JP3966783B2 - エンジンのオイル溜め構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,クランク軸のクランク部を収容するクランク室を画成するクランクケースの一側に,動弁機構を収容する動弁室を画成するサイドカバーを接合したエンジンの,特に,クランク室には潤滑オイルを貯留させないドライサンプ式潤滑装置用のオイル溜め構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,ドライサンプ式潤滑装置用のオイル溜め構造として,例えば特開2002−38916号公報に開示されるように,クランクケースの一側にオイルタンクを配設したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように,クランクケースの一側にオイルタンクを配設したものでは,エンジン全体の大型化を免れない。
【0004】
そこで,本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,エンジン全体の小型化を可能にする,エンジンのオイル溜め構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,クランク軸のクランク部を収容するクランク室を画成するクランクケースの一側に,動弁機構を収容する動弁室を画成するサイドカバーを接合したエンジンにおいて,クランクケースに,クランク室を囲む第1オイル溜め室を形成し,またクランクケース及びサイドカバー間に,動弁室を囲む第2オイル溜め室を形成し,これら第1及び第2オイル溜め室間を相互に連通してなることを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば,相互に連通する第1及び第2オイル溜め室の総合容積は大きく,多量のオイルを貯留することができるから,エンジンの長期間の運転を可能にする。しかも,第1及び第2オイル溜め室は,クランクケース及びサイドカバーを径方向に僅かに拡大させるだけ形成が可能であり,エンジンのコンパクト化に寄与することができる。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,クランクケースを,クランク軸の軸線と直交する接合面で接合される第1及び第2ケース半体により構成し,その第1及び第2ケース半体の接合面に,クランク室を囲むように形成した凹部により前記第1オイル溜め室を構成し,また第2ケース半体と,その外側に接合されるサイドカバーとの接合面に,動弁室を囲む凹部により前記第2オイル溜め室を構成し,これら第1及び第2オイル溜め室間を連通する通孔を第2ケース半体に設けたことを第2の特徴とする。
【0008】
この第2の特徴によれば,第1及び第2ケース半体,並びにサイドカバーの鋳造時,クランク室及び第1動弁室と同時に形成できて,製作が容易であり,コストの低減を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0010】
図1は本発明の第1実施例に係る動力作業機用4サイクル型エンジンの縦断平面図,図2は図1の2−2線断面図,図3は図2の3−3線断面図,図4Aは図3の4A−4A線断面図,図4Bは図3の4B−4B線断面図,図5は図3の5−5線断面図,図6は図2の6−6線断面図,図7は図3の7−7線断面図,図8は本発明の第2実施例を示す,図1との対応図,図9は図8の9−9線断面図,図10は図9の10−10線断面図,図11は図8の11−11線断面図である。
【0011】
先ず,図1〜図7に示す本発明の第1実施例について説明する。
【0012】
図1〜図3において,動力作業機のエンジンベッドBに据え付けられる4サイクル型エンジンEは,クランクケース1と,このクランクケース1の前端に前傾姿勢で結合されるシリンダブロック2とをエンジン本体として備え,シリンダブロック2の頭部にはシリンダヘッド3が一体に形成されている。
【0013】
クランクケース1は,後述するクランク軸5の軸線と直交する接合面Pで接合されて両者間にクランク室4を画成する左右の第1及び第2ケース半体1a,1bから構成され,クランク室4にクランク軸5のクランク部1cが収容され,クランク軸5の左右両端部の第1及び第2ジャーナル部5a,5bが第1及び第2ケース半体1a,1bの相対向する側壁により第1及び第2ボールベアリング6a,6bを介して支承される。そして第1ケース半体1aの側壁には,第1ボールベアリング6aの外側に隣接してクランク軸5の第1ジャーナル部5a外周面に密接するオイルシール7aが装着される。第2ボールベアリング6bはシール付きに構成される。
【0014】
第2ケース半体1bの外側面にはサイドカバー8が接合され,これら第2ケース半体1b及びサイドカバー8間に第1動弁室9aが画成される。クランク軸5の一端部は,この第1動弁室9aを横断してサイドカバー8を貫通し,外部に延びており,該一端部の外周面に密接するオイルシール7bがサイドカバー8に装着される。
