JP3973260B2 - 金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富んだ金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄、ステンレス、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、錫、銀等の金属からなる金属管の表面にポリエチレン発泡体を被覆して製造される発泡ポリエチレン被覆金属管は、断熱性と衝撃吸収性に富むため、水、湯、温泉水、各種化学物質等の輸送用や、電線、光ファイバー等の保護用として数多く用いられている。これらの発泡ポリエチレン被覆金属管は、通常次のような方法で製造される。すなわち、1つの方法は、まずポリエチレン系樹脂と化学発泡剤を該樹脂の融点以上でかつ化学発泡剤の分解温度以下の温度下、バンバリーミキサー、押出機等でもって加熱混練し、化学発泡剤を該樹脂中に均一に分散させて発泡性ポリエチレン樹脂組成物を調製し、次いでこれを予熱された金属管の表面に押出機より該化学発泡剤の分解温度を超える温度(通常は135〜200℃)で押出被覆し、金属管の表面にポリエチレン発泡体を形成させる。別の方法は、まず上記発泡性ポリエチレン樹脂組成物を押出機より上記化学発泡剤の分解温度を超える温度で発泡シートとして押出し、次いで該発泡シートを金属管の外周とほぼ同じ幅に切断したのち円筒状に丸めて金属管に被覆し、その両側面を対峠させた状態で熱融着させるか、又は熱融着させない場合は、外部を粘着テープや針金で巻きつけるかして、ほどけないような状態にし、金属管の表面にポリエチレン発泡体を形成させる。
【0003】
しかしながら、近年になって、こうした発泡ポリエチレン被覆金属管の表面が腐食して金属管に穴があき、その結果として、内部の流体が漏れたり、内部の流体が汚染されたり、金属管自体が折れたりする等の事故が発生し、問題となっている。現在のところ、この原因としては、化学発泡剤中に残存するハロゲン又はハロゲン含有化合物からなる不純物が金属腐蝕を起こさせているものと考えられる。したがって、上述した従来の発泡ポリエチレン被覆金属管のもつ問題点を解消するため、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富んだ金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いて得られる発泡ポリエチレン被覆金属管の出現が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富んだ金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、前記した従来の発泡ポリエチレン被覆金属管のもつ問題点を克服するために鋭意研究した結果、一定量の不純物捕集剤を配合した金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法により、上記目的を達成できることを見いだした。
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン及びハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部と、ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、有機スズ化合物及びリン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、すなわち不純物捕集剤0.01〜1重量部とを配合させることにより、上記残留の不純物を捕集することを特徴とする金属腐蝕を起こさない金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0009】
本発明は、上述した如く、一定量の不純物捕集剤を配合した金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法に係わるものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
【0010】
(1)ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又はハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜1重量部を配合させてなる金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法において、該不純物捕集剤がハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、有機スズ化合物及びリン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
(2)ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又はハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜1重量部を配合させてなる金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法において、該化学発泡剤がアゾ化合物、スルホヒドラジド化合物及びニトロソ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
