JP3968318B2 - 保護層形成材の塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が終了した車両の塗装部を主とした外表面に保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関し、特に、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を塗布する保護層形成材の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は、製造後にユーザに手渡されるまでに屋外ストックヤードで保管されたり、トレーラ、船等で搬送されることが多い。この間、車両は粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等に曝されることから、長時間の保管及び搬送の間には、車両の外表面における複数の塗装層のうち表面層の品質が侵されるおそれがある。このような事態を防ぐため、車両出荷前の段階において塗装部に剥離性保護層を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。剥離性保護層は液状ラップ材である保護層形成材(ストリッパブルペイントとも呼ばれる)を塗布して乾燥させることにより形成され、塗装部を保護することができる。また、除去する際には容易に剥離させることができるとともに、通常の保管時には自然に剥離してしまうことがない。
【0003】
剥離性保護層が乾燥する前の保護層形成材を塗布する工程では、ローラに保護層形成材を付着させて、複数の作業者がローラを転がして保護層形成材の塗布を行っている。
【0004】
このような作業の自動化を図り、作業者の負担を軽減させるとともに塗布品質を均一化させるために、ボディ上に保護層形成材を注出した後、エアを吹き付けることによって保護層形成材を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば保護層形成材の塗布工程における作業の多くが自動化され、作業者の負担を軽減するとともに、タクトタイムを向上させることができて好適である。
【0005】
また、車両を生産する工場では、組み立て作業においてボディを傷つけることがないようにスクラッチカバーと呼ばれる樹脂製のカバーを仮付けすることがある。スクラッチカバーは、例えば、ボディの前方横面に仮付けされ、出荷前に外される。スクラッチカバーは車種毎に違う形状のものを用意する必要があり、さらに搬送ラインにおける日々の生産台数に応じて多数用意する必要がある。
【0006】
さらにまた、近時の工場では製品の多様化にともない、1つの搬送ラインが複数の車種に対応していたり、同車種であっても細部形状が異なる場合がある。また、購入予約のある特定の車両を製造する際には、製造時に他の一般車両とは区別する必要がある。このような搬送ラインの複雑な運行制御を正確に行うために、ホストコンピュータの月度オーダファイルに基づいて日別実行加工計画ファイルおよび生産管理情報を自動的に作成し、各ステーションの制御コンピュータに伝送する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−89697号公報(段落[0022]〜[0027])
【特許文献2】
特開平8−173882号公報(図1)
【特許文献3】
特開平9−141531号公報(図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の特許文献2で開示されている方法では、保護層形成材の広がり具合が必ずしも均一ではなく、また、保護層形成材が飛散することを防ぐために、ルーフの縁部には適用していない。
【0009】
さらに、近時の自動車のボディはより複雑な形状となりつつあり、凹凸部や複雑な曲面を有するものがある。このような凹凸部や曲面にはエアノズルによって保護層形成材を広げるということが困難である。さらにまた、塗装品質が特に重要視されている箇所には保護層形成材をより厚く塗る必要があるが、エアノズルで保護層形成材を広げる場合には塗膜の厚さを調整することは困難である。
【0010】
このようなことから、エアノズルで保護層形成材を広げた後に、数人の作業者がルーフの縁部や凹凸部等の細部にローラで保護層形成材を塗布して仕上げの処理を行う必要がある。従って、保護層形成材の塗布処理は一部を人手作業に頼っており、作業者の負担となるとともに、作業者の熟練度によって塗布品質にばらつきが発生する。
【0011】
このような作業者の作業を軽減し、かつ、作業の品質を均一にするためには、作業員が従来用いているローラを産業用のロボットに適用することが検討される。
【0012】
ところで、近時の車両を生産する工場では、特定のユーザの要求仕様に対応した車両を生産する場合がある。特定のユーザに対応した車両(以下、バックオーダ車という)を生産する際には、製造後速やかにユーザに引き渡すことになり、この間における塗装層の品質劣化の程度は極めて小さい。従って、このようなバックオーダ車には保護層形成材を塗布する必要はなく、バックオーダ車が搬送されてきたときには塗布作業を休止させることになる。この際、ロボットは適当な位置で待機し、ローラに対する保護層形成材の供給も停止する。
【0013】
また、車両を搬送する搬送ラインの台車には、工場操業上の都合により車両が載置されない空台車が搬送されてくることがある。この場合も、当然に保護層形成材を塗布する必要はなく、ロボットを待機させ、ローラに対する保護層形成材の供給を停止する。
【0014】
バックオーダ車や空台車が所定数以上連続して搬送される場合には、ロボットの待機時間が長くなり、ローラに吸収された保護層形成材は重力によって下方へ集められる。従って、保護層形成材が滴下して床面を汚したり、再稼働時に飛散するおそれがある。また、ローラの上方部は保護層形成材が少なくなって乾燥・固化するおそれがある。
【0015】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、保護層形成材を塗布しない作業休止時間を判断し、作業休止時間中に、ローラに残留する保護層形成材がローラ内で偏在することを防止する保護層形成材の塗布方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、複数の車両が台車によって順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラの長尺方向の幅より広く、前記ローラを転がすウォーミングアップ機構と、前記各車両又は台車毎に前記保護層形成材を塗布するか否かを示す情報と前記搬送ラインの運行との関係が記録された生産管理情報を保持する生産管理情報供給部と、前記生産管理情報供給部に接続され、前記生産管理情報を受信するとともに前記ロボットを制御する制御部と、を用い、前記ローラに前記保護層形成材を供給するとともに、前記車両に前記ローラを当接させて前記保護層形成材を塗布する塗布ステップと、前記生産管理情報供給部又は前記制御部が、前記生産管理情報に基づき前記塗布ステップを休止する作業休止時間を予め判断する判断ステップと、前記作業休止時間が第1閾値以上であるとき、前記ウォーミングアップ機構において前記ローラを転がす転動ステップと、を実行することを特徴とする。
【0017】
このように、塗布保護層形成材を塗布しない作業休止時間を生産管理情報に基づいて判断することができ、作業休止時間の所定時間毎に、ウォーミングアップ機構を用いてローラを転がすことにより、ローラに残留する保護層形成材がローラ内で偏在することを防止することができる。
【0018】
この場合、前記保護層形成材を前記ローラに供給する供給機構部をさらに用い、前記作業休止時間中、前記生産管理情報に基づき前記塗布ステップを再開するまでの作業再開時間を判断し、該作業再開時間が第2閾値を上回るとき、前記ローラに対する前記保護層形成材を遮断しながら前記転動ステップを実行し、前記作業再開時間が前記第2閾値以下であるとき、前記ローラに前記供給機構部から前記保護層形成材を供給しながら、前記転動ステップを実行するとよい。
【0019】
このようにすることにより、作業再開時間が第2閾値となるまでは保護層形成材を遮断しておくので、ローラ内に保護層形成材が過剰に供給されることがなく、無駄に排出することがない。さらに、作業再開時間が第2閾値となったときには、保護層形成材を供給しながらローラを転がし、塗布作業の準備を整えることができる。
【0020】
また、前記ロボットの動作範囲内に配置され、洗浄液を蓄えた貯水部と、該貯水部に蓄えられた洗浄液を蒸発又は霧化させる蒸気発生部と、をさらに用い、前記作業休止時間が前記第1閾値より大きい第3閾値を上回るとき、前記貯水部における洗浄液を前記蒸気発生部によって蒸発又は霧化させて、発生した蒸気を前記ローラに当てる加湿ステップを実行するとよい。
【0021】
このように、作業休止時間が第3閾値を上回るときには、蒸気によってローラを加湿し、ローラに残留する保護層形成材が乾燥・固化することを防止できる。
【0022】
さらに、前記制御部は、前記生産管理情報に基づいて、前記保護層形成材を塗布しない車両又は台車が連続して搬送される台数を認識し、該台数に基づいて前記作業休止時間を判断するとよい。車両の台数に基づくことにより作業休止時間を簡便に判断することができる。前記蒸気発生部は、超音波の振動により洗浄液を蒸発又は霧化させるものでもよい。また、前記保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いると、車両の塗装部をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る保護層形成材の塗布方法ついて好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図19を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法で用いる塗布装置10は、自動車の搬送ライン12に設けられるものであり、塗装の終了した車両14に対して保護層形成材を塗布するものである。車両14は、搬送ライン12上を移動する台車15に支持されて搬送される。通常、台車15は車両14を支持して搬送するが、工場操業上の都合により、希に車両14の載置されていない空の台車15が搬送されてくることもある。
【0026】
塗布装置10は、産業用ロボットである3台のロボット16a、16b、16cと、システム全体の制御を行う制御部18と、保護層形成材が収容されたタンク20と、該タンク20から各ロボット16a、16b、16cに連通する塗布材管路22と、水供給源24からロボット16a、16b、16cへ水を供給する水管路26とを有する。ロボット16a、16b、16cはそれぞれ制御部18に接続されたロボットコントローラ28a、28b、28cによって制御される。制御部18にはキーボードやポインティングデバイス等の入力装置18aと、モニタ画面18bが設けられている。モニタ画面18bには、例えば、ローラ設定メニュー(図7参照)に関する画面が表示される。
【0027】
ロボット16a及び16cは、搬送ライン12における車両14の進行方向左手側に設けられ、ロボット16bは、進行方向右手側に設けられている。また、ロボット16aは進行方向前方、ロボット16bは進行方向の中程、ロボット16cは進行方向後方に備えられている。ロボット16a、16b、16cは搬送ライン12と平行なスライドレール30上を移動可能である。
【0028】
塗布材管路22の途中にはポンプ32が設けられており、タンク20から保護層形成材を吸い上げてロボット16a、16b、16cへ供給する。また、保護層形成材は、図示しないヒータと温度計とによって適温となるように制御されている。ロボット16a、16b、16cの先端部には、それぞれ塗布材管路22及びその先端部のチューブ22a(図2参照)によって保護層形成材が供給されるローラ機構部34が設けられている。
【0029】
保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤を主成分とするものであって、好ましくは、ガラス転移温度の異なる2種のアクリル系コポリマ部分を有するものであるとよい。具体的には、例えば、前記の特許文献1で示されている保護層形成材を用いるとよい。また、保護層形成材は、水との混合割合及び温度の変化によって粘度を調整することができ、しかも、乾燥すると車両14に密着して粉塵、金属粉、塩分、油分、酸、直射日光等から車両14の塗装部を化学的及び物理的に保護することができる。さらに、車両14をユーザに納品の際等で除去するときには、容易に剥離させることができる。
【0030】
図2に示すように、ロボット16a、16b、16cは、例えば、産業用の多関節型のロボットであり、ベース部40と、該ベース部40を基準にして順に、第1アーム42、第2アーム44及び第3アーム46とを有し、該第3アーム46の先端にローラ機構部34が設けられている。ローラ機構部34は、第3アーム46に対して着脱自在であり、所謂、エンドエフェクタとして作用する。第1アーム42はベース部40に対して水平及び垂直に回動可能な軸J1、J2によって回動可能である。第2アーム44は第1アーム42と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム44は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム46は第2アーム44と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム46は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。
【0031】
このような6軸構成のロボット16a、16b、16cの動作によって、先端部に接続されたローラ機構部34は車両14の近傍における任意の位置に移動可能であって、かつ、任意の向きに設定可能である。換言すれば、ローラ機構部34は6自由度の移動が可能である。ロボット16a、16b、16cは、回転動作以外にも伸縮動作、平行リンク動作等の動作部を有するものであってもよい。
【0032】
各ロボット16a、16b、16cの近傍には容器台47が備えられており、該容器台47上には、ウォーミングアップ機構110と超音波駆動回路部130bを有するモイスチャーボックス130が固定されている。容器台47は、ローラ48が到達可能な動作範囲内に備えてあればよい。これらのウォーミングアップ機構110及びモイスチャーボックス130の各ロボット16a、16b、16cに対する相対位置は制御部18に記憶されている。ウォーミングアップ機構110及びモイスチャーボックス130の詳細な構成については後述する。
【0033】
図3に示すように、ローラ機構部34は、第3アーム46の先端部に取り付けられており、円筒形状で保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラ48と、ロボット16aの第3アーム46に対する取付部であるスラスト回転機構69とを有する。該スラスト回転機構69は、第3アーム46に対する取付部材70と、該取付部材70に対してベアリングを介して回転自在に支持されているスラスト回転部材74と、該スラスト回転部材74の下に取り付けられたローラ機構ベース部76とを有する。ローラ48の材質は、例えば、スポンジ及び植毛体等を挙げることができる。
【0034】
また、ローラ機構部34は、ローラ機構ベース部76の両端部に設けられた空気圧シリンダ78及び80と、ローラ機構ベース部76の略下端の揺動軸82に揺動自在に軸支された揺動部材84と、ローラ48を保持するホルダ86と揺動部材84とを接続するホルダ接続部88とを有する。ローラ48は揺動軸82を中心として、径方向に揺動自在である。揺動部材84は、上方に延在する2つの上方延在部84aを有し、該上方延在部84aの略上端には、揺動軸82と平行なピン90が設けられている。ピン90は揺動軸82より上方に設定されている。
【0035】
さらに、ローラ機構部34は、前記空気圧シリンダ78及び80のロッド78a及びロッド80aから力を受けて、前記揺動軸82を中心として回転する2つのピン押圧部材92及び94を有する。ピン押圧部材92の押圧面92aは、ロッド78aが縮退するとき前記ピン90の一端面を押圧し、ピン押圧部材94の押圧面94aは、ロッド80aが縮退するとき前記ピン90の他端面を押圧する。
【0036】
2つの上方延在部84aの間には、ローラ機構ベース部76から下方に延在する2つの下方延在部76aが配置され、該2つの下方延在部76aの間に押圧面92a及び94aが配置されている。
【0037】
スラスト回転部材74には回転規制部材96が設けられており、該回転規制部材96の上面の凹部96aには、取付部材70から下に突出する小突起98が配置されている。小突起98の幅は凹部96aの幅よりやや小さく、この隙間の範囲においてスラスト回転部材74はスラスト方向に回転自在となっている。ここでいうスラスト方向とは、ローラ48自体の軸心と直交する方向であり、第3アーム46の軸心を中心とした回転方向である。
【0038】
ホルダ接続部88には上部と下部で対向する2つのクランパ102及び104が設けられている。これらのクランパ102及び104はアルミパイプ106を保持しており、該アルミパイプ106により揺動部材84とホルダ86が連結されている。アルミパイプ106の表面には環状溝106aが設けられている。
【0039】
