JP3970751B2 - ダブルコンバージョン方式の受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数変換を2回行うダブルコンバージョン方式の受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2つの混合回路を用いることにより、受信した放送波に対して周波数変換を2回行うダブルコンバージョン方式の受信機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。1段目の混合回路によって放送波を高い周波数に変換することにより、イメージ妨害を容易に除去することが可能になり、アンテナ同調回路やRF同調回路を備えない非同調方式の受信機で優れた妨害特性を実現することができる。
【0003】
また、このようなダブルコンバージョン方式の受信機において、アンテナで受信した放送波に対して高周波増幅を行った後の信号に対して、1段目の混合回路に入力される前に同調をとることにより、受信感度と妨害特性をさらに改善した従来技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。1段目の混合回路に入力される前の信号に対して同調を行うことにより、受信を希望しない放送局の電波やノイズが1段目の混合回路に入力されることを除去することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−174653号公報(第2−3頁、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に開示された受信機では、アンテナを介して受信された信号に対して、高周波増幅を行った後に同調回路を通しているため、アンテナで受信した信号に受信を希望しない放送局の電波やノイズ等の不要成分が含まれている場合にこの不要成分も増幅されてしまうという問題があった。また、上述した受信機では、同調コイルと可変容量ダイオードとを組み合わせて同調回路が構成されているが、これとは別にアンテナが設けられている。このアンテナとしては例えばロッドアンテナが一般に用いられるが、この場合にはロッドアンテナと同調コイルの両方が必要になって部品点数が増加するという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、受信した信号に含まれる不要成分を確実に除去するとともに部品点数を低減することができるダブルコンバージョン方式の受信機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明のダブルコンバージョン方式の受信機は、同調コイルと可変容量ダイオードとを含むアンテナ同調回路と、アンテナ同調回路から出力される信号に対して高周波増幅を行う高周波増幅回路と、高周波増幅回路の出力に対して2回の周波数変換を行う第1および第2の混合回路と、混合回路の出力に対して検波処理を行う検波回路とを備えている。ダブルコンバージョン方式を採用するとともに、高周波増幅回路の前段にアンテナ同調回路を設けることにより、受信した放送波に含まれる受信を希望しない放送局の電波やノイズ等の不要成分を確実に除去することが可能になる。また、高周波増幅後に同調回路を設ける場合に比べて、アンテナ同調回路において同調用に用いるコイルをアンテナとして用いることができるため、同調用のコイルとアンテナとを別々に備える必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0008】
また、上述したアンテナ同調回路に含まれる同調コイルは、磁芯に導線を巻いたバーアンテナであることが望ましい。バーアンテナの場合には、周辺に存在する人体等の影響による磁束の変動を最小限に抑えることができるため、放送波を安定的に受信することが可能になる。また、透磁率の大きなフェライトコアを用いることにより、大きな起電圧を得ることができ、受信感度の向上が可能になる。
【0009】
また、上述したアンテナ同調回路に含まれる同調コイルは、導線をループ状に巻いたループアンテナであることが望ましい。ループアンテナの場合には、携帯受信機等の筐体を利用して容易に形成することができる。
また、上述したアンテナ同調回路に含まれる可変容量ダイオードに印加する同調周波数設定用の制御電圧を生成するデジタル−アナログ変換器と、高周波増幅回路の出力信号が入力される第1の混合回路に、周波数が変更可能な局部発振信号を入力する局部発振器と、局部発振器から出力される局部発振信号の周波数を設定するとともに、この局部発振信号の周波数にアンテナ同調回路の同調周波数を連動させるために必要な周波数設定データを生成してデジタル−アナログ変換器に入力する制御部とをさらに備えることが望ましい。ダブルコンバージョン方式の受信機では、第1の混合回路から出力される中間周波信号の周波数を10MHz近傍に設定する場合が多いが、このように放送波の周波数(AM放送の場合にはほぼ500〜1600kHz)と中間周波信号の周波数とが大きく異なると、パディングコンデンサ等を追加しただけでは、局部発振器の発振周波数とアンテナ同調回路の同調周波数とを同じように変化させることが困難になって、トラッキングエラーが許容範囲を超えてしまう。ところが、デジタル−アナログ変換器を用いて可変容量ダイオードに印加する制御電圧を発生させる場合には、局部発振器の発振周波数とは関係なく任意の同調周波数を設定することが可能になり、過大なトラッキングエラーの発生を防止することができる。
【0010】
また、上述したデジタル−アナログ変換器は、制御電圧が所定の温度係数で周囲温度に応じて変化することが望ましい。これにより、高価な温度補償用コンデンサ等の部品を用いる必要がなくなるため、部品コストを低減することが可能になる。
【0011】
また、上述したデジタル−アナログ変換器は、所定の温度係数を有する素子を含んで構成される温度係数設定部を有しており、温度係数設定部全体の素子定数が、周囲温度に応じて変化することが望ましい。このように、デジタル−アナログ変換器の一部に温度係数設定部を備えることにより、デジタル−アナログ変換器全体の温度特性を所定範囲内で任意に設定することが可能になる。
【0012】
また、上述したデジタル−アナログ変換器、高周波増幅回路、第1および第2の混合回路、検波回路、局部発振器は、同一の半導体基板上に形成されており、温度係数設定部は、互いに温度係数が異なっており、半導体製造プロセスによって形成される複数の抵抗を含み、デジタル−アナログ変換器の温度係数が所定値となるように複数の抵抗の接続形態を設定することが望ましい。このように、デジタル−アナログ変換器を含むほとんどの部品を半導体基板上に形成することにより、製造の容易化、部品点数の低減に伴うコストダウンが可能になる。
【0013】
また、上述したデジタル−アナログ変換器は、入力される周波数設定データの値に応じた電流値が設定される電流源と、この電流源によって生成される電流が流れる温度係数設定部とを備えており、温度係数設定部の両端電圧を制御電圧として出力することが望ましい。デジタル−アナログ変換器をこのように構成することにより、温度係数設定部の温度係数に応じてデジタル−アナログ変換器の出力電圧(制御電圧)を変化させることが容易となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したダブルコンバージョン方式を採用した一実施形態の受信機について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態の受信機の構成を示す図である。図1に示す第1の実施形態のダブルコンバージョン方式の受信機は、アンテナ同調回路10、高周波増幅回路20、混合回路22、28、局部発振器24、30、中間周波フィルタ26、32、中間周波増幅回路34、検波回路36、PLL回路38、制御部40、DAC(デジタル−アナログ変換器)42、操作部44を含んで構成されている。
【0015】
アンテナ同調回路10は、同調コイル11、コンデンサ12、可変容量ダイオード13によって構成されている。同調コイル11と可変容量ダイオード13とが並列接続されており、これらの並列共振周波数を、受信を希望する放送波の周波数にあわせることにより、この放送波以外の他の放送局の電波やその他のノイズ等を減衰させる。コンデンサ12は、可変容量ダイオード13の両端に逆バイアスの制御電圧を印加するためのものである。同調コイル11としては、磁芯に導線を巻いたバーアンテナや、導線をループ状に巻いたループアンテナが用いられる。同調コイル11としてバーアンテナを用いる場合には、周辺に存在する人体の影響による磁束の変動を最小限に抑えることができるため、放送波を安定的に受信することが可能になる。また、磁芯として透磁率の大きなフェライトコアを用いることにより、大きな起電圧を得ることができ、受信感度の向上が可能になる。また、同調コイル11としてループアンテナを用いる場合には、携帯型の受信機の筐体を利用して容易に形成することが可能になる。
【0016】
高周波増幅回路20は、アンテナ同調回路10から出力される信号に対して高周波増幅を行う。混合回路22(第1の混合回路)は、高周波増幅回路20から出力される信号と局部発振器24から出力される局部発振信号とを混合する。高周波増幅回路20から出力される信号の周波数をf1、局部発振信号の周波数をf2とすると、混合回路22からはf2±f1の周波数成分の信号が出力される。
【0017】
中間周波フィルタ26は、混合回路22から出力される信号の中から所定の周波数成分のみを通過させる。例えば、この通過帯域の中心周波数が10.7MHzに設定されており、f2−f1が10.7MHzになる放送波がこの中間周波フィルタ26によって選択される。すなわち、周波数f1の放送波を受信したい場合には、局部発振器24から混合回路22に入力される局部発振信号の周波数をf1+10.7MHzに設定すればよい。