(3)ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又はハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜1重量部を配合させてなる金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法において、該不純物捕集剤がハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、有機スズ化合物及びリン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、かつ該化学発泡剤がアゾ化合物、スルホヒドラジド化合物及びニトロソ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
【0012】
1.ポリエチレン系樹脂
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂とは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、超低密度直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレンと他のオレフィン又はビニルモノマーとの共重合体、又はメタロセン触媒によるポリエチレン等を意味する。通常は、これらポリエチレン系樹脂は、単独で用いられるが、必要に応じて、これらを組合せたり、又は、これらを主体として、少量の他のオレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー等の熱可塑性エラストマーを配合してもよい。
【0013】
2.化学発泡剤
本発明において用いられる化学発泡剤とは、ベンゼンスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、ジフェニルスルホン−3−3’ −ジスルホヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)(以下、OBSHと略することもある)等のスルホヒドラジド化合物や、アゾジカルボンアミド(以下、ADCAと略することもある)、2,2’−アゾイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物や、N,N’ −ジニトロソペンタメチレンテトラミン(以下、DNPTと略することもある)、N,N’ −ジニトロソ−N,N’ −ジメチルテレフタルアミド等のニトロソ化合物を意味する。これらの化合物は、製造時にハロゲン含有化合物を原料として使用するため、精製工程で未反応の原料や副生成物等の不純物を除去するべく濾別しても、どうしてもこれらの不純物が生成物と共に通過し、生成物中に微量の不純物が残留することになる。この残留するハロゲン又はハロゲン系化合物からなる不純物が原因となって金属管の表面を発錆させ、金属管の腐蝕を進行させる結果となる。そのため、これらの化学発泡剤を単独で用いた従来の発泡ポリエチレン被覆金属管の場合は、品質の良好な金属管を得ることは不可能である。本発明においては、上記したハロゲン又はハロゲン系化合物からなる不純物による発錆作用を抑制するために、不純物捕集剤を併用し、上記の弊害を防止することができる。本発明おいては、発泡剤として上記の化学発泡剤単独でもよいが、化学発泡剤同志を併用することもでき、しかも場合によっては、化学発泡剤に併用して、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、キセノンガス、ブタン、ペンタン、ヘプタン等の気体を使用してもよい。発泡ポリエチレン被覆金属管の場合、通常はポリエチレン系樹脂を10〜30倍に発泡させるのが一般的である。そのため、化学発泡剤の使用量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。化学発泡剤の使用量が0.1重量部未満であると、発泡度が低すぎ、結果として所定の断熱性、衝撃吸収性が得られず、良好な品質の発泡体被覆金属管が得られない。一方、化学発泡剤の使用量が10重量部を越えると、過発泡がおき、均一な発泡体が得られず、結果として発泡体の表面も不均一となり、良好な品質の発泡体被覆金属管が得られない。
【0014】
3.不純物捕集剤
本発明において用いられる不純物捕集剤とは、化学発泡剤中に残存するハロゲン又はハロゲン系化合物からなる不純物を物理的及び/又は化学的に吸着及び/又は化学反応により捕集する化合物を意味する。本発明では、この不純物捕集剤を用いることにより、ハロゲン又はハロゲン系化合物からなる不純物によって発現される発錆や腐蝕が抑制されるだけでなく、その上不純物によるポリエチレン系樹脂の発泡阻害をもなくする効果が生ずる。これらの不純物捕集剤としては、具体的には、ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、有機スズ化合物、リン酸カルシウム等の化合物が挙げられるが、そのうち、ハイドロタルサイトが特に望ましい。
上記のハイドロタルサイトは、マグネシウムとアルミニウムの含水塩基性炭酸塩を意味し、これらは、天然物であっても合成物であってもいずれでもよい。天然物は、MgAl(OH)16CO・4HOの構造を有し、一方、合成物は、MgとAlとの比が異なったもの、例えば、
MgAl(OH)12CO・3HO、
MgAl(OH)14CO・4HO、
Mg10Al(OH)22CO・4HO、
MgAl(OH)20CO・5H
等が挙げられる。
これらの不純物捕集剤を本発泡性ポリエチレン樹脂組成物に配合する場合は、上記化合物を単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
不純物捕集剤の使用量は、化学発泡剤の1〜10%の範囲、すなわち、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部である。不純物捕集剤の使用量が0.01重量部未満であると、金属腐蝕防止効果(防錆効果)が発現しなく、また一方不純物捕集剤の使用量が1.0重量部を越えると、押出ダイ付近に目やにが発生し、その結果、生産性が悪くなったり、均一な発泡体が得られなかったり等の問題が生じ、望ましくない。
【0015】
