JP3970236B2 - パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置 - Google Patents

パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3970236B2
JP3970236B2 JP2003377421A JP2003377421A JP3970236B2 JP 3970236 B2 JP3970236 B2 JP 3970236B2 JP 2003377421 A JP2003377421 A JP 2003377421A JP 2003377421 A JP2003377421 A JP 2003377421A JP 3970236 B2 JP3970236 B2 JP 3970236B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulse
discharge
vapor deposition
chemical vapor
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003377421A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004169183A (ja
Inventor
三喜男 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2003377421A priority Critical patent/JP3970236B2/ja
Publication of JP2004169183A publication Critical patent/JP2004169183A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3970236B2 publication Critical patent/JP3970236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

この出願の発明は、パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、成膜速度が大きく、結晶性の良好なダイヤモンド膜、あるいは基板との密着性の良いDLC膜などを成膜することのできるパルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置に関するものである。
ダイヤモンド膜は、高硬度、耐摩耗性、高熱伝導度、広いバンドギャップと高移動度などの優れた特性を有していることから、特殊工具へのコーティング、光学部品、ヒートシンク、高温動作半導体素子など様々な分野への実用化が進展しており、その市場性は極めて高い。
これまでにプラズマ化学気相成長法を用いてダイヤモンド膜を作製する方法が見出されており、直流または間欠放電プラズマ化学気相成長法によりダイヤモンド膜を作製する場合、プラズマを生成するためのガス圧を高くすることによって成膜速度が大きくなり、結晶性も良くなることが知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら実際にガス圧力を300Torr以上に高くした場合、放電がアーク放電になってしまい、試料を損傷してしまったり、放電開始電圧が高くなり放電ができなかったり不安定になってしまったりしていた。また、ガス圧が300Torr以上の場合には基板の一部分にグローが偏ってしまい基板全体に成膜できないという問題も有しており、これまで250Torr程度までしかガス圧力を上げることができなかった。
また、この出願の発明の発明者等によりプラズマ化学気相成長法を行う際に補助電極を用いてダイヤモンド膜を作製する方法も試みられており、補助電極を用いることによってある程度まで高いガス圧力でのパルス放電を行うことができた(非特許文献2および非特許文献3)が、高いガス圧力にする場合に必要となる高電圧が得られず、また放電やグローが基板の一部分に偏り基板全体に成膜できないなどの問題を依然有しており、補助電極を用いる方法においても250Torr以下のガス圧でしか容易に成膜することができなかった。
他方で、DLC(Diamond like carbon)膜は、ダイヤモンドとグラファイトの構造を
含んだアモルファス構造を有しており、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐食性、耐凝着性、光透過性などの特徴から、切削工具、刃物、金型、磁気記録媒体、電子部品などへの成膜(コーティング)が実用化されつつあり、DLC膜の作製法としては、これまでにプラズマCVD(DC、RF、ECR、マイクロ波)、スパッタリング(DC、RF)イオンビーム、レーザーアブレーション、プラズマソースイオン注入(Plasma based ion implantation)、液相(メタノール)中での堆積、など種々の方法が報告されている。
しかしながら、DLC膜は硬くて耐凝着性が良いが、逆にいえば基板との密着性が悪くはがれやすいということになり、このために実用化が遅れているといってもよいほどである。このため、基板とDLC膜の間に中間層を挿入する、薬品で基板表面をエッチングして荒らす、ダイヤモンドの微粒子による種付け処理をするなどの方法が考えられている。しかしながら、それらの中間層の挿入、エッチング、種付け処理等のDLC膜の基板に対する密着性を向上させるための工程をDLC膜作製の工程自体とは別途に行わなければならないため、DLC膜の作製に手間とコストがかかってしまっていた。また、従来のDLC膜の作製においては大面積でのコーティングが困難という課題も存在していた。
一方この出願の発明の発明者は、直流電源と、その出力を断続させるインテリジェントパワーモジュールと、パルス発信器と、高圧トランスと、抵抗および高圧トランスの高圧側からの電圧を放電するためのダイオードを備えたパルス電源を、特許出願中の特願2002−089943において開示している。しかしながら、このパルス電源はパルス放電スパッタへの利用が目的とされており、このパルス電源により300Torr以上大気圧以下の高いガス圧でのプラズマ化学気相成長法に利用するための条件である高電圧を得ることは不可能と考えられていた。
