JP3972067B2 - 希土類三二カルコゲナイド焼結体およびその製造方法ならびに希土類三二カルコゲナイド粉末およびその製造方法 - Google Patents

希土類三二カルコゲナイド焼結体およびその製造方法ならびに希土類三二カルコゲナイド粉末およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、希土類三二カルコゲナイド焼結体およびその製造方法ならびに希土類三二カルコゲナイド粉末およびその製造方法に関し、例えば、熱電変換材料に適用して好適なものである。
従来より、組成式Ln2 3 (ただし、LnはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素(ランタノイド元素))で表される希土類三二硫化物は、耐熱材料、着色原料、遠赤外線透過材として研究されており、近年は、その高い熱電特性から(特許文献1)、熱電変換材料として研究・開発が進められている。
特開2001−335367号公報
この希土類三二硫化物材料は、微量の不純物酸素を含んだ組成式Ln2 3 で示されるβ型の粉末を、真空中において1600〜2000Kでβ相が消滅しない処理時間内で焼結することにより得られる(特許文献1)。しかしながら、これらの材料は電気伝導性が低いため、性能指数が低い値にとどまり、実用的ではない。そこで、β型La2 3 粉末に、電気伝導性を付与する物質として金属パラジウムを添加し、1200〜1500℃で焼結することにより、抵抗率が100kΩ・cm以下の材料を得る方法が提案されている(特許文献2)。
特開2003−258322号公報
一方、組成式Ln2 3 で表される希土類三二硫化物の結晶構造は、斜方晶、正方晶、立方晶が知られている。この中で、正方晶と立方晶の希土類三二硫化物は、耐熱材料(例えば、非特許文献1)、着色顔料(例えば、特許文献3〜6)、遠赤外線透過材(例えば、非特許文献2)や誘電体材料、そして熱電変換材料(例えば、非特許文献1、3)としての利用が期待されている。
平井伸治、嶋影和宜、上村揚一郎、「ランタノイド系二元系硫化物の合成と 焼成」、金属、2000年8月、70巻、629−636ページ 特表2000−505039号公報 米国特許第5348581号明細書 米国特許第5401309号明細書 米国特許第5501733号明細書 Prashant N. Kumta, Subhash H. Risbud, "Low-temperature chemical routes to formation and IR properties of lanthanum sesquisulfide (La2S3) ceramics", Journal of Materials Research, January 1993, Vol.8, No.6, pp.1394-1410 C. Wood, A. Lockwood, J. Parker, A. Zoltan, D. Zoltan, L. R. Danielson, V. Raag, "Thermoelectric properties of lanthanum sulfide", Journal of Applied Physics, August 15, 1985, Vol.58, No.4, pp.1542-1547
また、希土類三二硫化物の製造方法として、(1)希土類金属と硫黄とを直接反応させる方法や、(2)希土類塩または希土類酸化物Ln2 3 を準備して、硫化水素または二硫化炭素と反応させる方法が知られている(非特許文献4)。(1)の方法は、希土類金属が大気中ではすぐに酸化するため、取り扱いが困難である。そのため、一般には(2)の方法が用いられる。(2)の方法の中でも、より大きなギブスエネルギー利得があり、低温かつ短時間で硫化合成が可能な二硫化炭素ガスが用いられることが多い。しかしながら、二硫化炭素ガスが分解したときに生成する炭素が、合成粉末中に残留することが問題となる。
足立吟也編集、「希土類の科学」、株式会社化学同人、1999年、 399−425ページ
正方晶の希土類三二硫化物は、1300℃以上の温度で立方晶の希土類三二硫化物に不可逆相変態する。そのため、立方晶の希土類三二硫化物のみからなる単相粉末を製造するためには、1300℃以上の高温が必要とされる。
正方晶の希土類三二硫化物の硫黄は、組成式Ln1014Oを上限に、酸素と置き換わることができる。さらに、この酸素の存在は、1300℃を超えても正方晶を安定にする。このため、立方晶の希土類三二硫化物のみからなる単相粉末を製造することは非常に困難である。
しかしながら、非特許文献5、6によると、セリウムの塩に所定値以上のジスプロシウムまたはエルビウムの塩を混合して、硫化水素と反応させると、800℃の温度から立方晶のセリウム三二硫化物を得ることができる。さらに、非特許文献7によると、組成式Ce2 (C2 4 3 で表されるセリウムのシュウ酸塩に、組成式Na2 2 4 で表されるナトリウムのシュウ酸塩を混合した粉末を硫化水素と反応させると、800℃の温度で立方晶のセリウム三二硫化物単相を得ることができる。
F. Marrot, A. Mosset, J.C. Trombe, P. Macaudiere, P. Maestro, "The stabilization of γ-Ce2S3 at low temperature by heavy rare earths", Journal of Alloys and Compounds, August 22, 1997, Vol.259, No.1-2, pp.145-152 S. Romero, A. Mosset, J. C. Trombe, P. Macaudiere, "Low-temperature process of the cubic lanthanide sesquisulfides: remarkable stabilized of the γ-Ce2S3 phase",Journal of Materials Chemistry, August, 1997, Vol.7, No.8, pp.1541-1547 S. Romero, A. Mosset, J. C. Trombe, "Study of ternary and quaternary systems based on γ-Ce2S3 using oxalate complexes: stabilization and coloration", Journal of Alloys and Compounds, March 1, 1998, Vol.269, No.269, No.1-2, pp.98-106
非特許文献8によると、希土類塩として、組成式Ce2 [(O2 C(CH2 )CO2 )]3 で表されるマロン酸塩、組成式Ce2 [ O2 C(CH2 2 CO2 ] 3 で表されるコハク酸塩、組成式Ce2 [ O2 C(CH2 3 CO2 ] 3 で表されるグルタミン酸塩、または組成式Ce(CH3 CO2 3 で表される酢酸酸など、炭素の量がセリウムと比べて4.
