JP3969508B2 - 下糸巻回装置 - Google Patents
下糸巻回装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3969508B2 JP3969508B2 JP18647798A JP18647798A JP3969508B2 JP 3969508 B2 JP3969508 B2 JP 3969508B2 JP 18647798 A JP18647798 A JP 18647798A JP 18647798 A JP18647798 A JP 18647798A JP 3969508 B2 JP3969508 B2 JP 3969508B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lower thread
- bobbin
- thread
- winding
- amount
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Sewing Machines And Sewing (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボビンに下糸を巻きつけた後、外部に伸びる下糸を捌いてボビンケースの所定の下糸導出部まで導き、その後、下糸供給部から下糸導出部まで伸びる下糸を切断する下糸巻回装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、下糸をボビンに自動的に供給する下糸自動供給装置を開発すると共に、この下糸自動供給装置を特開平7−68071号、特開平8−276089号、特開平9−56948号等において開示している。
【0003】
この下糸自動供給装置は、下糸が巻き付けられるボビンを内部に収容すると共にミシンの釜内に装着されるボビンケースと、ミシンの釜に対してボビンケースを出し入れするボビン交換装置(ボビンケースを把持又は開放可能な把持手段、および、この把持手段を支軸を支点として回動させると共に支軸の軸線方向に移動可能な回動アームからなる)と、ボビンケース内のボビンに残された残糸を除去する残糸除去装置と、残糸除去されたボビンに新たに下糸を巻き付ける糸巻き手段と、ボビンに巻き付けられた下糸の一端を該ボビンを保持したボビンケースの下糸導出部まで導く糸捌き手段と、ボビンケースへの糸掛けを完了し下糸供給源に連なる下糸を切断する下糸切断手段とを具備する構成となっている。
【0004】
この下糸自動供給装置によれば、ミシンの釜内に装着されたボビンケース内のボビンに巻かれた下糸が消費されて所定巻量以下になったとき、ミシンが停止され、上記把持手段により釜内からボビンケースを取り出すとともに既に糸を巻かれているボビンを備えた別のボビンケースを釜内に装着し、ミシンは再び縫製作業を開始する。そしてこの再開された縫製作業中に、先に取り出されたボビンケース内のボビンに残されている糸を前記残糸除去装置により取り除き、その後、前記糸巻き手段により所定量の糸をボビンに巻き付ける。所定量の糸が巻付けられると、前記糸捌き手段により下糸端部がボビンケースの下糸張力調整ばね下に挿通されて所定の下糸導出部まで導かれ、その後、ボビンケースより下糸供給源に連なる下糸を上記下糸切断手段により切断し、ボビンを使用可能の状態とする。そして現在釜内のボビンケースのボビンに巻かれた糸が消費されると、前回と同様にボビンケースが交換される。
【0005】
本発明に係る下糸巻回装置は、上記下糸自動供給装置の構成のうち、下糸の巻き付けからボビンケースへの下糸端のセットを経て下糸端を切断する部分、すなわち、糸巻き手段、糸捌き手段、および下糸切断手段等から構成される部分に関するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、下糸の供給されたボビンケースを釜に装着する際、このボビンケースの下糸導出部からは、ある長さの下糸が外部に延出された状態にある。この延出された下糸は、次の縫製を開始する際に上糸と絡んで上方にすくわれるために必要なものである。
この下糸の延出量には、長すぎても短すぎてもいけない所望量(例えば40mm)がある。下糸の延出量が、例えば30mmなど、所望の量より短いと縫い始めに上糸と絡まず目飛びが発生して縫製ができないといった問題を発生させる。一方、下糸の延出量が、例えば60mmなど、所望の量より長いと所謂鳥の巣(下糸が余計に絡みあった汚い縫製)を発生させたり、ボビンケースを釜に装着する際や搬送する際に、下糸が他の機構に絡みつくといった不具合を発生する場合があった。
また、下糸には、例えば、綿糸、ポリエステル系のスパン糸、テトロン糸などの合成糸、並びに、大きな伸び量を有するウーリー糸など、多種多用のものがあり、綿糸やウーリー糸などは縮れやすく、スパン糸やテトロン糸などは縮れにくい。
【0007】
図10は、ボビンケース10の下糸導出部10dから出た下糸延出量を説明するためのもので、(a)は縮みにくい下糸A1の場合、(b)は縮みやすい下糸A2の場合である。同図中、10はボビンケース、10aは下糸が供給される開口部、10dは下糸導出部、11は下糸張力調整バネ、15はボビンである。
しかしながら、上記従来の下糸巻回装置では、ボビンケース10の下糸導出部10dから延出された下糸を切断する際、下糸にある程度の張力が掛けられた状態で切断が行われるので、切断後の糸長さが糸種によって大きくばらついてしまうという欠点を有していた。すなわち、縮みやすい下糸A2の場合には、図10(b)に示すように糸切断後に下糸が縮んで、ボビンケースの糸導出部から延出される下糸量L2が短くなる一方、縮みにくい下糸A1の場合には、図10(a)に示すように糸切断後に下糸が縮まず、ボビンケースの糸導出部から延出される下糸量L1が長くなる。
【0008】
従って、例えば、縮みのないスパン糸に合わせて、下糸の延出量が45mmになるように下糸切断位置を設定した場合、この設定のまま下糸を綿糸に変更すると、糸切断後に綿糸が縮んで具体的には下糸の延出量が30mmにしかならず、上記の目飛び等の問題を発生させた。
また、例えば、縮みのある綿糸に合わせて、下糸の延出量が40mmになるように下糸切断位置を設定した場合、この設定のまま下糸をスパン糸に変更すると、糸切断後に綿糸のように糸が縮まず具体的には下糸の延出量が60mmになってしまい、上述の鳥の巣や下糸が他の機構に絡みつくといった不具合を発生させる場合があった。
