JP3968935B2 - インクカートリッジ用包装ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式プリンタに用いられるインクカートリッジを包装するインクカートリッジ用包装ケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インクジェット式プリンタに用いられる交換用のインクカートリッジは、図7に示すような包装ケースに包装されて店頭等に陳列され販売されている。この包装ケースは、紙製で全体として略直方体状を呈し、背面上側に、フック穴11が穿設された吊り下げ部12が設けられている。
【0003】
上記包装ケースは、上面に開放する箱本体10と、この箱本体10の前側上端の開口一辺を介して連結されて上面開口を蓋する蓋部13とを備えている。上記蓋部13の先端には、閉蓋状態で上記開口内に差込まれる折り曲げ片14が延設されている。また、上記箱本体10の左右上端縁には、開口内に折り曲げられて閉蓋状態の蓋部13下面と接着される接着片15が延設されている。
【0004】
一方、上記吊り下げ部12は、箱本体10の背面側上端の開口一辺を介して連結され、略中央付近から前側に折り曲げ形成され、先端部が開口内に差込まれて形成されている。そして、上記吊り下げ部12の先端部は、閉蓋状態で蓋部13の折り曲げ片14と接着されるようになっている。
【0005】
また、上記箱本体10と蓋部13との境界部には、ミシン目16が形成され、このミシン目16の略中央部にミシン目によって囲われた押圧部17が形成されている。
【0006】
そして、上記包装ケースは、箱本体10の前面上部に形成された押圧部17を背面側に向かって押圧して蓋部13の前端に手指を掛け、その状態で蓋部13を上方に向かって回動させることによりミシン目16を破って開蓋し、内部に収容されたインクカートリッジを取り出すようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記包装ケースでは、蓋部13先端の折り返し片14と吊り下げ部12の先端部とが接着剤等で接着されるとともに、蓋部13の下面と接着片15とが接着剤等で接着されることにより、閉蓋状態を保持するようになっている。このため、本来、前面のミシン目16を破ってインクカートリッジを取り出すようになっているにもかかわらず、上記接着部分を剥離剤等を用いてきれいに剥がし、ケースを破壊せずにインクカートリッジを取り出すことができる。
【0008】
このように、破壊されずに内容物が取出された包装ケースは、内部に純正メーカー製でない模倣品のインクカートリッジが収容され、再び元のように包装されて純正品と偽って取り引きする不正取り引きが行われる原因となっている。このような不正な模倣品が流通すると、ユーザーは、純正品と誤って粗悪な模倣品を買わされることとなり、本来のプリンタ性能が得られないだけでなく、最悪の場合にはプリンタ自体の故障の原因ともなり、極めて多大な損害を被ることになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、内容物を取り出す際に破壊しやすく、再使用による不正な粗悪品の流通を防止しうるインクカートリッジ用包装ケースの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクカートリッジ用包装ケースは、 内部にインクカートリッジが収容される箱状体からなるインクカートリッジ用包装ケースであって、上記箱状体に、舌片を備えた舌片形成片が設けられるとともに、上記舌片挿入用の切り口が形成され、上記舌片に、切り口から抜ける際に切り口の端部に引掛かる引掛り片が形成され、上記箱状体が、上面に開口する箱本体と、この箱本体に開口一辺を介して連結されて上記開口を蓋する蓋部とを有し、上記蓋部の端縁に上記開口内に差込まれる折曲げ片が延設され、この折曲げ片の折り目に沿って切り口が形成され、上記箱本体と上記蓋部との境界近傍に、上記蓋部を開蓋しうる切り取り線が設けられていることを要旨とする。
【0011】
すなわち、本発明のインクカートリッジ用包装ケースは、箱状体に、舌片を備えた舌片形成片が設けられるとともに、上記舌片挿入用の切り口が形成され、上記舌片に、切り口から抜ける際に切り口の端部に引掛かる引掛り片が形成されているため、内容物を取り出す際に、上記舌片を切り口から抜かなければならず、その際、舌片の引掛かり片が切り口端部に引掛かって破損しやすくなる。したがって、内容物を取り出す際に破壊して再使用できなくなり、従来のような粗悪品の流通を防止できる。
