JP2002353736A - 発振器 - Google Patents

発振器

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JP2002353736A
JP2002353736A JP2001158872A JP2001158872A JP2002353736A JP 2002353736 A JP2002353736 A JP 2002353736A JP 2001158872 A JP2001158872 A JP 2001158872A JP 2001158872 A JP2001158872 A JP 2001158872A JP 2002353736 A JP2002353736 A JP 2002353736A
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oscillator
circuit
mos
conductance
equation
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JP2001158872A
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English (en)
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Atsushi Hirabayashi
敦志 平林
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発振器の小型化及び低コスト化を図ること。 【解決手段】 第1差動対回路1と第2差動対回路2、
及び共振回路3からなり、第1差動対回路1を形成する
N−MOSトランジスタN1,N2のコンダクタンスgm
1より、第2差動対回路2のコンダクタンスgm2を大
きくなるようにすることで、NチャンネルMOSトラン
ジスタN1〜N4によって発振器を構成するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に用
いて好適な発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からラジオ受信機、テレビジョン受
像機、衛星放送受信機、ビデオレコーダ、移動体通信機
などの各種電子機器においては発振器が利用されてい
る。
【0003】図8は、従来の発振器の構成例を示した図
である。この図8において、第1の回路ブロック101
は、例えば回路のバイアス電圧を設定すると共に、高負
荷を与えるアクティブ素子としての機能を有する回路部
位とされる。このため、第1の回路ブロック101は、
一対のPチャンネル型のMOSトランジスタP−MOS
からなる直流電流源とされ、その電流量がコントロール
電源からのコントロール電圧Vcにより可変できるよう
に形成されている。
【0004】第2の回路ブロック102は、発振器とし
て必要な負性抵抗分を与える回路部位とされる。この場
合、第2の回路ブロック102は小さい負性抵抗を必要
とするために、一対のNチャンネル型のMOSトランジ
スタN−MOSにより差動対回路が形成されている。
【0005】第3の回路ブロック103はコイル12と
コンデンサ11とを並列に接続した並列接続回路によっ
て共振回路が形成されている。
【0006】このような構成の発振器は、第1の回路ブ
ロック101が与える正極性の負荷に対して、第2の回
路ブロック102が与える負極性の負荷の絶対値を小さ
くすると、発振器第3の回路ブロック103である共振
回路により規定される周波数付近で発振することにな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図8に
示した発振器は、上記した第1の回路ブロック101の
負荷より、第2の回路ブロック102の負荷が小さいと
いう条件を満足すれば、発振器は発振することから、第
2の回路ブロック102の負性の負荷の絶対値を小さく
できれば、第1の回路ブロック101が与える正極性の
負荷を大きくする必要はないことになる。
【0008】しかしながら、実際には、第2の回路ブロ
ック102を形成しているNチャンネル型のMOSトラ
ンジスタN−MOSは、その電流コンダクタンス(以
下、単に「コンダクタンス」という)gmが小さいた