【0009】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、ボビンに下糸を巻き付けた後にボビンケースの糸導出部から延出する下糸を切断する下糸巻回装置において、切断後にボビンケースの糸導出部から延出される下糸量が自動的に調整可能で、糸種が変わっても所望の延出量が得られる下糸巻回装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ボビンケースを把持する把持手段と、該把持手段に把持されたボビンケース内のボビンを回転させるボビン回転手段と、糸供給源からの下糸をボビンケースに供給する下糸供給手段と、この下糸供給手段からの下糸をボビンに巻き付けた後、ボビンケースから前記下糸供給手段まで伸びる下糸を所定位置で切断する下糸切断手段とを備えた下糸巻回装置において、前記下糸切断手段による下糸の切断後、ボビンを回転させて前記ボビンケースから延出する下糸長さを変更調整する制御手段と、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力する入力手段とを備え、前記制御手段は、入力された下糸の番手と長さとに基づき、前記変更調整におけるボビン回転量を決定する構成とした。
【0013】
この請求項1記載の発明によれば、上記制御手段によるボビンの回転により、ボビンケースの糸導出部から延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来るので、上記制御手段の変更調整を、様々な条件に基づき適宜決定することで、下糸の延出量を様々な条件に対応させて所望の量に制御することが出来る。つまり、下糸延出量の不足による目飛びや下糸延出量の長すぎによる糸からみや所謂鳥の巣などを防止できる。
【0014】
請求項2記載の発明は、ボビンケースを把持する把持手段と、該把持手段に把持されたボビンケース内のボビンを回転させるボビン回転手段と、ボビンに下糸を供給する下糸供給部と、ボビンに下糸を巻きつけた後、外部に伸びる下糸を捌いてボビンケースの所定の下糸導出部まで導く糸捌き手段と、ボビンケースの下糸導出部から前記下糸供給部まで伸びる下糸を切断する下糸切断手段とを備えた下糸巻回装置において、前記下糸切断手段の下糸切断位置は、前記下糸導出部からの距離が釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量よりも長い位置に設定され、該下糸切断手段による下糸の切断後、前記ボビン回転手段により下糸を巻き込む方向にボビンを回転させる変更調整を行って、前記下糸導出部から延出する下糸長さを調整する制御手段と、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力する入力手段とを備え、前記制御手段は、入力された下糸の番手と長さとに基づき、前記変更調整におけるボビン回転量を決定する構成とした。
【0015】
この請求項2記載の発明によれば、先ず、下糸切断手段により下糸が長めに切断され、その後、制御手段によりボビンが回転されて下糸がボビン中に引き込まれるので、この引き込みにより、ボビンケースの糸導出部から延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来る。従って、上記制御手段の変更調整によるボビンケースの回転量を、様々な条件に基づき適宜決定することで、下糸の延出量を様々な条件に対応させて所望の量に制御することが出来る。つまり、下糸延出量の不足による目飛びや下糸延出量の長すぎによる糸からみや所謂鳥の巣などを防止できる。
【0016】
なお、請求項2における、釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量とは、縫い始めに下糸が上糸に絡んで上方にすくわれ、確実に目飛びを発生させない長さの範囲で最小となる長さであり、一般的な工業用ミシンにおいては35mm〜50mm程度、好ましくは40mm程度の長さである。
【0018】
また、一般に、ボビンに多くの下糸が巻かれていてボビン中の下糸の巻き径が大きいと、ボビンの所定回転角に対して下糸の巻込み量は長くなる。その一方、ボビン中の下糸量が少なく下糸の巻き径が小さいと、ボビンの所定回転角に対して下糸の巻込み量は短くなる。そして、ボビン中の下糸の巻き径を決定するのは、下糸の番手(太さ)と巻き長さである。そこで、上記の請求項1や2に記載の発明によれば、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力させて、この入力データに基づいてボビンの回転量を決定するので、ボビン中の下糸の巻き径が大きかろうと小さかろうと、それらに対応させて適宜ボビンの回転量を決定することが可能となり、結果として、下糸の変更調整の際にボビン中に巻き込む下糸の量を適宜コントロールすることが出来る。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の下糸巻回装置において、前記下糸供給部からの下糸の繰り出し量を計る計測手段を備え、前記制御手段が、前記計測手段の計測データに基づき、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さを求めると共に、この下糸の番手と長さに基づいて、前記変更調整におけるボビン回転量を決定する構成とした。
【0020】
この請求項3記載の発明によれば、下糸の番手と巻き長さとに基づいてボビンの回転量を決定するので、ボビン中の下糸の巻き径が大きかろうと小さかろうと、それらに対応させて適宜ボビンの回転量を決定することが可能となり、結果として、下糸の変更調整の際にボビン中に巻き込む下糸の量を適宜コントロールすることが出来る。更に、下糸の番手と巻き長さとを、上記計測手段の計測データに基づいてを自動的に求めるので、これらデータの入力が不要となり、入力ミスや未入力により下糸の巻込みの際に誤まった量巻き込まれるのを防ぐことが出来る。
【0023】
好ましくは、上記の下糸巻回装置において、予め設定された前記下糸切断手段の下糸切断位置が、切断後に最も糸長が縮む種類の下糸の場合に、切断後の糸が釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量となる位置に設定されている構成としても良い。
【0024】
この構成によれば、最も縮む糸種を使用した場合に、上記変更調整(糸切断後のボビンの回転、或いは、糸切断位置の移動)を行わなくても良く、糸が縮まない糸種の場合だけ、上記変更調整を行えば良いので、無駄な処理が省かれて処理効率が向上される。
【0025】