ローラ48の両端はホルダ86により回転自在に保持されており、塗布材管路22の先端部のチューブ22aはホルダ86の一端部を介してローラ48の内部に連通している。ローラ48はホルダ86に対して着脱自在である。
【0040】
図4に示すように、ウォーミングアップ機構110は、ローラ48及び該ローラ48を保持するホルダ86の幅より広い幅に設定されている。ウォーミングアップ機構110は、傾斜面112と、該傾斜面112の傾斜した2つの辺に設けられた側壁114aと、下辺に設けられた側壁114bと、下辺の近傍に設けられた排出口116とを有する。排出口116には、必要に応じて着脱可能な栓を設けてもよい。傾斜面112の上辺は両端部が小壁114cで支持されている。側壁114a、114b及び小壁114cは、底面板118と接続されている。傾斜面112には、アルミニウム板が用いられており、該アルミニウム板は容易に着脱可能である。
【0041】
傾斜面112の下辺には、切欠凹部112aが設けられている。傾斜面112には全面にわたり小さな網目状の凸部112bが設けられるとともに、所定の間隔で小さな孔112cが設けられている。
【0042】
傾斜面112はローラ48の外周径より長く設定されており、該傾斜面112上でローラ48を転がしたとき少なくとも360°回転させることができる。
【0043】
側壁114bの上部には、回動レバー120aを備えるリミットスイッチ120が設けられている。回動レバー120aは弱い弾性力によって傾斜面112の方向に傾斜しており、このときリミットスイッチ120はオフである。回動レバー120aがウォーミングアップ機構110の外方へ向かって回動されたとき(図18参照)、リミットスイッチ120はオンになる。リミットスイッチ120のオン・オフに関する信号は、ロボットコントローラ28a、28b、28cを介して制御部18に供給される。
【0044】
実際上、ウォーミングアップ機構110は、樹脂の容器の一部を加工し、傾斜面112に相当するアルミニウム板を小壁114cに立てかけるだけの簡便な構造である。アルミニウム板は容易に着脱可能であることから、適時取り外して表面に付着した保護層形成材を取り剥がすとよい。また、必要に応じて水で洗浄するとよい。ウォーミングアップ機構110は、保護層形成材を廃棄するための排水ピット上に配置すれば、底面板118は省略可能である。
【0045】
図5に示すように、モイスチャーボックス130は、上面開放の貯水ボックス(貯水部)130aと、該貯水ボックス130aに隣接する超音波駆動回路部130bとを有する。貯水ボックス130aは、ローラ48及び該ローラ48を保持するホルダ86よりやや広い幅を有するとともにホルダ86の2倍以上の高さを有する。貯水ボックス130aの内面には、超音波駆動回路部130bによって高周波で振動する超音波振動体(蒸気発生部)130cが設けられている。超音波振動体130cを振動させることにより、貯水ボックス130aに溜まっている水を蒸発(又は霧化)させて貯水ボックス130a内を湿潤に保つことができる。この方式によれば超音波振動体130cを振動させた後、極めて迅速に水を蒸発させることができる。超音波振動体130cの振動周波数は、水蒸気粒子の細かさが適切な大きさとなるように設定しておく。
【0046】
貯水ボックス130aには上部の供給口132から水が供給されて溜められる。供給口132は電磁弁134に接続されており、該電磁弁134を制御部18で操作することによって保護層形成材を貯水ボックス130aに供給することができる。貯水ボックス130aには液面計136が設けられており、保護層形成材の液面が低下したことを検出し、電磁弁134に作用して水を自動的に補給することができる。通常、水位が貯水ボックス130aの略半分の高さとなるように水を補給する。
【0047】
図6に示すように、ローラ48、ウォーミングアップ機構110及びモイスチャーボックス130に保護層形成材及び水を供給するための液圧及び空圧の複合回路150は、コンプレッサ152と、該コンプレッサ152の吐出部に接続されたエアタンク154と、空気圧の供給・遮断の切り換えを行う手動の空圧投入弁156と、制御部18から供給される電気信号によって2次側圧力を減少させるレギュレータ操作弁160と、該レギュレータ操作弁160の2次圧によってパイロット操作されて塗布材管路22の圧力を減少させるレギュレータ158とを有する。また、複合回路150は、レギュレータ158の2次側管路及び水管路26が接続されたMCV162を有する。MCV162の2次側とローラ48との間にはトリガー弁164が設けられている。MCV162の内部には、塗布材管路22及び水管路26の連通・遮断の切り換えを行う切換弁162a、162bが設けられており、該切換弁162a、162bの2次側は連通している。なお、図6の破線は空気圧管路を示す。
【0048】
MCV162及びレギュレータ操作弁160は、空気圧パイロット式に限らず電気ソレノイド等の駆動方式のものでもよい。
【0049】
複合回路150は、さらに、空圧投入弁156から供給される空気圧を切り換えることによって切換弁162a、162bをパイロット形式で操作するMCV切換電磁弁166と、トリガー弁164を空気圧によりパイロット操作するトリガー切換電磁弁168とを有する。
【0050】
MCV切換電磁弁166は制御部18から供給される電気信号によって、切換弁162a、162bのいずれか一方を連通させるとともに他方を遮断し、水と保護層形成材とを切り換えてトリガー弁164に供給する。トリガー切換電磁弁168は、制御部18から供給される電気信号によってトリガー弁164を連通・遮断に切り換えてローラ48に水又は保護層形成材を供給する。
【0051】
塗布材管路22及び水管路26の途中には、それぞれ手動の止め弁170、172が設けられている。通常、止め弁170及び172は連通させておく。複合回路150において空気の排出口にはそれぞれサイレンサ174が設けられており、排気音を低減させている。コンプレッサ152、ポンプ32及び水供給源24には、過剰な圧力上昇を防止するリリーフ弁(図示せず)が設けられている。
【0052】
水管路26には前記の電磁弁134が接続されており、該電磁弁134を介してモイスチャーボックス130に水を供給することができる。
【0053】
なお、複合回路150におけるコンプレッサ152、エアタンク154、水供給源24及びポンプ32は、各ロボット16a、16b、16cに共通であり、それ以外の機器は各ロボット16a、16b、16cに個別に備えられている。
【0054】
図7に示すように、モニタ画面18bに表示されるローラ設定メニューは、洗浄時間テーブル140と、材料充填時間テーブル142とを有する。洗浄時間テーブル140は、各ロボット16a、16b、16c毎に、後述する洗浄動作を実行させる時間(以下、洗浄設定時間という)を設定するテーブルである。材料充填時間テーブル142は、各ロボット16a、16b、16c毎に、後述する第1動作(ウォーミングアップ機構110の傾斜面112上でローラ48を転がす動作)を実行させる時間(以下、材料充填設定時間という)を設定するテーブルである。洗浄時間テーブル140及び材料充填時間テーブル142はそれぞれ「設定値」行と「経過時間」行とを有し、入力装置18aを操作することによって、各ロボット16a、16b、16c毎に洗浄設定時間及び材料充填設定時間を入力する。洗浄設定時間及び材料充填設定時間は所定の記録部に保持される。
【0055】
洗浄時間テーブル140及び材料充填時間テーブル142の「経過時間」は、各ロボット16a、16b、16cの動作の経過時間が表示される行である。また、洗浄動作及び第1動作が実行される度に「0.0」にリセットされ、その直後自動的に計時を再開し経過時間を表示する。
【0056】
また、モニタ画面18bには、所定のポインティングデバイスの操作で指示されるスタートボタン144、停止ボタン146及び待機姿勢ボタン148が設けられている。スタートボタン144及び停止ボタン146は、ロボット16a、16b、16cの動作を開始及び停止させるボタンである。待機姿勢ボタン148は、ロボット16a、16b、16cを車両14等と干渉することのない所定の待機姿勢にするボタンである。具体的には、ローラ48およびホルダ86をリミットスイッチ120(図18参照)の回動レバー120aを回動する位置に移動させる。スタートボタン144、停止ボタン146及び待機姿勢ボタン148は、所定の操作によってロボット16a、16b、16cに対して個別に動作指示が可能である。
【0057】