4.発泡性ポリエチレン樹脂組成物
本発明の製造方法によって製造される発泡性ポリエチレン樹脂組成物は、前記した如く、所定の配合比で配合されたポリエチレン系樹脂、化学発泡剤、不純物捕集剤及び所望に応じて添加する他の添加剤からなる混合物を、例えばバンバリーミキサー等の好適な混練手段によって混練することによって製造される。特に好ましい混練法によれば、ポリエチレン系樹脂、所定量の不純物捕集剤及び他の添加剤(酸化防止剤など)は、バンバリーミキサー内で、まずポリエチレン系樹脂の融点以上の温度に加熱され混練され、次いでこの混練物に所定量の化学発泡剤が添加され、化学発泡剤の分解温度(135〜200℃)よりも低い温度で混練された後に冷却され、シート状物にされる。この発泡工程は、一段であっても予備発泡を含む二段であってもよく、適宜選びうるが、均一な発泡体を得るためには、後者の手段が好ましい。予備発泡を含む二段にする場合には、シート状物は、更に切断され、ペレットにされたのち、再び所定の形状に発泡成形される。
本発明の発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法には、他の添加剤として、発泡助剤、発泡均一剤、着色剤、酸化防止剤、成核剤、銅害防止剤、金属腐食防止剤、加工助剤、目やに発生防止剤等を配合してもよい。
【0016】
5.ポリエチレン発泡体被覆金属管
本発明の製造方法によって製造される発泡性ポリエチレン樹脂組成物は、斯界で周知の発泡ポリエチレン被覆金属管の製法に従い、金属管の表面に被覆されたのち、発泡される。
この製法としては、種々のやり方が可能であるが、一つの方法によれば、まず上記のように準備した予備発泡ペレットを押出機に供給し、所定の温度に加熱溶融し、次いでこの得られた溶融発泡性樹脂組成物を予熱された金属管の表面に押出被覆して大気中で発泡させ、冷却させることにより、目的とするポリエチレン発泡体被覆金属管が得られる。この場合、最初の加熱溶融時の温度は、該ポリオレフィン系樹脂の融点以上でかつ化学発泡剤の分解温度以下の温度下であることが必要であり、また一方次の被覆発泡時の温度は、該化学発泡剤の分解温度を超える温度(通常は135〜200℃)であることが必要である。
また別の方法によれば、まず上記の予備発泡ペレットを押出機に供給し、所定の温度に加熱溶融し、得られた溶融発泡性樹脂組成物をダイよりシート状に押出して発泡シートとし、次いで該発泡シートを金属管の外周とほぼ同じ幅に切断したのち、円筒状に丸めて金属管に被覆し、該シートの両側面を対峠させた状態で熱融着させるか、又は熱融着させない場合は、外部を粘着テープや針金で巻きつけるかして、ほどけないような状態にし、目的とするポリエチレン発泡体被覆金属管が得られる。この場合においても、上記の第一の製法の場合と同様に、最初の加熱溶融時の温度は、該ポリオレフィン系樹脂の融点以上でかつ化学発泡剤の分解温度以下の温度下であることが必要であり、また一方次のシート状に押出し時の温度は、該化学発泡剤の分解温度を超える温度(通常は135〜200℃)であることが必要である。
後者の別の方法の場合、発泡シートの片面上でかつ金属管に対峠する面上に、長手方向に沿い平行に複数本のV形の溝を、カッターで切断したり又は加熱した金型でもって溶融押印したりすることで形成させておくと、円筒状の発泡シートがフラットな状態へ復元しようとする残留応力が極めて少なくなり、その結果、円筒状の形状維持が良好となる。
本発明の製造方法によって製造される発泡性ポリエチレン樹脂組成物が適用される金属管は、通常、鉄、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス、亜鉛、錫等の金属を主体として製造した管であるが、場合によっては、これらの金属以外にマグネシウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、炭素等を微量配合したものであってもよい。
【0017】
【作用】
本発明の製造方法によって製造される発泡性ポリオレフィン樹脂組成物により製造される発泡ポリエチレン被覆金属管は、従来の発泡ポリエチレン被覆金属管とは違い、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性にも富んだものであるため、結湯管、結水管、ガス配管、温泉水配管、電線用配管、化学薬品配管、溶剤配管、熱媒体配管、原油配管、石油製品配管、排気ガス配管、冷媒配管、空気配管、工業用ガス配管、農薬配管、肥料配管等として幅広く利用される。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0019】
実施例1(参考例)
メルトインデックスが2.3g/10分、密度が0.918g/cm、スウェリング比が65%の高圧法低密度ポリエチレン100重量部に対して、不純物1%を含有する市販の4,4’−オキシビスベンゼンスルホヒドラジド1.3重量部、ステアリン酸亜鉛0.1重量部、及び酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.1重量部を配合し、バンバリーミキサーで10分間、130℃で混練して、シート状に押出し、予備発泡度4.4%のシートを得た。このシートをカッターで切断し、厚さ3mm、長さ5mm、幅4mmのペレットを得た。
次いで、50mmφの押出機(L/D=24)に前記ペレットを供給し、供給領域のシリンダー温度を130℃、圧縮領域のシリンダー温度を140℃、計量領域のシリンダー温度を147℃としたのち、70℃に予熱した30mmφの銅管の表面に速度20m/minで、厚さ3.0mmとなるように押出被覆し、発泡ポリエチレン被覆銅管を得た。得られた発泡体は、発泡度52%、気泡径50〜150μを有し、外観は良好であった。
この発泡ポリエチレン被覆銅管の周囲に粘着テープを巻きつけ、温度50℃、湿度100%RHの条件下で300日間加湿処理したのち、目視により観察したところ、全く発錆は認められなかった。
【0020】
