JP3971650B2 - ハンズフリーシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハンズフリーシステムに関し、特に、エコーキャンセル機能を備えたハンズフリーシステムに用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電話操作時の片手運転等を回避するために、ハンズフリーシステムが提供されている。ハンズフリーシステムでは、マイク、スピーカおよび電話機がハンズフリーユニットに接続されている。そして、マイクからハンズフリーユニットに入力された送話音声が電話機を通じて相手先に送られるとともに、相手先から電話機を通じて受信した受話音声がハンズフリーユニットを介してスピーカから出力されるように構成されている。したがって、運転者は、通話の発信時および受信時を除いて、ハンドルから手を離すことなく(直接電話機を持たずに)相手と通話することができる。
【0003】
この種のハンズフリーユニットには、エコーキャンセル機能を備えたものが多い。エコーキャンセル機能とは、ハンズフリーシステムを用いた車内のユーザどうしが通話をする場合などに、自分の話した声が相手のスピーカから出力され、それが相手のマイクから入力されて自分のスピーカに遅れて戻ってくる回線エコー音、あるいは、相手の話した声が自分のスピーカから出力され、それが自分のマイクから入力されて相手に送られていく回線エコー音を除去する機能である。
【0004】
図6は、エコーキャンセル機能を備えた従来のハンズフリーシステムの構成を示す図である。図6において、51はハンズフリーユニットを制御するMPU(Micro Processor Unit)、52はデジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)、53は電話機能を備えた電話ユニット、54はマイク、55はスピーカである。上述のエコーキャンセル機能は、DSP52のデジタルフィルタを用いて実現される。
【0005】
この図6に示すハンズフリーシステムにおいて、相手先から電話ユニット53を通じて受信した受話音声は、DSP52の処理を通ってスピーカ55から出力される。このとき、電話ユニット53から出力されたアナログオーディオ信号がDSP52でデジタルデータに変換され、ここでデジタル信号処理が施された後、再びアナログオーディオ信号に戻されてスピーカ55に供給される。
【0006】
また、マイク54から入力された送話音声は、DSP52の処理を通って電話ユニット53に出力され、相手先に送信される。このとき、マイク54から入力されたアナログオーディオ信号がDSP52でデジタルデータに変換され、ここでデジタル信号処理が施された後、再びアナログオーディオ信号に戻されて電話ユニット53に供給される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年の携帯電話はFM音源を備えたものが多く、例えば着信音にユーザ好みのメロディを設定することが可能である。FM音源は広帯域の音声信号であり、これを用いることによって高音質の再生音声を得ることができる。
【0008】
しかしながら、このような携帯電話を図6のようなハンズフリーシステムに用いた場合、FM音源の音声信号がDSP52のデジタルフィルタを通過することにより、通話帯域以外の音域(高周波帯域)がカットされてしまい、再生音声の音質が劣化してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、FM音源を備えた電話機をハンズフリーシステムに用いた場合でも、当該FM音源を十分に活かした高音質の出力音声を得ることができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明のハンズフリーシステムでは、電話機の回線への接続を検出し、電話機が回線に接続されている間はエコー除去手段の処理を無効から有効に切り替えるようにしている。これにより、電話機が回線に接続されて通話中のときは、エコー除去処理が通常通り行われる。また、電話機が回線に接続されていない着信時や音声データの再生時などには、エコー除去処理が行われず、FM音源等の広帯域の音声信号がエコー除去処理によってフィルタリングされることなく、高音質のまま出力される。
【0011】
また、本発明の他の態様では、通常はエコー除去手段の処理を有効としておき、電話機の着信が検出されている間はエコー除去手段の処理を無効とするようにしている。このようにすれば、電話機が回線に接続されて通話中のときだけでなく、着信がある前の非通話中のときにもエコー除去処理が有効とされる。これにより、通話中にエコー除去を行うための予想処理を、着信前の非通話中のときに実行することが可能となる。
【0012】