ここで、切断後に最も糸長が縮む種類の下糸とは、綿糸やウーリー糸などである。切断後に最も糸長が縮む種類の下糸の場合に、切断後の糸が釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量となる位置とは、糸導出部から下糸経路に沿って例えば60mm程度離れた位置である。この位置で切断することで切断後縮んで40mm程度の所望長さになる。
【0026】
また好ましくは、上記の下糸巻回装置において、ボビンに巻き付ける下糸の種類を入力する入力手段を備え、前記制御手段は、入力された下糸の種類に基づき、前記変更調整(糸切断後のボビンの回転、或いは、糸切断位置の移動)の量を決定する構成としても良い。
【0027】
この構成によれば、糸種に基づく糸切断後の糸縮み量の違いを上記変更調整において是正することが出来るので、異なる糸種を用いた場合でも、常に、ボビンケースの糸導出部から延出される下糸量を所望の量に制御することが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図9の図面を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、この発明の第1の実施の形態の下糸巻回装置1を備えた下糸自動供給装置100の概要を示す正面図である。同図中、Kは釜、Tはミシンベッドである。
【0031】
下糸自動供給装置100は、ミシン釜K内のボビン15の下糸が消費されて所定量より少なくなった場合に、ミシン釜K内のボビン15およびボビンケース10を自動的に下糸のセットされたボビンおよびボビンケースと交換すると共に、下糸の消費されたボビン15およびボビンケース10に自動的に下糸を供給する装置である。
【0032】
この下糸自動供給装置100は、ボビンケース10を把持又は開放可能な把持手段2、および、この把持手段2を軸4を中心とした回動および該軸4の軸線方向に直動させる回動アーム3からなるボビン交換装置、並びに、ボビン15に残った下糸を除去する図示略の残糸除去装置B、ボビンに下糸を巻き付けるこの実施の形態の下糸巻回装置1等から構成される。図1中、B1は下糸除去の処理中にボビン15およびボビンケース10を保持する保持軸、Aは下糸の巻きつけが行われる下糸巻回位置、Dは下糸の供給が済んだボビン15およびボビンケース10を待機させるダミー位置、D1は下糸の供給が済んだボビン15およびボビンケース10を保持する保持軸である。
また、この下糸自動供給装置100には、下糸の種類データ等を入力可能な入力手段としての操作・表示パネル70が備わっている。
【0033】
図2には、下糸自動供給装置100に備わる下糸巻回装置1の正面図を、図7には、下糸巻回装置1による下糸巻回処理の流れを説明する概略図を示す。
【0034】
下糸巻回装置1は、図2に示すように、ボビン回転手段20、下糸供給部としての下糸供給手段G、下糸収納・導出手段H、計測手段としての糸供給検出手段F、糸巻き後に糸捌きや糸切りを行う糸捌き手段および下糸切断手段としての動メス付き糸捌き40、並びに、ワイパー30を備えた糸掛け機構等から構成される。
ボビン回転手段20は、図2に示したように、巻取モータ22の駆動をモータ軸プーリ24、タイミングベルト23等を介して回転体である巻取クラッチ板21に伝達し、この巻取クラッチ板21の回転により、下糸巻回位置Aに把持されているボビンケース10内のボビン15を回転させるものである。巻取モータ22は、回転量の制御が可能なパルスモータなどにより構成される。また、図1に示すように、巻取クラッチ板21には、ボビン15の側面中央の貫通孔に挿入される基軸21aと、ボビン15のフランジの既設穴に挿入されてボビン15に回転運動を伝達する凸部21b,21bとが設けられている。
【0035】
下糸供給手段Gは、下糸供給源からの下糸Lを内部に通してガイドする糸吸引器28及び糸供給ノズル26と、電磁弁72(図6)の開動作により上記糸吸引器28内の下糸供給経路にエアーを供給するエアー源と、上記糸吸引器28を軸28aを中心に回動させてノズル先端26Aをボビンケース10の開口部10a近傍の初期作動位置や、ボビンケース10から離れた下糸巻回位置等に移動させる下糸供給回動モータ27等から構成される。
【0036】
この下糸供給手段Gによれば、図7(a)に示すように、予め糸供給ノズル26のノズル先端26Aから絡み付けに必要な長さの下糸Lを導出しつつ、上記下糸供給回動モータ27の駆動によりノズル先端26Aを上記初期作業位置に位置させ、この時エアーを供給してノズル先端26Aからエアーを吹き出すことによって、導出糸を開口部10aからボビンケース10内部に案内し、さらにこの時、上述した巻取モータ22の駆動により回転しているボビン15に上記エアーを吹き込んで、ボビン軸15aの周りに渦流を形成することにより、下糸Lをボビン軸15aに絡み付ける。
その後、図7(b)に示すように、所謂均一巻を行い得るようにノズル先端26Aを上記初期作業位置から離間した下糸巻回位置に移動して、下糸の巻回を行うようになっている。
【0037】
図3は、下糸巻回装置に備わる下糸供給検出装置(計測手段)の構成を示すもので、(a)はその正面図、(b)は側面図である。
糸供給検出手段Fは、図2と図3に示すように、下糸供給源と糸吸引器28との間で下糸Lの送り量を検出するものであり、フレーム46に、回転軸47、ローラ45、エンコーダ48、エンコーダ検出器49等を設け、ローラ45の両側に糸調子44,44を備えて構成される。そして、ローラ45に下糸を一巻きすると共に、エンコーダ48およびエンコーダ検出器49によりローラ45の回転角度を検出することで下糸供給の検出を行うように構成されている。
【0038】
図4には、下糸供給検出装置から出力されるパルス信号のチャート図を示す。
下糸の巻回処理中、糸供給検出手段Fのエンコーダ検出器49からは、図4に示すようなパルス信号が出力される。
すなわち、先ず、下糸供給手段Gの糸供給ノズル26が初期作業位置に移動されて下糸がボビン軸15aに絡みつくまでは下糸が不規則に少量ずつ送られるので、不規則で比較的間隔の長いパルス信号が出力される。次いで、下糸がボビン軸15aに絡んで下糸の巻付けが開始されると、ボビン回転手段20の巻取モータ22と巻取クラッチ板21の回転スピードはほぼ一定であるため、周期的で短いパルス信号が出力される。下糸の巻きつけが進んでくると、例えば図7(c)から(d)にかけて見てとれるように、ボビン15内の下糸の巻付け量が増えて下糸の巻かれる軸径が大きくなるため、その分、下糸の送り量が増えてパルス信号の周期が短くなってくる。