め、この第2の回路ブロック102の負荷が大きくな
る。このため、第1の回路ブロック101は、第2の回
路ブロック102の負荷を上回る巨大な負荷が必要にな
るため、図8に示したようなP型チャンネルのMOSト
ランジスタP−MOSにより負荷が極めて大きい直流電
流源によるアクティブ負荷を利用するようにしていた。
【0009】この結果、従来の発振器では、第1の回路
ブロック101にPチャンネル型のMOSトランジスタ
P−MOSが、第2の回路ブロック102にNチャンネ
ル型のMOSトランジスタN−MOSがそれぞれ必要に
なるため、Nチャンネル型のMOSトランジスタと、P
チャンネル型のMOSトランジスタが混在したC−MO
S IC(complementary metal oxide semiconductor I
ntegrated Circuit)によって構成することが必要にな
る。
【0010】ところが、C−MOS ICは、異なるチ
ャンネル間ではMOSトランジスタのコンダクタンスg
mをコントロールできないため、C−MOS ICを用
いて発振器を構成した場合は、発振出力点のバイアス電
圧にバラツキが発生する。そこで、従来の発振器では、
発振出力点のバイアス電圧を制御してバイアス電圧のバ
ラツキを解消するために、直流電流源である第1の回路
ブロック101の電流量を制御するコントロール回路
や、このコントロール回路にフィードバックする情報を
検出するためDC検出回路及び発振レベル検出回路など
が必要になる。
【0011】このため、C−MOS ICによって発振
器を構成する場合には、非常に多くの素子が必要にな
り、ICチップの面積が増大すると共に、コストアップ
を招くという欠点があった。また、第1の回路ブロック
101とされる直流電流源は、MOSトランジスタP−
MOSを飽和領域で動作させる必要があるため、P−M
OSトランジスタP−MOSのドレイン−ソース間にバ
イアス電圧を与える必要があるため、低電源電圧によっ
て動作させることが困難になり、消費電力が増加すると
いう欠点もあった。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の発振器
は、このような点を鑑みてなされたものであり、第1の
電界効果トランジスタによって形成される第1差動対回
路と、第1の電界効果トランジスタと同一チャンネルと
される第2の電界効果トランジスタによって形成される
第2差動対回路と、コンデンサとコイルとの並列接続回
路によって形成され、第1の電界効果トランジスタと第
2の電界効果トランジスタとの接続点間に設けられる共
振回路とからなる。そして、第2の電界効果トランジス
タのコンダクタンスを、第1の電界効果トランジスタの
コンダクタンスより大きくなるようにした。
【0013】本発明によれば、第1及び第2の電界効果
トランジスタを同一チャンネルによって形成し、第2差
動対回路を形成する第2の電界効果トランジスタのコン
ダクタンスを、第1差動対回路を形成する第1の電界効
果トランジスタのコンダクタンスより大きくすること
で、電界効果トランジスタの諸特性のマッチングを考慮
することなく発振器を構成することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本実施の形態とされる発
振器の構成を示した図である。この図1に示す本実施の
形態とされる発振器は、破線で囲って示すように第1差
動対回路1、第2差動対回路2、及び共振回路3とから
構成される。第1差動対回路1は、第1の電界効果トラ
ンジスタであるN型チャンネルのMOSトランジスタ
(以下、「N−MOSトランジスタ」という)N1,N2
により形成される。また、第2差動対回路2は、発振器
として必要な負性抵抗分を与える回路部位であり、第2
の電界効果トランジスタであるN−MOSトランジスタ
N3,N4によって形成されている。
【0015】共振回路3は、コイル12とコンデンサ1
1とを並列に接続した並列接続回路により形成されてい
る。
【0016】この場合、N−MOSトランジスタN1の
ソースは、N−MOSトランジスタN3のドレインに接
続され、N−MOSトランジスタN2のソースは、N−
MOSトランジスタN4のドレインに接続される。ま
た、N−MOSトランジスタN3のゲートは、N−MO
SトランジスタN4のドレインに接続され、N−MOS