野田三喜男(Mikio Noda)、清水秀己(Hideki Shimizu) 著, "Structural Changes due to Gas Pressure of Diamond Films Prepared by Intermittent Plasma Chemical Vapor Deposition"、New Diamond and Frontier Carbon Technology、MYU、第12巻、第3号、p.133−136 野田三喜男(Mikio Noda)著、"Formation of Diamond Films by Intermittent DC Plasma Chemical Vapor Deposition Using Sub-electrode"、Japanese Journal of Applied Physics、第38巻、第7B号、p.4496−4499 野田三喜男(Mikio Noda)他2名、"Formation of Diamond Films by Intermittent DC Plasma Chemical Vapor Deposition Using Sub-electrode"、Proceeding of ADC/FCT'99 p.402−407
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、300Torr以上大気圧以下の高いガス圧力で安定にパルス放電を行い、成膜速度が大きく、膜質の良好なダイヤモンド膜や、あるいは基板との密着性の良いDLC膜などの薄膜を作製することのできる、パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、パルス放電による基板上へのプラズマ化学気相成長法において、直流電源と、該直流電源の一端と高圧トランスの低圧側の一端との間に接続され、該直流電源の出力を断続させる単一のインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、該直流電源の他端と高圧トランスの低圧側の他端との間に接続された抵抗と、高圧トランスと、該高圧トランスの高圧側に接続され、その高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源を用い、かつ該パルス電源側に接続される陰極または陽極よりなる放電電極に対向する陽極または陰極よりなる放電電極上に基板を載置し、原料ガスよりプラズマを生成する、陰極と陽極よりなる放電電極による放電をパルス化し、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がり時間を20μs以下として大気圧以下のガス圧力でパルス放電を行うことを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第2には、この出願の発明は、第1の発明において、該パルス電源側の放電電極である陰極を棒状とし、陽極上に基板を載置し、生成されるプラズマを、ガス圧力を300Torr以上とすることにより収縮させ、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にダイヤモンド膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
さらに、第3には、第2の発明において、棒状の陰極または基板を走査させることを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
また、第4には、第1の発明において、該パルス電源側の放電電極である陰極を面状とし、陽極上に基板を載置し、生成されるプラズマを、ガス圧力を300Torr以上とすることにより収縮させ、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にダイヤモンド膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第5には、第2ないし4いずれかの発明において、原料ガスとしてメタンと水素を含むガスを使用することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第6には、第1の発明において、該パルス電源側の放電電極である陽極を棒状とし、陰極上に基板を載置してパルス放電を行い、ガス圧力を100Torr以下とし、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にDLC膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第7には、第6の発明において、棒状の陽極または基板を走査させることを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第8には、第1の発明において、該パルス電源側の放電電極である陽極を面状とし、陰極上に基板を載置してパルス放電を行い、ガス圧力を100Torr以下とし、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にDLC膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第9には、第6ないし8いずれかの発明において、原料ガスとしてメタンと水素を含むガスを使用することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第10には、第6ないし9いずれかの発明において、ガス圧力を変化させることを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を提供する。
第11には、第1ないし10いずれかの発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を行う装置であって、1)直流電源と、該直流電源の一端と高圧トランスの低圧側の一端との間に接続され、該直流電源の出力を断続させる単一のインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、該直流電源の他端と高圧トランスの低圧側の他端との間に接続された抵抗と、高圧トランスと、該高圧トランスの高圧側に接続され、その高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源、2)該パルス電源側の放電電極が棒状または面状である、陰極および陽極よりなる放電電極、3)薄膜が作製される基板、4)基板ホルダー、5)プラズマ化学気相成長法が行われる反応室、6)反応室内を排気する真空ポンプ、7)反応ガス導入装置、を備えてなることを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置を提供する。