このようなエンコーダ信号によれば、パルス信号の数から下糸の供給長さを検出することができる一方、パルス信号の周期からボビン15内に巻かれた下糸の径(下糸の巻付け径)を検出することが出来る。そして、これら下糸の巻付け径と下糸の供給長さとから、下糸の番手(太さ)を演算することが出来る。
【0039】
下糸収納・導出機構Hは、上記糸供給検出手段Fと下糸供給手段Gとの間の下糸Lに対して、下糸Lを一時的に引き込み収納し、この収納した下糸Lを再び開放して導出するものである。そして、この下糸収納・導出機構Hにより、下糸供給ノズル26がボビンケース10の開口部10aに近づくまで、ノズル先端26Aから導出する下糸Lを糸供給ノズル26内に引き込み収納しておき、ノズル先端26Aがボビンケース10の開口部10aに到達してから、引き込み収納した下糸Lをノズル先端26Aから導出される。
【0040】
図5は、動メス付き糸捌き40を示すもので、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
動メス付き糸捌き40は、下糸巻回位置Aに配置されたボビン15のボビン軸15aを中心とした円弧状に湾曲した形状に形成され、糸捌き手段、下糸切断手段、糸ガイドの各構成が一体的に形成された構成となっている。また、この動メス付き糸捌き40は、巻取クラッチ板21の回転軸と同一軸線上において回転可能に機枠に支持されており、糸たぐりモータ71(図6)の駆動により下糸巻回位置Aに固定されたボビンケース10の周側面に沿って回動する。
【0041】
この動メス付き糸捌き40は、その先端側(図5(a)で左側)に下糸ガイド用の切欠部40aが、その隣の中腹部にU字状に形成された糸捌き用の切欠部40bが、後端側(図5(a)で右側)にV字状に形成された糸切断用の切欠部40cと、この切欠部40cの頂点から周面に沿う延長線上に切断用の目玉(動メス)40dとが設けられている。
そして、図7(c)(d)に示すように、下糸ガイド用の切欠部40aにより、下糸の巻き付け時にボビンケース10の開口部10aへりに下糸Lが当たらないように下糸Lがガイドされ、また、下糸の巻き付けが完了した後、動メス付き糸捌き40がボビンケース10の周側面に沿って回動して、糸捌き用の切欠部40bにより、糸供給ノズル26からボビン15に渡る下糸Lが捌かれてボビンケース10の下糸張力調整バネ11下に通じるスリットに導かれるようになっている。
また、後述の糸掛け機構により糸掛けが完了した後、図7(e)に示すように、動メス付き糸捌き40が逆方向に回動して、糸切断用の切欠部40cで下糸を手繰り、目玉40dと固定メス41との間で下糸を挟むことで下糸を切断するようになっている。
固定メス41は、図7(e)に示すように、従来の固定メスP41に較べて配置がずらされて取り付けられており、切断後の下糸が従来に較べて長く残るようになっている。すなわち、糸導出部10dから伸びる下糸経路に沿ってみて、糸導出部10dから下糸切断位置までの距離が、釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量よりも長く設定されている。また、この固定メス41の配置は、綿糸やウーリー糸など切断後に縮みやすい種類の下糸を切断した場合に、ボビンケース10の糸導出部10dから延出される下糸の長さが、ボビン装着後に所望の長さ(例えば40mm)になるように設定されている。具体的には、従来の固定メスP41の位置が糸導出部10dから糸経路に沿って40mmに設定されていたのに対して、本願の固定メス41の位置は60mmに設定されている。
【0042】
糸掛け機構は、図2に示すように、支点31を中心に回動(図2中、左右に伸びる軸線を中心とした回動)可能に設けられたワイパー30と、このワイパー30を駆動させるアクチュエータ等から構成され、動メス付き糸捌き40により、ボビンケース10の下糸張力調整バネ11下に通じるスリットまで下糸Lが導かれた後に、この下糸Lを引っ掛けて誘導し、下糸Lを下糸張力調整バネ11とボビンケース10周側面との間に通すと共に下糸張力調整バネ11先端の糸導出部10dまで導くものである。
【0043】
図6には、下糸自動供給装置100の制御部の構成を示すブロック図を示す。
下糸自動供給装置100の制御部は、CPU(Central Processing Unit )51、RAM(Random Access Memory)53、ROM(Read Only Memory)52、I/Oポート54、下糸自動供給装置100の各駆動部のドライバ55〜60等から構成される。I/Oポート54には、入力手段としての操作表示パネル70、糸供給検出手段(機構)F、各ドライバ55〜60を介して、ボビン交換装置の回動アーム3の駆動モータ、残糸除去装置B、動メス付き糸捌き40を回動する糸たぐりモータ71、ボビン回転手段20の巻取モータ22、下糸供給手段Gの下糸供給回動モータ27およびエアー電磁弁72等の各駆動機器が接続されている。
そして、上記CPU51、ROM52、RAM53によるシーケンス処理により、下糸自動供給装置100の各駆動部が所定の制御内容で制御されるようになっている。
この実施の形態の下糸巻回装置1の構成と、下糸の絡み付けから下糸切断までの処理は上述のとおりである。
【0044】
次に、下糸の切断後に行われる下糸延出量の調整処理について詳述する。
下糸延出量の調整処理は、糸切断後にボビン回転手段20の巻取モータ22を下糸を巻き込む方向に設定された量回転させることで行われる。そして、この巻取モータ22の回転量の設定値は、操作表示パネル70から入力される各種入力データに基づいて決定される。
【0045】
上記入力データと、該入力データに基づく巻取モータ22の回転量の設定値の決定方法は、次の▲1▼〜▲5▼のパターンがある。
▲1▼ 下糸の種類を示す糸種データを入力データとして用いるパターン
このパターンでは、綿糸、ウーリー糸、ナイロン糸、合成糸など、下糸の種類を糸種データとしてオペレーターに入力させ、この糸種データから巻取モータ22の回転量の設定値を決定する。すなわち、下糸の切断後、綿糸やウーリー糸などは縮んで短くなる一方、ナイロン糸や合成糸は縮まず長いままになるなど、糸種により糸切断後に糸導出部10dから延出する下糸長が決まるので、この下糸長からボビン装着後に必要とされる所望の糸長を減算することで、下糸の巻込み量が求められる。
また、このパターンは、ボビン15に供給する下糸量が例えばボビン15の最大巻き量の90%などと予め決まっている場合に適用されるものである。すなわち、最終的にボビン15中に巻き付けられた下糸の径が予め決まっていることで、上記巻込み量に必要な巻取モータ22の回転量が決定される。
