JP5182099B2 - マイクロチップ、およびマイクロチップ検査システム - Google Patents

マイクロチップ、およびマイクロチップ検査システム Download PDF

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Description

本発明は、マイクロチップ、およびマイクロチップ検査システムに関する。
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
本出願人は、試薬などを封入したマイクロチップに、血液などの検体を注入し、マイクロポンプによってマイクロチップの微細流路に液体を注入して検体などを移動させて順次反応させ、結果を測定することができる反応検出装置を提案している(例えば、特許文献2参照)。このようなマイクロチップへの検体の注入は、検査担当者がスポイトやピペットなどを用いて検体をマイクロチップの検体注入口に注入しておこなっていた。
特開2004−28589号公報 特開2006−149379号公報
しかしながら、スポイトやピペットを用いて直径数mm程度の検体注入口に、検体を注入することは困難であり、熟練が必要である。そのため、検査担当者が必要量以上をスポイトやピペットから押し出して検体をチップからあふれさせ、他のチップや周囲を汚染することがあった。また、スポイトやピペットを用いて注入すると、注入した検体に空気が入ることがあり、反応検出装置が注入した検体を正常に送液することができないことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で検体に気泡を残さずに一定量の検体をマイクロチップに注入することができるマイクロチップ、およびマイクロチップ検査システムを提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
1.
検体を注入する検体注入口を備えたマイクロチップにおいて、
前記検体注入口を密閉する蓋と、
前記蓋を保持する蓋保持部と、
を有し、
前記蓋保持部は、前記検体注入口からあふれた前記検体を溜める検体溜め部を備えることを特徴とするマイクロチップ。
2.
前記蓋は、前記蓋を前記蓋保持部に取り付ける際に形成される空間内の空気を大気中に排出する空気抜き口を備えることを特徴とする1に記載のマイクロチップ。
3.
前記蓋の材質は弾性部材であり、前記蓋を前記検体注入口の方向に押圧することにより前記検体注入口を密閉することを特徴とする1または2に記載のマイクロチップ。
4.
前記蓋は、前記蓋保持部に取り付けられるためのネジ部を有し、
前記蓋保持部は、前記蓋に設けられたネジ部と螺合するネジ部を有し、
前記蓋を螺嵌することにより前記検体注入口を密閉することを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載のマイクロチップ。
5.
前記蓋は、先端が前記検体注入口の直径より小さい突起部を有し、
前記検体注入口を密閉する際に前記突起部が前記検体注入口に挿入されることを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載のマイクロチップ。
6.
前記突起部は、前記検体注入口の中の検体を排出する検体抜き部を有することを特徴とする5に記載のマイクロチップ。
7.
前記検体注入口は、前記突起部が前記検体注入口に挿入されたときに前記検体注入口の中の検体を排出する検体抜き部を有することを特徴とする5または6に記載のマイクロチップ。
8.
前記蓋保持部は、前記マイクロチップの少なくとも2つの端面であり、前記蓋は該端面に係合して保持されることを特徴とする1乃至7の何れか1項に記載のマイクロチップ。
9.
検体が注入される検体注入口を備えたマイクロチップにおいて、
前記マイクロチップに注入する検体を貯留する検体貯留部と該検体貯留部からあふれた検体を溜める検体溜め部とを備えた検体溜めチップと、
前記検体注入口を密閉するように前記検体溜めチップを保持する検体溜めチップ保持部と、
を有することを特徴とするマイクロチップ。
10.
前記検体溜めチップは、前記検体溜めチップを前記検体溜めチップ保持部に取り付ける際に形成される空間内の空気を大気中に排出する空気抜き口を備えることを特徴とする9に記載のマイクロチップ。
11.