また、本発明の他の態様では、着信が検出されている間、あるいは、音声データの再生が行われている間は、エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを通常より高いレートに変更するようにしている。これにより、電話機が回線に接続されて通話中のときは、エコー除去処理においては通話帯域に合わせて比較的狭い周波数帯域の音声信号がフィルタを通過する。一方、電話機が回線に接続されていない着信時や音声データの再生時などには、エコー除去処理においてはFM音源等の周波数帯域に合わせて比較的広い周波数帯域の音声信号がフィルタを通過するので、当該FM音源等の音声信号が高音質のまま出力される。
【0013】
また、本発明の他の態様では、エコー除去手段において入力音声のサンプリングは常に第2のサンプリングレートで行うが、電話機の回線への接続が検出されている間は、エコー除去手段の出力音声のサンプリングレートを第2のサンプリングレートより低い第1のサンプリングレートに変更するようにしている。このように構成した場合は、電話機が回線に接続されていない着信時などには、第2のサンプリングレートに従ってエコー除去手段に入力されたFM音源等の比較的広い周波数帯域の音声信号が、同じ第2のサンプリングレートに従って広帯域のまま出力される。一方、電話機が回線に接続された通話中のときは、第2のサンプリングレートに従って通話帯域の音声信号がエコー除去手段に入力されるが、第2のサンプリングレートよりも低い第1のサンプリングレートにダウンサンプリングされて出力される。これにより、FM音源等の広帯域の音声信号を高音質のまま出力することができるとともに、狭帯域で十分な通話の音声信号が広帯域のまま出力されることによる無駄をなくすことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、エコーキャンセル機能を備えた第1の実施形態によるハンズフリーシステムの構成を示す図である。図2は、第1の実施形態によるハンズフリーシステムの動作例を示すフローチャートである。
【0015】
図1において、1はハンズフリーユニットを制御するMPU、2はデジタル信号処理を行うDSP、3は電話機能を備えた電話ユニット、4はマイク、5はスピーカ、6a〜6dはスイッチである。
【0016】
DSP2は、内部のデジタルフィルタを用いてエコー除去処理を実行する。例えば、電話ユニット3からDSP2に入力されたオーディオ信号を当該DSP2内のバッファ(図示せず)に蓄積する。このDSP2を通ったオーディオ信号はスピーカ5から出力されるが、その出力音がマイク4で拾われてDSP2に入力される。DSP2は、バッファに蓄積しておいた電話ユニット3からのオーディオ信号と、マイク4から入力されるオーディオ信号とを用いて所定の演算を行うことにより、マイク4から戻ってくるエコー音をキャンセルする。
【0017】
あるいは、マイク4からDSP2に入力されたオーディオ信号を当該DSP2内のバッファ(図示せず)に蓄積する。このDSP2を通ったオーディオ信号は電話ユニット3を介して相手先に送信され、相手のスピーカから出力されるが、その出力音が相手先のマイクで拾われて戻ってきて、電話ユニット3を介してDSP2に入力される。DSP2は、バッファに蓄積しておいたマイク4からのオーディオ信号と、電話ユニット3から入力されるオーディオ信号とを用いて所定の演算を行うことにより、電話ユニット3から戻ってくるエコー音をキャンセルする。このようにDSP2は、本発明のエコー除去手段を構成する。
【0018】
電話ユニット3は、電話機等の電話機を着脱可能にセットするタイプ、あるいは、電話機を内蔵したタイプの何れを用いても良い。MPU1は、電話ユニット3との間に接続された制御信号線を介して送受信される制御信号に基づいて、電話機が着信中か否か、電話機が回線に接続されているか否かを検出する機能を有している。MPU1は、これらの検出結果に基づいて、4つのスイッチ6a〜6dの切替動作を制御する。このようにMPU1は、本発明の着信検出手段および接続検出手段を構成する。また、MPU1は、4つのスイッチ6a〜6dと共に本発明の切替手段を構成する。
【0019】
4つのスイッチ6a〜6dが備える一方の切替端子aは、全てDSP2に接続されている。すなわち、スイッチ6a,6bはマイク入力用の切替スイッチであり、それぞれの端子aがDSP2の入出力に接続されている。また、スイッチ6c,6dはスピーカ出力用の切替スイッチであり、それぞれの端子aがDSP2の入出力に接続されている。
【0020】
一方、各スイッチ6a〜6dが備える他方の切替端子bは、DSP2をバイパスするように接続されている。すなわち、マイク入力用のスイッチ6a,6bの端子bどうしが接続されるとともに、スピーカ出力用スイッチ6c,6dの端子bどうしが接続されている。
【0021】