▲2▼ 下糸の種類、糸番手、供給する糸長さを入力データとして用いるパターン
このパターンは、パターン▲1▼と同様、糸種により下糸の巻込み量を決定する一方、糸番手と糸長さとから上記巻込み量に必要な巻取モータ22の回転量を求めるものである。
【0046】
▲3▼ 下糸の種類を入力データとして用い、且つ、下糸の供給量が決まっていないパターン
このパターンは、パターン▲2▼と同様、糸種により下糸の巻込み量を決定する一方、下糸供給検出手段Fのエンコーダ信号から糸番手と糸長さを演算し、この演算された糸番手と糸長さとから、パターン▲2▼と同様に上記巻込み量に必要な巻取モータ22の回転量を求めるものである。
下糸供給検出手段Fのエンコーダ信号から糸番手と糸長さを演算する方法は、先に述べたとおりである。
▲4▼ 下糸の巻込み量を直接入力データとして用いるパターン
このパターンは、ユーザーが任意の条件で下糸延出量の調整を行うときに用いるパターンであり、例えば、特殊な縫製条件下で下糸延出量を一般に所望とされる40mmよりあと5mm短くして縫い始めをきれいにしたいといった要望に対応可能なパターンである。
このパターンにおいては、例えば、下糸の巻込み量を「0mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm」の中から選択可能としておき、供給された下糸の糸番手と糸長さとから、入力された巻込み量に必要な巻取モータ22の回転量を求める。
これら▲1▼〜▲4▼のパターンでは、上記の各種入力データと巻取モータ22の回転量の設定値との関係が、予めデータテーブルとしてROM52中に記憶されており、下糸切断後の下糸延出量の調整処理の前に、このデータテーブルが参照されて、上記入力データからモータ回転の設定値が取得される。
▲5▼ 巻取モータ22の回転量を直接入力データとして用いるパターン
このパターンは、ユーザーが任意の条件で下糸延出量の調整を行うときに用いるパターンである。
【0047】
動メス付き糸捌き40による糸切断処理後、上記▲1▼〜▲5▼の何れかのパターンで巻取モータ22の回転量の設定値が取得されると、該設定値になるまで巻取モータ22が回転され、この回転によりボビンケース10の糸導出部10dから延出する下糸がボビン15内に巻き込まれて、釜装着後に必要な所望の糸長さ(例えば40mm)に調整されて下糸巻回処理が完了となる。
例えば、上記▲1▼〜▲4▼のパターンにおいては、例えば、スパン糸の場合で20mm巻き込まれて、所望の40mmに調整される。また、綿糸の場合で巻き込み処理が行われず、綿糸の縮みによりそのまま切断後の下糸延出量が所望の40mmとなる。
その後、このボビンケース10は、一旦、ダミー位置Dの保持軸D1に搬送・保持され、次のボビン交換の際に再び釜Kに搬送され装着される。
【0048】
図8は、下糸自動供給装置の制御部により行われる下糸巻回処理の処理手順を示すフローチャートである。
この下糸巻回処理は、下糸自動供給装置100のゼネラルフロー中のサブルーチン処理である。
この下糸巻回処理が開始されると、順次、糸巻付け処理(ステップS1)、糸掛け処理(ステップS2)、糸切り処理(ステップS3)を行ってステップS4に移行する。これらステップS1〜S3の処理により、ボビン15のボビン軸15aに下糸の絡ませて下糸を巻きつけ、その後、動メス付き糸捌き40と糸掛け手段を作動させて下糸をボビンケース10の下糸張力調整バネ11の下に通すと共に糸導出部10dに導き、更に、動メス付き糸捌き40を作用させて下糸を切断するまでの処理が行われる。
【0049】
ステップS4では、ROM52中のデータテーブルを参照して、上述の▲1▼〜▲4▼のパターンの何れかで入力された入力データから、下糸延出量の調整に必要な巻取モータ22の回転量の設定値を取得してステップS5に移行する。
ステップS5では、ボビン回転手段20の巻取モータ22を作動させてステップS6に移行する。
ステップS6では、モータ回転量がステップS4で取得した設定値か否かを判別して、該設定値になるまでステップS6を繰り返し、設定値になったらステップS7に移行する。
ステップS7では、巻取モータ22の作動を停止させて、この下糸巻回処理を終了する。
つまり、上記ステップS5〜S7により、巻取モータ22が下糸を巻き込む方向に回転してボビンケース10の糸導出部10dから延出する下糸の長さを調整する下糸延出量の調整処理が行われる。
【0050】
以上のように、この実施の形態の下糸巻回装置1によれば、下糸が長めに切断されるように固定メス41が配置され、糸切断後に行われる下糸延出量の調整処理によりボビン15が回転されて下糸がボビン15中に引き込まれるので、この引き込みにより、ボビンケース10の糸導出部10dから延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来る。
また、糸切断位置が、最も縮む糸種を使用した場合に、所望の下糸延出量が得られるように設定されているので、最も縮む糸種を使用した場合に、下糸延出量の調整処理を行わなくて良く、無駄な処理が省かれて処理効率が向上される。
【0051】
また、下糸の種類を入力させ、下糸延出量の調整制御の際に、この糸種データに基づいてボビン15の回転量を決定する処理により、糸種による糸切断後の糸縮み量の違いを是正して、異なる糸種を用いた場合でも、常に、ボビンケース10の糸導出部10dから延出される最終的な下糸長さを所望の長さに調整することが出来る。
従って、下糸延出量の不足による目飛びや下糸延出量の長すぎによる糸からみや所謂鳥の巣などを防止できる。
【0052】
また、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力させ、この入力データに基づいてボビンの回転量を決定する上述のパターン▲2▼によれば、ボビン15中の下糸の巻き径が変化して、ボビン15の回転量とそれに付随する下糸の巻込み長さが変化しても、この変化に対応させてボビン15中に巻き込む長さを適宜コントロールすることが出来る。
また、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを下糸供給検出手段Fのエンコーダ信号から求める上述のパターン▲3▼によれば、上記効果に加え、下糸の番手と巻き長さのデータ入力が不要となり、入力ミスや未入力により下糸の巻込み量が狂って下糸延出量の調整がうまくいかないといった不具合を防ぐことが出来る。
