次に本発明に好適な実施の形態について図面に基づいて説明する。
(I)プリ情報記録装置の実施形態
初めに、本願に対応する実施形態であるプリ情報に対応するプリピットを形成するためのカッティング装置の実施形態について、図1乃至図8を用いて説明する。なお、以下のカッティング装置の実施形態の説明においては、当該カッティング装置によりプリピットが形成された、本願に対応する情報記録媒体としてのDVD−Rの実施形態についても併せて説明する。
初めに、図1を用いて後述の本実施形態のカッティング装置によりプリピットが形成されているDVD−Rの構造について説明する。
図1において、DVD−R1は色素膜5を備えた一回のみ情報の書込みが可能な色素型DVD−Rであり、情報記録トラックとしてのグルーブトラック2と当該グルーブトラック2に再生光又は記録光としてのレーザビーム等の光ビームBを誘導するためのガイドトラックとしてのランドトラック3が後述のカッティング装置により形成されている。また、それらを保護するための保護膜7及び記録された情報を再生する際に光ビームBを反射するための金蒸着膜6を備えている。そして、このランドトラック3に後述のカッティング装置によりプリ情報に対応するプリピット4が形成されている。このプリピット4はDVD−R1を出荷する前に予め形成されているものである。
そして、DVD−R1に記録情報(プリ情報以外の本来記録すべき画像情報等の情報)を記録する際には、後述の情報記録装置においてこのプリピット4を検出することにより予めプリ情報を取得し、それに基づいて記録光としての光ビームBの最適出力等が設定されると共に、記録情報の記録すべきDVD−R1上の位置であるアドレス情報等が取得され、このアドレス情報に基づいて記録情報が対応する記録位置に記録される。
ここで、記録情報の記録時には、光ビームBをその中心がグルーブトラック2の中心と一致するように照射してグルーブトラック2上に記録情報に対応する記録情報ピットを形成することにより記録情報を形成する。この時、光スポットSPの大きさは、図1に示すように、その一部がグルーブトラック2だけでなくランドトラック3にも照射されるように設定される。そして、このランドトラック3に照射された光スポットSPの一部の反射光を用いて後述のタンジェンシャルプッシュプル法によりプリピット4からプリ情報を検出してプリ情報が取得される。
次に、具体的に本実施形態のカッティング装置について説明する前に、本実施形態のカッティング装置により記録されるプリ情報の記録フォーマットについて、図2を用いて説明する。
図2に示すように、本実施形態のプリ情報は、情報単位としてのシンクフレーム毎に記録される。更に26のシンクフレームにより情報単位列としての一のレコーディングセクタが形成される。そして、16のレコーディングセクタにより一のECC(Error Correcting Code)ブロックが形成される。更に、一のシンクフレームは、記録情報を記録する際の記録フォーマットにより規定されるビット間隔に対応する単位長さ(以下、Tという。)の1488倍(1488T)の長さを有している。
ここで、プリ情報は、夫々のシンクフレームの先頭の14Tの長さの部分に記録されるわけであるが、その際、本実施形態においては、一のレコーディングセクタにおいては、偶数番目のシンクフレーム(以下、EVENフレームという。)のみ又は奇数番目のシンクフレーム(以下、ODDフレームという。)のみにプリ情報が記録される。なお、記録されるプリ情報は、同期プリ情報とデータプリ情報に分類されるが、このうち、同期プリ情報は、夫々のレコーディングセクタの先頭のプリ情報が記録されるべきシンクフレームの位置に記録され、EVENフレームに記録される同期プリ情報(EVEN同期プリ情報)と、ODDフレームに記録される同期プリ情報(ODD同期プリ情報)とでは、図2に示すように異なるパターンで記録され、これを後述の記録情報の記録の際に読み取ることにより、プリ情報がEVENフレームに記録されているか或はODDフレームに記録されているかが判別できるのである。
一方、データプリ情報については、複数のシンクフレームに分散して記録され、一のシンクフレームにおいては、図2に示すように、「1」に対応するデータプリ情報が2Tの長さで記録される。
なお、図2においては、レコー々ディングセクタ0においてはEVENフレームにプリ情報を記録し、レコーディングセクタ2においてはODDフレームにプリ情報を記録した情報を示している。
更に、後述の情報記録装置により検出されたプリ情報に基づいて記録される記録情報においても、図2に示す記録フォーマットと同様のフォーマットにより記録される。このとき、記録情報においては、一のシンクフレームのうち、先頭の14T以外の位置に記録すべき画像情報等のデータが記録されるが、プリ情報においては、一のシンクフレームにおいては、先頭の14T以外の位置には何も情報が記録されない。
次に、図2に示した記録フォーマットを有するプリピット4を図1に示すように形成するための本実施形態に係るカッティング装置について、図3乃至図8を用いて説明する。
