JP2006125990A - 生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタ - Google Patents
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Abstract
高信頼性の多項目同時検査を可能とする生体物質検査用マイクロリアクタおよび検査デバイスを提供すること。
【解決手段】
本発明の生体物質検査デバイスは、試薬類・送液系用のエレメントを搭載した、検体ごとのマイクロリアクタなるチップ・コンポーネント、デバイス本体である制御・検出コンポーネントとを別個にするシステム構成である。よって極微量分析、増幅反応に対して、クロス・コンタミネーション、キャリーオーバー・コンタミネーションが生じにくい。
本発明マイクロリアクタのチップは加工性、廉価性に優れた材質であるプラスチック樹脂で作製され、材料および構成要素も含めて大量生産に向く構成であり、しかも検出に使用するプローブ、試薬が容易に入手できるものであるために、低コストで製造できる。本発明の生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタは、多項目の同時測定も可能であり、かつ、多目的化に対応する汎用性がある。
【選択図】 図4
Description
ンサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている。これは、
μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab-on-chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製
造分野でその応用が期待されている。とりわけ遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムとしてのマイクロリアクタは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
溝形成基板と被覆基板を用いて、構造部としてマイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、
微細流路が該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタである。
前記微細流路の内表面が好ましくはタンパク質でコーティングされる。
前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、検体を含む液体を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプであることを特徴としている。
分岐した微細流路、
正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を
制御することを特徴としている。
本発明は、検体に含まれる生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよびマイクロポンプの制御装置および温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な前記生体物質検査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイスである。
[発明の詳細な説明]
以下、本発明の生体物質検査用マイクロリアクタおよびこのマイクロリアクタとマイクロポンプ、各種制御装置、検出装置とからなる生体物質検査デバイスについて説明する。なお本明細書において、「基板」とは、マイクロアレイ、DNAチップのように0.1μm〜数mmスケールで微小な加工、修飾が施されている部材を意味する。「流路エレメント」とは、マイクロリアクタに設置される機能部品をいう。「微細流路」は、本発明のマイクロリアクタ基板上に形成された微小な溝状の流路のことである。「遺伝子」とは、何らかの機能を発現する遺伝情報を担うDNAまたはRNAをいうが、単に化学的実体であるDNA、RNAの形でいうこともある。分析対象の物質を「アナライト」ということもある。
チップの材料
図1および2に示したマイクロリアクタ1は、プラスチック樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどの1以上の成形材料を適宜組み合わせて作製される一枚のチップである。本発明のチップの基本構造は、少なくとも2つの基板で本体が構成されるチップタイプのマイクロリアクタである。具体的なその構造は、溝形成基板および被覆基板なる基本的基板を用いて、構造部として、マイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、微細流路が少なくとも該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、あるいは少なくとも検出部を光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴としている。
図3)。かかる流路系を実現するには、中間基板の溝形成基板をさらに付加して3層の基板で流路系を形成することになる。図4に示す多層積層型チップはその一例であり、チップ底部にはさらに廃液貯留部が設けてある。
〜100℃である。ICAN法によるDNA増幅において、55〜60℃の範囲内の一定温度で
行う限り問題はないと考えられる。あるいは、耐熱性がやや優れるメチルメタクリレート‐スチレン共重合体樹脂またはスチレン‐アクリルニトリル共重合体樹脂を用いてもよい。PCR法による増幅も含め、分析の都合により100℃近くに加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂に変更する必要がある。それにはポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂が
例示される。
低蛍光性プラスチックを用いてもよい。
基本流路エレメント
本発明のマイクロリアクタにおいては、溝形成基板と被覆基板を用いて、ポンプ接続部、弁基部および液溜部の構造部が形成される。複雑な微細加工を基板に施し、各種の流路エレメントを配設した複数の基板を組み合わせて作製する集積型チップでは、システムの複雑化、精度の低下、製造コストの上昇を招きやすい。本発明のマイクロリアクタでは、ディスポーサブルタイプとするために、チップの加工成形の単純化を図っている。
・ポンプ接続部
本発明の生体物質検査デバイスでは、マイクロリアクタの検体収容部、試薬収容部およびコントロール収容部のそれぞれについて、これらの収容部の内容液を送液するためにマイクロポンプが設けられている。本発明では、マイクロポンプとして好ましくはピエゾポンプを用いている(図5)。基本的には、マイクロポンプ本体であるポンプの送液作動部および駆動部は、マイクロリアクタとは別途の装置本体に組み込まれており、マイクロリアクタが装置本体に装着されると、マイクロポンプ接続部からマイクロリアクタに接続されるようになっている。このような構成において、マイクロリアクタの被覆基板上のポンプ接続部位置には、基板に嵌合する液密性接続部品が取り付けられ、これにより装置本体側ポンプからの送液を受ける導入口としてマイクロポンプ接続部が形成される。
を設けてもよく、その振動板(図5、部品43)に本体側から駆動作用を受けて機能する態様も可能である。あるいは送液用アクチュエータモジュール用の基板を形成して、マイクロポンプ構造の一部をチップに組み込んでもよい。そうした基板に好適な材質は、可撓性および耐磨耗性に優れることが求められる。さらに成形加工性も良好であること望ましい。そのために硝子、プラスチック類が用いられる。このような態様では、マイクロポンプ接続部12は、マイクロポンプ・ポートとして、ポンプ吐出液を微細流路へ送り出すための出口となる。
・弁
本発明のマイクロリアクタには、その流路に、液体の逆流を防止する逆流防止部が多数設けられている。この逆流防止部は、逆流圧により弁体が流路開口部を閉止する逆止弁か、あるいは弁体変形手段により弁体を流路開口部へ押圧して該開口部を閉止する能動弁からなる。かかる流路エレメントである弁の弁基部は、上記基板(溝形成基板および被覆基板)、好ましくは可撓性のプラスチック基板により構成され、その補完部品を結合させることにより、弁機構が形成される。
・液溜部
本マイクロリアクタにおいて、液溜部には、検体収容部、試薬収容部、コントロール収容部、プローブ収容部、廃液貯留部などが含まれる(図2)。これらの液溜部以外にも、液体の効率的な混合のために必要に応じて流路途中に混合用の液溜が設けられることもある(図8)。
うなくぼみとして、例えばサイズが直径100〜500μm、深さ100〜500μmである凹状構造が、廃液貯留部を除く液溜部用に形成される。液溜部は必要であれば生体物質、特にタンパク質の非特異的な吸着を防止すためのコーティングを施してもよい。
・微細流路
本マイクロリアクタの微細流路は、基板上に目的に応じて予め設計された流路配置に従って、形成される(図2)。微細流路は、例えば幅数十〜数百μm、好ましくは50〜100
μm、深さ25〜200μm程度、好ましくは50〜100μmに形成される。流路幅が50μm未満であると、流路抵抗が増大し、送液および検出上不都合である。幅500μmを超える
流路ではマイクロスケール空間の利点が薄まる。その形成方法は、従来の微細加工技術による。典型的にはフォトリソグラフィ技術による感光性樹脂による微細構造の転写が好適であり、その転写構造を利用して、不要部分の除去、必要部分の付加、形状の転写が行われる。チップの構成要素を型どるパターンをフォトリソグラフィ技術により作製し、このパターンを樹脂に転写成形する。したがって、マイクロリアクタの微細流路を形成する基本的基板の材料は、サブミクロンの構造も正確に転写でき、機械的特性の良好なプラスチックが好ましく用いられる。ポリスチレン、ポリジメチルシロキサンなどは形状転写性に優れる。必要であれば射出成形、押し出し成形などによる加工も使用してもよい。