上記第1の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、安定したパルス放電が可能となり、プラズマ化学気相成長法の成膜速度を大幅に上げることができ、また作製される膜の品質も良好なものを得ることができる。
第2または4の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができるとともに、よりプラズマ化学気相成長法の成膜速度を向上させることができる。また、放電電極である陰極を棒状とすることにより、より安定な放電を可能とすることができ、基板上の直径数mm程度の微小領域にプラズマを集中させ、その部分のみに成膜することが可能となる。また、結晶性の良好なダイヤモンド膜を作製することができる。
第3の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第1またはの発明と同様の効果を得ることができるとともに、基板上の任意の領域、形状に成膜させることができる。
第5の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第2ないし4いずれかの発明と同様な効果を得ることができるとともに、基板に対する密着性の極めて高いダイヤモンド膜を形成することができる。
第6または8の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができるとともに、原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することにより、原子状水素や水素イオンにより基板表面がエッチング・清浄化されるため、DLC膜の基板上への成膜(コーティング)の前の基板の表面処理を別途に行わなくても良くなり、また炭素と基板の表面が反応し、DLC膜と基板間に中間層として基板の炭化膜が形成され、中間層の形成のための工程についても別途に設けることなく、密着性の良いDLC膜を基板上に容易に作製することができるのである。また、基板の裏側にも陰極グローが広がり、回り込みよく成膜することができる。
第7の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第5または6の発明と同様の効果を得ることができるとともに、基板上の任意の領域、形状に成膜させることができる。
の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第5ないし8いずれかの発明と同様の効果を得ることができるとともに、基板に対する密着性の極めて高いDLC膜を作製することができる。
第10の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によれば、第5ないし9いずれかの発明と同様の効果を得ることができるとともに、基板表面の陰極グローの広がりを変えることができ、基板上にコーティングするDLC薄膜の面積を変化させ、小面積から大面積まで、用途に応じた面積のコーティングも可能となる。
第11の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置によれば、第1ないし10いずれかの発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を良好に行うことができる。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法では、直流電源と、その出力を断続させるインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、高圧トランスと、抵抗と、高圧トランスの高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源を用い、プラズマを生成する放電をパルス化し、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がり時間を20μs以下として大気圧以下のガス圧力でパルス放電を行い基板上に薄膜を作製することを大きな特徴としている。
このようにこの出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法では、上記のような構成からなるパルス電源を用い、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がり時間を20μs以下と短くすることにより、インテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器によって直流電源と高圧トランスの一次側を断続させる際の断続時間を短くすることができ、その結果ガス圧力を高くするにしたがって高くなる放電に必要な高圧(放電開始電圧)を得ることができる。
なお、パルス電圧の立ち上がり時間を20μs以下とするのは、放電開始電圧Vpとして6000V程度が必要となり、高圧トランスのインダクタンスLが0.3〔H〕程度であり、放電開始電圧発生時に流れる電流が0.4Aとすると、以下の式、
L(dI/dt)=Vpより
0.3×0.4/(20×10-6)=6000V
となり、20×10-6sすなわち20μs以下で6000V程度の高圧の放電開始電圧Vpを得ることができるからである。
また、パルス電圧の立ち上がり時間の下限値は理論上は1.4μsであって、この1.4μsはインテリジェントパワーモジュールの立ち上がり時間である。ただし、配線のインダクタンスや浮遊容量、さらにはスナバー回路により実際には1.4μs程度とするのは極めて難しい。
また、パルスの周期と放電および放電停止時間を調節することにより放電がアークにならず安定した放電になるようにすることができる。このようにすることで、ガス圧力を300Torr以上大気圧以下に高くした場合にもアーク放電にならず安定したパルス放電が可能となり、プラズマ化学気相成長法の成膜速度を大幅に上げることができ、また作製される膜の品質も良好なものを得ることができる。
なお、上記のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を行うに当たって、配線を極力短くし、パルス発信器を市販のものとし、また多数の市販の30Wの抵抗器を一つの750Wの抵抗器にまとめる、などの改良によって、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がりを20μs以下にすることが可能となる。
