JP4317900B2 - 地下埋設管路配設状況表示システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水道工事等の地下に埋設される管路の配設状況を正確に測定し、三次元的に表示することのできる地下埋設管路配設状況表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、各家庭から排出される生活廃水を道路の側溝に流しており、電力線も電柱に架設され、この電力線用の電柱を利用して電話線を架設しており、地下に埋設するものは上水道管くらいで、地下埋設物が少なく、新たに地下に埋設するものがあっても上水道の管路に注意するくらいで地下を掘削するにも大して気を使う必要がなかった。
【0003】
ところが、近年、住宅の大都市集中化現象と大都市周辺における人口増加にともない、住宅需要の飛躍的な拡大が図られている。この住宅需要の拡大は、宅地の乱開発を助長し、宅地の狭小化現象を現出しており、大都市周辺における住宅事情は、切迫した状態となっている。このような宅地の急増は、下水道の整備を余儀無くし、従来、道路の側溝に流していた各家庭から排出される生活廃水が、道路上の往来が激しい点及び衛生の点を考慮して、一か所に集められ、一括して輸送する方法が採られ、この生活廃水輸送用の下水道管等の配管は、地中に埋設する方法が取られてるようになっている。
このような背景から、現在では首都圏における下水道の普及率も100%既成を達成し、普及を中心とした第一世代下水道の整備が終りを告げたが、これまでに築いてきた管渠の維持管理がこれまで以上に重要視されている。
【0004】
地下埋設物は、下水道管だけに限られるものではなく、電力ケーブルの地下埋設、電話線の地下埋設、ガス管の地下埋設、上水道管の地下埋設、さらには地下鉄の洞道等、地下に埋設されるものは年々多くなっている。このような管路、洞道等の埋設は、他人の土地の地下を配設する場合、その土地の所有権等の諸権利関係の問題から難しい問題を含んでいるため、地上の空間及び地下を自由に使用できる公共道路の上下が使用され、多く公共道路の地下に埋設することが行われている。
【0005】
ところが、公共道路の幅は無限にあるわけではなく、特に都市圏においては非常に限られたものとなっている。このため使用電力の増大、使用電話回線の増大、使用ガス量の増大、使用水道量の増大、地下鉄路線の拡大等から各埋設される管路、洞道等の径が拡大し、地下、特に公共道路の地下埋設可能面積が狭小化しつつある。しかも、公共道路の地下は、幅が公共道路の幅の範囲と限られているため、勢い深さ方向に乱設される傾向にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状態において、新たに下水道の管路を埋設、電力ケーブルの地下埋設、電話線の地下埋設、ガス管の地下埋設、上水道管の地下埋設のための掘削工事を行ったり、あるいはこれら管路の埋め代えを行ったり、地下鉄の洞道の布設工事を行うような場合には、道路上においても、埋設物が輻輳している中にさらに新たな占用物件が加わったり、占用物件の条件が変わったりするため、現在使用されている幹線の主要枝線の正確な占用位置が管理者より要求されたり、道路の拡幅などによって道路形態が変わって占用位置の特定が困難な管渠の占用位置を正確に、かつ明確に把握しておかないと、新たに布設する管路の作業の際、既に埋設されている管路を破壊してしまう恐れがある。
【0007】
ところが、下水道の管路の埋設工事を行う業者、電力ケーブルの地下埋設工事を行う業者、電話線の地下埋設工事を行う業者、ガス管の地下埋設工事を行う業者、上水道管の地下埋設工事を行う業者、地下鉄の洞道の布設工事を行うを行う業者は全て異なった業者で、それぞれが独立して施工工事を行っている。このため、各業者は、自らの工事を行った管路の埋設位置については、正確に把握しているが、他の業者の管路の埋設位置については把握しておらず、管路の埋設工事を行う場合、埋設作業を行う業者が当該工事を行う箇所で埋設工事を行った他の業者を集めて埋設位置の確認を行っている。
【0008】
これら道路下の占用位置の測定については、
▲1▼測量による方法
▲2▼ボーリング探査による方法
等が用いられているが、下水道管渠内は、▲1▼の測量による方法にあっては、常時汚水が流下しており、入孔間が長いスパンや曲線での測量が、水中に基準点を設置して機械を盛り替えることが困難であるため適しておらず、また、▲2▼のボーリング探査による方法にあっては、下水道管の埋設位置が深くなるほど精度が低下し、要求される精度を得るのが難しく正確な占用位置の測定を行うことが難しいという問題を有している。