初めに、実施形態に係るカッティング装置の構成について図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3乃至図5に示すカッティング装置は、本願によりプリピット4が形成されてプリ情報が記録された本願の情報記録媒体に対応するDVD−R1を大量生産するためのスタンパディスクを製作するためのものである。
先ず、カッティング装置の全体構成について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、実施形態のカッティング装置Cは、記録すべきデータプリ情報SPPを生成するデータ発生部20と、データプリ情報SPPをパラレル/シリアル変換するパラレル/シリアル変換器21と、本発明の特徴であり、データプリ情報SPPに基づき、図2に示す記録フォーマットでプリピット4を形成するための記録プリ情報SRを生成するプリフォーマット用エンコーダ22と、プリフォーマット用エンコーダ22に対してプリフォーマッティングに使用するクロック信号CLK(周期は上記Tとされている。)を出力するクロック信号発生部23と、DVD−R1の基板に対して図1に示すグルーブトラック2を形成するための光ビームLGを出射すると共に、図1に示すランドトラック3及びプリピット4を形成するための光ビームLLを出射するレーザ発生装置24と、出射された光ビームLLを記録プリ情報SRに基づいて変調する光変調器25と、光ビームLG及びLLをスタンパディスク上に集光する対物レンズ26と、スタンパディスクを回転させるスピンドルモータ29と、スタンパディスクの回転数を検出する回転検出器30と、検出された回転数に基づいて、スタンパディスクの回転をサーボ制御すると共に、スタンパディスクの一回転に一回の一回転検出信号SSをプリフォーマット用エンコーダ22に出力する回転サーボ回路31と、螺旋状のグルーブトラック2及びランドトラック3を形成するために、スタンパディスクの回転に対応してスピンドルモータ29及びスタンパディスクを当該スタンパディスクの半径方向に送る送りユニット32と、送りユニット32の位置を検出する位置検出器33と、検出された送りユニット32の位置に基づいて送りユニットの移動をサーボ制御する送りサーボ回路34とにより構成されている。ここで、レーザ発生装置24は、光ビームLGを出射する出射装置24Gと、光ビームLLを出射する出射装置24Lとにより構成される。そして、光ビームLLは光変調器25により記録プリ情報SRに基づいて変調されるが、光ビームLGは図示しないDC(直流)駆動装置により常に一定の強度を保ちつつスタンパディスクに照射される。更に、ランドトラック3を形成する光ビームLLとグルーブトラック2を形成する光ビームLGは、照射位置をスタンパディスクの半径方向にずらしつつ照射され、同心螺旋状のランドトラック3とグルーブトラック2を同時に形成していく。
一方、スタンパディスクは、スタンパディスク本体としてのガラス基盤27と、ガラス基盤上にコーティングされたプリピットを形成するためのレジスト(感光材)28とにより構成されている。
なお、以上の構成において、レーザ発生装置24、光変調器25及び対物レンズ26により記録手段を構成している。
次に、プリフォーマット用エンコーダ22の細部構成について、図4を用いて説明する。
図4に示すように、プリフォーマット用エンコーダ22は、入力されたクロック信号CLKに基づいて、図2に示す各シンクフレームを示すフレーム信号のタイミングに基づき、EVENフレームに対応するEVENフレーム信号SEと、ODDフレームに対応するODDフレーム信号SOを出力するとともに、一のEVENフレームに対応するEVENフレーム信号SEが発生する度にリセットされる後述のEVENフレームカウンタから出力されるEVENフレームカウント信号SECを出力するプリ情報タイミング信号生成手段、偶数プリ情報タイミング信号生成手段及び奇数プリ情報タイミング信号生成手段としてのフレーム信号発生器40と、クロック信号CLK及び一回転検出信号SSに基づいてスタンパディスクにおける一周に対応する期間に記録するプリピット4を形成するシンクフレームをEVENフレームとするか又はODDフレームとするかの判別のためのゲート信号SGを出力するODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41と、EVENフレーム信号SE及びゲート信号SG並びに一回転検出信号SSに基づいて、プリピット4を記録すべきシンクフレームをEVENフレームとするか或はODDフレームとするかを判定するための判定信号SJを出力する選択手段としての判定器42と、判定信号SJに基づいて、EVENフレーム信号SE又はODDフレーム信号SOを選択的に切り換えて出力するための選択手段としてのスイッチ43と、スイッチ43から出力されたEVENフレーム信号SE又はODDフレーム信号