5倍以上含む塩を準備して、二硫化炭素と反応させた場合、800℃の温度から立方晶のセリウム三二硫物を得ることができる。さらに、Ce(NO3 3 で表される硝酸塩など、炭素の量がセリウムと比べて4. 5倍以下の塩の場合でも、所定量以上のシリコンを混合させることで、800℃の温度から立方晶のセリウム三二硫化物を得ることができる。
S. Romero, A. Mosset, P. Macaudiere, J. C. Trombe, "Effect of some dopant elements on the low temperature formation of γ-Ce2S3", Journal of Alloys and Compounds, April 28, 2000, Vol.302, No.1-2, pp.118-127
非特許文献9によると、800℃から950℃の温度範囲で希土類金属と硫黄とを直接反応させる方法で作製した希土類三二硫化物粉末を、次に、室温でメカニカル・ミーリングすることによって、立方晶の希土類三二硫化物粉末(Ln=Er、Tm、Yb、Luのみの報告) を得ることができる。しかしながら、この粉末は、粉砕用ボールや粉砕機の磨耗により混入した不純物を多く含んでいる。特に、この方法に関しては、X線回折法においても不純物相が確認できるほど、他の方法と比べて不純物の量が非常に多い。
S. H. Han, K. A. Gschneidner, Jr., B. J. Beaudry, "Preparation of the metastable high pressure γ-R2S3 phase (R≡Er, Tm, Yb, and Lu) by mechanical milling", Journal of Alloys and Compounds, April 3, 1992, Vol.181, No.1-2, pp.463-468
すなわち、ナトリウム、炭素、シリコン、他の希土類金属、または粉砕用ボールや粉砕機の磨耗による不純物の混入を許すのであれば、相変態温度より低い800℃の温度で立方晶の希土類三二硫化物を得ることができることになる。
これまで、粉末の合成方法について記述してきたが、立方晶の希土類三二硫化物焼結体を得るにも、製造過程のどこかで1300℃以上の温度を要する。すなわち、立方晶の希土類三二硫化物の焼結体を得るためには、1300℃以上で合成された立方晶の希土類三二硫化物粉末を焼結するか、1300℃以下の温度で合成された正方晶の希土類三二硫化物粉末を用いて焼結するのであれば1300℃以上の温度で焼結する必要がある。
さらに、焼結体を作製する場合、前述したとおり出発粉末として正方晶の希土類三二硫化物粉末を用いるときは、含まれる酸素の量がある一定量を超えると、相変態温度が1300℃以上に上昇する。
なお、非特許文献10には、LaMnS3 を対応する3元酸化物をCS2 により高温で硫化することで合成することが報告されているが、このLaMnS3 は希土類三二硫化物ではなく、Mnの含有量も18.9重量%と多い。
T. Takahashi, T. Oka, O. Yamada, and K.Ametani, "SYNTHESIS AND CRYSTALLOGRAPHIC PROPERTIES OF LANTHANUM TRANSITION METAL SULFIDES LaMS3; M=Cr,Mn,Fe, and Co", Mat. Res. Bull. Vol.6, pp.173-182, 1971
上述のように、従来の希土類三二硫化物材料の製造方法では、高い性能指数を得るためには、いずれも1200℃以上の温度で焼結し、電気抵抗を低減させる必要があった。しかしながら、同時にゼーベック係数も低下する傾向があり、高い性能指数を得ることは難しかった。また、1300℃以上に加熱する場合、β相(正方晶)からγ相(立方晶)への相変態が起こることから、この相変態を制御することが重要であるが、この相変態は不純物酸素量、添加物の種類と量、加熱温度、加熱プログラム、加熱時の加圧などの多くの因子の影響を受け、実際には制御することは大変難しい。工業的には低温で所望の材料が作製できることが望ましい。
一方、立方晶の希土類三二硫化物単相、正方晶の希土類三二硫化物単相、これらの立方晶の希土類三二硫化物と正方晶の希土類三二硫化物との混合晶は、熱電変換材料をはじめ、顔料、誘電体、遠赤外線透過材としての実用化が期待されている材料である。しかしながら、この材料を製造する過程において、炭素をはじめとして多くの不純物が混入することが避けられない。これらの不純物の存在は、電気的特性や機械的特性に影響を及ぼし、希土類三二硫化物の優れた特徴を低下させてしまう。特に、出発粉末に含まれる炭素は、焼結体の結晶成長を抑制する。結晶粒が微細であると、緻密な焼結体は得られ難いし、さらに粒界でのキャリア散乱が頻繁に起きて、抵抗が上昇し熱電変換特性が低下する。
さらに、希土類三二硫化物の相を制御して製造することも、実用化を図る上で重要である。特に、立方晶の希土類三二硫化物単相の製造に関しては、1300℃以上もの高い温度が必要となる。このため、生産コスト面や安全性から、立方晶の希土類三二硫化物粉末および焼結体を低温で製造する方法が要求される。
確かに、多くの炭素を含んだ塩を用いたり、シリコンまたは炭素を多く含んだアルカリ金属塩または炭素を多く含んだ他の希土類塩を用いたりすれば、800℃という低温で立方晶の希土類三二硫化物粉末を合成することができる。さらに、多くの不純物が混入することを許すのであれば、800℃から950℃程度の前処理の後、室温でメカニカル・ミーリングすることによって、立方晶の希土類三二硫化物粉末を得ることが可能である。しかしながら、これらの不純物、特に前述したように炭素は立方晶の希土類三二硫化物の優れた性能を低下させる危険性を含むため、望ましくない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、原料粉末の製造温度よりも低温で焼結することにより相変態の影響を回避することができ、しかも抵抗率が低くて電気伝導性に優れ、熱電変換材料に用いて好適な希土類三二硫化物焼結体、より一般的には希土類三二カルコゲナイド焼結体およびその製造方法を提供することにある。
