める水受けタンク部35を備えた加湿トレー7と、加湿フィルター体9を収納し送風機30から吸込んだ空気を吹出口3に案内する加湿トレーカバー8と、吸水性のある加湿フィルター32を含む加湿フィルター体9と、加湿フィルター32に水受けタンク部35の水を散水する散水手段Dとを備え、加湿トレー7の水受けタンク部35と水タンク4とにより水を一時的にためる貯水タンクが構成されている。
【0029】
水タンク4は、機器本体1の前面に設けられたタンク収納部1aに収納され、機器本体1の前面タンクカバー2の着脱操作によって取外し自在で給水ができるようになっている。この水タンク4は、略直方体形状のタンク本体4aと、その底面の左側から下方に延長された延長管4bとが一体的に成形されたものであって、機器本体1への収納状態で、延長管4bは、収納部1aの穴1bを貫通して下方にある加湿トレー7の水受けタンク部35にまで達する長さに設定されている。
【0030】
延長管4bの下端にある給水口にはタンクキャップ24が螺子締めされ、タンクキャップ24を取り外して給水口から水タンク4内に給水することができる。タンクキャップ24には、図8(a)に示すように、弁機構40が設けられている。この弁機構40は、弁体41、ゴム状の弁シート42及び弁スプリング43から構成されている。
【0031】
弁体41は、図8(a)(b)に示すように、その一方の端に円板状の受け部41aが一体的に形成されており、他方の端(すなわち水タンク4側)にはゴム状の弁シート42がわずかに上方向に向かって凸形になるように取付けられている。また、タンクキャップ24の開口には、弁体41をその長手方向に往復移動しうるように、弁体41を四方から所定の隙間をあけて支持するリング状の座受け部24aおよびリブ24bが設けられている。弁スプリング43は、この座受け部24aと前記弁体41の受け部41aとの間に介在され、タンクキャップ24の開口44を弁シート42で塞がれる方向に付勢するようにしている。
【0032】
このため、水受けタンク部35内の受け部8aで水タンク4の弁機構40を押さない限り、水タンク4内は弁機構40によって密閉状態が保持され、水タンク4から水が漏れることがない。弁機構40を開閉する受け部8aは、後述するように、弁機構40に対向して水受けタンク部35に収納される加湿トレーカバー8の端部から上方に突出形成されている。
【0033】
そして、水タンク4が取付けられると、弁体41が受け部8aに押されて上方に移動し、弁機構40の弁スプリング43が縮んだ状態になり、弁機構40が開いて水タンク4内の水Wが落差によりトレーカバー8の端部から水受けタンク部35内に供給される。これにより、水受けタンク部35内の水位がタンクキャップ24の先端位置で一定に保持される。
【0034】
次に、機器本体1の背面にある収納部10から取り外し自在な加湿部Cの構成について説明する。加湿部Cは、図4に示すように、水受けタンク部35を兼ねる加湿トレー7と、加湿フィルター体9を装着し空気の通路を形成する加湿トレーカバー8と、散水手段Dにより上方より供給された水をフィルター32に吸着して気化させる加湿フィルター体9とから構成されている。
【0035】
加湿トレー7は、図9に示すように、上面が開放した箱形形状に形成され、その底面の略中央部に加湿トレーカバー8の底面を受ける凸状の受け部7aが形成され、その周囲に形成された凹溝7bによって水受けタンク部35が構成されている。
【0036】
この水受けタンク部35は、水タンク4の水を一時的にためるタンクの役割をし、その凹溝左側には水位レベルを検知する近接スイッチを利用した水位スイッチ34が配設され、凹溝右側には水受けタンク部35に溜まった水を加湿フィルター体9に送るマグネット分離タイプの汲み上げポンプ11が配設されている。ポンプ11は、加湿フィルター体9の上方部にある加湿ボックス29に水を送るためのもので、設定された湿度に応じて送水する量が制御される。
【0037】
加湿トレーカバー8は、図10に示すように、上面が開放した箱形形状とされ、セラミックヒータ12で加温された空気を吹出口3に導く空気通路の一部を構成するようになっている。このトレーカバー8は、その内部底壁の略中央部に加湿フィルター体9を装着する収納部8aが凹状に形成され、また、左右の側壁の上辺には加湿フィルター体9を受ける切欠穴8cが形成され、さらに、側壁内側には加湿フィルター体9を下方に挿入するときのガイド用のリブ8dが加湿フィルター体9の前後に位置するように形成されている。
