JP3969721B2 - 削孔位置検出方法およびこれに用いる削孔装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、適宜方向を変化させながら削孔を行うのに好適な削孔装置および削孔位置検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、適宜削孔方向制御を行う削孔方法(以下、方向制御削孔ともいう)を利用して、例えば既設構造物の周囲の地表面から下部地盤に対して曲がり可能な樹脂製管を地中に建て込む工法が開発され、注目されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【0003】
かかる方向制御削孔においては、曲がり可能な削孔軸の先端に、軸心方向に対して傾斜した平坦な受圧面を有するテーパービットを取り付け、曲線的に削孔する場合には削孔軸に推進力のみを与えることで、その先端のテーパービットの受圧面にかかる力により推進方向を変化させながら削孔軸を地中に曲線推進させる。他方、直線的に削孔する場合には、削孔軸に回転力と推進力の両方を与え、受圧面にかかる力の方向を回転軸心周りの変化により打ち消すことで、直線的な削孔を可能にしている。
【特許文献1】
特開2002−194990号公報
【特許文献2】
特開平8−120661号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、削孔軸の先端部が地中の何処にあるのか、またどのような孔が形成されていのかを確認することは施工管理上非常に重要であるにもかかわらず、ジャイロ等のセンサを用いることができるといった程度の抽象的な提案しかなされておらず、解決すべき課題が残されている。
【0005】
例えば、削孔軸にジャイロ等の角速度検出装置を設ける場合、その検出装置は簡素・コンパクトなほうが望ましいが、削孔軸が回転することを考えると安価且つコンパクトな相対角速度を検出する装置を用い難い点や、検出装置の用い方によっては複雑な演算が必要になる点等が問題として残されている。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、簡素・コンパクトな角速度検出装置を用いることができ、検出結果から容易な演算方法で削孔位置を算出できる、削孔装置および削孔位置検出方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
地中に曲線的に挿入可能である曲り可能な削孔軸と、この削孔軸を回転及び推進させる回転推進手段とを有し、削孔軸の先端部に、水平方向の角速度を検出する角速度検出装置と、絶対的な傾斜角を検出する傾斜角検出装置とを設けてなる削孔装置を用い、
所定削孔区間の削孔を行った後に削孔軸を引き戻し、削孔軸を回転させずにその先端部を前記削孔区間の基端位置から先端位置まで推進させつつ、前記角速度検出装置により角速度を検出し、検出した角速度を積分することにより前記削孔区間における削孔軸先端部の方位角変化量を求め、
他方で、前記削孔軸の先端部を前記削孔区間の先端に位置させた状態で前記傾斜角検出装置により、前記削孔区間の先端における削孔軸先端部の傾斜角を検出し、
前記方位角変化量と、前記絶対角検出装置により検出される傾斜角とを用いて、前記削孔区間における基端に対する先端の位置を算出する、
ことを特徴とする削孔位置検出方法。
【0008】
(作用効果)
角速度検出装置を用いる場合、これを取り付けた削孔軸が回転すると方位角変化量を求めることができない。これを検出装置の付加および演算の複雑化なくして回避するのが本請求項1記載の発明であり、ポイントは、削孔軸を回転させずに推進させつつ削孔区間内の角速度を検出し、これを積分して方位角変化量を求めること、換言すれば少なくとも方位角変化量に係る計測については削孔後に別途行うことにある。これによって、安価かつコンパクトな角速度検出装置のみでも、削孔軸先端部が区間先端から終端まで移動した際の方位角変化量を容易に検出できる。
【0009】