しかも、切り口が折り目に沿って形成されていることから目立ち難く、包装ケースの美観を損なわない。
また、箱本体と蓋部との境界近傍に、蓋部を開蓋しうる切り取り線が設けられているので、舌片を切り口から引き抜かなくても容易に開蓋することが可能で、包装の解除が容易で、内容物を取り出す際に、上記切り取り線から確実にケースが破壊するため、包装ケースの再使用を有効に防止することができる。
【0013】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記箱状体が上面に開口する箱本体と上記開口を蓋する蓋部とを有し、上記箱本体に、開口一辺を介して連結された吊り下げ部が形成され、上記吊り下げ部に、先端部が上記開口内に差込まれる折り返し片が形成され、上記折り返し片の先端部に舌片が形成されている場合には、包装ケースを店頭等で吊り下げて陳列等する吊り下げ部を利用して舌片が形成されるため、構造的に無駄なく舌片を形成することができて美観を損なわないうえ、コスト的にも有利である。また、内容物を取り出すときだけでなく、包装ケースを吊り下げて陳列している際に吊り下げ部に加わる荷重によっても舌片が破損しやすくなるため、包装ケースの再使用を有効に防止することができる。
【0014】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記舌片の先端縁が略弧状に形成されている場合には、包装ケースの組立ての際に、舌片を切り口に挿入しやすく、組立て作業性を大幅に低下させない。
【0015】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記舌片の引掛り片が、舌片の両側縁に形成された突片である場合には、切り口に挿入された舌片を引き抜く際に、上記突片が破損しやすく、包装ケースの再使用を有効に防止することができる。
【0016】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記舌片が、折り返し片の先端部に切り込みが形成されることにより形成されている場合には、折り返し片を利用して舌片が形成されるため、構造的に無駄なく舌片を形成することができて美観を損なわないうえ、コスト的にも有利である。
【0017】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記切り口の両端部に、舌片の引掛り片と係合しうる係合片が形成されている場合には、上記係合片と係合した引掛り片が、切り口に挿入された舌片を引き抜く際に破損しやすく、包装ケースの再使用を有効に防止することができる。
【0018】
本発明のインクカートリッジ用包装ケースにおいて、上記切り口の両端部を除く部分に、折り曲げ片が折り曲げられた状態でスリットを形成する切り起し片が設けられている場合には、包装ケースを組立てる際に、上記切り起し片によって形成されたスリットに舌片を挿入すればよいことから、舌片を切り口に挿入しやすく、組立て作業性を低下させない。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0021】
図1および図2は、本発明のインクカートリッジ用包装ケースを示す斜視図であり、図3は上記包装ケースの展開図である。この包装ケースは、基本的には図7に示すものと同様であり、以下、同様の部分には同じ符号を付して説明する。
【0022】
上記包装ケースは、紙製で全体として略直方体状を呈し、上面に開放する箱本体10と、この箱本体10の前側上端の開口一辺を介して連結されて上面開口を蓋する蓋部13と、背面上側の開口一辺を介して連結された吊り下げ部12とを備えている。
【0023】
上記箱本体10は、正面に位置する正面部20と、上記正面部の両側縁を介して折り曲げ可能に連結された左右の側面部21,22と、上記左側面部21の端縁を介して折り曲げ可能に連結された背面部23と、上記正面部20,左右の側面部21,22,背面部23の下端縁にそれぞれ延設された第1底面部24および第2底面部25とから構成されている。図3において、26は接着しろである。
【0024】
