JP3971585B2 - 体液吸収シートおよび体液吸収性物品 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液を吸収、保持する体液吸収シートおよび体液吸収性物品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平８−１９６５５９号公報は、粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子とを混合した保液層の上部に繊維集合層を載置した吸液性コアが、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に介在する使い捨ておむつを開示している。
【０００３】
コアでは、保液層と繊維集合層とがティッシュペーパーで一体に被覆され、保液層と繊維集合層との互いに重なり合う面の略全域が間欠的に固着され、それら層とティッシュペーパーとの互いに重なり合う面の略全域が間欠的に固着されている。このおむつは、それが湾曲したり、よじれたりしたとしても、保液層および繊維集合層とティッシュペーパーとの密着状態を維持することができ、高吸水性ポリマー粒子を多量に使用することによって可撓性が乏しく、ほぐれ易くなった保液層の型崩れを防止することができるという効果を有する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のおむつでは、おむつの着用中にティッシュペーパーが破損すると、保液層とティッシュペーパーとの密着状態が解除され、保液層が型崩れを起こす場合がある。保液層は、一度型崩れを起こすと、元の状態に戻ることはない。また、体液を吸収保持するというコア本来の機能を十分に発揮させるためには、コアが保液層のみから形成されていることが好ましい。しかし、このおむつでは、保液層自体がその型崩れを防止するための手段を有するものではなく、型崩れを防止するために繊維集合層とティッシュペーパーとを利用しなければならず、保液層のみからコアを形成することはできない。
【０００５】
本発明の課題は、それ自体が型崩れを起こすことはなく、型崩れを防止するために他の部材を使用する必要がない体液吸収シートおよび体液吸収性物品を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、肌当接側に位置する透液性表面シートと肌非当接側に位置する不透液性裏面シートとの間に挟まれて、前記表面シートおよび前記裏面シートとともに体液吸収性物品を構成する体液吸収性シートである。
【０００７】
前記前提における本発明の第１の特徴は、前記体液吸収シートが、第１混紡糸でネット状に織られた織物または前記第１混紡糸で布状に編まれた編物とのいずれか一方であって、前記第１混紡糸が、第１繊維材料に高吸水性ポリマー粒子が結合したものであり、前記第１繊維材料が、合成繊維および／または再生繊維からなることにある。
【０００８】
前記前提における本発明の第２の特徴は、前記体液吸収シートが、第２混紡糸でネット状に織られた織物または前記第２混紡糸で布状に編まれた編物とのいずれか一方であって、前記第２混紡糸が、第２繊維材料と高吸水性繊維とを混紡したものであり、前記第２繊維材料が、合成繊維および／または再生繊維からなり、前記高吸水性繊維が、高吸水性ポリマーを紡糸したものであることにある。
【０００９】
本発明は、以下の実施態様を有する。
（１）前記高吸水性ポリマー粒子が、前記第１繊維材料に混入されている。
（２）前記高吸水性ポリマー粒子が、接着剤を利用して前記第１繊維材料の周面に固着されている。
（３）前記高吸水性ポリマー粒子が、それ自体の粘着性を利用して前記第１繊維材料の周面に付着している。
（４）前記第１混紡糸に対する前記高吸水性ポリマー粒子の含有率が、３０〜６０重量％の範囲にある。
（５）前記第２混紡糸に対する前記高吸水性繊維の混紡率が、３０〜５０重量％の範囲にあり、前記高吸水性繊維の繊度が、１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にある。