比較例1
ステアリン酸亜鉛の配合量を0とした以外は、実施例1(参考例)と同様な実験を行ったところ、銅管表面に発錆が認められた。
【0021】
実施例2
融点が133℃、密度が0.958g/cm、スウェリング比が47%、メルトインデックスが3.3g/10分の高密度ポリエチレン100重量部に対して、メルトインデックスが2.4g/10分、密度が0.920g/cm3、スウェリング比が53%の高圧法で製造した長鎖分岐を有する低密度ポリエチレン60重量部、融点が154℃、密度が0.90g/cm,メルトフローレイトが2.8g/10分のポリプロピレン10重量部、ポリシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体15重量部、ADCA(アゾジカルボンアミド)0.4重量部、ハイドロタルサイド(MgAl(OH)12CO・3HO)0.1重量部、タルク0.1重量部、及び酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.1重量部を配合し、バンバリーミキサーで15分間、160℃で加熱混練して、シート状に押出した。このシート状物をカッターで切断し、厚さ3mm、長さ5mm、幅4mmのペレットを得た。次いで65mmφの第一段の押出機(L/D=28)に前記ペレットを供給し、供給領域のシリンダー温度を152℃、圧縮領域のシリンダー温度を182℃、計量領域のシリンダー温度を188℃としながら、該圧縮領域において、前記ペレット100重量部に対して1.8重量部の割合で窒素ガスを圧入し、引き続き、前記窒素ガスを圧入したペレットを第一段の押出機から65mmφの第二段の押出機(L/D=28)に供給し、供給領域のシリンダー温度を175℃、圧縮領域のシリンダー温度を157℃、計量領域のシリンダー温度を134℃として、前記ペレットと窒素を均一に混練し、各成分を均一に配合したのち、次いで第二段の押出機のクロスヘッドより80℃に予熱した20mmφの鉄管の表面に、速度30m/minで、厚さ2.0mmとなるように押出被覆し、発泡ポリエチレン被覆鉄管を得た。得られた発泡体は、発泡度81%、気泡径20〜90μを有し、しかもその圧縮強度について測定したところ、1.82kg/mm2であり、機械的強度も十分あった。この発泡ポリエチレン被覆鉄管の周囲にアルミテープを巻きつけ、温度50℃、湿度100%RHの条件下で200日間加湿処理したのち、目視により観察したところ、全く発錆は認められなかった。
【0022】
比較例2
ハイドロタルサイトの量を0とした以外は、実施例2と同様な実験を行ったところ、鉄管の表面に発錆が認められた。
【0023】
実施例3
メルトインデックスが3.5g/10分、密度が0.935g/cm、スウェリング比が56%の高圧法で製造したエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15%)100重量部に対して、アゾジカルボンアミド0.8重量部、酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.4重量部、及び水酸化マグネシウム0.2重量部を配合し、押出機に供給し、供給領域のシリンダー温度を125℃、圧縮領域のシリンダー温度を133℃、計量領域のシリンダー温度を139℃としたのち、Tダイより押出し、厚さが3mm、発泡度が43%、気泡径が70〜130μの発泡シートを得た。一方、直径30mmのアルミニウム管を用意し、上記発泡シートを切断し、アルミニウム管の外周に円筒状にまきつけ、その外部を粘着テープで3重にまきつけた。この発泡体被覆アルミニウム管を300日間、屋外に設置したが、目視により観察したところ、全く発錆は認められなかった。
【0024】
比較例3
水酸化マグネシウムの量を0とした以外は、実施例3と同様な実験を行ったところ、アルミニウム管の表面に発錆が認められた。
【0025】
実施例4
実施例1(参考例)においてステアリン酸亜鉛に代えて、酸化マグネシウム(参考例)、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ゼオライト(参考例)、リン酸カルシウム、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様な実験を行った。発泡は、実施例1と同様に正常に行われ、しかも銅管表面には、全く発錆が認められなかった。このことから、上記各化合物による不純物捕集剤としての効果が確認された。
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって製造される発泡性ポリオレフィン樹脂組成物により製造される発泡ポリエチレン被覆金属管は、従来の発泡ポリエチレン被覆金属管とは違い、通常市販されているハロゲン又はハロゲン化合物を不純物として含む化学発泡剤を使用しても、発錆や金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性にも富んだ高品質のものとなる。

Claims (1)

  1. ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン及びハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部と、ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、有機スズ化合物及びリン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物0.01〜1重量部とを配合させることにより、上記残留の不純物を捕集することを特徴とする金属腐蝕を起こさない金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
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