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタは、検体収容部、試薬収容部、検体前処理部、廃液貯留部、マイクロポンプ・ポートおよび微細流路を有しており、
該微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、濃縮後の前記検体液を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流に設けられた、反応部位を構成する流路、次いで検出部位で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
は一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
や、在宅医療での個人的な利用も可能である。送液に使用する多数のマイクロポンプユニットが装置本体側に組み込まれているので、チップはディスポーサブルタイプとして使用できる。
・検体収容部
本発明のマイクロリアクタの検体収容部20は、図3および図9に示されるような構成を有する。検体収容部20は、検体注入部に連通し検体の一時収容および混合部への検体供給を行う。検体収容部20に注入された検体は、マイクロポンプ11およびポンプ接続部12と接続しており、これらの作用により、検体前処理部20aへ送液される。検体前
処理部20aでは、検体処理液収容部20bから送られてくる処理液で前処理される。こ
のような検体前処理部20aは必要に応じて布置されるものである。好ましい検体前処理
として、分析対象物質(アナライト)の分離または濃縮、除タンパクなどが含まれる。したがって検体前処理部20aは、分離フィルター、吸着用樹脂、ビーズなどを含んでもよ
い。
、図2に示されるように検体分析のための分析流路(左側の微細流路)上、試薬収容部18よりも下流側の位置に配置される。すなわち、図2において、検体の測定項目が、1つの場合には、図示されるように、検体収容部20および検体貯留部17bが1つあればよい。これに対し、2以上の測定項目がある場合には、上記のように検体を項目数に応じて分割し、それぞれの分析流路へ送り出す必要がある。そのため、上記エレメント類は、複数の分析流路上の適当な位置(直上でなくともよい)に配置される。その位置関係は、例えば図3にも示されている。検体と試薬とが合流する前に、ポート19からの検体が流れる流路は、試薬の流れる流路と上下で交差しなければならない。なお、図示されるように、特に検体前処理部20aをも設置するときには、不要な液を廃液貯留部23に捨てるた
め、検体前処理部20aを検体収容部20より下位に置くほうが好都合である。
・検体
本発明の測定対象となる検体は、生体由来のアナライト含有試料である。試料自体にも特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、バフィーコート、尿、糞便、唾液、喀痰など生体由来のほとんどの試料が該当する。遺伝子検査の場合、増幅反応の鋳型となる核酸として遺伝子、DNAまたはRNAがアナライトである。検体は、このような核酸を含む可能性のある試料から調製または単離したものであってよい。したがって、上記の試料の他に、細胞培養物;ウィルス、細菌、カビ、酵母、植物、動物などの核酸含有試料;微生物などが混入または含有する可能性のある試料、その他核酸が含有されている可能性のあるあらゆる試料などが対象となる。そのような試料から遺伝子、DNAまたはRNAを調製する方法は、特に限定されず、従来技術を使用することができる。
の血液検体を注入するだけである。例えば、遺伝子の場合、DNAとして0.001〜100ngである。
・検体前処理部
一般に、血液、尿などの生体試料は、試料に含まれる不要成分(タンパク質やイオン性物質など)を除去するために、分析に先立って検体の前処理が必要とすることが通例である。前処理法は検体の種類や使用する分析法によっても異なるが、通例、繁用される生体試料用の前処理には、細胞破壊(溶菌または溶血処理)もしくは可溶化、抽出、除タンパク、濃縮、吸着・脱着、洗浄、透析(脱塩)、ろ過、加水分解もしくは誘導体化などの処理が行われている。例えば微細流路の目詰まりを防止するため、不溶性の夾雑物を除去する必要がある。検出に先立ち、予め目的物質を濃縮、分離することも望ましい。検体によっては、検出対象の物質濃度が極めて希薄である。そうした場合、マイクロリアクタに導入できる検体量(数cm四方のチップで、数μL)も限られていることから、そのままで
は測定可能な範囲内に収まらない。したがって、目的物質の予備的な濃縮または分離の操作が必要となってくる。さらに検体液が粘稠である場合には、本マイクロリアクタにおける微細流路を層流として円滑に送液されるように、粘度または界面張力の調整のために必要に応じて希釈なども行ってもよい。微細流路内に流す液体の粘度(オストワルド法で測定した場合)は37℃で、15mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下に調整されることが望ましい。