（６）前記繊維材料の繊度が、１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にあり、前記第１および第２混紡糸における繊維本数が、２０〜８００本の範囲にある。
（７）前記合成繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、のうちの少なくとも１つから形成され、前記再生繊維が、セルロース系繊維から形成されている。
本発明は、肌当接側に位置する透液性表面シートと、肌非当接側に位置する不透液性裏面シートと、それら表面シートおよび裏面シートの間に介在する体液吸収シートとを含む体液吸収性物品をも含む。体液吸収性物品は、厚み方向へ重なる少なくとも二層の前記体液吸収シートを含んでいてもよい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる体液吸収シートとそれを使用した体液吸収性物品の詳細を、開放型の使い捨ておむつと生理用ナプキンとを例として説明すると、以下のとおりである。
【００１１】
図１，２は、表面シート２の側から示す使い捨ておむつ１の部分破断斜視図と、体液吸収シート４の斜視図とであり、図３，４は、体液吸収シート４を形成する混紡糸７ａの斜視図と、単体で示す合成繊維８の拡大斜視図とである。図５は、他の一例として示す混紡糸７ｂの斜視図である。図１では、横方向を矢印Ｘで示し、縦方向を矢印Ｙで示す。なお、表面シート２と裏面シート３との内面とは、体液吸収シート４に対向する面をいい、それらシート２，３の外面とは、体液吸収シート４に非対向の面をいう。
【００１２】
おむつ１は、肌当接側に位置する透液性表面シート２および肌非当接側に位置する不透液性裏面シート３と、それらシート２，３の間に介在する体液吸収シート４および繊維集合物５とから構成されている。繊維集合物５は、体液吸収シート４の上部に位置している。おむつ１は、それらの他に、表面シート２の外面に位置して縦方向へ延びる実質的に不透液性の防漏カフ６を有する。
【００１３】
おむつ１は、縦方向に前胴周り域１５および後胴周り域１７と、前後胴周り域１５，１７の間に位置する股下域１６とを備え、前後胴周り域１５，１７を横方向へ延びる両端縁部１ａと、縦方向へ延びる両側縁部１ｂとを有する。両側縁部１ｂは、股下域１６においておむつ１の横方向内方へ向かって弧を画いている。
【００１４】
体液吸収シート４は、裏面シート３の内面に固着されている。繊維集合物５は、表面シート２の内面に固着されている。体液吸収シート４と繊維集合物５とは、それらの互いに重なり合う部分が固着されている。
【００１５】
体液吸収シート４は、合成繊維８と再生繊維９とを混紡した混紡糸７ａから形成され、混紡糸７ａを織ることにより作られたネット状の織物である。合成繊維８には、図４に示すように、高吸水性ポリマー粒子１８が混入されている。合成繊維８は、溶融した熱可塑性合成樹脂に高吸水性ポリマー粒子１８を混入し、それを紡糸することにより得ることができる。
【００１６】
合成繊維８は、ポリオレフィン系繊維から形成されている。ポリオレフィン系繊維としては、ポリプロピレン系繊維とポリエチレン系繊維とのうちの少なくとも一方を使用することができる。ポリオレフィン系繊維には、ポリエチレン／ポリプロピレンからなる芯鞘型複合繊維や並列型複合繊維、海島型複合繊維を使用することもできる。また、ポリオレフィン系繊維には、中空繊維や異型断面繊維を使用することもできる。
【００１７】
合成繊維８には、ポリオレフィン系繊維の他に、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維を使用することもできる。また、合成繊維８には、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維のうちの少なくとも２種類の繊維を混合したものでもよい。再生繊維９としては、レーヨンやアセテートからなるセルロース系繊維を使用することができる。
【００１８】