図9に示すように、保護層形成材の塗布装置10は、車両14を生産する工場の生産システム200における1つのステーションとして位置づけられている。生産システム200は、毎月の生産予定に関する情報を含む月度オーダファイルを保持するホストコンピュータ202と、該ホストコンピュータ202から月度オーダファイルを受信して日別実行加工計画ファイルを作成する計画作成コンピュータ204と、該日別実行加工計画ファイルに基づいて生産管理情報(図10〜図13参照)、素材投入用データ、装置空け指示情報や合流指示情報等を作成する搬送ライン制御コンピュータ206とを有する。生産システム200は、具体的には、例えば、前記の特許文献3で示されているシステムを用いるとよい。
【0058】
保護層形成材の塗布装置10、計画作成コンピュータ204、搬送ライン制御コンピュータ(生産管理情報供給部)206およびステーションST0、STn等はコンピュータネットワーク208に接続されており、これらの装置はコンピュータネットワーク208を介して相互通信が可能である。生産システム200で使用する搬送ライン12は、図9で示すような単一のラインに限らず、複数のラインでもよく、また分岐部や合流部を有するものであってもよい。
【0059】
図10〜図13に示すように、搬送ライン制御コンピュータ206が作成する生産管理情報は、搬送ライン12の運行順に基づき、各車両14及び台車15毎の情報が記録されたテーブルデータである。車両14の情報は、車両識別番号、車種、塗装色およびバックオーダ車であるか否かの情報が挙げられる。また、台車15が空の状態である場合には、車両識別番号の欄に「空台車」と記録される。バックオーダ車とは、上記のとおり、所定のユーザの要求仕様に対応して生産する車両であり、製造後速やかにユーザに引き渡すことから保護層形成材を塗布する必要がない車両である。
【0060】
生産管理情報は各ステーションに対して所定のタイミングで自動的に供給され、又はステーションからの送信要求に応じて適宜供給される。各ステーションでは、受信した生産管理情報に基づいて、その後搬送されてくる車両14及び台車15に関する情報を先行して認識することが可能である。
【0061】
例えば、ステーションの1つである保護層形成材の塗布装置10が図10に示す生産管理情報を受信したとき、塗布装置10の制御部18は、その時点で搬送されてきた車両14の車両識別番号は「17385」であることを認識できる。また、その車両14の車種および塗装色はそれぞれ「ACD−1」および「rd」であることを認識できる。さらに、バックオーダの欄は、その車両14がバックオーダ車ではないことを示す「−」が記録されている。従って、その車両14に保護層形成材を塗布する必要があることを認識できる。バックオーダの欄に「○」が記録されているときには、その車両14はバックオーダ車であることを示し、制御部18は、その車両14に保護層形成材を塗布する必要がないことを認識できる。
【0062】
さらに、車両14が載置されていない空の台車15が搬送されてくる場合には、図10の「7番目ロット」の行のように、車両識別番号には「空台車」と記録されるとともに、バックオーダの欄には「△」が記録される。この「△」は保護層形成材を塗布する必要がないということを示す。
【0063】
図10で示す生産管理情報を受信した後、例えば、4台の車両14又は台車15が搬送された時点では図11に示す生産管理情報を受信する。その後、例えば、6台の車両14又は台車15が搬送された時点では図12に示す生産管理情報を受信する。さらにその後、例えば、7台の車両14又は台車15が搬送された時点では図13に示す生産管理情報を受信する。
【0064】
次に、このように構成される保護層形成材の塗布装置10を用いて、車両14に保護層形成材を塗布する方法について説明する。
【0065】
まず、予め、各ロボット16a、16b、16cに対して保護層形成材を塗布する動作の教示を行う。ロボット16a、16b、16cに車両14のボンネット部14a(図1参照)、ルーフ中央部14b及びルーフ後方部14cをそれぞれ分担させて、各担当部に保護層形成材を塗布させるように教示し、教示したティーチングデータは制御部18の所定の記録部に記録し、保持しておく。車両14がセダン型であるときには、ロボット16cはトランク部を分担する。
【0066】
保護層形成材を塗布する処理は、搬送ライン12において1台の車両14毎に設定されているタクトタイム内で終了するように教示を行う。
【0067】
また、各ロボット16a、16b、16cに対して、以下に示す第1動作、第2動作及び第3動作を教示させておく。
【0068】
第1動作は、ウォーミングアップ機構110(図4参照)の傾斜面112上でローラ48を複数回(例えば、10回)往復して転がす動作である。この第1動作はローラ48を塗布に適した状態となるように準備するための動作であり、ウォーミングアップ動作とも呼ばれる。
【0069】
第2動作は、ローラ48をモイスチャーボックス130(図5参照)の貯水ボックス130aに挿入する動作であり、ローラ48を貯水ボックス130aに溜めた水に接触させないように教示する。
【0070】
第3動作は、ホルダ86をモイスチャーボックス130(図8参照)の貯水ボックス130aに挿入する動作であり、ホルダ86のチューブ接続部86a(図8参照)を貯水ボックス130aに溜めた水に沈めるように教示する。このとき、ローラ48はホルダ86から取り外しておく。
【0071】
次に、ロボット16a、16b、16cに対する動作の教示が終了後、車両14に保護層形成材を塗布する方法について図14〜図18を参照しながら説明する。
【0072】
先ず、ステップS1において、ウォーミングアップ機構110及びモイスチャーボックス130の貯水ボックス130aにそれぞれ保護層形成材及び水を規定液位となるように供給する。この処理は、液面計136、電磁弁134によって自動的に行われる。
【0073】
次に、ステップS2において、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢にし、ホルダ86にローラ48を装着する。このローラ48は、未使用のもの又は洗浄して保護層形成材が洗い流されたものを用いる。
【0074】
ここで、待機姿勢とは、図18に示すように、ホルダ86を回動レバー120aに押し当てて、該回動レバー120aを回動させる位置にロボット16a、16b、16cを移動させた姿勢である。このようにすることにより、ローラ48を装着する作業者は、モニタ画面18b(図1参照)によって、各ロボット16a、16b、16cがローラ48を交換する姿勢に至ったことを集中的に管理、認識することができる。また、各ロボット16a、16b、16cが正しい動作を行っていることを確認することができる。
【0075】
次いで、ステップS3において、所定の初期処理を行う。すなわち、保護層形成材を所定のヒータによって適温に加温するとともに、コンプレッサ152、水供給源24及びポンプ32を動作させる。また、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に保ち、空圧投入弁156を連通させる。
【0076】
また、このとき生産管理情報を受信し、最初に搬入されてくる車両14の車種を確認する。
【0077】
さらに、ステップS4において、予め教示したウォーミングアップ動作を実行させる。すなわち、チューブ22aからローラ48の内面に保護層形成材を供給しながら傾斜面112上でローラ48を複数回往復して転がす。
【0078】
チューブ22aから供給される保護層形成材は、ローラ48の表面にしみ出るまでやや時間がかかるが、塗布作業を行う前段階でウォーミングアップ動作を実行させることによって保護層形成材を予め十分に染みこませておくことができ、塗布作業を直ちに開始することができる。また、保護層形成材をローラ48に染みこませることによって、ローラ48を構成する材料(例えば、植毛体)は柔らかくなり保護層形成材に馴染む。
【0079】
さらに、傾斜面112は3方を側壁114a及び114bで囲われていることから、保護層形成材が外部に漏出又は飛散しにくい。また、ローラ48を転がしたときににじみ出た余分な保護層形成材は傾斜面112を流れ落ちて切欠凹部112aを通り底面板118に流れ込み、排出口116から排出される。ローラ48からにじみ出る保護層形成材の量が過剰であるときには、孔112cから底面板118に滴下する。従って、傾斜面112上には適量の保護層形成材が残ることとなり、この傾斜面112をローラ48が転がることによって、ローラ48の植毛体(又はスポンジ)が保護層形成材に馴染む。
【0080】
傾斜面112は、ローラ48の外周径より長いので、ローラ48を360°以上回転させることができ、保護層形成材をローラ48の全周の面に均一に染みこませることができる。ローラ48は傾斜面112に設けられた網目状の凸部112bによって抵抗を受けるので、空回りすることがない。また、前記凸部112bによりローラ48の表面は小さい圧縮・伸張を繰り返すことになり、保護層形成材が染みこみやすい。
【0081】
