JPH10279722A - 金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた発泡ポリエチレン被覆金属管 - Google Patents

金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた発泡ポリエチレン被覆金属管

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JPH10279722A
JPH10279722A JP9106681A JP10668197A JPH10279722A JP H10279722 A JPH10279722 A JP H10279722A JP 9106681 A JP9106681 A JP 9106681A JP 10668197 A JP10668197 A JP 10668197A JP H10279722 A JPH10279722 A JP H10279722A
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foamed
polyethylene
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敏夫 坂本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収
性に富んだ金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物
及びこれを用いて得られる発泡ポリエチレン被覆金属管
を提供する 【解決手段】 本発泡性ポリエチレン樹脂組成物は、ポ
リエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン及びハロゲ
ン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.
1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜1重量部
を配合させてなる。本発泡性ポリエチレン樹脂組成物か
ら得られる発泡ポリエチレン被覆金属管は、該発泡性ポ
リエチレン樹脂組成物を予熱された金属管の表面に押出
機より押出し被覆させる製法、又は該発泡性ポリエチレ
ン樹脂組成物を押出機よりシート状に押出して発泡シー
トとし、該発泡シートを金属管の外周と同じ長さに切断
したのち円筒状に丸めて金属管に被覆させる製法のいず
れかにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属管被覆用発泡
性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた発泡ポリエ
チレン被覆金属管に関する。更に詳しくは、金属腐蝕を
起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富んだ金属管被覆
用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いて得ら
れる発泡ポリエチレン被覆金属管に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、ステンレス、銅、亜鉛、アルミニウ
ム、チタン、錫、銀等の金属からなる金属管の表面にポ
リエチレン発泡体を被覆して製造される発泡ポリエチレ
ン被覆金属管は、断熱性と衝撃吸収性に富むため、水、
湯、温泉水、各種化学物質等の輸送用や、電線、光ファ
イバー等の保護用として数多く用いられている。これら
の発泡ポリエチレン被覆金属管は、通常次のような方法
で製造される。すなわち、1つの方法は、まずポリエチ
レン系樹脂と化学発泡剤を該樹脂の融点以上でかつ化学
発泡剤の分解温度以下の温度下、バンバリーミキサー、
押出機等でもって加熱混練し、化学発泡剤を該樹脂中に
均一に分散させて発泡性ポリエチレン樹脂組成物を調製
し、次いでこれを予熱された金属管の表面に押出機より
該化学発泡剤の分解温度を超える温度(通常は135〜
200℃)で押出被覆し、金属管の表面にポリエチレン
発泡体を形成させる。別の方法は、まず上記発泡性ポリ
エチレン樹脂組成物を押出機より上記化学発泡剤の分解
温度を超える温度で発泡シートとして押出し、次いで該
発泡シートを金属管の外周とほぼ同じ幅に切断したのち
円筒状に丸めて金属管に被覆し、その両側面を対峠させ
た状態で熱融着させるか、又は熱融着させない場合は、
外部を粘着テープや針金で巻きつけるかしてほどけない
ような状態にし、金属管の表面にポリエチレン発泡体を
形成させる。
【0003】しかしながら、近年になって、こうした発
泡ポリエチレン被覆金属管の表面が腐食して金属管に穴
があき、その結果として、内部の流体が漏れたり、内部
の流体が汚染されたり、金属管自体が折れたりする等の
事故が発生し、問題となっている。現在のところ、この
原因としては、化学発泡剤中に残存するハロゲン又はハ
ロゲン含有化合物からなる不純物が金属腐蝕を起こさせ
ているものと考えられる。したがって、上述した従来の
発泡ポリエチレン被覆金属管のもつ問題点を解消するた
め、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富