この発明が解決しようとする他の課題は、残留する不純物、特に炭素の量を極力減らすことにより、緻密で、抵抗率が低くて電気伝導性に優れた希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる希土類三二カルコゲナイド粉末、希土類三二カルコゲナイド焼結体およびそれらの製造方法を提供することにある。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、相変態温度よりも低温で立方晶の希土類三二硫化物、より一般的には希土類三二カルコゲナイド粉末および焼結体を得ることができる希土類三二カルコゲナイド粉末、希土類三二カルコゲナイド焼結体およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、希土類三二硫化物粉末にMnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結を行うことにより、原料粉末の製造温度よりも低温で焼結しても、十分に抵抗率が小さい希土類三二硫化物焼結体を製造することができ、焼結温度が原料粉末の製造温度よりも低温であることにより相変態の影響を回避することができることを見い出した。さらに検討を行った結果、Mnだけでなく、一般には、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつ硫化物を形成しにくい物質を添加することにより同様な効果を得ることができるという結論に至った。
一方、希土類三二硫化物粉末の製造時に、硫黄の原料として炭素を含むものを用いる場合には、粉末に不純物として炭素が残留する問題が不可避であるが、種々検討を行った結果、この問題を解決するためには、粉末を水素ガスを用いて処理することにより残留炭素量を0.3重量%以下にすることが最も有効であることを見い出した。
また、相変態温度よりも低温で立方晶の希土類三二硫化物粉末を得るためには、粉末の原料にNaなどのアルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して合成を行うことが有効であることを見い出した。
さらに、以上のことは、希土類三二硫化物に限定されるものではなく、より一般には、希土類三二カルコゲナイド全般についても成立し得るものであるという結論に至った。この場合、上記の600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつ硫化物を形成しにくい物質は、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質となる。
この発明は、上記の検討に基づいて案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第2の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第1および第2の発明において、希土類三二カルコゲナイド焼結体は、好適には、希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結される。
第3の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下添加し、上記希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
第1〜第3の発明において、組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドの一部に、組成式Ln2 3 (ただし、LnはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素(ランタノイド元素))で表される希土類三二硫化物が含まれる。AまたはLnとしては、1種の希土類元素だけを含む場合が一般的であるが、必要に応じて上記の希土類元素から選ばれた2種以上の希土類元素を含む。2種以上の希土類元素を含む例を挙げると、LaとSmとを含むものである(例えば、AまたはLn=La0.4 Sm0.6 )。
上記の600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を添加するのは、主として焼結時に固化を促進するためである。ここで、この物質の融点を600℃以上としたのは、固化の促進を図る観点からは焼結時にこの物質が融解しない方が望ましいところ、希土類三二カルコゲナイドの種類によっては焼結を600℃程度の温度で行うことがあるためである(例えば、Eu2 3 )。また、この物質の融点を1300℃以下としたのは、1300℃以上の焼結温度ではこの物質を添加するまでもなく固化が進むためである。また、焼結を例えば800℃で行う場合、この物質としては、800℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくいものが用いられる。この物質としては、具体的には、例えば、Mn、Cu、Be、AuおよびUからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素からなるものが用いられるが、同様な効果がある限り、他の元素からなるものを用いることも可能である。この物質の添加量を0.1重量%以上10重量%以下とするのは、0.1重量%より少ないと希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結体を製造することが不可能であり、10重量%より多いと焼結体を製造することができるものの抵抗率が増大してしまうためである。この物質は、より低温で焼結体を製造することができ、しかも抵抗率を低く抑える観点より、好適には、0.1重量%以上4重量%以下添加する。
希土類三二カルコゲナイド焼結体を希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結する場合、その焼結温度は、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質の添加量によっても異なるが、一般に、この物質を添加しない場合に比べて数百℃程度は低くすることが可能である。この焼結温度は、例えば800℃以下とすることができる。この焼結温度の低温化により、例えば、抵抗率を10Ω・m以下とすることができる。