MPU1は、これら4つのスイッチ6a〜6dを連動させて、全てが同時に端子aあるいは端子bの何れかに接続されるように切り替える。以下に、図2のフローチャートを参照しながら、各スイッチ6a〜6dの切替動作を説明する。
【0022】
例えば、初期状態では各スイッチ6a〜6dを端子b側に接続しておく(ステップS1)。この場合、電話ユニット3から出力される音声信号(例えば、着信があったときの着信メロディ)は、DSP2を通ることなくスピーカ5から出力される。
【0023】
また、MPU1は、電話機が回線に接続されたかどうかを検出し(ステップS2)、ユーザが通話ボタンを押すなどして回線に接続されたことを検出したときは、各スイッチ6a〜6dの接続を端子a側に切り替える(ステップS3)。この場合、相手先から電話ユニット3を通じて受信した受話音声は、DSP2の処理を通ってスピーカ5から出力される。このとき、電話ユニット3から出力されたアナログオーディオ信号がDSP2でデジタルデータに変換され、ここでエコー除去のデジタル信号処理が施された後、再びアナログオーディオ信号に戻されてスピーカ5に供給される。
【0024】
また、マイク4から入力された送話音声は、DSP2の処理を通って電話ユニット3に出力され、相手先に送信される。このとき、マイク4から入力されたアナログオーディオ信号がDSP2でデジタルデータに変換され、ここでエコー除去のデジタル信号処理が施された後、再びアナログオーディオ信号に戻されて電話ユニット3に供給される。
【0025】
その後、MPU1は、回線への接続が切断されたかどうかを検出し(ステップS4)、ユーザが切断ボタンを押すなどして回線への接続が切断されたことを検出したときは、ステップS1に戻り、各スイッチ6a〜6dの接続を端子b側に戻す。
【0026】
このように、第1の実施形態では、MPU1が電話機の回線への接続を検出し、回線に接続されているときはDSP2を通過させ、回線に接続されていないときはDSP2をバイパスさせるようにしている。これにより、電話機が回線に接続されている通話中のときはエコー除去処理を通常通り行い、電話機が回線に接続されていないとき(例えば着信時、メモリ内の音楽データを再生しているとき等)には、エコー除去処理を行わないようにすることができる。そのため、FM音源等を用いた広帯域の着信メロディや音楽データを、エコー除去によってフィルタリングすることなく高音質のまま出力することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、4つのスイッチ6a〜6dを初期状態で端子b側に接続しておき、回線への接続が検出されたときに端子a側に切り替える例について説明したが、初期状態で端子a側に接続しておき、MPU1によって着信が検出されている間だけ端子b側に切り替えるようにしても良い。
【0028】
図3は、この場合におけるハンズフリーシステムの動作を示すフローチャートである。すなわち、MPU1は、初期状態では各スイッチ6a〜6dを端子a側に接続しておく(ステップS11)。この場合、電話ユニット3から出力される音声信号は、DSP2の処理を通ってスピーカ5から出力される。また、マイク4から入力された音声信号は、DSP2の処理を通って電話ユニット3に出力される。
【0029】
また、MPU1は、電話機に着信があったかどうかを検出し(ステップS12)、着信があったときは、各スイッチ6a〜6dの接続を端子b側に切り替える(ステップS13)。この場合、電話ユニット3から出力される着信メロディの音声信号は、DSP2を通ることなくスピーカ5から出力される。
【0030】
その後、MPU1は、電話機が着信状態を抜けたかどうかを検出する(ステップS14)。着信状態を抜ける場合には、ユーザが通話ボタンを押すなどして回線に接続する場合や、ユーザが通話ボタンを押さずにそのまま放置した結果、相手がリンギングを止めた場合などが含まれる。ここで、MPU1が着信状態を抜けたと判断した場合は、ステップS11に戻り、各スイッチ6a〜6dの接続を端子a側に戻す。なお、電話機が回線に接続されたことに対応してスイッチ6a〜6dの接続を端子bから端子aに切り替えた場合、その後回線が切断されても、スイッチ6a〜6dは端子a側に接続されたままである。
【0031】
通話時にDSP2でエコー除去処理を行う場合、例えば車内でスピーカ5から出力された音声がマイク4を通ってDSP2にどう戻ってくるのかを通話前に予測しておき、実際の通話時に行うエコー除去処理の演算速度を速くすることが可能である。そのためには、非通話状態のときも、DSP2を経由した音声をスピーカ5から出力し、それをマイク4で拾ってDSP2に入力する必要がある。
【0032】
したがって、図2の例のように、実際の通話時にだけ各スイッチ6a〜6dを端子a側に接続してDSP2を通すようにすると、非通話時にエコー音の予測処理を行うことができない。これに対して、図3の例のように、着信中のときだけDSP2をバイパスさせるようにすれば、着信がある前の待機状態のときなどに予測処理を行うことができ、通話時におけるエコー除去処理を高速に行うことができる。