【0015】
またシリンダヘッド3の前端には,それとの間に第2動弁室9bを画成するヘッドカバー10が接合され,上記第1及び第2動弁室9a,9b間を連通する一対のロッド通路5c,5cがシリンダブロック2に設けられる。
【0016】
クランク部1cのクランクピン5pには,シリンダボア1a内を摺動するピストン11にコンロッド12を介して連接され,その際,クランクピン5pとコンロッド12の大端部間にはニードルベアリング17が介装される。
【0017】
シリンダヘッド3には,その内側の燃焼室13に開口する吸気ポート14i及び排気ポート14eが形成されると共に,これらポート14a,14bを開閉する吸気弁15i及び排気弁15eが取り付けられ,これら吸,排気弁15e,15eを開閉駆動する動弁機構19が第1動弁室9aから第2動弁室9bに亙り配設される。
【0018】
即ち,第1動弁室9aには,クランク軸5に形成される駆動タイミングギヤ20と,第2ケース半体1b及びサイドカバー8により両端を回転自在に支承されるカム軸22と,このカム軸22に形成されて,駆動タイミングギヤ20から2分の1の減速比で駆動される被動タイミングギヤ21と,第1ケース半体1a及びサイドカバー8により両端を支承されるカムフォロワ軸23と,このカムフォロワ軸23に揺動可能に支持されて,カム軸22の吸気カム22i及び排気カム22eに摺接可能に係合する一対のカムフォロワ24i,24eとが配設される。また第2動弁室9bには,吸気弁15i及び排気弁15eをそれぞれ閉弁方向に付勢する弁ばね25i,25eと,シリンダヘッド3にそれぞれ軸支されて,各一端部を吸気弁15i及び排気弁15eの上端に当接させる一対のロッカアーム26i,26eとが配設される。そして上記ロッカアーム26i,26eの他端部とカムフォロワ24i,24eとの各間を連接する一対のプッシュロッド27i,27eがロッド通路5c,5cに配設される。
【0019】
したがって,クランク軸5が回転すると,駆動タイミングギヤ20及び被動タイミングギヤ21を介してカム軸22が減速駆動され,このカム軸22の吸気カム22i及び排気カム22eがカムフォロワ24i,24eを介してプッシュロッド27i,27eをそれぞれ押し上げたとき,吸気弁15i及び排気弁15eはそれぞれ開き,吸気カム22i及び排気カム22eがプッシュロッド27i,27eの下降を許容したとき,吸気弁15i及び排気弁15eはそれぞれ弁ばね25i,25eの付勢力をもって閉じる。
【0020】
図1〜図4Aにおいて,クランクケース1内のクランク室4は,潤滑オイルを貯留させないように,クランク軸5の回転軌跡に副う最小容積の円筒状に形成され,このクランク室4を囲む略U字状の凹部28a,28bが第1及び第2ケース半体1a,1bの接合面にそれぞれ形成され,これら凹部28a,28bにより第1オイル溜め室28が構成される。凹部28a,28bは,第1及び第2ケース半体1a,1bの鋳造時にクランク室4と共に形成されるものである。
【0021】
また第2ケース半体1b及びサイドカバー8間の第1動弁室9aも潤滑オイルを貯留させないように必要最小限の容積に形成され,この第1動弁室9aを囲む凹部29a,29bが第2ケース半体1b及びサイドカバー8の接合面に形成され,これら凹部29a,29bにより第2オイル溜め室29が構成される。凹部29a,29bは,第2ケース半体1b及びサイドカバー8の鋳造時,第1動弁室9aと共に形成される。
【0022】
そして,上記第1及び第2オイル溜め室28,29を相互に連通すべく,第2ケース半体1bには複数の通孔30が設けられる。両オイル溜め室28,29には,クランク軸5の第1及び第2ジャーナル部5a,5bよりも高いレベルまで潤滑用オイルOが貯留される。
【0023】
図3,図4B及び図6に示すように,サイドカバー8には,オイルシール7bの内側でクランク軸5の第2ジャーナル部5bを囲繞する環状油路31が形成され,この環状油路31は,第1油溜め室28の下部に出口孔32を介して連なる供給小室33に上昇油路34を介して連通する。出口孔32は第2ケース半体1bに穿設され,供給小室33及び上昇油路34は,第2ケース半体1b及びサイドカバー8の接合面間に形成される。
【0024】
クランク軸5は,第1及び第2ジャーナル部5a,5bに一体に連なる,バランスウエイト付きの両クランクアームに,中空のクランクピン5pの両端部を圧入してクランク部5cを構成した組立式のものであり,第2ジャーナル部5bには油孔35が穿設される。この油孔35の一端は前記環状油路31に,他端は第2ボールベアリング6bのインナレース内端側にそれぞれ開口し,この油孔35からクランクピン5pの中空部36にオイルを受け渡す受け渡し皿37がバランスウエイト付きのクランク部1cの一端部に取り付けられる。即ち,この受け渡し皿37は,第1及び第2ケース半体1a,1bの結合時,その大径部が,クランク部5cの一端面に形成された浅い環状の位置決め凹部43に嵌合すると共に,小径部が前記第2ボールベアリング5bのインナレース内端面に弾発的に当接するように軸方向に圧縮変形され,セットされる。こうすれば,受け渡し皿37は,特別な固着部材を用いることなく,クランク部5cの一端部に簡単,的確に取り付けることができる。
【0025】
クランクピン5pには,その中空部36からクランクピン5p及びコンロッド12間のニードルベアリング17に給油する給油孔38が穿設される。上記油孔35には,環状油路31から受け渡し皿37側への一方向の流体の流れを許容するチェック弁39が介装される。
【0026】
前記受け渡し皿37の内部には,クランクピン5pの中空部36より半径方向外方に広がる環状の異物溜まり40が設けられる。
【0027】
図3及び図4Aに示すように,クランク室4の底部には軸方向に延び溝4aが形成されており,この溝4aを,第1動弁室9aの下方に延びた延長部9a′に連通する通孔41が第2ケース半体1bに穿設され,この通孔41を流体がクランク室4から第1動弁室9aへの一方向に流れことを許容するリード弁42が第2ケース半体1bに取り付けられる。
【0028】
図1,図3及び図7において,シリンダブロック2には,第2動弁室9bの下部に開口する回収孔45が設けられ,またシリンダブロック2からクランクケース1にかけて第1オイル溜め室28に開口する戻し孔47が設けられ,これら回収孔45及び戻し孔47間を接続する屈曲油路46がシリンダブロック2の,クランクケース1との接合面にシリンダボア1aを迂回するように形成される。その際,戻し孔47は,回収孔45よりも後方(ヘッドカバー10と反対側)に,且つ回収孔45及び第1オイル溜め室28の油面よりも上方に配置される。
【0029】
再び,図1において,ヘッドカバー10の天井壁は,中間部にブリーザ室48を画成するように内側壁10a及び外側壁10bからなる二重壁に構成され,その内側壁10aには,第2動弁室9b及びブリーザ室48間を連通する通孔49が穿設されると共に,この通孔49を流体が第2動弁室9bからブリーザ室48への一方向に流れことを許容するリード弁50が取り付けられる。さらに,その内側壁10aには,ブリーザ室48の下部を第2動弁室9bに連通する小孔51が穿設される。
【0030】
また外側壁10bには,ブリーザ室48をエンジンEの吸気系のエアクリーナ(図示せず)に連通するブリーザパイプ52が接続される。
【0031】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0032】
エンジンEの運転中,クランク室4の圧力は,ピストン11の昇降運動により脈動し,その圧力の脈動がクランクピン5pの中空部36を通してチェック弁39に作用して,これを開閉する。また上記圧力の脈動は,通孔30を通してリード弁42にも作用して,これを開閉し,そして第1及び第2動弁室9a,9bにまで伝播する。
【0033】
而して,チェック弁39の開閉によれば,第1オイル溜め室28の貯留オイルOは,出口孔32,供給小室33,上昇油路34,環状油路31,油孔35,受け渡し皿37及びクランクピン5pの中空部36を順次経てクランク室4に断続的に吸入され,クランク室4に臨むボールベアリング6a,6bを潤滑し,またランクピン5pの中空部36を通るオイルの一部は給油孔38を通してクランクピン5p及びコンロッド12間のニードルベアリング17を潤滑する。
【0034】
この間,クランク軸5と共に回転する受け渡し皿37では,その内部を通過するオイルを回転させ,それに含まれる切粉や摩耗粉等の異物を遠心分離し,その異物は,クランクピン5pの中空部36より半径方向外方に広がる異物溜まり40に保持される。したがって,浄化されたオイルをクランクピン5p側に供給することができ,エンジンEの耐久性の向上に寄与し得る。
【0035】
こうして,クランク室4に断続的に吸入されるオイルは,回転するクランク軸5から離れるとき,遠心力により飛散されてオイルミストとなり,このオイルミストは,リード弁42の開閉により通孔41から第1動弁室9aへ断続的に圧送され,そしてロッド通路5c,5cを通して第2動弁室9bへと移行し,その間の動弁機構19の各部を潤滑する。
【0036】
動弁機構19を潤滑し終えたオイルミストが第2動弁室9bの内壁に付着するなどして液化すると,そのオイルは第2動弁室9b下部の回収孔45から屈曲油路46,戻し孔47を通して第1オイル溜め室28に第2動弁室9bの圧力脈動によって戻される。
【0037】
また第2動弁室9bの圧力脈動は,ブリーザ室48のリード弁50をも開閉するので,クランク室4で発生したブローバイガスが前記オイルミストと共に第2動弁室9bまで上がって来ると,リード弁50の開閉により一部のオイルミストと一緒にブリーザ室48へ断続的に運ばれ,膨張して気液分離が行われる。そして液化したオイルは,小孔51を通って第2動弁室9bに戻り,オイルを分離したブローバイガスはブリーザパイプ52を通して図示しない吸入系に吸入され,燃焼処理される。
【0038】
かくして,クランク室4の脈動によるポンプ作用を利用することにより,特別なオイルポンプを用いることなく,第1及び第2オイル溜め室28,29の貯留オイルOをエンジンE各部に循環させることができ,潤滑装置の簡素化,延いてはコストの低減を図ることができる。
【0039】
また第1オイル溜め室28のオイルOが,クランク室4→第1動弁室9a→ロッド通路5c,5c→第2動弁室9b→第1オイル溜め室28へと循環する間に,第1オイル溜め室28のオイルOが減少すれば,第2オイル溜め室29のオイルOが通孔30を通して第1オイル溜め室28に補給される。この両オイル溜め室28,29の総合容積は大きく,多量のオイルOを貯留することができるから,エンジンEの長期間の運転を可能にする。
【0040】
しかも,上記第1オイル溜め室28は,クランクケース1を構成する第1及び第2ケース半体1a,1bに,クランク室4を囲むように形成され,また第2オイル溜め室29は,第2ケース半体1b及びサイドカバー8に第2動弁室9bを囲むように形成されるので,クランクケース1及びサイドカバー8を径方向に僅かに拡大させるだけ第1及び第2オイル溜め室29の形成が可能であり,エンジンEのコンパクト化に寄与することができる。
【0041】
特に,第1オイル溜め室28からクランク軸5の中空部36に引き込んだオイルをクランク軸5の回転により飛散させてオイルミストをつくることで,オイルミスト生成用のオイルスリンガは不要となり,部品点数の削減により構造の簡素化をもたらすことができるのみならず,オイルスリンガを持たない第1及び第2オイル溜め室28,29は,その形状の自由度が増し,エンジンE全体のコンパクト化を効果的に図ることができる。しかも,第1オイル溜め室28は,第1及び第2ケース半体1a,1bの接合面にそれぞれ形成される凹部28a,28bにより構成され,また第2オイル溜め室29は,第2ケース半体1b及びサイドカバー8の接合面にそれぞれ形成される凹部29a,29bにより構成されるので,第1及び第2ケース半体1a,1b,並びにサイドカバー8の鋳造時,クランク室4及び第1動弁室9aと同時に形成できて,製作が容易であり,コストの低減を図ることができる。
【0042】
また第2動弁室9bに開口する回収孔45及び第1オイル溜め室28に開口する戻し孔47は,水平及び上下の両方向において互いに離隔していて,屈曲油路46を介して連通しているから,エンジンEが運転停止中に傾動されても,上記回収孔45及び戻し孔47の何れ一方が第1オイル溜め室28の油面の上方に露出している限り,第1オイル溜め室28から第2動弁室9bへオイルが逆流することを防止できる。
【0043】
またエンジンEの運転停止中には,チェック弁39は閉弁して,クランク軸5内の油孔35を遮断するので,クランク軸5内の油孔35が第1オイル溜め室28の油面より下方に配置されているのも拘らず,エンジンEの格納時など,エンジンEが大きく傾斜して配置されるときでも,第1オイル溜め室28のオイルOがクランク室4に濫りに流入することも防止できる。
【0044】
また第2ジャーナル部5bの油孔35からクランクピン5pの給油孔38へのオイルの受け渡しは,クランク部5c一端に取り付けた受け渡し皿37により行われるので,クランク軸5の組立時に孔の位置合わせや,組立後の孔明けを不要にすることができ,コストの低減を図ることができる。
【0045】
次に,図8〜図11に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0046】
この第2実施例では,クランク軸5の第1及び第2ジャーナル部5a,5bを支持する第1及び第2ボールベアリング6a,6bが共にシール付きとされ,前実施例とは反対に,第1ジャーナル部5aを囲繞する環状油路31が第1ケース半体1aに設けられ,第1ジャーナル部5a側で受け渡し皿37がクランク部1cに取り付けられる。環状油路31及び受け渡し皿37間を連通する,クランク軸5内の油孔35には,前実施例のようなチェック弁39は設けられていない。その代わりに,環状油路31は,この環状油路31の前部から第1ケース半体1aの側壁を貫通してシリンダボア1aの軸線と平行に前方に延びる油路61と,この油路61の前端からシリンダボア1aの内周壁に沿って上方に延びるようにクランクケース1及びシリンダブロック2の接合面間を通る油路62と,この油路62の上端からクランクケース1の上壁内をサイドカバー8側に貫通する油路63と,この油路63のサイドカバー8側への開口端から,第2オイル溜め室9bを下方へ迂回するように第2ケース半体1b及びサイドカバー8の接合面間を通る油路64を介して,第1オイル溜め室28の下部に連なる供給小室33に連通する。
【0047】
かくして,クランク軸5の第1ジャーナル部5aを囲繞する環状油路31に連通する油路61〜64は,一旦第1及び第2オイル溜め室28,29の油面より上方にまで延び,そして下方へ屈曲して,第1オイル溜め室28の下部に連なる供給小室33に至るので,前実施例のようなクランク軸5内のチェック弁39を持たずとも,エンジンEの運転停止時,これが大きく傾斜して配置される場合に,第1オイル溜め室28から環状油路31を通してクランク室4側にオイルが濫りに流入することを防止できる。
【0048】
その他の構成は,前実施例と同様であるので,図8〜図11中,前実施例との対応部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0049】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,クランク軸のクランク部を収容するクランク室を画成するクランクケースの一側に,動弁機構を収容する動弁室を画成するサイドカバーを接合したエンジンにおいて,クランクケースに,クランク室を囲む第1オイル溜め室を形成し,またクランクケース及びサイドカバー間に,動弁室を囲む第2オイル溜め室を形成し,これら第1及び第2オイル溜め室間を相互に連通して,オイル溜め構造を構成したので,第1及び第2オイル溜め室の総合容積は大きく,多量のオイルを貯留することができるから,エンジンの長期間の運転を可能にする。しかも,第1及び第2オイル溜め室は,クランクケース及びサイドカバーを径方向に僅かに拡大させるだけ形成が可能であり,エンジンのコンパクト化に寄与することができる。
【0051】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,クランクケースを,クランク軸の軸線と直交する接合面で接合される第1及び第2ケース半体により構成し,その第1及び第2ケース半体の接合面に,クランク室を囲むように形成した凹部により前記第1オイル溜め室を構成し,また第2ケース半体と,その外側に接合されるサイドカバーとの接合面に,動弁室を囲む凹部により前記第2オイル溜め室を構成し,これら第1及び第2オイル溜め室間を連通する通孔を第2ケース半体に設けたので,第1及び第2ケース半体,並びにサイドカバーの鋳造時,クランク室及び第1動弁室と同時に形成できて,製作が容易であり,コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る動力作業機用エンジンの縦断平面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4A】図3の4A−4A線断面図
【図4B】図3の4B−4B線断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】図3の7−7線断面図
【図8】本発明の第2実施例を示す,図1との対応図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】図9の10−10線断面図
【図11】図8の11−11線断面図
【符号の説明】
E・・・・・エンジン
O・・・・・潤滑オイル
1・・・・・クランクケース
1a・・・・第1ケース半体
1b・・・・第2ケース半体
4・・・・・クランク室
5・・・・・クランク軸
5c・・・・クランク部
8・・・・・サイドカバー
9・・・・・動弁室(第1動弁室)
19・・・・動弁機構
28・・・・第1オイル溜め室
29・・・・第2オイル溜め室
Claims (2)
- クランク軸(5)のクランク部(5c)を収容するクランク室(4)を画成するクランクケース(1)の一側に,動弁機構(19)を収容する動弁室(9a)を画成するサイドカバー(8)を接合したエンジンにおいて,
クランクケース(1)に,クランク室(4)を囲む第1オイル溜め室(28)を形成し,またクランクケース(1)及びサイドカバー(8)間に,動弁室(9a)を囲む第2オイル溜め室(29)を形成し,これら第1及び第2オイル溜め室(28,29)間を相互に連通してなることを特徴とする,エンジンのオイル溜め構造。 - 請求項1記載のエンジンのオイル溜め構造において,
クランクケース(1)を,クランク軸(5)の軸線と直交する接合面(P)で接合される第1及び第2ケース半体(1a,1b)により構成し,その第1及び第2ケース半体(1a,1b)の接合面に,クランク室(4)を囲むように形成した凹部(28a,28b)により前記第1オイル溜め室(28)を構成し,また第2ケース半体(1b)と,その外側に接合されるサイドカバー(8)との接合面に,動弁室(9a)を囲む凹部(29a,29b)により前記第2オイル溜め室(29)を構成し,これら第1及び第2オイル溜め室(28,29)間を連通する通孔(30)を第2ケース半体(1b)に設けたことを特徴とする,エンジンのオイル溜め構造。
Priority Applications (6)
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