そして、方位角変化量が求まれば、これと絶対角検出装置により検出される絶対的な傾斜角とを用いて、公知の坑跡計算方法により削孔区間の基端を基準とした当該区間の先端の位置を容易に算出できる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
所定削孔区間の削孔および検出を複数回繰り返しつつ削孔軸を地中に段階的に進行させるとともに、全検出結果を合算することにより地中挿入位置に対する孔先端部の現在位置を算出する、請求項1記載の削孔位置検出方法。
【0011】
(作用効果)
本請求項6記載のように、複数回に分けて削孔および検出を行い、全検出結果を合算する手法を採ることにより、深い範囲の削孔を行う場合にも対応できる。
【0012】
<請求項3記載の発明>
地中に曲線的に挿入可能である曲り可能な削孔軸と、この削孔軸を回転及び推進させる回転推進手段とを有する削孔装置であって、
削孔軸の先端部に、水平方向の角速度を検出する角速度検出装置と、絶対的な傾斜角を検出する傾斜角検出装置とを設け、かつ
前記角速度検出装置により検出される角速度を積分することにより削孔軸先端部の方位角変化量を求める手段と、
前記方位角変化量と、前記絶対角検出装置により検出される傾斜角およびロール角の各絶対値とを用いて、削孔により形成した孔の先端部の位置を算出する手段とを備えた、
ことを特徴とする削孔装置。
【0013】
(作用効果)
かかる構成を具備することにより、本発明の削孔位置検出が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
図1は、本発明による施工状態を概略的に示したものであり、主に、削孔軸5と、その先端に対して取り付けられたテーパービット6と、削孔軸5を回転及び推進させる図示しない回転推進装置とから構成された削孔装置が示されている。
【0015】
本発明の削孔軸5は、曲り可能な材料、例えば鋼管等により形成でき、軸径は基本的に任意であるが、5〜20cmの範囲のものが好適である。本発明では削孔軸先端部50Fに検出装置を内蔵するため、検出装置の設置部分は実質的に曲がらない(内部の検出装置が破壊等により機能しなくならない)ように構成することが望まれる。このように曲り易さに差異をもたせるために、部分的に材質を異ならしめたり、軸径を異ならしめたりすることができる。先端部50Fの長さは、適宜定めることができるが、10〜50cm程度が好ましい。
【0016】
より好ましい形態では、削孔軸5は、例えば挿入深さに応じて単位軸(図示せず)を複数直列接続して形成するようになし、先頭の単位軸を基端側の単位軸よりも曲がり難いものとし、その内部に検出装置を設けることができる。この場合、単位軸の一端部に雌ネジ部を及び他端部に雄ネジ部をそれぞれ形成し、単位軸相互の連結を図ることができる。
【0017】
削孔軸5の先端には、軸心方向に対して傾斜した受圧面を有するテーパービット6が取り付けられている。テーパービット6としては、例えば図2にも示すように、略円柱状をなし、頭部に軸心方向D1に対して傾斜した平坦面よりなる受圧面60を有するものとできる。テーパービット6は、鋳造等により製造できる。
【0018】
かかるテーパービット6を用いると、削孔軸5を、その方向を制御しながら地中に推進させることができる。より詳細に説明すると、曲線推進を行うときには図2(a)に示すように、テーパービット6の受圧面60の先端が回転軸心に対して曲げたい側に位置する状態で削孔軸5の回転を止め、更にそのままの状態で回転推進装置により削孔軸5に推進力のみを与える。この際、テーパービット6の受圧面60にかかる力によりテーパービット6の推進方向が徐々に変化し、削孔軸5を地中に曲線的に推進させることができる。換言すれば、テーパービット6は受圧面60で受ける力を逃がすように脇へ逸れつつ進行される。なお、この曲線推進は三次元曲線的な推進が可能であり、図示例では鉛直面方向において曲げているが、水平面方向に曲げることもできる。これに対して、直線推進を行うときには図2(b)に示すように、削孔軸5に回転力および推進力を与え、削孔軸5を先端のテーパービット6により削孔しながら地中に推進させる。この際、テーパービット6の先端は受圧面60を有しているものの軸心周りに回転しながら前進するので受圧面60による受圧の影響は打ち消され、直線的に削孔することが可能である。
