JP3968268B2 - 粉体収容器、粉体搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

粉体収容器、粉体搬送装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体を収容している収容部と、これの底面に設けられた粉体出口とを有する粉体収容器、並びにこれを用いる粉体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、補充用の粉状の画像形成用剤を収容する粉体収容器を用いるものが知られている。例えば、潜像担持体上に形成した静電潜像を現像器によってトナー像に現像する電子写真方式の画像形成装置では、画像形成用剤たるトナーを必要に応じてトナー収容器から現像器に補給している。また例えば、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナーを記録紙等に付着させて画像を形成するいわゆる直接記録方式の画像形成装置では、トナーを必要に応じてトナー収容器からトナー飛翔装置に補給するものがある。これらの画像形成装置においては、トナーがほぼ無くなったトナー収容器を新たなものと交換することで、装置本体にトナーを補充することになる。このとき、使用済みのトナー収容器内に多量のトナーを残してしまうと、トナーの無駄な廃棄を招いてランニングコストを上昇させるばかりでなく、環境にも好ましくない。よって、使用済みのトナー収容器に残留するトナー量をできるだけ少なくするように、トナー収容器などに工夫を凝らすことが重要である。
【0003】
トナーを無駄なく排出し得るトナー収容器としては、例えば図13に示すように、オーガと呼ばれる可動部材81を備えるものが知られている。このトナー収容器80では、収容部82内のトナーを排出口83に向けて搬送する可動部材81を備えることで、トナー残量を低減することができる。
また例えば、図14に示すようなスクリューボトルと呼ばれるトナー収容器も知られている。図において、スクリューボトル90は、円筒状に成形され、その内周面には螺旋状の突起91が形成されている。スクリューボトル90が円周方向に回転せしめられると、ボトル内のトナーが螺旋状の突起91に沿って排出口92に向けて移動し、排出口92から無駄なく排出される。
【0004】
しかしながら、図13に示したトナー収容器80では、使い捨ての仕様とする場合には、可動部材81を設けているために交換コストを高くするという不具合がある。更に、外部からの駆動力が伝わる駆動軸81a等の駆動伝達系と、容器筺体84とのシール性を確保する都合上、どうしても構造が複雑になる。そして、このことにより、交換コストのアップに拍車をかけてしまう。
また、図14に示したスクリューボトル90では、可動部材を必要としないシンプルな構造になっているが、螺旋状の突起81の必要性から円筒状の形状にならざるを得ず、直方体のものに比べて内部容量を少なくしてしまう。更に、交換時に手が滑りやすく、取り扱い性を悪化させるという不具合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、収容部の底面に出口が設けられたトナー収容器を往復振動させることで、トナーを出口に導いて収容部から排出させるようにしたトナー搬送装置を開発中である。かかるトナー搬送装置では、画像形成装置本体に固定した往復振動機構でトナー収容器を往復振動させることにより、トナー収容器内に可動部材を設けなくともトナーを無駄なく排出させることができる。よって、可動部材を使い捨てすることや、駆動伝達系のシール性確保のために構造を複雑化させることによるコストアップを解消することができる。更に、トナー収容器の内周面に螺旋状の突起を設ける必要がないため、その形状に直方体などを採用することが可能になる。よって、収容効率が高く且つ取り扱い性に優れたトナー収容器を使用することができる。
【0006】
ところが、このトナー搬送装置では、トナー収容器の収容部の底面に出口を設けており、それを下方に向けながらトナー収容器を搬送装置本体にセットすることになる。この出口については、収容器運搬時におけるトナー飛散を防止するためにヒートシールやキャップなどで塞ぐことが一般的であるが、少なくとも収容器セット後には出口を開口させる必要がある。トナー収容器をセットする前にヒートシールを剥離するなどして出口を開口させてしまうと、当然ながら、セット時には下方を向いている出口から多量のトナーを流出させてしまう。これに対し、トナー収容器をセットした後にヒートシールを引き抜いて出口を開口させる方式も知られているが、この方式ではトナー収容器と搬送装置本体との間にシール引き抜き用の間隙を設ける必要がある。このため、トナー収容器と搬送装置本体との密閉性を確保することが困難で、シール引き抜き用の間隙からトナー飛散を招くおそれがある。更には、トナー収容器内のトナーを吸引して搬送する方式を採用すると、上記間隙から余計なエアーを吸わせて搬送性を著しく低下させてしまう。
【0007】
なお、これまで、画像形成用剤としてトナーを収容するトナー収容器を用いる場合に生ずる問題について説明してきた。しかしながら、磁性キャリア、これとトナーを含有する二成分現像剤など、他の画像形成用剤を収容するトナー収容器や、他の粉体を収容する粉体収容器でも同様の問題が生じ得る。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次に説明するような粉体収容器、並びにこれを用いる粉体搬送装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、交換コスト性、収容性、及び取り扱い性を悪化させることなく、セット時の粉体流出、セット後の粉体飛散、及び吸引方式を採用した場合のエアー吸引による粉体搬送性の低下を抑えることができる粉体収容器等である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、粉体を収容している収容部と、これの底面に設けられた粉体出口とを有する粉体収容器において、上記粉体出口に連通し、粉体を搬送するための搬送管が挿入可能で、且つ挿入された該搬送管に係合する通路を有し、上記収容部内の粉体を、上記粉体出口から、該通路に係合している該搬送管内に導く管係合部と、該通路に対する該搬送管の挿入、引き抜きに連動して上記粉体出口を開閉する連動シャッタとを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の粉体収容器において、上記管係合部と、上記連動シャッタとを共通の筺体に設けて係合部ユニットを構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の粉体収容器であって、上記収容部が変形自在な材料からなり、上記管係合部の上記通路の内壁に設けられたシール部材