【0033】
また、上記実施形態では、MPU1が着信および回線への接続を検出し、その検出結果に応じて各スイッチ6a〜6dの切替制御を行う例について説明したが、電話機を用いた音声データの再生が行われているか否かを検出し、音声データの再生が行われている間にDSP2をバイパスさせるようにしても良い。ここで言う音声データの再生には、着信メロディの再生、電話機の内部メモリに蓄積した音楽データ等の再生、回線に接続してインターネット等からダウンロードした音楽データ等の再生が含まれる。
【0034】
これらの音声データは、何れもFM音源等を用いた広帯域のデータであり、その再生時にDSP2をバイパスさせることによって、着信メロディや音楽データを、エコー除去によってフィルタリングすることなく高音質のまま出力することができる。
【0035】
また、上記図1の例では、スイッチ6a〜6dの例としてリレースイッチを用いたが、これはトランジスタ等の電気的なスイッチでも良く、DSP2がその機能を内蔵するようにしても良い。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態によるハンズフリーシステムの構成を示す図である。図5は、第2の実施形態によるハンズフリーシステムの動作例を示すフローチャートである。なお、図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは互いに同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0037】
図2において、11はハンズフリーユニットを制御するMPU、12はデジタル信号処理を行うDSPである。DSP12は、内部のデジタルフィルタを用いてエコー除去処理を実行する。
【0038】
すなわち、相手先から電話ユニット3を通じて受信した受話音声のアナログ信号は、A/D変換部12eによりデジタルデータに変換され、エコー除去フィルタ12aによりデジタル信号処理が施された後、D/A変換部12dにより再びアナログ信号に戻されてスピーカ5に供給される。
【0039】
また、マイク4から入力された送話音声のアナログ信号は、A/D変換部12bによりデジタルデータに変換され、エコー除去フィルタ12aによりデジタル信号処理が施された後、D/A変換部12cにより再びアナログ信号に戻されて電話ユニット3に出力され、相手先に送信される。
【0040】
MPU11は、電話ユニット3との間に接続された制御信号線を介して送受信される制御信号に基づいて、電話機が着信中か否か、電話機が回線に接続されているか否かを検出する。そして、これらの検出結果に基づいて、DSP12でエコー除去処理を行う際のサンプリングレートを制御する。
【0041】
通常、DSP12のサンプリングレートは、通話帯域に合わせて8KHz程度に設定される。これに対して、FM音源等の音声信号は、通話帯域よりも広い周波数帯域を持っている。したがって、8KHz程度のサンプリングレートでは、高周波領域の音がカットされてしまう。A/D変換部12b,12eやD/A変換部12c,12dでサンプリングする際には、エイリアシング防止のためにローパスフィルタ処理が施されるからである。
【0042】
そこで、MPU11は、初期状態ではDSP2のサンプリングレートを8KHz程度に設定しておく。一方、FM音源等を使用する着信時などには、クロック周波数を上げてサンプリングレートを高くする(例えば、16KHz程度)。これにより、FM音源等の広帯域の音声信号がローパスフィルタにより遮断されてしまうことがなくなり、FM音源等の音声信号が高音質のまま出力される。このようにMPU11は、本発明のサンプリングレート変更手段を構成する。
【0043】
以下に、図5のフローチャートを参照しながら、サンプリングレートの切替動作を説明する。図5において、MPU11は、初期状態ではDSP12のサンプリングレートを8KHz程度に設定しておく(ステップS21)。また、MPU11は、電話機に着信があったかどうかを検出する(ステップS22)。
【0044】
ここで、着信があったときは、MPU11はDSP12のサンプリングレートを16KHz程度に変更する(ステップS23)。この場合、電話ユニット3から出力される着信メロディの音声信号は、その音域を全てカバーするようにサンプリングレートが高く設定されているので、DSP12を通過してスピーカ5から出力される。
【0045】
その後、MPU11は、電話機が着信状態を抜けたかどうかを検出する(ステップS24)。着信状態を抜ける場合には、ユーザが通話ボタンを押すなどして回線に接続する場合や、ユーザが通話ボタンを押さずにそのまま放置した結果、相手がリンギングを止めた場合などが含まれる。ここで、MPU11が着信状態を抜けたと判断した場合は、ステップS21に戻り、DSP12のサンプリングレートを8KHz程度に戻す。
