JP3965573B2 - 金属層の微細加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子機器に用いられるプリント配線板、TABテープ、BGA等の電子部品やその他銅の微細加工を必要とする製品の加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
社団法人電子情報技術産業協会電子デバイス部著「2001年度日本実装技術ロードマップ」文祥堂印刷出版、2001年3月発行、P.279
近年、半導体素子の高密度化がより一層要求されるのに伴い、その導体部品であるTABテープやBGA等も高密度配線化、狭ピッチ化が進んでいる。TABテープやBGAは、樹脂等で形成されるベース層上に銅の配線が形成されている。配線加工時に最表面となる銅の加工方法としては、フォトリソグラフィー法により形成されたレジストパターンを用いたウェットエッチング(フォトエッチング)加工が一般的に用いられる。
【0003】
フォトエッチング加工では、エッチング液として塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液が一般的に用いられ、基材表面と平行な方向:基材厚さ方向でおおよそ1:2〜1:3の速度比でエッチングが進行する。そのため、加工物の銅の厚さがその配線加工性に影響を及ぼし、銅が薄いほうが狭ピッチ加工を行うことが可能である。現在では、銅の厚さ18μmで配線のライン/スペースが25/25μm程度のものが量産品として製造されている。
【0004】
フォトエッチング加工では、基材表面と平行な方向にもエッチングが進行するためレジストパターンは基材表面と平行な方向のエッチング量を考慮した寸法で形成される。銅の厚さ18μmで配線のライン/スペースが25/25μmの配線の加工を行う際には、レジストのライン/スペースは35/15μm程度となる。
フォトエッチングでは、金属−エッチング液界面への十分な反応種の供給を行うためにスプレー噴射等により液流動を誘起するのが一般的である。しかし、レジストのスペースが30μm以下となると液流動による金属表面への十分な反応種供給が困難となり、静止浴中でのエッチングと同じように、反応種の金属表面への供給は液中の反応種の拡散のみにより行われることとなる。
そのため、狭レジストスリット(スペース)を必要とする狭ピッチの配線加工はライン/スペース25/25μm程度が加工限界に近い。
【0005】
また、TABテープやBGAなど、樹脂等で形成されるベース層の上に銅の配線が形成される基板においては、一般的に銅あるいはベース層の接合界面の表面粗さを上げ、いわゆるアンカー効果により銅の配線とベース層との接着性を確保している。
このような方法で接着性を向上させているため、エッチング加工時に銅−ベース層界面部分で、特に粗な凹凸の底部でエッチングで除去されずに残留している銅の残留部が発生する。この残留部を除去するために必要以上にエッチングを進行させなくてはならず、その結果、銅の配線幅が減少し、良好な配線形状を得ることが難しい。
【0006】
配線のライン/スペースが25/25μm以下の微細な配線パターンの加工を行う際にはその傾向が顕著で、場合によっては銅がエッチングにより完全に除去されてしまい、その結果、配線パターンを形成できない場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、比較的容易に、樹脂等で形成されるベース層上に、例えば、銅の微細な配線を形成することを可能とする金属層の微細加工方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともベース層と金属層の2層で構成される基材の該金属層への微細加工方法であって、金属層上に所望の形状にパターニングされたレジスト層を形成したのちに、第一の溶液により金属層の除去部をエッチング除去し、第一の溶液で除去されずに残留しているベース層上の金属層の残留部を第二の溶液によりエッチング除去することを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0009】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記第一の溶液が塩化第二銅溶液、或いは塩化第二鉄溶液であることを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0010】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記第二の溶液が1重量%から15重量%の硫酸水溶液であることを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0011】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