SOとパラレル/シリアル変換器21から出力されたデータプリ情報SPPとの論理積を算出して論理積信号SAを出力するアンド回路44と、スイッチ43から出力されたEVENフレーム信号SE又はODDフレーム信号SOとに基づき、判定信号SJを用いて、EVENフレームに記録される同期プリ情報におけるシンクパターン又はODDフレームに記録される同期プリ情報におけるシンクパターンのいずれか一方に対応するシンク信号SYを出力すると共に、後述の遅延フリップフロップ回路47における遅延量を制御するデータラッチパルスSLを出力するシンクパターン発生器45と、スイッチ43から出力されたEVENフレーム信号SE又はODDフレーム信号SOに基づき、同期プリ情報とデータプリ情報を切り換えるためのシンク/データ切換信号SCを出力するシンク・データ切換信号発生器46と、データラッチパルスSL及び論理積信号SAに基づいて、当該論理積信号SAを2T期間だけ遅延させた遅延論理積信号SADを出力する遅延フリップフロップ回路47と、シンク/データ切換信号SCに基づいて、遅延論理積信号SAD又はシンク信号SYを切り換えて、記録プリ情報SRとして出力するスイッチ48とにより構成されている。なお、上記の構成において、スイッチ43は、通常はEVENフレーム信号SE側に切り換えられている。また、スイッチ48は、通常は遅延論理積信号SAD側に切り換えられている。
次に、フレーム信号発生器40及びODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41の細部構成について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、フレーム信号発生器40は、クロック信号CLKに基づいて、ODDフレーム信号SOを発生すべきタイミングからの経過時間を計時してODDフレームカウント信号SOCを出力するODDフレーム用カウンタ50と、クロック信号CLKに基づいて、EVENフレーム信号SEを発生すべきタイミングからの経過時間を計時してEVENフレームカウント信号SECを出力するEVENフレーム用カウンタ51と、ODDフレーム用カウンタ50から出力されたODDフレームカウント信号SOCに基づいて、次のODDフレーム信号SOを出力すべき時間になったとき、長さ2TのパルスをODDフレーム信号SOとして出力するデコーダ52と、EVENフレーム用カウンタ51から出力されたEVENフレームカウント信号SECに基づいて、次のEVENフレーム信号SEを出力すべき時間になったとき、長さ2TのパルスをEVENフレーム信号SEとして出力するデコーダ53とにより構成されている。
一方、図5に示すように、ODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41は、EVENフレームカウント信号SEC及び一回転検出信号SSに基づいて、一の一回転検出信号SSが入力される度に(換言すれば、スタンパディスクが一回転する度に)、そのときのEVENフレームカウント信号SECの値をラッチする記憶手段としてのラッチ回路60と、クロック信号CLK及び一回転検出信号SSに基づいて、上記のEVENフレーム用カウンタ51と同じ値及び周期でリセットされつつ計時すると共に、一回転検出信号SSが入力される度に、その値がラッチ回路60に記録されている値に更新されるゲート用カウント信号SGCを出力するゲート用カウンタ61と、ゲート用カウント信号SGCに基づいて、ゲート用カウンタ61の値が最大値となってリセットされる度に所定の長さのゲート信号SGを出力するモノマルチバイブレータ62とにより構成されている。
以上の構成を有するカッティング装置Cについて、次に、その動作を図6乃至図8に示すタイミングチャートを用いて説明する。
初めに、図6(a)を用いて、ODDフレーム信号SOとEVENフレーム信号SEとを生成するフレーム信号発生器40の動作について説明する。
図6(a)に示すように、フレーム信号が一シンクフレームの長さ1488Tに間隔でパルスが発生しているのに対し、ODDフレーム信号SOは、第1番目のシンクフレームに対応するタイミングからフレーム信号の2倍の間隔で夫々2Tの長さのパルスが発生する。このODDフレーム信号SOのパルスは、ODDフレーム用カウンタ50において、第1番目のシンクフレームのタイミングから2976T(=1488T×2)に対応する時間を計時し、この時間が経過する度に、デコーダ52において長さ2Tのパルスを発生することを繰返すことにより連続して発生される。
一方、EVENフレーム信号SEは、第0番目のシンクフレームに対応するタイミングからフレーム信号の2倍の間隔で夫々2Tの長さのパルスが発生する。このEVENフレーム信号SEは、ODDフレーム信号SOの場合と同様に、EVENフレーム用カウンタ51において、第0番目のシンクフレームのタイミングから2976Tに対応する時間を計時し、この時間が経過する度に、デコーダ53において長さ2Tのパルスを発生することを繰返すことにより連続して発生される。なお、このとき、EVENフレーム用カウンタ51が出力するEVENフレーム用カウント信号SECは、ODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41内のラッチ回路60に出力されている。