する検体処理液収容部20bには、溶菌試薬、溶血試薬、抽出液、変性液、洗浄液、溶離液などが前処理の内容に応じて封入されている。
・前処理手段
本発明のマイクロリアクタにおいて、前記前処理手段は、生体物質または細菌もしくはウィルスを選択的に吸着する担体として特にその形態を限定しないが、具体的にはフィルター、ビーズ、アガロースといったゲルまたはメンブレンであることを特徴としている。目的に応じて、複数のフィルターまたは上記担体の組合せであってもよい。入手、使いやすさなどから、フィルターが好適であり、これを積層させた前処理手段が好ましい。
る。DNAをトラップするフィルターとは、例えばある条件下でDNA分子を特異的に吸着するフィルターであってもよい。フィルターのメッシュは、ウィルス、細菌などのサイズなどを考慮する。フィルターの形態、フィルター層の厚さなども目的に応じて適切に設定する。例えば、最初に不溶性物質、塵などを濾過除去し、その後に所定の処理を行うために、サイズを変えた2種以上のフィルターを併用してもよい。フィルターの形状として、層状
に積載した形態、粒子を充填した形態、樹脂の層、中空糸の集合形態など任意である。
・廃液貯留部
本発明のマイクロリアクタは、検体の濃縮および測定の結果、生じる廃液を閉じ込めるための廃液貯留部23を有しており、溝形成基板の底部に作製された凹部を覆うように、底基板として基板をさらに貼り付けて廃液貯留部が形成される(図4)。すなわち、廃液貯留部は、マイクロリアクタの底部に設けられ、余分な検体、検体の分離・濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、ならびに検体の反応、測定の結果、生じる廃液などをすべて収容する密閉された廃液溜りである。そのような廃液は、マイクロリアクタ外に排出させて処理するよりも、自動的に内部に貯留する方が煩わしくない。好ましくは、少なくとも上記検体前処理部、流路の反応部部位、検出部位の端部などとも通じるとともに必要な容量を有する密封構造、すなわち廃液を生じる各部位と通じる貫通孔が形成されている空洞であればよい。廃液貯留部23は、1つの中空室でもよく、複数の区画に分けられた多区画空洞の形態であってもよい。その容積、形状などは、特に限定されない。なお廃液貯留部を構成する基材は、有機溶媒、酸などに耐える材質であることが望ましい。
・試薬収容部
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタでは、必要な試薬類があらかじめ所定の量、マイクロリアクタ内の試薬収容部18に封入されている。本発明のマイクロリアクタは使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即使用可能の状態になっている。好ましい実施形態では、試薬収容部の上流側にマイクロポンプが接続され、マイクロポンプにより駆動液を試薬収容部側へ供給することにより、試薬を流路へ押し出して送液する。
・マイクロポンプおよびポンプ接続部
本実施形態では、検体収容部20、試薬収容部18、ポジティブコントロール収容部21h、およびネガティブコントロール収容部21iのそれぞれについて、これらの収容部
内容液を送液するマイクロポンプ11が設けられている。マイクロポンプ11は試薬収容部18の上流側に接続され、マイクロポンプ11により駆動液を試薬収容部側へ供給することによって、試薬を流路へ押し出して送液している。マイクロポンプユニットは、マイクロリアクタとは別途の装置本体(生体物質検査デバイス)に組み込まれており、マイクロリアクタを装置本体に装着することによって、ポンプ接続部12からマイクロリアクタ
に接続されるようになっている。
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプである。その詳細は、上記特許文献1および2に記載されている。
・送液分割手段
本発明において、1つの検体について多項目の分析を行う場合ならびにポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを同時に分析する場合には、試薬類および検体を2以上に分割して、それぞれの分析流路へ送り出す必要がある。送液分割手段はそのために設置される。具体的には図2および図8に示すように、送液分割手段は、分岐した微細流路、送液制御部13および逆流防止部16から構成される。
・反応部位
測定対象である生体物質(アナライト)を含む検体の溶液と、試薬(混合液)とを合流させる合流部の上流側の各流路に、前記検体が収容される検体収容部と、前記試薬液体が収容される試薬収容部とが設けられるとともに、これらの各収容部の上流側にポンプ接続部が設けられ、これらのポンプ接続部に前記マイクロポンプを接続し、各マイクロポンプから駆動液を供給することにより前記各収容部内の前記検体の溶液および前記試薬を押し出してこれらを合流させることによって、遺伝子増幅反応、アナライトのトラップまたは抗原抗体反応といった分析に必要な反応を開始するように構成されている。試薬と試薬との混合、および検体と試薬との混合は、単一の混合部で所望の比率で混合してもよく、あるいは何れかもしくは両方を分割して複数の合流部を設け、最終的に所望の混合比率となるように混合しても構わない。そうした反応部位の態様は特に限定されるものではなく、様々な形態および様式が考えられる。例えば、ビーズをマイクロリアクタと組み合わせることによって、検出用物質をビーズに固定化すると、反応をおこなうための表面積を格段に増加することができる。この特長を活かした研究として、ビーズ上にDNAプローブを固
定化してマイクロリアクタ・チップの微細流路上に導入し、ハイブリダイゼーションを行うもの、マイクロリアクタの反応部位内にビーズを導入して抗原抗体反応を行うことにより、免疫検査を飛躍的に高速化したものなどが報告されている。
反応試薬を含む少なくとも2種類の液体を、マイクロポンプにより送液して合流させる合流部と、
前記合流部から先に設けられ、前記各液体が拡散混合される微細流路と、
前記微細流路の下流側端部から先に設けられ、該微細流路よりも広幅の空間と
からなり、該微細流路で拡散混合された混合液を貯留して反応を行う液溜部とを備えることが好ましい。
・遺伝子増幅法
本発明のマイクロリアクタを使用する遺伝子検査では、増幅方法を限定されない。例えばDNA増幅技術は、多方面で盛んに利用されているPCR増幅法を使用することができる。その増幅技術を実施するための諸条件が詳細に検討され、改良点も含めて各種文献などに記載されている。
A増幅を短時間で実施できる特徴を有する(特許第3433929号)。したがって、ICAN
法は、本発明のマイクロリアクタでは、簡便な温度管理で済むために好適な増幅技術である。
・検出部位
本発明のマイクロリアクタでは、微細流路の反応部位よりも下流上に、アナライト、例えば増幅された遺伝子を検出するための検出部位が設けられている。少なくともその検出部分は、光学的測定を可能とするために透明な材質、好ましくは透明なプラスチックとなっている。さらに微細流路上の検出部位に吸着されたビオチン親和性タンパク質(アビジン、ストレプトアビジン、エクストラアビジン(R)、好ましくはストレプトアビジン)は、プローブ物質に標識されたビオチン、または遺伝子増幅反応に使用されるプライマーの5'末端に標識されたビオチンと特異的に結合する。これにより、ビオチンで標識され
たプローブまたは増幅された遺伝子が本検出部位でトラップされる。
(1a)検体もしくは検体から抽出したDNA、あるいは検体もしくは検体から抽出した
RNAから逆転写反応により合成したcDNAと、5'位置でビオチン修飾したプライマ
ーとを、これらの収容部から下流の微細流路へ送液する。反応部位の微細流路内で、遺伝子を増幅する工程、微細流路内で増幅された遺伝子を含む増幅反応液と変性液とを混合し、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理する工程、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理した処理液を、ビオチン親和性タンパク質を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、前記増幅遺伝子をトラップする工程を経て、増幅遺伝子をトラップした微細流路内の検出部位に、末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したプローブDNAを流し、これを固定化した遺伝子にハイブリダイズさせる。(予め増幅遺伝子と蛍光標識したプローブDNAとをハイブリダイズさせたものを検出部位でトラップしもよい。)
(1b)検体に存在する抗原、代謝物質、ホルモンなどのアナライトに対する特異的な抗
体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬を検体と混合する。その場合、抗体は、ビオチンおよびFITCで標識されている。したがって抗原抗体反応により得られる生成物は、ビオチンおよびFITCを有する。これをビオチン親和性タンパク質(好ましくはストレプトアビジン)を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、ビオチン親和性タンパク質とビオチンとの結合を介して該検出部位に固定化する。
(2)上記微細流路内にFITCに特異的に結合する抗FITC抗体で表面を修飾した金コロイド液を流し、これにより固定化したアナライト・抗体反応物のFITCに、あるいは遺伝子にハイブリダイズしたFITC修飾プローブに、その金コロイドを吸着させる。(3)上記微細流路の金コロイドの濃度を光学的に測定する。
けでよい。プローブは、アナライトに結合させるものであり、測定対象がタンパク質アナライトでは、検出用の蛍光標識であるFITCを上記ビオチンとともに結合している特異的な抗体が相当する。また、遺伝子検査用のプローブDNAとして、蛍光標識されたオリゴデオキシヌクレオチドが好ましく用いられる。そのDNA塩基配列は、検出目的の遺伝子塩基配列の一部分と相補的である配列が選択される。プローブDNAの塩基配列を適切に選択することにより、目的の遺伝子に特異的に結合し、共存するDNA、バックグラウンドに影響されることなく高感度の検出が可能となる。
ジアミン(OPD)などが知られている。他にアルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼな
どの酵素・発色系も使用できる。
コントロールの測定
生体物質の分析では、通例、分析にネガティブコントロールを加え、検体の分析と並行して行われる。コンタミネーション、例えば試薬等に混在する物質の発色、蛍光などの補正に必須であるためである。さらに分析結果の信頼性を増すためには、分析クォリティ管理用にポジティブコントロールも加えることも必要である。添加する試薬等における妨害因子の検出、設定した条件の適切性、非特異的な相互作用などの検証に有用である。同様にインターナルコントロールを加えることも往々必要とされ、特に定量分析には有用である。
ーニング、医薬、農薬あるいは各種化学物質の安全性・毒性の検査、環境分析、食品検査、法医学、化学、醸造、漁業、畜産、農産製造、農林業等で利用可能である。
2 装置本体
11 マイクロポンプ
12 ポンプ接続部
13 送液制御部
14a 被覆基板
14b 溝形成基板
15 流路
16 逆流防止部
17a 試薬貯留部
17b 検体貯留部
18 試薬収容部
19 サンプルポート
20 検体収容部
20a 検体前処理部
20b 検体処理液収容部
21a 停止液収容部
21b 変性液収容部
21c ハイブリダイゼーションバッファー収容部
21d 洗浄液収容部
21e 金コロイド収容部
21f プローブDNA収容部
21g インターナルコントロール用プローブDNA収容部
21h ポジティブコントロール収容部
21i ネガティブコントロール収容部
22 ストレプトアジビン吸着部
23 廃液貯留部
31 チップ
41 上側基板
42 基板
43 振動板
44 圧電素子
45 加圧室
46 第1流路
47 第2流路
48 第1液室
49 第2液室
61 溝形成基板
62 中間基板
63 可撓性被覆基板
64 弁部
65 開口
66 被覆基板
67 微小球
68 開口
69 可撓性基板
71 基板
72 ポート
73 ポート
Claims (10)
- 少なくとも2つの基板で本体が構成されるチップタイプのマイクロリアクタであり、
溝形成基板と被覆基板を用いて、構造部としてマイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、
微細流路が該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタ。 - 前記基板が、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート、硝酸セルロース、フルオロカーボン樹脂、ポリカーボネートまたはポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
- 前記溝形成基板が、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
- 前記微細流路の内表面が、タンパク質でコーティングされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
- 前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、検体を含む液体を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
- 前記マイクロポンプは、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生体物質
検査用マイクロリアクタ。 - 前記送液分割手段が、
分岐した微細流路、
正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリア
クタ。 - 検体の濃縮、洗浄および測定の結果、生じる廃液を貯留するための廃液貯留部を形成するために、前記溝形成基板の底部に作製された凹部を覆うように、底基板として基板をさ
らに貼り付けてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。 - 前記微細流路内に流す液体の粘度が10mPa・s以下に調整されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
- 検体に含まれる生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよびマイクロポンプの制御装置および温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な生体物質検査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイス。
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