また、この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、ガス圧力を高くするとプラズマが収縮する現象を利用しつつ、さらに放電電極である陰極を棒状とすることにより、より安定な放電を可能とすることができ、基板上の直径数mm程度の微小領域にプラズマを集中させ、その部分のみに成膜することが可能となる。また陰極を棒状として高いガス圧力を微小領域にのみ成膜させる場合、陰極または基板を移動または走査させることで任意の領域、形状に成膜させることができるのである。
そして、この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法により、良質なダイヤモンド膜を作製することができるのである。
さらに、この出願のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、放電電極である陽極を棒状とし、陰極を基板としてパルス放電を行い、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上に密着性の良いDLC膜を作製することができる。すなわち放電電極である陽極を棒状とすることで基板上にDLC膜が形成されるのであるが、その際に原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することにより、原子状水素や水素イオンにより基板表面がエッチング・清浄化されるため、DLC膜の基板上への成膜(コーティング)の前の基板の表面処理すなわち中間層の形成の工程を別途に行わなくても良くなり、また炭素と基板の表面が反応し、DLC膜と基板間に中間層として基板の炭化膜が形成され、中間層の形成のための工程も別途に設けることなく、密着性の良いDLC膜を基板上に容易に作製することができる。
このとき、原料ガスとしてメタンと水素を含むガスを使用することにより、たとえば手垢で汚れたTi基板上にも密着性良くDLC膜を形成することができることから、密着性の極めて高いDLC膜を作製することができる。また、ガス圧力を100Torr以下とすることにより、基板の裏側にも陰極グローが広がり、回り込みよく成膜することが可能となるのである。またさらに、ガス圧力を変化させることで、基板表面の陰極グローの広がりを変えることができ、基板上にコーティングするDLC薄膜の面積を変化させ、小面積から大面積まで、用途に応じた面積のコーティングも可能となり、さらには、棒状の陽極または基板を走査させることで、基板上の任意の領域、形状に成膜させることができるのである。
なお、上記のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を行う際には、1)直流電源と、その出力を断続させるインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、高圧トランスと、抵抗と、高圧トランスの高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源、2)放電電極である棒状の陰極または陽極、3)薄膜が作製される基板、4)基板ホルダー、5)プラズマ化学気相成長法が行われる反応室、6)反応室内を排気する真空ポンプ、7)反応ガス導入装置、を備えたプラズマ化学気相成長装置を用いることができる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によりダイヤモンド膜を作製し、その性質を評価した。
まず、図1に既に特許出願中の特願2002−089943で使用しているパルス電源の基本的な構成を示す。
このパルス電源(1)は、直流電源(2)と、その出力を断続させるインテリジェントパワーモジュール(IPM)(3)およびパルス発信器(4)と、抵抗(5)と、低圧側で電流を断続させ高圧側で放電に必要な高い電圧を発生させる高圧トランス(6)と、高圧トランス(6)の高圧側からの電圧を放電するためのダイオード(7)とを備えている。
このパルス電源(1)においては、出力電圧を0から約100Vまで変化させることのできる直流電源(2)の出力を、パルス発信器(4)から発信されるパルスを用いてインテリジェントパワーモジュール(3)で断続しつつ、高圧トランス(6)の低圧側に加え、電流を断続させるときのONとOFFの時間は、パルス発信器(4)により広範囲に変化させることができるようにしてある。またこのパルス電源(1)は高圧トランス(6)の大きなインダクタンスと回路に挿入した抵抗(5)による過渡現象を利用して、アーク放電になるような急激な電流の増加を抑えるようになしており、一方で、高圧トランス(6)の高圧側の電圧を、ダイオード(7)を通して放電電極に加えて放電させることができるように構成されている。
また、このパルス電源(1)で使用しているインテリジェントパワーモジュール(3)のスイッチング時間(ton)は標準で1.4μsである。しかしながら、配線のインダクタンス、浮遊容量あるいはパルス発信器でのパルスの立ち上がり時間などにより実際のスイッチング時間(ton)は1.4μsよりも長くなってしまう。そこで、300Torr以上の高いガス圧力での放電に必要な高電圧を得るために本実施例では、
1) 冗長であった配線を短くする、
2) パルス発信器を市販のものに変更する、
3) 多数の市販品の30Wの抵抗器を一つの750Wの抵抗器(特注品)にまとめる、
などの改良を行うことにより、図2(b)に示す、パルス発信器(4)によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がり時間trを20μs以下まで短くすることで、300Torr以上500Torr以下の高いガス圧力での放電に必要な電圧を得ることができた。
ここで図2は放電中のパルス発信器の波形(a)と、電極間の放電電圧(b)および電流(c)の波形の例を示しており、(a)においてtdはパルスの各周期の放電時間でありtnは放電停止時間である。また(b)のVpは放電開始電圧であり、Vgはグロー電圧であり、taは放電停止後電流がゼロになるまでの時間である。また、図2(c)のIpは放電のピーク電流である。
次に図3において補助電極を用いたプラズマ化学気相成長法でダイヤモンド膜を作製する装置の構成を示す。反応室(8)を真空排気ポンプ(9)で真空にした後、排気バルブ(10)を閉め、反応ガス導入バルブ(11)を開けてマスフローコントローラ(12)で設定した流量のメタン(CH4)と水素(H2)の混合ガス(13)を反応室(8)へ導入する。この実施例では、ガスの流量を10CCM、メタン濃度を1%とした。
放電については、図1に示したパルス電源(1)を使用し、パルス電源(1)の電圧を上げ、陰極(14)と補助電極(15)の間で放電を開始させた。
その後、陽極(基板ホルダー)(16)に直流電源(17)により電圧を印加し、基板(18)と陰極(14)の間で放電し、基板(18)上にダイヤモンド膜が堆積する。基板(18)はヒーター(19)により加熱できるようにしてある。陰極(14)はモリブテン板を曲げて作製し面状になっており、補助電極(15)はモリブテン板になっている。陰極(14)と補助電極(15)間の距離(L)は15mm、陰極(14)と基板(18)間の距離(d)は20mmとなっている。
なおこの補助電極(15)を用いる方法は単純に陰極(14)と基板(18)間のみにおいて放電させる方法と比べ、陰極(14)と基板(18)間の距離dを長くしても放電が可能であり、突発的なアークによる基板(18)の損傷を防ぐことができる。
図4(a)〜(c)に、図3の装置を用いガス圧力Pgを300Torrから500Torrまで変化させて、一辺が5mmのSiウェハー基板上にダイヤモンド膜を成膜したときの試料表面の走査型顕微鏡(SEM)像を示す。基板電流のピーク値Is=0.6A、光高温計で測定した基板温度Ts=700℃、パルスの各周期の放電時間td=0.5ms、放電停止時間tn=2msとし、成膜時間は2時間とした。
ここで、図4(a)は300Torrの場合であり、(b)は400Torrの場合であり、(c)は500Torrの場合である。図4(a)〜(c)よりガス圧力Pgを高くすると膜を構成するダイヤモンド粒子が大きくなり、晶も明確になることが分かる。
図5に、図4(a)〜(c)の試料のラマン・スペクトルのグラフを示す。ガス圧力(Pg)が高くなると、ダイヤモンドに対応する1333cm-1の位置にスペクトルのピークが顕著に現れ、結晶性が良くなっていることが分かる。
また、図6(a)および(b)に図4に示したPgが400Torrの場合および500Torrの場合に得られたダイヤモンド薄膜が形成された試料の破断面のSEM像を示す。同図よりPgを高くすると、ダイヤモンドの膜厚が厚くなっていることが分かる。
以上より、プラズマ化学気相成長法によりダイヤモンド膜を作製する場合、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がりの時間を20μs以下としガス圧力Pgを高くすることで成膜速度が大きくなり、結晶性も良好になることが明らかとなった。
ただ、上記の方法を用いた場合、ガス圧力Pgを高くすると放電が特定の場所に偏る現象が見られ、試料表面に均一に成膜することが容易ではないことがわかった。
<実施例2>
そこで実施例1の問題を解決するため、このガス圧力を高くするとプラズマが偏り集中しやすくなる現象を逆に利用し、放電電極である陰極を棒状の電極にする方法により、特定の場所に集中して成膜した。
図7にこの例のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を行うための装置の構成図を示す。
反応室(8)を真空排気ポンプ(9)で真空にした後、排気バルブ(10)を閉め、反応ガス導入バルブ(11)を開けてマスフローコントローラ(12)で設定した流量のメタン(CH4)と水素(H2)の混合ガス(13)を反応室(8)に導入する。このとき、ガスの流量を10CCMとし、メタン濃度を1%とした。パルス放電は直径0.6mmのタングステン線を折り曲げて先端が鋭角になるようにした棒状の電極(14)とSiウェハー基板(18)の間で行った。
図8に電極間距離d=13mmとし、図2におけるパルスの各周期の放電時間td=0.3ms、放電停止時間tn=2msとしたときの、ガス圧力が(a)100Torr、(b)200Torr、(c)300Torr、(d)400Torr、(e)500Torrでの放電状態の写真を示す。ガス圧力Pgを100Torrから500Torrに高くするにつれてプラズマが左右方向において収縮していることが分かる。なお図8(a)〜(e)中において、上向きU字状の白い部分が棒状の陰極であり、そのU字状の白い部分の下に位置する灰色部分がプラズマである。そして、図8の写真中では見えにくくなっているが、プラズマの下方にダイヤモンド膜を作製する基板が設置されている。
図9に図8の放電を行った時の図2で示した放電開始電圧Vpのガス圧力Pgに対する変化を示す。同図よりガス圧力Pgを高くすると、Vpが高くなることが分かる。なお、このときの図2(b)におけるtr(立ち上がり時間)は20μsであった。
図10にこの方法を用い、ガス圧300Torr、400Torrおよび500Torrで成膜した試料表面のSEM像を示す。電極間距離d(図7参照)は約5mmであり、成膜時間は約2時間とし、放電の条件は基板電流のピーク値Ip=0.6A、パルスの各周期の放電時間td=0.5ms、放電停止時間tn=2msとした。なお、放電がアークになり試料が損傷しないようにtdとtnを調節する必要があった。また試料近傍の熱電対で測定した基板温度Tsを350℃とし、低温でも成膜できることを確認した。
図10に示しているように、ガス圧Pgを高くすると膜を構成する粒子が大きくなるとともに、晶も明確になり、図4に示した結果とほぼ同様の結果と傾向が見られた。また、350℃という低い基板温度であってもこの方法によれば良質なダイヤモンド膜を得られることが分かった。
なお、成膜領域は直接には数mm程度であったが、棒状陰極または基板を移動・走査すれば広い面積に成膜することができると考えられる。また長時間の実験は反応室が開くと空気に触れて危険なため500Torrまでで行ったが、さらに大気圧近くまでガス圧力Pgを高くしても安定な放電が得られることが短時間の実験でわかった。
<実施例3>
次に実施例1および2と同様に図1に示すパルス電源(1)を用い、図11に示すようなプラズマ化学気相成長装置を用いてTi基板上にDLC膜を形成した。図11のプラズマ化学気相成長装置は、図7と構成はほぼ同じであるが、パルス電源(1)の極性を図7のときと逆にしており、それにより棒状電極が陽極(20)となり、基板(21)が陰極となっている。
なお、この例においても、反応室(8)を真空排気ポンプ(9)で真空にした後、排気バルブ(10)を閉め、反応ガス導入バルブ(11)を開けてマスフローコントローラ(12)で設定した流量のメタン(CH4)と水素(H2)の混合ガス(13)を反応室(8)に導入し、ガスの流量を10CCMとし、メタン濃度を1%とした。パルス放電は直径0.6mmのタングステン線を折り曲げて先端が鋭角になるようにした棒状電極の陽極(20)と一辺が3cmのTiの基板(21)(陰極)の間で行った。
