JP2007309845A - 検出チップ - Google Patents
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Abstract
【課題】検出チップとマイクロポンプユニットの接続部分からの駆動液の漏出により複数の接続部分同士が連通する事態が抑制されうる検出チップを提供する。
【解決手段】本発明の第1の態様として、開口周囲の表面に突起部が形成された検出チップが提供される。本発明の第2の態様として、開口周囲の表面に溝が形成された検出チップが提供される。本発明の第3の態様として、少なくとも一部のポンプ接続部の開口が、平行な2本の直線上のそれぞれに一定の間隔aをおいて配置され、かつ一方の直線上にある任意の開口から、もう一方の直線上にある最も近い開口までの距離bが、a/2<bの
関係を満たすよう配置された検出チップが提供される。本発明の第4の態様として、ポンプ接続部の開口が、直線上に一定の間隔をおいて配置され、かつ開口の上記直線上の内径がそれと直交する内径よりも小さいことを特徴とする検出チップが提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の第1の態様として、開口周囲の表面に突起部が形成された検出チップが提供される。本発明の第2の態様として、開口周囲の表面に溝が形成された検出チップが提供される。本発明の第3の態様として、少なくとも一部のポンプ接続部の開口が、平行な2本の直線上のそれぞれに一定の間隔aをおいて配置され、かつ一方の直線上にある任意の開口から、もう一方の直線上にある最も近い開口までの距離bが、a/2<bの
関係を満たすよう配置された検出チップが提供される。本発明の第4の態様として、ポンプ接続部の開口が、直線上に一定の間隔をおいて配置され、かつ開口の上記直線上の内径がそれと直交する内径よりも小さいことを特徴とする検出チップが提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、マイクロ総合分析システムで用いられる検出チップにおける、マイクロポンプユニットとの接続部の構造および配置に関する。
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、セ
ンサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(特許文献
1)。これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム
)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab-on-chips)などとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる検査等に対して、自動化、高速化および簡便化されたμ−TASは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とするなど、多大な恩恵をもたらすといえる。
ンサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(特許文献
1)。これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム
)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab-on-chips)などとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる検査等に対して、自動化、高速化および簡便化されたμ−TASは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とするなど、多大な恩恵をもたらすといえる。
各種の分析、検査では、これらの分析用チップにおける分析の定量性、解析の精度、経済性などが重要視される。分析用チップと組み合わせて使用される、シンプルな構成で、精度が高く、信頼性に優れる送液システムを確立するためのマイクロポンプシステムおよびその制御方法を、本発明者らはすでに提案している(特許文献2〜4)。
上記の分析用チップには、検体、試薬などを収容する部位、試薬等を混合し、反応させる部位、およびこれらの部位を連通する流路などからなる一連の微細流路が形成されている。上記試薬等は、分析用チップに設けられた開口と、マイクロポンプが組み込まれた別途のユニットに設けられた開口とを接続することで、上記マイクロポンプにより送り込まれる駆動液に押し出され、微細流路内を送液される。
マイクロポンプによる駆動液の送液圧力は、例えば2〜20kPa程度と非常に高いため、従来、上記の開口同士の接続部分の隙間から駆動液が漏出しやすかった。送液される駆動液の量はもとより少量であるので、その一部でも漏出すると、送液性能に大きな影響を及ぼす。さらに、漏出した駆動液が隣接するポンプ接続部の開口に流れ込み、いわばそれらのポンプ接続部同士が連通した状態に陥ると、a)本来駆動すべきでない流路の送液が先に開始されてしまい、液が流れる順番を制御できない、b)送液圧力が制御できない、といった問題が生じるなど、マイクロポンプによる送液の挙動が正常でなくなり、チップでの分析に支障をきたすおそれがある。
このようなことから、微小な分析用チップでも適用可能な手段により、駆動液の漏出等を抑制することが必要とされている。
特開2004−028589号公報
特開2001−322099号公報
特開2004−108285号公報
特開2004−270537号公報
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、なるべく複雑でない手段を具備することにより、ポンプ接続部から駆動液が漏出する事態、さらにこれにより複数のポンプ
接続部同士が連通する事態を防止できる検出チップを提供することを目的とする。
接続部同士が連通する事態を防止できる検出チップを提供することを目的とする。
本発明者らは、ポンプ接続部周辺を所定の形状の構造とすることにより、またはポンプ接続部を所定の位置に配置することにより、あるいはポンプ接続部の開口を所定の形状とすることにより、上記の問題が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
微細流路に連通する開口を有し、マイクロポンプユニット側の開口(チップ接続部)との接続により駆動液等の流体を受け入れる部位であるポンプ接続部が設けられた検出チップにおいて、本発明の第1の態様では、ポンプ接続部における開口の周囲のチップ表面に突起部が形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の態様では、ポンプ接続部における開口の周囲のチップ表面に溝が形成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様では、少なくとも一部のポンプ接続部の開口は、平行な2本の直線上に位置しており、それぞれの直線上での開口同士の距離はaで一定であり、かつ一方の直線上にある任意の開口から、もう一方の直線上にある最も近い開口までの距離bが、a/2<bの関係を満たすように配置されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様では、少なくとも一部のポンプ接続部の開口は、平行な2本の直線上に位置しており、それぞれの直線上での開口同士の距離はaで一定であり、かつ一方の直線上にある任意の開口から、もう一方の直線上にある最も近い開口までの距離bが、a/2<bの関係を満たすように配置されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様では、少なくとも一部のポンプ接続部の開口は、直線上に一定の間隔aをおいて配置され、かつ開口の上記直線上の内径がそれと直交する内径よりも小さいことを特徴とする。
本発明の検出チップを用いることにより、ポンプ接続部から送液される駆動液が漏出し、さらに複数のポンプ接続部同士が連通してしまう事態を防止することができ、マイクロ総合分析システムにおいて、正確な送液による信頼性の高い分析が可能となる。
本明細書において「検出チップ」は、各種の合成や検査、特に生体物質を対象とした検査に用いられるマイクロ総合分析システムにおけるチップのことであり、単に「チップ」と呼ぶこともある。「微細流路」は、本発明の検出チップに形成された微小な溝状の流路のことであるが、この流路と連通している試薬類などの収容部、反応部もしくは検出部が、容量の大きい広幅の液溜め状に形成されている場合も、これらの部位を含めて「微細流路」ということがある。微細流路内を流れる流体は、実際は液体であることが多く、具体的には、各種の試薬類、試料液、変性剤液、洗浄液、駆動液などが該当する。
また、本発明においてマイクロポンプユニットにより供給される「流体」とは、代表的には水性の駆動液であり、本明細書では主に駆動液を用いる場合について説明するが、マイクロポンプが送出することのできる流動性を有する各種の物質、液体等を含み、特に限定されるものではない。
本発明は、種々の実施の形態において、本発明の趣旨に沿って任意の変形、変更が可能であり、それらは本発明に含まれる。すなわち、本発明のマイクロ総合分析システムの全体または一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
以下、本発明におけるマイクロ総合分析システム、検出チップ、およびポンプ接続部からの駆動液の漏出に係る問題を解決しうる、本発明の検出チップにおけるポンプ接続部の構造、配置または開口の形状、さらに駆動液を送液するためのマイクロポンプユニットな
どについて、順次説明する。
どについて、順次説明する。
マイクロ総合分析システム
マイクロ総合分析システムは、検出チップ以外の構成要素(分析に必要な装置類、例えば後述するマイクロポンプユニットなど)を一体化してシステム装置本体とし、検出チップを、チップ搬送トレイ上に載置するなどした上で、そのシステム装置本体に着脱するように構成することが望ましい。
マイクロ総合分析システムは、検出チップ以外の構成要素(分析に必要な装置類、例えば後述するマイクロポンプユニットなど)を一体化してシステム装置本体とし、検出チップを、チップ搬送トレイ上に載置するなどした上で、そのシステム装置本体に着脱するように構成することが望ましい。
測定試料である検体の反応および検出などの一連の分析工程は、主として検出チップに形成された微細流路内で行われる。検出チップには、目的とする反応方法や検出方法に応じた必要な試薬類が予め所定の量だけ封入され、使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即使用可能の状態になっているものが望ましい。また、分析に供する試料、検体は、システム装置本体に装着する前に予めチップに収容しておいても、装置本体に装着してからチップに収容してもよい。
システム装置本体にチップを装着した後、マイクロポンプなどによる検出チップの各収容部に収容された試料および試薬類の送液、それらの合流、混合に基づく所定の反応、ならびに反応生成物の測定および測定データの収納が、一連の連続的工程として自動的に実施される形態が望ましい。
従来の分析システムでは、異なる分析等を行う場合にはその都度、変更される内容に対応するデバイスを構成し直す必要があった。これに対して、マイクロ総合分析システムでは、脱着可能な上記チップおよびシステムの制御プログラムなどを交換することにより、各種の分析に対応することができる。
検出チップ
検出チップは、一般に検査チップ、分析チップ、マイクロリアクタ・チップなどとも称されるものと同等である。通常、このチップの縦横のサイズは数十mm、高さは数mm程度である。検出チップは、化学分析、各種検査、試料の処理・分離、化学合成などの用途に応じて、流路エレメント(機能部品)および構造部などを有する微細流路が機能的に適当な位置に微細加工技術により配設されている。また、上記の分析などを迅速に行うために望ましくは、必要とされる試薬類がチップの微細流路内に予め収容されている。このようなチップは、ポンプ接続部を解してマイクロポンプに接続され、マイクロポンプから送り込まれる駆動液により、検体や試薬などの液体は微細流路内を送液される。
検出チップは、一般に検査チップ、分析チップ、マイクロリアクタ・チップなどとも称されるものと同等である。通常、このチップの縦横のサイズは数十mm、高さは数mm程度である。検出チップは、化学分析、各種検査、試料の処理・分離、化学合成などの用途に応じて、流路エレメント(機能部品)および構造部などを有する微細流路が機能的に適当な位置に微細加工技術により配設されている。また、上記の分析などを迅速に行うために望ましくは、必要とされる試薬類がチップの微細流路内に予め収容されている。このようなチップは、ポンプ接続部を解してマイクロポンプに接続され、マイクロポンプから送り込まれる駆動液により、検体や試薬などの液体は微細流路内を送液される。
上記のチップは、溝形成基板および被覆基板からなる基本的基板を構造として有する態様が好ましい。少なくとも溝形成基板の側には、ポンプ接続部、弁基部および液溜部(試薬収容部、検体収容部などの各収容部、反応部、検出部、廃液貯留部など)、送液制御部、逆流防止部、試薬定量部、混合部などの構造部を必要に応じて含む微細流路を形成するための溝が形成されている。一方、被覆基板は、少なくとも溝形成基板における上記の構造部、流路および検出部を密着して覆う必要があり、溝形成基板の全面を覆っていてもよい。なお、微細流路はチップの片面のみに形成されていてもよいし、互いに連通した微細流路が両面に形成されていてもよい。チップの両面に微細流路が形成される場合、溝形成基板の両面を2枚の被覆形成基板で挟むような構造となる。
検出チップは、加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐熱性、廉価性などに優れていることが望まれており、チップの構造、用途、検出方法などを考慮して、チップの材料を適切に選択することが求められる。その材料としては従来公知の様々なものが使用可能であり、個々の材料特性に応じて通常は1以上の材料を適宜組み合わせて、基板および流路エレメントが成形される。
例えば、多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするチップはディスポーサブルタイプであることが望ましい。そのため、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂、なかでも、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいポリスチレンが好ましく用いられる。また、ポリプロピレンはタンパク質の吸着が少なく、酸やアルカリなどの耐薬品性にも優れ、価格も安価であるため好ましく用いられる。
分析においてチップを100℃近くまで加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂(例えばポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。樹脂やガラスなどは熱伝導率が小さく、検出チップの局所的に加熱される領域にこれらの材料を用いることにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
また、微細流路の検出部では、蛍光物質または呈色反応の生成物などの光学的な検出が行われるため、少なくともこの部位の基板には光透過性の材料を用いる必要がある。光透過性の材料としては、アルカリガラス、石英ガラス、透明プラスチック類が使用可能であるが、透明プラスチック類が好ましい。
検出チップの微細流路は、基板上に目的に応じて予め設計された流路配置に従って形成される。流体が流れる流路は、例えば幅数〜数百μm、好ましくは10〜500μm、深さ10〜1000μm程度、好ましくは10〜300μmに形成されるマイクロメーターオーダー幅の微細流路である。流路幅が5μm未満であると、流路抵抗が増大し、流体の送出および検出上不都合である。幅500μmを超える流路ではマイクロスケール空間の利点が薄まる。なお、微細流路における前述の構造部の幅、深さは、必要に応じて、構造部同士を連通する流路とは異なるサイズとしてもよく、上記のサイズに限定されるものではない。
微細流路の形成方法は、従来の微細加工技術を用いることができるが、典型的にはフォトリソグラフィ技術が好適である。この技術により、感光性樹脂への微細構造の転写および不要部分の除去などが行われ、微細流路が形成される。この際の溝成形基板の材料となる感光性樹脂としては、サブミクロンの構造も正確に転写でき、機械的特性の良好なプラスチックが好ましく用いられる。ポリスチレン、ポリジメチルシロキサンなどは形状転写性に優れる。また、必要であれば射出成形、押し出し成形などによる加工を使用してもよい。
ポンプ接続部の構造および配置
図1は、複数のポンプ接続部を備えた検出チップの一実施態様を示した図である。検出チップの両面(表面および裏面)に、やや幅広の試薬収容部18を含む微細流路15が形成されており、所々に設けられているチップ内の縦孔100が両面の微細流路15を連通させてい
る。この検出チップの裏面に、複数のポンプ接続部12の開口が並んで配置している。
図1は、複数のポンプ接続部を備えた検出チップの一実施態様を示した図である。検出チップの両面(表面および裏面)に、やや幅広の試薬収容部18を含む微細流路15が形成されており、所々に設けられているチップ内の縦孔100が両面の微細流路15を連通させてい
る。この検出チップの裏面に、複数のポンプ接続部12の開口が並んで配置している。
検出チップのポンプ接続部12と、マイクロポンプユニット(詳細は後述する)のチップ接続部とは、システム装置本体に組み込まれた加圧装置などを用いた適切な手段により、該検出チップおよびマイクロポンプユニットを互いに所定の位置関係で重ね合わせた後、シール性を確保するよう両側から充分に加圧して密着させ、両接続部を固定することにより接続される。この接続により、検出チップおよびマイクロポンプユニットに形成された流路が連通するようになり、この流路を通じてマイクロポンプユニットから送液される駆動液は、マイクロ流体チップの検体および試薬類を押し出し、微細流路内を送液する。上記のような重ね合わせを適切に行うために、例えば、両者の基板表面に位置決め用のガイド部材を設けて移動を案内させる方法、凹部と凸部と設けて嵌め合わせる方法などを用い
てもよい。
てもよい。
図2(i)〜(iii)、図3(i)〜(iii)および図5(i)〜(iii)は、検出チップにおけるポンプ接続部周辺を表した断面図である。
ポンプ接続部12は、開口と、該開口と微細流路15とを連通する、溝形成基板および/または被覆基板に設けられた貫通口(縦孔)とからなる。なお、本明細書では、上記開口周辺のチップ表面に設けられた構造(後述する突起、溝など)を含めた部分をポンプ接続部と呼ぶこともある。
ポンプ接続部12は、開口と、該開口と微細流路15とを連通する、溝形成基板および/または被覆基板に設けられた貫通口(縦孔)とからなる。なお、本明細書では、上記開口周辺のチップ表面に設けられた構造(後述する突起、溝など)を含めた部分をポンプ接続部と呼ぶこともある。
このポンプ接続部12の開口は、システム装置本体にマイクロチップを装着した状態におけるチップの上面(表面)側、下面(裏面)側のどちらに設けてもよい。図2(i)〜(iii)、図3(i)〜(iii)および図5(i)〜(iii)では、いずれも、チップの下面(裏面)側に開口が設けられ、チップの上面(表面)側の流路に連通する態様を示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。また、ポンプ接続部12は、例えば試薬収容部18の上流側などに設けられるが、送液の態様に応じて適宜好ましい位置を選択しうる。ポンプ接続部12の開口の形状、大きさなども特に限定されないが、一例としては、1000μm×1000μm程度の円形である。
図2(i)は、従来の検出チップ2におけるポンプ接続部周辺を表した断面図である。マイクロポンプユニット9の開口周辺には、しばしば、ポリテトラフルオロエチレン、シリ
コーン樹脂などの柔軟性(弾性、形状追随性)をもつ樹脂によって形成されたパッキン101が設けられている。ポンプ接続部12の開口が、このパッキン101を介してマイクロポンプユニット9の開口に接続されることにより、駆動液をマイクロポンプユニット9の流路50から検出チップ2の微細流路へと送達させるための一連の流路が連通する。
コーン樹脂などの柔軟性(弾性、形状追随性)をもつ樹脂によって形成されたパッキン101が設けられている。ポンプ接続部12の開口が、このパッキン101を介してマイクロポンプユニット9の開口に接続されることにより、駆動液をマイクロポンプユニット9の流路50から検出チップ2の微細流路へと送達させるための一連の流路が連通する。
<第1の態様>
図2(ii)は、本発明の第1の態様の検出チップにおけるポンプ接続部周辺を表した断面図である。また、図4は、本発明の第1の態様による、ポンプ接続部の開口周囲のチップ表面に突起部を有する検出チップの斜視図である。検出チップに複数のポンプ接続部が存在する場合は、それぞれすべての開口周辺に突起部(あるいは後述するような溝)を形成することが望ましい。
図2(ii)は、本発明の第1の態様の検出チップにおけるポンプ接続部周辺を表した断面図である。また、図4は、本発明の第1の態様による、ポンプ接続部の開口周囲のチップ表面に突起部を有する検出チップの斜視図である。検出チップに複数のポンプ接続部が存在する場合は、それぞれすべての開口周辺に突起部(あるいは後述するような溝)を形成することが望ましい。
検出チップとマイクロポンプユニットとを、例えば別途の加圧装置などを用いて、少なくともポンプ接続部の周辺を上下から充分に加圧することにより、検出チップ表面の突起102はマイクロポンプユニットの開口周辺のパッキン101に食い込むよう強く押し当てられる。このため、図2(i)に示したような従来の態様のポンプ接続部と比較して、パッキ
ン101と検出チップ(被覆基板2a)との隙間から駆動液が漏出しにくくなり、駆動液の送液圧力が例えば2〜20kPa程度と高くても、漏出を充分に防止することが可能である。
ン101と検出チップ(被覆基板2a)との隙間から駆動液が漏出しにくくなり、駆動液の送液圧力が例えば2〜20kPa程度と高くても、漏出を充分に防止することが可能である。
図2(i)のような従来の態様においては、パッキンおよびチップ表面の平滑性を極め
て高くすることが求められるが、駆動液の流出が防止できる程度にまで表面の凹凸をなくすことは困難である。これに対して、本発明の第1の態様は、微小な検出チップにも適用できる比較的シンプルな手段でありながら、駆動液の漏出を防止する効果は高い。
て高くすることが求められるが、駆動液の流出が防止できる程度にまで表面の凹凸をなくすことは困難である。これに対して、本発明の第1の態様は、微小な検出チップにも適用できる比較的シンプルな手段でありながら、駆動液の漏出を防止する効果は高い。
突起部の形状(幅、高さなど)および位置は特に制限されることはなく、マイクロポンプユニットのパッキンの形状に合わせた好適な形状を適宜選択すればよい。代表的な態様の突起としては、例えば、断面が長方形状あるいは台形状であり、開口の周囲を環状に取り囲むものが挙げられる。図2(iii)に示すように、開口の直近に設置されたパッキン101に当接させるよう、開口の直近に突起102を設置してもよい。
また、図2(ii)では、2枚の被覆基板および1枚の溝形成基板からなる検出チップにおいて、被覆基板に突起を設ける態様を示したが、図3(i)のように、1枚ずつの被覆
基板および溝形成基板からなるチップにおいて、溝形成基板に突起を設ける態様であっても、あるいは、図3(ii)のように、被覆基板および溝形成基板の両方に突起を設ける態様であってもよい。これらはいずれも、チップ表面に突起が設けられた態様である。
基板および溝形成基板からなるチップにおいて、溝形成基板に突起を設ける態様であっても、あるいは、図3(ii)のように、被覆基板および溝形成基板の両方に突起を設ける態様であってもよい。これらはいずれも、チップ表面に突起が設けられた態様である。
本発明の検出チップの突起による漏出防止効果は、図2(ii)などに示したような、開口周辺にパッキンが設置されているマイクロポンプユニットに対する場合に限らず、マイクロポンプユニットのチップ接続部の開口の周囲が柔軟性を有する素材で形成されていればよい。例えば、図3(iii)に示すように、マイクロポンプユニットの開口周辺が部分
的にパッキンと類似の柔軟性を持つ樹脂によって形成されている場合も、駆動液の漏出を同様に抑制することができる。
的にパッキンと類似の柔軟性を持つ樹脂によって形成されている場合も、駆動液の漏出を同様に抑制することができる。
上述のようなポンプ接続部の開口周囲に突起を有する検出チップ(溝形成基板、被覆形成基板)は、好ましくは射出成型により効率的に作成することができる。例えば、図3(ii)で用いられている溝形成基板は、一方側面(2c側)における流路パターンが形成さ
れた金型と、他方側面(2a側)における突起パターンが形成された金型とからなる一対
の金型を用いて作成できる。このような金型としては、微細な構造が成形可能なニッケルやシリコンウエハを主成分とした金型が好ましく、フォトリソグラフィ技術を用いた微細加工などにより作成した流路、突起を母型として、ニッケル電鋳等で作製される。また、比較的大きな構造であれば、硬質の金属材料、好ましくは金型鋼を、通常の機械加工、例えば数値制御による切削加工などを用いて成形した金型を用いることもできる。このような一対の金型を、射出成形機にセットし、金型内に樹脂を充填することにより、基板の成形がなされる。
れた金型と、他方側面(2a側)における突起パターンが形成された金型とからなる一対
の金型を用いて作成できる。このような金型としては、微細な構造が成形可能なニッケルやシリコンウエハを主成分とした金型が好ましく、フォトリソグラフィ技術を用いた微細加工などにより作成した流路、突起を母型として、ニッケル電鋳等で作製される。また、比較的大きな構造であれば、硬質の金属材料、好ましくは金型鋼を、通常の機械加工、例えば数値制御による切削加工などを用いて成形した金型を用いることもできる。このような一対の金型を、射出成形機にセットし、金型内に樹脂を充填することにより、基板の成形がなされる。
ただし、検査チップ表面の突起の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、マイクロポンプユニットのパッキンよりも硬質の別途の部材を検査チップ表面に貼着し、突起を形成するようにしてもよい。
<第2の態様>
図5(i)は、本発明の第2の態様の検出チップにおけるポンプ接続部周辺を表した断
面図である。このような態様の検出チップにおいて、ポンプ接続部から駆動液が漏出したとしても、一定量の駆動液を溝の内部に貯留することができる。また、図示したようにチップの下面にポンプ接続部が形成されている場合であっても、駆動液の表面張力およびチップ表面との付着力により、漏出した駆動液を溝に保持し、外部に逃さないようにすることが可能である。したがって、このような溝を開口周辺に形成することにより、漏出した駆動液が近隣のポンプ接続部などに連通する事態を防止することが可能である。
図5(i)は、本発明の第2の態様の検出チップにおけるポンプ接続部周辺を表した断
面図である。このような態様の検出チップにおいて、ポンプ接続部から駆動液が漏出したとしても、一定量の駆動液を溝の内部に貯留することができる。また、図示したようにチップの下面にポンプ接続部が形成されている場合であっても、駆動液の表面張力およびチップ表面との付着力により、漏出した駆動液を溝に保持し、外部に逃さないようにすることが可能である。したがって、このような溝を開口周辺に形成することにより、漏出した駆動液が近隣のポンプ接続部などに連通する事態を防止することが可能である。
ポンプ接続部における溝の深さ、幅、形態などは、駆動液を貯留する上で適宜好ましいものとすることができる。また、溝の形成方法は、微細流路などと同じくフォトリソグラフィ技術によることが好適であるが、特に限定されるものではない。
なお、本発明の第1の態様と第2の態様を組み合わせたもの、すなわち図5(ii)に示すように、開口の周囲のチップ表面に突起部が形成され、さらにその突起部の周囲のチップ表面に溝が形成された態様、あるいは図5(iii)に示すように、チップ表面からは突
出していないものの、溝に挟まれた突起部が形成された態様であってもよい。
出していないものの、溝に挟まれた突起部が形成された態様であってもよい。
以上のような本発明の第1および第2の態様は、例えば、マイクロポンプユニットのチップ接続部に上述のような突起または溝を設け、検出チップのポンプ接続部にパッキンを設けるように応用することも可能であり、さらには、マイクロ総合分析システムにおいて
接続されるその他の開口同士の周辺において、同様の手法を適用することも可能である。
接続されるその他の開口同士の周辺において、同様の手法を適用することも可能である。
<第3の態様>
図6(i)〜(iv)は、検出チップにおけるポンプ接続部の配置を示した図である。前述のように、本発明の第1または第2の態様においては、ポンプ接続部の開口周辺に突起または溝を形成するなど、ポンプ接続部周辺を所定の構造とすることにより駆動液の漏出等を抑制するための手段が提供されるが、本発明の第3の態様においては、ポンプ接続部を所定の配置とすることにより、そのような手段が提供される。
図6(i)〜(iv)は、検出チップにおけるポンプ接続部の配置を示した図である。前述のように、本発明の第1または第2の態様においては、ポンプ接続部の開口周辺に突起または溝を形成するなど、ポンプ接続部周辺を所定の構造とすることにより駆動液の漏出等を抑制するための手段が提供されるが、本発明の第3の態様においては、ポンプ接続部を所定の配置とすることにより、そのような手段が提供される。
図6(i)は、一般的な検出チップにおいてしばしば見られる、一直線上に等間隔(a/2)でポンプ接続部の開口が配置されている様子を示している。以下、すべての開口の形状は、一般的によく見られる円形であるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書における開口の配置または距離については、その開口の重心の位置を用いて考えるものとする。
一方、図6(ii)では、本発明の検出チップにおける、少なくとも一部の開口の配置の様子を示している。これらの開口は、平行な2本の直線上に位置しており、同一直線上にある開口同士の間隔はいずれもaで一定である。また、一方の直線上に位置する開口から、もう一方の直線上に位置する開口までの最も近い距離をbとする。
この図6(ii)で示されるように、上記bがa/2<bの関係を満たされるよう、ポン
プ接続部の開口を配置する場合、横方向の距離Lあたりに含まれる開口の数を図6(i)
の態様と同数に保ちながら(例えばこの図であれば3個)、最も近い開口同士の距離をそれよりも広げることができ、駆動液の漏出によるポンプ接続部同士の連通を抑制することが可能となる。これにより、検出チップの幅(サイズ)を変えることなく、ポンプ接続部を増やすことができる。また、図6(iii)に示すような態様でa/2<bの関係が満たされていてもよいが、図6(iv)に示すようにa/2>bとなるようにポンプ接続部が配置
された態様の検出チップは、本発明の範囲に含まれない。
プ接続部の開口を配置する場合、横方向の距離Lあたりに含まれる開口の数を図6(i)
の態様と同数に保ちながら(例えばこの図であれば3個)、最も近い開口同士の距離をそれよりも広げることができ、駆動液の漏出によるポンプ接続部同士の連通を抑制することが可能となる。これにより、検出チップの幅(サイズ)を変えることなく、ポンプ接続部を増やすことができる。また、図6(iii)に示すような態様でa/2<bの関係が満たされていてもよいが、図6(iv)に示すようにa/2>bとなるようにポンプ接続部が配置
された態様の検出チップは、本発明の範囲に含まれない。
上記の本発明の第3の態様におけるポンプ接続部の配置方法と、前記の本発明の第1の態様および/または第2の態様におけるポンプ接続部周辺の形状とを組み合わせてもよく、より確実に、駆動液の漏出による問題の発生を抑制することが可能となる。
<第4の態様>
図7(i)〜(ii)は、検出チップにおけるポンプ接続部の配置を示した図である。本発明の第4の態様においては、さらに、ポンプ接続部の開口を所定の形状とすることにより、駆動液の漏出等を抑制するための手段が提供される。
図7(i)〜(ii)は、検出チップにおけるポンプ接続部の配置を示した図である。本発明の第4の態様においては、さらに、ポンプ接続部の開口を所定の形状とすることにより、駆動液の漏出等を抑制するための手段が提供される。
図7(i)は、従来一般的に見られる態様の開口であり、この開口の円の面積はπd2である。一方、図7(ii)に示すような、本発明の第4の態様における開口の形状は、代表的には楕円形であり、開口が並んでいる直線方向の内径2e(短径e)、これに垂直な内径が2f(長径f)である。この開口の楕円の面積はπdfである。
ここで、例えばe=d/2、f=2dならば、図7(ii)の楕円はπef=πd2の面積を有する。これにより、図7(i)の円形の開口と同等の開口の面積を確保しつつ、開口
のふち同士の間隔をより広げることが可能となる、すなわち、駆動液の流量を同等に保持し、送液の挙動を変化させないまま、ポンプ接続部にかかる圧力を軽減させることで、液漏れによるポンプ接続部同士の連通を抑制することができるようになる。
のふち同士の間隔をより広げることが可能となる、すなわち、駆動液の流量を同等に保持し、送液の挙動を変化させないまま、ポンプ接続部にかかる圧力を軽減させることで、液漏れによるポンプ接続部同士の連通を抑制することができるようになる。
マイクロポンプユニットの構造
検査チップには通常複数のポンプ接続部が設けられ、それぞれに駆動液を供給し、検査チップの微細流路内を送液させるが、この際、複数のマイクロポンプが設けられているチップ状のマイクロポンプユニットを使用することが好適である。このマイクロポンプユニットと、前述のような駆動液漏出防止のための手段を備えた検査チップとを組み合わせて用いることにより、優れた送液システムが確立されたマイクロ総合分析システムが提供される。
検査チップには通常複数のポンプ接続部が設けられ、それぞれに駆動液を供給し、検査チップの微細流路内を送液させるが、この際、複数のマイクロポンプが設けられているチップ状のマイクロポンプユニットを使用することが好適である。このマイクロポンプユニットと、前述のような駆動液漏出防止のための手段を備えた検査チップとを組み合わせて用いることにより、優れた送液システムが確立されたマイクロ総合分析システムが提供される。
図8および図9に、そのようなマイクロポンプユニットの一例を示す。図8は、マイクロポンプユニットの斜視図であり、図9は、マイクロポンプの断面図である。
マイクロポンプユニット9は、例えば、シリコン製の基板43と、その上のガラス製の基
板42と、さらにその上のガラス製の基板41との3つの基板から構成されている。基板43と基板42とは陽極接合などにより、基板42と基板41とはシーリングガラス、熱融着またはフッ酸接合などにより貼り合わせられている。
マイクロポンプユニット9は、例えば、シリコン製の基板43と、その上のガラス製の基
板42と、さらにその上のガラス製の基板41との3つの基板から構成されている。基板43と基板42とは陽極接合などにより、基板42と基板41とはシーリングガラス、熱融着またはフッ酸接合などにより貼り合わせられている。
このようなマイクロポンプユニット9の作成にあたっては、フォトリソグラフィ技術に
より加工された、マイクロポンプを構成する基板43、流路溝および接続用開口が形成されている基板41を用いることが好適であるが、マイクロポンプユニットの作成方法はこれに限定されるものではない。例えば、マイクロポンプの構造をエッチングにより形成したシリコン基板、感光性ガラス基板等の上にガラス基板を積層し、その上にPDMSを貼り合わせ、さらにその上に、プラスチック、ガラス、シリコン、セラミックスなどからなり流路溝と接続用開口とが形成された基板を貼り合わせることにより、同様にマイクロポンプユニットを構成することができる。さらに、マイクロポンプユニットに設けられるマイクロポンプは、ピエゾポンプ以外のもの、例えば逆止弁型のマイクロポンプなどであってもよい。
より加工された、マイクロポンプを構成する基板43、流路溝および接続用開口が形成されている基板41を用いることが好適であるが、マイクロポンプユニットの作成方法はこれに限定されるものではない。例えば、マイクロポンプの構造をエッチングにより形成したシリコン基板、感光性ガラス基板等の上にガラス基板を積層し、その上にPDMSを貼り合わせ、さらにその上に、プラスチック、ガラス、シリコン、セラミックスなどからなり流路溝と接続用開口とが形成された基板を貼り合わせることにより、同様にマイクロポンプユニットを構成することができる。さらに、マイクロポンプユニットに設けられるマイクロポンプは、ピエゾポンプ以外のもの、例えば逆止弁型のマイクロポンプなどであってもよい。
なお、従来は駆動液を送液するために用いられており、本発明において試薬を充填するためにも好適に用いることのできるマイクロポンプを本発明者らはすでに提案しており、その詳細は特開2001-322099号公報、特開2004-108285号公報、特開2004-270537号公報な
どを参照することができる。
どを参照することができる。
<マイクロポンプの機構>
上記基板43および基板42の間の内部空間により、マイクロポンプ40(ピエゾポンプ)が構成されている。第1流路46と第2流路47の幅および高さを等しくすると共に、第1流路46の長さを第2流路47の長さよりも短くすることにより、第2流路47における差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合は第1流路46のそれよりも小さくなっている。すなわち、第1流路46では、差圧が大きくなると流路内で渦を巻くように乱流が発生し、流路抵抗が増加するが、第2流路47は流路幅が長いため、差圧が大きくなっても層流になりやすく、第1流路46に比べて流路抵抗の増加する割合が小さい。なお、第1流路46と第2流路47における、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合の相違は、必ずしも流路の長さの違いによる必要はなく、他の形状的な相違に基づくものであってもよい。
上記基板43および基板42の間の内部空間により、マイクロポンプ40(ピエゾポンプ)が構成されている。第1流路46と第2流路47の幅および高さを等しくすると共に、第1流路46の長さを第2流路47の長さよりも短くすることにより、第2流路47における差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合は第1流路46のそれよりも小さくなっている。すなわち、第1流路46では、差圧が大きくなると流路内で渦を巻くように乱流が発生し、流路抵抗が増加するが、第2流路47は流路幅が長いため、差圧が大きくなっても層流になりやすく、第1流路46に比べて流路抵抗の増加する割合が小さい。なお、第1流路46と第2流路47における、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合の相違は、必ずしも流路の長さの違いによる必要はなく、他の形状的な相違に基づくものであってもよい。
また、加圧室45の位置には、基板43を加工することによりダイヤフラム(薄膜状の振動板)が形成され、その外側表面にはアクチュエータの一態様として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックスなどからなる圧電素子44が貼着されている。圧電素子44表面上の2つの電極は、フレキシブルケーブルなどによる配線で駆動部に接続されている。この圧電素子44に対して所定の波形の電圧を印加することにより、ダイヤフラムを振動させ、加圧室45の容積を変化させることが可能である。加圧室45の容積が増加する方向へのダイヤフラムの変異速度と、加圧室45の容積が減少する方向へのダイヤフラムの変異速度が異なるように圧電素子44への電圧を制御することにより、ポンプが機能し、試薬が輸送されるようになっている。
すなわち、加圧室45からその外側へ向かう方向へ素早くダイヤフラムを変異させて大きい差圧を与えながら加圧室45の体積を増加させ、次いで加圧室45の内部へ向かう方向へゆっくりとダイヤフラムを変異させて小さい差圧を与えながら加圧室45の体積を減少させると、試薬は同図の左から右への順方向(矢印の向き)に送液される。この逆の操作により、同図の右から左への逆方向に試薬を送液することも可能である。
上記の圧電素子44の駆動のための2つの電極は、図示しないフレキシブル配線と接続される。一例として、ダイヤフラムの表面に透明電極膜であるITO膜を形成し、ITO膜の上に接着剤で圧電素子の片方の面を接着することによって、圧電素子の片方の電極がITO膜と電気的に接続され、そのITO膜とフレキシブル配線とが接続される。また、圧電素子の他方の面には金メッキが施され、その金メッキ部分にフレキシブル配線を直接に接続する。
<駆動液の送液流路>
基板41には、流路50がパターニングされている。一例として、流路50の断面の寸法および形状は、幅が150μm程度、深さが300μm程度の矩形状である。図示したように、マイクロポンプユニットの基板上の適切な位置に流路および開口を設けることにより、検出チップにおける所望の位置に形成されたポンプ接続部へ駆動液を送液することが可能となる。また、複数箇所への駆動液の供給が、効率よく簡便に行うことができる。
基板41には、流路50がパターニングされている。一例として、流路50の断面の寸法および形状は、幅が150μm程度、深さが300μm程度の矩形状である。図示したように、マイクロポンプユニットの基板上の適切な位置に流路および開口を設けることにより、検出チップにおける所望の位置に形成されたポンプ接続部へ駆動液を送液することが可能となる。また、複数箇所への駆動液の供給が、効率よく簡便に行うことができる。
流路50の下流側には、基板41の片面から外部へ開放され、検出チップのポンプ接続部に連通させるための開口51が設けられている。この開口51と、該開口51およびマイクロポンプユニットの微細流路を連通する流路(縦孔)と、必要に応じて開口51周辺の基板41表面に設けられた構造とからなる部分を、チップ接続部と呼ぶこともある。
上記チップ接続部は、検出チップのポンプ接続部との接続性において適宜好ましい態様とすることができる。チップ接続部の開口51の形状や大きさは、検出チップのポンプ接続部における開口の形状や大きさに対応させて適宜調整すればよく、ポンプ接続部の開口との位置あわせを適切に行うために必要であれば、開口51のサイズを流路50の幅よりも大きくしてもよい。また、開口51周囲のマイクロポンプユニット表面に柔軟性を有する素材からなるパッキンを設置するなど、駆動液の漏出を防止するための手段を備えていてもよい。
一方、流路50の上流側は、基板42の貫通口53を介し、第2液室49を通り加圧室45および第1液室48に連通している。第1液室48には駆動液が貯留されており、この駆動液はマイクロポンプ40により押し出され、基板41の開口51から検出チップのポンプ接続部へと送液される。
また、第1液室48は、基板42の開口54、基板41の開口52、および必要に応じてポリジメチルシロキサン(PDMS)のパッキンなどを介して、別途の駆動液タンク(図示せず)などに接続されている。マイクロポンプユニットに設けられた複数の第1液室48の駆動液は、1つの駆動液タンクから分配されて供給される。
2 検出チップ
2a 被覆基板
2b 溝形成基板
2c 被覆基板
11 マイクロポンプユニット
12 ポンプ接続部
15 微細流路
18 試薬収容部
41 基板
42 基板
43 基板
44 圧電素子
45 加圧室
46 第1流路
47 第2流路
48 第1液室
49 第2液室
50 流路
51 開口(チップ接続側)
52 開口(タンク接続側)
53 開口
54 開口
100 縦孔
101 パッキン
102 突起部(被覆基板)
103 突起部(溝形成基板)
104 溝
2a 被覆基板
2b 溝形成基板
2c 被覆基板
11 マイクロポンプユニット
12 ポンプ接続部
15 微細流路
18 試薬収容部
41 基板
42 基板
43 基板
44 圧電素子
45 加圧室
46 第1流路
47 第2流路
48 第1液室
49 第2液室
50 流路
51 開口(チップ接続側)
52 開口(タンク接続側)
53 開口
54 開口
100 縦孔
101 パッキン
102 突起部(被覆基板)
103 突起部(溝形成基板)
104 溝
Claims (5)
- マイクロポンプユニットにより供給される流体を流入させるための開口を備えたポンプ接続部を複数有する検出チップであって、
少なくとも1以上の該ポンプ接続部の開口の周囲において、検出チップ表面に突起部が形成されていることを特徴とする検出チップ。 - マイクロポンプユニットにより供給される流体を流入させるための開口を備えたポンプ接続部を複数有する検出チップであって、
少なくとも1以上の該ポンプ接続部の開口の周囲において、検出チップ表面に溝が形成されていることを特徴とする検出チップ。 - マイクロポンプユニットにより供給される流体を流入させるための開口を備えたポンプ接続部を複数有する検出チップであって、
少なくとも一部のポンプ接続部の開口は、平行な2本の直線上に位置しており、
それぞれの直線上での開口同士の距離はaで一定であり、かつ
一方の直線上にある任意の開口から、もう一方の直線上にある最も近い開口までの距離bが、a/2<bの関係を満たすように配置されていることを特徴とする検出チップ。 - マイクロポンプユニットにより供給される流体を流入させるための開口を備えたポンプ接続部を複数有する検出チップであって、
該ポンプ接続部の開口は、直線上に一定の間隔をおいて複数配置され、かつ
任意の開口の上記直線上の内径がそれと直交する内径よりも小さいことを特徴とする検出チップ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の検出チップと、システム装置本体とを備えたマイクロ総合分析システムであって、
該システム装置本体は、少なくとも、
前記検出チップのポンプ接続部に接続され、流体が流出する開口を有するチップ接続部と、流体を送出するためのマイクロポンプとを含み、該チップ接続部の開口の周囲は柔軟性を有する素材で形成されているマイクロポンプユニット、および
該マイクロポンプユニットの機能を制御する手段を備え、
該マイクロポンプは、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が第1流路よりも小さい第2流路と、第1流路および第2流路の中間に位置しこれらに連通する加圧室と、該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動する駆動装置とを備えたピエゾポンプである
ことを特徴とするマイクロ総合分析システム。
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- 2006-05-19 JP JP2006140672A patent/JP2007309845A/ja active Pending
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