【0009】
そこで近年では、これらの管路の配設状態の測定について、特開平8−178653号公報、特開平9−257450号公報に示す如く、管径の小さいものについて光ファイバジャイロ(OFG)センサを2軸(X−Y,X−Z平面)、または、3軸(X−Y,X−Z,Y−Z平面)組み合わせることにより三次元の角度変化を検出し、三次元的に測定することが知られている。これらの方法によって埋設した管路の位置を確実に把握している業者もあるが、少数の業者だけで、かつ、自社の工事を行った分の把握しかしていない。
【0010】
本発明の目的は、下水道工事等の地下に新たに管路を埋設する工事を行うに当たって、既に埋設されている各種管路の配管状況を正確に、かつ明確に三次元的に表現し、一目で各種管路の配管状況が把握できるようにしようということにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に記載の地下埋設管路配設状況表示システムは、予め径の大きさが明確になっている管路内に台車を設置し、この台車の測定開始点となる走行測定基準位置を三次元座標位置上で特定し、管路内を台車を走行させ、この台車が管路内における基準走行位置を走行するようにディスプレイの表示に基づいて走行方向を修正して走行せしめ、台車が測定開始点から一定の移動距離毎に測定基準位置からのX−Y−Z方向の変位量を求め、変位量に基づいて台車の移動した各位置における測定点の三次元座標位置を得、これら各位置における測定点の三次元座標位置をプロットし、各三次元座標を直線で結ぶことにより該直線上に管路を形成し、地中に埋設された地下埋設管路配設状況をディスプレイ上に表示するようにしたものである。
このように構成することにより本願請求項1に記載の発明によると、下水道工事等の地下に新たに管路を埋設する工事を行うに当たって、管路内を人が台車を押して走行させても、この管路の埋設位置を正確に把握でき、この既に埋設されている各種管路の配管状況を正確に、かつ明確に三次元的に表現し、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0014】
本願請求項2に記載の地下埋設管路配設状況表示システムは、台車に、台車走行中に管路に接続される接続管路の位置を検出する接続管路接続箇所検出手段を設けたものである。
このように構成することにより本願請求項2に記載の発明によると、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、この既に埋設されている各種管路の配管に接続される枝管路の状況をも正確に把握し、かつ明確に三次元的に表現することができ、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0015】
本願請求項3に記載の地下埋設管路配設状況表示システムは、台車に、台車走行中に管路内における破損状況を逐次検出する管路内破損状況検出手段を設けたものである。
このように構成することにより本願請求項3に記載の発明によると、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、この既に埋設されている各種管路の配管の内部破損状況を正確に把握し、かつ明確に三次元的に表現することができ、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0016】
本願請求項4に記載の地下埋設管路配設状況表示システムは、台車移動点の三次元座標位置の検出を、3軸ジャイロスコープを用いて行うようにしたものである。
このように構成することにより本願請求項4に記載の発明によると、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、既に埋設されている各種管路の配管状況も正確に把握することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1には、本発明に係る地下埋設管路配設状況表示システムの一実施の形態が示されている。この図示地下埋設管路配設状況表示システムは、図2に示す如く管路1内を矢印Aに示す方向に走行する台車2に搭載されるものである。そして、この台車2に搭載される地下埋設管路配設状況表示システムは、1軸の光ファイバジャイロを利用したものである。
【0018】