【0038】
加湿トレーカバー8の前壁には主吹出口20が横長の長方形状に形成されている。この加湿トレーカバー8に加湿フィルター体9を装着した状態では、加湿トレーカバー8の上方開口が加湿フィルター体9によって分離される。すなわち、セラミックヒータ12を通過した空気の通路は、加湿フィルター体9を通過しない第1の通路17と、加湿フィルター体9を通過する第2の通路18とに分離される。
【0039】
加湿トレーカバー8の上方開口の通路断面積は、図7に示すように、加湿フィルター体9を通過する第2の通路18の断面積Fの方は、加湿フィルター9を通過しない第1の通路17の断面積Eより大きく設定されている。これは、加湿フィルター体9を通過する第2の通路18を大きくし、加湿運転時に風量を多く流して加湿フィルター体9の水分の気化量を多くさせるのと、暖房運転時に加湿フィルター体9が空気の流れの抵抗になるので、その抵抗分を考えて空気の流れの面積を大きくしたいとの要求からである。
【0040】
また、加湿トレーカバー8の空気の通路において、図7に示すように、前壁は加湿フィルター体9を通った空気を主吹出口20へ流れ易くするために底面から上方に向かってR形状に形成され、また後壁は上方よりの空気を加湿フィルター9へ流れ易くするために底面に向かってR形状に形成されている。
【0041】
この加湿トレーカバー8の底面には、図10に示すように、加湿フィルター体9の下方において左側壁面近傍(接続管13と反対側)に角穴8eが形成され、加湿フィルター体9で気化しなかった水を加湿トレー7の水受けタンク部35に戻す通路となっている。加湿トレーカバー8の角穴形成位置を接続管13と反対側、つまりポンプ11の配設位置と反対側の側壁近傍に設定したのは、角穴8eから水受けタンク部35に落下した水に気泡が混入し、この気泡がポンプ11に吸込まれてエア噛みを起こして異常音を発生するのを防止するためである。
【0042】
加湿トレーカバー8の外壁の左側には、水タンク4の延長管4bを嵌合支持する支持部8fが形成されている。この支持部8fは、加湿トレー7の水受けタンク部35に収納可能な形状とされ、上面には水タンク4のタンクキャップ24を嵌合支持する円形の凹部が形成され、その底面の中央部に上方に向かって針状の受け部8bが突出形成されている。
【0043】
加湿トレーカバー8の外壁の右側には、図10に示すように、加湿フィルター体9とポンプ11とを連通する接続管13が螺子で装着されている。接続管13は、係止めを備えた管13cの上下に、ポンプ11と加湿フィルター9に接続するポンプ継手13a及びフィルター継手13bが設けられている。ポンプ継手13aおよびフィルター継手13bはゴム製で相手側の挿入部分より僅かに小さい寸法形状に設定されている。前記散水手段Dは、上記の接続管13、汲み上げポンプ11、および後述の加湿ボックス29から構成される。
【0044】
前記加湿フィルター体9は、図11〜図15に示すように、加湿フィルター32と、加湿フィルター32を装着保持する枠体36と、枠体36の上方で水を下方に分配する加湿ボックス29とから構成されている。
【0045】
加湿フィルター32は、吸水性のある所定厚みの不織布が上方からみてW字状に連続して折り曲げられてジグザグ状に形成されたものであって、空気を折曲面に向かって吹き付けてフィルター32に吸着した水分を気化させるようにしている。
【0046】
このフィルター32の上部後側にはフィルター32を枠体36に係合保持するために左右方向に棒材39が貫通されている。この棒材39は、フィルター32の後側上部における折曲部32a同士の間隔を所定間隔に維持する機能も発揮している。
【0047】
枠体36は、図15に示すように、前後方向及び上方向を開放させた横長タイプの直方体の箱形状をなし、左右の側面および底面は閉塞面とされ、後側開放面と対向する前側面では、上下左右に差し渡された骨材36f、36gが交差して格子状の開放面が形成されている。
【0048】