【0019】
かくして、例えば図1に示すように、削孔軸5を地表面から目標層までは弧状に進行させ、その後は目標層内を水平方向に沿って進行させることができる。かかる方向制御推進は、削孔軸5を地中内位置まで挿入する場合の他、挿入位置から離間した地上部または予め設けた立坑内まで貫くように施工する場合にも適用できる。
【0020】
なお、単位軸連結構造の削孔軸5を用いる場合には、必要に応じて単位軸を継ぎ足しながら削孔軸を地中に挿入する。
【0021】
他方、以上の方向制御推進は、地盤内の水を排水するための集水管や排水管、もしくは下水や、水道水、ガス、各種ケーブル等のための地中埋設管を非開削で設置する場合の削孔や、薬液注入に際しての削孔に応用できる。
【0022】
<本発明のポイント>
そしてかかる方向制御に際して、形成孔Hの先端(または削孔軸5先端部)の現在位置や、姿勢、軌道等を知るために本発明の位置検出技術を用いることができる。すなわち、上記装置に本発明を適用する場合、図3に示すように、削孔軸5の先端部に、水平方向の相対的な方位角を検出する角速度検出装置ADと、絶対的な傾斜角を検出する傾斜角検出装置BDとを設ける。
【0023】
(検出装置について)
本発明の傾斜角検出装置BDとしては、三軸静加速度センサ(相互に直交するX軸・Y軸・Z軸方向の重力加速度を検出する)を用いることができ、検出される各軸方向の重力加速度を次式に代入することにより傾斜角を求めることができる。また演算の簡素化のために、傾斜角検出装置BDの基準軸を削孔軸5の軸心(回転中心軸)に合わせるのが好ましいことはいうまでもない。
【0024】
本発明の角速度検出装置ADとしては、レートジャイロ等の各種ジャイロ等を用いた少なくとも1軸の角速度を検出する角速度検出装置を好適に用いることができる。また演算の簡素化のために、傾斜角検出装置BDの基準軸と角速度検出装置ADの基準軸とを合わせるのが好ましいことはいうまでもない。
【0025】
他方、角速度センサは、自己ドリフトが積分演算されることによる計測誤差の経時的増大が問題となる。そこで、これを回避するために、本出願人らによる特願2002−171748号記載の自己ドリフト抑制技術を利用できる。より詳細には、図4に示すように、角速度検出センサ82を、演算装置83と、ドリフト無効化装置84と組合せた検出装置81を用いる。角速度検出センサ82からは、検出された角速度値rが演算装置83に対して順次出力されており、演算装置83では順次角速度値rが積分演算され、角度変化値dが順次算出される。この角度変化値dは演算装置83から本発明のドリフト無効化装置84に対して順次出力される。
【0026】
ドリフト無効化装置84では、演算装置83から入力された角度変化値dが順次積算され、合計角度変化量Dtが求められ、この合計角度変化量Dtが、例えばコンピュータ等の外部装置に対して順次出力される。特徴的には、このドリフト無効化装置84は予め無効入力間隔(本発明の所定時間に相当)および角度変化閾値(本発明の所定閾値に相当)を設定できるようになっており、これらによって、積算して良い角度変化値と、積算しない角度変化値(すなわち無効値)とを判別し、前者のみの積算結果を出力するようになっている。
【0027】
より詳細には図5に示すように、ドリフト無効化装置84は、角度変化値dの入力間隔tを計測し、これと予め設定された無効入力間隔txとを比較し、角度変化値dの入力間隔tが無効入力間隔txよりも長い場合には、次に、入力された角度変化値dを予め設定された無効変化閾値dxと比較する。
【0028】
その結果、角度変化値dが閾値dxより大きいときにのみ、有効値として取り扱う。これ以外の場合、角度変化値dの入力間隔tが無効入力間隔tx以下のとき、或いは角度変化値dの入力間隔tが無効入力間隔txよりも長いが、角度変化値dが閾値dx以下のときには、この角度変化値dを積算せずに次の角度変化値の入力待ちとなる。
【0029】
これに対して、有効値と判別された角度変化値dは、それ以前の有効値に積算され、合計角度変化量Dtが算出される。そして、この角度変化量Dtがドリフト無効化装置84から外部装置等に出力される。
