JP3972067B2 - 希土類三二カルコゲナイド焼結体およびその製造方法ならびに希土類三二カルコゲナイド粉末およびその製造方法 - Google Patents
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平井伸治、嶋影和宜、上村揚一郎、「ランタノイド系二元系硫化物の合成と 焼成」、金属、2000年8月、70巻、629−636ページ
足立吟也編集、「希土類の科学」、株式会社化学同人、1999年、 399−425ページ
正方晶の希土類三二硫化物の硫黄は、組成式Ln10S14Oを上限に、酸素と置き換わることができる。さらに、この酸素の存在は、1300℃を超えても正方晶を安定にする。このため、立方晶の希土類三二硫化物のみからなる単相粉末を製造することは非常に困難である。
F. Marrot, A. Mosset, J.C. Trombe, P. Macaudiere, P. Maestro, "The stabilization of γ-Ce2S3 at low temperature by heavy rare earths", Journal of Alloys and Compounds, August 22, 1997, Vol.259, No.1-2, pp.145-152 S. Romero, A. Mosset, J. C. Trombe, P. Macaudiere, "Low-temperature process of the cubic lanthanide sesquisulfides: remarkable stabilized of the γ-Ce2S3 phase",Journal of Materials Chemistry, August, 1997, Vol.7, No.8, pp.1541-1547 S. Romero, A. Mosset, J. C. Trombe, "Study of ternary and quaternary systems based on γ-Ce2S3 using oxalate complexes: stabilization and coloration", Journal of Alloys and Compounds, March 1, 1998, Vol.269, No.269, No.1-2, pp.98-106
5倍以上含む塩を準備して、二硫化炭素と反応させた場合、800℃の温度から立方晶のセリウム三二硫物を得ることができる。さらに、Ce(NO3 )3 で表される硝酸塩など、炭素の量がセリウムと比べて4. 5倍以下の塩の場合でも、所定量以上のシリコンを混合させることで、800℃の温度から立方晶のセリウム三二硫化物を得ることができる。
S. Romero, A. Mosset, P. Macaudiere, J. C. Trombe, "Effect of some dopant elements on the low temperature formation of γ-Ce2S3", Journal of Alloys and Compounds, April 28, 2000, Vol.302, No.1-2, pp.118-127
S. H. Han, K. A. Gschneidner, Jr., B. J. Beaudry, "Preparation of the metastable high pressure γ-R2S3 phase (R≡Er, Tm, Yb, and Lu) by mechanical milling", Journal of Alloys and Compounds, April 3, 1992, Vol.181, No.1-2, pp.463-468
なお、非特許文献10には、LaMnS3 を対応する3元酸化物をCS2 により高温で硫化することで合成することが報告されているが、このLaMnS3 は希土類三二硫化物ではなく、Mnの含有量も18.9重量%と多い。
T. Takahashi, T. Oka, O. Yamada, and K.Ametani, "SYNTHESIS AND CRYSTALLOGRAPHIC PROPERTIES OF LANTHANUM TRANSITION METAL SULFIDES LaMS3; M=Cr,Mn,Fe, and Co", Mat. Res. Bull. Vol.6, pp.173-182, 1971
この発明が解決しようとする他の課題は、残留する不純物、特に炭素の量を極力減らすことにより、緻密で、抵抗率が低くて電気伝導性に優れた希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる希土類三二カルコゲナイド粉末、希土類三二カルコゲナイド焼結体およびそれらの製造方法を提供することにある。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、相変態温度よりも低温で立方晶の希土類三二硫化物、より一般的には希土類三二カルコゲナイド粉末および焼結体を得ることができる希土類三二カルコゲナイド粉末、希土類三二カルコゲナイド焼結体およびそれらの製造方法を提供することにある。
一方、希土類三二硫化物粉末の製造時に、硫黄の原料として炭素を含むものを用いる場合には、粉末に不純物として炭素が残留する問題が不可避であるが、種々検討を行った結果、この問題を解決するためには、粉末を水素ガスを用いて処理することにより残留炭素量を0.3重量%以下にすることが最も有効であることを見い出した。
また、相変態温度よりも低温で立方晶の希土類三二硫化物粉末を得るためには、粉末の原料にNaなどのアルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して合成を行うことが有効であることを見い出した。
さらに、以上のことは、希土類三二硫化物に限定されるものではなく、より一般には、希土類三二カルコゲナイド全般についても成立し得るものであるという結論に至った。この場合、上記の600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつ硫化物を形成しにくい物質は、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質となる。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第1および第2の発明において、希土類三二カルコゲナイド焼結体は、好適には、希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結される。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質を0.1重量%以上10重量%以下添加し、上記希土類三二カルコゲナイド粉末の製造温度よりも低温で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末を焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