【0046】
このように、第2の実施形態では、MPU11が電話機の着信を検出し、着信中のときはDSP12のサンプリングレートを通常よりも高く変更するようにしている。これにより、着信中か通話中かによらず音声信号は必ずDSP12を経由するが、着信中のときはフィルタのサンプリングレートが高く設定されるので、FM音源等を用いた広帯域の着信メロディを高音質のまま出力することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、DSP12のサンプリングレートを初期状態で8KHzに設定しておき、着信があったときに16KHzに切り替える例について説明したが、初期状態で16KHzに設定するようにしても良い。このようにすれば、通話中か非通話中かによらず、エコー除去を行いながらも通話帯域の音声信号およびFM音源の音声信号を常に取り出すことができる。
【0048】
ただし、通話帯域の音声信号については、本来は8KHzの帯域があれば十分であるにもかかわらず、16KHzの高サンプリングレート(高速クロック)で処理しているために、電力を無駄に消費してしまうことになる。そこで、MPU11において回線への接続が検出されたときには、DSP12で音声信号をダウンサンプリングして出力するようにするのが好ましい。例えば、DSP12の入力側に当たるA/D変換部12b,12eのサンプリングレートは常に16KHzにしておき、出力側に当たるD/A変換部12c,12dのサンプリングレートは回線への接続に応じて16KHzから8KHzに切り替える。
【0049】
また、上記実施形態では、MPU11が着信および回線への接続を検出し、その検出結果に応じてDSP12のサンプリングレートの切替制御を行う例について説明したが、電話機を用いた音声データの再生が行われているか否かを検出し、音声データの再生が行われている間にサンプリングレートを通常より高く変更するようにしても良い。ここで言う音声データの再生には、着信メロディの再生、電話機の内部メモリに蓄積した音楽データ等の再生、回線に接続してインターネット等からダウンロードした音楽データ等の再生が含まれる。
【0050】
また、電話ユニット3に入出力される音声信号について、例えば8KHzより高い周波数帯域での音声レベルを検出し、検出した音声レベルが所定値より小さいことが検出されている間はDSP12のサンプリングレートを8KHzに設定し、音声レベルが所定値より大きいことが検出されている間はDSP12のサンプリングレートを16KHzに変更するようにしても良い。
【0051】
また、図1に示した第1の実施形態においても同様に、電話ユニット3に入出力される音声信号について、例えば8KHzより高い周波数帯域での音声レベルを検出し、検出した音声レベルが所定値より小さいことが検出されている間はDSP2の処理を有効にし、音声レベルが所定値より大きいことが検出されている間はDSP2をバイパスさせるようにしても良い。
【0052】
その他、上記した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上述したように、FM音源等の広帯域の音声信号を用いる動作タイミングか否かに応じて、エコー除去手段の有効/無効あるいはエコー除去手段のサンプリングレートを切り替えるようにしたので、通話時のエコー除去処理は通常通り行いながらも、FM音源等を用いた着信音や音楽データの再生時などには広帯域の音声信号を広帯域のまま出力することができ、FM音源等を十分に活かした高音質の再生音声を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エコーキャンセル機能を備えた第1の実施形態によるハンズフリーシステムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態によるハンズフリーシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態によるハンズフリーシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
【図4】エコーキャンセル機能を備えた第2の実施形態によるハンズフリーシステムの構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態によるハンズフリーシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】エコーキャンセル機能を備えた従来のハンズフリーシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 MPU
2 DSP
3 電話ユニット
4 マイク
5 スピーカ
6a〜6d スイッチ
11 MPU
12 DSP