図において、3、4、5は超音波変位センサで、台車2の前方左に超音波変位センサ3が、台車2の後方左に超音波変位センサ4が、台車2の後方右に超音波変位センサ5がそれぞれ設けられている。この台車2は、管路1が直径800mm未満のような小径の場合は、自走させるが、管路1の直径が800mm以上にも及ぶものについては、台車2を人が押して走行させてもよい。この台車2を人が押して走行させる場合には、逐次、超音波変位センサ3、4、5によって、台車2の向きをチェックすることができ、超音波変位センサ4、5によって、台車2のずれ量をチェックし、補正することができ、ずれを起こすことなく管路1の中心線に沿って走行させることができる。
超音波変位センサ3、4、5は、送受信型のセンサで、超音波を発信し、この発信した超音波が壁面に衝突して反射して帰ってきた超音波を受信することによって壁面までの距離を求めるもので、超音波の発信から超音波の受信までの時間によって超音波変位センサ3、4、5から壁面までの距離を演算して求めるものである。
【0019】
この超音波変位センサ3と超音波変位センサ4とによって、図3に示す如く、管路1の中心線6に対する台車2の中心線7との成す角度(変位角)α1 を求めるている。変位角α1 は、
α1 =tan-1(d3 /d0 )
d3 =d1 −d2
但)d0 :超音波変位センサ3と超音波変位センサ4との距離
d1 :超音波変位センサ3で計測された左側壁面8から台車2までの距離
d2 :超音波変位センサ4で計測された左側壁面8から台車2までの距離
d3 :超音波変位センサ3で計測された左側壁面8から台車2までの距離と超音波変位センサ4で計測された左側壁面8から台車2までの距離の差の距離
で求まる。この変位角α1 によって台車2の向きが分かる。
【0020】
また、超音波変位センサ4と超音波変位センサ5とによって、図4に示す如く、管路2の中心線6に対する台車2のずれ量(位置変位)ΔDを求めるている。この位置変位ΔDは、
ΔD=(d4 −d5 )
但)d4 :超音波変位センサ4で計測された左側壁面8から台車2までの距離
d5 :超音波変位センサ5で計測された右側壁面9から台車2までの距離
で求まる。この位置変位ΔDによって台車2の中心線6からの左右のずれ量が分かる。図4においては、台車2は、中心線6からの右側にΔDの距離分だけずれている。
【0021】
10はX軸傾斜計、11はY軸傾斜計で、X軸傾斜計10は、台車2が走行した場合、台車2の走行方向(Z軸)に対して水平な面上で、走行方向(Z軸)に対してどの位傾斜しているかを計測するもので、Y軸傾斜計11は、台車2が走行した場合、台車2の走行方向(Z軸)に垂直な面上で、走行方向(Z軸)に対してどの位傾斜しているかを計測するもので、これによって管路1の走行方向に対して左右にどれくらい屈曲あるいは蛇行しているかを測定する。このX軸傾斜計10と、Y軸傾斜計11によって、管路1の左右方向(X−Y方向)の曲りを測定できる。
【0022】
12は光ファイバジャイロセンサで、管路1の走行方向に対してどれくらい屈曲あるいは蛇行しているか、すなわち、管路1の進行方向(Z軸方向)の変位を測定する。
13は、ロータリエンコーダで、台車2の走行距離を正確に測定するもので、このロータリエンコーダ13と、X軸傾斜計10と、Y軸傾斜計11と、光ファイバジャイロ12によって、管路1の、長さ方向に対するX−Y−Z方向(三次元空間における)の変化が測定される。
【0023】
14は、コンピュータで、例えば、パーソナルコンピュータである。このコンピュータ14は、基本的には、入出力ポート(I/Oポート)と、CPUと、メモリとによって構成されている。すなわち、このコンピュータ14は、A/D変換ボード15と、RS232Cボード16と、DI/Oボード17と、前方左側壁面距離処理部18と、後方左側壁面距離処理部19と、後方右側壁面距離処理部20と、ロール角処理部21と、ピッチ角処理部22と、管路中心線角度処理部23と、移動距離変換処理部24と、進行方向角度処理部25と、進行方向変位処理部26と、時系列計測データ27と、補正点座標入力処理部28と、位置補正処理部29と、管路中心位置データ30と、制御部(図示せず)、プログラム管理部(図示せず)等を供えて、各ハードウェアを処理するとともに、各管理部をマルチタスク処理で起動して誘導画面の表示を行いながらデータ収集を行う。
【0024】
15は、A/D変換ボードで、超音波変位センサ3、4、5からの出力アナログ電圧信号をデジタル信号に変換して、X軸傾斜計10とY軸傾斜計11からの出力アナログ信号をデジタル信号に変換して演算処理部に送出するものである。また、16は、RS232Cボードで、光ファイバジャイロセンサ12の出力を演算処理部に送出するものである。さらに、17はDI/Oボード(デジタル入出力ボード)で、ロータリエンコーダ13のパルス出力をデジタル値のまま演算処理部に送出するものである。
