JP3966604B2 - エンジンにおける潤滑装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランクケースに、該クランクケースとの間に作動室を形成してクランクケースカバーが締結され、クランクケースで回転自在に支承される回転軸に、作動室内のオイルを飛散せしめることを可能として作動室内のオイル中に少なくとも一部を浸す回転部材が固定されるエンジンにおいて、回転部材で飛散されたオイルを被潤滑部に供給するようにした潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クランクケースおよびクランクケースカバー間の作動室内で回転する回転部材により、作動室内に貯溜されている潤滑ユニットを飛散せしめ、その飛沫オイルを捕集して被潤滑部に供給するようにしたものが、たとえば実公平5−33686号公報により、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、クランクケース内の上部に形成されているオイル室内に、回転部材の回転により飛散したオイルを捕集し、クランクケース内のギヤ列に前記オイル室からオイルを落下させて、前記ギヤ列の潤滑を行なうようにしたものであり、このままでは前記ギヤ列以外の被潤滑部へのオイルの供給ができない。そこで、前記オイル室から他の被潤滑部にオイルを導く通路をクランクケースに形成することも考えられるが、前記ギヤ列と、他の被潤滑部とに適正な配分でオイルを供給することができない。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、作動室内で回転する回転部材により飛散したオイルを捕集し、簡単な構造で複数の被潤滑部に適正な配分でオイルを供給し得るようにしたエンジンにおける潤滑装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、クランクケースに、該クランクケースとの間に作動室を形成してクランクケースカバーが締結され、クランクケースで回転自在に支承される回転軸に、作動室内のオイルを飛散せしめることを可能として作動室内のオイル中に少なくとも一部を浸す回転部材が固定されるエンジンにおいて、クランクケースおよびクランクケースカバー間に、前記回転部材で飛散されたオイルを受け入れる入口を有するオイル捕集室が形成され、該オイル捕集室内を前記入り口側から離反するにつれて順次低くなるとともに相互に異なる被潤滑部にそれぞれ連なる複数の貯溜部に区画するとともに上方の貯溜部から下方の貯溜部へとオイルを順次溢流させる制御壁が、オイル捕集室の底壁に設けられることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、回転部材の回転により飛散して入口からオイル捕集室内に捕集されたオイルは、オイル捕集室内の制御壁を溢流することにより、上方の貯溜部から下方の貯溜部へと順次貯溜されていくことになり、各貯溜部にそれぞれ貯溜されたオイルが対応した被潤滑部にそれぞれ供給されることになり、各被潤滑部へのオイルの適切な配分での供給が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1ないし図10は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明を適用した自動二輪車の側面図、図2は図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図1の4−4線に沿う拡大断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図5の6−6線拡大断面図、図7は図5の要部拡大断面図、図8は図5の8−8線断面図、図9は図2の9−9線断面図、図10はクランクケースカバーを内方側から見た図である。
【0009】
先ず図1において、小型車両としての自動二輪車Vが備える車体フレームFは、前下がりに傾斜して配置されるヘッドチューブ部15と、ヘッドチューブ部15の下端から後下がりに傾斜して延びるダウンチューブ部16と、ダウンチューブ部16の下端から後方にほぼ水平に延びるボトムチューブ部17と、該ボトムチューブ部17の後端から後上がりに傾斜して延びるリヤチューブ部18とを一体に有するように、1本の鋼管を曲げ加工して形成される。
【0010】