【0030】
かくして、実際には角速度検出センサ82が静止状態にあるにも関わらず、角速度検出センサ82の正常範囲の出力変動等が積分演算されてしまうような状態のみを判別し、この状態に合致するような角度変化値dを無効値として合計角度変化量Dtの積算に算入しないようにすることができ、正確な計測が可能となるのである。しかも、この形態によれば、積分演算までを含むような既存の角速度検出センサの構成をそのまま使用しながら、これに本発明のドリフト無効化機能を追加するだけで、正確な計測が可能となるのである。よって、かかる手法によれば、ローコスト、簡素、コンパクトでありながらも、正確な計測が可能となる。本発明のドリフト無効化機能の効果の一例を図6に示す。
【0031】
さらにかかる手法は、角速度検出センサ82の検出角速度値rを積分演算して得られる角度変化値dを更に積算することを前提とするものであるため、後述するように、ある程度長時間(例:5分以上)の時間間隔をおいて合計角度変化量Dtを計測するような場合に特に好適である。
【0032】
他方、角速度センサを取り付けた削孔軸5が回転や捩れ等によりローリングしてしまうと、削孔軸の水平方向の方位角を計測するのは困難となる。図7〜図9は、これを回避するための好適な例を示している。この例では、削孔軸5の先端部(テーパービット6の基端側近接位置)内に筒状ケース90が同軸的に配置固定されており、このケース90内に軸心方向に所定の間隔をおいて軸受け91,91が設けられ、これら軸受け91,91間に中空円筒状支持体92が配され、支持体前後に設けられた軸部93,93が軸受け91,91によってそれぞれ軸支されている。そして支持体92内には図示しない角速度センサ及び信号送受装置等が内蔵されている。よって、支持体92に内蔵された角速度センサは主軸部50Pと同軸をなす軸心周りに回転自由に支持される。さらに支持体92の前後軸部93,93には、その軸心から偏心した位置に重心を有する振子錘94,94が取り付けられており、この振子錘94の重心が重力により鉛直真下を向く姿勢を維持することによって、これに一体化された支持体92および内部の角速度センサは常に一定の姿勢に保持される。
【0033】
また本実施形態では、支持体92の後側軸部93は軸受け91の後方に突出されており、この突端がスリップリング95に連結されている。後側軸部93内には図示しない信号線が配されており、この内部信号線の先端は支持体92内の図示しない信号送受装置に接続されるとともに、基端はスリップリング95を介して、主軸部50P内に配された主信号線96と電気的に接続される。この主信号線96は、主軸部50Pの基端部から軸外に導出され、後述する管理装置等の外部制御装置に接続される(図示せず)。かくして、軸心周りに回転自由に支持された角速度センサに対する電力供給および信号送受を行うことができる。なお、この構成は、有線信号伝送を行う場合を想定しているが、無線により信号伝送を行うこともでき、その場合にはスリップリング95や信号線96等の有線伝送関連の構成は省略することができる。またこの場合における角速度センサ等の電力は充電池により供給するように構成できる。
【0034】
かくして、削孔軸5が曲線挿入により捩れたり、回転したりしても、角速度センサは削孔軸5に対して回転し一定の姿勢を維持し、ローリングしなくなる。よって補正用のセンサは不要であり、また補正による検出精度の低下も実質的になくなる。また本実施形態のように、支持体92の前後に振子錘94,94を設ける構成とすると、幅の狭い削孔軸5内への設置が容易であるという利点もある。
【0035】
なお、この構成を採用する場合、角速度センサとともに、上記傾斜角検出装置BDもケース90内に設けられる(図示せず)。
【0036】
(位置検出)
図10に、本発明に係る削孔位置検出方法の施工要領例を示す。符号Hは削孔により形成した孔を表している。本例では、先ず同図(A)に示すように、削孔軸5を地表面に臨ませ、同図(B)に示すように所定区間、例えば単位軸の長さ分の深さまで削孔した後に、同図(C)に示すように削孔軸5を引き戻し、その先端部を削孔区間の基端に位置させる。以下、この形成孔の区間を区別のため第1区間という。この状態から、同図(D)に示すようにそのまま削孔軸5を回転させずに、削孔軸5の先端部を第1区間の先端まで推進させるとともに、角速度センサにより角速度を検出する。そして検出した角速度を積分することにより当該第1区間における主軸部50P先端部の水平方向の方位角変化量Wiを検出する。
