JP3970714B2 - 複合ヒータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体を製造する際などに使用される、ドライエッチング装置、イオン注入装置、電子ビーム露光装置、CVD(化学蒸着)装置、PVD(物理蒸着)装置などにおいて、そのワークを加熱することができる複合ヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば半導体製造装置において、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)を固定してドライエッチング等の加工を行ったり、半導体ウェハを吸着固定して反りを矯正したり、半導体ウェハを吸着して搬送するなどの目的で、静電チャックが使用されている。
【0003】
また、この静電チャックには、半導体ウェハを加熱する目的で、(セラミック体の内部に発熱体が埋設された)セラミックヒータを一体にして形成したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記セラミックヒータとしては、半導体ウェハの加工精度を高めるために、半導体ウェハを加熱する表面における温度分布を、例えば±5℃以下のように小さくすることが要求されている。
【0005】
そのため、セラミックヒータの材料として、窒化アルミニウム等の熱伝導が良いセラミックが用いられるが、この窒化アルミニウムは、温度分布は均一となり易いという反面、コストが極めて高いという問題がある。
また、半導体ウェハの製造工程などにおいては、半導体ウェハを加熱することとは逆に、半導体ウェハを速やかに冷却することが求められる場合があるが、その対策が必ずも十分ではない。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低コストで、半導体ウェハ等のワークを加熱する面内の温度分布を小さくすることができ、しかも、ワークを速やかに冷却することができる複合ヒータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、セラミック体の内部に発熱体を有するセラミックヒータによって、加熱対象(ワーク)を加熱する複合ヒータであって、前記セラミックヒータと金属ベースとを、接合して一体化したものであり、且つ、前記セラミックヒータと前記金属ベースとの熱膨張差が、5ppm/℃以内であることを特徴としている。
【0008】
本発明では、セラミックヒータと(熱伝導率の高い)金属ベースとを接合して一体化しているので、発熱体に通電してセラミックヒータの温度を上昇させる場合に、金属ベースを介してセラミックヒータ全体に熱が均一に伝わり易くなり、面内の温度分布(即ちセラミックヒータのワーク側の表面の温度分布)を小さくすることができる。
【0009】
それにより、ワーク全体を均一に加熱することができるので、ワークの加工精度等が向上するという効果がある。
また、セラミックヒータによる加熱後に、セラミックヒータの温度を下げる場合には、セラミックヒータに接合された(熱伝導率の高い)金属ベースを介して、速やかに放熱することができるという利点がある。
【0010】
更に、複合ヒータのワーク側は、セラミックであるので耐食性があり、例えば腐食性ガス雰囲気下で使用しても、金属ベースのワーク側の表面が損なわれ難いという効果がある。
特に、本発明では、セラミックヒータと金属ベースとの熱膨張差が、5ppm/℃以内と小さいので、例えばセラミックヒータと金属ベースとの接合をその主面側にて(特に全面で)行った場合でも、(温度の変動に伴う熱膨張差に起因する)接合部分における不具合が生じ難い。
つまり、通常、金属は、セラミックより熱膨張係数が大きいため、セラミックヒータと金属ベースとを例えば全面の様に広い面積で接合した場合には、温度を上げてゆくと、両部材の熱膨張差により、セラミックが剥がれたり、割れたり、反ったりすることがあるが、本発明では、セラミックヒータと金属ベースとの熱膨張差が小さいので、その様な問題の発生を防止することができる。
尚、前記熱膨張差とは、熱膨張係数の差のことである。
(2)請求項2の発明では、板状の前記セラミックヒータと板状の前記金属ベースとを、互いの主面側にて全面で接合したことを特徴としている。
【0011】
本発明は、複合ヒータの構成を例示したものである。