1乃至10の何れか1項に記載のマイクロチップと、
前記マイクロチップに検体を注入する検体注入部材と、
を有することを特徴とするマイクロチップ検査システム。
本発明によれば、検体注入口に検体を注入後、検体注入口に蓋をすることにより余分な検体をあふれさせ気泡を追い出すので、簡単な操作で検体に気泡を残さずに一定量の検体をマイクロチップに注入することができる。
本発明の実施形態におけるマイクロチップ検査システム80の外観図である。 本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1の一例についての説明図である。 本発明の第1の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係わる蓋301に設けられた突起部306の外観図である。 第2の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図である。 第3の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301の構成の一例を示す断面図である。 第4の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図である。 第5の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、検体溜めチップ600の構成の一例を示す断面図である。 第6の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、流路空気抜き口250の構成の一例を示す断面図である。 第6の実施形態のマイクロチップ1の平面図である。 本発明の実施形態に係わる蓋保持部400に設けられた検体抜き部307の外観図である。
符号の説明
1 マイクロチップ
7 検体
80 マイクロチップ検査システム
82 反応検出装置
83 挿入口
84 表示部
108 溝形成基板
109 被覆基板
213 検体注入口
250 流路空気抜き口
280 流路
301 蓋
302 蓋留め
303 空気抜き口
304 凸部
306 突起部
307 検体抜き部
350 検体注入部材
351 検体排出口
352 検体排出部
400 蓋保持部
406 検体溜め部
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるマイクロチップ検査システム80の外観図である。
本発明のマイクロチップ検査システム80は、反応検出装置82とマイクロチップ1と検体注入部材350から構成される。反応検出装置82は、マイクロチップ1に検体注入部材350を用いて予め注入された図示せぬ検体7と、試薬との反応を自動的に検出し、表示部84に結果を表示する装置である。反応検出装置82には挿入口83があり、マイクロチップ1を挿入口83に差し込んで反応検出装置82の内部にセットするようになっている。
なお、挿入口83はマイクロチップ1を挿入時に接触しないように、マイクロチップ1の厚みより十分高さがある。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、87は操作パネル、88は入出力端子である。検体注入部材350は、例えばスポイトやピペットなどである。
検査担当者は、検体注入部材350を用いて検体7を注入したマイクロチップ1を、図1の矢印方向にマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させる。反応検出装置82の内部では、制御手段の指令により図示せぬマイクロポンプユニットがマイクロチップ1に駆動液等の液体を注入し、マイクロチップ1内の反応の検査が自動的に行われる。検査が終了すると液晶パネルなどで構成される表示部84に結果が表示される。検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
検査担当者は、検査終了後、マイクロチップ1を挿入口83から取り出す。
次に、図2を用いて本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1の一例について説明する。以下、同一機能の機能要素には同番号を付し、説明を省略する。
図2(a)、図2(b)はマイクロチップ1の外観図である。図2(a)において矢印は、反応検出装置82にマイクロチップ1を挿入する挿入方向であり、図2(a)は挿入時にマイクロチップ1の上面となる面を図示している。図2(b)はマイクロチップ1の側面図である。
図2(a)の検出部の窓111aと検出部の流路111bは図示せぬ検体7と試薬の反応を光学的に検出するために設けられており、ガラスや樹脂などの透明な部材で構成されている。110a、110b、110c、110d、110eは内部の微細流路に連通する駆動液注入部であり、各駆動液注入部110から駆動液を注入し内部の試薬等を駆動する。213はマイクロチップ1に図示せぬ検体7を注入する本発明の検体注入口、301は本発明の蓋、400は本発明の蓋保持部である。検査担当者は、検体注入部材350を用いて検体注入口213から検体7を注入した後、蓋301を蓋保持部400に保持させて検体注入口213を密閉する。検体注入口213、蓋301、蓋保持部400については後に詳しく説明する。
図2(b)に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。次に、マイクロチップ1を構成する溝形成基板108と被覆基板109に用いる材料について説明する。
マイクロチップ1は、加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐候性、コストなどに優れていることが望まれており、マイクロチップ1の構造、用途、検出方法などを考慮して、マイクロチップ1の材料を選択する。その材料としては従来公知の様々なものが使用可能であり、個々の材料特性に応じて通常は1以上の材料を適宜組み合わせて、基板および流路エレメントが成形される。
特に、多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするチップは、ディスポーサブルタイプであることが望ましい。そのため、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂、例えば、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいポリスチレンが好ましい。また、例えば分析においてチップを100℃近くまで加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂(例えばポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。また、タンパク質の吸着が問題となる場合にはポリプロピレンを用いることが好ましい。樹脂やガラスなどは熱伝導率が小さく、マイクロチップの局所的に加熱される領域に、これらの材料を用いることにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
検出部111において、呈色反応の生成物や蛍光物質などの検出を光学的に行う場合は、少なくともこの部位の基板は光透過性の材料(例えばアルカリガラス、石英ガラス、透明プラスチック類)を用い、光が透過するようにする必要がある。本実施形態においては、検出部の窓111aと、少なくとも検出部の流路111bを形成する溝形成基板108は、光透過性の材料が用いられていて、検出部111を光が透過するようになっている。
本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。本実施形態では、これらの微細流路および流路エレメントによってマイクロチップ1内で行われる特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理の一例を図2(c)を用いて説明する。なお、本発明の適用は図2(c)で説明するマイクロチップ1の例に限定されるものでは無く、様々な用途のマイクロチップ1に適用できる。
図2(c)はマイクロチップ1内部の微細流路および流路エレメントの機能を説明するための説明図である。
微細流路には、例えば検体液を収容する検体収容部221、試薬類を収容する試薬収容部220などが設けられており、場所や時間を問わず迅速に検査ができるよう、試薬収容部220には必要とされる試薬類、洗浄液、変性処理液などがあらかじめ収容されている。図2(c)において、試薬収容部220、検体収容部221および流路エレメントは四角形で表し、その間の微細流路は実線と矢印で表す。
マイクロチップ1は、微細流路を形成した溝形成基板108と溝状の流路を覆う被覆基板109から構成されている。微細流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。
少なくともマイクロチップ1の溝形成基板108には、上記の微細流路が形成されている。被覆基板109は、少なくとも溝形成基板の微細流路を密着して覆う必要があり、溝形成基板の全面を覆っていても良い。なお、マイクロチップ1の微細流路には、例えば、図示せぬ送液制御部、逆流防止部(逆止弁、能動弁など)などの送液を制御するための部位が設けられ、逆流を防止し、所定の手順で送液が行われるようになっている。
検体注入口213はマイクロチップ1に検体を注入するための注入部、駆動液注入部110はマイクロチップ1に駆動液を注入するための注入部である。マイクロチップ1による検査を行うに先立って、検査担当者は検体を検体注入口213から検体注入部材350を用いて注入する。図2(c)に示すように、検体注入口213から注入された検体7は、連通する微細流路を通って検体収容部221に収容される。
次に、駆動液注入部110aから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って検体収容部221に収容されている検体7を押し出し、増幅部222に検体7を送り込む。
一方、駆動液注入部110bから注入された駆動液は、連通する微細流路を通って試薬収容部220aに収容されている試薬aを押し出す。試薬収容部220aから押し出された試薬aは増幅部222に駆動液によって送り込まれる。このときの反応条件によっては、増幅部222の部分を所定の温度にする必要があり、後で説明するように反応検出装置82の内部で加熱または吸熱して所定の温度で反応させる。
所定の反応時間の後、さらに駆動液により増幅部222から送り出された反応後の検体7を含む溶液は、検出部111に注入される。注入された溶液は検出部111の流路壁に担持されている反応物質と反応し流路壁に固定化する。
次に、駆動液注入部110cから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って試薬収容部220bに収容されている試薬bを押し出し、微細流路から検出部111に注入する。
同様に、駆動液注入部110dから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って試薬収容部220cに収容されている試薬を押し出し、微細流路から検出部111に注入する。
最後に、駆動液注入部110eから駆動液を注入して、洗浄液収容部223から洗浄液を押しだし、検出部111に注入する。洗浄液によって検出部111内に残留している未反応の溶液を洗浄する。
洗浄後、検出部111の流路壁に吸着した反応物の濃度を光学的に測定することによって、増幅した遺伝子など被検出物を検出する。このように、駆動液注入部110から駆動液を順次注入することにより、マイクロチップ1の内部で所定の処理が行われる。
図3は、本発明の第1の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図、図4は蓋301に設けられた突起部306の外観図である。
図3(a)は、検体7を注入する前におけるマイクロチップ1の検体注入口213周辺の断面図、図3(b)は検体注入部材350から検体注入口213に検体7を滴下している状態の断面図である。図3(c)は検体注入口213から検体7があふれている状態の断面図、図3(d)は蓋301によって検体注入口213を密閉した状態の断面図である。
図3(a)のように、マイクロチップ1は、溝形成基板108と溝状の流路280を覆う被覆基板109から構成され、溝形成基板108に検体注入口213が設けられている。溝形成基板108の上には検体注入口213と連通する穴を有する蓋保持部400が接着等により設けられている。蓋301は蓋留め302により蓋保持部400と連結され外れないようになっている。蓋301には凸部304が、蓋保持部400には凹部405が互いにかみ合うように設けられている。また、蓋301の突起部306は先端が検体注入口213の直径より小さく、蓋306によって検体注入口213を密閉するとき、図3(d)のように突起部306が検体注入口213に挿入されるよう蓋301に配設されている。蓋保持部400の検体溜め部406は、検体注入口213からあふれた検体7をマイクロチップ1から流出しないように溜める機能を持っている。突起部306は本発明の突起部、検体溜め部406は本発明の検体溜め部である。
また、図4のように突起部306には検体注入口213に突起部306を挿入したとき、検体注入口213に注入されている検体7aを検体溜め部406に排出するために検体抜き部307の溝が設けられている。検体抜き部307は本発明の検体抜き部である。
蓋301に設けられた空気抜き口303は、図3(d)のように蓋301を蓋保持部400に押し込んで、検体注入口213を密閉したとき、蓋306と蓋保持部400が形成する空間と外気を連通する。空気抜き口303は、本発明の空気抜き口303である。
図3(d)のように蓋301を蓋保持部400に押し込んで、検体注入口213を密閉すると、空気抜き口303は、蓋保持部材400の面により穴がふさがれる。そのため、検体7b、7cが空気抜き口303から外に漏れ出すことが無くなる。
図3(b)のように、検体注入部材350から検体注入口213に検体7を滴下すると、流路280bに検体7aが徐々に溜まっていく。検体注入部材350の検体排出口351は、検体注入口213の直径より小さいことが望ましい。このようにすると、検体排出口351から滴下される液滴の直径が検体注入口213より小さくなり、検体7を容易に検体注入口213に滴下できる。
滴下した検体7aは、流路280bと隣接する流路280a、流路280cとの間には壁260a、260bがあるので、流路280a、流路280cには流れず、図3(c)のように検体注入口213に溜まり、ついには検体注入口213からあふれる。あふれた検体7b、検体7cは図3(c)のように検体溜め部406に溜まる。このように検体注入部材350から検体注入口213に検体7を滴下すると、検体注入口213の内部の検体7aに気泡8が残ることがある。気泡8があると後の工程で駆動液によって検体7aを駆動できないことがあるので、除去することが望ましい。
また、図3(d)のように蓋301を蓋保持部400に押し込んだとき、空気抜き口303を設けない場合は気圧の変化により検体7aが所定の流路280b以外に流出することがある。そのため、後の工程で反応検査に必要な所定量の検体7aを駆動できないことがある。
本発明では、図3(d)のように、蓋301によって検体注入口213を密閉すると、突起部306が検体注入口213に挿入され、あふれた検体7b、7cが検体溜め部406に溜まるように構成されている。このように検体注入口213から検体7aをあふれさせると、突起部306の検体抜き部307から余分な検体7b、7cとともに気泡8を除去することができる。
また、本発明では、空気抜き口303から空気が逃げるので、蓋306と蓋保持部400が形成する空間の気圧の変化が少なく、蓋301を閉める際に流路280bと隣接する流路280a、流路280cに検体7aが流出することはない。このように、検体7aを検体溜め部406にあふれるまで検体注入口213に滴下した後、蓋301を閉じて検体注入口213を密閉することにより、毎回一定量の検体7aを気泡8を残さずにマイクロチップ1に注入することができる。
なお、検体抜き部307は図11のように蓋保持部400の検体注入口213に設けても良い。
図5は、本発明の第2の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図である。
図5(a)は、第1の実施形態と同様に、検体注入部材350から検体注入口213に検体7を検体溜め部406にあふれるまで滴下し、蓋保持部400に蓋301を取り付けた状態である。第2の実施形態の蓋301は、ゴムなどの弾性部材で形成されており、蓋保持部400に蓋301を取り付けた状態では図5(a)のように検体注入口213は密閉されていない。検査担当者はこの状態で反応検出装置82の挿入口83にマイクロチップ1を挿入し検査を行う。500は反応検出装置82内に設けられた押圧部材であり、図示せぬ制御部の指示により図5の矢印の方向に一定の速度で蓋301を押圧する。
図5(b)は、押圧部材500が矢印の方向に下降して蓋301を押圧し、蓋301が検体注入口213を密閉した状態である。蓋301には空気抜き口303が設けられており、蓋301と蓋保持部400の形成する空間の気圧変化が少なくなるようにしている。
このように一定の速度で下降する押圧部材500によって、蓋301が検体注入口213を密閉するので、蓋306と蓋保持部400が形成する空間の気圧の変化が少なく、流路280bと隣接する流路280a、流路280cに検体7aが流出することがない。また、低速度で蓋301を下降させることにより、検体7aから気泡8を逃すことができる。なお、本実施形態では突起部306を設けていないが、第1の実施形態と同様に蓋301に突起部306を設けても良い。
図6は、本発明の第3の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301の構成の一例を示す断面図である。第3の実施形態のマイクロチップ1は、マイクロチップ1の端面408が蓋保持部400の機能を持ち、蓋301はマイクロチップ1の端面408に係合して保持される。
図6(a)は、蓋301をマイクロチップ1に取り付けた状態を示す平面図、図6(b)は図6(a)の矢印A−Aの断面図である。
図6(b)は検体注入口213の周辺の断面図であり、検体注入部材350から検体注入口213に検体7を検体溜め部406にあふれるまで滴下した後、マイクロチップ1に蓋301を取り付けた状態である。
このようにすると、マイクロチップ1の端面が蓋保持部400の機能を持つので、部品点数を削減することができる。なお、本実施形態では突起部306を設けていないが、第1の実施形態と同様に蓋301に突起部306を設けても良い。
図7は、本発明の第4の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、蓋301、蓋保持部400の構成の一例を示す断面図である。図7(a)は、蓋301と蓋保持部400をマイクロチップ1に取り付けた状態を示す平面図、図7(b)は図7(a)の矢印B−Bの断面図である。
第4の実施形態のマイクロチップ1は、蓋保持部400がマイクロチップ1を囲むように取り付けられており、蓋保持部400の検体注入口213に対応する部分にネジ穴310が設けられている。蓋301はネジ穴310と螺合するネジ部309を有し、蓋301を回すことにより蓋301が検体注入口213を密閉するように構成されている。
図7(b)は検体注入部材350から検体注入口213に検体7を滴下した後、蓋301をネジ穴310に取り付けた状態である。このようにすると、蓋301を回すことにより蓋301が検体注入口213を密閉する方向に下降するので、蓋301が下降する速度は遅く、蓋301と蓋保持部400が形成する空間の気圧変化が少ない。また、蓋301が検体注入口213を密閉するまでに、流路280bから気泡8を逃すことができる。なお、本実施形態では突起部306を設けていないが、第1の実施形態と同様に蓋301に突起部306を設けても良い。
図8は、本発明の第5の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、検体溜めチップ600の構成の一例を示す断面図である。
図8(a)は、検体溜めチップ600の断面図、図8(b)は図示せぬ検体注入部材350から検体溜めチップ600に検体7aを滴下した状態の断面図である。
第5の実施形態では、今までの実施形態とは異なり、検体注入部材350から検体溜めチップ600の検体貯留部602に検体7aを滴下して図8(b)のように検体7aをあふれるまで溜める。あふれた検体7b、7cは検体溜め部601に溜まる。その後、検体溜めチップ600をマイクロチップ1の検体溜めチップ取り付け部630に挿入してマイクロチップ1と検体溜めチップ600を一体化し、マイクロチップ1に検体を注入する。検体溜めチップ600は本発明の検体溜めチップ、検体貯留部602は本発明の検体貯留部である。
図8(c)は、マイクロチップ1に設けられた検体溜めチップ取り付け部630に検体溜めチップ600を挿入する状態を説明する断面図である。
マイクロチップ1の検体注入口213の外周に設けられた検体溜めチップ取り付け部630は、検体溜めチップ取り付け部630の内側に検体溜めチップ600が嵌合するように形成されている。マイクロチップ1と検体溜めチップ600が形成する空間は、検体溜めチップ600に設けられた空気抜き口303によって外気と連通しているので、検体溜めチップ600を挿入しても気圧の変化が少ない。検体溜めチップ600の凸部632と、検体溜めチップ取り付け部630の凹部631は、検体溜めチップ600を検体注入口213を密閉する位置まで挿入すると嵌合するようにそれぞれ設けられている。
図8(d)は、マイクロチップ1に設けられた検体溜めチップ取り付け部630に検体溜めチップ600を挿入し、一体となった状態を説明する断面図である。
検体溜めチップ600を挿入すると図8(d)のように凸部632と凹部631が嵌合し、検体注入口213は検体溜めチップ600によって密閉される。検体貯留部602の検体7aは、検体注入口213からマイクロチップ1内に流入し、流路280b内を満たす。検体貯留部602は、マイクロチップ1の溝形成基板108と被覆基板109との間で流路280bの一部を形成する。
このように、検体7を滴下した検体溜めチップ600をマイクロチップ1に挿入して検体7を注入すると、検体貯留部602が大きいので検体7の滴下が容易であり、作業性が良い。また、検体溜めチップ600によって検体注入口213を密閉すると、検体注入口213からあふれた検体7aが検体溜め部601に溜まる。このときあふれた検体7aとともに気泡8を除去することができる。このように、検体7aを検体貯留部602からあふれるまで滴下した後、検体溜めチップ600をマイクロチップ1に挿入して検体注入口213を密閉することにより、毎回一定量の検体7aを気泡8を残さずにマイクロチップ1に注入することができる。
図9は、本発明の第6の実施形態のマイクロチップ1における検体注入口213、流路空気抜き口250の構成の一例を示す断面図、図10は第6の実施形態のマイクロチップ1の平面図である。
図10に示すように、マイクロチップ1の検体注入口213の近傍には流路空気抜き口250が設けられており、検体注入口213と流路空気抜き口250を囲むように検体溜め壁251が設けられている。図9(a)は図10に示すマイクロチップ1の矢印C−Cで示す部分の断面図である。図9(a)に示すように検体注入口213と連通する流路280bには、流路280bと連通し外気と連通する流路空気抜き口250が設けられている。
図9(b)は検体注入口213に検体注入部材350の検体排出部352を挿入し、検体排出口351から検体7の滴下を開始した状態である。検体排出部352は例えば錐体形状であり、先端に検体を排出する検体排出口351を備えている。検体排出口351は検体注入口213に挿入可能な大きさである。
流路空気抜き口250は本発明の流路空気抜き口、検体排出部352は本発明の検体排出部、検体排出口351は本発明の検体排出口である。
図9(c)は検体注入部材350から滴下した検体7aによって流路280b内が充填され、検体7aの一部が気泡8とともに流路空気抜き口250から排出された状態を示している。流路空気抜き口250から排出された検体7b、検体7cは、図9(c)のように検体溜め壁251の内側に溜まり外部に流出することは無い。
このように、検体注入部材350の検体排出部352を検体注入口213に挿入して検体7aを注入すると、注入作業が容易であり簡単な操作で気泡8を残さずに検体7aをマイクロチップ1に注入できる。
以上このように、本発明によれば、簡単な操作で検体に気泡を残さずに一定量の検体をマイクロチップに注入することができるマイクロチップ、およびマイクロチップ検査システムを提供することができる。

Claims (11)

  1. 検体を注入する検体注入口を備えたマイクロチップにおいて、
    前記検体注入口を密閉する蓋と、
    前記蓋を保持する蓋保持部と、
    を有し、
    前記蓋保持部は、前記検体注入口からあふれた前記検体を溜める検体溜め部を備えることを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記蓋は、前記蓋を前記蓋保持部に取り付ける際に形成される空間内の空気を大気中に排出する空気抜き口を備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記蓋の材質は弾性部材であり、前記蓋を前記検体注入口の方向に押圧することにより前記検体注入口を密閉することを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記蓋は、前記蓋保持部に取り付けられるためのネジ部を有し、
    前記蓋保持部は、前記蓋に設けられたネジ部と螺合するネジ部を有し、
    前記蓋を螺嵌することにより前記検体注入口を密閉することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマイクロチップ。
  5. 前記蓋は、先端が前記検体注入口の直径より小さい突起部を有し、
    前記検体注入口を密閉する際に前記突起部が前記検体注入口に挿入されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロチップ。
  6. 前記突起部は、前記検体注入口の中の検体を排出する検体抜き部を有することを特徴とする請求項5に記載のマイクロチップ。
  7. 前記検体注入口は、前記突起部が前記検体注入口に挿入されたときに前記検体注入口の中の検体を排出する検体抜き部を有することを特徴とする請求項5または6に記載のマイクロチップ。
  8. 前記蓋保持部は、前記マイクロチップの少なくとも2つの端面であり、前記蓋は該端面に係合して保持されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のマイクロチップ。
  9. 検体が注入される検体注入口を備えたマイクロチップにおいて、
    前記マイクロチップに注入する検体を貯留する検体貯留部と該検体貯留部からあふれた検体を溜める検体溜め部とを備えた検体溜めチップと、
    前記検体注入口を密閉するように前記検体溜めチップを保持する検体溜めチップ保持部と、
    を有することを特徴とするマイクロチップ。
  10. 前記検体溜めチップは、前記検体溜めチップを前記検体溜めチップ保持部に取り付ける際に形成される空間内の空気を大気中に排出する空気抜き口を備えることを特徴とする請求項9に記載のマイクロチップ。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載のマイクロチップと、
    前記マイクロチップに検体を注入する検体注入部材と、
    を有することを特徴とするマイクロチップ検査システム。
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