第4および第5の発明において、希土類三二カルコゲナイド焼結体は、好適には、600℃以上2400℃未満の温度で焼結される。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末を600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
第4〜第6の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して述べたことが成立する。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残留炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有し、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末である。
組成式A2 B3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法である。
第7〜第13の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第6の発明に関連して述べたことが成立する。
また、第4〜第13の発明において、第1〜第3の発明と同様に、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質、例えばMnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結するようにしてもよい。
上記の希土類三二カルコゲナイド焼結体は、熱電変換材料として用いて好適なものである。
また、第4〜第6の発明においては、希土類三二カルコゲナイド焼結体が含有する不純物としての炭素が0.3重量%未満であることにより、焼結時の結晶粒の成長が良好に行われて結晶粒が十分に大きくなり、緻密な焼結体を得ることができる。また、粒界でのキャリア散乱も減少し、抵抗率が低くなる。
また、第7〜第9の発明においては、希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有させているため、低温でも立方晶の希土類三二硫化物粉末の製造が促進される。
また、第10〜第13の発明においては、希土類三二カルコゲナイド粉末が含有する不純物としての炭素が0.3重量%未満であることにより、焼結時に焼結体の結晶成長を良好に行うことができ、それによって大きな結晶粒を得ることができ、緻密な焼結体を得ることができる。
また、希土類三二カルコゲナイド焼結体あるいは希土類三二カルコゲナイド粉末中の炭素の含有量が極めて少ないため、緻密で電気的性質や機械的性質に優れた希土類三二カルコゲナイド焼結体を得ることができる。
また、アルカリ金属の添加により、相変態温度よりも低温で、例えば800℃程度の温度で立方晶の希土類三二カルコゲナイド粉末および焼結体を得ることができる。
以上の希土類三二カルコゲナイド焼結体は、例えば、温度差を利用したクリーンエネルギーの発電材料として、宇宙船等での補助電源、ペルチェ効果を利用した電熱器、小型冷凍機、放熱板等に利用することができる。
この発明の第1の実施形態においては、600℃以上1300℃以下の融点を有し、かつカルコゲナイドを形成しにくい物質としてMnを用い、このMnを希土類三二硫化物粉末に0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結することにより希土類三二硫化物焼結体を製造する。この希土類三二硫化物焼結体の製造方法は、より具体的には次のとおりである。
以上のようにして、目的とする希土類三二硫化物焼結体が製造される。
製造温度840℃のLa2 S3 粉末(酸素含有量0.9%、高純度化学株式会社製)に、Mn粉末(純度99.9%)を0.24重量%添加・混合し、グラフォイルにより内張をした内径15mmのカーボン製のダイス中にこの粉末約2gを充填し、放電プラズマ焼結装置を用いて焼結を行った。真空(例えば<1.0×10-2Pa)雰囲気中、粉末に50MPaの圧力を加える、800℃にて30分間焼結を行い、試料1を得た。ダイスから焼結体を取り出し、質量と直径、厚さを測定したところ、厚さは約3.6mmでかさ密度は3.34g/cm3 であった。4端子法により電気抵抗を測定したところ、抵抗率は6.97Ω・mであった(実施例1)。Mn添加量を増加させると、同じ800℃で焼結した場合、焼結体密度は増加し、抵抗率は減少する(実施例2)。また、より低温での焼結も可能となり、低い抵抗率が得られる(実施例3)。
なお、La2 S3 粉末は、例えば、La2 O3 を1023〜1273KにおいてCS2 ガスで1.8〜28.8ksの時間硫化することにより製造することができる。
表1より、少なくともMn添加量が0.24〜3.4重量%の範囲内では、焼結温度が800〜750℃と非常に低いにもかかわらず、相対密度65〜62%、抵抗率6.97〜5.78Ω・mが得られている。
この第2の実施形態においては、希土類三二硫化物粉末を製造した後に、水素雰囲気を用いて不純物炭素を除去して、不純物炭素濃度を0.3重量%未満に低下させた希土類三二硫化物粉末を製造する。ここで、不純物炭素は、出発原料に希土類金属のシュウ酸塩やマロン酸塩、コハク酸塩、グルタミン酸塩、酢酸酸などを用いた場合、さらに硫化ガスとして二硫化炭素ガスを用いた場合に、硫化合成粉末に含まれる。
従来のように、出発原料に希土類金属のシュウ酸塩やマロン酸塩、コハク酸塩、グルタミン酸塩、酢酸酸などを用いて、または、アルカリ金属の添加に炭素を多く含むシュウ酸塩を用いて製造する場合でも、上記に示した不純物炭素を除去する工程を行えば良い。
合成の出発粉末となる純度99.99%のLa2 O3 粉末を石英ボートに乗せて電気炉内に挿入し、アルゴンガス雰囲気中で750℃から1050℃の間の所定の温度まで加熱し、二硫化炭素液体から気化させた二硫化炭素ガスを、アルゴンガスを搬入ガスとして用いて電気炉内に導入し、8時間硫化を行った。粉末X線回折法により、反応後の粉末が正方晶のLa2 S3 単相であることを確認した。組成について、希土類金属をキレート滴定法により、さらに、硫黄と炭素はLECO社製の同時分析装置CS−444LS型、酸素は同社の分析装置TC−436型により求めた。結果を表2に示す。残留酸素量は、温度とともに減少する一方で、二硫化炭素が分解し製造された残留炭素の量は、温度の上昇とともに増加した(非特許文献1)。さらに、合成した粉末の平均粒径を、脱水アルコールを用いたレーザ回折法を用いて調べたところ、表3のようになった。平均粒径は、焼結温度の上昇とともに大きくなった。ここで、出発粉末であるLa2 O3 の平均粒径は0.6μmであった。