さらに、傾斜面112の上辺は両端が小壁114cで支えられており、それ以外の部分は開放されている。従って、開放された部分からローラ48を傾斜面112上に進入させやすい。また、小壁114cの幅は狭いことからホルダ86に干渉することがない。
【0082】
ウォーミングアップ動作を実行させて保護層形成材をローラ48に染みこませた後、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に戻す(ステップS5)。
【0083】
このとき、ローラ48は、傾斜面112の上方に配置されることになり、ローラ48から保護層形成材が滴下しても傾斜面112上に落ちることからウォーミングアップ機構110以外の部分を汚すことがない。
【0084】
次に、ステップS6において、塗装の終了した車両14を搬送ライン12によって搬入し、ロボット16a、16b、16cの近傍で停止させる。制御部18は、車両14又は台車15が搬入されたことを搬送ライン12から供給される信号又はセンサ(図示せず)によって確認して次のステップS7に移る。車両14又は台車15の搬入が確認されない場合はそのまま待機する。
【0085】
ステップS7においては、各ロボット16a、16b、16cを教示データに基づいて動作させ、車両14の表面に保護層形成材を塗布する。なお、初期処理(ステップS3)後、最初に搬送されてくる台車15には、必ず車両14が載置されているものとする。
【0086】
このとき、制御部18はレギュレータ操作弁160(図6参照)を介してレギュレータ158を制御し、塗布材管路22を適当な圧力に制御する。また、MCV切換電磁弁166を介してMCV162を制御し、塗布材管路22を連通させるとともに水管路26を遮断する。さらに、制御部18はトリガー切換電磁弁168を操作することによってトリガー弁164を連通させる。このような制御部18の作用によって保護層形成材は適当な圧力及び適温に保たれながらローラ機構部34のローラ48の内面に供給される。
【0087】
また、ローラ48の内面に供給された保護層形成材はローラ48の表面ににじみ出るまでにやや時間がかかるが、前記のステップS4において予めウォーミングアップ動作を実行しているので、直ちに塗布作業を行うことができる。
【0088】
レギュレータ158による圧力制御と、ロボット16a、16b、16cの動作速度及びロッド78a及び80aに加える力の制御とによって車両14に塗布する保護層形成材の厚みを調整することができる。
【0089】
このときの車両14は塗装が終了していればよく、部品等が取り付けられていない未完成車であってもよいことはもちろんである。
【0090】
ロボット16a、16b、16cによって保護層形成材が塗布された車両14は、搬送ライン12によって次工程へ搬送される。塗布された保護層形成材は、自然乾燥又は送風しながら乾燥させて可剥離性保護層を形成し、車両14の塗装部を保護する。
【0091】
次に、ステップS8において、材料充填時間テーブル142(図7参照)の「設定値」の行で示される材料充填設定時間が経過したか否かを確認する。材料充填設定時間が経過しているときには、対応するタイマカウンタを「0.0」にリセットした後ステップS4へ戻りウォーミングアップ動作を行う。材料充填設定時間が経過していないときには次のステップS9へ移る。
【0092】
材料充填設定時間が経過したときにはステップS4に戻るので、定期的なウォーミングアップ動作によりローラの表面を形成する材料を保護層形成材に馴染ませることができる。従って、車両14に対する保護層形成材の塗りむらの発生を防止するとともに塗膜厚が不足することを防止することができる。
【0093】
ステップS9においては、洗浄時間テーブル140(図7参照)の「設定値」の行で示される洗浄設定時間が経過したか否かを確認する。洗浄設定時間が経過しているときには、対応するタイマカウンタを「0.0」にリセットした後、図15に示す休止モードに移る。洗浄設定時間が経過していないときには次のステップS10へ移る。
【0094】
ステップS10においては、所定の休止時間であるか否かを確認する。休止時間であるときには図15に示す休止モードへ移り、それ以外のときには次のステップS11へ移る。
【0095】
ここで、休止時間とは終業時間、昼休みの開始時間および工場操業上の所定の区切り時間等で搬送ライン12が停止する時間である。
【0096】
ステップS11においては、搬送ライン制御コンピュータ206(図9参照)から生産管理情報(図10参照)を受信する。
【0097】
次に、ステップS12において、受信した生産管理情報に基づいて、その時点で搬送された車両14がバックオーダ車又は空の台車15(以下、総称して塗布不要台車と呼ぶ)であるか否かを確認する。つまり、生産管理情報の現在ロットの行におけるバックオーダの欄が「○」又は「△」であるときには、塗布不要台車が搬送されてくることを示し、図16及び図17に示すバックオーダモードへ移る。バックオーダの欄が「−」が記録されているときにはステップS5へ移る。
【0098】
例えば、図10に示す生産管理情報を受信したときには、その時点で搬送されてきた車両14の情報、すなわち現在ロットの行におけるバックオーダの欄に「−」が記録されていることから、ステップS5に移る。その後4台の車両14が通過し、車両識別番号「17389」の車両14が搬入されたときには、図11に示す生産管理情報を受信する。このとき、現在ロットの行におけるバックオーダの欄に「○」が記録されていることからバックオーダモードへ移る。同様に、バックオーダの欄に「△」が記録されている場合にもバックオーダモードへ移る。
【0099】
このように、生産管理情報を用いることによって、搬送される車両14及び台車15に対して保護層形成材の塗布作業を行うか否かの判断をし、処理を分岐することができる。
【0100】
図15に示す休止モードでは、まずステップS101において、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に戻し、ローラ48をホルダ86から取り外す。取り外したローラ48は、専用の洗浄装置で洗浄し、その後乾燥させる。
【0101】
次に、ステップS102において、洗浄動作を行う。洗浄動作とは、MCV切換電磁弁166(図6参照)を介してMCV162を操作し、切換弁162aを遮断するとともに切換弁162bを連通させる動作である。この洗浄動作によって、水管路26から水が供給され、MCV162、トリガー弁164、チューブ22aを洗浄することができる。ローラ48はステップS101で取り付けたままとし、ステップS102において洗浄動作により洗浄し、その後取り外して、さらに専用の洗浄装置で洗浄してもよい。
【0102】
次いで、ステップS103において、休止時間が小休止に対応するものであるか長休止に対応するものであるかを確認する。小休止は、昼休み及び工場操業上の所定の区切り時間等の休止時間であり、長休止は、終業時間後の夜間等の休止時間である。小休止に対応した休止時間であるときにはステップS104へ移り、長休止に対応した休止時間であるときにはステップS108へ移る。
【0103】
ステップS104においては、前記のステップS2と同様にホルダ86にローラ48を装着する。このローラ48は、未使用のもの又は洗浄して保護層形成材が洗い流されたものである。
【0104】
次に、ステップS105において、前記のステップS4と同様にウォーミングアップ動作を実行させる。ウォーミングアップ動作によって、新しく装着したローラ48の表面を形成する材料を馴染ませることができるとともに保護層形成材を染みこませることができる。
【0105】
次いで、ステップS106において、予め教示した第2動作を実行させる。つまり、ローラ48を、水に接触しない程度にモイスチャーボックス130(図5参照)の貯水ボックス130aに挿入する。このとき、超音波振動体130cを振動させて水を蒸発させることにより貯水ボックス130aの内部を湿潤に保ち、ローラ48を加湿する。また、保護層形成材の供給は止めておく。
【0106】
なお、ローラ48は、必ずしも貯水ボックス130a内の水によって加湿することはなく、他の部分に溜めた水を蒸発させて、発生した蒸気をローラ48に当てるように導いてもよい。
【0107】
保護層形成材は、車両14に塗布した後は迅速に乾燥・固化することが望ましいことから、乾燥・固化しやすいように調整されているものがある。しかしながら、車両14に塗布する前段階でローラ48に染みこんでいるときには乾燥・固化することは不都合である。本実施の形態においては、昼休み等の小休止時にはモイスチャーボックス130を用いてローラ48を加湿し、保護層形成材の乾燥・固化を防止することができる。また、前のステップS105においてローラ48には保護層形成材が十分に染みこんでいるので、小休止が終了したときには、直ちに保護層形成材の塗布を開始することができる。
【0108】
ところで、熱式の蒸気発生器を用いる場合には、蒸気が発生するまでに時間がかかる。従って、ローラ48を貯水ボックス130aに挿入する所定時間前から通電等の発熱処理を行う必要があり、エネルギ消費量が大きい。また、例えば、搬送ライン12を臨時に停止させローラ48を急きょ加湿する必要が生じたときには、熱式の蒸気発生器では水蒸気の発生が間に合わず、ローラ48に染みこんだ保護層形成材が乾燥・固化するおそれがある。
【0109】
本実施の形態で用いるモイスチャーボックス130は超音波式であることから、ローラ48を貯水ボックス130aに挿入した後、超音波振動体130cを振動させることにより迅速に水蒸気を発生させることができるので、保護層形成材の乾燥・固化をより確実に防止できる。ローラ48を急きょ加湿する必要が生じたときにも対応可能である。また、ローラ48を貯水ボックス130aに挿入していないときには水蒸気の発生を停止させることができるのでエネルギ消費量が少ない。また、モイスチャーボックス130は、熱式と異なり発熱することがないので取り扱いが容易である。
【0110】
なお、小休止時にはステップS101〜S105においてローラ48を洗浄、交換するとともにウォーミングアップ動作を実行すると説明したが、小休止の時間が短いときには、これらのステップS101〜S105を省略してステップS106へ移り、その時点で用いているローラ48をそのままモイスチャーボックス130内で加湿してもよい。ステップS101、ステップS102およびS104洗浄、交換処理のみを省略し、ウォーミングアップ動作を実行(ステップS105)させた後に、ステップS106へ移ってもよい。
【0111】
次に、ステップS107において、制御部18は休止時間が終了したか否かを確認する。このとき、各ロボット16a、16b、16cのローラ48は貯水ボックス130aに挿入したままとし、超音波振動体130cによって水蒸気を発生させて湿潤状態に保つ。休止時間が終了したときにはステップS5に移り、休止時間であるときにはそのまま待機する。なお、休止時間が終了したときにはステップS4へ戻りウォーミングアップ動作を実行してもよい。
【0112】
ステップS108、つまり、夜間等の長休止であるときには、ローラ48をホルダ86から取り外したまま、予め教示した第3動作を実行させる。つまり、ホルダ86を、モイスチャーボックス130(図8参照)の貯水ボックス130aに挿入し、ホルダ86のチューブ接続部86aを貯水ボックス130aに溜めた水に沈める。このとき、超音波振動体130cは停止させたままとし、水蒸気は発生させない。
【0113】
このように、チューブ接続部86aを水に沈めておくことにより、トリガー弁164及びチューブ22a等に多少残留している保護層形成材の乾燥・固化によって管路が詰まることを防止できる。
【0114】
なお、長休止としては、通常の夜間における休止と、連休等の24時間以上の休止が挙げられるが、24時間以上の休止時には貯水ボックス130aに蓄える水の量を多くし、ホルダ86を深く沈めておくとよい。このように、休止時間の長さに応じて水を補充することによって、自然蒸発による水位の低下を補うことができる。
【0115】
このステップS108により保護層形成材の塗布作業は終了し、再稼働する際には前記のステップS1から実行する。
【0116】
次に、図16及び図17に示すバックオーダモードでは、まず、ステップS201において、受信した生産管理情報に基づいて、保護層形成材の塗布作業を休止する作業休止時間を判断する(判断ステップ)。つまり、その時点から後に搬送される車両14又は台車15が8台以上連続して塗布不要台車であるか否かを確認する。8台以上連続して塗布不要台車である場合には作業休止時間が長いと判断しステップS202へ移る。塗布不要台車の連続する台数が1台〜7台であるときには作業休止時間が短いと判断しステップS208(図17参照)へ移る。
【0117】
具体的には、生産管理情報の現在ロットの行から8番目ロットまでの行におけるバックオーダの欄に1つでも「−」が記録されているときにはステップS208へ移り、現在ロットから8番目ロットまでの行におけるバックオーダの欄が連続して8つ「○」又は「△」のいずれかが記録されているときにはステップS202に移る。例えば、図11に示す生産管理情報を受信したときには、現在ロットから8番目ロットまでの行におけるバックオーダの欄に「○」又は「△」のいずれかが記録されていることからステップS202へ移る。また、図13に示す生産管理情報を受信したときには、「○」又は「△」の連続する数が5であり、6番目ロットの行には「−」が記録されていることからステップS208へ移る。
【0118】
ところで、前記休止モードのように、昼休みや夜間等の定期的な休止時はタイマーやクロック等で認識することができ、上記の通り、ローラ48に残留する保護層形成材が乾燥・固化することを防ぐためにモイスチャーボックス130を用い加湿することができる。一方、塗布不要台車が連続して搬入される場合にも塗布作業を休止することから、ローラ48に残留する保護層形成材が乾燥・固化することを防ぐ必要がある。しかしながら、塗布不要台車が連続して搬入されるタイミングは不定期に発生するために、タイマーやクロック等では判断することができない。
【0119】
本実施の形態では、生産管理情報に基づいて、塗布不要台車が連続して搬入される台数を予め認識することができるので、認識した台数に応じて適切な処理を行うことができる。つまり、塗布不要台車が連続して搬入される台数によりステップS208又はS202のいずれか一方に移るように処理を分岐させることができる。
【0120】
なお、塗布不要台車が8台以上連続して搬入される場合に、その最後の塗布不要台車が搬入および搬出し終わるまでの間に定時の休止時間(例えば、昼休み)になると判断される場合には、休止モードのステップS101(図15参照)へ移るようにしてもよい。
【0121】
ステップS202においては、ローラ48を水に接触しない程度にモイスチャーボックス130(図5参照)の貯水ボックス130aに挿入する。このとき、超音波振動体130cを振動させて水を蒸発させることにより貯水ボックス130aの内部を湿潤に保ち、ローラ48を加湿する(加湿ステップ)。また、保護層形成材の供給は止めておく。このステップS202の処理は、前記のステップS106と同様の処理である。このように、塗布不要台車が8台以上連続して搬入され、保護層形成材の塗布作業を停止する作業休止時間が長いときには、モイスチャーボックス130によってローラ48を加湿するので、ローラ48に染みこんでいる保護層形成材の乾燥・固化を防止することができる。
【0122】
次いで、ステップS203において、前記のステップS6と同様に、車両14又は台車15が搬入されるまでそのまま待機する。車両14又は台車15が搬入されたことを確認した後、次のステップS204へ移る。
【0123】
ステップS204においては、前記のステップS11と同様に、搬送ライン制御コンピュータ206から生産管理情報を受信する。
【0124】
次に、ステップS205において、受信した生産管理情報に基づいて、塗布作業を再開するまでの作業再開時間が所定値以下であるか否かを判断する。つまり、その時点から後に搬送される車両14又は台車15が連続して2台が塗布不要台車であるか判断する。図12に示すように、連続して2台が塗布不要台車であるときには次のステップS206へ移る。3台以上連続して塗布不要台車である場合にはステップS203へ戻り、次の車両14又は台車15が搬入されるまで待機する。具体的には、生産管理情報の3番目ロットの行におけるバックオーダの欄に「−」が記録されているときにはステップS206へ移り、「○」又は「△」が記録されているときにはステップS203へ戻る。
【0125】
このステップS205および前記のステップS201における分岐判断は、車両14又は台車15の台数に基づく判断に限ることはない。つまり、塗布不要台車の台数から予測される所要時間に基づいて判断によって分岐判断を行ってもよく、台数による判断と時間による判断は実質的に同じである。
【0126】
ステップS206(転動ステップ)においては、前記のステップS4と同様にウォーミングアップ動作を実行させる。このように、塗布不要台車が連続して搬入される台数が2台になったときには、保護層形成材を供給しながらウォーミングアップ動作を実行することにより、保護層形成材の塗布作業の準備を整えることができる。
【0127】
次に、ステップS207において、前記のステップS6と同様に、車両14又は台車15が搬入されるまでそのまま待機する。車両14又は台車15が搬入されたことを確認した後、ステップS5へ移り、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢にする。
【0128】
この後、次の車両14が搬入されるまで待機(ステップS6)した後、車両14に対する保護層形成材の塗布作業を再開することになる(ステップS7)。つまり、連続して搬入される塗布不要台車のうち最後の1台が搬入されたときにロボット16a、16b、16cを待機姿勢にすることにより、次の車両14が搬入されたときには即時に保護層形成材の塗布作業を再開することができる。
【0129】
次に、前記のステップS201において、塗布不要台車が7台以下であるときには、図17のステップS208に移り、ロボット16a、16b、16cを待機姿勢に戻す。
【0130】
次いで、ステップS209において、前記のステップS6と同様に、車両14又は台車15が搬入されるまでそのまま待機する。車両14又は台車15が搬入されたことを確認した後、次のステップS210へ移る。
【0131】
ステップS210においては、前記のステップS11と同様に、搬送ライン制御コンピュータ206から生産管理情報を受信する。
【0132】
次に、ステップS211において、前記のステップS205と同様に、その時点から後に搬送される車両14又は台車15が連続して2台が塗布不要台車であるか否かを判断する。連続して3台以上が塗布不要台車であるときにはステップS212へ移る。
【0133】
ステップS212(転動ステップ)においては、予め教示したウォーミングアップ動作を実行させる。ただし、このステップS212では、前記のステップS4、S105及びS206と異なり、ローラ48に対して保護層形成材を遮断してウォーミングアップ動作を行う。つまり、トリガー弁164(図6参照)を遮断しておく。このステップS212の処理後、ステップS208へ戻る。
【0134】
このステップS212は、塗布不要台車の連続する数が2台になるまで毎回実行され、傾斜面112上で定期的にローラ48を転がすこととなる。従って、ローラ48内の下方の一定部分に保護層形成材が溜まり続けることがなく、ローラ48から保護層形成材が滴下する頻度が少ない。また、ローラ48の上方部の保護層形成材が乾燥・固化することがない。さらに、トリガー弁164を遮断していることから、保護層形成材が無駄に排出されることがない。
【0135】
さらにまた、ステップS211において、塗布不要台車の連続する残り台数が2台であるときにはステップS206へ移り、保護層形成材を供給しながらウォーミングアップ動作を行う。従って、その後車両14に保護層形成材を塗布するとき(ステップS7)には、ローラ48には必要にして十分な保護層形成材が染みこんでいることから、直ちに塗布作業を行うことができ、しかも塗りむらが少ない。
【0136】
また、前記ステップS212ではトリガー弁164(図6参照)を遮断していることから、ローラ48内には保護層形成材が過剰に蓄えられることがない。従って、塗布作業を再開する際、待機姿勢から車両14の塗布面に移動させるまでの間に、例えば、ロボット16a、16b、16cを急動作又は急停止させたときにも保護層形成材が滴下する頻度が少ない。
【0137】
図14〜図17における処理は主に制御部18のプログラム処理によって自動的に行われ、一部の補助的な作業だけを担当の作業員が行えばよい。補助的な作業とは、例えば、ステップS2、S101およびS104におけるローラ48の着脱作業等である。
【0138】
ウォーミングアップ動作は、ウォーミングアップ機構110を用いて行うものとして説明したが、ウォーミングアップ機構110に代えて、図19に示す容器620を用いてもよい。
【0139】
図19に示すように、容器620は平型であり、幅はローラ48および該ローラ48を保持するホルダ86よりやや広い。容器620は、緩やかに傾斜した傾斜面620aと、該傾斜面620aの下部に対して滑らかに接続された貯溜部620bとを有する。貯溜部620bはローラ48の直径程度の深さを有する。傾斜面620aには全面にわたり小さな網目状の凸部620cが設けられている。傾斜面620aはローラ48の外周径より長く設定されており、該傾斜面620a上でローラ48を転がしたとき少なくとも360°回転させることができる。
【0140】
貯溜部620bには上部の供給口122から保護層形成材が供給されて溜められる。供給口622は電磁弁624に接続されており、該電磁弁624を制御部18で操作することによって保護層形成材を貯溜部620bに供給することができる。貯溜部620bには液面計626が設けられており、保護層形成材の液面が低下したことを検出し、電磁弁624に作用して保護層形成材を自動的に補給することができる。
【0141】
このような容器620を用い、ステップS212のように保護層形成材を遮断した状態でウォーミングアップ動作を行う際には、傾斜面620aでローラ48を転がせばよい。また、ステップS206のように保護層形成材を供給しながらウォーミングアップ動作を行う際には、一度、ローラ48を貯溜部620bに溜めた保護層形成材に浸した後に傾斜面620aで転がすとよい。これにより、ローラ48に対して外側からも保護層形成材を供給することとなり、より確実に保護層形成材を染みこませることができる。ローラ48を転がしたときににじみ出た余分な保護層形成材は傾斜面620aを流れ落ちて貯溜部620bに溜められるので再利用することができる。
【0142】
貯水ボックス130a及び容器620への水の供給、保護層形成材の供給は、液面計136、626等を用いることなく作業員が目視判断で行ってもよい。
【0143】
上記したように、本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法によれば、制御部18は搬送ライン制御コンピュータ206から供給される生産管理情報に基づいて塗布不要台車が連続して搬送される台数を予め認識することができ、保護層形成材の塗布作業の作業休止時間を判断することができる。
【0144】
塗布不要台車が1台(第1閾値)以上、8台(第3閾値)未満連続して搬送されるときには、ウォーミングアップ機構110においてローラ48を転がすことから、ローラ48内の下方の一定部分に保護層形成材が偏在して溜まり続けることがなく、ローラ48から保護層形成材が滴下する頻度が少ない。また、ローラ48の上方部の保護層形成材が乾燥・固化することがない。この場合、作業休止時間がやや短いことから、モイスチャーボックス130による加湿を行うことがなく、超音波駆動回路部130b等を動作させるためのエネルギを節約することができる。
【0145】
また、塗布不要台車が2台(第2閾値)となるまで、トリガー弁164を遮断していることから、保護層形成材が無駄に排出されることがない。しかも、ローラ48内には保護層形成材が過剰に蓄えられることがないことから、塗布作業を再開する際、ローラ48を移動させても保護層形成材が滴下する頻度が少ない。
【0146】
さらに、塗布不要台車が8台以上連続して搬送されるときには、作業休止時間が長くなることから、モイスチャーボックス130内でローラ48の加湿処理を行い、保護層形成材の乾燥・固化を防止することができる。この場合、塗布不要台車が連続して搬送される台数が2台となったことを生産管理情報に基づいて予め認識することができることから、モイスチャーボックス130による加湿処理を終了し、ウォーミングアップ機構110を用いたウォーミングアップ動作を行うことから、保護層形成材の塗布作業の準備を整えることができる。
【0147】
さらにまた、ローラ48を備えるローラ機構部34をロボット16a、16b、16cで操作するとともにローラ48に保護層形成材を供給することにより、保護層形成材を塗布する工程を自動化し、塗布品質を均一化することができ、車両14の表面に保護層形成材を塗布する工程を、従来技術よりもさらに自動化させることができる。
【0148】
また、自動化によって作業者が保護層形成材を塗布する工程がなくなることから、工程数を減少させて生産効率を向上させることができる。また、作業者用の空調設備を省略することができる。従って、空調に要する電力の低減により省エネルギ化を図ることができ、耐環境性を向上させることができるとともに工場の操業コストが低減化される。
【0149】
なお、前記のステップS5では、ロボット16a、16b、16cは待機姿勢で待機すると説明したが、ステップS106と同様にモイスチャーボックス130の貯水ボックス130aにローラ48を挿入し、水蒸気で加湿しながら待機してもよい。
【0150】
また、塗布装置10の制御部18は、車両14又は台車15が搬入される毎に搬送ライン制御コンピュータ206から生産管理情報を受信するものとして説明したが、生産管理情報を受信するタイミングは種々の形態を採り得る。例えば、微小時間毎のリアルタイム形式の受信、所定時間毎のバッチ処理形式の受信、および、工場始業時におけるその一日分のデータの一括受信のような形態であってもよい。