【0053】
また、下糸延出量の調整処理で下糸を巻き込む量を直接入力する上述のパターン▲4▼やパターン▲5▼によれば、最終的な下糸延出量をデータ入力によりマニュアル調整できるので、任意の縫製条件下で最適な下糸延出量に制御する際に都合が良い。また、糸種の設定入力の設定入力を必要としないことから、それらデータの入力もれや入力間違いなどの影響がない。
【0054】
なお、本発明は、この実施の形態の下糸巻回装置1に限られるものでなく、例えば、ボビンケースを把持する把持手段、ボビン回転手段、下糸切断手段、糸捌き手段など、具体的に示した構成は、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、この実施の形態では、下糸巻回装置を下糸自動供給装置の一部として示したが、それに限られず、下糸をボビンに巻きつけてボビンケースにセットする単体の装置としても良い。
【0055】
[第2の実施の形態]
この実施の形態の下糸巻回装置は、最終的にボビンケース10の下糸導出部10dから延出される下糸長さの調整処理を、第1の実施の形態のように糸切断後にボビン15を回転して行うのではなく、固定メス41の配置を移動させて糸切断位置を変更することで行うものである。従って、固定メス41を移動可能にした構成と下糸巻回処理の処理手順の他は、第1の実施の形態とほぼ同様であり説明を省略する。
【0056】
図9には、この実施の形態の下糸巻回装置の要部である、固定メス41の配置を可変にする移動手段80の斜視図を示す。
固定メス41の配置を移動する移動手段80は、固定メス41を保持するベースアーム81、ベースアーム81が固定される環状のベース82、ベース82の突出部82aを検出することでベース82の原点位置を検出する原点センサ83、軸受け89,89に指示された回転軸87、回転量が制御可能なパルスモータ等の固定メス駆動モータ84、モータの駆動を伝達するプーリー85,88とベルト86等から構成される。
【0057】
原点センサ83と軸受け89,89および固定メス駆動モータ84は、下糸自動供給装置100のフレームに固定されている。
回転軸87とベース82とは一体的に固定されており、回転軸87が回転することでベース82もその環面に沿って回転し、この回転により、固定メス41の配置が、下糸巻回位置Aに把持されたボビンケース10の外周面に沿って移動するようになっている。すなわち、固定メス41の配置が、切断後の下糸導出部10dから延出される下糸長さが変化する方向に移動される。
固定メス41は予め所定の初期位置に配置され、糸切断処理の際に移動される。この固定メス41の初期位置は、綿糸やウーリー糸など切断後に縮みやすい種類の下糸を切断した場合に、ボビンケース10の糸導出部10dから延出される下糸の長さが、ボビン装着後に所望の長さ(例えば40mm)になるように設定されている。
【0058】
次に、ボビンケース10の下糸導出部10dから延出される下糸延出量の調整処理について説明する。
この実施の形態の下糸延出量の調整処理は、糸切断前に固定メス41を設定された量回動させることで行われる。言い換えれば、固定メス駆動モータ84を設定された量回転させることで行われる。そして、この固定メス駆動モータ84の回転量の設定値は、操作表示パネル70から入力される各種入力データに基づいて決定される。
上記入力データと、該入力データに基づく固定メス駆動モータ84の回転量の設定値の決定方法は、次の▲1▼と▲2▼のパターンがある。
▲1▼ 下糸の種類を示す糸種データを入力データとして用いるパターン
このパターンでは、綿糸、ウーリー糸、ナイロン糸、合成糸など、下糸の種類を糸種データとしてオペレーターに入力させ、この糸種データから固定メス駆動モータ84の回転量の設定値を決定する。すなわち、糸種により糸切断後に縮む割合が決まっているので、この縮み分長めに切断される配置となるように固定メス駆動モータ84の回転量が決定される。
▲2▼ 下糸の切断位置の変位量を直接入力データとして用いるパターン
このパターンは、ユーザーが任意の条件で下糸延出量の調整を行うときに用いられるもので、例えば、特殊な縫製条件下で下糸延出量を一般に所望とされる40mmよりあと5mm短くして縫い始めをきれいにしたいといった要望に対応することが出来る。
【0059】
動メス付き糸捌き40による糸捌き処理が行われ、糸掛け手段により下糸がボビンケース10の糸導出部10dに導かれた後、上記▲1▼と▲2▼の何れかのパターンで固定メス駆動モータ84の回転量の設定値が得られると、該設定値になるまで固定メス駆動モータ84が回転され、この回転により固定メス41が設定量移動される。そして、固定メス41の移動が完了したら、動メス付き糸捌き40が回動して下糸を手繰り、該下糸を固定メス41との間に挟んで切断する。そして、下糸巻回処理が完了となる。
【0060】
この実施の形態の下糸巻回装置によれば、固定メス41の移動手段80により下糸の切断位置を変更可能にしたので、この変更により、第1の実施の形態と同様にボビンケース10の下糸導出部10dから延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来る。
【0061】
なお、本発明は、この実施の形態の下糸巻回装置に限られるものでなく、例えば、下糸切断手段の構成は、固定メスと動メスとで下糸を挟んで切断するタイプ以外のものであっても良いし、また、下糸の切断位置を移動する移動手段の構成は、下糸の切断位置をボビンケースの周側面に沿って移動する形式のものに限られず、例えば、糸供給部からボビンケース10に伸びる下糸に沿って切断位置を移動する形式など、種々の構成がありえる。その他、具体的に示した細部構造等は発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0062】
また、本発明の第1の実施の形態では、下糸切断手段による下糸切断後、ボビンケースの下糸導出部から延出する下糸が、釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量よりも長くなるように設定した。そして、ボビン回転手段により下糸を巻き込む方向にボビンを回転させて、下糸導出部から延出する下糸長さを調整した。
これに代えて、下糸延出量を短くなるように設定し、ボビンケースから所定量の下糸を引き出して、釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量とすることも容易に考えられる。この糸切断後にボビンケースから下糸を引き出す手段としては、例えば、本出願人が先に出願した特開平9−75571号に記載の残糸除去装置を用いることが出来る。この下糸引出し手段は、残糸除去位置に設けられた、開閉可能で且つモータに連動する回動可能な一対のローラによりなる。