12a エコー除去フィルタ
12b,12e A/D変換部
12c,12d D/A変換部

Claims (7)

  1. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機の着信を検出する着信検出手段と、
    上記着信検出手段によって上記着信が検出されたときに、上記エコー除去手段の処理を有効から無効に切り替えるとともに、上記着信検出手段によって上記着信状態の終了が検出されたときに、上記エコー除去手段の処理を無効から有効に切り替える切替手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  2. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機の着信を検出する着信検出手段と、
    上記着信検出手段により上記着信が検出されてからその着信状態が終了するまでの間、上記エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを第1のレートからそれより高い第2のレートに変更するサンプリングレート変更手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  3. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機の回線への接続を検出する接続検出手段と、
    上記接続検出手段によって上記回線への接続が検出されている間、上記エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを第2のレートからそれより低い第1のレートに変更するサンプリングレート変更手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  4. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    第2のサンプリングレートで入力音声をサンプリングし、上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機の回線への接続を検出する接続検出手段と、
    上記接続検出手段によって上記回線への接続が検出されている間、上記エコー除去手段の出力音声のサンプリングレートを上記第2のサンプリングレートからそれより低い第1のサンプリングレートに変更するサンプリングレート変更手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  5. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機を用いた音声データの再生を検出する再生検出手段と、
    上記再生検出手段によって上記音声データの再生が検出されている間、上記エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを第1のレートからそれより高い第2のレートに変更するサンプリングレート変更手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  6. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機に入出力される音声信号について、所定の周波数より高い周波数帯域での音声レベルを検出するレベル検出手段と、
    上記レベル検出手段によって上記音声レベルが所定値より小さいことが検出されている間は上記エコー除去手段の処理を有効にし、上記音声レベルが上記所定値より大きいことが検出されている間は上記エコー除去手段の処理を無効にする切替手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
  7. 電話機を持たずに相手との通話を可能にするハンズフリーシステムであって、
    上記電話機の通話時に車内で発生するエコーを除去するエコー除去手段と、
    上記電話機に入出力される音声信号について、所定の周波数より高い周波数帯域での音声レベルを検出するレベル検出手段と、
    上記レベル検出手段によって上記音声レベルが所定値より小さいことが検出されている間は上記エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを第1のレートにし、上記音声レベルが上記所定値より大きいことが検出されている間は上記エコー除去手段の処理のためのサンプリングレートを上記第1のレートより高い第2のレートにするサンプリングレート変更手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
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