この格子状の開放面において、図15に示すように、上下の略中心線状の骨材36gに横方向に一列に内側に向かって断面を略二等辺三角形とした複数の保持爪36aが等間隔に突出形成され、この保持爪36aにより、加湿フィルター32の前側において、そのジグザグ形状を略等分に保持する保持手段が構成されている。つまり、一対の保持爪36a間で前記フィルター32の折曲部32aが挟持され、フィルター32の折曲部32a間の距離が左右全幅で均一化されるようになっている。
【0049】
この各保持爪36aの長さは、フィルター32の前後方向幅の約半分の長さに設定されている。また、横方向の骨材36gの中央部には仕切板36hがフィルター32の折曲部32a間に介在するように固定され、骨材の剛性を確保するようにしている。
【0050】
なお、本実施形態では、一対の保持爪36aをフィルター前面側の各折曲部32aを挟持できる複数組の保持爪を設けたが、これに限らず、一つ置き、二つ置きの折曲部を保持するなど、種々の態様も採用可能である。
【0051】
枠体36の左右側壁の内側上方部には、後側の開放面に対して開放するU字壁により前記フィルター32の棒材39を収納する細溝36bが形成されている。また、枠体36の底面の後辺にはフィルター32の位置決め用のストッパ片36cが左右2箇所に間隔をおいて上方に突出形成されている。このストッパ片36cと前記細溝36bに収納される棒材39とにより、加湿フィルター32の後側において、そのジグザグ形状を略等分に保持する保持手段が構成されている。
【0052】
また、枠体36の左右側壁の上縁には、左右方向で内側に突出するL状のレール36dが形成され、このレール36dに沿って加湿ボックス29が装着されて一体化されるようになっている。
【0053】
加湿ボックス29は、図4及び図11〜図13に示すように、ボックス本体38及び蓋37で構成されている。ボックス本体38は、上面が開放された外側周囲に外壁38iが形成された横長の箱形形状をなし、さらに、その内側に四方を囲む内側周壁38jが形成され、その内側周壁38jの内側底面部にフィルター32に水を散水する散水穴33が前後に2列で左右方向に間隔をおいて複数個形成されている。左右方向の散水穴33同士はさらに仕切壁38bにより仕切られている。
【0054】
外側周壁38iと内側周壁38jとの間には、前側および左右を互いに連通する周溝38cが形成され、その右側溝部には、加湿トレーカバー8の接続管13と連通接続される水入口38aが形成され、水入口38aから入った水が周溝に沿って前側から左側まで流れるようになっている。各散水穴33への水の供給は内側周壁38jの前壁及び左壁に形成されたV字状の切欠穴38eから行われる。
【0055】
外側周壁38iと内側周壁38jの間で、後壁側にはオーバーフロー水を回収する回収溝38dが形成され、この溝を形成する内側周壁38jが前壁よりも一段と低く設定され、後ろ側の回収溝38dに流れるようにされている。さらに、回収溝38dを構成する外側周壁38iの上縁にはオーバーした水をタンクカバー8から水受けタンク部35に戻すための角穴38fが形成されている。
【0056】
各散水穴33の大きさは、空気がフィルター32に入る側(後側)が大きく、また、左右方向ではポンプ11で送られてきた入口38aより遠い方が大きくなるように設定されている。
【0057】
ボックス本体38の底面の外側3方向に外側に向けて開放したコ字状の溝38gが形成され、この溝38gが枠体36のレール36dに嵌合することにより、枠体36と加湿ボックス本体38とが一体化される。蓋37は、その裏面にボックス本体38の壁に対向したリブ(図示せず)が形成され、蓋37をボックス本体38に取り付けると、リブと壁とにより散水用の部屋が個々に形成され、各部屋ごとに前後2列の散水穴33が位置するようになっている。
【0058】
上記構成の加湿フィルター体9の組立の手順は、まず、ジグザグ状に折曲加工加工されたフィルター32の上方の角穴に棒材39を通し、これを枠体36の開放面から棒材39を枠体36の溝部36bに挿入しながらフィルター32の折曲部を枠体36の保持爪に挿入し、格子面までしっかりと挿入する。次に、フィルター32の後端面をストッパー片36cの内側に入れる。次いで、フィルター32を装着した枠体36のレール36dを加湿ボックス29のボックス本体38の溝38gに収めると、加湿フィルター体9が完成される。
【0059】