【0063】
この下糸引出し手段を用いた下糸延出量の調整方法は、次のとおりである。すなわち、先ず、糸切断後のボビンケースを切断位置から残糸除去位置に移動する。次に、開状態にされた一対のローラ間に、糸切断後にボビンケースから延出する下糸を案内する。次に、ローラを閉状態にし、ローラを回転させ所定量の下糸を引き出して、釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量とする。そして、ローラを開状態にした後、ボビンケースを移動して釜に装着する。
【0064】
更に、本発明の第2の実施の形態では、固定メス41の配置を移動させて糸切断位置を変更した。これに代えて、下糸巻回位置Aの基軸21aを回転させるモータを設ける。そして、基軸に装着されたボビンケースを回転させて、ボビンケース下糸導出部と固定メスとの相対位置を変更する。この結果、糸切断後にボビンケースから延出する下糸延出量を調整することも容易に考えられる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、制御手段によるボビンの回転により、ボビンケースの糸導出部から延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来るので、下糸延出量の不足による目飛びや下糸延出量の長すぎによる糸からみや所謂鳥の巣などを防止できる。さらに、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力し、この入力データに基づいてボビンの回転量を決定するので、ボビン中の下糸の巻き径が変化して、ボビンの回転量とそれに付随する下糸の巻き込み長さが変化しても、この変化に対応させてボビン中に巻き込む下糸の量を適宜コントロールすることが出来る。
【0067】
請求項2記載の発明によれば、先ず、下糸切断手段により下糸が長めに切断され、その後、制御手段によりボビンが回転されて下糸がボビン中に引き込まれるので、この引き込みにより、ボビンケースの糸導出部から延出される最終的な下糸量を適宜自動調整することが出来る。従って、下糸延出量の不足による目飛びや下糸延出量の長すぎによる糸からみや所謂鳥の巣などを防止できる。さらに、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力し、この入力データに基づいてボビンの回転量を決定するので、ボビン中の下糸の巻き径が変化して、ボビンの回転量とそれに付随する下糸の巻き込み長さが変化しても、この変化に対応させてボビン中に巻き込む下糸の量を適宜コントロールすることが出来る。
【0069】
請求項3記載の発明によれば、ボビン中の下糸の巻き径が変化して、ボビンの回転量とそれに付随する下糸の巻き込み長さが変化しても、この変化に対応させてボビン中に巻き込む下糸の量を適宜コントロールすることが出来ることに加え、下糸の番手と巻き長さとを、計測手段の計測データに基づいてを自動的に求めるので、これらデータの入力が不要となり、入力ミスや未入力により下糸の巻込みの際に誤まった量巻き込まれるのを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の下糸巻回装置を備えた下糸自動供給装置の概要を示す正面図である。
【図2】同、下糸巻回装置を示す正面図である。
【図3】同、下糸巻回装置に備わる下糸供給検出装置の構成を示すもので、(a)はその正面図、(b)は側面図である。
【図4】同、下糸供給検出装置から出力されるパルス信号を示すチャート図である。
【図5】図2の下糸巻回装置の動メス付き糸捌きを示すもので、(a)はその平面図、(b)は側面図である。
【図6】下糸自動供給装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図2の下糸巻回装置の処理の流れを示す概略図である。
【図8】下糸自動供給装置の制御部により行われる下糸巻回処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】この発明の第2の実施の形態の下糸巻回装置の要部を示す斜視図である。
【図10】ボビンケースの下糸導出部から出た下糸延出量を説明するためのもので、(a)は縮みのないスパン糸の場合、(b)は縮みのある綿糸の場合である。
【符号の説明】
1 下糸巻回装置
10 ボビンケース
10d 糸導出部
11 下糸張力調整バネ
20 ボビン回転手段
30 ワイパー
40 動メス付き糸捌き(糸捌き手段、下糸切断手段)
41 固定メス
51 CPU
52 ROM
53 RAM
G 下糸供給手段
F 下糸供給検出手段(計測手段)
80 移動手段
Claims (3)
- ボビンケースを把持する把持手段と、
該把持手段に把持されたボビンケース内のボビンを回転させるボビン回転手段と、
糸供給源からの下糸をボビンケースに供給する下糸供給手段と、
この下糸供給手段からの下糸をボビンに巻き付けた後、ボビンケースから前記下糸供給手段まで伸びる下糸を所定位置で切断する下糸切断手段と、
を備えた下糸巻回装置において、
前記下糸切断手段による下糸の切断後、ボビンを回転させて前記ボビンケースから延出する下糸長さを変更調整する制御手段と、
ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力する入力手段とを備え、
前記制御手段は、
入力された下糸の番手と長さとに基づき、前記変更調整におけるボビン回転量を決定することを特徴とする下糸巻回装置。 - ボビンケースを把持する把持手段と、
該把持手段に把持されたボビンケース内のボビンを回転させるボビン回転手段と、
ボビンに下糸を供給する下糸供給部と、
ボビンに下糸を巻きつけた後、外部に伸びる下糸を捌いてボビンケースの所定の下糸導出部まで導く糸捌き手段と、
ボビンケースの下糸導出部から前記下糸供給部まで伸びる下糸を切断する下糸切断手段と、
を備えた下糸巻回装置において、
前記下糸切断手段の下糸切断位置は、前記下糸導出部からの距離が釜装着後に必要とされる所望の下糸延出量よりも長い位置に設定され、
該下糸切断手段による下糸の切断後、前記ボビン回転手段により下糸を巻き込む方向にボビンを回転させる変更調整を行って、前記下糸導出部から延出する下糸長さを調整する制御手段と、
ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さとを入力する入力手段とを備え、
前記制御手段は、
入力された下糸の番手と長さとに基づき、前記変更調整におけるボビン回転量を決定することを特徴とする下糸巻回装置。 - 前記下糸供給部からの下糸の繰り出し量を計る計測手段を備え、
前記制御手段は、
前記計測手段の計測データに基づき、ボビンに巻き付ける下糸の番手と長さを求めると共に、この下糸の番手と長さに基づいて、前記変更調整におけるボビン回転量を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の下糸巻回装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18647798A JP3969508B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 下糸巻回装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18647798A JP3969508B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 下糸巻回装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000014955A JP2000014955A (ja) | 2000-01-18 |
JP3969508B2 true JP3969508B2 (ja) | 2007-09-05 |
Family
ID=16189173
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18647798A Expired - Fee Related JP3969508B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 下糸巻回装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3969508B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112210907B (zh) * | 2019-07-12 | 2022-09-27 | 启翔股份有限公司 | 底线导入装置及其缝纫机 |
-
1998
- 1998-07-01 JP JP18647798A patent/JP3969508B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000014955A (ja) | 2000-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107849768B (zh) | 用于处理线和使用其的集成系统和方法 | |
TW443986B (en) | Method and takeup apparatus for winding a continuously advancing yarn | |
EP1460015A1 (en) | Yarn winder | |
EP1882663B1 (en) | Device for pulling out a yarn end from a winding package | |
EP2966203B1 (en) | Spinning machine and spinning method | |
JPH08231127A (ja) | 糸を巻き上げるための方法及び装置 | |
JP4943803B2 (ja) | 編機での張力設定方法および編機 | |
JP2693107B2 (ja) | 下糸自動供給装置及び縫製装置 | |
JP3969508B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
US5918828A (en) | Cop preparation device for a bobbin-winding machine | |
JP4514296B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP3926454B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP3944727B2 (ja) | 異種糸の糸継ぎ巻取装置 | |
KR100385796B1 (ko) | 밑실와인더(low-threadwinder) | |
KR100725402B1 (ko) | 북실 권취장치 | |
JPH03199436A (ja) | 自動糸通し装置及び自動糸継装置 | |
JP2008024438A (ja) | 糸巻取装置 | |
JPH08229262A (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP4106146B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP2005154103A (ja) | 定長巻取装置および巻取パッケージ | |
JP3609575B2 (ja) | 自動ワインダ | |
JP3838681B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP3810526B2 (ja) | 下糸巻回装置 | |
JP3614972B2 (ja) | ミシン | |
JP3943249B2 (ja) | 下糸巻回装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050623 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061024 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070123 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070320 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070515 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070530 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |