JP3971053B2 - 植物栽培器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は植物栽培器具、特に、土を使用せずに植物を栽培できる植物栽培器具に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、土を使用せずに植物を栽培できる植物栽培器具としては、例えば、チュウリップ,ヒヤシンス等の球根を栽培するため、くびれた胴を有する花瓶がある。そして、この花瓶の水を球根の根が直接吸い上げて成長する。
【0003】
しかし、前述の花瓶による栽培方法では、栽培植物の根が水に直接接触する。このため、観葉植物や草花を栽培できず、栽培できる植物が限定されていた。
また、水中の溶存酸素が少なくなると、球根植物が枯れてしまうので、花瓶の水を度々交換する必要がある。特に、球根から多数の根が伸びた後に水を交換する場合、花瓶から球根を引き抜き、再度、戻そうとすると、伸びた根のために球根を元の位置に戻すことが容易でなく、手間がかかるという問題点があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、栽培できる植物の種類が多く、水の交換回数が少なく、水の交換作業が容易な植物栽培器具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる植物栽培器具は、前記目的を達成すべく、有底の筒形状を有し、かつ、底部下面に少なくとも1つの吸水用突部を突設するとともに、底部上面に少なくとも一つの支持用突部を突設した微多孔質焼成体からなる器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなる構成としてある。
【0006】
また、有底の筒形状を有し、かつ、底部下面に少なくとも1つの吸水用突部を突設するとともに、底部上面に少なくとも一つの支持用突部を突設した連続気泡型プラスチックフォームからなる器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、前記吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなる構成としてもよい。
【0007】
さらに、前記器具本体と前記給水体とを一体化しておいてもよく、あるいは、前記吸水用突部を、前記器具本体の底部下面に着脱可能に突設してもよい。
【0008】
そして、有底の筒形状を有する微多孔質焼成体の底部上面に、少なくとも一つの支持用突部を突設するとともに、底部下面に連続気泡型プラスチックフォームからなる吸水用突部を着脱可能に突設した器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、前記吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなる構成としてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態を図1ないし図7の添付図面に従って説明する。
第1実施形態に係る植物栽培器具10は、図1ないし図3に示すように、器具本体11と、給水体20とで構成されている。なお,21は水である。
【0010】
前記器具本体11は有底筒形であり、その底部12の下面に1本の吸水用突部13を突設している一方、前記底部12の上面に4本の支持用突部14を等間隔で突設している。そして、前記植物栽培器具10は、例えば、微多孔質焼成体で形成してもよく、あるいは、連続気泡型プラスチックフォーム体で形成してもよい。
【0011】
前記微多孔質焼成体は、粘土などの焼成原料を押し固めて成形した後、焼成して得られる。焼成原料としては、高温で焼成しても、空隙が消失しない原料が好ましく、例えば、10号土、磁気2号土(城山セラポット株式会社)が挙げられる。特に、微多孔質焼成体として水分を吸収,放出しやすくため、例えば、ペタライト50〜60重量%を含有させることが好ましい。また、粉状無機質発泡体を含有させておいてもよい。
【0012】
成形方法は、例えば、鋳込み成形、プレス成形、ろくろ成形などの既存の方法から適宜選択して組み合わせることができる。
焼成温度は、1000℃ないし2000℃、特に、1200℃前後が好適である。1000℃未満であると、硫黄成分が残留しやすく、所望の強度が得られないからである。また、2000℃を超えると、所望の透水性が得られないからである。
焼成方法は、例えば、酸化焼成などの既存の方法から適宜選択できる。特に、酸化焼成であれば、所望の空隙が得やすいという利点がある。
【0013】
そして、前記器具本体11の外周面には釉が塗布され、水の滲出を防止している。
【0014】
一方、連続気泡型プラスチックフォームとしては、例えば、ポリビニルアルコールフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノール樹脂フォーム、ユリア樹脂フォームなどが挙げられる。
前記プラスチックフォームの連続気泡の通路径は0.5μm〜100μm、特に、1μm〜10μmとするのが好適である。また、連続気泡型プラスチックフォームの空隙率は、植物の種類等に応じて適宜選択できる。
【0015】
さらに、連続気泡型プラスチックフォームの成型方法としては、溶融発泡成型、固相発泡型、注型発泡型などの方法がある。前記溶融発泡成型の主な工程は、溶融混練、未発泡シート成形、加熱発泡または押出発泡、冷却、裁断および加工である。また、固相発泡成型では、ポリマーが固相または固相に近い状態で発泡させる。さらに、注型発泡成型では、液状原料(モノマーまたはオリゴマー)を使用し、大気中で反応させながら注型して発泡させる。発泡に際しては、通常、発泡剤を用いる。
【0016】
そして、前記器具本体11が連続気泡型プラスチックフォームで形成されている場合には、前記器具本体11の外周面は不透水性の樹脂で覆われ、水の滲出を防止している。
【0017】
なお、前記吸水用突部13は器具本体11に一体成形したものに限らず、別体のものを後付けしてもよい。また、吸水用突部13は器具本体11と同一の材質である必要はない。例えば、器具本体11が微多孔質焼成体である場合に、吸水用突部13だけを連続気泡型プラスチックフォームで形成してもよく、その逆であってもよい。
【0018】
給水体20は、前記器具本体11を形成する微多質焼成体である必要はなく、不透水性を有するものであればよく、例えば、ガラスであってもよい。
【0019】