正面部20および背面部23に延設された第1底面部24は、中央やや右寄り部に略台形の切欠きが設けられるとともに、上記台形の頂部から斜めに折れ線27が形成され、この折れ線27より下側の部分が、隣接する第2底面部25と接着される接着部28になっている。また、上記第1底面部24には、その中央部に、対向した2つの第1底面部24同士を係止させる係止部29が形成されている。
【0025】
そして、背面部23の側縁の接着しろ26と正面部22を接着し、第1底面部24の接着部28と第2底面部を接着して箱本体10を形成し、図4(a)〜(c)に示すように、斜めにつぶれた状態の箱本体10を直方体状に起こす際に、対向した第1底面部24の係止部29同士が係止されることにより底面がつくられるようになっている。
【0026】
上記吊り下げ部12は、背面部23の上端縁に延設された背面板30と、この背面板30の前側に折り返される折り返し片31とから構成され、上記折り返し片31の先端部が、箱本体10の開口内に差込まれるようになっている。上記背面板30および折り返し片31には、折れ線32を挟んで対称に、フック穴11が穿設されている。
【0027】
上記折り返し片32の先端部中央には、逆ハ字状の切欠きと、この切欠きに連続する2本の切れ込みが形成され、上記両切れ込みに挟まれた部分に、舌片1が形成されている。上記舌片1は、先端縁が弧状に形成されるとともに、両側縁に突片3が形成されている。このように、上記舌片1が、折り返し片32の先端部に形成された切り込みにより形成されているため、折り返し片32を利用して舌片1が形成され、構造的に無駄なく舌片1を形成することができて美観を損なわず、コスト的にも有利となる。
【0028】
一方、上記蓋部13の先端には、閉蓋状態で箱本体10の開口内に差込まれる折り曲げ片14が延設されている。この折り曲げ片14は、閉蓋状態で上記吊り下げ部12の先端部と接着されるようになっている。
【0029】
また、上記箱本体10を構成する左右の側面部21,22の上端縁には、箱本体10の開口内に折り曲げられて閉蓋状態の蓋部13下面と接着される接着片15が延設されている。上記両接着片15には、複数の微小切れ込み33が形成され、接着剤の浸透を助けて接着片15と蓋部13との接着力を向上させるようになっている。
【0030】
そして、上記蓋部13には、折り曲げ片14の折り目に沿って、上記舌片1が挿入される切り口2が形成されている。このように、切り口2が折り目に沿って形成されているため、切り口2が目立ち難く美観を損なわない。上記切り口2の両端部は、図5に示すように、山形に切り込まれ、この部分に、上記舌片1の突片3と係合しうる山形の係合片4が形成されている。また、上記両係合片4に挟まれた部分には、折り曲げ片14(図5では隠れて見えない)が折り曲げられた状態で、上記切り口2の部分にスリットを形成する切り起し片5が形成される。
【0031】
また、上記箱本体10と蓋部13との境界の折れ線部分には、ミシン目16が形成されている。また、上記折れ線部分の略中央には、上記ミシン目16と繋がる矩形のミシン目が形成され、このミシン目によって囲われた部分が、押圧部17に形成されている。
【0032】
上記構成の包装ケースを用い、つぎのようにしてインクカートリッジを包装することができる。まず、背面部23の側縁の接着しろ26と正面部22が接着され、第1底面部24の接着部28と第2底面部が接着されて箱本体10が形成された包装ケースを準備する。
【0033】
ついで、斜めにつぶれた状態の箱本体10を起こして箱本体10を組立て(図4参照)、組立てられた箱本体10の中に内容物であるインクカートリッジを収容する。つぎに、箱本体10両側の接着片15を開口内に折り込むとともに、蓋部13を折り曲げて折り曲げ片14を開口内に差込み、蓋部13で開口を蓋し、上記接着片15と蓋部13下面とを接着剤等で接着する(図1および図2参照)。このとき、上記折り曲げ片14の吊り下げ部12の先端に当接する部分にも接着剤を塗布しておく。
【0034】
そして、吊り上げ部12の折り返し片31を前方に折り返し、折り返し片31先端の舌片1を、蓋部13と折り曲げ片14の折り目に沿って形成された切り口2に差込むとともに、吊り下げ部12の先端部と折り曲げ片14とを接着することが行われ、インクカートリッジの包装が完了する(図5および図6参照)。このとき、上記舌片1の先端縁が弧状に形成されるとともに、上記切り口2の部分に形成された切り起し片5により、折り曲げ片14が折り曲げられた状態でスリットが形成されているため、舌片1を切り口2に挿入しやすく、組立て作業性を低下させない。
【0035】