記第二の溶液の温度が20℃以上であることを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0012】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記第二の溶液が基材に噴霧されることを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0013】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記噴霧される際の噴霧圧力が0.05MPa以上であることを特徴とする微細加工方法である。
【0014】
また、本発明は、上記発明による金属層の微細加工方法において、前記金属層が銅、或いは銅合金であることを特徴とする金属層の微細加工方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本課題を解決するため、ベース層上の、エッチングで除去されずに残留している銅の残留部を、銅の配線幅の減少を抑制しつつ、適宜に除去できる加工方法について検討した。
【0016】
通常、微細な形状を形成するために用いられるエッチング液(塩化第二鉄や塩化第二銅等)は、そのエッチング能力が高く、基材の表面付近に存在する銅と、銅−ベース層界面付近やベース層上に残留した銅の区別がなされないほど強力で、エッチング速度も数μm/分から数十μm/分と速い。
そこで、ベース層上の残留部を優先的に除去するためには、先ず、塩化第二鉄や塩化第二銅等のエッチング液により基材の銅が所望の寸法になるようエッチング加工を施した後、次に、ベース層界面付近でのエッチング速度が速く、基材表面付近での銅溶解量が少ない(エッチング速度の遅い)第二の溶液によりエッチング加工を行うことが効果的であることを見出した。
【0017】
第二の溶液としては、工業的に一般的に使用されている硫酸水溶液が適当であり、特別な添加剤などを必要としない。硫酸がエッチングで除去されずに残留している残留部を優先的に除去する理由としては、硫酸が銅−ベース層界面に浸透することにより優先的に作用し、残留部が除去されると推定される。
尚、本発明におけるベース層は、樹脂、ガラス−エポキシ等で形成されたものである。
【0018】
ベース層上の残留部を効果的に除去する為には、銅−ベース層界面付近への十分な硫酸の供給が必要である。前述したようにレジストのスペースが30μm以下となると反応種の銅−ベース層界面付近への供給は、液中の反応種の拡散のみにより行われることとなり、反応種の供給は基材表面付近での反応種濃度に大きく依存することとなる。
【0019】
本発明における微細加工方法に於いて、第二の溶液での処理は静止浴中でも十分可能であるが、その反応速度は遅く、工業的に利用するには十分な速度とはいえない。静止浴中では処理時間の経過により基材表面付近の反応種の濃度が減少し、その結果銅−ベース層界面付近への反応種の供給も十分に行えなくなる。
そこで、スプレー噴霧等により基材表面での溶液流動を与えることでこの問題を解消することが出来る。スプレー噴霧の圧力としては0.05MPa以上であることが好ましい。
【0020】
また、第二の溶液の反応種の濃度を確保するために、適切な硫酸濃度は1重量%から15重量%であることが好ましい。また、残留部を効率良く除去するために、第二の溶液の温度は常温(20℃)以上であることが好ましい。
【0021】
また、第二の溶液での処理は、レジストパターン剥離の前後、どちらで行われてもその効果は同様である。レジストパターン剥離後に第二の溶液の処理を行うと、金属表面の酸化皮膜等の変色部分の除去も同時に行われるため、第二の溶液での処理はレジスト剥離後に行う方が好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
図1は、実施例を説明する工程図である。まず、厚さ50μmのポリイミドで形成されたベース層11上に接着剤21を介し厚さ18μmの銅の金属層31を貼り合わせた基材41の金属層上にフォトレジスト(東京応化工業(株)製:PMER−P)をスピンコーターにてレジスト膜厚5μmとなるようにコートし、金属層上にレジスト層51を形成した(図1(a))参照)。
金属層31のベース層11との貼り合わせ面は密着性を確保するために表面粗さが2μm程度に粗化されているものを使用した。
【0023】
次に、レジスト層51上に所定のパターンを描いたポジ型のフォトマスクを通して、3kWの超高圧水銀灯で150mJ/cm2 の露光量で露光した。描画パターンとして、長さ4mmでライン/スペースが40μm/10μmの矩形パターンを使用した。
露光後、30℃に加熱した現像液(東京応化工業(株)製:PMER専用現像液)を使って40秒間スプレー噴霧し、金属層上に所望のレジストパターン52を形成した(図1(b)参照)。
【0024】
次に、レジストパターンが形成された金属表面に第一の溶液61として比重1.46、温度60℃の塩化第二鉄溶液をスプレー圧0.3MPaで35秒間噴射することによりエッチングして金属パターン32を形成した。この状態では接着剤表面にエッチングで除去されずに残留している残留部33が存在した。また、このときの金属パターンの金属表面寸法34および金属界面寸法35はそれぞれ15μmおよび30μmであった(図1(c)参照)。
【0025】
次に,第二の溶液62として50℃に加熱された硫酸10重量%水溶液をスプレー圧力0.1MPaで40秒間噴霧した。噴霧後、ベース層上に残留部は観察されなかった(図1(d)参照)。
次に、50℃に加熱された3重量%水酸化ナトリウム剥膜液をスプレー(圧力0.1MPa、1分間)噴霧し、レジストパターン52を剥離して、本発明の金属パターン36を得ることができた。また、このときの金属パターンの金属表面寸法34’および金属界面寸法35’はそれぞれ15μmおよび25μmであった(図1(e)参照)。
【0026】
<実施例2>
まず、ガラスーエポキシ基版上に無電解メッキ法および電解メッキ法により厚さ18μmの銅層を形成した。その後、銅表面に実施例1と同様な方法でレジスト層を形成した。
次に、実施例1と同様な工程でレジスト層51をパターニング処理して、銅表面に所望のレジストパターンを形成した。
【0027】
次に、レジストパターンが形成された銅表面に、第一の溶液として比重1.36、温度50℃の塩化第二銅溶液をスプレー圧0.3MPaで45秒間噴射することによりエッチングして金属パターン32を形成した。この状態では接着剤表面に残留部33が存在した。また、このときの金属パターンの金属表面寸法34および金属界面寸法35はそれぞれ12μmおよび30μmであった。
【0028】
次に、50℃に加熱された3重量%水酸化ナトリウム剥膜液をスプレー(圧力0.1MPa、1分間)噴霧し、レジストパターンを剥離した。
次に,第二の溶液として25℃の硫酸12重量%水溶液をスプレー圧力0.1MPaで40秒間噴霧した。本発明の金属パターン36を得ることができた。
本発明による基板上にはエッチングで除去されずに残留している残留部は観察されなかった。また、このときの金属パターン36の金属表面寸法34’および金属界面寸法35’はそれぞれ12μmおよび25μmであった。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、金属層上に所望の形状にパターニングされたレジスト層を形成したのちに、第一の溶液により金属層の除去部をエッチング除去し、第一の溶液で除去されずに残留しているベース層上の金属層の残留部を第二の溶液によりエッチング除去する金属層の微細加工方法であるので、比較的容易に、樹脂等で形成されるベース層上に、例えば、銅の微細な配線を形成することを可能とする金属層の微細加工方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、実施例を説明する工程図である。
【符号の説明】
11・・ベース層
21・・接着剤
31・・金属層
32・・金属パターン
33・・エッチングで除去されずに残留している残留部
34、34’・・第一の溶液によるエッチング後の金属表面寸法
35、35’・・第二の溶液によるエッチング後の金属界面寸法
36・・第二の溶液によるエッチング後の金属パターン
41・・基材
51・・レジスト層
52・・レジストパターン
61・・第一の溶液
62・・第二の溶液
Claims (5)
- 少なくともベース層と金属層の2層で構成され、当該金属層が銅である基材の該金属層への微細加工方法であって、金属層上に所望の形状にパターニングされたレジスト層を形成したのちに、塩化第二銅溶液、或いは塩化第二鉄溶液から選択される第一の溶液により金属層の除去部をエッチング除去し、第一の溶液で除去されずに残留しているベース層上の金属層の残留部を硫酸水溶液である第二の溶液によりエッチング除去することを特徴とする金属層の微細加工方法。
- 前記第二の溶液が1重量%から15重量%の硫酸水溶液であることを特徴とする請求項1記載の金属層の微細加工方法。
- 前記第二の溶液の温度が20℃以上であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の金属層の微細加工方法。
- 前記第二の溶液が基材に噴霧されることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載の金属層の微細加工方法。
- 前記噴霧される際の噴霧圧力が0.05MPa以上であることを特徴とする請求項4記載の金属層の微細加工方法。
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