希土類三二カルコゲナイド焼結体の相対密度は、焼結温度を同一とした場合、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質の添加量が増加すると増加する傾向にあり、それに伴って抵抗率も減少する。この相対密度は、一般には60%以上である。
第4の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末を焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第5の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第4および第5の発明において、希土類三二カルコゲナイド焼結体は、好適には、600℃以上2400℃未満の温度で焼結される。
第6の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末を600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
第4〜第6の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して述べたことが成立する。
第7の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第8の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第9の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
第7〜第9の発明において、アルカリ金属としては、好適にはNaやKが用いられる。このアルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下、好適には5.0重量%以上13重量%以下添加することにより、相変態温度よりも低温で立方晶の希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる。このアルカリ金属は、典型的には塩または硫化物の形で添加する。アルカリ金属の塩または硫化物としては、組成式Na2 CO3 で表される炭酸塩、組成式Na2 Sで表される硫化物、組成式Na2 4 で表される硫化物などが挙げられる。
第10の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末である。
第11の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残留炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法である。
第12の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有し、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末である。
第13の発明は、
組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法である。
第13の発明において、希土類三二カルコゲナイドが組成式A2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素)で表される希土類三二硫化物である場合、その製造方法は、典型的には、希土類元素の原料とアルカリ金属の塩または硫化物とを混合し、硫化水素または二硫化炭素のガスを用いて300℃以上1500℃以下の温度で硫化合成することにより、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二硫化物粉末を合成する工程と、希土類三二硫化物粉末の残留炭素の含有量が0.3重量%以上である場合に希土類三二硫化物粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去する工程とを有する。
第7〜第13の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第6の発明に関連して述べたことが成立する。
また、第4〜第13の発明において、第1〜第3の発明と同様に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質、例えばMnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結するようにしてもよい。
上記の希土類三二カルコゲナイド焼結体は、熱電変換材料として用いて好適なものである。
上述のように構成された第1〜第3の発明においては、希土類三二カルコゲナイド粉末に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質、例えばMnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結しているため、希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結しても、十分に高い相対密度を得ることができ、それによって低い抵抗率を得ることができる。また、焼結温度を低くすることができるため、相変態を抑えることができる。
また、第4〜第6の発明においては、希土類三二カルコゲナイド焼結体が含有する不純物としての炭素が0.3重量%未満であることにより、焼結時の結晶粒の成長が良好に行われて結晶粒が十分に大きくなり、緻密な焼結体を得ることができる。また、粒界でのキャリア散乱も減少し、抵抗率が低くなる。
また、第7〜第9の発明においては、希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有させているため、低温でも立方晶の希土類三二硫化物粉末の製造が促進される。