高吸水性ポリマー粒子１８には、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物や澱粉−アクリル酸グラフト共重合体の中和物である澱粉系吸水性樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸部分中和物、無水マイレン酸−イソブチレン共重合体と水溶性エチレン性不飽和単量体との重合物を使用することができる。高吸水性ポリマー粒子１８は、合成繊維８のみならず、再生繊維９に混入されていてもよく、また、再生繊維９のみに混入されていてもよい。
【００１９】
繊維集合物５は、体液吸収シート４が着用者の肌に与える不快感を防止するもので、クッションとして機能する。繊維集合物５は、再生繊維と粉砕パルプとを混合した混合物、または、合成繊維および再生繊維と粉砕パルプとを混合した混合物であり、所与の厚みに圧縮されている。
【００２０】
図５の混紡糸７ｂは、合成繊維８と再生繊維９とを混紡したもので、接着剤（図示せず）を利用して高吸収性ポリマー粒子１８がそれら繊維８，９の周面に固着されている。接着剤には、ホットメルト型接着剤、または、後記するエチレン−グリシジル（メタ）アクリレート系共重合体を使用することができる。
【００２１】
図５の混紡糸７ｂでは、高吸収性ポリマー粒子１８がそれ自体の粘着性を利用してそれら繊維８，９の周面に付着するものであってもよい。この場合は、高吸収性ポリマー粒子１８に水分を加えてそれら繊維８，９の周面に付着させ、その後、高吸収性ポリマー粒子１８を乾燥させればよい。図５の混紡糸７ｂでは、合成繊維８と再生繊維９との少なくとも一方に高吸収性ポリマー粒子１８が付着していればよい。
【００２２】
それら混紡糸７ａ，７ｂに対する高吸水性ポリマー粒子１８の含有率は、３０〜６０重量％の範囲にあることが好ましい。高吸水性ポリマー粒子１８の含有率が３０重量％未満では、体液吸収シート４の体液吸収機能が低下してしまう。合成繊維８に高吸水性ポリマー粒子１８を混入した混紡糸７ａでは、高吸水性ポリマー粒子１８の含有率が６０重量％を超過すると、繊維８の湿潤時にその強度が低下するので、繊維８自体がその形態を保持し得なくなる場合がある。合成繊維８と再生繊維９との周面に高吸水性ポリマー粒子１８を固着した混紡糸７ｂでは、高吸水性ポリマー粒子１８の含有率が６０重量％を超過すると、水分を吸収して膨潤した高吸水性ポリマー粒子１８がゲルブロックを形成し易く、ゲルブロックを形成した高吸水性ポリマー粒子１８によって体液吸収シート４に対する体液の拡散や吸収が妨げられてしまう場合がある。
【００２３】
体液吸収シート４では、合成繊維８と再生繊維９との繊度が１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にあることが好ましい。それら繊維８，９の繊度が１．５ｄｔｅｘ未満の場合は、それら繊維８，９の強度が低下して繊維８，９が破損し易くなってしまう。それら繊維８，９の繊度が１００ｄｔｅｘを超過すると、混紡糸７ａ，７ｂの剛性が高くなり、体液吸収シート４の柔軟性が低下する。
【００２４】
混紡糸７ａ，７ｂにおける繊維８，９の本数は、２０〜８００本の範囲にあることが好ましい。繊維８，９の本数が２０本未満では、体液吸収シート４の体液吸収機能が低下するとともに、体液吸収シート４の曲げ剛性や曲げ戻り性が低下してしまう。繊維８，９の本数が８００本を超過すると、混紡糸７ａ，７ｂ自体の太さが増し、体液吸収シート４の厚みが必要以上に大きくなってしまう。
【００２５】
両端縁部１ａには、横方向へ延びる帯状の胴周り用弾性部材１０が伸長状態で取り付けられている。股下域１６における両側縁部１ｂには、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材１１が伸長状態で取り付けられている。
【００２６】
防漏カフ６は、両側縁部１ｂ近傍に位置して股下域１６から前後胴周り域１５，１７へ向かって延びている。カフ６は、股下域１６を縦方向へ延びる固定縁部６ａと、表面シート２の上方へ起立性向を有する自由縁部６ｂと、前後胴周り域１５，１６に位置しておむつ１の横方向内方へ倒伏した固定両端部６ｃとを有する。カフ６では、固定縁部６ａが両側縁部１ｂに固着され、固定両端部６ｃが両端縁部１ａに固着されている。
【００２７】
カフ６では、固定縁部６ａから横方向外方へ側部６ｄが延びている。カフ６の自由縁部６ｂには、縦方向へ延びる弾性部材１２が伸長状態で取り付けられている。弾性部材１２は、自由縁部６ｂの一部に被覆されている。