【0018】
混合回路28(第2の混合回路)は、中間周波フィルタ26から出力される信号と局部発振器30から出力される局部発振信号とを混合する。中間周波フィルタ26から出力される信号の周波数をf3(=10.7MHz)、局部発振器30から出力される局部発振信号の周波数をf4とすると、混合回路28からはf3±f4の周波数成分の信号が出力される。
【0019】
中間周波フィルタ32は、混合回路28から出力される信号の中から所定の周波数成分のみを通過させる。例えば、この通過帯域の中心周波数が450kHzに設定されており、f3−f4が450kHzになる成分がこの中間周波フィルタ32によって選択される。
【0020】
中間周波増幅回路34は、中間周波フィルタ32から出力された450kHzの中間周波信号を増幅する。検波回路36は、中間周波増幅回路34によって増幅された後の中間周波信号に対して所定の検波処理、例えばAM検波処理を行って音声信号を出力する。
【0021】
局部発振器24は、1段目の混合回路22に入力する周波数f2(=f1−10.7MHz)の局部発振信号を発生する。PLL回路38は、この局部発振器24とともに周波数シンセサイザを構成しており、制御部40によってPLL回路38内の可変分周器(図示せず)の分周比を変更することにより、局部発振器24の発振周波数を所定のステップで設定することができる。これにより、例えばAM放送の放送周波数が9kHzおきに設定されているものとすると、この放送周波数と同じ受信周波数を設定することができる。
【0022】
局部発振器30は、2段目の混合回路28に入力する周波数f4(=10.25MHz)の局部発振信号を発生する。中間周波フィルタ26から出力される信号の周波数f3(=10.7MHz)が固定されているため、局部発振器30では、固定の発振周波数f4が設定されている。
【0023】
制御部40は、局部発振器24の発振周波数を変更するとともに、アンテナ同調回路10の同調周波数を変更する制御動作を行う。ところで、本実施形態では、AM放送の受信周波数帯域(ほぼ500〜1600kHz)と局部発振器24によって発生する局部発振信号の周波数(ほぼ10MHz)とが大きく異なっているため、パディングコンデンサ等を用いただけでは、PLL回路38によって生成される制御電圧をそのままアンテナ同調回路10内の可変容量ダイオード13に印加するとトラッキングエラーが許容範囲を超えてしまう。このため、制御部40は、局部発振器24の発振周波数に対応する正確な同調周波数を設定するために必要な周波数設定データをDAC42に入力し、この設定データに対応する制御電圧をDAC42によって生成している。このようにして生成された制御電圧を可変容量ダイオード13に印加することにより、トラッキングエラーが許容範囲内に収まるようにアンテナ同調回路10の同調回路の設定が行われる。
【0024】
操作部44は、受信機の利用者が選局指示等を行うためのものであり、その操作内容が制御部40に送られる。
このように、本実施形態の受信機では、ダブルコンバージョン方式を採用するとともに、高周波増幅回路20の前段にアンテナ同調回路10を設けることにより、受信した放送波に含まれる受信を希望しない放送局の電波やノイズ等の不要成分を確実に除去することが可能になる。また、高周波増幅後に同調回路を設ける場合に比べて、アンテナ同調回路10内の同調コイル11をアンテナとして用いることができるため、同調用のコイルとアンテナとを別々に備える必要がなく、部品点数を低減することができる。
【0025】
図2は、第2の実施形態の受信機の構成を示す図である。図2に示す第2の実施形態のダブルコンバージョン方式の受信機は、図1に示した受信機に含まれる高周波増幅回路20、混合回路22、28、局部発振器24、30、中間周波フィルタ26、32、中間周波増幅回路34、検波回路36、PLL回路38、制御部40、DAC42が同一の半導体基板上に形成された半導体装置100によって実現されている点と、DAC42が温度係数を有しておりその出力である制御電圧が周囲温度に応じて変化する点が、第1の実施形態の受信機と異なっている。
【0026】
図3は、DAC42の詳細構成を示す図である。図3に示すように、DAC42は、FET110、111、120、121、122、130、131、132、…、140、141、142と、電流源112と、アナログスイッチ123、133、…、143と、インバータ回路124、134、…144と、温度係数設定部150とを含んで構成されている。
【0027】
FET110、111、電流源112とFET120、121とを用いて第1のカレントミラー回路が構成されており、インバータ回路124、FET122およびアナログスイッチ123によって構成される切替回路によってその動作の有効/無効が制御される。この第1のカレントミラー回路は、DAC42の入力データの第1ビットd1に対応している。この第1ビットd1が“1”のとき、すなわちインバータ回路124に入力される信号がハイレベルのときに、アナログスイッチ123およびFET122がともにオン状態になるため、第1のカレントミラー回路の動作が有効になって、所定の電流I1が流れる。
【0028】
また、FET110、111、電流源112とFET130、131とを用いて第2のカレントミラー回路が構成されており、インバータ回路134、FET132およびアナログスイッチ133によって構成される切替回路によってその動作の有効/無効が制御される。この第2のカレントミラー回路は、DAC42の入力データの第2ビットd2に対応している。この第2ビットd2が“1”のとき、すなわちインバータ回路134に入力される信号がハイレベルのときに、アナログスイッチ133およびFET132がともにオン状態になるため、第2のカレントミラー回路の動作が有効になって、所定の電流I2が流れる。
【0029】
同様に、FET110、111、電流源112とFET140、141とを用いて第nのカレントミラー回路が構成されており、インバータ回路144、FET142およびアナログスイッチ143によって構成される切替回路によってその動作の有効/無効が制御される。この第nのカレントミラー回路は、DAC42の入力データの第nビットdnに対応している。この第nビットdnが“1”のとき、すなわちインバータ回路144に入力される信号がハイレベルのときに、アナログスイッチ143およびFET142がともにオン状態になるため、第nのカレントミラー回路の動作が有効になって、所定の電流Inが流れる。
【0030】
本実施形態では、DAC42に入力されるnビットのデータは、第1ビットd1が最下位ビットに、第nビットdnが最上位ビットに対応している。また、第1のカレントミラー回路によって生成される電流I1を1とすると、第2、第3、…第nのカレントミラー回路によって生成される電流I2、I3、…、Inはその2(=21)倍、4(=22)倍、…、2(n-1)倍となるように、各FETのゲート幅(チャネル幅)Wやゲート長(チャネル長)Lが設定されている。
【0031】
上述した第1〜第nのカレントミラー回路が並列に接続されて電流源が形成されており、2以上のカレントミラーが同時に動作すると、これら複数のカレントミラー回路によって生成される各電流が加算される。したがって、入力データの各ビットの値に対応して上述した第1〜第nのカレントミラー回路を選択的に動作させることにより、この入力データの値に対応した電流を生成することが可能になる。このようにして生成された電流が温度係数設定部150に供給される。
【0032】
温度係数設定部150は、温度係数が異なる複数の抵抗を組み合わせて構成される合成抵抗であり、この合成抵抗全体の素子定数(抵抗値)が周囲温度に応じて変化する。一般に、半導体製造プロセスによって半導体基板上に形成される抵抗は、不純物の種類や濃度を工夫することにより、3種類程度の温度係数を容易に実現できることが知られている。例えば、半導体基板上にポリシリコンで抵抗を形成する場合には、不純物濃度やp形にするかn形にするかによって、−数千〜+数百ppm/°Cの温度係数を容易に実現することができる。あるいは、ポリシリコンの代わりに、半導体基板上に形成されたp形領域あるいはn形領域の拡散抵抗を利用する場合も同様である。温度係数が大きく異なる3種類の抵抗R1、R2、R3が半導体基板上に形成可能である場合を考えると、これら3種類の抵抗R1〜R3の値や接続方法を工夫することにより、温度係数設定部150全体としての温度係数を所定範囲で自由に設定することができる。
【0033】
図4は、3種類の抵抗を直列接続した温度係数設定部150の構成を示す図である。3種類の抵抗R1〜R3のそれぞれの抵抗値をr1、r2、r3、それぞれの温度係数をa1、a2、a3とすると、図4に示す温度係数設定部150全体の温度係数b1は、
1=(a11+a22+a33)/(r1+r2+r3
となる。また、温度係数設定部150に供給される電流をIとすると、温度係数設定部150の一方端に現れるDAC42の出力電圧Voutは、
Vout=(r1+r2+r3)I
となり、この出力電圧Voutは、周囲温度が1°C変化したときに、ΔV=(a11+a22+a33)Iだけ変動する。
【0034】
図5は、3種類の抵抗を並列接続した温度係数設定部150の構成を示す図である。図5に示す温度係数設定部150全体の温度係数b2は、
Figure 0003970751
となる。また、温度係数設定部150の一方端に現れるDAC42の出力電圧Voutは、
Vout=r123I/(r12+r23+r31
となり、この出力電圧Voutは、周囲温度が1°C変化したときに、ΔV=a123123I/(a1212+a2323+a3131)だけ変動する。
【0035】
図6は、3種類の抵抗を直列および並列接続した温度係数設定部150の構成を示す図である。図6に示す温度係数設定部150全体の温度係数b3は、
Figure 0003970751
となる。また、温度係数設定部150の一方端に現れるDAC42の出力電圧Voutは、
Vout=(r1+r23/(r2+r3))I
となり、この出力電圧Voutは、周囲温度が1°C変化したときに、ΔV=(a11+a2323/(a22+a33))Iだけ変動する。
【0036】
このように、本実施形態の半導体装置100に含まれるDAC42は、所定の温度係数を有する温度係数設定部150を備えており、DAC42全体の温度特性を所定範囲内で任意に設定することが可能になる。特に、複数のカレントミラー回路を並列接続して構成された電流源によって生成される電流が温度係数設定部150に流れたときに発生する温度係数設定部150の両端電圧をDAC42の出力電圧としているため、温度係数設定部150の温度係数に応じてDAC42の出力電圧を変化させることが容易となる。これにより、制御部40から入力されるデータが一定であっても、周囲温度が変化すると出力電圧Voutがこの周囲温度にしたがって変化するようになっている。
【0037】
しかも、この温度係数は、温度係数設定部150内の3種類の抵抗R1〜R3の接続方法を変更したり、抵抗R1〜R3の各温度係数を変更することにより、ある程度任意に設定することが可能となる。したがって、PLL回路38から局部発振器24に印加する電圧が周囲温度に応じて変化したときに、同じようにDAC42の出力電圧を変化させることが可能になり、温度変化に伴うトラッキングエラーの拡大を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態のDAC42やアンテナ同調回路10は、温度補償用コンデンサ等の高価な部品を用いずに構成されているため、部品コストを削減することができる。しかも、DAC42内の温度係数設定部150は、CMOSプロセスあるいはMOSプロセス等の半導体プロセスを用いて、不純物の種類や濃度を制御することにより実現できるため、温度補償用の部品を半導体基板上に形成することができる。このため、図2に示す受信機を構成する各部品を半導体基板上に形成する際に外付け部品を減らすことが可能になり、製造の容易化、部品点数の低減に伴うさらなるコストダウンを図ることが可能になる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した第2の実施形態では、入力データの各ビットの値に応じた電流を生成するDAC42について説明したが、その他の方式を用いたDAC、例えばR−2R抵抗形や荷重抵抗形のDACを用いた受信機等に本発明を適用するようにしてもよい。これらの場合には、所定の動作電圧を生成する電源内に温度係数設定部150を備え、電源によって生成される動作電圧の値を周囲温度に応じて変化させればよい。また、この方法は、図3に示した電流形のDAC42に適用することもできる。すなわち、図3において、温度係数設定部150を抵抗値が固定の抵抗に置き換えるとともに、温度係数設定部150を含んで出力電圧が周囲温度に応じて変化する電源を備え、この電源の出力電圧をFET110、120、130、…、140のそれぞれのドレインに印加すればよい。
【0040】
また、上述した第2の実施形態では、DAC42に含まれる温度係数設定部150を、温度係数が異なる3種類の抵抗R1〜R3を組み合わせて構成する場合について説明したが、半導体プロセスにおいて拡散や打ち込みにより添加する不純物の種類や濃度を変更することにより、温度係数が異なる4種類以上の抵抗を形成することができる場合には、これら4種類以上の抵抗を組み合わせて温度係数設定部150を構成するようにしてもよい。あるいは、2種類の抵抗を組み合わせて、または1種類の抵抗を用いて所定の温度係数が得られる場合には、2種類あるいは1種類の抵抗を用いて温度係数設定部150を構成するようにしてもよい。
【0041】
また、DAC42全体の温度係数を温度係数設定部150内の抵抗の組み合わせを工夫して所望の値にしたが、DAC42内の温度係数設定部150以外の各構成が無視できない温度係数を有する場合には、これらの各構成と温度係数設定部150とを含むDAC42全体の温度係数が所定の値となるように温度係数設定部150の温度係数を設定すればよい。
【0042】