ヘッドチューブ部15には、前輪WF を支持するフロントフォーク19およびステアリングハンドル20が操向可能に支持され、ステアリングハンドル20には前照灯21が取付けられる。またダウンチューブ部16の下部およびボトムチューブ部17にはステップ22が取付けられ、リヤチューブ部17の上部には、サドル23の支持ポスト23aが挿入され、該支持ポスト23aはサドル23の高さ位置を調節可能としてリヤチューブ部17の上端にクランプ具24によりクランプされる。
【0011】
リヤチューブ部17には、支持ブラケット25が固着されるとともに、該支持ブラケット25よりも上方位置でラバーホルダ26が固着されており、前記支持ブラケット25に、後輪WR を支持するパワーユニットPが支軸27を介して上下揺動可能に連結され、前記支軸27の軸線まわりのパワーユニットPの揺動を弾性的に規制するために、前記ラバーホルダ26で保持されるラバー28にパワーユニットPが連結される。
【0012】
後輪WR の上方位置には、リヤフェンダ29と一体であるリヤカバー30が配置されており、該リヤカバー30は、前記クランプ具24およびラバーホルダ26に取付けられる。しかもリヤカバー30の後端には、尾灯およびウインカを含むランプユニット31が取付けられる。またリヤカバー30内には、燃料タンク32が収納されており、該燃料タンク32への給油を可能とするためにリヤカバー30の上面の一部は開放可能に構成される。
【0013】
図2および図3において、パワーユニットPは、4サイクルの空冷型である単気筒のエンジンEと、変速機Mとを備え、自動二輪車Vの前方に向って左側で後輪WR の側方に配置される。
【0014】
エンジンEのエンジン本体34は、回転軸としてのクランクシャフト40を回転自在に支承する左、右クランクケース35,36と、円筒状のシリンダ部37を一体に有して左、右クランクケース35,36に共通に結合されるシリンダヘッド38と、シリンダヘッド38に結合されるヘッドカバー39とを備える。
【0015】
シリンダ部37にに摺動可能に嵌合されるピストン42とシリンダヘッド38との間には燃焼室43が形成され、ピストン42はコネクティングロッド44およびクランクピン45を介してクランクシャフト40に連結される。而してエンジン本体34は、そのピニオン42の作動軸線を略水平となるまで前方に傾斜させた姿勢で後輪WR の側方に配置される。
【0016】
シリンダヘッド38に設けられたカムホルダ46にカムシャフト47が回転自在に支承されており、該カムシャフト47には、吸気弁48を開閉駆動せしめる吸気カム49と、排気弁50を開閉駆動せしめる排気カム51とがそれぞれ一体に設けられる。
【0017】
図4および図5を併せて参照して、左クランクケース35には、上方に延びるケース部35aが一体に設けられ、また右クランクケース36には上方に延びるケース部36aが一体に設けられ、両ケース部35a,36aは相互に締結されるミッションケース52を構成する。
【0018】
左クランクケース35のケース部35aには、エンジン本体Eの上方で自動二輪車Vの前方に向って延びるスイングアーム53が一体に設けられており、該スイングアーム53は、自動二輪車Vの前後方向に直交する鉛直断面が後輪WR とは反対側に略U字形に開放した形状を有するように形成され、しかもスイングアーム53の前部には、後輪WR の前方側に回り込むように膨らんだ膨出部53aが形成される。
【0019】
スイングアーム53の前端にはハンガ54が一体に設けられており、該ハンガ54が、車体フレームFのブラケット25で支持される支軸27に、ラバーブッシュ55,55を介して支承される。
【0020】
またハンガ54よりも上方に位置する一対の連結ブラケット56,56が、スイングアーム53の前端に一体に設けられており、これらの連結ブラケット56,56が、前記ラバーホルダ26で保持されるラバー28に連結される。
【0021】
後輪WR とは反対側でスイングアーム53には複数のボルト57…によりエアクリーナカバー58が締結される。而して自動二輪車Vの前後方向に沿うスイングアーム53の中間部に設けられる隔壁59と、該隔壁59に対応してエアクリーナカバー58に設けられた隔壁60とが相互に当接することにより、スイングアーム53およびエアクリーナカバー58間には、前方側のエアクリーナ室61と、後方側の気化器収納室62とが形成される。
【0022】
自動二輪車Vの前後方向に沿うスイングアーム53の前端および前記隔壁59間でスイングアーム53の上部および下部側壁間には支持壁63が設けられており、該支持壁63およびスイングアーム53の前部側壁のエアクリーナカバー58側の端部には、スイングアーム53の膨出部53aに対応して無端状に連なる嵌合凹部64が形成されており、該嵌合凹部64にクリーナエレメント65の周縁部が嵌合される。しかもエアクリーナカバー58には、クリーナエレメント65を支持壁63との間に挟持して先端を支持壁63に当接させる挟持突部66が突設されており、エアクリーナカバー58の外方側から該挟持壁部66に挿通されるねじ部材67が前記支持壁63に螺合される。
【0023】
前記クリーナエレメント65により、エアクリーナ室61は、膨出部53a内の未浄化室61aと、それ以外の浄化室61bとに区画されることになり、未浄化室61aに外気が導入される。
【0024】
図6において、エアクリーナカバー58とは反対側でスイングアーム53の膨出部53aには、未浄化室61aに通じる空気導入口68が設けられており、該空気導入口68を上方から覆うカバー部69が膨出部53aに一体に設けられる。
【0025】
ところで、エアクリーナ室61においてスイングアーム53の内面には相互に交差する複数のリブ70…が一体に設けられており、未浄化室61a内において各リブ70…はクリーナエレメント65に接触するのであるが、それらのリブ70…で未浄化室61aを複数に区画しないようにするために、未浄化室61a内のリブ70…のクリーナエレメント65側の端部には略U字状の切欠き71…が設けられる。したがって空気導入口68から未浄化室61aに導入された空気は、クリーナエレメント65をそのほぼ全面にわたって分散して流通し、クリーナエレメント65で浄化された空気が浄化室61bに導かれることになる。
【0026】
気化器収納室62内には気化器74が収納される。すなわちスイングアーム53は、エンジン本体34のシリンダヘッド38よりも上方位置にあり、そのスイングアーム53およびエアクリーナカバー58間に形成される気化器収納室62内に気化器74が収納されるので、スイングアーム53は、シリンダヘッド38および気化器74間を隔てる配置で、車体フレームFの支持ブラケット25に揺動可能に連結されることになる。
【0027】
気化器74の入口にはゴム製の入口側接続管75が嵌合、接続されており、該入口側接続管75は浄化室61bに通じるようにして隔壁59,60間に挟まれる。
【0028】
また気化器74の出口には、略L字状に曲がった出口側接続管76の一端が締結されており、該入口側接続管76の他端にはフランジ77が設けられる。一方、スイングアーム53には挿通孔78が設けられ、スイングアーム53の内、外面には前記挿通孔78を囲繞する取付け座面79,80がそれぞれ形成される。而して出口側接続管77のフランジ77と、取付け座面79との間には断熱材81が介装される。また出口側接続管77には、挿通孔78および断熱材81を貫通して吸気管82の一端が挿入されており、該吸気管82の他端はシリンダヘッド38に接続される。しかも吸気管82の中間部には前記取付け座面80に当接するフランジ83が固着されており、断熱材81およびスイングアーム53を相互間に挟んだフランジ77,82が複数たとえば一対のボルト84,84で締付けられる。
【0029】
これにより気化器74がスイングアーム53に固定されるとともに、シリンダヘッド38に連なってスイングアーム53に固定される吸気管82が、スイングアーム53を貫通して気化器74に接続されることになる。
【0030】
気化器74のスロットル弁(図示せず)を駆動するスロットルワイヤ85がスイングアーム53の上部を貫通してステアリングハンドル20側に延出され、燃料タンク32(図1参照)に接続される燃料導入管86からの燃料の供給・遮断を切換えるべく気化器74に付設される燃料コック87は、エアクリーナカバー58の外方からの操作を可能とすべく、該エアクリーナカバー58の外方に突出される。またエアクリーナカバー58の気化器収納室62に対応する部分には、気化器収納室62内と外部との間で空気を流通せしめて気化器収納室62が高温となることを防止するための複数の空気流通孔88…が設けられる。
【0031】
シリンダヘッド38からの排ガスを導く排気管89は、パワーユニットPの下方および後方側を経て両ケース部35a,36aの上方まで延設され、両ケース部35a,36aの上部に支持されるマフラ90に接続される。
【0032】
両ケース部35a,36aで構成されるミッションケース52内には、クランクシャフト40の一端側に固定される出力ギヤ93に噛合する入力ギヤ94と、変速機Mと、入力ギヤ94および変速機M間に介在される発進クラッチ95とが収納される。
【0033】
入力ギヤ94および発進クラッチ95は、クランクシャフト40と平行な軸線を有するとともに両ケース部35a,36aで軸方向両端部を支承された固定のメイン軸96に装着されており、変速機Mは、前記メイン軸96と、該メイン軸96と平行な軸線を有するとともに一端部をケース部36aから突出させるようにして両ケース部35a,36aで回転自在に支承されるファイナル軸97との間に、択一的に切換えて確立される複数変速段たとえば4段のギヤ列98,99,100,101が設けられて成るものであり、ファイナル軸97のミッションケース52からの突出端部に、タイヤ102とともに後輪WR を構成するホィール103が固着される。しかもホィール103には、ドラムブレーキ104が装着される。
【0034】
ケース部35aを含む左クランクケース35には右クランクケース36とは反対側からクランクケースカバー105が結合されており、左クランクケース35およびクランクケースカバー105間に作動室106が形成される。この作動室106には、クランクシャフト40に固定される椀状の外筒107の内面に磁石108が固着されて成るロータ109と、クランクケースカバー105に固定されるステータ110とを有する発電機111が収納される。
【0035】
またクランクケースカバー105には、クランクシャフト40と平行な軸線を有するキックスピンドル112が回転自在に支承されており、クランクケースカバー105から外側方に突出したキックスピンドル112の端部にはキックペダル113が固着される。キックスピンドル112にはキックスピンドルギヤ114が固着されており、このキックスピンドルギヤ114を含むギヤ列115が始動クラッチ116を介してクランクシャフト40に連結される。さらにクランクケースカバー105およびキックスピンドルギヤ114間にはねじりばね117が設けられており、このねじりばね117は、キックペダル113の踏込み操作を終了したときに該キックペダル113すなわちキックスピンドル112を元の位置に戻すばね力を発揮する。
【0036】
ところで、左クランクケース35のケース部35a内には、スタータモータ118が収納、固定されており、このスタータモータ118の出力軸に設けられた出力ギヤ119は、クランクシャフト40と一体に回転する回転部材としてのリングギヤ121に、オーバーランニングクラッチ120を介して連結可能である。
【0037】
上記リングギヤ121は、発電機111におけるロータ109の外筒107に、椀状である該外筒107の開口端部へのバーリング加工ならびにファインブランキング加工等を施すことによって一体に形成される。而してリングギヤ121が発電機111の外筒107に一体に設けられることにより、部品点数の低減および組付工数の削減が可能となるだけでなく、外筒107の強度増大にも寄与することができる。
【0038】
エンジン本体34において、シリンダヘッド38およびヘッドカバー39には、作動室106に通じて略水平方向に延びるカムチェーン室124が形成されており、作動室106内において発電機111および左クランクケース35間でクランクシャフト40に固定された駆動スプロケット125と、カムチェーン室124内でカムシャフト47に固定された従動スプロケット126とに巻掛けられる無端状のカムチェーン127が、作動室106およびカムチェーン室124に走行可能に収納される。
【0039】
作動室106およびカムチェーン室124の接続部付近で左クランクケース35には、クランクシャフト40と平行な軸線を有するようにして円筒状のボス128が一体に設けられており、該ボス128にねじ込まれる支軸129でテンショナアーム130が揺動可能に支持される。このテンショナアーム130の一端にテンションスプロケット131が軸支されており、該テンションスプロケット131がカムチェーン127に噛合され、テンショナアーム130の他端には、プッシュロッド132の上端が連接される。
【0040】
ところで、カムチェーン室124は、その底壁124aを前記作動室106の底部よりも上方に配置してエンジン本体34に形成されており、カムチェーン室124の底壁124aの作動室106側の端部に配置されるオイルセパレータ133が左クランクケース35に締着される。
【0041】
図7および図8を併せて参照して、前記底壁124aの作動室106側の端部には、クランクケースカバー105側に開放した凹部134が、リングギヤ121の外周に近接・対向した円弧状の壁部135を作動室との間に介在せしめるようにして設けられており、オイルセパレータ133は、前記凹部134のクランクケースカバー105側開口部を閉じるようにして左クランクケース35にボルト136で締結される。
【0042】
而して凹部134およびオイルセパレータ133により、カムチェーン室124の底壁124aに開口する油溜まり137が形成されることになる。一方、作動室106内にはオイルが貯溜されており、作動室106内で図7の矢印138で示す方向に回転するリングギヤ121で飛散せしめられたオイルが、油溜まり137で受けられることになる。
【0043】
オイルセパレータ133には、上端をカムチェーン室124の底壁124aよりも下方位置として油溜まり137内を上下に延びるとともに上端を開放した有底のガイド筒139が一体に設けられており、円筒状のプッシュロッド132が該ガイド筒139に摺動可能に嵌合される。
【0044】
プッシュロッド132の下端およびガイド筒139の閉塞端との間には油圧140が形成され、この油室140には、プッシュロッド132を上方に押し上げるばね力を発揮するばね141が収納される。しかもプッシュロッド132の上端に固着されるゴム部材142がテンショナアーム130の他端に当接されており、ばね141はプッシュロッド132を介して前記テンショナアーム130を、テンションスプロケット131でカムチェーン127を緊張させる方向に回動付勢することになる。
【0045】
プッシュロッド132の下部にはチェック弁143が設けられており、プッシュロッド132の上部には、油溜まり137内のオイルをプッシュロッド132内に導く導入孔144が設けられる。
【0046】
チェック弁143は、ばね141のばね力によりプッシュロッド132が上方に移動したときには油室140へのオイルの流入を許容するが、プッシュロッド132が下方に押圧されたときには油室140をロック状態とするものである。すなわちプッシュロッド132は、緊張方向にばね付勢されたカムチェーン127からの反力を受けたときには、油室140をロック状態として踏ん張ることができることになる。
【0047】
図9を併せて参照して、左クランクケース35には、油溜まり137を左、右両クランクケース35,36内の下部に連通させる連通孔145が設けられており、左、右クランクケース35,36には、前記連通孔145に通じる油溜まり146をそれらのクランクケース35,36の底部との間に形成するリブ147,148が、相互に当接するようにして設けられる。しかも各リブ147,148は、クランクシャフト40および出力ギヤ93の外周に近接、対向して円弧状に形成され、各リブ147,148の上端は、カムチェーン室142の底壁142aにほぼ対応した位置に配置される。
【0048】
また左クランクケース35には、油溜まり146の下部を作動室106の下部に連通させる絞り孔149が設けられるとともに、リブ147,148を溢流してクランクシャフト40および出力ギヤ93側に流れたオイルを作動室106内の下部に戻す絞り孔150が設けられる。
【0049】
而して作動室106内には、エンジンEの停止時には図7において鎖線で示すラインLS までオイルが貯溜されているのであるが、エンジンEの運転に伴ってロータ109が回転することにより飛散したオイルが油溜まり137,146に溜まることになり、油溜まり146から作動室106内へのオイルの戻りは絞り孔149で絞られるので、エンジンEの運転時には、鎖線LO で示すように油溜まり137,146で定まるレベルに変化することになり、リングギヤ121のオイルに浸る部分が小さくなる。
【0050】
図10を併せて参照して、ケース部35aを含む左クランクケース35およびクランクケースカバー105間の上部には、作動室106内のリングギヤ121で飛散されたオイルを受け入れる入口152を有するオイル捕集室153が、左クランクケース35およびクランクケースカバー105にそれぞれ設けられるリブ154,155を相互に当接せしめることにより形成される。
【0051】
前記オイル捕集室153は、リングギヤ121の回転により飛散して左クランクケース35およびクランクケースカバー105の内面に沿って移動してきたオイルを受け入れるように入口152を配置して左クランクケース35およびクランクケースカバー105間に形成されており、左クランクケース35およびクランクケースカバー105には、それらの内面に沿って移動してきたオイルを入口152に案内するためのガイド壁156,157が設けられる。
【0052】
しかもオイル捕集室153は、前記入口152から離れるにつれて低くなるように形成されているものであり、左クランクケース35およびクランクケースカバー105には、相互に対をなして当接する制御壁161,162;163,164がオイル捕集室153の底壁153aから立上がるようにして設けられており、それらの制御壁161,162;163,164により、オイル捕集室153内は前記入り口152側から離反するにつれて順次低くなる複数たとえば3つの貯溜部158,159,160に区画され、各制御壁161,162;163,164は、最上方の貯溜部158から中間部の貯溜部159を経て最下方の貯溜部160へとオイルを順次溢流させるように形成されている。
【0053】
しかも各貯溜部158,159,160は、相互に異なる被潤滑部にオイルを供給可能であり、変速機Mにおけるメイン軸96には、ギヤ列98〜101の一部および発進クラッチ95にオイルを供給するための潤滑油路165が貯溜部158に通じるようにして同軸に設けられ、変速機Mにおけるファイナル軸97には、前記ギヤ列98〜101の他部にオイルを供給するための潤滑油路166が貯溜部159に通じるようにして同軸に設けられ、左クランクケース35およびシリンダヘッド38には、カムシャフト47にオイルを供給するための潤滑油路167が貯溜部160に通じるようにして設けられる。
【0054】
ところで、左、右クランクケース35,36間でもオイルはクランクシャフト40および出力ギヤ93で攪拌されることになり、オイルは図3の矢印168で示すように、クランクシャフト40および出力ギヤ93で上方に飛散せしめられるのであるが、左、右クランクケース35,36には、矢印168で示す方向に飛散されてきたオイルをクランクシャフト40およびクランクピン45間の潤滑に用いるべくそれら40,54側に導くガイド壁169…が入力ギヤ94、発進クラッチ95および各ギヤ列98〜101の外周に対応した円弧状に形成されて設けられており、メイン軸96内の潤滑油路165からギヤ列98〜101の潤滑部を経て下方に落下してくるオイルも前記ガイド壁169…によりクランクシャフト40およびクランクピン45側に案内される。
【0055】
次にこの実施例の作用について説明すると、エンジンEのエンジン本体34に連なるスイングアーム53を介してパワーユニットPが車体フレームFに揺動可能に支承されるが、スイングアーム53は、エンジンEのシリンダヘッド38および気化器74間を隔てるようにして車体フレームFに揺動可能に連結されている。このため、シリンダヘッド38からの熱による悪影響が気化器74に及ぶことを、シリンダヘッド38および気化器74間に介在するスイングアーム53によって極力防止することが可能であり、シリンダヘッド38からの熱による気化器74の性能低下を極力防止することができる。しかもスイングアーム53はパワーユニットPを車体フレームFに揺動支持するためのものであり、シリンダヘッド38からの熱による悪影響が気化器74に及ぶことを防止するための専用の部材を設けることが不要であり、部品点数の増加を回避することができる。
【0056】
また気化器74はスイングアーム53に固定されており、シリンダヘッド38に連なってスイングアーム53に固定される吸気管82が、スイングアーム53を貫通して気化器74に接続されているので、吸気管82に気化器74を支持するための大きな強度が要求されることはなく、吸気管82の小型、軽量化を図ることができる。しかも気化器74がスイングアーム53で剛性的に支持されることにより、エンジン本体34からの振動が気化器74に悪影響を及ぼすことを回避して、振動による気化器74の性能低下を防止することができる。
【0057】
また作動室106内でリングギヤ121が回転することにより、作動室106内のオイルがリングギヤ121で攪拌、飛散されるが、その飛散したオイルを捕集する油溜まり137が、駆動スプロケット125および従動スプロケット126に巻掛けられるカムチェーン127を走行せしめるカムチェーン室124の底壁124aにおいて、作動室106側の端部に開口してエンジン本体34に形成されている。しかも前記油溜まり137は絞り孔149を介して作動室106内に連通するものであるので、エンジンEの運転時に作動室106内のオイルの油面は、一部のオイルが油溜まり137に捕集されることにより低下することになり、したがってリングギヤ121の回転によるフリクションロスを低減することができる。
【0058】
しかも前記油溜まり137は、カムチェーン127に接触するテンションスプロケット131に一端が連接されるプッシュロッド132の他端を臨ませた油室140にオイルを供給可能であり、エンジンEの運転時には油溜まり137に確実にオイルを溜めるようにして、プッシュロッド132の確実な作動が可能となる。
【0059】
さらに左クランクケース35およびクランクケースカバー105間には、作動室106内のリングギヤ121の回転より飛散したオイルを受け入れる入口152を有するオイル捕集室153が形成されており、オイル捕集室153内を入り口152側から離反するにつれて順次低くなるとともに相互に異なる被潤滑部にそれぞれ連なる複数の貯溜部158,159,160に区画するとともに上方の貯溜部158から中間部の貯溜部159を経て最下方の貯溜部160へとオイルを順次溢流させる制御壁161,162;163,164がオイル捕集室153の底壁153aに設けられている。したがってオイル捕集室153内に捕集されたオイルは、オイル捕集室153内の制御壁161,162;163,164を溢流して各貯溜部158〜159に順次貯溜されていくことになり、各貯溜部158〜159にそれぞれ貯溜されたオイルが対応した被潤滑部にそれぞれ供給されるので、各被潤滑部へのオイルの適切な配分での供給が可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、回転部材の回転により飛散してオイル捕集室内に捕集されたオイルが、オイル捕集室内で上方の貯溜部から下方の貯溜部へと順次貯溜されていくようにし、各貯溜部にそれぞれ貯溜されたオイルを対応の被潤滑部にそれぞれ供給することにより、各被潤滑部へのオイルの適切な配分での供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線に沿う拡大断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図5の6−6線拡大断面図である。
【図7】図5の要部拡大断面図である。
【図8】図5の8−8線断面図である。
【図9】図2の9−9線断面図である。
【図10】クランクケースカバーを内方側から見た図である。
【符号の説明】
35・・・クランクケース
40・・・回転軸としてのクランクシャフト
105・・・クランクケースカバー
106・・・作動室
121・・・回転部材としてのリングギヤ
152・・・入口
153・・・オイル捕集室
153a・・・底壁
158,159,160・・・貯溜部
161,162,163,164・・・制御壁
E・・・エンジン
Claims (1)
- クランクケース(35)に、該クランクケース(35)との間に作動室(106)を形成してクランクケースカバー(105)が締結され、クランクケース(35)で回転自在に支承される回転軸(40)に、作動室(106)内のオイルを飛散せしめることを可能として作動室(106)内のオイル中に少なくとも一部を浸す回転部材(121)が固定されるエンジンにおいて、クランクケース(45)およびクランクケースカバー(105)間に、前記回転部材(121)で飛散されたオイルを受け入れる入口(152)を有するオイル捕集室(153)が形成され、該オイル捕集室(153)内を前記入り口(152)側から離反するにつれて順次低くなるとともに相互に異なる被潤滑部にそれぞれ連なる複数の貯溜部(158,159,160)に区画するとともに上方の貯溜部から下方の貯溜部へとオイルを順次溢流させる制御壁(161,162,163,164)が、オイル捕集室(153)の底壁(153a)に設けられることを特徴とするエンジンにおける潤滑装置。
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JPH11280444A JPH11280444A (ja) | 1999-10-12 |
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WO2016151742A1 (ja) * | 2015-03-24 | 2016-09-29 | 本田技研工業株式会社 | 内燃機関の潤滑油供給構造 |
-
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- 1998-03-31 JP JP08752998A patent/JP3966604B2/ja not_active Expired - Fee Related
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