加湿部の組立は、加湿トレー7の右側の所定の位置にポンプ11を装着した状態で、接続管13が固定された状態の加湿トレーカバー8を上方から挿入すると、接続管13のポンプ継手13bとポンプ11が接続される。次いで、上述のように組み立てた加湿フィルター体9を加湿トレーカバー8の所定の位置に挿入すると、加湿フィルター体9の加湿ボックス本体38のボックス入口38aと、接続管13の加湿継手13aとが接続され、水受けタンク部35のポンプ11から加湿ボックス29への汲み上げ通路が連通接続される。
【0060】
また、加湿部Cのメンテナンスは、機器本体1から水タンク4を取出した後、本体背面の収納部10から加湿フィルター体9、加湿トレーカバー8を加湿トレー7に装着された状態で引き出して行う。この際、加湿フィルター体9のメンテナンスや、加湿トレーカバー8あるいは加湿トレー7の水垢の清掃もできるようになる。
【0061】
上記加湿装置Aの水の流路は、取り外し自在な水タンク4の水がタンクキャップ24の弁機構40を介して加湿トレー7の水受けタンク部35に一時的に貯められる。水受けタンク部35に設けられたポンプ11により水受けタンク部35内の水が加湿ボックス29に送られ、加湿ボックス29に設けられている複数の散水穴33からフィルター32の上方部に散水され、フィルター32の素材に吸水される。このフィルター32で気化されずに下方に落下した水は、加湿フィルター体9の下方部の水受けタンク部35に戻されるようになる。
【0062】
次に、イオン発生装置19の構成について説明する。イオン発生装置19は、図16〜図19に示すように、イオン発生素子28、ケース27、及び駆動回路や接続端子を搭載した基板(図示せず)から構成されている。イオン発生素子28は、約15mm×37mm×0.9mmの誘電体46の内部に誘電体上面に平行に約6mm×24mmの誘導電極44が埋設され、誘電体上面における両短辺のそれぞれの中心を結ぶ中央線上に約10.4mm×28mmの格子状の放電電極45が設けられたものである。
【0063】
誘電体46の素材は、有機物としては、ポリイミド、ガラスエポキシとして用いるエポキシ等の樹脂が使用でき、無機物としては、高アルミナ、結晶化ガラス、フオルステライト、ステアタイト等のセラミツクを使用することができる。誘電体46には、耐熱性及び強度が要求されるので、セラミツクを誘電体46として用いる。具体的にはアルミナ材が好適に使用される。
【0064】
放電電極45及び誘導電極44の材料としては、特に制限がなく通常用いられるものを使用することができるが、誘電体46は、セラミツク製で焼成工程が必要となるので、特にタングステン叉はモリブデン等の高融点の金属を用いるのがよい。放電電極45と誘導電極44の位置関係は、放電電極45が誘導電極44よりも外側に配された関係となっている。
【0065】
図示しない基板には、駆動回路を構成する昇圧コイル、コンデンサ、サーミスタなどと、イオン発生素子28のリード線接続部と、制御回路用接続端子が搭載されコイルの上方に相当する部分に穴が形成されている。
【0066】
ケース27は、コイルや基板を内装するケース本体25と、イオン発生素子28を装着するケースカバー26とから構成されている。ケース本体25は、箱状で一方が開口状態の形状となっており、側面には制御回路用接続端子が複数個形成され、その端子ピッチが異なるように設定されている。
【0067】
イオン発生装置19の組立手順は、ケース本体25の所定の位置にコイルの脚を上方向に挿入し、コイルの上から絶縁性が高いエポキシ樹脂を気泡が入らないように充填して自然乾燥させて固める。更に、コイルの脚に基板のコイル穴を合わせて挿入し、ケース本体25の段付部まで挿入し、コイルの脚と基板のパターン部とを溶着する。
【0068】
さらに、イオン発生素子28をケースカバー26の凹部に取付け、ケース本体25に嵌着する。そして、ウレタン樹脂を基板とケースカバー26との空間に充填し、自然乾燥させると、イオン発生素子28がケースカバー26に接着されてイオン発生装置19が完成される。
【0069】
次に、上述の暖房装置の動作を説明する。まず、図20に示す操作部16の電源スイッチ51を『入』にし、暖房スイッチ52を押して自動運転モードを選択すると、暖房自動運転がスタートする。暖房スイッチ52を順送り押していくと、『自動』→『切』→『弱』→『強』→『自動』の暖房運転モードを選択し、選択された暖房運転モードで暖房運転される。