【0037】
またその一方で、削孔軸5の先端部を第1区間の先端に位置させた状態で傾斜角検出装置BDにより、第1区間の先端における削孔軸先端部の傾斜角を検出する。この傾斜角の検出は削孔直後に削孔軸の引き戻しに先立って行う(すなわち図10(B)の状態で行う)こともできるが、区間先端位置における方位角の検出とともに行うほうがより好ましい。なお、第1区間の基端位置は原点となるため、傾斜角の検出は不要である。
【0038】
以降は、図10(E)〜(G)に示すように、必要に応じて削孔軸5を継ぎ足しながら次の区間の削孔・引き戻し・検出を行うことを繰り返し、計画深さまで削孔を行う。また、図10は直線的な削孔を行う場合を示しているが、曲線的な削孔を行う場合には、前述のとおり、削孔時に削孔軸5を回転させずに推進させることはいうまでもない。
【0039】
他方、好適には各区間の検出が完了した段階で、検出値に基づいて削孔区間における基端に対する先端の位置が算出される。計画深さまで削孔を行った後に、各区間の先端位置を算出することもできるが、この場合、計画通りに削孔しえたか否かは判明するものの、削孔途中で各区間の先端位置を把握して削孔経路を修正するといった管理までは行うことはできないので、あまり好適ではない。
【0040】
区間先端位置の算出は、例えば次の要領で行うことができる。いま、図11に示す状態、すなわちX軸、Y軸およびZ軸(鉛直方向)からなる三次元直交座標の原点位置から削孔を行い、i番目の区間の削孔および検出を終えた状態を考えると、その区間先端のi位置の座標は、公知の坑跡計算方法を利用することにより算出でき、例えば接線法を用いると下記式(2)のようになる。
【0041】
ここで、Siは区間基端(前回測定点)i−1と区間先端(今回測定点)との間の距離により定まる検出区間長であり、削孔軸5を挿入する装置にストローク計等を取り付けること等により計測することができるものである。またPiは、削孔軸5のi位置のZ軸方向に対する傾斜角(ここでは0°(鉛直上)〜180°(鉛直下)としている)であり、傾斜角検出装置BDにより計測されるものである。またWiは、基端検出位置i−1に対する先端検出位置iの水平方向の方位角変化量であり、角速度検出装置ADにより計測されるものである。さらに、Xi,Yi,Ziはi位置のX座標、Y座標およびZ座標であり、Xi-1,Yi-1,Zi-1はi−1位置のX座標、Y座標およびZ座標である。
【0042】
かくして、各区間の先端位置iの座標を求めることができる。以上に説明した位置検出原理からも判るように、削孔軸5の位置検出を行うに際しては、例えば削孔軸5の地中挿入位置等の基準位置において、座標値、角速度検出装置ADおよび傾斜角検出装置BDの初期設定(0設定)を行い、しかる後に削孔軸5の挿入過程において適宜上述の検出を行うことにより、削孔軸5の現位置の座標値(基準位置に対する位置)を正確に計測することができる。そして、上記複数の座標位置を合わせれば、詳細な削孔経路を把握することができる。
【0043】
このように、削孔と検出とを別工程で行うことにより正確な位置検出が可能となる。また、安価かつコンパクトな角速度検出装置ADを用いても、削孔軸先端部50Fが区間先端から終端まで移動した際の方位角変化量Wiを容易に検出できるようになり、これと傾斜角検出装置BDにより検出される絶対的な傾斜角Piとを用いて、公知の坑跡計算方法により削孔区間の基端を基準とした当該区間の先端の位置を容易に算出できる。
【0044】
他方、上記のようにして検出された先端位置座標は、例えば本出願人による特願2001−273334号記載の管理装置によって作業員が位置を把握できる形態、例えば座標値、立体的または平面的な経路図等としてディスプレイ装置や印刷装置等の出力装置へ出力したり、単に座標値や経路図等を表示装置に表示或いは印刷するといった簡易な形態で出力したりすることもできる。