純度99.99%のLa2 O3 粉末0.94gにNa2 S粉末を0.06g添加した混合粉末(イ)、同じLa2 O3 粉末0.92gにNa2 CO3 粉末を0.08g添加した混合粉末(ロ)、同じLa2 O3 粉末0.92gにK2 S粉末を0.08g添加した混合粉末(ハ)を、それぞれ石英ボートに乗せて電気炉内に挿入し、アルゴンガス雰囲気中で800℃から850℃の間の所定の温度まで加熱し、二硫化炭素液体から気化させた二硫化炭素ガスを、アルゴンガスを搬入ガスとして用いて電気炉内に導入し、8時間硫化合成を行った。
850℃の温度でLa2 O3 をCS2 ガスで硫化して合成した、結晶構造が正方晶のLa2 S3 を出発粉末として用意した。この粉末に、3重量%以上10重量%以下のNa2 CO3 を添加した混合粉末1.0gを、内径が10mmの黒鉛筒にいれて、一軸方向から50MPaの圧力を加えながら、10-2Pa以下の真空中で、800℃の温度に1時間保持するプラズマ焼結法により焼結体を製造した。パルス通電焼結に用いた装置は、住友石炭鉱業株式会社のSPS511Sである。室温から600℃まで6分で昇温させ、さらに600℃から800℃まで毎分25℃の速度で昇温させた。降温は、800℃から600℃までは毎分50℃の速度で行い、それ以降は自然冷却させた。
不純物炭素の除去の実施例を示す。
不純物炭素の除去は、まず、反応管の中に、1323Kの温度で8時間を費やしCS2 ガス硫化法で合成した粉末(不純物炭素濃度:0.31重量%)3gを入れたアルミナボートを挿入し、10-2Pa以下の真空に引いた。その後、所定の温度まで昇温させ、窒素ガスを搬送ガスとしてNH3 ガスを反応管の中に導入し不純物炭素の除去を行った。
図1に示された理論計算の結果では、炭素除去は400〜900Kの温度が必要となるが、実際には1273K程度の温度を要した。X線回折パターンの結果から、炭素の除去の前後では、正方晶La2 S3 (β−La2 S3 )が主成分であることが確認された。図5Aに、1323Kの温度で8時間を費やしCS2 ガス硫化法で合成した粉末を示し、図5Bに、1273Kの温度でNH3 ガスを1時間流し、炭素を除去した後の粉末を示す。合成直後の粉末の色は、不純物炭素で黒ずんでいるものの、NH3 ガスで処理することによって、正方晶La2 S3 本来の色である鮮やかな黄色になる。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、材料、原料、プロセス等を用いてもよい。
Claims (11)
- 組成式A 2 B 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体。
- 上記希土類三二カルコゲナイド粉末に、Mnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結してなることを特徴とする請求項1記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体。
- 組成式A 2 B 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体。
- Mnを0.1重量%以上10重量%以下含有することを特徴とする請求項3記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体。
- 組成式A 2 B 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表され、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満の希土類三二カルコゲナイド粉末に、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下添加して600℃以上2400℃未満の温度で焼結することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
- 上記アルカリ金属を塩または硫化物の形で添加することを特徴とする請求項5記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
- 上記希土類三二カルコゲナイド粉末に、Mnを0.1重量%以上10重量%以下添加して焼結することを特徴とする請求項5記載の希土類三二カルコゲナイド焼結体の製造方法。
- 組成式A 2 B 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有し、かつ不純物としての炭素の含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末。
- 組成式A 2 B 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素、BはS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種のカルコゲン元素)で表される希土類三二カルコゲナイドからなり、アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二カルコゲナイド粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去することを特徴とする希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
- 上記希土類三二カルコゲナイドが組成式A 2 S 3 (ただし、AはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYからなる群より選ばれた少なくとも一種の希土類元素)で表される希土類三二硫化物であることを特徴とする請求項9記載の希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
- 上記希土類元素の原料と上記アルカリ金属の塩または硫化物とを混合し、硫化水素または二硫化炭素のガスを用いて300℃以上1500℃以下の温度で硫化合成することにより、上記アルカリ金属を1.0重量%以上20重量%以下含有する希土類三二硫化物粉末を合成する工程と、
上記希土類三二硫化物粉末の残留炭素の含有量が0.3重量%以上である場合に上記希土類三二硫化物粉末を水素ガスを用いて処理することにより残量炭素を除去する工程とを有することを特徴とする請求項10記載の希土類三二カルコゲナイド粉末の製造方法。
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