が該通路に挿入された上記搬送管と該内壁との間をシールし、且つ、上記収容部の底面を補強する補強部材が固定されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の粉体収容器であって、上記管係合部の上記通路に上記搬送管が挿入されていない状態では、上記粉体出口を閉じている上記連動シャッタと上記内壁との間を上記シール部材がシールすることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の粉体収容器において、上記粉体出口に向かって斜めに下るテーパーを上記係合部ユニットに設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、粉体を収容する粉体収容器と、粉体を搬送するべく該粉体収容器に接続される搬送管と、該搬送管内に負圧を生じせしめて該粉体収容器内の粉体を吸引する吸引ポンプとを備え、粉体を該吸引ポンプで吸引しながら搬送先まで搬送する粉体搬送装置において、上記粉体収容器として請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、画像形成に用いられる粉状の画像形成用剤を搬送する剤搬送装置を備え、これによって画像形成用剤を粉体収容器内から搬送先まで搬送して画像形成に用いる画像形成装置において、上記剤搬送装置として、請求項6の粉体搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
これらの発明において、粉状の画像形成用剤を収容するトナー収容器には、その収容部の底面に粉体出口を設けている。かかるトナー収容器を往復振動せしめてその収容部内のトナーを粉体出口に向けて移動させれば、該収容部内に可動部材を設けなくとも粉体を無駄なく排出させることができる。よって、可動部材を使い捨てすることや、駆動伝達系のシール性確保のために構造を複雑化させることによる交換コストの悪化を解消することができる。
また、上記収容部の内周面に螺旋状の突起を設ける必要がないため、その形状に直方体などを採用することが可能になる。よって、円筒状の形状を採用することによる収容性や取り扱い性の悪化を解消することもできる。
また、上記粉体出口から排出される粉体を搬送するための搬送管を、該粉体出口に連通する管係合部に係合せしめると、連動シャッタをこの係合に連動させて該粉体出口を自動で開口させる。かかる構成では、収容器セット時に下向きになる上記粉体出口を連動シャッタによって閉じた状態で粉体収容器を粉体搬送装置本体にセットすることができる。よって、粉体収容器を粉体搬送装置本体にセットする際の粉体流出を抑えることができる。しかも、上記搬送管を上記管係合部に係合せしめれば上記粉体出口を自動で開口させるので、ヒートシールを引き抜いて該粉体出口を開口させるといった構成を採用する必要がない。よって、シール引抜き用の間隙を粉体収容器と粉体搬送装置本体との間に設ける必要がなく、吸引方式を採用する場合には該間に良好な密閉性を確保し得る構成を採用してエアー吸引による粉体搬送性の低下を抑えることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態として、タンデム方式のカラーレーザプリンタ(以下「レーザプリンタ」という)について説明する。
まず、本レーザプリンタの基本的な構成について説明する。
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るレーザプリンタの概略構成図である。このレーザプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、言うまでもなく、イエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスユニット1Y、1M、1C、1Kの他には、光書込ユニット10、中間転写ユニット11、2次転写バイアスローラ18、レジストローラ対19、給紙カセット20、ベルト定着方式の定着ユニット21などが配設されている。
【0011】
[光書込ユニット]
上記光書込ユニット10は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述のドラム状感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0012】
[プロセスユニット]
図2は、上記プロセスユニット1Y,M,C,Kのうち、イエロー用のプロセスユニット1Yの概略構成を示す拡大図である。なお、他のプロセスユニット1M,C,Kについてもそれぞれ同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。図2において、プロセスユニット1Yは、ドラム状感光体2Y、帯電器30Y、現像器40Y、ドラムクリーニング装置48Y、図示しない除電器などを有している。
【0013】
上記帯電器30Yは、交流電圧が印加される帯電ローラ31Yをドラム状感光体2Yに摺擦させることで、ドラム表面を一様帯電せしめる。帯電処理が施されたドラム状感光体2Yの表面には、上記光書込ユニット(10)によって変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射される。すると、ドラム表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像器40Yによって現像されてYトナー像となる。
【0014】
上記現像器40Yは、現像ケース41Yの開口から一部露出させるように配設された現像ロール42Yを有している。また、第1搬送スクリュウ43Y、第2搬送スクリュウ44Y、現像ドクタ45Y、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)46Yなども有している。
【0015】
上記現像ケース41Yには、磁性キャリアと、マイナス帯電性のYトナーとを含む二成分現像剤が収容されている。この二成分現像剤は上記第1搬送スクリュウ43Y、第2搬送スクリュウ44Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、上記現像ロール42Yの表面に担持される。そして、上記現像ドクタ45Yによってその層厚が規制されてからドラム状感光体2Yに対向する現像領域に搬送され、ここでドラム状感光体2Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、ドラム状感光体2Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費した二成分現像剤は、現像ロール42Yの回転に伴って現像ケース41Y内に戻される。
【0016】
上記第1搬送スクリュウ43Yと、上記第2搬送スクリュウ44Yとの間には仕切壁47Yが設けられている。この仕切壁47Yにより、現像ロール22Yや第1搬送スクリュウ43Y等を収容する第1供給部と、第2搬送スクリュウ44Yを収容する第2供給部とが現像ケース41Y内で分かれている。第1搬送スクリュウ43Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、上記第1供給部内の二成分現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール42Yに供給する。第1搬送スクリュウ43Yによって上記第1供給部の端部付近まで搬送された二成分現像剤は、仕切壁47Yに設けられた図示しない開口部を通って上記第2供給部内に進入する。第2供給部内において、第2搬送スクリュウ44Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、上記第1供給部から送られてくる二成分現像剤を第1搬送スクリュウ43Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュウ44Yによって第2供給部の端部付近まで搬送された二成分現像剤は、仕切壁47Yに設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部内に戻る。
【0017】
透磁率センサからなるTセンサ46Yは、上記第2供給部の中央付近の底壁に設けられ、その上を通過する二成分現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ66YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、RAMを備えており、この中にTセンサ46Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納している。また、他の現像器に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納している。Y用Vtrefは、図示しないYトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Tセンサ46Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないYトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部49Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器40Y内の二成分現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0018】
Y用のドラム状感光体2Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルトに中間転写される。中間転写後のドラム状感光体2Yの表面は、ドラムクリーニング装置48Yによって転写残トナーがクリーニングされた後、除電ランプによって除電される。そして、帯電器30Yによって一様帯電せしめられて次の画像形成に備えられる。他のプロセスユニットについても同様である。
【0019】
[中間転写ユニット]
先に示した図1において、上記中間転写ユニット11は、中間転写ベルト12、駆動ローラ13、張架ローラ14,15、ベルトクリーニング装置16、4つの中間転写バイアスローラ17Y,M,C,Kなどを有している。中間転写ベルト12は、駆動ローラ13、張架ローラ14,15にテンション張架されながら、図示しない駆動系によって回転せしめられる駆動ローラ13によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの中間転写バイアスローラ17Y,M,C,Kは、それぞれ図示しない電源から中間転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト12をその裏面からドラム状感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ中間転写ニップを形成する。各中間転写ニップには、上記中間転写バイアスの影響により、ドラム状感光体と中間転写バイアスローラとの間に中間転写電界が形成される。Y用のドラム状感光体2Y上に形成された上述のYトナー像は、この中間転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト12上に中間転写される。このYトナー像の上には、ドラム状感光体2M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて中間転写される。かかる重ね合わせの中間転写により、中間転写ベルト12上には4色重ね合わせトナー像が形成される。この4色重ね合わせトナー像は、後述の2次転写ニップで転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト12の表面に残留する転写残トナーは、上記張架ローラ15にバックアップされる中間転写ベルト部分に当接するベルトクリーニング装置16によってクリーニングされる。
【0020】
[給紙カセット]
上記光書込ユニット10の下方には、複数枚の転写紙Pを重ねて収容する給紙カセット20が配設されており、一番上の転写紙Pに給紙ローラ20aを押し当てている。給紙ローラ20aが所定のタイミングで回転駆動すると、一番上の転写紙Pが紙搬送路に給紙される。
【0021】
[2次転写バイアスローラ]
中間転写ユニット11の上記駆動ローラ13には、中間転写ベルト12を介して2次転写バイアスローラ18が当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写バイアスローラ18には、図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される。
【0022】
[レジストローラ対]
上記給紙カセット20から紙搬送路に給紙された転写紙Pは、レジストローラ対19のローラ間に挟まれる。一方、上記中間転写ベルト12上に形成された4色重ね合わせトナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記2次転写ニップに進入する。レジストローラ対19は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを2次転写ニップにて4色重ね合わせトナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、2次転写ニップでは、4色重ね合わせトナー像が転写紙Pに密着する。そして、上記2次転写バイアスやニップ圧の影響を受けて転写紙P上に2次転写され、白色の転写紙P上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙Pは、定着ユニット21に送られる。