また、第10〜第13の発明においては、希土類三二カルコゲナイド粉末が含有する不純物としての炭素が0.3重量%未満であることにより、焼結時に焼結体の結晶成長を良好に行うことができ、それによって大きな結晶粒を得ることができ、緻密な焼結体を得ることができる。
この発明によれば、相変態の影響を回避することができ、しかも抵抗率が低くて電気伝導性に優れ、熱電変換材料に用いて好適な希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる。
また、希土類三二カルコゲナイド焼結体あるいは希土類三二カルコゲナイド粉末中の炭素の含有量が極めて少ないため、緻密で電気的性質や機械的性質に優れた希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる。
また、アルカリ金属の添加により、相変態温度よりも低温で、例えば800℃程度の温度で立方晶の希土類三二カルコゲナイド粉末および焼結体を得ることができる。
以上の希土類三二カルコゲナイド焼結体は、例えば、温度差を利用したクリーンエネルギーの発電材料として、宇宙船等での補助電源、ペルチェ効果を利用した電熱器、小型冷凍機、放熱板等に利用することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
この発明の第1の実施形態においては、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質としてMnを用い、このMnを希土類三二硫化物粉末に0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結することにより希土類三二硫化物焼結体を製造する。この希土類三二硫化物焼結体の製造方法は、より具体的には次のとおりである。
すなわち、この希土類三二硫化物焼結体を製造するには、粒径が10マイクロメートル未満、不純物酸素量が1重量%未満の希土類三二硫化物粉末に、純度99.9%以上、粒径が10マイクロメートル未満のMn粉末を0.1重量%以上10重量%以下添加・混合して、希土類三二硫化物粉末の製造温度よりも低温で焼結する。
希土類三二硫化物粉末の粒径は、小さい方が焼結による高密度化を達成しやすい反面、不純物酸素の量が多くなり、10マイクロメートルよりも大きくなると低温で焼結した場合、固化が困難となる。Mnの添加量に関しては、0.1重量%より少ないと低温で焼結体を作製することは不可能であり、10重量%より多いと、焼結体は作製できるが、抵抗率が増大してしまう。Mn粉末の粒径は、サブミクロン以下の場合、凝集が強く、均一混合が難しいため、サブミクロンより十分に大きくするのが望ましいが、逆に10マイクロメートル以上では、微量添加の場合に均一分散が難しくなる。Mnの添加・混合に際しては、原料粉末の酸化を防ぐため、不活性ガス中で行うことが望ましい。
次に、このようにMnを添加・混合した粉末を焼結する。焼結方法は、常圧焼結、ホットプレス焼結、放電プラズマ焼結、熱間等方静水圧成形などいずれの焼結方法でもかまわないが、酸化を防ぐため、雰囲気は真空、あるいは不活性ガス中で行う。密度が高い焼結体を低温で得るためには、焼結中に粉末成形体を加圧することが望ましい。ホットプレス法、放電プラズマ焼結法では、10〜70MPaの圧力を加える。昇温速度は、1℃毎分から200℃毎分程度で行う。より高緻密化を望むのであれば、昇温速度は、1℃毎分から50℃毎分程度が好ましい。焼成時間は、高密度化が達成されれば短時間でもかまわないが、焼結体の均質性の観点からは30分程度は行うことが望ましい。粉末をその製造温度以上に加熱して焼結すると、密度の高い焼結体が得られるが、相変態が起こる可能性が高くなり、原料粉末本来の特性を生かすことができない。
以上のようにして、目的とする希土類三二硫化物焼結体が製造される。
この第1の実施形態によれば、Mnを希土類三二硫化物粉末に0.1重量%以上10重量%以下添加して、希土類三二硫化物粉末の製造温度よりも低温で焼結することにより希土類三二硫化物焼結体を製造するので、希土類三二硫化物粉末の製造温度よりも低温で焼結したにもかかわらず、Mn無添加の希土類三二硫化物粉末をその製造温度よりも500℃程度高い温度で焼結した希土類三二硫化物焼結体と同等の低い抵抗率を有する希土類三二硫化物焼結体を得ることができる。
実施例1〜3
製造温度840℃のLa2 3 粉末(酸素含有量0.9%、高純度化学株式会社製)に、Mn粉末(純度99.9%)を0.24重量%添加・混合し、グラフォイルにより内張をした内径15mmのカーボン製のダイス中にこの粉末約2gを充填し、放電プラズマ焼結装置を用いて焼結を行った。真空(例えば<1.0×10-2Pa)雰囲気中、粉末に50MPaの圧力を加える、800℃にて30分間焼結を行い、試料1を得た。ダイスから焼結体を取り出し、質量と直径、厚さを測定したところ、厚さは約3.6mmでかさ密度は3.34g/cm3 であった。4端子法により電気抵抗を測定したところ、抵抗率は6.97Ω・mであった(実施例1)。Mn添加量を増加させると、同じ800℃で焼結した場合、焼結体密度は増加し、抵抗率は減少する(実施例2)。また、より低温での焼結も可能となり、低い抵抗率が得られる(実施例3)。
なお、La2 3 粉末は、例えば、La2 3 を1023〜1273KにおいてCS2 ガスで1.8〜28.8ksの時間硫化することにより製造することができる。
表1に示すとおり、Mnを添加しないと、800℃では固化した焼結体は得られない(比較例4)。Mn無添加の場合、焼結温度を高くすると高密度化が進み、焼結体が得られるが、絶縁体であり(比較例5、6)、試料1と同程度の抵抗率の試料を作製するためには1300℃での焼結が必要であり(比較例8)、あるいは焼結体は得られても絶縁体である。また、Mn添加量が0.1重量%より低いと800℃では固化した焼結体は得られないか(比較例9)、固化した焼結体は得られるが、絶縁体である。また、Mn添加量が10重量%よりも多くなると、抵抗率が高くなる(比較例10)。Mn添加量が0.1〜10重量%でも、粉末の製造温度よりも高い温度で焼結すると、密度の高い焼結体は得られるが、抵抗率が高くなる(比較例11、12)。