【0070】
暖房自動運転モードでは、図示しない温度センサからの信号を入力して、室温を設定温度(例えば、22℃)になるように、セラミックヒータ及び送風機を制御して自動運転を行う。このとき、イオン発生装置19も自動的に併用運転をする。
【0071】
暖房運転をしながらイオン発生装置19を併用運転すると、室内の温度を上昇させて室内を暖房し、更にイオン発生装置19によりプラスイオンとマイナスイオンを発生させることができるので、空気中の浮遊細菌を除去することができ、快適な空気を得ることができる。
【0072】
自動暖房運転以外の「強」運転モードでは、室温に関係なく、セラミックヒータ12を最大の1200Wで連続運転をする。また、「弱運転」は、室温に関係なく、セラミックヒータ12を600Wで連続運転をする。
【0073】
送風機30より吸込んだ空気は、セラミックヒータ12を通過して、そのまま吹出口3に至る第1通路17と、セラミックヒータ12を通過して、加湿フィルター9を経由して吹出口3に至る第2通路18を流れ、両通路を流れる空気が吹出口3で合流して放出される。
【0074】
第2通路18の空気は加湿フィルター9を通過することで速度が僅かに低下するので、吹出口3より上方に空気が流れようとするが、第1通路17の空気により、第2通路18の空気が吹出口より上方に上がろうとするのを押えられて遠くまで飛ばされ、室内を循環するので、室内温度の分布がよい。
【0075】
次に加湿装置の動作を説明する。まず、機器本体1のタンクカバー2を開けて、水タンク3を機器本体1にセットする。そして、操作部16の電源スイッチ51を『入』にし、加湿スイッチ53を押して自動運転モードを選択すると、加湿自動運転がスタートする。加湿スイッチ53を順送り押していくと、『40』→『50』→『60』→『切』→『連続』→『40』の加湿運転モードを選択し、選択された加湿運転モードで加湿運転される。
【0076】
加湿スイッチ53がON状態にされると、加湿運転されると共にイオン発生装置19も自動的に併用運転をする。加湿運転をしながらイオン発生装置19を併用運転すると、空気中の湿度は上昇し、風邪のウイルス菌の生息率を低下させ、更にイオン発生装置19によりプラスイオンとマイナスイオンを発生させることにより空気中の浮遊細菌を除去することが出来、快適な空気を得ることができる。
【0077】
自動加湿運転モードの『40』、『50』、『60』の加湿運転は、検出された湿度と設定した湿度との差に応じて、加湿量を変えて自動的に加湿制御される。『40』、『50』、『60』の加湿運転は、湿度が設定した湿度(40%、50%、60%)になるように、セラミックヒータ12、ポンプ116、送風機30を組み合わせて加湿量を変えるよう自動的に加湿制御される。
【0078】
また、『連続』加湿運転は、湿度に関係なく、連続加湿運転をする。この加湿運転のときに、吸込んだ空気をセラミックヒータ12により空気を加温し、温度が高くなった空気を加湿フィルター9へ通過させることにより、加湿フィルター9より水分を多量に離脱させることができ、多く水分を含んだ空気を放出することができる。
【0079】
このように、通常加湿運転のときにはセラミックヒータ12は駆動しないが、加湿量の多い運転をするときや設定した湿度までに短時間に達したいときなどには、セラミックヒータ12を駆動させるので、使用勝手が良く、使用性が向上する。
【0080】
また、送風機30より吸込んだ空気は、セラミックヒータ12を通過して、そのまま吹出口3に至る第1通路17と、セラミックヒータ12を通過して、加湿フィルター4を経由して吹出口3に至る第2通路18とを流れ、吹出口3で合流して放出される。
【0081】