これらA/D変換ボード15、RS232Cボード16、DI/Oボード17が入出力ポートに相当する。
【0025】
18は前方左側壁面距離処理部で、この前方左側壁面距離処理部18は、超音波変位センサ3から超音波を発信したときから壁面に反射して帰ってきた超音波を受信したときまでの計測時間を入力し、この計測時間から超音波変位センサ3から前方左側壁面までの距離を演算し、この演算結果をメモリに記憶するものである。
19は後方左側壁面距離処理部で、この後方左側壁面距離処理部19は、超音波変位センサ4から超音波を発信したときから壁面に反射して帰ってきた超音波を受信したときまでの計測時間を入力し、この計測時間から超音波変位センサ4から後方左側壁面までの距離を演算し、この演算結果をメモリに記憶するものである。
20は後方右側壁面距離処理部で、この後方右側壁面距離処理部20は、超音波変位センサ5から超音波を発信したときから壁面に反射して帰ってきた超音波を受信したときまでの計測時間を入力し、この計測時間から超音波変位センサ5から後方右側壁面までの距離を演算し、この演算結果をメモリに記憶するものである。
【0026】
21はロール角処理部で、このロール角処理部21は、A/D変換ボード15を介して入力されたX軸傾斜計10の出力信号を台車2の進行方向に対する回転角Δθxy(ロール角)に変換するものである。
22はピッチ角処理部で、このピッチ角処理部22は、A/D変換ボード15を介して入力されたY軸傾斜計11の出力信号を台車2の進行方向と直角な軸に対する回転角Δθyz(ピッチ角)に変換するものである。
【0027】
23は管路中心線角度処理部で、この管路中心線角度処理部23は、RS232Cボード16を介して入力された光ファイバジャイロセンサ12の出力信号(角速度)を積分し、管路1の中心線6の各点における変位角θgに変換するものである。
24は移動距離変換処理部で、この移動距離変換処理部24は、DI/Oボード(デジタル入出力ボード)17を介して入力されるロータリエンコーダ13からのパルスをカウントし、台車2の移動距離Lrに変換するものである。
【0028】
25は進行方向角度処理部で、この進行方向角度処理部25は、前方左側壁面距離処理部18のメモリに記憶された前方左側壁面距離と後方左側壁面距離処理部19のメモリに記憶された後方左側壁面距離とから、管路1の中心線6に対する台車2の変位角Δα1 (ヨー角)を計算するものである。このΔα1 (ヨー角)の計算は、前述した通りである。
26は進行方向変位処理部で、この進行方向変位処理部26は、後方左側壁面距離処理部19のメモリに記憶された後方左側壁面距離と後方右側壁面距離処理部20のメモリに記憶された後方右側壁面距離とから、管路1の中心線6からの台車2の位置変位ΔDを計算するものである。この位置変位ΔLの計算は、前述した通りである。
【0029】
27は収集ファイルで、この収集ファイル27は、進行方向角度処理部25、ロール角処理部21、ピッチ角処理部22、管路中心線角度処理部23は、移動距離変換処理部24で計算・変換された、管路1の中心線6に対する台車2の変位角Δα1 (ヨー角)、台車2の進行方向に対する回転角Δθxy(ロール角)、進行方向と直角な軸に対する回転角Δθyz(ピッチ角)、管路中心線の各点での変位角θg、台車2の移動距離Lrを、100msec(ミリ秒)といった一定時間間隔で記憶するものである。
28は補正点座標入力処理部で、この補正点座標入力処理部28は、台車2が補正点に到達したときに、その座標を入力し、メモリに記憶するものである。
【0030】
29は位置補正処理部で、この位置補正処理部29は、収集ファイル27に記憶されている各センサー等からのデータ及び補正点座標入力処理部28により入力された補正点座標をもとに、管路中心位置座標に変換するものである。
この位置補正処理部29の処理について説明する。位置補正処理部29で変換される管路中心位置座標は、測量で使用される座標系である。
まず、収集ファイル27に記憶された光ファイバジャイロセンサ12からの管路中心線角度θgには、光ファイバジャイロセンサ12が1軸であるため、水平方向及び進行方向に対する回転角(ロール角、ピッチ角)が合成されている。管路中心線角度θgから水平方向及び進行方向に対する回転角(ロール角、ピッチ角)を取り除き、管路1の進行方向に対する変位角θg´を次式によって計算する。
【0031】
θg´=θg/cos Δθxy/cos Δθyz
但)Δθxy:X軸傾斜計5により計測された回転角(ロール角)
Δθyz:Y軸傾斜計6により計測された回転角(ピッチ角)