トランジスタN4のゲートは、N−MOSトランジスタ
N3のドレインに接続される。また、N−MOSトラン
ジスタN1,N2のドレインには、電源電圧Vddが与え
られていると共に、N−MOSトランジスタN3,N4の
ソースが短絡されて接地される。
【0017】そして、N−MOSトランジスタN1,N2
の各ソースが、それぞれ発振出力点t1,t2とされ、こ
れらの発振出力点t1−t2間に共振回路3が接続されて
いる。
【0018】即ち、本実施の形態の発振器は、全て同一
チャンネルのN−MOSトランジスタN1〜N4によって
構成した、いわゆるシングルチャンネル型MOSトラン
ジスタ発振器とされる。
【0019】さらに、本実施の形態の発振器は、N−M
OSトランジスタN1〜N4のコンダクタンスgmが均一
となるように、N−MOSトランジスタN1〜N4のバッ
クゲートが自身のソースに接続される。また、N−MO
SトランジスタN1のゲートとN−MOSトランジスタ
N3のドレイン間の電圧、及びN−MOSトランジスタ
N2のゲートとN−MOSトランジスタN4のドレイン間
の電圧を等しくするために、N−MOSトランジスタN
1のゲート−ドレイン間、及びN−MOSトランジスタ
N2のゲート−ドレイン間を短絡するようにしている。
【0020】ここで、上記図1に示した発振器の動作原
理を図2を用いて説明しておく。なお、以下の説明にお
いては、各N−MOSトランジスタN1〜N4のコンダク
タンスgm比は、そのサイズに比例したものとする。ま
た、上述のように各N−MOSトランジスタN1〜N4の
バックゲートを自身のソースに接続してコンダクタンス
gmを均一とし、また各N−MOSトランジスタN1〜
N4の飽和領域におけるドレイン電流がMOSトランジ
スタ以外への漏れは無いものとすることで、縦続に接続
されているN−MOSトランジスタ同士のドレイン電流
は等しく、それらのN−MOSトランジスタのゲート−
ソース間電圧は等しいものとする。
【0021】先ず、本実施の形態の発振器を構成するN
−MOSトランジスタN1,N2、及びN−MOSトラン
ジスタN3,N4を、それぞれ同一サイズのN−MOSト
ランジスタによって形成し、N−MOSトランジスタN
1,N2のコンダクタンスをgm1、N−MOSトランジ
スタN3,N4のコンダクタンスをgm2とすると、コン
ダクタンスgm1とコンダクタンスgm2の関係は、
【数1】 と示すことができる。
【0022】ここで、N−MOSトランジスタN1,N2
のゲートに対して入力信号として差動入力電圧Vin,−
Vinを印加した時に入力側から見た出力側(発振出力点
t1,t2の出力電圧V1,V2)への伝達関数T(s)を
求める。ここで、共振回路3を形成するコイル12とコ
ンデンサ11の合成インピーダンスをZとすると、コン
ダクタンスgm1とコンダクタンスgm2との関係は、
【数2】
【数3】 と示すことができる。
【0023】そして、上記(数2)と(数3)との辺同
士を足し合わせると、
【数4】 となり、発振出力点t1,t2における出力電圧V1,V2
は互いに逆位相の関係であることが導かれる。このこと
から本実施の形態とされる発振器は差動出力であること
が分かる。
【0024】また、上記(数2)と(数3)との辺同士
の引き算をすると、
【数5】 となる。
【0025】ここで、コンデンサ11のキャパシタンス
を2/C、コイル12のインダクタンスを2Lとする
と、合成インピーダンスZは、
【数6】 となり、上記(数6)により得られる合成インピーダン
スZを上記(数5)に代入すると、
【数7】 と示すことができる。そして、上記(数7)は、上記
(数4)より
【数8】 であることが分かる。
【0026】従って、この(数8)と上記(数1)か
ら、入力側から見た出力側(発振出力点t1における出
力電圧V1)への伝達関数T(s)は、
【数9】 と示すことができる。なお、上記(数9)により求めた
伝達関数T(s)は、帯域通過フィルタ(BPF)の伝
達関数と等しいものとされる。
【0027】さて、上記(数9)に示した伝達関数T
(s)は、周波数軸上の表現とされることから、上記
(数9)に示した伝達関数T(s)を次のように書き直
す。
【数10】 そして、上記(数10)を時間軸上で表現するために逆
ラプラス変換を行うと、
【数11】 のように示されることになる。
【0028】この場合、上記(数11)のCOSによっ
て示されている項が、発振器の発振周波数を示すことに
なり、例えばquality factorQ(以下、
単に「Q」と表記する)が大きい場合、その発振周波数
は共振回路3の共振周波数に近づくことが分かる。
【0029】また指数関数expで示される項は、発振
器の発振出力レベルを示しており、発振出力の過渡状態
におけるエンベロープ(包絡線)に相当するものとな
る。
【0030】従って、これまで説明した動作原理から、
図1に示した発振器を継続して発振させるための発振条
件は、指数関数expの指数が正で、且つ、COSの項
がゼロにならないことであることが分かる。つまり、本
実施の形態とされる発振器の発振条件としては、
【数12】
【数13】 が導かれることになる。
【0031】特に、本実施の形態とされる発振器を構成
するうえでは、上記(数12)、(数13)のうち、
(数13)の発振条件を満たすことが重要になる。
【0032】つまり、図1に示した本実施の形態の発振
器を構成する際には、例えば第1差動対回路1のN−M
OSトランジスタN1,N2と、第2差動対回路2のN−
MOSトランジスタN3,N4のサイズを変えるなどし
て、上記(数1)に示すN−MOSトランジスタN1,
N2のコンダクタンスgm1と、N−MOSトランジス
タN3,N4のコンダクタンスgm2との関係が、上記
(数13)により得られる係数kの条件(k>1)を満
足すれば良いことになる。
【0033】このようにして本実施の形態の発振器を構
成すれば、例えば従来の発振器のように異なるチャンネ
ルのMOSトランジスタを用いることなく、同一チャン
ネルのMOSトランジスタだけで発振器を実現すること
ができるようになる。従って、従来のようにC−MOS
構成を用いて発振器を構成した場合に、異なるチャンネ
ルのMOSトランジスタ間において発生するコンダクタ
ンスgmのバラツキを無いものとすることができるの
で、発振出力点におけるバイアス電圧を安定したものと
することができる。これにより、従来の発振器に設けら
れている発振出力点のバイアス電圧を制御するためのコ
ントロール回路やDC検出回路、発振レベル検出回路な
どが不要になるため、回路規模の小型化を図ることがで
き、ICチップの面積の縮小、及び製造コストを削減す
ることが可能になる。また、直流電流源を構成する必要
もないため、直流電流源を飽和領域で動作させるために
発生する消費電力の増加が無く、それだけ低消費電力化
を図ることができる。
【0034】また、上記図1に示した本実施の形態の発
振器では、同一チャンネルのN−MOSトランジスタN
1〜N4を用いて構成した場合を例に挙げたが、例えば同
一のP型チャンネルのMOSトランジスタ(以下、「P
−MOSトランジスタ」という)を用いて構成すること
も可能である。図3は、本実施の形態の発振器をP−M
OSトランジスタを用いて構成した場合の一例を示した
図である。この図3に示す発振器では、P−MOSトラ
ンジスタP1,P2によって、第1差動対回路21が形成
され、P−MOSトランジスタP3,P4によって第2差
動対回路22が形成されている。
【0035】この場合も、P−MOSトランジスタP1
のドレインは、P−MOSトランジスタP3のソースに
接続され、P−MOSトランジスタP2のドレインは、
P−MOSトランジスタP4のソースに接続される。ま
た、P−MOSトランジスタP1のゲートは、P−MO
SトランジスタP2のドレインに接続され、P−MOS
トランジスタP2のゲートは、P−MOSトランジスタ
P1のドレインに接続される。また、P−MOSトラン
ジスタP1,P2のソースには、電源電圧Vddが与えられ
ていると共に、P−MOSトランジスタP3,P4のドレ
インとゲートとが短絡されて接地される。
【0036】そして、P−MOSトランジスタP1,P2
の各ドレインが、それぞれ発振出力点t1,t2とされ、
これらの発振出力点t1−t2間に共振回路3が並列に接
続されることになる。
【0037】そして、この場合もP−MOSトランジス
タP1〜P4のコンダクタンスgmを均一にするために、
全てのP−MOSトランジスタP1〜P4のバックゲート
が自身のソースに接続されると共に、P−MOSトラン
ジスタP1のドレインとP−MOSトランジスタP3のゲ
ート間の電圧、及びP−MOSトランジスタP2のドレ
インとP−MOSトランジスタP4のゲート間の電圧を
等しくするために、P−MOSトランジスタP3のゲー
ト−ドレイン間、及びP−MOSトランジスタP4のゲ
ート−ドレイン間を短絡するようにしている。
【0038】そして、このように本実施の形態の発振器
を構成した場合でも、P−MOSトランジスタP1,P2
と、P−MOSトランジスタP3,P4のサイズを変える
などして、上記(数1)に示すP−MOSトランジスタ
P1,P2のコンダクタンスgm1とP−MOSトランジ
スタP3,P4のコンダクタンスgm2との関係が、上記
(数13)により得られる係数kの条件(k>1)を満
たすようにすれば、発振器の全てのMOSトランジスタ
をP−MOSトランジスタP1〜P4によって構成するこ
とができるため、上記図1に示した発振器と同様の効果
が得られることになる。
【0039】図4は、本実施の形態とされる発振器のさ
らに他の構成を示した図である。なお、図1と同一部位
には同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】この図4に発振器は、第2差動対回路4を
複数のN−MOSトランジスタによって形成するように
したものである。即ち、この場合は、上記図1において
第2差動対回路2を形成していたN−MOSトランジス
タN3,N4に対して、それぞれN−MOSトランジスタ
N5,N6を並列に接続するようにしたものである。
【0041】つまり、上記図1(図3)に示した発振器
では、MOSトランジスタN1,N2(P1,P2)とMO
SトランジスタN3,N4(P3,P4)のサイズを変え
て、上記(数1)に示したコンダクタンスgm1とgm
2との関係が上記(数13)を満足するようにしている
のに対して、この図4に示す発振器では、第2差動対回
路4を同一サイズの複数のMOSトランジスタを並列に
接続して、上記(数1)に示したコンダクタンスgm1
とgm2との関係が上記(数13)を満足するようにし
ている。
【0042】従って、図4に示すように発振器を構成す
れば、発振器に使用するN−MOS(又はP−MOS)
を同一サイズのMOSトランジスタによって構成するこ
とができるため、その製造が容易になるという利点があ
る。
【0043】以下、これまで説明した本実施の形態とし
ての発振器を用いて構成することができる各種発振器の
構成について説明する。図5は、本実施の形態の発振器
を利用した発振レベル可変型発振器の構成を示した図で
ある。この図5に示す発振レベル可変型発振器は、上記
図1に示した発振器の共振回路3に対して、N−MOS
トランジスタN7のドレインとソースを接続し、このM
OSトランジスタN7のゲートにコントロール電源から
コントロール電圧Vcを印加するようにしている。即
ち、この場合は共振回路3に対してN−MOSトランジ
スタN7を橋渡しした構成となっている。
【0044】ここで、例えばN−MOSトランジスタN
7のドレイン−ソース間の抵抗を2Rdsとして、その動
作原理を考えると、図5に示した発振レベル可変型発振
器は、図1に示した発振器の発振出力点t1,t2との間
にインピーダンス2Rdsを並列に接続した構成であると
考えることができる。従って、その伝達関数T(s)
は、
【数14】 と示すことができる。
【0045】この場合、(数14)に示したインピーダ
ンスRdsは正の実数になる。そして、このインピーダン
スRdsは、N−MOSトランジスタN7のゲートに印加
するコントロール電圧Vcを可変することで、インピー
ダンスRdsを非常に小さい値から相当の大きい値まで可
変できることになる。ここで、インピーダンスRdsが非
常に小さい値とは、上記(数14)の分母のS(=j
ω)の一次の項の極性が正になる値であり、インピーダ
ンスRdsが相当大きな値とは、その極性が負のままの値
であることを意味している。
【0046】つまり、図5に示す発振レベル可変型発振
器は、N−MOSトランジスタN7に与えるコントロー
ル電圧Vcの電圧レベルを可変制御することで、発振器
のループのSの一次の項を、発振状態である負性から発
振停止状態に至る正まで可変できることを意味してい
る。そして、上記(数14)の分母に示されているSの
一次の項が正から負へ変わる時に見かけ上のフィルタの
Q値が無限大を示すことになる。
【0047】ここで、上記(数10)と同様に、(数1
4)を時間軸上で表現するために逆ラプラス変換を行う
と、
【数15】 ように示されることになる。
【0048】そして、上記(数15)の指数関数exp
が負からゼロを通って正に変わることになり、この指数
関数expがゼロを通過する時に、図5に示した発振レ
ベル可変型発振器の発振振幅レベルの増加が停止し、指
数関数expが負になると発振振幅レベルは減少するこ
とになる。
【0049】つまり、上記(数14)の分母のSの一次
の項において、
【数16】 の条件が成立する時に発振器の発振振幅レベルが決定さ
れることになる。
【0050】ここで、N−MOSトランジスタN7のコ
ンダクタンスをgm3とすると、コンダクタンスgm3
は、N−MOSトランジスタN7のドレイン−ソース間
抵抗の逆数1/Rdsと示すことができる。従って、図5
に示す発振レベル可変型発振器の発振振幅レベルが最大
値となるのは、上記(数16)からN−MOSトランジ
スタN1(N2)のコンダクタンスgm1と、N−MOS
トランジスタN3(N4)のコンダクタンスgm2(gm
1×k)とN−MOSトランジスタN7のコンダクタン
スgm3(=1/Rds)との総和がゼロになることを示
している。
【0051】換言すれば、図5に示した発振器の発振振
幅レベルは、発振出力点t1,t2から見て負成分となる
コンダクタンスと、正成分となるコンダクタンスとの量
が相等しい状態であり、N−MOSトランジスタN7の
コンダクタンスgm3を変化させることで、その発振振
幅レベルを変化させることができることを意味してい
る。
【0052】従って、図5に示した発振レベル可変型発
振器を構成すれば、発振振幅レベルを制御することが可
能になる。発振振幅レベルをコントロールできること
は、その発振出力を、与えられた電源電圧の中で最適な
バイアス状態に保つことができることを意味することか
ら、Q値が高く歪みのない発振出力が得られることにな
る。そして、この場合は、従来の発振器において、発振
出力の高調波との混変調によって生じていた不要なビー
ト成分が、要求される帯域に入り込むのを低減するとい
う作用が得られるようになる。よって、図5に示した発
振レベル可変型発振器を各種電子機器に適用すれば、従
来の発振器では高調波成分を除去するために設ける必要
があったローパスフィルタ(LPF)などの回路や、そ
れらの回路を制御するための制御回路等が不要になるた
め、回路システムの簡略化を図ることができる。
【0053】さらに、今後、デジタルとアナログの混在
システムを開発にあたり、例えば高周波(RF)回路部
とベースバンド回路部とを1チップで構成する際するに
予想される、例えば高調波などのクロストークが他の回
路へ飛び込むことによる特性の悪化という不具合を軽減
することができるため、デジタル−アナログ混在システ
ムの重要な技術要素になるものである。
【0054】次いで、図6は、図1に示した発振器を利
用したバイアス自動調整型発振器の構成を示した図であ
る。この図6に示すバイアス自動調整型発振器は、上記
図1に示した発振器の共振回路3に対して直流電源を接
続した構成となっている。このようなバイアス自動調整
型発振器の動作原理を考えると、その伝達関数T(s)
は、上記(数10)において(数2)(数3)(数4)
と同様に考えることができる。よって、
【数17】 と示すことができる。
【0055】この場合、N−MOSトランジスタN1,
N2を流れる電流をI1とすると、N−MOSトランジス
タN3,N4に流れる電流はI1+Icとなる。ここで、
Ic=α×I1(但し、α>0)とすると、N−MOS
トランジスタN1(N2)、N−MOSトランジスタN3
(N4)のコンダクタンスgm1とコンダクタンスgm
2との関係は、
【数18】 と示すことができる。
【0056】ここで、上記(数18)に示したM1,M3
は、各N−MOSトランジスタN1(N2),N3(N4)
のドレイン電流係数を示しており、これらのドレイン電
流係数M1,M3の電流係数比をβ(但し、β>0)と
し、ドレイン電流係数M1,M3の関係をM3=β×M1と
すると、発振器の発振出力点t1,t2におけるバイアス
電圧V1,V2は、
【数19】 と示すことができる。
【0057】ここで、
【数20】 の条件を満たすように、αあるいはβの値をコントロー
ルすると、発振出力点t1,t2のバイアス電圧V1,V2
は、常に電源電圧Vddの1/2になることが分かる。即
ち、図6に示すバイアス自動調整型発振器によれば、発
振出力点t1,t2のバイアス電圧を最適レベルに設定す
ることができるようになる。
【0058】従って、この図6に示すようなバイアス自
動調整型発振器を構成した場合も、発振出力点t1,t2
のバイアス電圧を最適レベルに設定することができるた
め、上記図5に示した発振レベル可変型発振器と同様、
Q値が高く、しかも歪みの無い発振器を構成することが
でき、上記図5に示した発振レベル可変型発振器と同様
の効果が得られるものである。
【0059】図7は、上記図6に示した発振バイアス可
変型発振器の構成を具体的に示した図である。この図7
に示す発振バイアス可変型発振器では、その発振出力点
t1,t2の電圧V1,V2の差動性を利用してセンター電
圧を得るためのDC検出回路31として、抵抗R1,R2
が設けられている。なお、実際にはDC検出回路31の
インピーダンスが発振回路に影響を与えないようにバッ
ファ回路などを設ける必要がある。
【0060】そして、このDC検出回路31により検出
された発振出力点t1,t2のDCバイアス電圧が比較器
COMの一方の入力端子に入力し、他方の入力端子に入
力されている基準電圧Vrefと比較するようにしてい
る、そして、この比較器COMの出力結果に基づいて、
DC検出回路31にて検出される発振出力点t1,t2に
おけるDC電圧が基準電圧Vrefと等しくなるように、
直流電流源を制御することで、上記(数20)の条件を
満足するようにしている。
【0061】通常、比較器COMに入力する基準電圧V
refを電源電圧Vddの1/2電圧レベルに設定しておく
と、発振出力点t1,t2のバイアス電圧は、常に発振振
幅レベルが最も大きく得られる最適なバイアス電圧に保
つことができるため、これまで説明したように、Q値が
高く、しかも歪みの無い発振器を構成することが可能に
なる。なお、図5〜図7に示した発振器は、上記図1に
示したN−MOSトランジスタを用いて構成した場合を
例に挙げて説明したが、例えば図3に示したP−MOS
トランジスタを用いて構成した発振器を適用して構成す
ることができるのは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明の発振器は、
第1及び第2の電界効果トランジスタを同一チャンネル
によって形成し、第2差動対回路を形成する第2の電界
効果トランジスタのコンダクタンスが、第1差動対回路
を形成する第2の電界効果トランジスタのコンダクタン
スより大きくなるように構成している。
【0063】このようにすれば、同一チャンネルの電界
効果トランジスタだけで発振器を実現することができる
ため、電界効果トランジスタのコンダクタンスのバラツ
キを無いものとすることができ、発振出力点におけるバ
イアス電圧を安定したものとすることができる。これに
より、従来の発振器において発振出力点におけるバイア
ス電圧を安定したものとするために設けられていた各種
回路が不要になり、回路規模の小型化及び製造コストの
削減が可能になる。
【0064】また、本発明の発振器は、従来の発振器の
ように直流電流源を設けて構成する必要が無いため、直
流電流源における消費電力の増加が無く、それだけ低消
費電力化を図ることができる。
【0065】また、第3の電界効果トランジスタを共振
回路に対して接続して、発振出力レベルを可変できるよ
うに構成する、あるいは第2の電界効果トランジスタの
ドレイン電極に直流電流源を接続して、発振出力点のバ
イアス電圧を可変できるように構成すれば、その発振出
力のバイアスを最適な状態に保つことが可能になるため
Qが高く、しかも歪みのない発振出力が得られることに
なる。従って、このような本発明の発振器を各種電子機
器に適用すれば、従来の高調波成分を除去するために設
ける必要があった各種回路が不要になるため、それだけ
回路システムの簡略化を図ることができる。
【0066】さらに、例えば高周波回路部とベースバン
ド回路部とを1チップで構成する際するに予想される、
例えば高調波などのクロストークが他の回路へ飛び込む
ことによる特性の悪化という不具合を軽減できるため、
デジタルとアナログの混在システムの重要な技術要素を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態とされる発振器の構成を示
した図である。
【図2】本実施の形態とされる発振器の動作原理を説明
するための図である。
【図3】本実施の形態とされる発振器の他の構成を示し
た図である。
【図4】図1に示す発振器の他の構成を示した図であ
る。
【図5】本実施の形態とされる発振器を利用した発振レ
ベル可変型発振器の構成を示した図である。
【図6】本実施の形態とされる発振器を利用したバイア
ス自動調整型発振器の構成を示した図である。
【図7】本実施の形態とされる発振器を利用したバイア
ス自動調整型発振器の具体的な構成を示した図である。
【図8】従来の発振器の構成を示した図である。
【符号の説明】
1 21 第1差動対回路、2 4 22 第2差動対
回路、3 共振回路、11 コンデンサ、12 コイ
ル、31 DC検出回路、N1〜N7 N−MOSトラン
ジスタ、P1〜P4 P−MOSトランジスタ、
フロントページの続き Fターム(参考) 5J066 AA01 AA12 CA87 CA92 FA12 HA10 HA25 HA29 HA33 KA07 KA13 KA17 KA41 MA19 MA21 ND01 ND12 ND22 PD02 5J081 AA02 BB01 BB02 BB03 CC30 CC42 CC44 CC46 DD04 DD11 EE02 EE03 GG01 LL05 MM01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電界効果トランジスタによって形
    成される第1差動対回路と、 上記第1の電界効果トランジスタと同一チャンネルとさ
    れる第2の電界効果トランジスタによって形成される第
    2差動対回路と、 コンデンサとコイルとの並列接続回路によって形成さ
    れ、上記第1の電界効果トランジスタと上記第2の電界
    効果トランジスタとの接続点間に設けられる共振回路と
    からなり、 上記第2の電界効果トランジスタのコンダクタンスを、
    上記第1の電界効果トランジスタのコンダクタンスより
    大きく構成したことを特徴とする発振器。
  2. 【請求項2】 上記第1及び第2の電界効果トランジス
    タは、Pチャンネル型またはNチャンネル型のいずれか
    1つの同一チャンネル電界効果トランジスタであること
    を特徴とする請求項1に記載の発振器。
  3. 【請求項3】 上記第1及び第2の電界効果トランジス
    タのバックゲート電極は、各々のソース電極に接続され
    ることを特徴とする請求項1に記載の発振器。
  4. 【請求項4】 上記共振回路に対して、第3の電界効果
    トランジスタを並列に接続し、 上記第3の電界効果トランジスタのコンダクタンスを可
    変することで、発振出力レベルを可変できるように構成
    したことを特徴とする請求項1に記載の発振器。
  5. 【請求項5】 上記第2の電界効果トランジスタに直流
    電流源を接続し、 上記直流電流源から供給される電流量を可変して発振出
    力点のバイアス電圧を可変できるように構成したことを
    特徴とする請求項1に記載の発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100757856B1 (ko) 2006-05-02 2007-09-11 삼성전자주식회사 소스 커플링을 이용한 차동 상보성 콜피츠 발진기
JP2013503573A (ja) * 2009-08-26 2013-01-31 クゥアルコム・インコーポレイテッド 共通のバイアス電流をシェアする複数の増幅ステージを用いて信号を増幅するシステム及び方法
CN107112948A (zh) * 2015-01-09 2017-08-29 高通股份有限公司 用于动态地偏置振荡器以获得最优相位噪声的系统和方法

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JP2013503573A (ja) * 2009-08-26 2013-01-31 クゥアルコム・インコーポレイテッド 共通のバイアス電流をシェアする複数の増幅ステージを用いて信号を増幅するシステム及び方法
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