次に、図7を用いて、ODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41の動作を説明する。
図7に示すように、フレーム信号発生器40において、フレーム信号に対応してEVENフレーム信号SEを生成するためのEVENフレーム用カウント信号SECが生成されると、ラッチ回路60は、一回転検出信号SSが入力されるタイミングにおけるEVENフレーム用カウント信号SECの値をラッチ(記憶)する。
このとき、ゲート用カウンタ61は、クロック信号CLKに基づいてEVENフレーム用カウンタ51と同じ値及び周期でリセットされつつ計時しているが、一の一回転検出信号SSが入力される度にそのときのラッチ回路60に記憶されている値に更新され、その値から計時することを繰返す。すなわち、ゲート用カウンタ61は、スタンパディスクにおける一回転前のEVENフレーム用カウンタ51と同じ動作を当該一回転の直後の一回転において繰返すこととなる。換言すれば、ゲート用カウンタ61の値には、一回転前のEVENフレームに記録されたプリピット4の位置情報が含まれていることとなる。
そして、このゲート用カウンタ61の値が最大値となってリセットされる度にモノマルチバイブレータ62がゲート信号SGとしてのパルス信号を生成する。従って、このゲート信号SGにも一回転前のEVENフレームに記録されたプリピット4の位置情報が含まれていることとなる。このゲート信号SGのパルス幅としては、同期プリ情報の長さ14Tに、スタンパディスク一回転分に相当するランドトラック3の長さにおけるスタンパディスクが一回転することによって増加する増加分Δ(より具体的には、Δ=2×π×(ランドトラック3相互間のトラックピッチ))に相当する長さを加えた、(14T+Δ)のパルス幅とされる。
次に、判定器42の動作について、図6(b)を用いて説明する。
図6(b)に示すように、判定器42においては、EVENフレーム信号SEがゲート信号SGの範囲内にある場合に、そのEVENフレーム信号SEの立ち上がりタイミングにおいて、通常はEVENフレーム信号SE側に切り換わっているスイッチ43をODDフレーム信号SO側に切り換えるべく、図6(b)に示すような判定信号SJを出力し、これによりスイッチ43はODDフレーム信号SOをアンド回路44に出力する。
従って、通常は、EVENフレーム信号SEがアンド回路44に出力されることにより、当該EVENフレーム信号SEに基づき、EVENフレームの位置にプリピット4が形成されてプリ情報が記録されることとなるが、判定器42において、EVENフレーム信号SEがゲート信号SGの範囲内に入った場合、すなわち、スタンパディスクにある回転の一回転前のプリピット4に位置(ゲート信号SGにその情報が含まれている。)が当該回転におけるプリピットの位置(EVENフレームの位置)に近い(一回転前のプリピット4の位置に対して(14T+Δ)の範囲に入っている)場合には、スイッチ43をODDフレーム信号SO側に切り換えるべく判定信号SJが出力され、当該回転におけるプリピット4はODDフレームの位置に形成されることとなる。
そして、ODDフレームの位置にプリピット4が記録されている状態で一回転したことが一回転検出信号SSにより検出されると、その後の回転においては、再びEVENフレームの位置にプリピット4を形成すべく、スイッチ43をEVENフレーム信号SE側に切り換えるための判定信号SJが判定器42から出力される。
次に、アンド回路44及び遅延フリップフロップ回路47の動作について図6(c)を用いて説明する。
アンド回路44は、スイッチ43から出力されたEVENフレーム信号SE又はODDフレーム信号SOとパラレル/シリアル変換器21から出力されたデータプリ情報SPPとの論理積を算出して2Tのパルス幅を有する論理積信号SAを出力するが、これは、データプリ情報SPPを、1ビットづつ分解し、一のシンクフレームには、1ビットのデータプリ情報SPP(“1”に対応する)(図2参照)のみ2Tのパルス幅で記録するためである。
そして、遅延フリップフロップ回路47においては、シンクパターン発生器45からのラッチデータパルスSLに基づいて、上記論理積信号SAを2Tの時間だけ遅延させて遅延論理積回路SADを生成する。その後、この遅延論理積回路SADを記録すべきデータプリ情報としてスイッチ48に出力する。
ここで、遅延フリップフロップ回路47において論理積信号SAを遅延させるのは、後述の記録情報装置においては、プリピットに隣接するグルーブトラック2上に記録信号における同期信号(14Tの長さを有している)が記録されるのであるが、このとき、論理積信号SAを遅延させないと、記録信号における同期信号の立ち上がりタイミングとプリ情報の立ち上がりタイミングが同じとなる場合があり、その場合には、プリ情報と同期信号の分離再生が困難となるからである。また、論理積信号SAの遅延量を2Tとしたのは、記録信号の記録時におけるジッタ等の影響により、同期信号の立ち上がりタイミングとプリ情報の立ち上がりタイミングが近接することを防止するためのマージンを考慮して2Tとしたものである。
次に、シンクパターン発生器45の動作について、図8(a)を用いて説明する。
シンクパターン発生器45は、判定器42から出力されている判定信号SJがEVENフレーム信号SEを示すものである場合には、スイッチ43から出力されたEVENフレーム信号SEに対応して、図8(a)に示すようなシンクパターンを有するEVEN同期プリ情報を生成してシンク信号SYとしてスイッチ48に出力する。
一方、判定器42から出力されている判定信号SJがODDフレーム信号SOを示すものである場合には、スイッチ43から出力されたODDフレーム信号SOに対応して、図8(a)に示すようなシンクパターンを有する0DD同期プリ情報を生成してシンク信号SYとしてスイッチ48に出力する。
これらの動作と並行して、シンクパターン発生器45は、クロック信号CLKを1T期間伸張して2Tの周期を有するデータラッチパルスSLを生成し、上記遅延フリップフロップ回路47へ出力する(図6(c)参照)。
最後に、シンク・データ切換信号発生器46の動作について、図8(b)を用いて説明する。
図8(b)に示すように、シンク・データ切換信号発生器46では、スイッチ43から出力された信号がEVENフレーム信号SEである場合には、当該EVENフレームのうち、第0番目のEVENフレーム信号SEの位置にEVEN同期プリ情報を記録すべく、当該第0番目のEVENフレーム信号SEのタイミングの立ち上がりタイミングから14Tの期間(EVEN同期プリ情報の長さに対応する)“H”となるシンク/データ切換信号SCを出力する。これにより、スイッチ48が第0番目のEVENフレーム信号SEの立ち上がりタイミングから14Tの期間だけシンク信号SY側に切り換えられ、これにより、第0番目のEVENフレーム信号SEの位置にシンクパターン発生器45から出力されたEVEN同期プリ情報が記録されることとなる。
一方、スイッチ43から出力された信号がODDフレーム信号SOである場合には、当該ODDフレームのうち、第1番目のODDフレーム信号SOの位置にODD同期プリ情報を記録すべく、当該第1番目のODDフレーム信号SOの立ち上がりタイミングから14Tの期間(ODD同期プリ情報の長さに対応する)“H”となるシンク/データ切換信号SCを出力する。これにより、スイッチ48が第1番目のODDフレーム信号SOの立ち上がりタイミングから14Tの期間だけシンク信号SY側に切り換えられ、これにより、第1番目のODDフレーム信号SOの位置にODD同期プリ情報が記録されることとなる。
以上説明した本実施形態のカッティング装置Cの動作について、その特徴となる部分を纏めると、本実施形態のカッティング装置Cのうち、特にODD・EVEN判定用ゲート信号発生器41及び判定器45の動作により、スタンパディスクにおける一回転前のプリピット4の位置(通常はEVENフレーム位置に記録されている)が次に回転におけるプリピット4の位置に近い場合、より具体的には、一回転前のプリピット4の位置の情報を含んだゲート信号SGの範囲に当該次の回転におけるEVENフレーム信号SEが入ることが判定器42において判定された場合には、当該次の回転におけるプリピット4はODDフレーム信号SOの位置に記録されるように記録プリ情報SRが生成され、これに基づいて光変調器25により光ビームLLが変調され、プリピット4を含むランドトラック3がDVD−R1に形成される。このとき、当該光ビームLLと同時に出力される光ビームLGによりランドトラック3に並行するようにグルーブトラック2が形成される。
以上説明したように、本実施形態のカッティング装置Cによれば、プリピット4は、スタンパディスクの一回転においては、EVENフレームに対応する位置のみ又はODDフレームに対応する位置のみに形成されるので、全てのシンクフレーム毎にプリピット4が記録される場合に比してDVD−R1全体におけるプリピット4の数を削減することができ、プリピット4が形成されたDVD−R1に対してグルーブトラック2を形成するための色素膜5(図1参照)を形成する際に当該色素膜5を設計上必要な所定の厚さを有する層とすることができる。
この効果について説明すると、一般に、ランドトラック3へのプリピット4の形成においては、プリ情報をいち早く検出するため、所定のランドトラック3の部分に一箇所に纏めて全てのプリピット4を形成すると共に、当該プリピット4を所定の間隔でランドトラック3上に複数回繰返して形成することによりプリ情報を記録することが行われる。
ところで、実際にDVD−R1を製作する際には、先ず初めに、グルーブトラック2及びランドトラック3と共に必要なプリピット4を形成し、その後、色素膜5の材料をスピンコート等の方法により当該DVD−R1上に塗布し、これをベーキング(加熱)処理等することにより必要な膜厚の記録層を形成することが行われる。
しかしながら、上記のように、必要なプリピット4をランドトラック3上の一箇所に纏めて形成する方法では、通常、プリピット4の上面(光ビームの照射される方向を上とした場合)とグルーブトラック2の上面は面一となる(図1参照)ので、本来グルーブトラック2上に留るべき色素膜5の材料がプリピット4に流れ込み、グルーブトラック2に対して設計上必要な所定の膜厚の色素膜5を形成することができないのである。そして、所定の膜厚の色素膜5が形成されない場合には、当該色素膜5に形成されたピットにより記録された記録情報を再生する際に、再生信号における直流(DC)成分が変化したり、当該ピット形状の不安定化によるジッタが発生し、記録情報の正確な再生ができないこととなる。
これに対し、上述のように、本実施形態のカッティング装置Cによれば、全てのシンクフレーム毎にプリピット4が記録される場合に比してプリピット4の数を削減することができると共に、1のシンクフレームでは2Tの長さのプリピット4のみが形成されるので、プリピット4が形成されたDVD−R1に対して色素膜5を形成する際に当該色素膜5を設計上必要な所定の厚さを有する層とすることができ、上述したような直流(DC)成分の変化や、ピット形状の不安定化によるジッタの発生を防止し、記録情報の正確な再生が行える。
更に、本実施形態のカッティング装置Cによれば、スタンパディスクにおける一回転前のEVENフレーム位置に記録されたプリピット4の位置が次の回転におけるプリピット4の位置の近い場合には、当該次の回転においては、ODDフレームの位置にプリピット4が形成され、更にそのまま一回転した後は、元のEVENフレーム位置にプリピット4が形成されるので、隣り合うガイドトラック3においては、プリピット4の位置が重なることがなく、後述の記録情報の記録におけるプリ情報の検出において、一のガイドトラック3上のプリ情報を読み取る際に、隣り合うガイドトラック3のプリ情報が洩れ込むことを防止することができ、正確なプリ情報の読み取りを行うことができる。
なお、このとき、ゲート信号SGが、スタンパディスクにおける一回転毎のランドトラック3の一周に対応する長さの増加分Δを含んだ長さ(14T+Δ)のパルス幅とされているので、スタンパディスク上の半径位置の変化により隣り合うランドトラック3上のプリピット4の位置が近接することがない。従って、スタンパディスク上のいずれの部分においても、隣り合うランドトラック3上のプリピット4の位置を半径方向の同一直線上にない位置とすることができる。
また、一のガイドトラック3におけるプリ情報の記録の際に用いられたフレーム信号を記憶して隣り合うガイドトラック3におけるプリ情報の記録の際のフレーム信号を出力するので、簡単な構成で一のガイドトラック3のプリピット4の位置と隣り合うガイドトラック3の位置とを異ならせることができる。
(II)情報記録装置の実施形態
次に、本願に対応する実施形態である情報記録装置の実施形態について、図9乃至図13を用いて説明する。
初めに、図9を用いて、実施形態の情報記録装置の全体構成について説明する。
図9に示すように、実施形態の情報記録装置Rは、図示しないレーザダイオード及び後述の対物レンズ、偏向ビームスプリッタ及び光検出器等を含み、上述のカッティング装置Cによりガイドトラック3、プリピット4及びグルーブトラック2が形成されたDVD−R1対して、当該プリピット4を読み取ってプリ情報を検出すると共に、画像情報等の記録情報を記録するための記録光としての光ビームBを出射する検出手段及び記録手段としてのピックアップ70と、プックアップ70により後述のタンジェンシャルプッシュプル法により検出された再生信号からプリピット信号(プリ情報SP)を検出するプリピット信号検出器71と、検出されたプリ情報SP(同期プリ情報とデータプリ情報を含む。)を波形整形する波形整形器72と、基準データ転送クロック発生部74から出力される基準データ転送クロックと検出されたプリピット信号とを位相比較し、プリ情報SPに同期したデータ転送クロックを出力するPLL(Phase Locked Loop)回路73と、DVD−R1を回転させるためのスピンドルモータ75と、検出されたプリピット信号とスピンドルモータ75から出力される回転数検出信号とを位相比較して、スピンドルエラー信号をスピンドルモータ75に出力することにより、スピンドルモータ75の回転数を所定数にサーボ制御するPLL回路76と、検出されたプリピット信号としてのプリ情報SPから同期プリ情報SSY(シンクパターンは、図2に示すEVEN同期プリ情報又はODD同期プリ情報となる。)を分離するシンクセパレータ77と、シンクセパレータ77から出力された同期プリ情報SSYにより開とされるゲート78Aを備え、PLL73から出力されたデータ転送クロックに基づき、外部から入力された記録すべき記録信号としての入力信号SDを8−16変調することにより記録情報ストリームSDSを生成し、これを上記ゲート78Aが開とされたときに出力する生成手段としての8−16エンコーダ78と、検出されたプリ情報SPをシリアル/パラレル変換し、後述のCPU80からのインタラプト信号SIにより要求された場合に、当該プリ情報SP中のアドレス情報SADを出力するシリアル/パラレル変換器79と、外部からの記録/再生切り換え信号により記録情報の書き込み指令が入力されるとインタラプト信号SIを出力し、それによって取得したアドレス情報SADに基づく準備信号SRDを出力するCPU80と、8−16エンコーダ78から出力され、遅延量が微調整された記録情報ストリームSDSをパルス制御して出力するパルス制御器81と、パルス制御された記録情報ストリームSDSに基づき、駆動信号SDRを出力して図示しないレーザダイオードを駆動し、記録光としての光ビームBを出力させるLD(LASER Diode)ドライバ82とにより構成されている。
次に、情報記録装置Rにおいてプリ情報SPの検出に用いられる上記のタンジェンシャルプッシュプル法について、ピックアップ70及びプリピット信号検出器71の細部構成と共に、図10及び図11を用いて説明する。
タンジェンシャルプッシュプル法とは、DVD−R1の回転方向におけるプッシュプル法のことをいい、DVD−R1のランドトラック3上に形成された光ビームBによる光スポットSPからの反射光を、プリピット4の移動方向(ディスクの回転方向)に対して光学的に垂直な分割線により二の部分検出器に分割された光検出器における当該部分検出器の差信号に基づいて上記プリ情報を再生する方法である。
すなわち、より具体的には、図10に示すように、図示しないレーザダイオード等で生成された記録光(プリピット4に対しては、再生光となる。)としての光ビームBは、偏光ビームスプリッタ91で反射され、対物レンズ90によりDVD−R1(図1参照)のグルーブトラック2及びランドトラック3上に集光される。そして、プリピット4により変調されるとともにDVD−R1による反射で偏光面が回転された光ビームBの反射光が、偏光面の回転により偏光ビームスプリッタ91を透過して、DVD−R1の回転方向に光学的に垂直な分割線で二の部分検出器92A及び92Bに分割された光検出器92の夫々の受光面に照射され検出される。各部分検出器92A及び92Bの受光出力(以下の説明では、各部分検出器の出力を符号A及びBで示す。)は、プリピット信号検出器71を構成する減算器93により減算され、その差信号(A−B)は再生信号(プリピット情報SP)として波形整形器72に出力される。
次に、光検出器92及び減算器93による差信号(タンジェンシャルプッシュプル信号)(A−B)の生成について、図11を用いて説明する。
図11において、図11(a)にDVD−R1の回転方向の断面図を示す形状のプリピット4からの反射光を光検出器92で受光すると、部分検出器92A及び92Bの受光出力は、その位置的なずれに基づき、図11(b)に示すように位相がずれたRF(Radio Frequency)信号(A及びB)としてそれぞれの部分検出器92A及び92Bから出力される。そして、減算器93によりそれぞれのRF信号の差をとることにより、図11(b)に示す差信号(タンジェンシャルプッシュプル信号)(A−B)が生成されるのである。
次に、上述のタンジェンシャルプッシュプル法により検出されたプリ情報SPに基づく記録情報の記録のための情報記録装置Rの動作について、図12に示すフローチャート用いて説明する。
初めに、図12(a)を用いてCPU80の動作を中心として説明する。
図12(a)に示すように、CPU80においては、初めに、外部から記録情報の書き込み指令が入力されたか否かが判定され(ステップS1)、書き込み指令が入力されない場合は(ステップS1;NO)そのまま待機し、書き込み指令が入力された場合には(ステップS1;YES)、次に、当該記録すべき記録情報に対応するアドレス情報SADを取得するため、インタラプト信号SIをシリアル/パラレル変換器79に出力する(ステップS2)。なお、ステップS1及びS2の処理と並行して、スピンドルモータ75によってDVDーR1が回転され、これに対応して光ビームBを照射することによりDVD−R1のランドトラック3に形成されているプリピット4からのプリ情報SPの取得が行われている。
ステップS2においてインタラプト信号SIが出力されると、当該インタラプト信号SIに対応してシリアル/パラレル変換器79から入力されたアドレス情報SADが、記録すべき記録情報に対応する所定のアドレス情報SADであるか否かを判定し(ステップS3)、上記所定のアドレス情報SADでない場合には(ステップS3;NO)、再度他のアドレス情報SADを取得するためインタラプト信号SIを出力すべくステップS2に戻る。