第2実施形態は、図4および図5に示すように、器具本体11と給水体20とを接続一体化した場合である。なお、前記給水体20は、その一部を切り欠いて注水口21を形成してある。他は前述の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態によれば、器具本体11と給水体20とが一体化されている。このため、外部の振動等によって器具本体11が給水体20から脱落することがなく、吸水用突部13が破損するおそれがないという利点がある。
【0020】
第3実施形態は、図6に示すように、筒形器具本体11の底部12の下面縁部に沿って環状突部15を形成した場合である。この環状突部15の下端縁部から上方に4本のスリット16を等間隔で形成してある。さらに、前記底部12の上面中央に支持用突部14を突設してある。一方、給水体20は、前記器具本体11の外径よりも大きい内径を有する有底筒形である。また、前記器具本体11の外周面および給水体20の露出面には釉が塗布されている。
そして、水21を注入した給水体20に、器具本体11の環状突部15を嵌め込むと、給水体20の水を環状突部15が毛細管現象で吸い上げる。さらに、図示しない栽培植物の根、特に、その根毛が、器具本体11を形成する微多質焼成体の微孔内に保持された水を吸引する。
本実施形態によれば、吸水用突部15が環状である。このため、破損しにくいだけでなく、水21の取り換え時に器具本体11が転倒せず、使い勝手が良いという利点がある。
【0021】
第4実施形態は、図7に示すように、第3実施形態とほぼ同様である。異なる点は、筒形器具本体11の外経よりも小さい外径の環状突部15を突設した点である。このため、器具本体11と同一外径を有する給水体20に前記器具本体10を載置すると、両者の外周面に段差がなくなり、給水体20の開口縁部に埃が溜まらないという利点がある。
他は前述の第3実施形態と同様であるので,説明を省略する。
【0022】
前述の実施形態では、器具本体11の外周面のみに釉を塗布する場合について説明した。しかし、栽培する植物に応じて水の供給量を調整する必要がある場合は、前記吸水用突部15に釉を部分的に塗布し、毛細管力による水の吸水量を調整してもよい。
【0023】
【実施例】
外径108mm、高さ60mmの図1に準じた形状,構造を有する器具本体と、外径108mm、高さ50mmの図1に準じた形状,構造を有する給水体とを、微多孔質焼成体で形成した植物栽培器具を得た。そして、この植物栽培器具の4本の支持用突部間に栽培植物の根を位置決めして植栽し、屋内に配置した。栽培した植物は、オオタニワタリ、ディフェンバキア、ドラセナ、カランコエ、インパチェンス、コチョウランであった。水は、1週間から10日間に一度の割合で供給するとともに、必要に応じ、液肥を添加した。植栽してから約2ヶ月経過した後も正常に成育を続けていることが確認できた。
【0024】
【発明の効果】
請求項1によれば、毛細管現象だけで吸水用突部から器具本体内に水が吸い上げられる。そして、器具本体の微孔内に保持された水を植物の根が吸引することにより、植物を栽培できる。このため、観葉植物や草花を栽培でき、栽培できる植物の種類が増える。
また、微多孔質焼成体の微孔内に保持された水を植物の根が吸引するので、従来例のように水中の溶存酸素について考える必要がなく、水の交換回数が少なくなる。特に、器具本体を給水体から取り外すことにより、水の交換を容易に行うことができる。
さらに、植物の根の接触面積が増大し、栽培植物が安定するとともに、根が繁殖しやすくなる。
【0025】
請求項2によれば、前述の請求項1と同様な効果が得られる。特に、請求項2によれば、フレキシブルで成形が容易であり、かつ、軽量であるので、種々の用途,形状を有する植物栽培器具が得られる。
【0026】
請求項3によれば、器具本体と給水体とが一体となっているので、器具本体が外部からの衝撃力によって脱落することがなく、吸水用突部が破損することがない。
【0027】
請求項4によれば、吸水用突部を器具本体に着脱可能としてある。このため、前記吸水用突部を器具本体と別工程で製造でき、器具本体の形状が簡単になり、その製造が容易になる。特に、吸水用突部が破損した場合には、それだけを交換でき、経済的である。
【0028】
請求項5によれば、器具本体の形状が簡単になり、吸水用突部と別工程で製造できる。特に、栽培植物の種類に応じて種々の組合せが可能になり、汎用性を有する植物栽培器具が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示した第1実施形態の正面図である。
【図3】 図1に示した第1実施形態の断面図である。
【図4】 本発明に係る第2実施形態を示す正面図である。
【図5】 本発明に係る第2実施形態を示す断面図である。
【図6】 本発明に係る第3実施形態を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る第4実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10…植物栽培器具、11…器具本体、12…底部、13…吸水用突部、14…支持用突部、15…環状突部、16…スリット、20…給水体、21…水、22…注水口。
Claims (5)
- 有底の筒形状を有し、かつ、底部下面に少なくとも1つの吸水用突部を突設するとともに、底部上面に少なくとも一つの支持用突部を突設した微多孔質焼成体からなる器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなることを特徴とする植物栽培器具
- 有底の筒形状を有し、かつ、底部下面に少なくとも1つの吸水用突部を突設するとともに、底部上面に少なくとも一つの支持用突部を突設した連続気泡型プラスチックフォームからなる器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、前記吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなることを特徴とする植物栽培器具。
- 前記器具本体と前記給水体とを一体化したことを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培器具
- 前記吸水用突部を、前記器具本体の底部下面に着脱可能に突設したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の植物栽培器具。
- 有底の筒形状を有する微多孔質焼成体の底部上面に、少なくとも一つの支持用突部を突設するとともに、底部下面に連続気泡型プラスチックフォームからなる吸水用突部を着脱可能に突設した器具本体と、載置した前記器具本体を支持し、かつ、前記吸水用突部に水を供給できる給水体と、からなることを特徴とする植物栽培器具。
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