このとき、第2通路18の空気は加湿フィルター9を通過することで水分を含んだ空気となり、空気が重くなり速度が僅かに低下するので、吹出口3より下方に空気が流れようとするが、第1通路17の空気により、第2通路18の空気が吹出口3より下方に流れようとするのを空気の温度を上げて、遠くまで飛ばすことができ、室内を循環させて室内温度の分布状態を良好にすることができる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では加湿フィルターの保持形態を備えた電気暖房機器について説明したが、同様な構成の加湿装置であってもよい。また、上記実施形態において、水タンク4と水受けタンク部35とを一体にした態様を採用してもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、保持手段により加湿フィルターのジグザグ形状が略均―に等分化されるので、加湿フィルターにおける空気の流れが均―になり、気化量が安定する。更に、加湿フィルターの両側に保持手段を配置すると、加湿フィルターにおける空気の入りと出る具合の流れがより均一になる。
【0084】
さらに、前記加湿フィルターの上方に配設した加湿ボックスに形成された散水穴について、空気の入り側を大きく、出る側を小さく設定し、また、水の入口近傍を小さく、遠くの位置を大きく設定することによって、加湿ボックスからの水は空気の入口側が多く、左右に均―に散水させることができ、気化量を多くかつ安定的に発生させることができる。
【0085】
また、加湿部において、送風機からの空気を加湿フィルターを通る第1通路とそれ以外の第2通路とを形成し、第1通路の通路面積を第2通路の通路面積より大きくしたことで、加湿運転時には気化量を多く発生させ、暖房運転時には両通路の出口では両通路の風量が略同一流れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である加湿装置を搭載した電気暖房機器の本体前面からみた斜視図である。
【図2】図1の本体の前面からみた分解斜視図である。
【図3】図1の本体の背面からみた斜視図である。
【図4】図3の本体背面からみた分解斜視図ある。
【図5】図1の電気暖房機器の概略構成を示す正面図である。
【図6】図1の空気の流れを示す側面からみた概略構成図である
【図7】図1の加湿部の断面概略図である。
【図8】(a)は図2の水タンクの弁部の構造断面図、(b)はその弁体の座受け部の平面図である。
【図9】図4の加湿トレーの概略斜視図である。
【図10】図4の加湿トレーカバーの概略斜視図である。
【図11】図4の加湿フィルターを装着した加湿トレーカバーを正面側からみた概略斜視図である。
【図12】図4の加湿フィルター体におけるボックスと枠体の係合状態を示す分解斜視図である。
【図13】図4の加湿フィルター体を後面側からみた概略図
【図14】図12のフィルターと枠体の組立状態を後面側からみた概略図である。
【図15】図12の枠体の概略図である。
【図16】図1のイオン発生装置の概略斜視図である。
【図17】図15のイオン発生素子の概略斜視図である
【図18】図16のA―A断面図である。
【図19】図16のB―B断面図である。
【図20】図1の操作部の概略図である。
【符号の説明】
1 機体
2 タンクカバー
3 吹出口
4 水タンク
5 把手
6 空気フィルター
7 加湿トレー
8 加湿トレーカバー
9 加湿フィルター
10 加湿トレー収納部
11 ポンプ
12 セラミックヒータ
13 接続管
14 ファン
15 ファンモータ
16 操作部
17 第1通略
18 第2通路
19 イオン発生装置
36 枠体
Claims (2)
- 本体より取出し自在な水タンクと、該水タンクの水を一時的に貯める水受けタンク部を有する加湿トレーと、水で気化して加湿する加湿フィルターと、前記加湿トレーの上方において前記加湿フィルターを収納し、送風手段から吸込んだ空気を前記加湿フィルターを介して本体の吹出口に案内する加湿トレーカバーと、前記水受けタンク部の一側に配設され、水受けタンク部に溜まった水を加湿フィルターに送る汲み上げポンプと、該汲み上げポンプにより汲み上げて加湿フィルターの上方から散水する散水手段とを備え、
前記加湿トレーカバーの底面に、加湿フィルターで気化しなかった水を前記水受けタンク部に戻す通路を形成する穴を有し、該穴は、加湿トレーカバーの底面において、前記ポンプの配設位置と反対側の加湿トレーカバー側壁近傍に形成されたことを特徴とする加湿装置。 - 請求項1に記載の加湿装置と、通過空気を加熱する加熱体、及びこの加熱体に空気を送る送風手段からなる暖房装置とを備えたことを特徴とする加湿機能付き電気暖房装置。
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