【００２８】
おむつ１では、それが表面シート２を内側にして縦方向へ湾曲すると、弾性部材１２の収縮にともなってカフ６の自由縁部６ｂが縦方向へ収縮し、自由縁部６ｂが表面シート２の上方へ起立する。おむつ１では、起立したカフ６の自由縁部６ｂが体液に対する障壁を形成し、股下域１６からの体液の漏出を防ぐことができる。
【００２９】
おむつ１では、後胴周り域１７の両側縁部１ｂに一対のテープファスナ１３が取り付けられ、前胴周り域１５における裏面シート３の外面にテープファスナ１３の止着域となる矩形のターゲットテープ１４が取り付けられている。
【００３０】
テープファスナ１３は、可撓性を有するプラスチックフィルムから形成され、後胴周り域の両側縁部１ｂに固着された基端部と、ターゲットテープ１４に係脱可能に止着する自由端部とを有する。テープファスナ１３は、自由端部に粘着剤（図示せず）が塗布され、自由端部が粘着剤を介してカフ６に仮着されている。ターゲットテープ１４は、可撓性を有するプラスチックフィルムから形成されている。
【００３１】
両端縁部１ａでは、表面シート２の端部２ａと裏面シート３の端部３ａとが体液吸収シート４の両端縁から縦方向外方へ延び、それら端部２ａ，３ａの互いに重なり合う部分が固着されている。カフ６の固定両端部６ｃは、表面シート２の端部２ａに固着されている。胴周り用弾性部材１０は、表面シート２の端部２ａと裏面シート３の端部３ａとの間に介在し、それら端部２ａ，３ａに固着されている。
【００３２】
両側縁部１ｂでは、表面シート２の側部２ｂが体液吸収シート４の両側縁から横方向外方へわずかに延び、表面シート２の側部２ｂからさらに横方向外方へ裏面シート３の側部３ｂとカフ６の側部６ｄとが延びている。側部２ｂと側部３ｂとは、それら側部２ｂ，３ｂの互いに重なり合う部分が固着されている。側部３ｂと側部５ｄとは、それら側部３ｂ，５ｄの互いに重なり合う部分が固着されている。カフ６の固定縁部６ａは、表面シート２の側部２ｂに固着されている。脚周り用弾性部材１１は、裏面シート３の側部３ｂとカフ６の側部６ｄとの間に介在し、それら側部３ｂ，６ｄに固着されている。
【００３３】
おむつ１を着用するには、後胴周り域１７の両側縁部１ｂを前胴周り域１５の両側縁部１ｂの外側に重ね合わせ、粘着剤を介してテープファスナ１３の自由端部をターゲットテープ１４に止着する。前後胴周り域１５，１７が連結されたおむつ１には、胴周り開口と、一対の脚周り開口とが画成される。
【００３４】
おむつ１では、体液吸収シート４が混紡糸７ａ，７ｂを織ることにより作られた織物であり、それを形成する混紡糸７ａ，７ｂどうしが互いの動きを拘束するので、体液吸収シート４自体が型崩れを起こし難く、体液吸収シート４の型崩れを防止するために、体液吸 収シート４以外の部材を使用する必要がない。おむつ１では、それが湾曲したり、よじれたりした場合でも、その動きに応じて体液吸収シート４も自在に変形するので、体液吸収シート４によっておむつ１の動きが拘束されることはない。
【００３５】
おむつ１では、表面シート２と繊維集合物５とを透過した体液が高吸水性ポリマー粒子１８に吸収保持されるので、体液が表面シート２上に逆戻りすることはなく、着用者の肌への体液の付着を防止することができる。
【００３６】
図６，７は、表面シート２１の側から示す生理用ナプキン２０の部分破断斜視図と、体液吸収シート２３ａ，２３ｂの斜視図とであり、図８は、体液吸収シート２３ａ，２３ｂを形成する混紡糸２５の斜視図である。図６では、横方向を矢印Ｘで示し、縦方向を矢印Ｙで示す。
【００３７】
ナプキン２０は、縦方向へ長い略矩形のもので、肌当接側に位置する透液性表面シート２１および肌非当接側に位置する不透液性裏面シート２２と、それらシート２１，２２の間に介在する体液吸収シート２３ａ，２３ｂおよび繊維集合物２４とから構成されている。繊維集合物２４は、体液吸収シート２３ａの上部に位置している。
【００３８】