【0023】
[定着ユニット]
上記定着ユニット21は、定着ベルト21aを3本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニット21bと、内部に熱源を有する加熱ローラ21cとを備えている。そして、このベルトユニット21bと加熱ローラ21cとの間に転写紙Pを挟み込みながら、その表面にフルカラー画像を定着させる。定着ユニット21を通過した転写紙Pは、排紙ローラ対22を経て機外へと排出される。
【0024】
[トナー収容器]
定着ユニット21の図中側方には、補充用のY、M、C、Kトナーを収容する4つのトナー収容器50Y、M、C、Kが配設されている。粉体収容器たるこれらトナー収容器50Y、M、C、Kに収容されるY、M、C、Kトナーは、それぞれ専用の現像器に適宜補給される。
【0025】
図3は、Yトナー用のトナー収容器50Yを示す分解斜視図である。図において、トナー収容器50Yは、収容部たる収容袋51Y、底補強板53Y、係合部ユニット54Y等から構成されている。直方体状に成形された収容袋51Yは、厚さ50〜300[μm]程度のポリエステルシートやポリエチレンシートなどといった変形自在な材料からなり、図示のように横に寝かせた状態で使用される。その内部には図示しないYトナーが収容されており、端部付近には鉛直方向下向きの大開口52Yが形成されている。大開口52Yには、筺体55Yに形成されたトンネル状のノズル通路57Y内にバネ56Y、シャッタ部材58Y、シールホルダ59Y、シール60Y等を有する係合部ユニット54Yが嵌め込まれ、溶着や接着等によって固定されている。また、収容袋51Yの底面には外側から厚さ0.5[mm]以上の底補強板53Yが固定される。このように底補強板53Yが補強されることにより、収容袋51Yの底面だけは変形しないようになる。なお、上記係合部ユニット54Yについて後に詳述する。また、Yトナー用のトナー収容器50Yについてだけ図3を用いて説明したが、他色トナー用のトナー収容器(50M、C、K)についてもほぼ同様の構成であるので説明を省略する。
【0026】
図4は、Yトナー用のトナー搬送装置をYトナー用の現像器の一部とともに示す概略構成図である。図において、剤搬送装置たるトナー搬送装置は、トナー収容器50Y、収容器支持台70Y、ノズル81Yと搬送チューブ82Yとからなる搬送管80Y、吸引ポンプ90Y等を備えている。上述のトナー収容器50Yは、収容器支持台70Y上にセットされる。そして、内部のトナーがほぼ無くなった時点で新たなものと交換される。収容器支持台70Yは、トナー収容器50Yが載置される載置部71Y、コロ72Yを介して載置部71Yを支持する台部73Y、図示しない駆動系によって回転駆動される偏心カム76Y等を有している。トナー収容器57が載置された載置部71Yは、台部73Yの図中左端の内壁に固定されたバネ75Yによって図中左方向に付勢される。図示の状態では、この付勢により、載置部71Yの図中右端の外壁は図中時計回りに回転駆動されるカム76Yの出っ張り部分に突き当たっている。カム76Yが図の状態から少しだけ回転すると、その出っ張り部分と載置部71Yの外壁との当接が一気に解かれ、バネ75Yの付勢力によって載置部71Yがコロ72Y上を勢い良く図中左方向にスライド移動する。そして、台部73Yの図中左端の内壁に設けられた弾性ダンパー74Yに衝突して停止する。更にカム76Yが回転すると、その出っ張り部分が載置部71Yの外壁を図中左方向に付勢し始める。この付勢により、載置部71Yが図中右方向にゆっくりとスライド移動し始める。以上のようにして、収容器支持台70Yは、セットされたトナー収容器50Yを図中左右方向に往復振動させる。但し、図中右側から左側への移動についてはバネ75Yの付勢力によって一気に行うが、図中左側から右側への移動についてはカム76Yの回転に伴ってゆっくりと行う。
【0027】
トナー収容器50Yは、その端部付近に設けられた上記係合部ユニット54Yを図中左端に位置させる姿勢で収容器支持台70Yにセットされる。この係合部ユニット54Yは、上述のように、収容袋50Yに設けられた大開口(図3の52Y)に嵌め込まれて固定されており、図中上面に粉体出口たるトナー出口61Yを備えている。収容袋50Yの出口が、それに固定された係合部ユニット54Yによって形成されているのである。このトナー出口61Yは、係合部ユニット54Yに設けられた図中横方向に延在するノズル通路57Yに連通している。ノズル通路57Yは、図中左端が開口してノズル受入口となっている。そして、ここから挿入される搬送管たるノズル81Yと係合する。このような管係合部たるノズル通路57Yの図中右端は閉鎖されており、そこにバネ56が固定されている。このバネ58Yはシャッタ部材58Yを上記ノズル受入口に向けて付勢しており、付勢されたシャッタ部材58Yはノズル通路57Yに挿入されたノズル81Yの先端に突き当たっている。ノズル通路57Yに挿入されたノズル81Yは、その先端付近に設けられたトナー受入口を上に向けて収容袋51Yのトナー出口61Yに連通させている。
【0028】
上述のように、上記収容器支持台70Yは、トナー収容器50Yを載置している載置部71Yを図中右側から左側に向けて一気に移動させ、弾性ダンパー74Yとの衝突によって急激に停止させる。これによってトナー収容器50Yが急激に停止すると、その内部に収容されているYトナーが慣性力によって全体的に図中右側に移動して、係合部ユニット54Y上を覆う。そして、その一部がYトナー出口61Yから係合部ユニット54Y内に排出される。一方、収容器支持台70Yは、図中左側から右側についてはトナー収容器をゆっくりと移動させるため、その移動を停止させる際にYトナーを殆ど移動させない。よって、収容器支持台70Yがトナー収容器50Yを往復振動させると、トナー収容器50Y内のYトナーが全体的に図中右側から左側に順次移動してトナー出口61Yから排出される。以上のように、トナー収容器内50Y内のトナーを往復振動によって移動させることで、トナー収容器50Y内に可動部材を設ける必要がなくなる。また、可動部材に外部からの駆動力が伝える駆動伝達系と、容器筺体とのシール性を確保する必要がなくなり、トナー収容器50Yの構成の簡素化を図ることができる。よって、使い捨てのトナー収容器50Y内に可動部材を設けることによる収容器交換コストの情報を回避することができる。また、トナー収容器50Yは、全体として直方体の形状になっており、例えば大量に保管する際や輸送時等において積み重ねが可能で、且つ、持ち易くなっている。よって、従来のスクリューボトルのような円筒状のものに比して取り扱いが容易である。更に、同じ径の円筒状のものに比して、トナー収容量が多くなるという利点もある。なお、載置部71Yを衝突させるストッパーとして弾性部材からなる弾性ダンパー74Yを用いることにより、衝突時の騒音や微振動を低減することができる。
【0029】
上記係合部ユニット54Yのノズル通路87Yに係合せしめられた搬送管たるノズル81Yの後端には、同じく搬送管として機能する搬送チューブ82Yが接続されている。この搬送チューブ82Yは、変形自在で且つ耐トナー性に優れたゴム材や樹脂材等からなる内径φ4〜10[mm]のチューブであり、ノズル81Yとは反対側の端部が吸引ポンプ90Yのポンプ部91Yに接続されている。吸引ポンプ90Yは、一軸偏芯スクリューポンプ(通称モーノポンプ)と呼ばれる方式のものである。そのポンプ部91Yは、金属や剛性の高い樹脂などで偏芯した2条スクリュー形状に加工されたロータ92Y、ゴム等の材料に2条スクリュー状の空洞が形成されたステータ93Y、これらを内包する樹脂製のホルダ94Yなどから構成されている。吸引ポンプ90Yは、このポンプ部91Yの他、吐出部94Y、ロータ92Yを回転させるモータ95Y等も有している。2条スクリュー形状のロータ92Yがロータ92Y内で回転すると、ポンプ部91Yの吸引側(図中右側)に負圧が発生する。この負圧により、収容袋51Y内で係合部ユニット54Y上に位置するYトナーがポンプ部91Yに接続された搬送管80Y(搬送チューブ82Y+ノズル81Y)を介して吸引される。そして、搬送管80Y内を移動してポンプ部91内に至り、ステータ93Y内を通って吐出部94Y内に吐出される。この吐出部94YはY用の現像器40Yに接続されており、吐出部94Y内に吐出されたYトナーは現像器40Yに補給される。
【0030】
このように吸引ポンプ90Yの吸引によってYトナーを搬送するトナー搬送装置においては、Yトナーを搬送するための搬送管内にスクリュー部材等の可動部材を設ける必要がない。よって、搬送管として、変形自在な搬送チューブ82Yを用いてプリンタ本体内に自由に排回すことが可能になる。搬送経路のレイアウト自由度を大幅に向上させることができるのである。更に、載置部71Yを往復振動させても、変形自在な搬送チューブ82Yによってその振動を吸収させるので、現像器40Yへの振動伝達を大幅に抑えることもできる。これに対し、オーガ等の可動部材によってYトナーを搬送する方式では、搬送管内に可動部材を設ける都合上、搬送管を直線状に構成しなければならず、搬送経路のレイアウト自由度を悪化させてしまう。
【0031】
また、吸引ポンプ90Yによる吸引方式では、収容袋51YからYトナーが安定して排出される限り、そのロータ92Yの回転量とトナー搬送量とが比例関係になる。このため、ローラ92Yの回転量に基づいて現像器40Yに対するトナー補給量を安定して制御することができる。なお、これまで、Yトナー用のトナー搬送装置について説明したが、他色のトナー用のトナー搬送装置もほぼ同様の構成であるので説明を省略する。
【0032】
次に、本レーザプリンタの特徴的な構成について説明する。なお、ここでは、Yトナー用のトナー搬送装置についてのみその特徴を説明するが、他色のトナー用のトナー搬送装置も同様である。
先に示した図1において、レーザプリンタは、図中奥行き方向の手前側に図示しない開閉扉を有しており、これの開放によって内部を露出させることができる。トナー収容器50Y,M,C,Kは、図中手前側から奥側に向けてスライドするように着脱される。図4における矢印B、C方向はこのスライド方向を示している。トナー収容器50Yは、図中矢印B方向にスライド移動せしめられながら、収容器支持台70Y(ひいてはプリンタ本体)から外される。また、図中矢印B方向にスライド移動せしめられながら、収容器支持台70Yにセットされる。
【0033】
図5は、トナー収容器50Yがセットされた収容器支持台70Yを上記係合部ユニット54Yの位置で破断した横断面図である。図において、収容器支持台70Yの載置部71Yの底部中央には溝部が設けられており、トナー収容器50Yの底から下側に出っ張る係合部ユニット54Yをこの溝部で受け入れるようになっている。コロ72Yは、この溝部の両脇で載置部71Yと台部73Yの間に位置して、図中奥行き方向の載置部71Yの移動を可能にしている。トナー収容器50Yの底補強板53Yは、収容袋51Yから図中左右に若干突出する大きさに形成されている。このように突出する底補強板53Yを上下から挟み込むレール部が載置部71Yに形成されている。トナー収容器50Yは、このレール部に沿って、図中奥側から手前側にスライド移動せしめられて、収容器支持台70Yにセットされる。係合部ユニット54Yのノズル受入口は、横向きで且つ係合部ユニット54Yの先端に設けられているため、トナー収容器50Yのセット時には、図示のようにスライド移動方向の前方に向くことになる。一方、ノズル81Yは、図4に示したように、スライド移動せしめられながらセットされるトナー収容器50Yの係合部ユニット54Yのノズル受入口に対面するように載置部71Yに固定されている。よって、トナー収容器50Yが収容器支持台70Yにセットされるのに伴って、ノズル81がトナー収容器50Yの係合部ユニット54Yのノズル通路57Y内に自然に進入して係合せしめられる。
【0034】
先に示した図4において、係合部ユニット54Yのノズル通路57Yの内壁には、リング状のシールホルダ59Yが開口(ノズル受入口)付近に固定されており、これはリング状のシール60Yを保持している。シール60Yはゴム等の弾性材料で構成されている。ノズル通路57Y内に配設されたシャッタ部材58Yは、その先端の径が根元側よりも一段小さくなっており、シール60Y内にちょうと収まる寸法になっている。ここで、トナー収容器50Yが収容器支持台70Yに完全にセットされず、ノズル81が係合部ユニット54Yのノズル通路57Yに未だ進入していない状態であるとする。すると、図6に示すように、ノズル通路57Y内に配設されたシャッタ部材58Yがバネ56Yによって図中左方向に付勢されながらシールホルダ59Yとシール60Yとからなるシール部材に突き当たる。そして、その先端をリング状のシール60Y内に進入させている。この状態では、図示のように、シャッタ部材58Yはトナー出口61Yの直下に位置しており、その口を閉鎖する。また、ノズル通路54内においては、その内壁とシャッタ部材58Yとの間がシールホルダ59Yとシール60Yとからなるシール部材によってシーリングされる。
【0035】
一方、トナー収容器50Yが図中矢印B方向に更にスライド移動せしめられ、載置部71Yに固定されたノズル81がノズル通路57Y内に進入し始めると、ノズル通路57Y内のシャッタ部材58Yを図中右方向に押し始める。トナー収容器50Yが更にスライド移動すると、ノズル81がリング状のシール60Yを貫通しながらシャッタ部材58Yを押してノズル通路57内の奥深くに進んで行く。この過程で、シャッタ部材58Yはトナー出口61Yの直下から徐々に待避し、それを徐々に開口させて行く。そして、トナー収容器50Yが完全にセットされると、図7に示すように、ノズル81がシャッタ部材58Yをトナー出口61Yの直下から完全に待避させる位置まで進入する。この状態では、ノズル81Yその先端付近に設けられたトナー受入口と、ノズル通路57Yと、トナー出口61Yとが完全に連通する。また、トナー通路57Yの内壁とノズル81Yの外壁とが、シールホルダ59Yとシール60Yとからなるシール部材によってシーリングされる。