さらに、台車2は管路1の中心線6に対する変位角α1 (ヨー角)をもって走行するため、実際の管路1の中心線6の曲がり角θk及び台車2が実際に管路1の中心線6に沿って進んだ距離Lkを次式により計算する。
【0032】
θk=θg´−α1
α1 :管路中心線に対する走行台車1の管路進行方向の変位角
Lk=Lr・cos α1
Lr:ロータリエンコーダの検出距離
α1 :管路中心線に対する走行台車1の管路進行方向の変位角
実際の管路1の中心線6の曲がり角θkと管路1の中心線6に沿った台車2の移動距離Lrをもとに、補正点間の管路1の中心線6の座標Xn、Yn、Znを式1、式2、式3により計算する。
【0033】
【式1】
【0034】
【式2】
【0035】
【式3】
式1、式2、式3によって計算した座標Xn、Yn、Znの値に対し、補正点座標入力処理部28で入力された計測開始補正点の座標Xs、Ys、Zs、計測終了補正点の座標Xe、Ye、Ze、による補正処理を実施する。補正処理ではまず、補正点間の実距離と走行台車移動距離との比率Lr、測量座標系xy平面上での補正始終点間と対応する管路位置ベクトル(XZ平面)の角度差Δθxy、測量座標系yz平面上での補正始終点間と対応する管路位置ベクトル(ZY平面)の角度差Δθyzを式4、式5、式6により計算する。
【0036】
【式4】
【0037】
【式5】
【0038】
【式6】
この式4、式5、式6によって計算したLr、Δθxy、Δθyzを利用し、式1、式2、式3の各式の各管路位置中心座標を以下の式7〜式13の各式で変換し、補正された管路中心位置座標Xn”、Yn”、Zn”を求め、この各管路中心位置座標Xn”、Yn”、Zn”を管理中心位置データファイル30に出力する。《XY平面での回転》
【0039】
【式7】
Xn’=Xn・cos Δθyz−Zn・sin Δθxy
【0040】
【式8】
Yn’=Xn・sin Δθxy+Zn・cos Δθxy
《YZ平面での回転》
【0041】
【式9】
Xn”=Yn・cos Δθyz−Yn・sin Δθyz
【0042】
【式10】
Zn’=Yn・sin Δθyz+Zn・cos Δθyz
《スケーリング》
【0043】
【式11】
Xn”=Xn’・Lr
【0044】
【式12】
Yn''' =Yn”・Lr
【0045】
【式13】
Zn”=Zn’・Lr
このようにして補正された管路中心位置座標Xn”、Yn''' 、Zn”を管理中心位置データファイル30に出力した後、そのファイルをFD33にコピーする。
【0046】
このようにして下水道管路内を走行する台車2に、3つの超音波変位センサ3、4、5と、2つの傾斜計10、11と、光ファイバジャイロセンサ12と、ロータリーエンコーダ13と、これらのセンサにコンピュータ14等を組み合わせて構成した下水道管路計測システムを搭載し、この計測システムによって台車2の傾き(ピッチ角、ロール角、ヨー角)や走行距離をリアルタイムで収集しながら、図2に示す画面により台車2が管路1の中心線6から外れないように誘導するとともに、一定間隔で設置された補正点に来たときにその位置座標を入力することによって、収集された傾きと走行距離から下水道管路1の中心位置を計算し、FD33に保存するものである。
【0047】
31はディスプレー(CRT)で、このディスプレー31は、計測システムによって台車2の傾き(ピッチ角、ロール角、ヨー角)や走行距離をリアルタイムで収集しながら、図2に示す如く表示するものである。
図2においては、下水道管路1内で台車2が自走するときの走行状態Kiを示し、下水道管路1の中心線6に対する台車2の進行方向の変位角α1 (ヨー角)と水平面に対する台車2の変位角Δθxy(ロール角)は度で、下水道管路1の中心線6から台車2の位置変位はミリメートルで、計測開始点(1つ前の補正点)からの走行距離はメートルで表示してある。
【0048】
ディスプレー(CRT)31に表示される画面は、台車2を自走させずに、人が下水道管路1内で台車2を押しているときの誘導画像Kiとして利用することができ、進行方向角度処理部25、進行方向変位処理部26、ロール角処理部21、移動距離変換処理部24で計算された、管路1の中心線6に対する台車2の変位角α1 (ヨー角)、管路1の中心線6からの台車2の位置変位ΔL、台車2の進行方向に対する回転角Δθxy(ロール角)、台車2の移動距離Lrが表示される。
【0049】
図5に示されるディスプレー(CRT)31に表示される画面において、数値表示部Diには4つの数値を表示する。進行方向ズレ角表示部Yiには、進行方向角度処理部25、進行方向変位処理部26で計算された管路1の中心線6に対する台車6の変位角α1 (ヨー角)と管路1の中心線6からの台車2の位置変位ΔLにしたがって、壁面8、9と台車2の位置・進行方向を図示する。