ナプキン２０では、二つの体液吸収シート２３ａ，２３ｂがその厚み方向へ重なる二層を形成している。体液吸収シート２３ａ，２３ｂは、それらの互いに重なり合う部分において固着されている。ナプキン２０では、体液吸収シート２３ｂが裏面シート２２の内面に固着され、繊維集合物２４が表面シート２１の内面に固着されている。体液吸収シート２３ａと繊維集合物２４とは、それらの互いに重なり合う部分が固着されている。
【００３９】
ナプキン２０では、それら体液吸収シート２３ａ，２３ｂと繊維集合物２４との周縁から周方向外方へ延びる表面シート２１と裏面シート２２との互いに重なり合う部分が固着されている。裏面シート２２の外面には、ナプキン２０をショーツの内側に貼着するための粘着剤（図示せず）が塗布されている。
【００４０】
体液吸収シート２３ａ，２３ｂは、図８に示すように、合成繊維２６と高吸水性繊維２７とを混紡した混紡糸２５から形成され、混紡糸２５を織ることにより作られたネット状の織物である。高吸水性繊維２７は、高吸水性ポリマーを紡糸することにより得ることができる。具体的には、アクリル酸と繊維形成可能なビニル系不飽和モノマーとを水溶液重合し、カルボン酸の一部を中和して乾式紡糸を行う。その後、架橋反応を実施して不溶化の高吸水性繊維２７とする。この技術は、特許第２６１３６０４号公報に開示されている。
【００４１】
高吸水性繊維２７には、特許第２６１３６０４号公報に開示のものの他に、融点が５０〜１５０℃の範囲にあるエチレン−グリシジル（メタ）アクリレート系共重合体を溶融紡糸することにより得ることができる。ここで、（メタ）アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとを意味している。
【００４２】
エチレン−グリシジル（メタ）アクリレート系共重合体の具体例としては、以下のものがある。エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル−エチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル−エチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−グリシジルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体である。
【００４３】
体液吸収シート２３ａ，２３ｂでは、混紡糸２５に対する高吸水性繊維２７の混紡率が３０〜５０重量％の範囲、合成繊維２６と高吸水性繊維２７との繊度が１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にあることが好ましい。高吸水性繊維２７の混紡率が３０重量％未満では、体液吸収シート２３ａ，２３ｂの体液吸収機能が低下してしまう。高吸水性繊維２７の混紡率が５０重量％を超過すると、体液を吸収膨潤して脆弱になった高吸水性繊維２７が合成繊維２６から分離するので、体液吸収シート２３ａ，２３ｂを形成する混紡糸２５がほぐれ易くなってしまう。それら繊維２６，２７の繊度が１．５ｄｔｅｘ未満の場合は、それら繊維２６，２７の強度が低下するので、特に高吸水性繊維２７が破損し易くなってしまう。それら繊維２６，２７の繊度が１００ｄｔｅｘを超過すると、混紡糸２５の剛性が高くなり、体液吸収シート２３ａ，２３ｂの柔軟性が低下する。
【００４４】
混紡糸２５における繊維２６，２７の本数は、２０〜８００本の範囲にあることが好ましい。繊維２６，２７の本数が２０本未満では、体液吸収シート２３ａ，２３ｂの体液吸収機能や体液吸収シート２３ａ，２３ｂの曲げ剛性、曲げ戻り性が低下してしまう。繊維２６，２７の本数が８００本を超過すると、混紡糸２５自体の太さが増し、体液吸収シート２３ａ，２３ｂの厚みが必要に大きくなってしまう。
【００４５】
それら体液吸収シート２３ａ，２３ｂは、再生繊維と高吸水性繊維とを混紡した混紡糸から形成されていてもよく、または、合成繊維および再生繊維と高吸水性繊維とを混紡した混紡糸から形成されていてもよい。合成繊維や繊維集合物、再生繊維には、図１のそれと同様のものを使用することができる。
【００４６】
ナプキン２０では、表面シート２１と繊維集合物２４とを透過した体液が体液吸収シート２３ａ，２３ｂを形成する高吸水性繊維２７に吸収、保持されるので、体液が表面シート２１上に逆戻りすることはなく、着用者の肌への体液の付着を防止することができる。
【００４７】
それら図示例の体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂは、ネット状を呈する織物であるが、ネット状に限定するものではなく、隣接する混紡糸７ａ，７ｂ，２５どうしの間隙が実質的に目視不能な布状を呈していてもよい。また、それら体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂは、織物の他に、混紡糸を編むことにより作られた編物でもよい。
【００４８】
それら図示例のおむつ１とナプキン２０とには、体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂの上部に繊維集合物５，２５が位置しているが、繊維集合物５，２５は必ずしも必要ではなく、表面シート２，２１と裏面シート３，２２との間に体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂのみが介在するものであってもよい。また、おむつ１とナプキン２０とには、二以上の体液吸収シートがその厚み方向へ重なった状態で取り付けられていてもよい。
【００４９】
表面シート２，２１には、親水性繊維不織布、または、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムを使用することができる。裏面シート３，２２には、疎水性繊維不織布、不透液性のプラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた２層の不織布、疎水性繊維不織布にプラスチックフィルムを固着した複合シートのいずれかを使用することができる。防漏カフ６には、疎水性繊維不織布を使用することができる。
【００５０】
裏面シート３，２２や防漏カフ６には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【００５１】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンボンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレン、または、ポリエチレン／ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【００５２】
表裏面シート２，２１，３，２２の固着や防漏カフ６の固着、体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂおよび繊維集合物５，２５の固着、弾性部材１０，１１，１２の取り付けには、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による溶着手段を利用することができる。
【００５３】
それら体液吸収シート４，２３ａ，２３ｂは、開放型のおむつ１や生理用ナプキン２０の他に、前後胴周り域があらかじめ連結されたパンツ型のおむつやおむつカバーに取り付けて使用する吸液性パッド等の体液吸収性物品にも使用することができる。また、体液吸収シートは、止血用包帯や吸汗シート、母乳パッド等の体液吸収性物品にも使用することができる。
【００５４】
【発明の効果】
本発明にかかる体液吸収シートによれば、それが混紡糸からなる織物または編物であり、体液吸収シートを形成する混紡糸どうしが互いの動きを拘束するので、体液吸収シート自体が型崩れを起こし難く、体液吸収シートの型崩れを防止するために、体液吸収シート以外の部材を使用する必要はない。
【００５５】
体液吸収シートを使用した使い捨ておむつや生理用ナプキン等の体液吸収性物品では、それらが湾曲したり、よじれたりした場合でも、その動きに応じて体液吸収シートも自在に変形することができ、体液吸収シートによっておむつの動きが拘束されてしまうことがない。体液吸収シートを使用した使い捨ておむつや生理用ナプキン等の体液吸収性物品では、体液が体液吸収シートに吸収保持されるので、それが表面シート上に逆戻りすることはなく、着用者の肌への体液の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 表面シートの側から示す使い捨ておむつの部分破断斜視図。