一方、取得されたアドレス情報SADが所定のアドレス情報SADである場合には(ステップS3;YES)、当該所定のアドレス情報SADが取得されたことにより、8−16エンコーダ78に対して記録情報ストリームSDSの出力を準備させるべく準備信号SRDを出力し(ステップS4)、処理を終了する。
次に、準備信号SRDが入力される8−16エンコーダ78における動作について、図12(b)を用いて説明する。
図12(b)に示すように、8−16エンコーダ78においては、初めに、CPU80から準備信号SRDが入力されたか否かが判定され(ステップS10)、入力されていない場合には(ステップS10;NO)入力されるまで待機し、準備信号SRDが入力された場合には(ステップS10;YES)、シンクセパレータ77から検出されたプリ情報SPにおける同期プリ情報SSYが入力されたか否か、すなわち、レコーディングセクタの先頭が検出されたか否かが判定され(ステップS11)、検出されない場合には(ステップS11;NO)次の準備信号SRDが入力するまで待機するためにステップS10に戻り、同期プリ情報SSYが検出された場合には(ステップS11;YES)、次にーのECCブロック期間(26レコーディングセクタ期間)計時し(ステップS12)、当該計時が終了していない場合には(ステップS12;NO)終了するまで待機し、終了した場合には(ステップS12;YES)、入力信号SDを8−16変調し、ゲート78Aを開とすることにより記録情報ストリームSDSの出力を開始する(ステップS14)。なお、記録情報ストリームSDSの出力はPLL回路73からのデータ転送クロックに基づいて行われる。また、記録情報ストリームSDSにおいては、一のシンクフレーム毎に夫々の先頭(プリ情報におけるプリピット4が形成される位置)に同期信号(長さ14T)が付加されている。ここで、ステップS12及び13において、ーのECCブロック期間計時するのは、確実にECCブロックの先頭から記録情報を記録するためである。
8−16エンコーダ78から記録情報ストリームSDSが出力された後は、当該記録情報ストリームSDSがパルス制御器81によりパルス制御され、LDドライバ82により当該記録情報ストリームSDSに対応した駆動信号SDRが出力され、この駆動信号SDRによりピックアップ70中の図示しないレーザダイオードが駆動されて光ビームBが出射され、記録情報ストリームSDSに対応した記録情報ピットがグルーブトラック2上に形成されて記録情報の記録が行われる。なお、8−16変調法により入力信号SDを変調した場合には、DVD−R1上に形成される記録情報ピットの長さは、3Tから14Tの間の長さとなる。
ここで、上記の8−16エンコーダ78における動作(図12(b)参照)により、プリピット4における同期プリ情報と記録情報における同期信号が一致することになる。よって、一のレコーディングセクタ内では、同期プリ情報以降のデータプリ情報(上述のように、一のシンクフレームにおけるその先頭に2Tの長さで記録されている。)と記録情報における同期信号が同期することなる。すなわち、これを記録情報に対応する記録情報ピットPDがグルーブトラック2上に記録されたDVD−R1で見てみると、図13に示すように、請求項16に記載の発明に対応して、プリピット4の隣には必ず記録情報における同期信号ピットPSが形成されることとなる。なお、図13は、DVD−R1の回転方向に対してグルーブトラック2上に光スポットSP(図1参照)を形成しつつ、当該グルーブトラック2の外周側(回転方向に向かって右側)に隣接するプリピット4を読み取る場合について示している。更に、夫々のプリピット4の回転方向の長さは2Tであり、これは8−16変調により形成される記録情報ピットPDのいずれの長さとも異なることとなる。
以上説明したように、実施形態の情報記録装置Rによれば、記録情報が、シンクフレーム毎に同期信号が付加されて記録されると共に、当該同期信号とプリ情報が同期して記録されるので、プリ情報と記録情報の双方が記録されたDVD−R1上においては、グルーブトラック2上の同期信号の位置と、ランドトラック3上のプリピット4の位置とが隣接することとなり、プリ情報の検出又は記録情報の再生において、記録情報とプリ情報の分離再生を容易にすることができ、正確なプリ情報の検出又は記録情報の再生を行うことができる。
更に、プリ情報に対応するプリピット4の回転方向の長さ(2T)が、記録情報に対応する記録情報ピットPDのいずれの長さ(3T乃至14T)とも異なる長さとなるので、記録情報の再生において、プリ情報との分離再生が確実に可能となり、正確な記録情報の再生を行うことができる。
更にまた、遅延フリップフロップ回路47の動作により、シンクフレームの先頭に記録される各プリ情報(同期プリ情報又はデータプリ情報)における最初の2T期間が“L”とされているので(図2参照)、プリ情報に対応するプリピット4の位置と記録信号における同期信号の位置が隣接しても、双方が互いにクロストークとなることなく双方を検出することができる。