んだ金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこ
れを用いて得られる発泡ポリエチレン被覆金属管の出現
が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性に富んだ金属
管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用い
て得られる発泡ポリエチレン被覆金属管を提供すること
にある。
【0005】本発明者らは、前記した従来の発泡ポリエ
チレン被覆金属管のもつ問題点を克服するために鋭意研
究した結果、一定量の不純物捕集剤を配合した金属管被
覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いて得
られる発泡ポリエチレン被覆金属管により、上記目的を
達成できることを見いだした。本発明は、これらの知見
に基づいて完成に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリエ
チレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又はハロゲン系
化合物からなる残留の不純物を含む化学発泡剤0.1〜
10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜1重量部を配
合させてなることを特徴とする金属管被覆用発泡性ポリ
エチレン樹脂組成物が提供される。
【0007】また本発明によれば、上記の金属管被覆用
発泡性ポリエチレン樹脂組成物を予熱された金属管の表
面に押出機より押出し被覆させて製造されることを特徴
とする発泡ポリエチレン被覆金属管が提供される。
【0008】更に本発明によれば、上記の金属管被覆用
発泡性ポリエチレン樹脂組成物を押出機よりシート状に
押出し、発泡シートとし、該発泡シートの幅を金属管の
外周と同じ長さに切断し、該発泡シートを円筒状に丸め
て金属管に被覆して製造されることを特徴とする発泡ポ
リエチレン被覆金属管が提供される。
【0009】本発明は、上述した如く、一定量の不純物
捕集剤を配合した金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂
組成物及びこれを用いて得られる発泡ポリエチレン被覆
金属管に係わるものであるが、その好ましい態様として
は、次のものが包含される。
【0010】(1)ポリエチレン系樹脂100重量部
に、ハロゲン又はハロゲン系化合物からなる残留の不純
物を含む化学発泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕
集剤0.01〜1重量部を配合させてなる金属管被覆用
発泡性ポリエチレン樹脂組成物において、該不純物捕集
剤がハイドロタルサイト、高級脂肪酸金属塩、酸化マグ
ネシウム、酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、ゼオライト、有機スズ化合物及びリン酸カ
ルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合
物であることを特徴とする発泡性ポリエチレン樹脂組成
物。 (2)ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又
はハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発
泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜
1重量部を配合させてなる金属管被覆用発泡性ポリエチ
レン樹脂組成物において、該化学発泡剤がアゾ化合物、
スルホヒドラジド化合物及びニトロソ化合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴
とする発泡性ポリエチレン樹脂組成物。 (3)ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハロゲン又
はハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含む化学発
泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤0.01〜
1重量部を配合させてなる金属管被覆用発泡性ポリエチ
レン樹脂組成物において、該不純物捕集剤がハイドロタ
ルサイト、高級脂肪酸金属塩、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ゼ
オライト、有機スズ化合物及びリン酸カルシウムからな
る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、かつ
該化学発泡剤がアゾ化合物、スルホヒドラジド化合物及
びニトロソ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物であることを特徴とする発泡性ポリエチレン
樹脂組成物。 (4)上記(1)、(2)又は(3)に記載の金属管被
覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物を、予熱された金属
管の表面に押出機より押出し被覆させて製造されること