【図２】 体液吸収シートの斜視図。
【図３】 体液吸収シートを形成する混紡糸の斜視図。
【図４】 単体で示す合成繊維の拡大斜視図。
【図５】 他の一例として示す混紡糸の斜視図。
【図６】 表面シートの側から示す生理用ナプキンの部分破断斜視図。
【図７】 体液吸収シートの斜視図。
【図８】 体液吸収シートを形成する混紡糸の斜視図。
【符号の説明】
１ 使い捨ておむつ（体液吸収性物品）
２ 透液性表面シート
３ 不透液性裏面シート
４ 体液吸収シート
７ａ，７ｂ 混紡糸（第１混紡糸）
８ 合成繊維（第１繊維材料）
９ 再生繊維（第１繊維材料）
１８ 高吸水性ポリマー粒子（高吸収性材料）
２０ 生理用ナプキン（体液吸収性物品）
２１ 透液性表面シート
２２ 不透液性裏面シート
２３ａ，２３ｂ 体液吸収シート
２５ 混紡糸（第２混紡糸）
２６ 合成繊維（第２繊維材料）
２７ 高吸水性繊維

Claims (11)

1. 肌当接側に位置する透液性表面シートと肌非当接側に位置する不透液性裏面シートとの間に挟まれて、前記表面シートおよび前記裏面シートとともに体液吸収性物品を構成する体液吸収シートにおいて、
   前記体液吸収シートが、第１混紡糸でネット状に織られた織物または前記第１混紡糸で布状に編まれた編物とのいずれか一方であって、
   前記第１混紡糸が、第１繊維材料に高吸水性ポリマー粒子が結合したものであり、
   前記第１繊維材料が、合成繊維および／または再生繊維からなることを特徴とする前記体液吸収シート。
2. 前記高吸水性ポリマー粒子が、前記第１繊維材料に混入されている請求項１記載の体液吸収シート。
3. 前記高吸水性ポリマー粒子が、接着剤を利用して前記第１繊維材料の周面に固着されている請求項１または請求項２に記載の体液吸収シート。
4. 前記高吸水性ポリマー粒子が、それ自体の粘着性を利用して前記第１繊維材料の周面に付着している請求項１または請求項２に記載の体液吸収シート。
5. 前記第１混紡糸に対する前記高吸水性ポリマー粒子の含有率が、３０〜６０重量％の範囲にある請求項１ないし請求項４いずれかに記載の体液吸収シート。
6. 肌当接側に位置する透液性表面シートと肌非当接側に位置する不透液性裏面シートとの間に挟まれて、前記表面シートおよび前記裏面シートとともに体液吸収性物品を構成する体液吸収シートにおいて、
   前記体液吸収シートが、第２混紡糸でネット状に織られた織物または前記第２混紡糸で布状に編まれた編物とのいずれか一方であって、
   前記第２混紡糸が、第２繊維材料と高吸水性繊維とを混紡したものであり、
   前記第２繊維材料が、合成繊維および／または再生繊維からなり、
   前記高吸水性繊維が、高吸水性ポリマーを紡糸したものであることを特徴とする前記体液吸収シート。
7. 前記第２混紡糸に対する前記高吸水性繊維の混紡率が、３０〜５０重量％の範囲にあり、前記高吸水性繊維の繊度が、１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にある請求項６記載の体液吸収シート。
8. 前記第１および第２繊維材料の繊度が、１．５〜１００ｄｔｅｘの範囲にあり、前記第１および第２混紡糸における繊維本数が、２０〜８００本の範囲にある請求項１ないし請求項７いずれかに記載の体液吸収シート。
9. 前記合成繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、のうちの少なくとも１つから形成され、前記再生繊維が、セルロース系繊維から形成されている請求項１ないし請求項８いずれかに記載の体液吸収シート。
10. 肌当接側に位置する透液性表面シートと、肌非当接側に位置する不透液性裏面シートと、それら表面シートおよび裏面シートの間に介在する請求項１ないし請求項９いずれかに記載の体液吸収シートとを含む体液吸収性物品。
11. 厚み方向へ重なる少なくとも二層の前記体液吸収シートを含む請求項１０に記載の体液吸収性物品。

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