表1より、少なくともMn添加量が0.24〜3.4重量%の範囲内では、焼結温度が800〜750℃と非常に低いにもかかわらず、相対密度65〜62%、抵抗率6.97〜5.78Ω・mが得られている。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態においては、希土類三二硫化物粉末を製造した後に、水素雰囲気を用いて不純物炭素を除去して、不純物炭素濃度を0.3重量%未満に低下させた希土類三二硫化物粉末を製造する。ここで、不純物炭素は、出発原料に希土類金属のシュウ酸塩やマロン酸塩、コハク酸塩、グルタミン酸塩、酢酸酸などを用いた場合、さらに硫化ガスとして二硫化炭素ガスを用いた場合に、硫化合成粉末に含まれる。
不純物として炭素を含有した希土類三二硫化物粉末から、アンモニアガスを用いて、炭素を除去する方法について説明する。簡単に説明すれば、炭素が残留した希土類三二硫化物粉末を加熱管の中に入れて、アンモニアガスを流しながら1000℃程度まで温度を上げることにより、残留炭素をメタン炭化水素ガスとして除去することができる。加熱温度が1000℃以上であると、メタン炭化水素ガスの生成が困難になる。好ましくは、800℃以下の温度が望ましい。
例として、La2 3 から残留炭素を除去する方法を示す。図1に、それぞれの反応の標準自由エネルギーの温度依存性を示す。反応は、標準自由エネルギーが負のときに右に進行し、正のときに左に進行する。炭素が残留したLa2 3 粉末を加熱管の中に入れて、アンモニアガスを流しながら温度を上げたとき、アンモニアガスは標準自由エネルギーの計算式(1)から、200℃付近の温度で窒素ガスと水素ガスとに分離する。分離した水素ガスは、標準自由エネルギーの計算式(2)から、600℃付近の温度まで残留炭素と反応し、メタン炭化水素ガスを生成することが分かる。一方で、標準自由エネルギーの計算式(3)から、La2 3 は、アンモニアガスから分離した水素ガスとは反応しないことが分かる。
硫化合成する場合の出発原料としては、炭素を含まない希土類酸化物Ln2 3 を用いるのが望ましい。好ましくは、この工程で取り除く炭素は、二硫化炭素の分解によって合成粉末に残留する炭素に限ったほうが良い。二硫化炭素を用いた希土類三二硫化物粉末の合成は、低温でかつ簡便に行える利点があるが、一方で、二硫化炭素を用いている限り、残留炭素の混入は防げない。硫化合成温度を低下させると、不純物炭素濃度を低くすることができるが、一方で立方晶への相変態を妨げる不純物酸素濃度が増加する。不純物酸素濃度を0.2重量%程度に抑えると、0.3重量%以上の不純物炭素を含むことになるので、上記の方法を用いて不純物炭素濃度を0.3重量%未満に抑える。
次に、炭素の含有量が少なくて、かつ低温で製造される立方晶の希土類三二硫化物粉末の製造方法について説明する。この方法では、希土類金属の塩または酸化物に、アルカリ金属の塩または硫化物の粉末を添加した混合粉末を硫化水素ガスまたは二硫化炭素ガスと反応させて、立方晶の希土類三二硫化物粉末を製造する。
硫化水素ガスまたは二硫化炭素ガスとの反応は、300℃から1500℃の温度範囲で行う。1500℃以上では、アルカリ金属の添加なしでも立方晶の希土類三二硫化物粉末を製造することが可能である。300℃以下の温度では、硫化水素ガスまたは二硫化炭素ガスは分解しないので、硫黄雰囲気にすることができない。
添加するアルカリ金属の量は、1.0重量%以上20重量%以下が望ましい。アルカリ金属の量が1.0重量%より少ないと、アルカリ金属添加の効果が期待できず、また、20重量%を超えると、希土類金属Ln、硫黄とアルカリ金属とが他の化合物を作る恐れがある。アルカリ金属は、組成式A2 Sで表わされる硫化物、または組成式A2 4 で表わされる硫化物の形で添加されることが望ましい。あるいは、微量な炭素不純物を含む組成式A2 CO3 で表される炭酸塩の形で添加しても良い。添加されたアルカリ金属は、低温で立方晶の希土類三二硫化物粉末の製造を促進する。
出発原料としては、炭素を含まない希土類酸化物Ln2 3 用いるのが望ましい。
従来のように、出発原料に希土類金属のシュウ酸塩やマロン酸塩、コハク酸塩、グルタミン酸塩、酢酸酸などを用いて、または、アルカリ金属の添加に炭素を多く含むシュウ酸塩を用いて製造する場合でも、上記に示した不純物炭素を除去する工程を行えば良い。
低温で立方晶の希土類三二硫化物焼結体を製造するには、上記の方法を用いて低温で製造され、かつ炭素濃度が低い立方晶の希土類三二硫化物粉末を用いる。焼結のための加熱処理は、不揮発性ガス中もしくは、真空中で、600℃以上2400℃以下の温度範囲で行う。希土類三二硫化物の融点は2400℃付近である。理論密度に近い焼結体を必要とする場合は、1000℃以上2400℃以下の温度範囲で焼結を行うことが望ましい。さらに、焼結方法は、ホットプレス焼結、パルス通電焼結、熱間等方加圧式焼結法などの加圧焼結法や、加圧をしない常圧焼結法のいずれでも良い。理論密度に近い焼結体を必要とする場合は、加圧焼結法、または70MPa以上の圧力で押し固められた圧粉体を用いることが望ましい。
低温で立方晶の希土類三二硫化物焼結体を製造するには、添加物を使用しないで製造された正方晶などの立方晶ではなく、かつ上記の工程で炭素濃度を低下させた希土類三二硫化物粉末にアルカリ金属の塩やアルカリ金属を含む化合物を混合した粉末を出発原料として用いることもできる。この場合、アルカリ金属の塩やアルカリ金属を含む化合物としては、不純物の含有量が少ないアルカリ金属の硫化物やアルカリ金属の炭酸塩が望ましく、アルカリ金属の添加量の範囲は1.0重量%から20重量%である。
出発原料として用いる立方晶ではない希土類三二硫化物粉末は、1500℃以下の温度で製造されることが望ましい。1500℃以上の温度であると、出発原料は立方晶に相変態してしまう。さらに、立方晶ではない希土類三二硫化物粉末は、正方晶である場合、不純物酸素を、Ln1014Oを上限に含有しているが、不純物炭素の含有量は上記の工程を用いて0.3重量%未満にしてある。
焼結のための加熱処理は、不揮発性ガス中もしくは、真空中で、600℃以上2400℃以下の温度範囲で行う。希土類三二硫化物の融点は2400℃付近である。理論密度に近い焼結体を必要とする場合は、1000℃以上2400℃以下の温度範囲で行うことが望ましい。
焼結方法は、ホットプレス焼結、パルス通電焼結、熱間等方加圧式焼結法などの加圧焼結法や、加圧をしない常圧焼結法のいずれでも良い。理論密度に近い焼結体を必要とする場合は、加圧焼結法、または70MPa以上の圧力で押し固められた圧粉体を用いることが望ましい。
実施例4
合成の出発粉末となる純度99.99%のLa2 3 粉末を石英ボートに乗せて電気炉内に挿入し、アルゴンガス雰囲気中で750℃から1050℃の間の所定の温度まで加熱し、二硫化炭素液体から気化させた二硫化炭素ガスを、アルゴンガスを搬入ガスとして用いて電気炉内に導入し、8時間硫化を行った。粉末X線回折法により、反応後の粉末が正方晶のLa2 3 単相であることを確認した。組成について、希土類金属をキレート滴定法により、さらに、硫黄と炭素はLECO社製の同時分析装置CS−444LS型、酸素は同社の分析装置TC−436型により求めた。結果を表2に示す。残留酸素量は、温度とともに減少する一方で、二硫化炭素が分解し製造された残留炭素の量は、温度の上昇とともに増加した(非特許文献1)。さらに、合成した粉末の平均粒径を、脱水アルコールを用いたレーザ回折法を用いて調べたところ、表3のようになった。平均粒径は、焼結温度の上昇とともに大きくなった。ここで、出発粉末であるLa2 3 の平均粒径は0.6μmであった。
所定の温度で合成した粉末を、それぞれ1.0g ずつ取り分け、内径が10mmの黒鉛筒にいれて、一軸方向から50MPaの圧力を加えながら、10-2Pa以下の真空中で、1300℃の温度で1時間保持するプラズマ焼結法により、焼結体を製造した。パルス通電焼結に用いた装置は、住友石炭鉱業株式会社のSPS511Sである。室温から600℃まで6分で昇温させ、さらに600℃から1300まで毎分25℃の速度で昇温させた。降温は、1300℃から600℃までは毎分50℃の速度で行い、それ以降は自然冷却させた。さらに、750℃で合成した粉末に0.2重量%の炭素を混合した混合粉末を、同様の手順で焼結した。
得られたすべての焼結体の一部を切断した後、それぞれ砕いて粉末にした。それらの粉末を用いて粉末X線回折を行った結果、すべて正方晶のランタン三二硫化物単相のままであることを確認した。さらに、得られた焼結体の表面を、1μmのダイアモンドペーストを用いて研磨し、その後研磨面を数秒の間塩素に浸すことによって腐食させた。図2に、腐食後の表面を、偏光顕微鏡で観察した写真を示す。焼結体の結晶粒径は、出発原料の粉末粒径が大きくなるにもかかわらず、合成温度が高いほど微細となった。さらに、1023Kの低温合成粉末(粒径:2.2μm、炭素濃度:0.02重量%)に0.2重量%の炭素を混合し、焼結した場合も、一部に炭素の不均一な混合に起因した結晶粒の成長は見られるものの、全体として結晶粒の成長は見られなかった(図2(d)を参照)。これらの結果から、不純物炭素の存在が、焼結体における結晶粒の成長を抑制していることが明らかとなった。
実施例5
純度99.99%のLa2 3 粉末0.94gにNa2 S粉末を0.06g添加した混合粉末(イ)、同じLa2 3 粉末0.92gにNa2 CO3 粉末を0.08g添加した混合粉末(ロ)、同じLa2 3 粉末0.92gにK2 S粉末を0.08g添加した混合粉末(ハ)を、それぞれ石英ボートに乗せて電気炉内に挿入し、アルゴンガス雰囲気中で800℃から850℃の間の所定の温度まで加熱し、二硫化炭素液体から気化させた二硫化炭素ガスを、アルゴンガスを搬入ガスとして用いて電気炉内に導入し、8時間硫化合成を行った。
図3に、(イ)の粉末を800℃で硫化合成した粉末(ニ)、(ロ)の粉末を850℃で合成した粉末(ホ)、(ハ)の粉末を800℃で硫化合成した粉末(へ)、のX線回折像を示す。図3に示すように、すべての粉末において、立方晶の相のピークが非常に強く観察されているが、不純物として若干の組成式La2 2 Sで表されるランタンのオキシ硫化物が観測されている。この不純物の生成は、アルゴンガスや二硫化炭素ガスの純度を向上させることによって回避できる。正方晶から立方晶への相変態温度は1300℃である。すなわち、アルカリ金属の添加により、相変態温度よりも500℃程度低い温度で立方晶の粉末が得られることが分かった。さらに、アルカリ金属の硫化物や、炭素量の少ない炭酸塩を用いることによって、粉末に残留する炭素の量を少なくすることができる。さらに、800℃程度の温度では、表2から分かるように、二硫化炭素から分離して残留する炭素量も少ない。
これらの粉末をそれぞれ1.0gずつ取り分け、内径が10mmの黒鉛筒にいれて、一軸方向から50MPaの圧力を加えながら、10-2Pa以下の真空中で、800℃から1300℃までの間の所定の温度に1時間保持するプラズマ焼結法により焼結体を製造した。パルス通電焼結に用いた装置は、住友石炭鉱業株式会社のSPS511Sである。室温から600℃まで6分で昇温させ、さらに600℃から所定の温度まで毎分25℃の速度で昇温させた。降温は、所定の温度から600℃までは毎分50℃の速度で行い、それ以降は自然冷却させた。これらの焼結体の一部を砕いて、X線回折パターンを観測したところ、すべて粉末と同じ相によって形成されていることが分かった。すなわち、すべての焼結体は、立方晶の相に若干のランタンのオキシ硫化物の相が混入している結果となった。(ホ)の粉末を用いた焼結体の密度は表4のようになった。表4より、焼結温度が高いときは、理論密度に近い緻密な焼結体が得られているが、焼結温度が低いときは密度が上がっていない。
立方晶が主成分の粉末(ホ)0.95gに、マンガン粉末を0.05g添加した混合粉末(ト)1.0gを、内径が10mmの黒鉛筒にいれて、一軸方向から50MPaの圧力を加えながら、10-2Pa以下の真空中で、800℃から1000℃までの所定の温度に1時間保持するプラズマ焼結法で、焼結体を製造した。パルス通電焼結に用いた装置は、住友石炭鉱業株式会社のSPS511Sである。室温から600℃まで6分で昇温させ、さらに600℃から所定の温度まで1分につき25℃の速度で昇温させた。降温は、所定の温度から600℃までは50℃の速度で行い、それ以降は自然冷却させた。これらの焼結体の一部を砕いて、X線回折パターンを観測したところ、焼結体は立方晶の相を主成分として若干の酸硫化物の相が混入している結果となった。この焼結体の密度を測定したところ、低温で理論密度に近い焼結体が得られたことがわかった(表4を参照)。