また、ロール角表示部Riには、ロール角処理部21、進行方向変位処理部26に計算・変換された、台車2の進行方向に対する回転角Δθxy(ロール角)と管路1の中心線6からの台車2の位置変位ΔLに従って、管路1と台車2の位置・回転角Δθxyを図示する。
【0050】
これらの各座標を入孔間を一定の間隔でプロットし、繋ぎ合わせることで三次元空間における座標系が完成し、この座標に基づいてコンピュータ処理を施すことにより、三次元映像として三次元的に表示することができる。この三次元映像を各管路に対して表示を行うことにより、各種管路の位置関係が三次元映像として捕らえることができ、このように表現することにより、各管路の位置関係を明確に知ることができる。
【0051】
図7には、地下埋設管路配設状況表示システムにおける三次元表示処理システムが示されている。
図に示す三次元表示処理システムは、地下埋設管路配設状況表示システムで計測された下水道管路1の中心線6の座標データ、及び、道路40の中心の座標データ、道路縁の座標データを入力し、その結果を3次元的に表示するシステムである。
【0052】
この地下埋設管路配設状況表示システムにおいては、データ変換処理部61、62とCADソフト(市販の三次元CADソフト)65によって構成される。FD70及びFD75は地下埋設管路配設状況表示システムの出力データであり、FD70には下水道管路1の中心座標データ、FD75には道路40の中心線座標データと道路縁座標データが格納されている。
【0053】
データ変換処理部61では、道路40の中心線座標データFD70を入力し、CADソフト65が入力できるフォーマットに変換し、データファイル63に格納する。データ変換処理部62では、道路40の中心線、道路縁座標データFD75を入力し、CADソフト65が入力できるフォーマットに変換し、データファイル64に格納する。
【0054】
CADソフト65は、下水道管路1の中心座標データを変換したデータファイル73を入力し、管路1の径と管路1の厚さをキーボード80から入力することにより、下水道管1の3次元の表示が行える。また、道路40の中心線座標データ、道路縁座標データを変換したデータファイル61を入力し、メッシュ単位の道路表面の標高データを作成し、下水道管路と併せて3次元表示する。さらに、下水道管路1の中心線方向の縦断面図、下水道管路1の中心線と直角な横断面図を表示することができる。
【0055】
このように構成される地下埋設管路配設状況表示システムを動かすには、まず、台車2を道路40の地下深さDの距離に埋設されている予め径の大きさの分かっている管路1内に載置し、管路1内を走行させる。この台車2の走行は、自走も、人が押して走行させてもよい。
台車2を管路1内に載置させると、まず、地下埋設管路配設状況表示システムにより、管路1の入孔50、51間の道路40の座標を測定する。この測定する座標は、2つの道路縁と道路中心の座標データである。入孔50、入孔51の座標はGPSにより測量されたものである。入孔50を開始補正点、入孔51を終了補正点と考えることにより、下水道管路1の中心座標と同じ手法により、各点のX、Y、Zの座標が計算される。これらの各座標を入孔間を一定の間隔でプロットし、繋ぎ合わせることで三次元空間における座標系を完成することができ、この座標に基づいてコンピュータ処理を施すことにより、三次元映像として三次元的にCRT90に表示することができる。この三次元映像を各管路に対して1つのCRT90に表示することにより、各種管路の位置関係が三次元映像として捕らえることができる。
【0056】
なお、本実施の形態においては、1軸の光ファイバジャイロ(OFG)センサを利用した例を示しているが、光ファイバジャイロ(OFG)センサを2軸(X−Y,X−Z平面)、または、3軸(X−Y,X−Z,Y−Z平面)組み合わせることができ三次元の角度変化を検出することが可能で、この場合、本実施の形態における傾斜計は不要となる。
【0057】
また、本発明で台車に搭載する台車走行中に管路に接続される分岐管路の位置を検出する分岐管路接続箇所検出手段としては、テレビカメラ等ディスプレー31に表示できるものが適している。さらに、台車に搭載する台車走行中に管路内における破損状況を逐次検出する管路内破損状況検出手段も、テレビカメラ等ディスプレー31に表示できるものが適している。
【0058】
【発明の効果】