を特徴とする発泡ポリエチレン被覆金属管。 (5)上記(1)、(2)又は(3)に記載の金属管被
覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物を、押出機よりシー
ト状に押出し、発泡シートとし、該発泡シートの幅を金
属管の外周と同じ長さに切断し、該発泡シートを円筒状
に丸めて金属管に被覆して製造されることを特徴とする
発泡ポリエチレン被覆金属管。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の金属管被覆用発泡
性ポリエチレン樹脂組成物及びこれを用いた発泡ポリエ
チレン被覆金属管について詳細に説明する。
【0012】1.ポリエチレン系樹脂 本発明において用いられるポリエチレン系樹脂とは、低
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン等のポリエチレン、直鎖状低密度エチレンーα−
オレフィン共重合体、超低密度直鎖状エチレンーα−オ
レフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレンと他
のオレフィン又はビニルモノマーとの共重合体、又はメ
タロセン触媒によるポリエチレン等を意味する。通常
は、これらポリエチレン系樹脂は、単独で用いられる
が、必要に応じて、これらを組合せたり、又は、これら
を主体として、少量の他のオレフィン系ポリマー、スチ
レン系ポリマー等の熱可塑性エラストマーを配合しても
よい。
【0013】2.化学発泡剤 本発明において用いられる化学発泡剤とは、ベンゼンス
ルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジ
ド、ジフェニルスルホンー3ー3’ージスルホヒドラジ
ド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジ
ド)(以下、OBSHと略することもある)等のスルホ
ヒドラジド化合物や、アゾジカルボンアミド(以下、A
DCAと略することもある)、2,2’−アゾイソブチ
ロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾ
アミノベンゼン等のアゾ化合物や、N,N’ージニトロ
ソペンタメチレンテトラミン(以下、DNPTと略する
こともある)、N,N’ージニトロソーN,N’ージメ
チルテレフタルアミド等のニトロソ化合物を意味する。
これらの化合物は、製造時にハロゲン含有化合物を原料
として使用するため、精製工程で未反応の原料や副生成
物等の不純物を除去するべく濾別しても、どうしてもこ
れらの不純物が生成物と共に通過し、生成物中に微量の
不純物が残留することになる。この残留するハロゲン又
はハロゲン系化合物からなる不純物が原因となって金属
管の表面を発錆させ、金属管の腐蝕を進行させる結果と
なる。そのため、これらの化学発泡剤を単独で用いた従
来の発泡ポリエチレン被覆金属管の場合は、品質の良好
な金属管を得ることは不可能である。本発明において
は、上記したハロゲン又はハロゲン系化合物からなる不
純物による発錆作用を抑制するために、不純物捕集剤を
併用し、上記の弊害を防止することができる。本発明お
いては、発泡剤として上記の化学発泡剤単独でもよい
が、化学発泡剤同志を併用することもでき、しかも場合
によっては、化学発泡剤に併用して、窒素ガス、炭酸ガ
ス、アルゴンガス、キセノンガス、ブタン、ペンタン、
ヘプタン等の気体を使用してもよい。発泡ポリエチレン
被覆金属管の場合、通常はポリエチレン系樹脂を10〜
30倍に発泡させるのが一般的である。そのため、化学
発泡剤の使用量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に
対して0.1〜10重量部であることが好ましい。化学
発泡剤の使用量が0.1重量部未満であると、発泡度が
低すぎ、結果として所定の断熱性、衝撃吸収性が得られ
ず、良好な品質の発泡体被覆金属管が得られない。一
方、化学発泡剤の使用量が10重量部を越えると、過発
泡がおき、均一な発泡体が得られず、結果として発泡体
の表面も不均一となり、良好な品質の発泡体被覆金属管
が得られない。
【0014】3.不純物捕集剤 本発明において用いられる不純物捕集剤とは、化学発泡
剤中に残存するハロゲン又はハロゲン系化合物からなる
不純物を物理的及び/又は化学的に吸着及び/又は化学
反応により捕集する化合物を意味する。本発明では、こ
の不純物捕集剤を用いることにより、ハロゲン又はハロ
ゲン系化合物からなる不純物によって発現される発錆や
腐蝕が抑制されるだけでなく、その上不純物によるポリ
エチレン系樹脂の発泡阻害をもなくする効果が生ずる。
これらの不純物捕集剤としては、具体的には、ハイドロ
タルサイト、高級脂肪酸金属塩、酸化マグネシウム、酸
化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
ゼオライト、有機スズ化合物、リン酸カルシウム等の化
合物が挙げられるが、そのうち、ハイドロタルサイトが
特に望ましい。上記の高級脂肪酸金属塩としては、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ア
ルミニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、