実施例6
850℃の温度でLa2 3 をCS2 ガスで硫化して合成した、結晶構造が正方晶のLa2 3 を出発粉末として用意した。この粉末に、3重量%以上10重量%以下のNa2 CO3 を添加した混合粉末1.0gを、内径が10mmの黒鉛筒にいれて、一軸方向から50MPaの圧力を加えながら、10-2Pa以下の真空中で、800℃の温度に1時間保持するプラズマ焼結法により焼結体を製造した。パルス通電焼結に用いた装置は、住友石炭鉱業株式会社のSPS511Sである。室温から600℃まで6分で昇温させ、さらに600℃から800℃まで毎分25℃の速度で昇温させた。降温は、800℃から600℃までは毎分50℃の速度で行い、それ以降は自然冷却させた。
製造した焼結体の一部を砕いてX線回折像を観測した結果を図4に示す。図4より、炭酸ナトリウムの添加量が3重量%程度でも立方晶の相が確認できる。8重量%添加した焼結体においては、立方晶の相を主成分としているが、不純物であるランタンのオキシ硫化物相も多い。この不純物のランタンのオキシ硫化物相は、焼結時における雰囲気を調整することによって消滅させることができる。
実施例7
不純物炭素の除去の実施例を示す。
不純物炭素の除去は、まず、反応管の中に、1323Kの温度で8時間を費やしCS2 ガス硫化法で合成した粉末(不純物炭素濃度:0.31重量%)3gを入れたアルミナボートを挿入し、10-2Pa以下の真空に引いた。その後、所定の温度まで昇温させ、窒素ガスを搬送ガスとしてNH3 ガスを反応管の中に導入し不純物炭素の除去を行った。
図1に示された理論計算の結果では、炭素除去は400〜900Kの温度が必要となるが、実際には1273K程度の温度を要した。X線回折パターンの結果から、炭素の除去の前後では、正方晶La2 3 (β−La2 3 )が主成分であることが確認された。図5Aに、1323Kの温度で8時間を費やしCS2 ガス硫化法で合成した粉末を示し、図5Bに、1273Kの温度でNH3 ガスを1時間流し、炭素を除去した後の粉末を示す。合成直後の粉末の色は、不純物炭素で黒ずんでいるものの、NH3 ガスで処理することによって、正方晶La2 3 本来の色である鮮やかな黄色になる。
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、材料、原料、プロセス等を用いてもよい。
アンモニアを用いた残留炭素の除去工程に関する各反応式の標準自由エネルギーの温度依存性を示す略線図である。 この発明の実施例1において異なる温度で合成されたLa2 3 の粉末を1300℃で1時間焼結した焼結体を示す図面代用写真である。 この発明の実施例2においてアルカリ金属を添加して硫化合成した粉末のX線回折像を示す略線図である。 この発明の実施例3においてアルカリ金属を添加して焼結した焼結体のX線回折像を示す略線図である。 この発明の実施例7において不純物炭素の除去前後のLa2 3 粉末を示す図面代用写真である。

Claims (11)

  1. 組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体。
  2. 上記希土類三二カルコゲナイド粉末に、Mnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする請求項1記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体。
  3. 組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体。
  4. Mnを0.1重量%以上10重量%以下含有することを特徴とする請求項3記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体。
  5. 組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
  6. 上記アルカリ金属を塩または硫化物の形で添加することを特徴とする請求項5記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
  7. 上記希土類三二カルコゲナイド粉末に、Mnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結することを特徴とする請求項5記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
  8. 組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有し、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末。
  9. 組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
  10. 上記希土類三二カルコゲナイドが組成式A 2 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素)で表される希土類三二硫化物であることを特徴とする請求項9記載の希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
  11. 上記希土類元素の原料と上記アルカリ金属の塩または硫化物とを混合し、硫化水素または二硫化炭素のガスを用いて300℃以上1500℃以下の温度で硫化合成することにより、上記アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二硫化物粉末を合成する工程と、
    上記希土類三二硫化物粉末の残留炭素の含有量が0.3重量%以上である場合に上記希土類三二硫化物粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去する工程とを有することを特徴とする請求項10記載の希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
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