【0151】
さらに、生産管理情報は、図10〜図13に示すフォーマットに限ることなく、各車両14及び台車15毎に保護層形成材を塗布するか否かを示す情報と搬送ライン12の運行との関係が記録されたもので、作業休止時間を判断することができるものであればよい。
【0152】
制御部18は、搬送ライン制御コンピュータ206から受信する所定のデータに基づいて生産管理情報を自ら編集・作成してもよい。また、台車15が空台車であるという情報は、図10等で示す生産管理情報に「空台車」及び「△」のマークで示されていると説明したが、台車15に車両14が載置されているか否かについては、光電管等のセンサにより、車両14の有無を直接的に検出して制御部18に伝えるようにしてもよく、センサから供給される情報も生産管理情報の一部とすることができる。
【0153】
車両14のバンパには着色されていて塗装が不要のものがあるが、保護層形成材はこのようなバンパ等の塗装部以外の箇所に塗布してもよい。
【0154】
本発明に係る保護層形成材の塗布方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至ステップを採り得ることはもちろんである。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る保護層形成材の塗布方法によれば、保護層形成材を塗布しない作業休止時間を判断し、作業休止時間中に、定期的にウォーミングアップ機構によってローラを転がすことから、ローラに残留する保護層形成材がローラ内で偏在することを防止することができる。
【0156】
また、塗布作業を開始する所定時間前までは保護層形成材を遮断しておくので、ローラ内に保護層形成材が過剰に供給されることがなく、無駄に排出することがない。さらに、塗布作業を開始する所定時間前になったときには、保護層形成材を供給しながらローラを転がし、塗布作業の準備を整えることができる。
【0157】
さらにまた、保護層形成材の材料としてアクリル系コポリマ剤を用いることによって、車両をより確実に保護することができ、しかも除去するときには剥がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る保護層形方法で用いる塗布装置の斜視図である。
【図2】ロボット、該ロボットに設けられたローラ機構部、ウォーミングアップ機構及びモイスチャーボックスの斜視図である。
【図3】ローラ機構部の拡大斜視図である。
【図4】ウォーミングアップ機構の一部断面斜視図である。
【図5】モイスチャーボックスの貯水ボックスでローラを加湿する様子を示す一部断面側面図である。
【図6】液圧及び空圧の複合回路を示す回路図である。
【図7】モニタ画面に表示されるローラ設定メニューを示す図である。
【図8】モイスチャーボックスの貯水ボックスにホルダを沈める様子を示す一部断面側面図である。
【図9】保護層形成材の塗布装置が接続される生産システムを示すブロック図である。
【図10】所定の時点における生産管理情報を示す図である。
【図11】図10の生産管理情報を受信した時点から4台の車両又は台車が搬送された時点における生産管理情報を示す図である。
【図12】図11の生産管理情報を受信した時点から6台の車両又は台車が搬送された時点における生産管理情報を示す図である。
【図13】図12の生産管理情報を受信した時点から7台の車両又は台車が搬送された時点における生産管理情報を示す図である。
【図14】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法の一部を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法の一部である休止モードを示すフローチャートである。
【図16】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法の一部であるバックオーダモードを示すフローチャート(その1)である。
【図17】本実施の形態に係る保護層形成材の塗布方法の一部であるバックオーダモードを示すフローチャート(その2)である。
【図18】ウォーミングアップ機構に設けられたリミットスイッチの回動レバーにホルダを押し当てた状態を示す一部断面斜視図である。
【図19】ウォーミングアップ機構の代わりに用いられる容器の斜視図である。
【符号の説明】
10…塗布装置 12…搬送ライン
14…車両 16a、16b、16c…ロボット
18…制御部 20…タンク
22…塗布材管路 22a…チューブ
26…水管路 30…スライドレール
32…ポンプ 34…ローラ機構部
47…容器台 48…ローラ
110…ウォーミングアップ機構 112、620a…傾斜面
112a…切欠凹部 112b…凸部
112c…孔 114a、114b…側壁
116…排出口 118…底面板
120…リミットスイッチ 120a…回動レバー
122、132、622…供給口 130…モイスチャーボックス
130a…貯水ボックス 130b…超音波駆動回路部
130c…超音波振動体 134、624…電磁弁
136、626…液面計 140…洗浄時間テーブル
142…材料充填時間テーブル 150…複合回路
162…MCV 162a、162b…切換弁
200…生産システム 202…ホストコンピュータ
204…計画作成コンピュータ 206…搬送ライン制御コンピュータ
208…コンピュータネットワーク

Claims (5)

  1. 複数の車両が台車によって順次搬送される搬送ラインの近傍に設けられ、ティーチング動作可能なロボットと、
    前記ロボットに接続され、回転自在であって、乾燥後に剥離性保護層として作用する液状の保護層形成材を吸収して蓄えることのできる材質のローラと、
    前記ロボットの動作範囲内に配置され、前記ローラの長尺方向の幅より広く、前記ローラを転がすウォーミングアップ機構と、
    前記各車両又は台車毎に前記保護層形成材を塗布するか否かを示す情報と前記搬送ラインの運行との関係が記録された生産管理情報を保持する生産管理情報供給部と、
    前記生産管理情報供給部に接続され、前記生産管理情報を受信するとともに前記ロボットを制御する制御部と、
    を用い、
    前記ローラに前記保護層形成材を供給するとともに、前記車両に前記ローラを当接させて前記保護層形成材を塗布する塗布ステップと、
    前記生産管理情報供給部又は前記制御部が、前記生産管理情報に基づき前記塗布ステップを休止する作業休止時間を予め判断する判断ステップと、
    前記作業休止時間が第1閾値以上であるとき、前記ウォーミングアップ機構において前記ローラを転がす転動ステップと、
    を実行することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  2. 請求項1記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記保護層形成材を前記ローラに供給する供給機構部をさらに用い、
    前記作業休止時間中、前記生産管理情報に基づき前記塗布ステップを再開するまでの作業再開時間を判断し、該作業再開時間が第2閾値を上回るとき、前記ローラに対する前記保護層形成材を遮断しながら前記転動ステップを実行し、前記作業再開時間が前記第2閾値以下であるとき、前記ローラに前記供給機構部から前記保護層形成材を供給しながら、前記転動ステップを実行することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  3. 請求項1又は2記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記ロボットの動作範囲内に配置され、洗浄液を蓄えた貯水部と、
    該貯水部に蓄えられた洗浄液を蒸発又は霧化させる蒸気発生部と、
    をさらに用い、
    前記作業休止時間が前記第1閾値より大きい第3閾値を上回るとき、前記貯水部における洗浄液を前記蒸気発生部によって蒸発又は霧化させて、発生した蒸気を前記ローラに当てる加湿ステップを実行することを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  4. 請求項記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記蒸気発生部は、超音波の振動により洗浄液を蒸発又は霧化させることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護層形成材の塗布方法において、
    前記保護層形成材の材料は、アクリル系コポリマ剤であることを特徴とする保護層形成材の塗布方法。
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