【0045】
<その他>
(イ)上記装置例においては、図示例のテーパービット6に限らず、例えば屈曲軸状のテーパービットや円弧軸状のテーパービットも、その周面が軸心方向に対して傾斜した受圧面をなすので利用できる。
【0046】
(ロ)本発明では、上記の角速度検出装置ADおよび傾斜角検出装置BD以外に、他の検出装置を組み合わせて位置検出することも可能である。例えば、削孔軸5の先端部内に電磁波発信機を設け地上側からこの電磁波を受信して軸先端部の位置を計測したり、削孔軸5の先端ビット6の掘削により発生する弾性波を地上で計測して軸先端部の位置を計測したりすることができる。
【0047】
(ハ)上記例では、検出装置を主軸部に対して回転させて一定の姿勢を維持することにより、削孔軸のローリングの影響を回避しているが、これに代えて、例えば、削孔軸の回転方向位置に基準(目印)を設ける等により、検出装置の鉛直基準軸が判るようにしておき、検出時において検出装置の鉛直基準を鉛直方向に合わせるようにすることもできる。ただし、この場合作業が煩雑になったり、正確な計測を行えないおそれがある。
【0048】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、簡素・コンパクトな角速度検出装置を用いることができ、検出結果から容易な演算方法で削孔位置を正確に算出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】削孔状態概要図である。
【図2】方向制御の説明図である。
【図3】本発明に係る削孔軸の概要図である。
【図4】ドリフト抑制のための装置構成図である。
【図5】ドリフト無効化処理のフローである。
【図6】実験結果を示すグラフである。
【図7】角速度センサの好適な配設例を示す縦断面図である。
【図8】その要部斜視図である。
【図9】その要部側面図である。
【図10】本発明に係る削孔要領を示す断面図である。
【図11】本発明に係る位置検出原理の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
5…削孔軸、6…テーパービット、50F…削孔軸先端部、50P…主軸部、AD…角速度検出装置、BD…傾斜角検出装置。
Claims (3)
- 地中に曲線的に挿入可能である曲り可能な削孔軸と、この削孔軸を回転及び推進させる回転推進手段とを有し、削孔軸の先端部に、水平方向の角速度を検出する角速度検出装置と、絶対的な傾斜角を検出する傾斜角検出装置とを設けてなる削孔装置を用い、
所定削孔区間の削孔を行った後に削孔軸を引き戻し、削孔軸を回転させずにその先端部を前記削孔区間の基端位置から先端位置まで推進させつつ、前記角速度検出装置により角速度を検出し、検出した角速度を積分することにより前記削孔区間における削孔軸先端部の方位角変化量を求め、
他方で、前記削孔軸の先端部を前記削孔区間の先端に位置させた状態で前記傾斜角検出装置により、前記削孔区間の先端における削孔軸先端部の傾斜角を検出し、
前記方位角変化量と、前記絶対角検出装置により検出される傾斜角とを用いて、前記削孔区間における基端に対する先端の位置を算出する、
ことを特徴とする削孔位置検出方法。 - 所定削孔区間の削孔および検出を複数回繰り返しつつ削孔軸を地中に段階的に進行させるとともに、全検出結果を合算することにより地中挿入位置に対する孔先端部の現在位置を算出する、請求項1記載の削孔位置検出方法。
- 地中に曲線的に挿入可能である曲り可能な削孔軸と、この削孔軸を回転及び推進させる回転推進手段とを有する削孔装置であって、
削孔軸の先端部に、水平方向の角速度を検出する角速度検出装置と、絶対的な傾斜角を検出する傾斜角検出装置とを設け、かつ
前記角速度検出装置により検出される角速度を積分することにより削孔軸先端部の方位角変化量を求める手段と、
前記方位角変化量と、前記絶対角検出装置により検出される傾斜角およびロール角の各絶対値とを用いて、削孔により形成した孔の先端部の位置を算出する手段とを備えた、
ことを特徴とする削孔装置。
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