ステアリン酸カドミウム等のステアリン酸塩や、ラウリ
ン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カドミウ
ム等のラウリン酸塩や、リシノール酸バリウム等のリシ
ノール酸塩や、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、2−エチ
ルヘキソイン酸鉛等の2−エチルヘキソイン酸塩や、パ
ラ−第三ブチル安息香酸亜鉛等のパラ−第三ブチル安息
香酸塩や、1、2−ヒドロキシステアリン酸カルシウ
ム、1、2−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、1、2−ヒ
ドロキシステアリン酸マグネシウム、1、2−ヒドロキ
システアリン酸バリウム、1、2−ヒドロキシステアリ
ン酸鉛等の1、2−ヒドロキシステアリン酸塩等が挙げ
られるが、これらのうち、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸亜鉛が特に望ましい。上記のハイドロタルサ
イトは、マグネシウムとアルミニウムの含水塩基性炭酸
塩を意味し、これらは、天然物であっても合成物であっ
てもいずれでもよい。天然物は、Mg5Al2(OH)16
CO3・4H2Oの構造を有し、一方、合成物は、Mgと
Alとの比が異なったもの、例えば、 Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O、 Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、 Mg10Al2(OH)22CO3・4H2O、 Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O 等が挙げられる。これらの不純物捕集剤を本発泡性ポリ
エチレン樹脂組成物に配合する場合は、上記化合物を単
独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。不純
物捕集剤の使用量は、化学発泡剤の1〜10%の範囲、
すなわち、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して
0.01〜1.0重量部である。不純物捕集剤の使用量
が0.01重量部未満であると、金属腐蝕防止効果(防
錆効果)が発現しなく、また一方不純物捕集剤の使用量
が1.0重量部を越えると、押出ダイ付近に目やにが発
生し、その結果、生産性が悪くなったり、均一な発泡体
が得られなかったり等の問題が生じ、望ましくない。
【0015】4.発泡性ポリエチレン樹脂組成物 本発明の発泡性ポリエチレン樹脂組成物は、前記した如
く、所定の配合比で配合されたポリエチレン系樹脂、化
学発泡剤、不純物捕集剤及び所望に応じて添加する他の
添加剤からなる混合物を、例えばバンバリーミキサー等
の好適な混練手段によって混練することによって製造さ
れる。特に好ましい混練法によれば、ポリエチレン系樹
脂、所定量の不純物捕集剤及び他の添加剤(酸化防止剤
など)は、バンバリーミキサー内で、まずポリエチレン
系樹脂の融点以上の温度に加熱され混練され、次いでこ
の混練物に所定量の化学発泡剤が添加され、化学発泡剤
の分解温度(135〜200℃)よりも低い温度で混練
された後に冷却され、シート状物にされる。この発泡工
程は、一段であっても予備発泡を含む二段であってもよ
く、適宜選びうるが、均一な発泡体を得るためには、後
者の手段が好ましい。予備発泡を含む二段にする場合に
は、シート状物は、更に切断され、ペレットにされたの
ち、再び所定の形状に発泡成形される。本発明の発泡性
ポリエチレン樹脂組成物には、他の添加剤として、発泡
助剤、発泡均一剤、着色剤、酸化防止剤、成核剤、銅害
防止剤、金属腐食防止剤、加工助剤、目やに発生防止剤
等を配合してもよい。
【0016】5.ポリエチレン発泡体被覆金属管 本発明の発泡性ポリエチレン樹脂組成物は、斯界で周知
の発泡ポリエチレン被覆金属管の製法に従い、金属管の
表面に被覆されたのち、発泡される。この製法として
は、種々のやり方が可能であるが、一つの方法によれ
ば、まず上記のように準備した予備発泡ペレットを押出
機に供給し、所定の温度に加熱溶融し、次いでこの得ら
れた溶融発泡性樹脂組成物を予熱された金属管の表面に
押出被覆して大気中で発泡させ、冷却させることによ
り、目的とするポリエチレン発泡体被覆金属管が得られ
る。この場合、最初の加熱溶融時の温度は、該ポリオレ
フィン系樹脂の融点以上でかつ化学発泡剤の分解温度以
下の温度下であることが必要であり、また一方次の被覆
発泡時の温度は、該化学発泡剤の分解温度を超える温度
(通常は135〜200℃)であることが必要である。
また別の方法によれば、まず上記の予備発泡ペレットを
押出機に供給し、所定の温度に加熱溶融し、得られた溶
融発泡性樹脂組成物をダイよりシート状に押出して発泡
シートとし、次いで該発泡シートを金属管の外周とほぼ
同じ幅に切断したのち、円筒状に丸めて金属管に被覆
し、該シートの両側面を対峠させた状態で熱融着させる
か、又は熱融着させない場合は、外部を粘着テープや針
金で巻きつけるかしてほどけないような状態にし、目的
とするポリエチレン発泡体被覆金属管が得られる。この
場合においても、上記の第一の製法の場合と同様に、最
初の加熱溶融時の温度は、該ポリオレフィン系樹脂の融
点以上でかつ化学発泡剤の分解温度以下の温度下である
ことが必要であり、また一方次のシート状に押出し時の
温度は、該化学発泡剤の分解温度を超える温度(通常は
135〜200℃)であることが必要である。後者の別
の方法の場合、発泡シートの片面上でかつ金属管に対峠
する面上に、長手方向に沿い平行に複数本のV形の溝
を、カッターで切断したり又は加熱した金型でもって溶
融押印したりすることで形成させておくと、円筒状の発
泡シートがフラットな状態へ復元しようとする残留応力
が極めて少なくなり、その結果、円筒状の形状維持が良
好となる。本発明の発泡性ポリエチレン樹脂組成物が適
用される金属管は、通常、鉄、アルミニウム、銅、チタ
ン、ステンレス、亜鉛、錫等の金属を主体として製造し
た管であるが、場合によっては、これらの金属以外にマ
グネシウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、炭素等
を微量配合したものであってもよい。
【0017】
【作用】本発明により製造される発泡ポリエチレン被覆
金属管は、従来の発泡ポリエチレン被覆金属管とは違
い、金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性にも
富んだものであるため、結湯管、結水管、ガス配管、温
泉水配管、電線用配管、化学薬品配管、溶剤配管、熱媒
体配管、原油配管、石油製品配管、排気ガス配管、冷媒
配管、空気配管、工業用ガス配管、農薬配管、肥料配管
等として幅広く利用される。
【0018】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0019】実施例1 メルトインデックスが2.3g/10分、密度が0.9
18g/cm3、スウェリング比が65%の高圧法低密
度ポリエチレン100重量部に対して、不純物1%を含
有する市販の4,4’−オキシビスベンゼンスルホヒド
ラジド1.3重量部、ステアリン酸亜鉛0.1重量部、
及び酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.1
重量部を配合し、バンバリーミキサーで10分間、13
0℃で混練して、シート状に押出し、予備発泡度4.4
%のシートを得た。これをシートをカッターで切断し、
厚さ3mm、長さ5mm、幅4mmのペレットを得た。
次いで、50mmφの押出機(L/D=24)に前記ペ
レットを供給し、供給領域のシリンダー温度を130
℃、圧縮領域のシリンダー温度を140℃、計量領域の
シリンダー温度を147℃としたのち、70℃に予熱し
た30mmφの銅管の表面に速度20m/minで、厚
さ3.0mmとなるように押出被覆し、発泡ポリエチレ
ン被覆銅管を得た。得られた発泡体は、発泡度52%、
気泡径50〜150μを有し、外観は良好であった。こ
の発泡ポリエチレン被覆銅管の周囲に粘着テープを巻き
つけ、温度50℃、湿度100%RHの条件下で300
日間加湿処理したのち、目視により観察したところ、全
く発錆は認められなかった。
【0020】比較例1 ステアリン酸亜鉛の配合量を0とした以外は、実施例1
と同様な実験を行ったところ、銅管表面に発錆が認めら
れた。
【0021】実施例2 融点が133℃、密度が0.958g/cm3、スウェ
リング比が47%、メルトインデックスが3.3g/1
0分の高密度ポリエチレン100重量部に対して、メル
トインデックスが2.4g/10分、密度が0.920
g/cm3、スウェリング比が53%の高圧法で製造した
長鎖分岐を有する低密度ポリエチレン60重量部、融点
が154℃、密度が0.90g/cm3,メルトフロー
レイトが2.8g/10分のポリプロピレン10重量
部、ポリシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体1
5重量部、ADCA(アゾジカルボンアミド)0.4重
量部、ハイドロタルサイド(Mg4Al2(OH)12CO
3・3H2O)0.1重量部、タルク0.1重量部、及び
酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.1重量
部を配合し、バンバリーミキサーで15分間、160℃
で加熱混練して、シート状に押出した。このシート状物
をカッターで切断し、厚さ3mm、長さ5mm、幅4m
mのペレットを得た。次いで65mmφの第一段の押出
機(L/D=28)に前記ペレットを供給し、供給領域
のシリンダー温度を152℃、圧縮領域のシリンダー温
度を182℃、計量領域のシリンダー温度を188℃と
しながら、該圧縮領域において、前記ペレット100重
量部に対して1.8重量部の割合で窒素ガスを圧入し、
引き続き、前記窒素ガスを圧入したペレットを第一段の
押出機から65mmφの第二段の押出機(L/D=2
8)に供給し、供給領域のシリンダ温度を175℃、圧
縮領域のシリンダ温度を157℃、計量領域のシリンダ
温度を134℃として、前記ペレットと窒素を均一に混
練し、各成分を均一に配合したのち、次いで第二段の押
出機のクロスヘッドより80℃に予熱した20mmφの
鉄管の表面に、速度30m/minで、厚さ2.0mm
となるように押出被覆し、発泡ポリエチレン被覆鉄管を
得た。得られた発泡体は、発泡度81%、気泡径20〜
90μを有し、しかもその圧縮強度について測定したと
ころ、1.82kg/mm2であり、機械的強度も十分
あった。この発泡ポリエチレン被覆鉄管の周囲にアルミ
テープを巻きつけ、温度50℃、湿度100%RHの条
件下で200日間加湿処理したのち、目視により観察し
たところ、全く発錆は認められなかった。
【0022】比較例2 ハイドロタルサイトの量を0とした以外は、実施例2と
同様な実験を行ったところ、鉄管の表面に発錆が認めら
れた。
【0023】実施例3 メルトインデックスが3.5g/10分、密度が0.9
35g/cm3、スウェリング比が56%の高圧法で製
造したエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有
量15%)100重量部に対して、アゾジカルボンアミ
ド0.8重量部、酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトル
エン)0.4重量部、及び水酸化マグネシウム0.2重
量部を配合し、押出機に供給し、供給領域のシリンダー
温度を125℃、圧縮領域のシリンダー温度を133
℃、計量領域のシリンダー温度を139℃としたのち、
Tダイより押出し、厚さが3mm、発泡度が43%、気
泡径が70〜130μの発泡シートを得た。一方、直径
30mmのアルミニウム管を用意し、上記発泡シートを
切断し、アルミニウム管の外周に円筒状にまきつけ、そ
の外部を粘着テープで3重にまきつけた。この発泡体被
覆アルミニウム管を300日間、屋外に設置したが、目
視により観察したところ、全く発錆は認められなかっ
た。
【0024】比較例3 水酸化マグネシウムの量を0とした以外は、実施例3と
同様な実験を行ったところ、アルミニウム管の表面に発
錆が認められた。
【0025】実施例4 実施例1においてステアリン酸亜鉛に代えて、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、
水酸化カルシウム、ゼオライト、リン酸カルシウム、ジ
ブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートをそ
れぞれ使用した以外は、実施例1と同様な実験を行っ
た。発泡は、実施例1と同様に正常に行われ、しかも銅
管表面には、全く発錆が認められなかった。このことか
ら、上記各化合物による不純物捕集剤としての効果が確
認された。
【0026】
【発明の効果】本発明により製造される発泡ポリエチレ
ン被覆金属管は、従来の発泡ポリエチレン被覆金属管と
は違い、通常市販されているハロゲン又はハロゲン化合
物を不純物として含む化学発泡剤を使用しても、発錆や
金属腐蝕を起こさず、かつ断熱性、衝撃吸収性にも富ん
だ高品質のものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/32 B32B 27/32 Z C08K 13/02 C08K 13/02 C08L 23/04 C08L 23/04 // B29K 23:00 105:04 B29L 9:00 23:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン系樹脂100重量部に、ハ
    ロゲン及びハロゲン系化合物からなる残留の不純物を含
    む化学発泡剤0.1〜10重量部、及び不純物捕集剤
    0.01〜1重量部を配合させてなることを特徴とする
    金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組成物
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属管被覆用発泡性ポ
    リエチレン樹脂組成物を、予熱された金属管の表面に押
    出機より押出し被覆させて製造されることを特徴とする
    発泡ポリエチレン被覆金属管
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の金属管被覆用発泡性ポ
    リエチレン樹脂組成物を、押出機よりシート状に押出し
    て発泡シートとし、該発泡シートを金属管の外周と同じ
    長さに切断したのち円筒状に丸めて金属管に被覆し製造
    されることを特徴とする発泡ポリエチレン被覆金属管
  4. 【請求項4】 不純物捕集剤がハイドロタルサイト、高
    級脂肪酸金属塩、酸化マグネシウム、酸化カリウム、水
    酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ゼオライト、有
    機スズ化合物及びリン酸カルシウムからなる群から選ば
    れる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請
    求項1に記載の金属管被覆用発泡性ポリエチレン樹脂組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003073492A (ja) * 2001-08-30 2003-03-12 Tosoh Corp 発泡性樹脂組成物及びその用途
JP2007261267A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Brugg Rohr Ag Holding 熱絶縁された導管

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