本願請求項1に記載の発明によれば、下水道工事等の地下に新たに管路を埋設する工事を行うに当たって、管路内を人が台車を押して走行させても、この管路の埋設位置を正確に把握でき、この既に埋設されている各種管路の配管状況を正確に、かつ明確に三次元的に表現し、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0061】
本願請求項2に記載の発明によれば、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、この既に埋設されている各種管路の配管に接続される枝管路の状況をも正確に把握し、かつ明確に三次元的に表現することができ、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0062】
本願請求項3に記載の発明によれば、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、この既に埋設されている各種管路の配管の内部破損状況を正確に把握し、かつ明確に三次元的に表現することができ、一目で各種管路の配管状況を把握することができる。
【0063】
本願請求項4に記載の発明によれば、各種管路の埋設位置を正確に把握できると共に、既に埋設されている各種管路の配管状況も正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】地下埋設管路配設状況表示システムの一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムを搭載する台車を管路内に載置した状態を示す図である。
【図3】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムによる変位角α1 を測定する手法を示す図である。
【図4】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムによる位置変位ΔDを測定する手法を示す図である。
【図5】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムに基づく変位角α1 、位置変位ΔDの表示状態を示す図である。
【図6】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムを搭載する台車を管路内に載置したときの道路との位置関係を示す図である。
【図7】図1に図示の地下埋設管路配設状況表示システムにおける三次元表示処理システム構成図である。
【符号の説明】
1………………………………管路
2………………………………台車
3,4,5……………………超音波変位センサ
6………………………………管路の中心線
7………………………………台車の中心線
8………………………………左側壁面
9………………………………右側壁面
10……………………………X軸傾斜計
11……………………………Y軸傾斜計
12……………………………光ファイバジャイロセンサ
13……………………………ロータリエンコーダ
14……………………………コンピュータ
31……………………………ディスプレー
61,62……………………データ変換処理部
65……………………………三次元CADソフト
Claims (4)
- 予め径の大きさが明確になっている管路内に台車を設置し、該台車の測定開始点となる走行測定基準位置を三次元座標位置上で特定し、
前記管路内を前記台車を走行させ、
前記台車が該管路内における基準走行位置を走行するようにディスプレイの表示に基づいて走行方向を修正して走行せしめ、
前記台車が測定開始点から一定の移動距離毎に測定基準位置からのX−Y−Z方向の変位量を求め、
該変位量に基づいて前記台車の移動した各位置における測定点の三次元座標位置を得、
これら各位置における測定点の三次元座標位置をプロットし、各三次元座標を直線で結ぶことにより該直線上に管路を形成し、地中に埋設された地下埋設管路配設状況をディスプレイ上に表示するようにした地下埋設管路配設状況表示システム。 - 上記台車は、上記台車走行中に上記管路に接続される接続管路の位置を検出する接続管路接続箇所検出手段を設けたものである請求項1に記載の地下埋設管路配設状況表示システム。
- 上記台車は、上記台車走行中に上記管路内における破損状況を逐次検出する管路内破損状況検出手段を設けたものである請求項1又は2に記載の地下埋設管路配設状況表示システム。
- 上記台車移動点の三次元座標位置の検出は、3軸ジャイロスコープを用いて行うものである請求項1,2又は3に記載の地下埋設管路配設状況表示システム。
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