図12(a)〜(e)に、電極間距離すなわち棒状電極よりなる陽極(20)と基板(21)の距離をd=1cm程度とし、図2におけるtd=0.4ms、tn=2msとしたときの放電の状態の写真を示す。図12(a)〜(e)において、ガス圧力Pgを(a)50Torr、(b)100Torr、(c)150Torr、(d)200Torr、(e)250Torrと高くするにつれて、陽光柱の下の基板表面の輝いている部分(陰極グロー)が収縮していくのが分かる。なお、この陰極グローが生成されている部分にDLC膜が成長しており、ガス圧力を100Torr以下にすると、基板の裏側にも陰極グローが広がり、回り込みよく成膜することができることがわかった。なお、図12(a)〜(e)に示すような安定な放電は、通常の連続放電では実現できないことから、この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法による固有の現象であるといえる。
上記の方法でTi基板(21)上に成膜した試料表面の膜の部分をナイフで削り落とし、その破片を透過電子顕微鏡で調べた結果を図13〜15に示す。成膜時間は2時間とし、放電の条件は、図2に示したIp=1A、td=0.4ms、tn=2msとし、ガス圧力は100Torrとした。なお、Ti基板(21)はヒーターによる加熱は行っていないが、陰極グローにより加熱されており、試料近傍の熱電対で測定した基板温度Tsは約500℃であった。
図13(a)はTi基板(21)上に成膜した試料表面の膜の部分をナイフで削り落とした破片の透過電子顕微鏡像の明視野像であり、(b)は同様の透過電子顕微鏡像の暗視野像であって、それらに示すように、破片の端の部分、つまり薄くなった膜の部分を透過電子顕微鏡で観察することができる。また、図13(b)の暗視野像に見られるように、この部分の電子線回折像を調べることができる。
また図14(a)および(b)はそれぞれこの破片の端の部分を拡大したものであり、図14(a)、(b)より数10nm程度の微粒子を含む膜が構成されていることが分かる。この部分の電子線回折像は、図15に示すように、TiCとダイヤモンド(D)の回折像になっており、中間層としてTiCとダイヤモンドの微結晶が生成されていることが分かる。これらのことは、ダイヤモンドの微粒子を含むDLC膜とTiCが混在していることを示しており、このような中間層の生成によりDLC膜の基板に対しての密着性が良くなると考えられ、この例によりTi(基板)−TiC(中間層)−DLC膜の構成となるようにしてDLC膜をTi基板に密着性良く成膜することが可能であることが分かった。
上記の例ではダイヤモンド膜とDLC膜の作製について述べているが、この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法はダイヤモンドおよびDLC膜以外の様々な物質のプラズマ化学気相成長ももちろん可能であり、たとえば、この出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法によりSi膜を作製するといったことも可能である。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、300Torr以上大気圧以下の高いガス圧力で安定にパルス放電を行い、成膜速度が大きく、膜質の良好なダイヤモンド膜や、あるいは基板との密着性の良いDLC膜などの薄膜を作製することのできる、パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置が提供される。
とくにDLC膜は、切削、研磨を必要としない鏡面を有した高硬度な膜として切削工具、刃物、金型、磁気記録媒体、電子部品などへの成膜(コーティング)が期待されていることから、この出願の発明によれば、密着性の良いDLC膜の作製が容易に行え、この出願の発明の需要は大いに期待できるものである。またこれまでに金型や工具に使用される超高硬度合金上へのTiのコーティングはTiNやTiCをコーティングする前の処理として確立されており、Ti基板に密着よくコーティングできるこの出願の発明によれば、超高硬度合金−Ti−TiC−DLCの構造として、超高硬度合金上へDLC膜を密着性良くコーティングすることができ、この点でもこの出願の発明の需要は大いに期待できるものである。
この発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法に用いるパルス電源を例示した概念図である。 図1のパルス電源での放電を行った際の(a)パルス発信器の波形と、(b)電極間の放電電圧の波形および(c)放電電流の波形を例示したグラフである。 補助電極を用いた場合のこの出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置を例示する概念図である。 図3の装置を用いて作製されたダイヤモンド膜の表面のSEM像である。 図4の試料のラマン・スペクトルのグラフである。 図4の試料の破断面のSEM像である。 放電電極である陰極を棒状にした場合のこの出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置を例示する概念図である。 図7の装置を用いて放電させたときのガス圧力100Torr〜500Torrに対する放電の変化を示した写真である。 図7の装置を用いて放電させたときのガス圧力Pgに対する放電開始電圧Vpの変化を示したグラフである。 図7の装置を用いて作製したダイヤモンド膜の表面のSEM像である。 放電電極である陽極を棒状にした場合のこの出願の発明のパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置を例示する概念図である。 図11の装置を用いて放電させたときのガス圧力50Torr〜250Torrに対する放電の変化を示した写真である。 この出願の発明の一実施形態によりTi基板上にDLC膜を成膜した試料表面を調べた結果を示した透過電子顕微鏡像写真である。 この出願の発明の一実施形態によりTi基板上にDLC膜を成膜した試料の破片の端を調べた結果を示した透過電子顕微鏡像写真である。 図13および図14の試料の制限視野電子線回折像である。
符号の説明
1 パルス電源
2 直流電源
3 インテリジェントパワーモジュール
4 パルス発信器
5 抵抗
6 高圧トランス
7 ダイオード
8 反応室
9 真空排気ポンプ
10 排気バルブ
11 反応ガス導入バルブ
12 マスフローコントローラ
13 混合ガス
14 陰極
15 補助電極
16 基板ホルダー
17 直流電源
18 基板
19 ヒーター
20 (棒状電極の)陽極
21 Ti基板

Claims (11)

  1. パルス放電による基板上へのプラズマ化学気相成長法において、
    直流電源と、該直流電源の一端と高圧トランスの低圧側の一端との間に接続され、該直流電源の出力を断続させる単一のインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、該直流電源の他端と高圧トランスの低圧側の他端との間に接続された抵抗と、高圧トランスと、該高圧トランスの高圧側に接続され、その高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源を用い、かつ該パルス電源側に接続される陰極または陽極よりなる放電電極に対向する陽極または陰極よりなる放電電極上に基板を載置し、原料ガスよりプラズマを生成する、陰極と陽極よりなる放電電極による放電をパルス化し、パルス発信器によるパルスの発信から放電電圧が放電開始電圧となるまでのパルス電圧の立ち上がり時間を20μs以下として大気圧以下のガス圧力でパルス放電を行うことを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  2. 請求項1に記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、該パルス電源側の放電電極である陰極を棒状とし、陽極上に基板を載置し、生成されるプラズマを、ガス圧力を300Torr以上とすることにより収縮させ、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にダイヤモンド膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  3. 棒状の陰極または基板を走査させることを特徴とする請求項2記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  4. 請求項1に記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、該パルス電源側の放電電極である陰極を面状とし、陽極上に基板を載置し、生成されるプラズマを、ガス圧力を300Torr以上とすることにより収縮させ、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にダイヤモンド膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  5. 原料ガスとしてメタンと水素を含むガスを使用することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  6. 請求項1に記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、該パルス電源側の放電電極である陽極を棒状とし、陰極上に基板を載置してパルス放電を行い、ガス圧力を100Torr以下とし、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にDLC膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  7. 棒状の陽極または基板を走査させることを特徴とする請求項6記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  8. 請求項1に記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法において、該パルス電源側の放電電極である陽極を面状とし、陰極上に基板を載置してパルス放電を行い、ガス圧力を100Torr以下とし、プラズマの原料ガスとして炭素と水素を含むガスを使用することで、基板上にDLC膜を作製することを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  9. 原料ガスとしてメタンと水素を含むガスを使用することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  10. ガス圧力を変化させることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載のパルス放電によるプラズマ化学気相成長法を行う装置であって、
    1)直流電源と、該直流電源の一端と高圧トランスの低圧側の一端との間に接続され、該直流電源の出力を断続させる単一のインテリジェントパワーモジュールおよびパルス発信器と、該直流電源の他端と高圧トランスの低圧側の他端との間に接続された抵抗と、高圧トランスと、該高圧トランスの高圧側に接続され、その高圧側からの電圧を放電するためのダイオードとを備えたパルス電源、
    2)該パルス電源側の放電電極が棒状または面状である、陰極および陽極よりなる放電電極、
    3)薄膜が作製される基板、
    4)基板ホルダー、
    5)プラズマ化学気相成長法が行われる反応室、
    6)反応室内を排気する真空ポンプ、
    7)反応ガス導入装置、
    を備えてなることを特徴とするパルス放電によるプラズマ化学気相成長装置。
JP2003377421A 2002-11-07 2003-11-06 パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置 Expired - Fee Related JP3970236B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003377421A JP3970236B2 (ja) 2002-11-07 2003-11-06 パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002324430 2002-11-07
JP2003377421A JP3970236B2 (ja) 2002-11-07 2003-11-06 パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004169183A JP2004169183A (ja) 2004-06-17
JP3970236B2 true JP3970236B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=32716042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003377421A Expired - Fee Related JP3970236B2 (ja) 2002-11-07 2003-11-06 パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3970236B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006137332A1 (ja) * 2005-06-20 2006-12-28 Mie Tlo Co., Ltd. ダイヤモンドライクカーボン膜の製造方法
