JP3965453B2 - マイクロチップ - Google Patents
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Description
(1)ウェル自身のデッドボリュームが大きく、サンプルや試薬を無駄にしてしまう。
ウェル106に接続されるチャネル104に液体が導かれるには、ウェル内に或る程度の量の液体が満たされなければならない。マイクロピペット又はシリンジ110が使えるためには、ウェル106の直径は数mmオーダーとなりウェル106の容積は大きく(例えば、数μL)、それがデッドボリュームとなる場合がある。
(2)微小液量を分注する機器が無い。
元々、マイクロピペット又はシリンジ110で分注できる液量はせいぜい1μLが限界であり、それ以上少ない量(例えば、10nLオーダー)を分注する適当な機器が無い。
(3)液体の蒸発が発生する。
仮に、10nLオーダーの液滴をウェル106内に分注できたとしても、それを即座にチャネル104に導かなければ、瞬く間に液体の蒸発が発生してしまう。
(4)マイクロチップの製作上、開孔加工が必要である。
ウェル106と微細なチャネル104を接続するように正確に開孔しなければならない。また、デッドボリュームを十分小さくするために、小さな開孔加工を施すことは尚更困難である。(開孔加工には、ドリルを用いたり、パンチ抜きしたりする機械加工や、レーザ照射による光学加工の他、チャネルと一体にモールドする方法もある。)
(5)コストアップとなる。
マイクロチップの製作上、機械的な方法(ドリルやパンチ)により開孔加工した場合、発生したゴミの洗浄が必要となる。余分な製作工程が増え、マイクロチップの製造コストアップの原因となる。
(6)異物、塵埃の混入が起こる。
オープンウェルのため、ウエル106を介して大気中からチャネル104内に異物又は塵埃などが混入する危険性がある。
(7)開口部の密閉が困難である。
オープンウェルを密閉することは困難である。何らかの方法でオープンウェルに蓋をすると、その時のポンピングボリュームが悪影響を及ぼす場合がある。
(8)流体供給装置との接続が困難である。
オープンウェルの場合、ウェルの開口部に、マイクロポンプや圧縮ポンプ、真空ポンプなどの流体供給装置若しくはシール性を必要とする流体供給装置を接続することが困難である。
(1)ウェル106やフィッティング114の内部容積(デッドボリューム)を小さくすることは難しく、やはり10nLオーダーの微量液体を扱うことは困難である。
(2)構造が複雑である。特に、着脱式の場合、ウェル106とフィッティング114との間でOリングを使用したり、フィッティングをゴム製の材質にしたりすることにより密閉性を確保するため、構造が複雑となるばかりか、マイクロチップ側もチューブ側も構造が複雑となる。
(3)着脱式の場合、フィッティング114を取り外してある状態では、ウェル開口部を介して大気中から異物及び/又は塵埃などがチャネル104に混入する危険性がある。
(4)着脱式の場合、着脱によるポンピングなどのように、着脱時にチャネル104に対して不用な加圧や引圧の悪影響を与えてしまう場合がある。
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記チャネルの前記中空状針が突き刺される位置は、複数本のチャネルが、中空状針の内径よりも狭い間隔で平行に配列された形状に構成されていることである。
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記中空状針の先端はテーパー状に形成されており、前記第1の基板と第2の基板との間にエラストマー材料からなる中間層が間挿されており、前記チャネルは第1の基板と中間層との界面であって、第1の基板又は中間層の何れかに形成されており、前記中間層は、前記中空状針のテーパー状先端の開口の一部が前記チャネルに連通することができる厚さを有することである。
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記チャネルの前記中空状針が突き刺される位置は、複数本のチャネルが、中空状針の内径よりも狭い間隔で平行に配列された形状に構成されており、
前記中空状針の先端はテーパー状に形成されており、前記第1の基板と第2の基板との間にエラストマー材料からなる中間層が間挿されており、前記チャネルは第1の基板と中間層との界面であって、第1の基板又は中間層の何れかに形成されており、前記中間層は、前記中空状針のテーパー状先端の開口の一部が前記チャネルに連通することができる厚さを有することである。
(1)デッドボリュームが極めて少ないポート式であり、10nLオーダーの微量液体が扱える。
中空状針の内腔とマイクロチップのチャネルはほぼ直接に接続され、液体を無駄に溜める部分が極めて少ない。また、中空状針の内腔径もφ100μm前後と、ほぼマイクロチップのチャネル幅と同じオーダーの大きさである。
(2)中空状針とマイクロチップの基板はシールされ、液体の蒸発が発生し難い。
中空状針ポートの開口径は従来のオープンウェルポートの開口径に比べて極めて小さいので、中空状針ポートの開口部分からの液体の蒸発量は無視可能な程度に止まる。
(3)ポート部からの異物及び/又は塵埃の混入が無い。
前記のように、中空状針ポートの開口径は従来のオープンウェルポートの開口径に比べて極めて小さいので、中空状針ポートの開口部分から大気中の異物及び/又は塵埃がチャネル内に混入する危険性は殆ど無い。
(4)ポート部の開放・密閉が容易に行える。
中空状針を突き刺す前は勿論のこと、一度突き刺した中空状針を抜いた後も、エラストマー製基板の弾力性により針穴はシールされ、チャネルは密閉される。よって、チャネル内に或る程度の内圧を印加する場合に有用である。逆に、チャネルを大気に解放したい場合は、上端が開放状態の中空状針を突き刺せばよく、チャネル内に発生した内圧(送液に伴う圧力や電気分解などの反応によって発生したガスによる圧力など)を容易に大気に解放させることができる。
(5)薬液容器や送液機器との接続が容易である。
中空状針の上端にチューブの一端を接続し、そのチューブの他端を薬液容器や送液機器に挿入したり、マイクロポンプなどの送液機器に接続するだけでよく、従来のような着脱式フィッティングなどの特別な治具は全く不要である。
(6)構造が簡単でマイクロチップの製作も容易である。
入出力ポートとなるべきオープンウェルの穿孔加工、その加工により生じたゴミの洗浄等が不要である。特に、着脱式フィッティングを用いたポートに比べて、構造が極めて簡単である。実質的に、一方の基板側に単にチャネルを形成するだけマイクロチップが形成されるので、マイクロチップの製造コストを低下させることができる。
(1)液体を充填した容器(図示されていない)と接続した中空状針9をチャネル7−Aの一端に突き刺す。
(2)開閉弁25を閉じ、空気抜き弁27及び29を介して負圧を印加し、中空状針9を通して液体をチャネル7−Aに満たす。
(3)中空状針9を抜く。
(4)開閉弁25を開く。
(5)空気抜き弁27を介して正圧を印加し、チャネル7−A内の液体をチャネル7−Bに移送する。チャネル7−B以降では、移送された液体に対して各種の操作(化学反応など)を行う。
なお、液体がチャネル7−Bに移送された後、空気抜き弁27,29の圧力は解除する。必要に応じて、開閉弁25は閉じる。但し、液体がチャネル7−Bに移送された後でも、操作によっては、開閉弁25を再度開いて、空気抜き弁27から正圧で液体を押したりすることもある。
nLオーダーの微量液体の分注を行うためのチャネルや弁などは図7に示された構成に限らず、様々な構成のものを使用することができる。本発明のマイクロチップにおいて重要なことは、中空状針9からなる針式ポートにより液体を直接に微細なチャネルに導くことができるため、デッドボリュームが無く、しかも液体の蒸発も発生すること無く、nLオーダーの液体を無駄なく正確に分注することができることである。
3 第1の基板
5 第2の基板
7 チャネル
9 中空状針
11 凹凸状接続端
13 マイクロポンプ
15 接続チューブ
17 円形状チャネル
19 フォーク状チャネル
21 液体
23 中間層
25 開閉弁
27,29 空気抜き弁
Claims (9)
- 第1の基板と、該第1の基板と貼り合わされる第2の基板とからなるマイクロチップにおいて、
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記チャネルの前記中空状針が突き刺される位置は、複数本のチャネルが、中空状針の内径よりも狭い間隔で平行に配列された形状に構成されていることを特徴とするマイクロチップ。 - 前記エラストマー材料はポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
- 第1の基板と、該第1の基板と貼り合わされる第2の基板とからなるマイクロチップにおいて、
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記中空状針の先端はテーパー状に形成されており、前記第1の基板と第2の基板との間にエラストマー材料からなる中間層が間挿されており、前記チャネルは第1の基板と中間層との界面であって、第1の基板又は中間層の何れかに形成されており、前記中間層は、前記中空状針のテーパー状先端の開口の一部が前記チャネルに連通することができる厚さを有することを特徴とするマイクロチップ。 - 第1の基板と、該第1の基板と貼り合わされる第2の基板とからなるマイクロチップにおいて、
前記第1の基板はエラストマー材料から形成されており、前記第1の基板又は第2の基板の何れかの基板の一方の面に所定の幅と深さのチャネルを有し、前記第1の基板の外面から前記チャネルに連通するように入出力ポート用の中空状針を少なくとも1本突き刺して設け、
前記チャネルの前記中空状針が突き刺される位置は、複数本のチャネルが、中空状針の内径よりも狭い間隔で平行に配列された形状に構成されており、
前記中空状針の先端はテーパー状に形成されており、前記第1の基板と第2の基板との間にエラストマー材料からなる中間層が間挿されており、前記チャネルは第1の基板と中間層との界面であって、第1の基板又は中間層の何れかに形成されており、前記中間層は、前記中空状針のテーパー状先端の開口の一部が前記チャネルに連通することができる厚さを有することを特徴とするマイクロチップ。 - 前記エラストマー材料はポリジメチルシロキサンであり、前記中間層の形成材料はポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項3又は4に記載のマイクロチップ。
- 前記中空状針の形成材料はステンレスであることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のマイクロチップ。
- 前記中空状針の上端は凹凸状のチューブ接続端を有することを特徴とする請求項1、3又は4に記載のマイクロチップ。
- 前記中空状針は第1の基板に抜脱可能に突き刺して設けられることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のマイクロチップ。
- 前記中空状針は第1の基板に突き刺され、第1の基板の外面において接着剤で固着して設けられることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のマイクロチップ。
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