また、上述した各実施形態では、同調コイル11と可変容量ダイオード13とが並列接続された共振回路を有するアンテナ同調回路10について説明したが、これらの素子が直列接続された共振回路が含まれるようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、ダブルコンバージョン方式を採用するとともに、高周波増幅回路の前段にアンテナ同調回路を設けることにより、受信した放送波に含まれる受信を希望しない放送局の電波やノイズ等の不要成分を確実に除去することが可能になる。また、高周波増幅後に同調回路を設ける場合に比べて、アンテナ同調回路において同調用に用いるコイルをアンテナとして用いることができるため、同調用のコイルとアンテナとを別々に備える必要がなく、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の受信機の構成を示す図である。
【図2】第2の実施形態の受信機の構成を示す図である。
【図3】DACの詳細構成を示す図である。
【図4】3種類の抵抗を直列接続した温度係数設定部の構成を示す図である。
【図5】3種類の抵抗を並列接続した温度係数設定部の構成を示す図である。
【図6】3種類の抵抗を直列および並列接続した温度係数設定部の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 アンテナ同調回路
11 同調コイル
12 コンデンサ
13 可変容量ダイオード
20 高周波増幅回路
22、28 混合回路
24、30 局部発振器
26、32 中間周波フィルタ
34 中間周波増幅回路
36 検波回路
38 PLL回路
40 制御部
42 DAC(デジタル−アナログ変換器)

Claims (4)

  1. 同調コイルと可変容量ダイオードとを含むアンテナ同調回路と、
    前記アンテナ同調回路から出力される信号に対して高周波増幅を行う高周波増幅回路と、
    前記高周波増幅回路の出力に対して2回の周波数変換を行う第1および第2の混合回路と、
    前記第2の混合回路の出力に対して検波処理を行う検波回路と、
    前記アンテナ同調回路に含まれる前記可変容量ダイオードに印加する同調周波数設定用の制御電圧を生成するデジタル−アナログ変換器と、
    前記高周波増幅回路の出力信号が入力される前記第1の混合回路に、周波数が変更可能な局部発振信号を入力する局部発振器と、
    前記局部発振器から出力される局部発振信号の周波数を設定するとともに、この局部発振信号の周波数に前記アンテナ同調回路の同調周波数を連動させるために必要な周波数設定データを生成して前記デジタル−アナログ変換器に入力する制御部と、を備え、
    前記デジタル−アナログ変換器、前記高周波増幅回路、前記第1および第2の混合回路、前記検波回路、前記局部発振器は、同一の半導体基板上に形成されており、
    前記デジタル−アナログ変換器は、半導体製造プロセスによって形成される互いに温度係数が異なる複数の抵抗を含んで構成される温度係数設定部を有しており、
    前記デジタル−アナログ変換器の温度係数が所定値となるように前記複数の抵抗の接続形態を設定することを特徴とするダブルコンバージョン方式の受信機。
  2. 同調コイルと可変容量ダイオードとを含むアンテナ同調回路と、
    前記アンテナ同調回路から出力される信号に対して高周波増幅を行う高周波増幅回路と、
    前記高周波増幅回路の出力に対して2回の周波数変換を行う第1および第2の混合回路と、
    前記第2の混合回路の出力に対して検波処理を行う検波回路と、
    前記アンテナ同調回路に含まれる前記可変容量ダイオードに印加する同調周波数設定用の制御電圧を生成するデジタル−アナログ変換器と、
    前記高周波増幅回路の出力信号が入力される前記第1の混合回路に、周波数が変更可能な局部発振信号を入力する局部発振器と、
    前記局部発振器から出力される局部発振信号の周波数を設定するとともに、この局部発振信号の周波数に前記アンテナ同調回路の同調周波数を連動させるために必要な周波数設定データを生成して前記デジタル−アナログ変換器に入力する制御部と、を備え、
    前記デジタル−アナログ変換器は、入力される前記周波数設定データの値に応じた電流値が設定される電流源と、所定の温度係数を有する素子を含んで構成されて全体の素子定数が周囲温度に応じて変化するとともに前記電流源によって生成される電流が流れる温度係数設定部とを有し、前記温度係数設定部の両端電圧を前記制御電圧として出力することを特徴とするダブルコンバージョン方式の受信機。
  3. 請求項1または2において、
    前記アンテナ同調回路に含まれる前記同調コイルは、磁芯に導線を巻いたバーアンテナであることを特徴とするダブルコンバージョン方式の受信機。
  4. 請求項1または2において、
    前記アンテナ同調回路に含まれる前記同調コイルは、導線をループ状に巻いたループアンテナであることを特徴とするダブルコンバージョン方式の受信機。
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