上記包装ケースは、吊り下げ部12のフック穴11をフック等に引っ掛けることにより、店頭等に陳列され、インクカートリッジの販売が行われる。
【0036】
そして、販売されたインクカートリッジを包装ケースから取り出す場合には、箱本体10の前面上部に形成された押圧部17を背面側に向かって押圧して蓋部13の前端に手指を掛け、その状態で蓋部13を上方に向かって回動させることによりミシン目16を破って開蓋し、内部のインクカートリッジを取り出すことが行われる。このように、箱本体10と蓋部13との境界にミシン目16が設けられているため、舌片1を切り口2から引き抜かなくても容易に開蓋することが可能で、包装の解除が容易である。また、内容物を取り出す際に、上記ミシン目16から確実にケースが破壊するため、包装ケースの再使用を防止できる。
【0037】
また、たとえ剥離剤等を用いて蓋部13等の接着を剥がし、包装ケースを破壊せずに開けようとしても、舌片1を切り口2から抜き出す際に、舌片1の両側縁に形成された突片3と切り口2の両端に形成された係合片4とが係合し、無理に舌片1を引き抜こうとすると舌片1もしくは切り口2の周辺が破れる。したがって、包装ケースの再使用ができなくなり、包装ケースの再使用による粗悪品の流通を有効に防止することができる。
【0038】
また、上記包装ケースでは、包装ケースを店頭等で吊り下げて陳列等する吊り下げ部12の先端を利用して舌片1が形成されているため、構造的に無駄なく舌片1を形成できて美観を損なわず、コスト的にも有利である。また、内容物を取り出すときだけでなく、包装ケースを吊り下げて陳列する際に吊り下げ部12に加わる荷重によっても舌片1が破損しやすくなるため、包装ケースの再使用を有効に防止できる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクカートリッジ用包装ケースによれば、内容物を取り出す際に、上記舌片を切り口から抜かなければならず、その際、舌片の引掛り片が切り口端部に引掛かって破損しやすくなる。したがって、内容物を取り出す際に舌片が破壊して再使用できなくなり、従来のような不正な粗悪品の流通を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のインクカートリッジ用包装ケースの開蓋状態を示す斜視図である。
【図2】上記包装ケースを閉蓋して折り返し片を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図3】上記包装ケースの展開図である。
【図4】上記包装ケースの組立て状態を示す底面図である。
【図5】上記包装ケースの組立て状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】上記包装ケースの包装状態を示す斜視図である。
【図7】従来の包装ケースを示す斜視図であり、(a)は包装状態であり、(b)は開蓋状態である。
【符号の説明】
1 舌片
2 切り口
3 突片
31 折り返し片
Claims (2)
- 上面が開口する箱本体と蓋部と吊り下げ部を有する箱状体からなる包装ケースであって、
前記蓋部は、前記箱本体の前側上端の開口一辺を介して連結され前記蓋部の端縁に前記開口内に差込まれる折曲げ片が延設され、該折曲げ片の折り目に沿って切り口が形成され、前記切り口部分には、切り口の両端部が山形に切り込まれることにより山形の係合片が形成され両係合片に挟まれた部分に切り起こし片が形成され、
前記吊り下げ部は、前記箱状体の背面側上端の開口一辺を介して延設された背面板と、前記背面板の前側に折り返された折り返し片と、前記背面板および前記折り返し片の折れ線を挟んで対称に穿設されたフック穴と、前記折り返し片の先端部に2本の切り込みを入れることにより当該切れ込みの間に形成された舌片とを有し、前記舌片は先端縁が略弧状に形成されるとともに、両側縁に突片が形成され、
前記蓋部を閉蓋する際に、前記切り口に前記舌片が挿入されて前記舌片の前記突片と前記切り口の両端部の前記係合片とが係合し、
前記箱本体と前記蓋部との境界近傍に、前記蓋部を開蓋しうる切り取り線が設けられていることを特徴とする包装ケース。 - 請求項1の包装ケースにおいて、
前記箱本体の側面部には、前記蓋部と接着される接着片が設けられており、前記接着片には、複数の微小切れ込みが形成されていることを特徴とする包装ケース。
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