本発明では、セラミックヒータと金属ベースとを、互いの主面側にて全面で(即ち広い面積にて)接合しているので、接合強度が高いだけでなく、セラミックヒータと金属ベースとの間の熱伝導を効率よく行うことができ、前記請求項1の発明の効果(均一な温度分布、高い放熱性)が一層顕著である。
【0014】
3)請求項3の発明では、前記セラミックヒータと前記金属ベースとを、ロー付けにより接合したことを特徴としている。
本発明では、セラミックヒータと金属ベースとがロー付けにより接合されているので、接合強度が高いという利点がある。
【0015】
4)請求項4の発明では、前記ロー付けに、Alを主成分とするロー材を用いたことを特徴としている。
本発明は、接合に使用するロー材を例示したものである。このロー材としては、例えばAlとCuの合金等が挙げられる。
【0016】
5)請求項5の発明では、前記セラミックヒータと前記金属ベースとを、樹脂接着剤を用いて接合したことを特徴とする。
本発明は、接合に使用する接着剤を例示したものである。この樹脂接着剤としては、耐熱性を有するシリコン樹脂製の接着剤を採用できる。
【0017】
6)請求項6の発明では、前記セラミック体の主成分が、アルミナであることを特徴としている。
本発明では、セラミックヒータを構成するセラミック体の主成分が、アルミナであるので、低コストを実現できる。
【0018】
特に、セラミックヒータとそれに接合する金属ベースとの熱膨張差を小さくすることにより、アルミナを材料として用いた場合でも、上述した面内温度分布を下げることができ、また、発熱体への通電を切った場合には、セラミックヒータの温度を速やかに低下させることができる。
【0019】
7)請求項7の発明では、前記セラミックヒータの面内温度分布が、±5%以下であることを特徴としている。
本発明では、セラミックヒータの面内温度分布が、±5%以下と小さいので、半導体ウェハ等のワークを均一に加熱することができ、それによって、ワークの加工精度を高めることができる。
【0020】
8)請求項8の発明では、前記金属ベースのAl成分(重量%)が、30≦Al≦90の範囲であることを特徴としている。
本発明は、金属ベースの組成を例示したものである。
本発明の組成を採用することにより、高い熱伝導性及び低い熱膨張性を実現することが可能である。
【0021】
9)請求項9の発明では、前記金属ベースのSi成分(重量%)が、10≦Si≦70の範囲であることを特徴としている。
本発明は、金属ベースの組成を例示したものである。
本発明の組成を採用することにより、高い熱伝導性及び低い熱膨張性を実現することが可能である。
【0022】
10)請求項10の発明では、前記金属ベースは、Al及びSiを主成分とし、その熱膨張係数が、5〜9ppm/℃の範囲であることを特徴としている。
本発明では、金属ベースは、Al及びSiを主成分とし、その熱膨張係数が、5〜9ppm/℃の範囲と通常のセラミック(特にアルミナ)の熱膨張係数に近いので、例えばアルミナを主成分とするセラミックヒータと金属ベースとの接合を主面側の全面で行った場合でも、接合部分における不具合が生じ難い。
【0023】
つまり、セラミックヒータと金属ベースとを例えば全面の様に広い面積で接合した場合には、温度を上げてゆくと、熱膨張差により、セラミックが剥がれたり、割れたり、反ったりすることがあるが、本発明では、その様な問題の発生を防止することができる。
【0024】
11)請求項11の発明では、前記金属ベースの内部に、冷媒及び/又は温媒を流す通路(例えばトンネル)を備えたことを特徴としている。
例えば金属ベースに冷媒を通す通路を設けた場合には、その通路に冷媒を流すことにより、複合ヒータ(ひいてはワーク)を速やかに冷却することができる。また、金属ベースに温媒を通す通路を設けた場合には、その通路に温媒を流すことにより、複合ヒータ(ひいてはワーク)を速やかに加熱することができる。
【0025】
12)請求項12の発明では、前記複合ヒータは、前記セラミックヒータの露出面(いわゆるチャック面)側にてワークを吸着するチャック機能を有することを特徴としている。
本発明は、複合ヒータにチャック機能を有している。
【0026】
これにより、ワークを加熱するだけでなく、ワークを吸着して保持することができるので、高い機能性を有している。
13)請求項13の発明では、前記セラミックヒータ内に、前記ワークを吸着する吸着用電極を備えたことを特徴としている。
【0027】
本発明は、チャック機能を実現するための構成を例示したものである。
本発明では、吸着用電極に通電し、それによって発生した静電引力やジャンセン・ラーベック力等に起因する吸着力により、ワークする吸着して保持することができる。つまり、複合ヒータを、いわゆる静電チャックとして用いることができる。
【0028】
14)請求項14の発明では、前記発熱体に電力を供給する電源を備えたことを特徴としている。
本発明では、上述した構成に加えて、発熱体に電力を供給する電源を備えているものである。尚、更に、前記吸着用電極に電力を供給する電源を備えていてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の複合ヒータの実施の形態の例(実施例)について説明する。(実施例1)
ここでは、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックとして構成される複合ヒータを例に挙げる。
【0030】
a)まず、本実施例の複合ヒータ(静電チャック)の構造について説明する。尚、図1は複合ヒータの一部を破断して示す斜視図である、図2は複合ヒータの図1におけるA−A断面を示す説明図である。
図1に示す様に、本実施例の複合ヒータ1は、図1の上方の吸着面(チャック面)3側にて、加熱対象(ワーク)である半導体ウェハ5を吸着できるものであり、(例えば直径300mm×厚み3mmの)円盤状のセラミックヒータ7と、(例えば直径340mm×厚み20mmの)円盤状の金属ベース9とが接合されたものである。
【0031】
このセラミックヒータ7と金属ベース9とは、(同図上下方向の)互いの主面側にて、つまり、セラミックヒータ7のチャック面3側と反対側の主面に金属ベース9の主面が相対するようにして、Alを主成分とするロー材(Alロー材)により全面にわたって接合されて一体化している。
【0032】
また、前記セラミックヒータ7は、アルミナ質の焼結体からなる絶縁体(セラミック体)を基体としており、露出する表面側(金属ベース9と反対側)が、前記チャック面3である。このセラミックヒータ7(詳しくはセラミック部分)の熱膨張係数は、6〜8ppm/℃の範囲(例えば7.6ppm/℃)であり、熱伝導率は、18W/m・Kである。
【0033】
図2に示す様に、セラミックヒータ7の内部には、チャック面3側に、主としてタングステンからなる一対の内部電極11、13が配置されており、各内部電極11、13は電極用電源15に接続されている。
更に、セラミックヒータ7の内部には、金属ベース9側に、主としてタングステンからなる発熱体17が、(配置された平面の)全面をほぼ均一に覆うように設けられており、その発熱体17はヒータ用電源19に接続されている。
【0034】
一方、前記金属ベース9は、アルミニウム及びシリカを主成分とする金属製であり、セラミックヒータ7の全体を載置するように、セラミックヒータ7より大径とされている。
具体的には、金属ベース9のアルミニウム成分(重量%)が、30≦Al≦90の範囲(例えば30重量%)であり、且つシリカ成分(重量%)が、10≦Si≦70の範囲(例えば70重量%)である。
【0035】
また、金属ベース9の熱膨張係数は、5〜9ppm/℃の範囲(例えば6.9ppm/℃)で、熱伝導率は、180W/m・Kであり、前記セラミックヒータ7と比べて高い熱伝導性を有している。
特に、本実施例では、セラミックヒータ7と金属ベース9との材料として、上述した組成の材料を用いることにより、熱膨張差が、5ppm/℃以内(例えば0.7ppm/℃)と非常に小さく設定されている。
【0036】
尚、前記複合ヒータ1には、セラミックヒータ7のチャック面3から金属ベース9の裏面(ベース面)21に到る冷却用ガス孔23が設けられている。
そして、上述した構成の複合ヒータ1を使用する場合には、電極用電源15を用いて、両内部電極11、13の間に、直流高電圧を印加し、これにより、半導体ウェハ5を吸着する静電引力(吸着力)を発生させ、この吸着力を用いて半導体ウェハ5を吸着して固定する。
【0037】
また、例えばCVDの加工を行う場合の様に、半導体ウェハ5を加熱するときには、ヒータ用電源19を用いて、発熱体17に電流を流してセラミックヒータ7の温度を上昇させ、そのセラミックヒータ7を介して半導体ウェハ5を加熱する。
【0038】
b)次に、本実施例の複合ヒータ1の製造方法について、図3に基づいて説明する。
(1)原料としては、主成分であるアルミナ粉末:92重量%に、MgO:1重量%、CaO:1重量%、SiO2:6重量%を混合して、ボールミルで、50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥する。
【0039】
(2)次に、この粉末に、メタクリル酸イソブチルエステル:3重量%、ブチルエステル:3重量%、ニトロセルロース:1重量%、ジオクチルフタレート:0.5重量%を加え、更に溶剤として、トリクロール−エチレン、n−ブタノールを加え、ボールミルで混合して、流動性のあるスラリーとする。
【0040】
(3)次に、このスラリーを、減圧脱泡後平板状に流し出して徐冷し、溶剤を発散させて、厚さ0.8mmの第1〜第6アルミナグリーンシート25〜35を形成する。この第1〜第6アルミナグリーンシート25〜35には、冷却用ガス孔23を形成するための貫通孔37〜47をそれぞれ6箇所に開ける。
【0041】
(4)また、前記アルミナグリーンシート用の原料粉末中にタングステン粉末を混ぜて、前記と同様な方法によりスラリー状にして、メタライズインクとする。
(5)そして、前記第2アルミナグリーンシート27上に、前記メタライズインクを用いて、通常のスクリーン印刷法により、両内部電極11、12の(図の斜線で示す)パターン49、51を印刷する。
【0042】
(6)また、前記第5アルミナグリーンシート33上に、周知のタングステンペーストを用いて、通常のスクリーン印刷法により、発熱体17のパターン53を印刷する。
(7)次に、前記第1〜第6アルミナグリーンシート25〜35を、各貫通孔37〜47により冷却用ガス孔23が形成されるように位置合わせして、熱圧着し、全体の厚みを約5mmとした積層シートを形成する。
【0043】
尚、内部電極11、13及び発熱体17に関しては、図示しないが、スルーホールにより最下層の第6アルミナグリーンシート35の裏面に引き出して端子を設ける。
(8)次に、熱圧着した積層シートを、所定の円板形状(例えば8インチサイズの円板形状)にカットする。
【0044】
(9)次に、カットしたシートを、還元雰囲気にて、1400〜1600℃にて焼成する。この焼成より、寸法が約20%小さくなるため、焼成後のセラミック体の厚みは、約4mmとなる。
(10)そして、焼成後に、研磨によって、セラミック体の全厚みを3mmとするとともに、チャック面3の平面度が30μm以下となる加工する。
【0045】
(11)次に、端子にニッケルメッキを施し、更にこのニッケル端子をロー付け又は半田付けして、セラミックヒータ7を完成する。
(12)一方、上述したセラミックヒータ7の製造工程とは別に、Al:30重量%、Si:70重量%の組成の金属ベース9を、周知の合金製造工程にて製造し、前記所定の寸法形状(円盤形状)に加工する。
【0046】
(13)そして、セラミックヒータ7と金属ベース9との間に、AlとCuの合金からなるAlロー材を配置し、温度650℃で加熱した後に冷却することにより、セラミックヒータ7と金属ベース9とをロー付け接合して一体化する。
これにより、複合ヒータ1が完成する。
【0047】
c)次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例の複合ヒータ1は、アルミナを主成分とするセラミックヒータ7と、アルミ及びシリカを主成分とする(アルミナより熱伝導率が高いがアルミナに熱膨張係数が近い)金属ベース9とを、その主面側にて、全面にわたってAlロー付け接合して一体化したものであり、セラミックヒータ7と金属ベース9との熱膨張差は、5ppm/℃以内と極めて小さい。
【0048】
そのため、発熱体17に通電してセラミックヒータ7の温度を上昇させる場合に、セラミックヒータ7全体に熱が均一に伝わり易くなり、その面内温度分布(ここではチャック面3における温度分布)を小さくすることができる。
それにより、半導体ウェハ5全体を均一に加熱することができるので、半導体ウェハ5の加工精度等が向上するという効果がある。
【0049】
また、発熱体17への通電を停止し、セラミックヒータ7の温度を下げる場合には、セラミックヒータ7に接合された金属ベース9を介して、速やかに放熱することができるという利点がある。
更に、本実施例では、セラミックヒータ7と金属ベース9との熱膨張差が小さいので、セラミックヒータ7と金属ベース9との接合を全面で行った場合でも、セラミックヒータ7の温度を上げた際に、セラミックが剥がれたり、割れたり、反ったりすることがないという効果がある。
【0050】
その上、本実施例では、セラミックヒータ7の材料として、安価なアルミナを用いることができるので、コストダウンに寄与する。
つまり、本実施例の様に、熱伝導性は低いが低コストのアルミナを採用した場合でも、上述した熱膨張係数がアルミナに近い金属ベース7を用いることにより、セラミックヒータ7と金属ベース9とを全面で接合することができ、これにより、(アルミナの熱伝導率の低さに起因する)面内温度分布の上昇の抑制と、(熱膨張差に起因する)セラミックの剥がれ等の不具合を低減することができるという顕著な効果を奏する。
【0051】
また、複合ヒータ1のチャック面3側は、セラミックであるので耐食性があり、例えば腐食性ガス雰囲気下で使用しても、金属ベース9のチャック面3側が損なわれ難いという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0052】
本実施例は、前記実施例1とは異なり、静電チャックの機能を有しない複合ヒータである。
図4に示す様に、本実施例の複合ヒータ61は、円盤状のセラミックヒータ63と円盤状の金属ベース65とを接合したものである。
【0053】
前記セラミックヒータ63は、前記実施例1と同様に、アルミナ質の焼結体からなる絶縁体(セラミック体)を基体とし、同様な熱膨張係数を有している。
このセラミックヒータ63の内部には、厚み方向の中央部分に、(主としてタングステンからなる)発熱体67が、全面にわたって配置されており、その発熱体67はヒータ用電源69に接続されている。
【0054】
一方、前記金属ベース65は、前記実施例1と同様に、アルミニウム及びシリカを主成分とする金属製であり、同様な熱膨張係数を有している。
特に本実施例では、セラミックヒータ63と金属ベース65とは、(同図上下方向の)互いの主面側にて、耐熱性の高いシリコン樹脂により全面にわたって接合されて一体化している。
【0055】
また、本実施例では、セラミックヒータ63と金属ベース65との材料として、上述した各材料を用いることにより、前記実施例1と同様に、熱膨張差が、5ppm/℃以内と非常に小さく設定されている。
更に、本実施例では、セラミックヒータ63の面内温度分布が、±5%以下であり、表面温度が十分に均一である。
【0056】
そして、本実施例では、例えばセラミックヒータ63上に載置された半導体ウェハ等のワーク(図示せず)を加熱するときには、ヒータ用電源69を用いて、発熱体67に電流を流してセラミックヒータ63の温度を上昇させ、そのセラミックヒータ63を介してワークを加熱する。
【0057】
本発明では、ワークを吸着固定しないこと以外は、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、シリコン樹脂により、セラミックヒータ63と金属ベース65とを接合するので、接合作業が容易であるという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例2と同様な箇所の説明は省略する。
【0058】
本実施例は、前記実施例2の構成に加えて、更に、冷媒を流すトンネルを設けた複合ヒータである。
図5に示す様に、本実施例の複合ヒータ71は、円盤状のセラミックヒータ73と円盤状の金属ベース75とを接合したものである。
【0059】
前記セラミックヒータ73は、前記実施例2と同様に、アルミナ質の焼結体からなる絶縁体(セラミック体)を基体とし、同様な熱膨張係数を有している。
このセラミックヒータ73の内部には、厚み方向の中央部分に、(主としてタングステンからなる)発熱体77が、全面にわたって配置されており、その発熱体77はヒータ用電源79に接続されている。
【0060】
一方、前記金属ベース75は、前記実施例1と同様に、アルミニウム及びシリカを主成分とする金属製であり、同様な熱膨張係数を有している。
特に本実施例では、金属ベース75の内部には、冷媒を流すためのトンネル81が形成されており、このトンネル81は、(発熱体77と同様に)配置された平面の全面をほぼ均一に覆うように設けられている。
【0061】
そして、本実施例では、例えばセラミックヒータ73上に載置された半導体ウェハ等のワーク(図示せず)を加熱するときには、ヒータ用電源79を用いて、発熱体77に電流を流してセラミックヒータ73の温度を上昇させ、そのセラミックヒータ73を介してワークを加熱する。
【0062】
一方、ワークを冷却するときには、トンネル81に冷媒を流して、金属ベース75の温度を低下させて、セラミックヒータ73の温度を低下させ、そのセラミックヒータ73を介してワークを冷却する。
本実施例でも、前記実施例2と同様な効果を奏するとともに、金属ベース75に冷媒を流すトンネル81を設けているので、そのトンネル81に冷媒を流すことにより、金属ベース75(ひいてはセラミックヒータ73)を介して、ワークの温度を速やかに低下させることができる。
【0063】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば本発明は、前記実施例1の様なバイポーラ型の静電チャックに限らず、モノポーラ型の静電チャックにも適用できる。
【0064】
(2)また、前記実施例3では、金属ベースに冷媒を流すトンネルを設けたが、それとは別に(又はそれとともに)温媒を流すトンネルを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の複合ヒータを一部破断して示す斜視図である。
【図2】 実施例1の複合ヒータのA−A断面(縦方向の断面)を示す説明図である。
【図3】 実施例1におけるセラミックヒータを分解して示す説明図である。
【図4】 実施例2の複合ヒータを縦方向に破断して示す断面図である。
【図5】 実施例3の複合ヒータを縦方向に破断して示す断面図である。
【符号の説明】
1、61、71…複合ヒータ
3…チャック面
5…半導体ウェハ
7、63、73…セラミックヒータ
9、65、75…金属ベース
11、13…内部電極
17、67、77…発熱体
19、69、79…ヒータ用電源
81…トンネル

Claims (14)

  1. セラミック体の内部に発熱体を有するセラミックヒータによって、加熱対象を加熱する複合ヒータであって、
    前記セラミックヒータと金属ベースとを、接合して一体化したものであり、且つ、前記セラミックヒータと前記金属ベースとの熱膨張差が、5ppm/℃以内であることを特徴とする複合ヒータ。
  2. 板状の前記セラミックヒータと板状の前記金属ベースとを、互いの主面側にて全面で接合したことを特徴とする前記請求項1に記載の複合ヒータ。
  3. 前記セラミックヒータと前記金属ベースとを、ロー付けにより接合したことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の複合ヒータ。
  4. 前記ロー付けに、Alを主成分とするロー材を用いたことを特徴とする前記請求項に記載の複合ヒータ。
  5. 前記セラミックヒータと前記金属ベースとを、樹脂接着剤を用いて接合したことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の複合ヒータ。
  6. 前記セラミック体の主成分が、アルミナであることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載の複合ヒータ。
  7. 前記セラミックヒータの面内温度分布が、±5%以下であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載の複合ヒータ。
  8. 前記金属ベースのAl成分(重量%)が、30≦Al≦90の範囲であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載の複合ヒータ。
  9. 前記金属ベースのSi成分(重量%)が、10≦Si≦70の範囲であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載の複合ヒータ。
  10. 前記金属ベースは、Al及びSiを主成分とし、その熱膨張係数が、5〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれかに記載の複合ヒータ。
  11. 前記金属ベースの内部に、冷媒及び/又は温媒を流す通路を備えたことを特徴とする前記請求項1〜10のいずれかに記載の複合ヒータ。
  12. 前記複合ヒータは、前記セラミックヒータの露出面側にてワークを吸着するチャック機能を有することを特徴とする前記請求項1〜11のいずれかに記載の複合ヒータ。
  13. 前記セラミックヒータ内に、前記ワークを吸着する吸着用電極を備えたことを特徴とする前記請求項12に記載の複合ヒータ。
  14. 前記発熱体に電力を供給する電源を備えたことを特徴とする前記請求項1〜13のいずれかに記載の複合ヒータ。
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