【0036】
使用済みのトナー収容器50Yが収容器支持台70Yから外される際には、今度は逆に、ノズル81Yがノズル通路57Yから抜けるのに連動して、シャッタ部材57Yが図中左方向に移動してトナー出口61Yを閉じる。かかるトナー収容器50Yにおいては、ノズル通路57Y、バネ56Y、シャッタ部材58Y等により、管係合部たるノズル通路57Yに対するノズル81Yの着脱に連動してトナー出口61Yを開閉する連動シャッタが構成されている。そして、セット時に下向きになるトナー出口61Yを連動シャッタのシャッタ部材58Yによって閉じた状態で収容器支持台70Yにセットすることができる。よって、トナー収容器50Yを収容部支持台70Yにセットする際のトナー流出を抑えることができる。しかも、ノズル81Yをトナー通路57Yに係合させれば、トナー出口61Yを自動で開口させるので、ヒートシールを引き抜いてトナー出口を開口させるといった構成を採用する必要がない。よって、シール引抜き用の間隙をトナー収容器50Yと収容部支持台70Yとの間に設ける必要がなく、両者間に良好な密閉性を確保してノズル81Yへのエアー吸引によるトナー搬送性の低下を抑えることもできる。
【0037】
上述のように、本レーザプリンタのトナー収容器50Yでは、係合部ユニット54Yのノズル通路57Yのノズル受入口を横向きで且つ係合部ユニット54Yの先端に設けている。かかるノズル受入口では、ノズル受入口を横向きにした状態でトナー収容器50Yを収容器支持台70Yにセットすることになり、下向きにした状態でセットする場合に比べ、トナー流出をより確実に抑えることができる。しかも、トナー収容器50Yをスライド移動させながら収容器支持台70Yにセットする際に、ノズル受入口とノズル81とを対面させて、ノズル81を自然にノズル通路57Yに進入させることが可能になる。かかる構成では、トナー収容器50Yを収容器支持台70Y上でスライド移動させるというワンアクションで、トナー出口61Yと搬送管たるノズル81とを連通させてトナー収容器50Yを完全にセットすることができる。更に、収容器支持台70Y上に載置したトナー収容器50Yのノズル81をトナー通路57Yに手作業で接続するためのスペースも不要になるため、省スペース化を図ることもできる。
【0038】
また、本レーザプリンタのトナー収容器50Yにおいては、管係合部たるノズル通路57Yと、連動シャッタとを共通の筐体55Y(図3参照)に設けて係合部ユニット54Yを構成し、これを収容部たる収容袋51Yの底面に固定している。連動シャッタには、当然ながら、ノズル通路57Yに対するノズルの着脱にシャッタ部材58Yを連動させる連動機構を設ける必要がある。図示の例では、この連動機構として、ノズル通路57Yの端に固定されてシャッタ部材58をノズル受入口に向けて付勢するバネ56Yを用いている。連動シャッタ部の製造には、このような連動機構の組付作業がどうしても必要になる。かかる組付作業が必要になる連動シャッタについては、管係合部たるノズル通路57Yとともに共通の筐体55Yに設け、これを収容袋51Yの底面に固定することで、収容袋51Yや底補強板53Yについては機械等にて別途大量生産することができる。そして、このことにより、トナー収容器50Yの生産性を向上させることができる。なお、上記連動機構については、バネ56Y(コイルバネ)の代わりに、スポンジ等の弾性材料を用いて、省スペース化や動作時の低騒音化を図ることも可能である。
【0039】
上述のように、ノズル通路57Yにノズル81Yが進入して係合している状態では、ノズル通路57Yの内壁に固定されたリング状のシール部材(59Y+60Y)がノズル通路57Yの内壁とノズル81Y外壁との間に位置してそこをシーリングする。このシーリングにより、ノズル通路57内からのトナー飛散が回避されるとともに、収容袋51Yのトナー出口61Yと、これに連通するノズル81Yや搬送チューブ82Yとの良好な密閉性が確保される。一方、ノズル通路57Yからノズル81Yが引き抜かれると、これに連動してシャッタ部材58Yがトナー出口61Yを閉じるとともに、その先端付近をシール部材60Yに突き当てる。そして、シール部材(59Y+60Y)がノズル通路57Yの内壁とシャッタ部材58Yの外壁との間をシーリングする。このシーリングにより、例えばトナー収容器50Yの搬送中など、ノズル通路57にノズル81Yが挿入されていない状態でのノズル通路57Yからのトナー飛散が回避される。
【0040】
本レーザプリンタのトナー搬送装置においては、上述のように吸引ポンプ90Yでの吸引によってトナー収容器50Y内のYトナーを搬送する。Yトナーを収容している収容袋51Yは、上述のように変形自在な材料で構成されているため、吸引ポンプ90YでYトナーが吸引されるのに伴って変形して徐々に減容していく。このように収容袋51Yが減容することで、使用後の収容袋51Yの運搬コストや保管コストの低減化が図られる。Yトナーを吸引ポンプ90Yで吸引させる一方で、トナー収容器50Yを往復振動させる最大の目的は、往復振動に伴うYトナーの全体的な移動により、係合部ユニット54Y上をYトナーで常に覆っておくことにある。収容袋51Yは吸引に伴って徐々に減容していくわけであるが、係合部ユニット54Yの付近を初期に減容させると、その変形に伴って図8に示すように収容袋51Yでトナー出口61Yを塞いでしまうおそれがある。このようにトナー出口61Yが塞がれてしまうと、収容袋51Y内にまだ十分量のYトナーが収容されているにもかかわらず、吸引ポンプ90Yはそれを吸引することができなくなる。そこで、トナー収容器50Yを往復振動させて収容袋51Y内のYトナーを全体的に係合部ユニット54Yに向けて移動させて偏在させるのである。このようにすれば、基本的には、収容袋51Yを係合部ユニット54Yの存在する側とは反対側から徐々に減容せしめることが可能になる。
【0041】
但し、収容袋51Yの底面が容易に変形してしまうと、図9に示すように、収容袋51Yがその長さ方向において途中で折れ曲がって2分されるおそれがある。このように2分されてしまうと、折れ曲がり部分よりも図中右側に存在するYトナーが吸引されずに残ってしまう。そこで、本レーザプリンタのトナー収容器50Yにおいては、変形自在な収容袋51Yの底面に底補強板53Yを固定することで、底面の折れ曲がりを回避している。かかる構成では、図10(a)から(d)に示すように、確実に収容袋51Yを係合部ユニット54Yの存在する側とは反対側から徐々に減容せしめることが可能になる。そして、このことにより、収容袋51Y内のYトナーを最後まで効率良く吸引させることができる。また、収容袋51Yの底面を変形させないことで、トナー収容器50Yの上記載置部71Y上でのスムーズなスライド移動が可能になり、その着脱作業性を向上させることができる。また、係合部ユニット54Yが変形する袋底面から脱落してしまうといった事態を回避することもできる。また、収容袋51Y底面を変形させないことで、そこに固定している係合部ユニット54Yの位置を安定させ、セット時におけるノズル81Yとノズル通路57Yとの位置合わせを容易にして両者をスムーズに係合させることができる。更には、使用後のトナー収容器50Yについては、図10(d)に示したようにその形状を扁平状にするので、収容器支持台70Yからの取り出し操作性を向上させるとともに、使用後容器の保管場所の省スペース化を図ることもできる。本レーザプリンタにおいては、使用後容器が初期の1/10〜1/5程度まで減容されるようになっている。
【0042】
上記底補強板53Yについては、図3に示したように、既に係合部ユニット54Yを固定しある収容袋51Yに対してその取り付け作業を行うことが望ましい。これは次の理由による。即ち、係合部ユニット54Yのような容易に変形しない部材については、同じく底補強板53Yのような容易に変形しない部材よりも、収容袋51Yのような容易に変形する部材の方が、容易に嵌合させることができるからである。よって、係合部ユニット54Yを固定した後で底補強板53Yを固定することで、生産性を向上させることができる。
【0043】
図4に示したように、係合部ユニット54Yの上面には、収容袋51Y側からトナー出口61Yに向かって斜めに下るテーパー62Yを設けている。このテーパー62Yは、収容袋51Y内で往復振動に伴って係合部ユニット54Yに向けて水平方向に移動してくるYトナーを、更にトナー出口61Yに向けて斜め下方向に導くことができる。このことにより、Yトナーをトナー出口61Yからよりスムーズに排出させることができる。そして、トナー排出性を高めることにより、トナー出口61Y、ノズル通路57、係合部ユニット54Y等を小型化することが可能になり、高い密閉性を確保してトナー飛散やエアー吸引性をより高めることができる。
【0044】
以上の構成のトナー搬送装置においては、吸引ポンプ90Yの吸引圧力や、ロータ92Yの回転量に基づいて、現像器40Yへのトナー補給量を正確に制御することができる。また、搬送チューブ82Yを自由に排回すことにより、トナー収容器50Yのレイアウトフリー化を実現することができる。
【0045】
一方、図13や図14に示した従来のトナー収容器(80、90)では、何れもトナー収容量の減少に伴い、可動部材81又はボトルの1回転あたりのトナー排出量が変化してしまう。よって、搬送先へのトナー補給量を正確に制御することが困難であった。
【0046】
図11は、トナー収容器50Yの変形例を示す概略構成図である。この変形例では、変形自在な袋ではなく、厚さ0.5〜2[mm]程度の樹脂などといった剛性の高い箱部材63Yが収容部となっている。これも内部のYトナーが往復振動によって係合部ユニット54Yに向けて送られるが、トナー吸引に伴って減容するようなことはない。減容しないというデメリットはあるが、把持されても変形しないので、操作性をより向上させることができる。
【0047】
図12は、トナー収容器50Yの他の変形例を示す概略構成図である。この変形例では、変形自在な収容袋51Yを上から覆うカバー部材64Yを設けている。このカバー部材64Yは、収容袋51Yの底面を補強する底補強板53Yに着脱可能に構成され、底補強板53Yとともに収容袋51Yを覆う箱状部材を形成する。かかる変形例では、図3に示したトナー収容器50Yと同様に、トナー吸引に伴って収容袋51Yを減容することができる。そして、収容袋51Y内のトナーを使い切った時点でカバー部材64Yを取り外せば、扁平な使用済み容器として持ち運びが可能になる。更に、使用前においては、カバー部材64Yを装着することによって把持しても変形させないので、操作性をより向上させることができる。よって、廃容器の回収コストや保管コストの低減化と、取り扱い性の向上化とを同時に図ることができる。
【0048】
これまで、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式のレーザプリンタについて説明したが、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いる一成分現像方式にも本発明の適用が可能である。また、プリンタに限らず、複写機やファクシミリなどの他の画像形成装置でもよい。また、レーザ光による露光を行う方式ではなく、LEDによる露光や、イオン付与などによって静電潜像を形成する方式でもよい。また、電子写真プロセスを用いない画像形成方式のものにも、本発明の適用が可能である。かかる方式としては、例えば、特開平11−301014号公報に記載の画像形成装置のような直接記録方式などがある。また、画像形成装置ではなく、トナー搬送装置や、トナー以外の粉体を搬送する粉体搬送装置についても本発明の適用が可能である。更には、画像形成用剤としてトナーを搬送するのではなく、二成分現像剤や磁性キャリアを搬送する剤搬送装置にも本発明の適用が可能である。
【0049】
以上、実施形態のレーザプリンタに係るトナー収容器50Yにおいては、管係合部たるノズル通路57Yと、バネ56Yやシャッタ部材58Y等から構成される連動シャッタとを共通の筺体55Yに設けて係合部ユニット54Yを構成している。かかる構成においては、連動機構の組付作業が必要になる連動シャッタをノズル通路57Yとともに共通の筐体55Yに設けて収容袋51Yの底面に固定することで、収容袋51Yや底補強板53Yについては機械等にて別途大量生産することができる。そして、このことにより、トナー収容器50Yの生産性を向上させることができる。
また、収容部たる収容袋51Yを変形自在な材料で構成し、管係合部たるノズル通路57Yの内壁に設けたシール部材により、その内壁とノズル81Yの外壁との間をシーリングし、且つ、収容袋51Yの底面を補強する底補強板53Yを設けている。かかる構成では、シール部材でノズル通路57Yの内壁とノズル81Yの外壁との間をシーリングすることで、ノズル81Yに係合するノズル通路57Yからのトナー飛散を回避することができる。また、シーリングにより、トナー出口61Yと、これに連通するノズル81Yや搬送チューブ82Yとの良好な密閉性を確保してノズル通路57Y回りからのエアー吸引を回避して搬送性を向上させるとともに、収容袋51Yを確実に減容させることができる。また、底補強板53Yによって収容袋51Yの折れ曲がりを回避して、収容袋51Y内のYトナーを最後まで効率良く吸引させることができる。また、収容袋51Yの底面を変形させないことで、トナー収容器50Yの着脱作業性を向上させることができる。また、係合部ユニット54Yが変形する袋底面から脱落してしまうといった事態を回避することもできる。また、収容袋51Y底面に固定している係合部ユニット54Yの位置を安定させ、セット時におけるノズル81Yとノズル通路57Yとの位置合わせを容易にして両者をスムーズに係合させることができる。更には、使用後のトナー収容器50Yを扁平な形状にして、収容器支持台70Yからの取り出し操作性を確実に向上させるとともに、使用後容器の保管場所の省スペース化を確実に図ることもできる。
また、トナー収容器50Yについては、ノズル通路57Yに搬送管たるノズル81Yを挿入していない状態では、トナー出口61Yを閉じているシャッタ部材58Yとノズル通路57Yの内壁との間をシール部材にシーリングさせるようにしている。かかる構成では、トナー収容器50Yの搬送中など、ノズル通路57にノズル81Yを挿入していない状態でのノズル通路57Yからのトナー飛散を回避することもできる。
また、トナー出口61Yに向かって斜めに下るテーパーを係合部ユニット54Yの上面に設けることで、Yトナーをトナー出口61Yからよりスムーズに排出を図っている。このことにより、トナー出口61Y、ノズル通路57、係合部ユニット54Y等を小型化することが可能になり、高い密閉性を確保してトナー飛散やエアー吸引性をより高めることができる。
また、実施形態に係るレーザプリンタのトナー搬送装置においては、吸引ポンプ90Yでの吸引力によってトナーを搬送させるようにしている。かかる構成では、吸引ポンプ90Yの吸引圧力や、ロータ92Yの回転量に基づいて、現像器40Yへのトナー補給量を正確に制御することができる。また、搬送チューブ82Yを自由に排回すことにより、トナー収容器50Yのレイアウトフリー化を実現することができる。
また、実施形態に係るレーザプリンタにおいては、このようなトナー搬送装置を用いてトナー補給量を正確に制御することで、各現像器内のトナー濃度を安定に維持して画質を安定させることができる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4、5、6又は7の発明によれば、交換コスト性、収容性、及び取り扱い性を悪化させることなく、セット時の粉体収容器からの粉体流出、セット後の粉体収容器からの粉体飛散、及び吸引方式を採用した場合のエアー吸引による粉体搬送性の低下を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るレーザプリンタの概略構成図。
【図2】同レーザプリンタにおけるイエロー用のプロセスユニットの概略構成を示す拡大図。
【図3】同レーザプリンタのYトナー用のトナー収容器を示す分解斜視図。
【図4】同レーザプリンタのYトナー用のトナー搬送装置をYトナー用の現像器の一部とともに示す概略構成図。
【図5】同トナー収容器がセットされた収容器支持台を係合部ユニットの位置で破断した横断面図。
【図6】同収容器支持台にセットされる途中の同トナー収容器における係合部ユニットの周囲を拡大して示す断面図。
【図7】同収容器支持台に完全にセットされた同トナー収容器における係合部ユニットの周囲を拡大して示す断面図。
【図8】トナー出口が収容袋によって塞がれてしまった状態の同トナー収容器を示す模式図。
【図9】収容袋が折れ曲がってしまった状態の同トナー収容器を示す模式図。
【図10】(a)から(d)までは、同トナー収容器の収容袋が徐々に減容していく様子を示す模式図。
【図11】同トナー収容器の変形例を示す概略構成図。
【図12】同トナー収容器の他の変形例を示す概略構成図。
【図13】可動部材を用いるように構成された従来のトナー収容器を示す概略構成図。
【図14】従来のトナーボトルを示す概略構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K プロセスユニット
2Y,M,C,K ドラム状感光体
10 光書込ユニット
11 中間転写ユニット
18 2次転写バイアスローラ
19 レジストローラ対
20 給紙カセット
21 定着ユニット
30Y 帯電器
40Y 現像器
48Y ドラムクリーニング装置
50Y,M,C,K トナー収容器(粉体収容器)
51Y 収容袋(収容部)
53Y 底補強板(補強部材)
54Y 係合部ユニット
55Y 筺体
56Y バネ
57Y ノズル通路(係合部)
58Y シャッタ部材
59Y シールホルダ
60Y シール
61Y トナー出口(粉体出口)
70Y 収容器支持台
80Y 搬送管(ノズル81Y+搬送チューブ82Y)
90Y 吸引ポンプ

Claims (7)

  1. 粉体を収容している収容部と、これの底面に設けられた粉体出口とを有する粉体収容器において、
    上記粉体出口に連通し、粉体を搬送するための搬送管が挿入可能で、且つ挿入された該搬送管に係合する通路を有し、上記収容部内の粉体を、上記粉体出口から、該通路に係合している該搬送管内に導く管係合部と、
    通路に対する該搬送管の挿入、引き抜きに連動して上記粉体出口を開閉する連動シャッタと
    を設けたことを特徴とする粉体収容器。
  2. 請求項1の粉体収容器において、
    上記管係合部と、上記連動シャッタとを共通の筺体に設けて係合部ユニットを構成したことを特徴とする粉体収容器。
  3. 請求項1又は2の粉体収容器であって、
    上記収容部が変形自在な材料からなり、上記管係合部の上記通路の内壁に設けられたシール部材が該通路に挿入された上記搬送管と該内壁との間をシールし、且つ、上記収容部の底面を補強する補強部材が固定されていることを特徴とする粉体収容器。
  4. 請求項3の粉体収容器であって、
    上記管係合部の上記通路に上記搬送管が挿入されていない状態では、上記粉体出口を閉じている上記連動シャッタと上記内壁との間を上記シール部材がシールすることを特徴とする粉体収容器。
  5. 請求項2の粉体収容器において、
    上記粉体出口に向かって斜めに下るテーパーを上記係合部ユニットに設けたことを特徴とする粉体収容器。
  6. 粉体を収容する粉体収容器と、
    粉体を搬送するべく該粉体収容器に接続される搬送管と、
    該搬送管内に負圧を生じせしめて該粉体収容器内の粉体を吸引する吸引ポンプとを備え、粉体を該吸引ポンプで吸引しながら搬送先まで搬送する粉体搬送装置において、
    上記粉体収容器として請求項1、2、3、4又は5のものを用いたことを特徴とする粉体搬送装置。
  7. 画像形成に用いられる粉状の画像形成用剤を搬送する剤搬送装置を備え、これによって画像形成用剤を粉体収容器内から搬送先まで搬送して画像形成に用いる画像形成装置において、
    上記剤搬送装置として、請求項6の粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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