US20110033365A1 (en) 2006-12-07 2011-02-10 National University Corporation Nagoya University Process and apparatus for producing carbonaceous film
JP2014162955A (ja) * 2013-02-25 2014-09-08 Canon Inc 堆積膜形成方法、電子写真感光体の製造方法および堆積膜形成装置
JP6070507B2 (ja) * 2013-10-23 2017-02-01 株式会社デンソー 硬質膜被覆刃具の製造方法
CN111005009A (zh) * 2019-12-30 2020-04-14 长春理工大学 一种低应力散热层半导体衬底及其制备方法和应用
CN115627457B (zh) * 2022-08-22 2024-04-23 哈尔滨工业大学 一种铜表面dlc膜层制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004169183A (ja) 2004-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5694642B2 (ja) パルスアーク供給源を作動させる方法
JP4431386B2 (ja) ナノ構造の機能層を形成する方法、およびこれにより作製される被覆層
JP4849759B2 (ja) 滑り特性が向上したdlc層システム、およびそのような層システムを生成するためのプロセス
EP2009135B1 (en) Base substrate for epitaxial diamond film, method for manufacturing the base substrate for epitaxial diamond film, epitaxial diamond film manufactured by the base substrate for epitaxial diamond film, and method for manufacturing the epitaxial diamond film
JP4704453B2 (ja) ダイヤモンドライクカーボン製造装置、製造方法及び工業製品
EP0327110B1 (en) Method for producing sintered hard metal with diamond film
AU736551B2 (en) A method of coating edges with diamond-like carbon
WO2003106030A1 (en) Selective area growth of aligned carbon nanotubes on a modified catalytic surface
EP1188847B1 (en) Plasma processing method and apparatus
Zhao et al. Characteristics of high-purity Cu thin films deposited on polyimide by radio-frequency Ar/H2 atmospheric-pressure plasma jet
JP3970236B2 (ja) パルス放電によるプラズマ化学気相成長法およびプラズマ化学気相成長装置
EP3239349A1 (en) Wear resistant tetrahedral diamond like carbon layer and method of production thereof
Sajjad et al. Effect of substrate temperature in the synthesis of BN nanostructures
JP2011099137A (ja) ダイヤモンド膜の形成方法
Ohtake et al. Synthesis of diamond-like carbon films by nanopulse plasma chemical vapor deposition at subatmospheric pressure
JPH10167888A (ja) ダイヤモンド合成方法
US20050233089A1 (en) Sputter method or device for the production of natural voltage optimized coatings
JPH0536847A (ja) ダイヤモンド多層配線基板の製造方法
JP2002141292A (ja) シリコン系薄膜の製造法
Talukder et al. Pulsed direct-current reactive sputtering of high Young's modulus [002] oriented aluminum nitride thin films
Mitu et al. Carbon material deposition by remote RF plasma beam
Mariano et al. Glass-like carbon films grown by pulsed hollow cathode via plasma immersion ion implantation and deposition
Noda et al. Deposition of diamond film on silicon and quartz substrates located near DC plasma
JPH0518794B2 (ja)
JP3986177B2 (ja) シリコンカーバイド結晶膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040810

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070515

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070605

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees