JP2006125990A - 生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】
高信頼性の多項目同時検査を可能とする生体物質検査用マイクロリアクタおよび検査デバイスを提供すること。
【解決手段】
本発明の生体物質検査デバイスは、試薬類・送液系用のエレメントを搭載した、検体ごとのマイクロリアクタなるチップ・コンポーネント、デバイス本体である制御・検出コンポーネントとを別個にするシステム構成である。よって極微量分析、増幅反応に対して、クロス・コンタミネーション、キャリーオーバー・コンタミネーションが生じにくい。
本発明マイクロリアクタのチップは加工性、廉価性に優れた材質であるプラスチック樹脂で作製され、材料および構成要素も含めて大量生産に向く構成であり、しかも検出に使用するプローブ、試薬が容易に入手できるものであるために、低コストで製造できる。本発明の生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタは、多項目の同時測定も可能であり、かつ、多目的化に対応する汎用性がある。
【選択図】 図4

Description

本発明は、生体物質検査用マイクロリアクタおよびこのマイクロリアクタを含む生体物質検査デバイスに関するものである。
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、セ
ンサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている。これは、
μ−TAS(Micro Total Analysis System)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab-on-chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製
造分野でその応用が期待されている。とりわけ遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムとしてのマイクロリアクタは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
臨床検査を始めとする各種検査を行う現場では、場所を選ばず迅速に結果を出すチップタイプのマイクロリアクタにおける測定においても、その定量性、解析の精度などが重要視される。分析チップではそのサイズ、形態の点から厳しい制約があるため、シンプルな構成で、高い信頼性の送液システムを確立することが課題となる。そのため精度が高く、信頼性に優れるマイクロ流体制御素子が求められている。これに好適なマイクロポンプシステムを本発明者らはすでに提案している(特許文献1および2)。
マイクロリアクタ・チップを構成する材料として、ガラス、セラミックス、シリコン、プラスチック類、金属と材料の選択肢ははば広く、必要に応じて各種の材料を用いることができる。その場合、加工性、耐薬品性、耐熱性、廉価性などを満たすことが望まれる。このような要求すべてに応え得る、優れた材料はないために、チップの構造、用途、検出方法などから、チップ材料の適切な選択が求められる。例えば、半導体製造技術で培われたフォトリソグラフィー、エッチングといった加工技術が活かせるシリコンは、不透明で高価であるという難点がある。透明な耐熱性の材料であるガラスでは、生体物質が非特異的に吸着され、加工性が必ずしも良好でないという問題点がある。そこで複数の材料を適宜組み合わせたチップも作製されている。
また多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするチップに対しては、ディスポーサブルであることが望まれ、さらに多用途対応性、量産性などの問題を克服する必要がある。
マイクロリアクタでは、小さいプレートに微細な流路、流路エレメントが設けられることから、流体が微細空間内で円滑に流れ、分割され、混合し、反応することが効率よく行なわれるためには流体の特性、例えば粘度が適切な範囲に収められていることが必要である。これは検体の前処理段階で調整されることが望ましい。
このように簡便かつ迅速な検査手段を提供するマイクロリアクタには、実用上依然として解決すべき具体的な問題、要望が提起され、その解決が望まれている。
特開2001-322099号公報 特開2004-108285号公報 「DNAチップ技術とその応用」、「蛋白質 核酸 酵素」43巻、13号(1998年)君塚房夫、加藤郁之進、共立出版(株)発行
上記の実状に鑑みてなされた本発明は、加工性、廉価性に優れた材質であるプラスチック樹脂で作製され、前処理手段および廃液溜りを有するチップにより、高感度の分析を可能とする生体物質検査用マイクロリアクタを提案する。しかも感染および汚染の危険の少ない分析ツールとするために、そのマイクロリアクタは、ディスポーサルタイプとしている。さらに本発明はシンプルな構成と高精度の送液システムを組み込み、しかも精度の高い分析を少なくとも1以上の項目について可能とする生体物質検査デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも2つの基板で本体が構成されるチップタイプのマイクロリアクタであり、
溝形成基板と被覆基板を用いて、構造部としてマイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、
微細流路が該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタである。
前記基板が、好ましくはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート、硝酸セルロース、フルオロカーボン樹脂、ポリカーボネートまたはポリジメチルシロキサンである。
また前記溝形成基板は、ポリスチレン系樹脂であることが望ましい。
前記微細流路の内表面が好ましくはタンパク質でコーティングされる。
前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、検体を含む液体を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
前記マイクロポンプは、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプであることを特徴としている。
また前記送液分割手段は、
分岐した微細流路、
正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を
制御することを特徴としている。
検体の濃縮、洗浄および測定の結果、生じる廃液を貯留するための廃液貯留部を形成するために、前記溝形成基板の底部に作製された凹部を覆うように、底基板として基板をさらに貼り付けてなる生体物質検査用マイクロリアクタでもある。
前記微細流路内に流す液体の粘度が10mPa・s以下に調整されることが望ましい。
本発明は、検体に含まれる生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよびマイクロポンプの制御装置および温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な前記生体物質検査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイスである。
本発明の生体物質検査デバイスは、試薬類・送液系用のエレメントを搭載した、検体ごとのマイクロリアクタなるチップ・コンポーネント、デバイス本体である制御・検出コンポーネントとを別個にするシステム構成である。よって微量分析、増幅反応に対し、クロス・コンタミネーション、キャリーオーバー・コンタミネーションが生じにくい。
本発明マイクロリアクタのチップは加工性に優れた材質であるプラスチック樹脂で作製され、材料および構成要素を含めて大量生産に向く構成であり、しかも検出に使用するプローブ、試薬が容易に入手できるものであるために、低コストで製造できる。本発明の生体物質検査デバイスおよびマイクロリアクタは、多項目の同時測定も可能であり、かつ、多目的化に対応できる汎用性がある。
[発明の詳細な説明]
以下、本発明の生体物質検査用マイクロリアクタおよびこのマイクロリアクタとマイクロポンプ、各種制御装置、検出装置とからなる生体物質検査デバイスについて説明する。なお本明細書において、「基板」とは、マイクロアレイ、DNAチップのように0.1μm〜数mmスケールで微小な加工、修飾が施されている部材を意味する。「流路エレメント」とは、マイクロリアクタに設置される機能部品をいう。「微細流路」は、本発明のマイクロリアクタ基板上に形成された微小な溝状の流路のことである。「遺伝子」とは、何らかの機能を発現する遺伝情報を担うDNAまたはRNAをいうが、単に化学的実体であるDNA、RNAの形でいうこともある。分析対象の物質を「アナライト」ということもある。
本発明のマイクロリアクタには、各収容部、流路、ポンプ接続部、送液制御部、逆流防止部、試薬定量部、混合部、廃液貯留部などの各エレメントまたは構造部が、機能的に適当な位置に微細加工技術により配設されている。
チップの材料
図1および2に示したマイクロリアクタ1は、プラスチック樹脂、ガラス、シリコン、セラミックスなどの1以上の成形材料を適宜組み合わせて作製される一枚のチップである。本発明のチップの基本構造は、少なくとも2つの基板で本体が構成されるチップタイプのマイクロリアクタである。具体的なその構造は、溝形成基板および被覆基板なる基本的基板を用いて、構造部として、マイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、微細流路が少なくとも該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、あるいは少なくとも検出部を光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴としている。
後述するように検体を2以上の分析流路に流すように検体送液を分割し、その下流で試薬類と合流させる場合には、チップ内で高さの相違する微細流路を形成する必要がある(
図3)。かかる流路系を実現するには、中間基板の溝形成基板をさらに付加して3層の基板で流路系を形成することになる。図4に示す多層積層型チップはその一例であり、チップ底部にはさらに廃液貯留部が設けてある。
また、マイクロポンプの構造体の一部をチップに組み込む目的で、送液用アクチュエータモジュールとする基板を形成することも可能である。これを上記基板の上にさらに積層させて多層積層型チップとする。あるいは最上層基板である被覆基板を送液用アクチュエータモジュールとする基板とする態様としてもよい。このように多層積層型にする場合、各基板はそれぞれの機能、用途に応じた最適の材質を選択する必要がある。
チップの材料として、様々な成形材料が使用可能であり、個々の材料特性に応じて使用される。例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロカーボン樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系ポリマー、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどのポリアミド系ポリマー、環状シクロオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、酢酸セルロースやニトロセルロースのようなセルロース系ポリマー、各種の無機ガラス、シリコン、セラミックス、金属などが挙げられる。なかでもポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン系ポリマー、シリコン、ガラスなどが好ましい。もっとも本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
本発明のマイクロリアクタにおいて、その流路、流路エレメントおよび躯体は、チップを製造容易なディスポーサブルタイプとするために、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂で形成される。用いられるプラスチック樹脂は、好ましくは加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐熱性、廉価性などの特性が良好であることが望まれる。これらの材質特性を少しでも多く有するプラスチックを使用すれば、チップを構成する部材の種類は少なくなり、加工製造の工程も複雑化しない。
溝形成基板など流路を形成加工する基板では、吸水による流路の変形などが起こりにくく、微量の検体液が途中でロスすることなく送液されるように疎水性、溌水性のプラスチックが好ましい。このような材質には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、フルオロカーボン、飽和環状ポリオレフィンなどの樹脂が例示される。溝形成基板には、ポリスチレン系樹脂が好ましい。ポリスチレンが、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいからである。さらに、ポリスチレンは疎水性であり、後述するようにタンパク質を吸着する傾向が強い。この性質を利用して、微細流路上の下流地点に、ストレプトアビジンなどのビオチン結合性タンパク質を吸着させ、検出部位を容易に形成することができる。反面、ポリスチレンは、複屈折率が大きく、耐薬品性、耐熱性などについても配慮する必要がある。
ポリスチレンの耐熱性に関して、ポリスチレンの熱変形温度(18.5kg・f・cm-2)は70
〜100℃である。ICAN法によるDNA増幅において、55〜60℃の範囲内の一定温度で
行う限り問題はないと考えられる。あるいは、耐熱性がやや優れるメチルメタクリレート‐スチレン共重合体樹脂またはスチレン‐アクリルニトリル共重合体樹脂を用いてもよい。PCR法による増幅も含め、分析の都合により100℃近くに加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂に変更する必要がある。それにはポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂が
例示される。
アナライトの検出を行う反応を進行させるために、マイクロリアクタの流路の所定箇所または反応部位を所望する温度まで加熱することが多い。加熱領域において局所的に加熱する温度は、通常100℃程度までである。他方、高温では不安定になる検体、試薬類を冷却する必要に迫られることもある。チップ内のそうした局所的な温度の昇降を考慮して、適切な熱伝導率の材料を選択することが望ましい。加熱領域、これに隣接する非加熱領域の少なくとも一部は、その熱伝導率が10W/m・K以下の材質で形成することが望ましい。このような材質としては、樹脂材、ガラス材などを挙げることができ、熱伝導率が小さい材質でこれらの領域を形成することにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
蛍光物質または呈色反応の生成物などを光学的に検出するために、マイクロリアクタ表面のうち少なくとも微細流路の検出部位を覆うその検出部分は、光透過性である部材であることが必要である。したがって、光透過性の被覆基板は、透明な材料、アルカリ硝子、石英硝子、プラスチック類が使用可能である。特に透明プラスチックとして、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート、硝酸セルロース、フルオロカーボン樹脂、ポリカーボネート、またはポリジメチルシロキサンなどが好ましく用いられる。その被覆基板は、透明板として、該溝形成基板上の、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を覆う形態となるように、溝形成基板と接着されている。なお、そうした被覆基板が、チップ上面全体を覆う形態でも構わない。
透明性の他に、可撓性も要求される場合には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサンなどの材質が好ましい。また検出方法として蛍光を測定する場合、プラスチック基板自体の蛍光もノイズとして問題となる。このようなノイズを解消するプラスチック基板が提案された(特開2003-130874号公報)。あるいは直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂などの
低蛍光性プラスチックを用いてもよい。
基本流路エレメント
本発明のマイクロリアクタにおいては、溝形成基板と被覆基板を用いて、ポンプ接続部、弁基部および液溜部の構造部が形成される。複雑な微細加工を基板に施し、各種の流路エレメントを配設した複数の基板を組み合わせて作製する集積型チップでは、システムの複雑化、精度の低下、製造コストの上昇を招きやすい。本発明のマイクロリアクタでは、ディスポーサブルタイプとするために、チップの加工成形の単純化を図っている。
・ポンプ接続部
本発明の生体物質検査デバイスでは、マイクロリアクタの検体収容部、試薬収容部およびコントロール収容部のそれぞれについて、これらの収容部の内容液を送液するためにマイクロポンプが設けられている。本発明では、マイクロポンプとして好ましくはピエゾポンプを用いている(図5)。基本的には、マイクロポンプ本体であるポンプの送液作動部および駆動部は、マイクロリアクタとは別途の装置本体に組み込まれており、マイクロリアクタが装置本体に装着されると、マイクロポンプ接続部からマイクロリアクタに接続されるようになっている。このような構成において、マイクロリアクタの被覆基板上のポンプ接続部位置には、基板に嵌合する液密性接続部品が取り付けられ、これにより装置本体側ポンプからの送液を受ける導入口としてマイクロポンプ接続部が形成される。
別の態様としてマイクロリアクタの微細流路の途中に、マイクロポンプの送液作動部分
を設けてもよく、その振動板(図5、部品43)に本体側から駆動作用を受けて機能する態様も可能である。あるいは送液用アクチュエータモジュール用の基板を形成して、マイクロポンプ構造の一部をチップに組み込んでもよい。そうした基板に好適な材質は、可撓性および耐磨耗性に優れることが求められる。さらに成形加工性も良好であること望ましい。そのために硝子、プラスチック類が用いられる。このような態様では、マイクロポンプ接続部12は、マイクロポンプ・ポートとして、ポンプ吐出液を微細流路へ送り出すための出口となる。
・弁
本発明のマイクロリアクタには、その流路に、液体の逆流を防止する逆流防止部が多数設けられている。この逆流防止部は、逆流圧により弁体が流路開口部を閉止する逆止弁か、あるいは弁体変形手段により弁体を流路開口部へ押圧して該開口部を閉止する能動弁からなる。かかる流路エレメントである弁の弁基部は、上記基板(溝形成基板および被覆基板)、好ましくは可撓性のプラスチック基板により構成され、その補完部品を結合させることにより、弁機構が形成される。
図6は、逆止弁の一例を示した断面図である。弁基部が、溝形成基板61および被覆基板66であり、これに対する補完部品が、中間基板62、微小球67、可撓性基板69である。図6(a)の逆止弁では、微小球67を弁体として、中間基板62に形成した開口68をこの微小球67の移動により開閉することによって、液体の通過を許容および遮断している。すなわち、A方向から液体が送液される際には、液圧によって微小球67が基板62から離反して開口68が開放されるので、液体の通過が許容される。一方、B方向から液体が逆流した場合には、微小球67が基板62に着座して開口68が閉止されるので、液体の通過が遮断される。
図6(b)の逆止弁では、中間基板62上に積層され、その端部が開口68の上側に延び出した可撓性基板69が、液圧により開口68の上側を上下動することにより開口68を開閉している。すなわち、A方向から液体が送液される際には、液圧によって可撓性基板69の端部が基板62から離反して開口68が開放されるので、液体の通過が許容される。一方、B方向から液体が逆流した場合には、可撓性基板69が該基板62に密着して開口68が閉止されるので、液体の通過が遮断される。
図7は、本実施形態のマイクロリアクタの流路に使用される能動弁の一例を示した断面図であり、図7(a)は開弁状態を、図7(b)は閉弁状態を示す。この能動弁では、弁基部が、溝形成基板61および可撓性の被覆基板63であり、これに対する補完部品が、中間基板62である。可撓性の被覆基板63は、下方に突出した弁部64を有し、かつ開口65を形成する中間基板62の上に積層されている。
閉弁時には、図(b)に示したように、可撓性の被覆基板63を上側から空気圧、油圧、水圧ピストンや圧電アクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータなどの弁体変形手段により押圧することによって、弁部64を中間基板62に対して開口65を覆うように密着させ、これによりB方向への逆流を遮断するようにしている。また、能動弁は外部の駆動装置により作動するものに限らず、弁体が自ら変形して流路を塞ぐ構成でもよい。
・液溜部
本マイクロリアクタにおいて、液溜部には、検体収容部、試薬収容部、コントロール収容部、プローブ収容部、廃液貯留部などが含まれる(図2)。これらの液溜部以外にも、液体の効率的な混合のために必要に応じて流路途中に混合用の液溜が設けられることもある(図8)。
液溜部は、それぞれ溝形成基板の所定の位置に必要な大きさの「くぼみ」が形成され、微細流路と通じるようにされ、被覆基板が覆われて、かかる構造部が形成される。そのよ
うなくぼみとして、例えばサイズが直径100〜500μm、深さ100〜500μmである凹状構造が、廃液貯留部を除く液溜部用に形成される。液溜部は必要であれば生体物質、特にタンパク質の非特異的な吸着を防止すためのコーティングを施してもよい。
・微細流路
本マイクロリアクタの微細流路は、基板上に目的に応じて予め設計された流路配置に従って、形成される(図2)。微細流路は、例えば幅数十〜数百μm、好ましくは50〜100
μm、深さ25〜200μm程度、好ましくは50〜100μmに形成される。流路幅が50μm未満であると、流路抵抗が増大し、送液および検出上不都合である。幅500μmを超える
流路ではマイクロスケール空間の利点が薄まる。その形成方法は、従来の微細加工技術による。典型的にはフォトリソグラフィ技術による感光性樹脂による微細構造の転写が好適であり、その転写構造を利用して、不要部分の除去、必要部分の付加、形状の転写が行われる。チップの構成要素を型どるパターンをフォトリソグラフィ技術により作製し、このパターンを樹脂に転写成形する。したがって、マイクロリアクタの微細流路を形成する基本的基板の材料は、サブミクロンの構造も正確に転写でき、機械的特性の良好なプラスチックが好ましく用いられる。ポリスチレン、ポリジメチルシロキサンなどは形状転写性に優れる。必要であれば射出成形、押し出し成形などによる加工も使用してもよい。
微細空間では、毛細管力、流路抵抗の影響により、流体の粘性は上昇する。このような状況で微細流路内を流れる流体の流路抵抗に流路の材質もまた影響する。したがって親水性よりも疎水性の流路壁の方が、水性流体との相互作用は少ないために流路抵抗の上昇を招かない。加えて、流体の流れを止めたり、緩めたりなどする流体運動の制御に好都合である。そこで微細流路を形成する基板に、溌水性のプラスチック樹脂を使用すれば、流路内を特に撥水コーティングは必要ない。特に必要であれば、フッ素系ポリマー材料のコーティングを施してもよい(例えば特開2004-75780号公報)。反面、疎水性のプラスチック樹脂を使用すると、試薬中の酵素などが流路の底面もしくは側面に吸着されてしまい、反応部位へ到達する前に著しいロスが生じる。あるいは検体由来の夾雑物タンパク質が吸着されて微細流路に残留して層流を乱すか、流路を狭くする可能性がある。このようなタンパク質、DNAなどの非特異的吸着を防止するためには、BSA(牛血清アルブミン)などのタンパク質またはリン脂質ポリマーで予め微細流路の内表面をコーティングしてもよい。特にポリスチレンは疎水性であり、タンパク質を吸着する傾向が強い。その性質を利用して微細流路上の下流地点に、ストレプトアビジンなどのビオチン結合性タンパク質を吸着させて検出部位を形成する際には、検出部位に至るまでの流路内について予め上記ブロッキング剤でコーティングを施しておくことが望ましい。
マイクロリアクタおよび生体物質検査デバイスの概要
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタは、検体収容部、試薬収容部、検体前処理部、廃液貯留部、マイクロポンプ・ポートおよび微細流路を有しており、
該微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、濃縮後の前記検体液を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流に設けられた、反応部位を構成する流路、次いで検出部位で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴としている。
図1は、装置本体に脱着可能な生体物質検査用マイクロリアクタと装置本体とからなる生体物質検査デバイス(「生体物質検査装置」ともいう)の一実施形態における概略図、図2は、本発明の一実施形態における前記マイクロリアクタの概略図である。本発明は、種々の実施の形態において、本発明の趣旨に沿って任意の変形、変更が可能であり、それらは本発明に含まれる。すなわち、本発明のマイクロリアクタおよび検査装置の全体また
は一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
図2は、本発明のマイクロリアクタの典型的な流路構成の一例を示すものである。図2の流路および送液エレメントの配置では、最上流部の試薬収容部18および試薬分割への流路15から、基本的に3本の分析流路(3つの流路に分岐してからそれぞれ廃液貯留部23まで至る流路であり、このような基本的微細流路を、以下において「分析流路」ともいう)へ試薬が流れるように構成されている。左側の分析流路は、検体の分析のための流路であり、図2では1項目の分析に対応する。中央の分析流路は、ポジティブコントロール用の流路、右側の分析流路は、ネガティブコントロール用の流路である。図2では、検体分析用の流路は1本となっているが、多項目分析のためには、少なくとも2本以上の分析流路が検体分析用に形成される必要がある。その本数は、分析の項目数のみならずチップのサイズ、布置されるエレメントの個数と配置によっても制限される。
本発明の生体物質検査デバイスは、マイクロポンプ、マイクロポンプを制御する制御装置、温度を制御する温度制御装置および検出装置などが一体化された装置本体2と、この装置本体2に装着可能なマイクロリアクタ1とからなる。予め試薬が封入されたマイクロリアクタ1の検体収容部に検体液を注入して、そのマイクロリアクタを生体物質検査デバイスの本体2に装着すると、送液ポンプを作動させるための機構的連結、必要であれば制御用の電気的接続もなされる。したがって本体とこの上記マイクロリアクタとを接合させると、マイクロリアクタの流路も作動状態となる。好ましくは生体物質の測定が開始されると、検体および試薬類の送液、混合に基づく遺伝子増幅、アナライトとプローブとの結合などの反応、反応物の検出および光学的測定が、一連の連続的工程として自動的に実施され、測定データが、必要な条件、記録事項とともにファイル内に格納され、生体物質の測定が自動的に行われる。
前記検出装置とは、検査項目ごとの分析流路上の検出部位に対して、例えばLEDなどから測定光を照射し、フォトダイオード、光電子増倍管などの光学的検出の手段で透過光もしくは反射光を検出する装置である。光学的検出の手段として、原理を異にする各種の光学装置があるが、紫外・可視分光光度計が望ましい。上記検査デバイスに組み込んだ装置であってもよく、あるいは別途の装置として、使用時に連結する態様であってもよい。好ましくは、本発明の生体物質検査デバイスは、検体に含有されている生体物質の検出を光学的に行う検出装置が、上記マイクロポンプを含む送液手段およびマイクロポンプの制御装置および温度制御装置とともに組み込まれ、一体化した構成となっている。
送液、温度、反応の各制御に関わる制御系、光学的検出、データの収集および処理を受け持つユニットは、マイクロポンプおよび光学装置とともに本発明の生体物質検査デバイスの本体を構成する。このデバイス本体は、これに上記チップを装着することにより検体サンプルに対して共通で使用される。上記の増幅などの反応および検出は、送液順序、容量、タイミングなどについて予め設定された条件として、マイクロポンプおよび温度の制御、光学的検出のデータ処理とともにプログラムとして生体物質検査デバイスに搭載されたソフトウェアに組みこまれている。従来の分析チップでは、異なる分析または合成などを行う場合には、変更される内容に対応するマイクロ流体デバイスをその都度構成する必要があった。これとは異なり、本発明では脱着可能な上記チップのみ交換すればよい。各エレメントの制御変更も必要となる場合には、装置本体に格納された制御プログラムを適宜改変すればよい。
本発明の生体物質検査デバイスは、いずれのコンポーネントも小型化され、持ち運びに便利な形態としているために、使用する場所および時間に制約されず、作業性、操作性が良好である。場所、時間を問わず迅速に測定することができるために、緊急医療での利用
や、在宅医療での個人的な利用も可能である。送液に使用する多数のマイクロポンプユニットが装置本体側に組み込まれているので、チップはディスポーサブルタイプとして使用できる。
血液などの検体をマイクロリアクタの検体収容部に注入してチップ内で検体前処理を行った後に、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、所定の反応(例えば、遺伝子検査の場合には遺伝子増幅反応)およびその検出に必要な処理を自動的に行い、多項目について同時に、かつ短時間でアナライトの検査ができるように構成される。あるいは装置本体に該マイクロリアクタを装着した後に、検体前処理を行う手順であってもよい。
本発明のマイクロリアクタおよび生体物質検査デバイスは、特に遺伝子または核酸の検査に好適に用いることができる。以下の明細書では、これらを遺伝子検査の場合を例に挙げながら述べる。その場合、PCR増幅のための機構がマイクロリアクタ上に搭載される。しかし、遺伝子以外の生体物質についても基本的な構成は、ほぼ同一になるといえる。通常は検体前処理部、試薬類、プローブ類などを変更すればよく、その場合、送液エレメントの配置、数などは変化するであろう。当業者であれば、例えばイムノアッセイ法のために必要な試薬類などをマイクロリアクタ上に搭載し、若干の流路エレメントの変更、仕様の変更を含む修正を施すことにより、分析の種類を容易に変更することができる。ここにいう遺伝子以外の生体物質とは、各種の代謝物質、ホルモン、タンパク質(酵素、抗原なども含む)などをいう。
・検体収容部
本発明のマイクロリアクタの検体収容部20は、図3および図9に示されるような構成を有する。検体収容部20は、検体注入部に連通し検体の一時収容および混合部への検体供給を行う。検体収容部20に注入された検体は、マイクロポンプ11およびポンプ接続部12と接続しており、これらの作用により、検体前処理部20aへ送液される。検体前
処理部20aでは、検体処理液収容部20bから送られてくる処理液で前処理される。こ
のような検体前処理部20aは必要に応じて布置されるものである。好ましい検体前処理
として、分析対象物質(アナライト)の分離または濃縮、除タンパクなどが含まれる。したがって検体前処理部20aは、分離フィルター、吸着用樹脂、ビーズなどを含んでもよ
い。
次いで、前処理された検体は、必要であれば上記の送液分割手段により、2以上の検体分析用の微細流路に分割されて、連通する下流の分析流路へ送液される。分割された検体は、図3および9に示すサンプルポート19から、試薬類が流れる微細流路へ入って合流する。この場合、検体を2以上の分析流路に流すように送液を分割して試薬類と合流させるためには、検体が流れ出るポートと合流される分析流路とは、高さを相違させ、ある位置で交差させる必要が生じる。このような位置関係となる理由は次の通りである。
図3に示す、検体収容部20、検体前処理部20aなどのエレメント類は、好ましくは
、図2に示されるように検体分析のための分析流路(左側の微細流路)上、試薬収容部18よりも下流側の位置に配置される。すなわち、図2において、検体の測定項目が、1つの場合には、図示されるように、検体収容部20および検体貯留部17bが1つあればよい。これに対し、2以上の測定項目がある場合には、上記のように検体を項目数に応じて分割し、それぞれの分析流路へ送り出す必要がある。そのため、上記エレメント類は、複数の分析流路上の適当な位置(直上でなくともよい)に配置される。その位置関係は、例えば図3にも示されている。検体と試薬とが合流する前に、ポート19からの検体が流れる流路は、試薬の流れる流路と上下で交差しなければならない。なお、図示されるように、特に検体前処理部20aをも設置するときには、不要な液を廃液貯留部23に捨てるた
め、検体前処理部20aを検体収容部20より下位に置くほうが好都合である。
なお、検体収容部の上面で検体を注入する部分(検体注入部)は、外部への漏失、感染および汚染を防ぎ、密封性を確保するために、ゴム状材質などの弾性体からなる栓が、被覆基板上に形成されているか、あるいはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの樹脂、強化フィルムで覆われていることが望ましい。例えば、当該ゴム材質の栓を突き刺したニードルまたは蓋付き細孔を通したニードルでシリンジ内の検体を注入する。前者の場合、ニードルを抜くとその針穴が直ちに塞がることが好ましい。あるいは他の検体注入機構を設置してもよい。
さらに、例えばDNAを抽出する際、AGPC法が一般的である。検体収容部、検体前処理部を形成する部材は、有機溶媒、酸などに耐え得る材質であることが望ましい。
・検体
本発明の測定対象となる検体は、生体由来のアナライト含有試料である。試料自体にも特に制限はないが、例えば全血、血漿、血清、バフィーコート、尿、糞便、唾液、喀痰など生体由来のほとんどの試料が該当する。遺伝子検査の場合、増幅反応の鋳型となる核酸として遺伝子、DNAまたはRNAがアナライトである。検体は、このような核酸を含む可能性のある試料から調製または単離したものであってよい。したがって、上記の試料の他に、細胞培養物;ウィルス、細菌、カビ、酵母、植物、動物などの核酸含有試料;微生物などが混入または含有する可能性のある試料、その他核酸が含有されている可能性のあるあらゆる試料などが対象となる。そのような試料から遺伝子、DNAまたはRNAを調製する方法は、特に限定されず、従来技術を使用することができる。
本発明のマイクロリアクタは、従来の装置を使用して行う手作業の場合に比べて、必要とされる検体量は極めて少ない。例えば、縦横の長さが数cmのチップに2〜3μL程度
の血液検体を注入するだけである。例えば、遺伝子の場合、DNAとして0.001〜100ngである。
・検体前処理部
一般に、血液、尿などの生体試料は、試料に含まれる不要成分(タンパク質やイオン性物質など)を除去するために、分析に先立って検体の前処理が必要とすることが通例である。前処理法は検体の種類や使用する分析法によっても異なるが、通例、繁用される生体試料用の前処理には、細胞破壊(溶菌または溶血処理)もしくは可溶化、抽出、除タンパク、濃縮、吸着・脱着、洗浄、透析(脱塩)、ろ過、加水分解もしくは誘導体化などの処理が行われている。例えば微細流路の目詰まりを防止するため、不溶性の夾雑物を除去する必要がある。検出に先立ち、予め目的物質を濃縮、分離することも望ましい。検体によっては、検出対象の物質濃度が極めて希薄である。そうした場合、マイクロリアクタに導入できる検体量(数cm四方のチップで、数μL)も限られていることから、そのままで
は測定可能な範囲内に収まらない。したがって、目的物質の予備的な濃縮または分離の操作が必要となってくる。さらに検体液が粘稠である場合には、本マイクロリアクタにおける微細流路を層流として円滑に送液されるように、粘度または界面張力の調整のために必要に応じて希釈なども行ってもよい。微細流路内に流す液体の粘度(オストワルド法で測定した場合)は37℃で、15mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下に調整されることが望ましい。
そうした検体の前処理もまた、分析・検出を行う同一のチップにおいて安全に実施でき、測定可能である検体を迅速かつ自動的に調製できれば、このような態様でチップ化することの意義は極めて大きい。
前処理法は、通常、試料の種類、目的物質の種類・存在濃度、妨害物質の有無などによって、ケースバイケースとなる。そこで本発明のマイクロリアクタでは、検体および分析の点から必要に応じた前処理を実施するための前処理部20aを設けている。これに連通
する検体処理液収容部20bには、溶菌試薬、溶血試薬、抽出液、変性液、洗浄液、溶離液などが前処理の内容に応じて封入されている。
・前処理手段
本発明のマイクロリアクタにおいて、前記前処理手段は、生体物質または細菌もしくはウィルスを選択的に吸着する担体として特にその形態を限定しないが、具体的にはフィルター、ビーズ、アガロースといったゲルまたはメンブレンであることを特徴としている。目的に応じて、複数のフィルターまたは上記担体の組合せであってもよい。入手、使いやすさなどから、フィルターが好適であり、これを積層させた前処理手段が好ましい。
前記生体物質を吸着するフィルターとして、DNAをトラップするフィルターが挙げられ
る。DNAをトラップするフィルターとは、例えばある条件下でDNA分子を特異的に吸着するフィルターであってもよい。フィルターのメッシュは、ウィルス、細菌などのサイズなどを考慮する。フィルターの形態、フィルター層の厚さなども目的に応じて適切に設定する。例えば、最初に不溶性物質、塵などを濾過除去し、その後に所定の処理を行うために、サイズを変えた2種以上のフィルターを併用してもよい。フィルターの形状として、層状
に積載した形態、粒子を充填した形態、樹脂の層、中空糸の集合形態など任意である。
・廃液貯留部
本発明のマイクロリアクタは、検体の濃縮および測定の結果、生じる廃液を閉じ込めるための廃液貯留部23を有しており、溝形成基板の底部に作製された凹部を覆うように、底基板として基板をさらに貼り付けて廃液貯留部が形成される(図4)。すなわち、廃液貯留部は、マイクロリアクタの底部に設けられ、余分な検体、検体の分離・濃縮工程で生成した洗浄液、廃液、ならびに検体の反応、測定の結果、生じる廃液などをすべて収容する密閉された廃液溜りである。そのような廃液は、マイクロリアクタ外に排出させて処理するよりも、自動的に内部に貯留する方が煩わしくない。好ましくは、少なくとも上記検体前処理部、流路の反応部部位、検出部位の端部などとも通じるとともに必要な容量を有する密封構造、すなわち廃液を生じる各部位と通じる貫通孔が形成されている空洞であればよい。廃液貯留部23は、1つの中空室でもよく、複数の区画に分けられた多区画空洞の形態であってもよい。その容積、形状などは、特に限定されない。なお廃液貯留部を構成する基材は、有機溶媒、酸などに耐える材質であることが望ましい。
・試薬収容部
本発明の生体物質検査用マイクロリアクタでは、必要な試薬類があらかじめ所定の量、マイクロリアクタ内の試薬収容部18に封入されている。本発明のマイクロリアクタは使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即使用可能の状態になっている。好ましい実施形態では、試薬収容部の上流側にマイクロポンプが接続され、マイクロポンプにより駆動液を試薬収容部側へ供給することにより、試薬を流路へ押し出して送液する。
検体中の生体物質を分析する場合、測定に必要な試薬類は、通常それぞれ公知である。例えば、検体に存在する抗原を分析する場合、それに対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬が使用される。抗体は、好ましくはビオチンおよびFITCで標識されている。遺伝子検査用の試薬類には、遺伝子増幅に用いられる各種試薬、検出に使用されるプローブ類、発色試薬とともに、必要であれば前記の検体前処理に使用する前処理試薬も含めてもよい。
・マイクロポンプおよびポンプ接続部
本実施形態では、検体収容部20、試薬収容部18、ポジティブコントロール収容部21h、およびネガティブコントロール収容部21iのそれぞれについて、これらの収容部
内容液を送液するマイクロポンプ11が設けられている。マイクロポンプ11は試薬収容部18の上流側に接続され、マイクロポンプ11により駆動液を試薬収容部側へ供給することによって、試薬を流路へ押し出して送液している。マイクロポンプユニットは、マイクロリアクタとは別途の装置本体(生体物質検査デバイス)に組み込まれており、マイクロリアクタを装置本体に装着することによって、ポンプ接続部12からマイクロリアクタ
に接続されるようになっている。
本実施形態では、マイクロポンプとしてピエゾポンプを用いている(図5)。すなわち、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
を備えたピエゾポンプである。その詳細は、上記特許文献1および2に記載されている。
・送液分割手段
本発明において、1つの検体について多項目の分析を行う場合ならびにポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを同時に分析する場合には、試薬類および検体を2以上に分割して、それぞれの分析流路へ送り出す必要がある。送液分割手段はそのために設置される。具体的には図2および図8に示すように、送液分割手段は、分岐した微細流路、送液制御部13および逆流防止部16から構成される。
送液制御部13は、正方向への送液圧力が所定圧に達するまで液体の通過を遮断し、所定圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する。また流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部16は、逆流圧により弁体が流路開口部を閉止する逆止弁か、あるいは弁体変形手段により弁体を流路開口部へ押圧して該開口部を閉止する能動弁からなる。
本発明のマイクロリアクタの微細流路においては、前記マイクロポンプ、そのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部と、流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部とによって、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合が制御されている。かかる送液分割手段およびマイクロポンプ11の働きにより、試薬類および検体は適当な比率で分割される。
・反応部位
測定対象である生体物質(アナライト)を含む検体の溶液と、試薬(混合液)とを合流させる合流部の上流側の各流路に、前記検体が収容される検体収容部と、前記試薬液体が収容される試薬収容部とが設けられるとともに、これらの各収容部の上流側にポンプ接続部が設けられ、これらのポンプ接続部に前記マイクロポンプを接続し、各マイクロポンプから駆動液を供給することにより前記各収容部内の前記検体の溶液および前記試薬を押し出してこれらを合流させることによって、遺伝子増幅反応、アナライトのトラップまたは抗原抗体反応といった分析に必要な反応を開始するように構成されている。試薬と試薬との混合、および検体と試薬との混合は、単一の混合部で所望の比率で混合してもよく、あるいは何れかもしくは両方を分割して複数の合流部を設け、最終的に所望の混合比率となるように混合しても構わない。そうした反応部位の態様は特に限定されるものではなく、様々な形態および様式が考えられる。例えば、ビーズをマイクロリアクタと組み合わせることによって、検出用物質をビーズに固定化すると、反応をおこなうための表面積を格段に増加することができる。この特長を活かした研究として、ビーズ上にDNAプローブを固
定化してマイクロリアクタ・チップの微細流路上に導入し、ハイブリダイゼーションを行うもの、マイクロリアクタの反応部位内にビーズを導入して抗原抗体反応を行うことにより、免疫検査を飛躍的に高速化したものなどが報告されている。
基本的には
反応試薬を含む少なくとも2種類の液体を、マイクロポンプにより送液して合流させる合流部と、
前記合流部から先に設けられ、前記各液体が拡散混合される微細流路と、
前記微細流路の下流側端部から先に設けられ、該微細流路よりも広幅の空間と
からなり、該微細流路で拡散混合された混合液を貯留して反応を行う液溜部とを備えることが好ましい。
・遺伝子増幅法
本発明のマイクロリアクタを使用する遺伝子検査では、増幅方法を限定されない。例えばDNA増幅技術は、多方面で盛んに利用されているPCR増幅法を使用することができる。その増幅技術を実施するための諸条件が詳細に検討され、改良点も含めて各種文献などに記載されている。
PCRの改良として最近開発されたICAN(Isothermal chimera primer initiated nucleic acid amplification )法は、50〜65℃における任意の一定温度の下にDN
A増幅を短時間で実施できる特徴を有する(特許第3433929号)。したがって、ICAN
法は、本発明のマイクロリアクタでは、簡便な温度管理で済むために好適な増幅技術である。
・検出部位
本発明のマイクロリアクタでは、微細流路の反応部位よりも下流上に、アナライト、例えば増幅された遺伝子を検出するための検出部位が設けられている。少なくともその検出部分は、光学的測定を可能とするために透明な材質、好ましくは透明なプラスチックとなっている。さらに微細流路上の検出部位に吸着されたビオチン親和性タンパク質(アビジン、ストレプトアビジン、エクストラアビジン(R)、好ましくはストレプトアビジン)は、プローブ物質に標識されたビオチン、または遺伝子増幅反応に使用されるプライマーの5'末端に標識されたビオチンと特異的に結合する。これにより、ビオチンで標識され
たプローブまたは増幅された遺伝子が本検出部位でトラップされる。
分離されたアナライトまたは増幅された目的遺伝子のDNAを検出する方法は特に限定されないが、好ましい態様として基本的には以下の工程で行なわれる。すなわち上記マイクロリアクタを用い、
(1a)検体もしくは検体から抽出したDNA、あるいは検体もしくは検体から抽出した
RNAから逆転写反応により合成したcDNAと、5'位置でビオチン修飾したプライマ
ーとを、これらの収容部から下流の微細流路へ送液する。反応部位の微細流路内で、遺伝子を増幅する工程、微細流路内で増幅された遺伝子を含む増幅反応液と変性液とを混合し、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理する工程、増幅された遺伝子を一本鎖に変性処理した処理液を、ビオチン親和性タンパク質を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、前記増幅遺伝子をトラップする工程を経て、増幅遺伝子をトラップした微細流路内の検出部位に、末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したプローブDNAを流し、これを固定化した遺伝子にハイブリダイズさせる。(予め増幅遺伝子と蛍光標識したプローブDNAとをハイブリダイズさせたものを検出部位でトラップしもよい。)
(1b)検体に存在する抗原、代謝物質、ホルモンなどのアナライトに対する特異的な抗
体、好ましくはモノクローナル抗体を含有する試薬を検体と混合する。その場合、抗体は、ビオチンおよびFITCで標識されている。したがって抗原抗体反応により得られる生成物は、ビオチンおよびFITCを有する。これをビオチン親和性タンパク質(好ましくはストレプトアビジン)を吸着させた微細流路内の検出部位に送液し、ビオチン親和性タンパク質とビオチンとの結合を介して該検出部位に固定化する。
(2)上記微細流路内にFITCに特異的に結合する抗FITC抗体で表面を修飾した金コロイド液を流し、これにより固定化したアナライト・抗体反応物のFITCに、あるいは遺伝子にハイブリダイズしたFITC修飾プローブに、その金コロイドを吸着させる。(3)上記微細流路の金コロイドの濃度を光学的に測定する。
ポリスチレン基板に形成された微細流路内にストレプトアビジンを固定化する際、特別な化学的処置を行うことは必要としない。単にビオチン親和性タンパク質を増幅反応部位よりも下流の微細流路上に適用して該流路上にビオチン親和性タンパク質を吸着させるだ
けでよい。プローブは、アナライトに結合させるものであり、測定対象がタンパク質アナライトでは、検出用の蛍光標識であるFITCを上記ビオチンとともに結合している特異的な抗体が相当する。また、遺伝子検査用のプローブDNAとして、蛍光標識されたオリゴデオキシヌクレオチドが好ましく用いられる。そのDNA塩基配列は、検出目的の遺伝子塩基配列の一部分と相補的である配列が選択される。プローブDNAの塩基配列を適切に選択することにより、目的の遺伝子に特異的に結合し、共存するDNA、バックグラウンドに影響されることなく高感度の検出が可能となる。
プローブを標識する蛍光色素として、公知のFITC、RITC、NBD、Cy3、Cy5などの蛍光物質などを用いることができる。特にFITCが、抗FITC抗体、例えば金コロイド抗FITC抗マウスIgGを入手できることから望ましい。蛍光色素の代わりにジゴキシゲニン(DIG)をプローブDNAに標識させてもよい。この場合、抗DIG−アルカリホスファターゼ標識抗体を抗FITC抗体の代替として用いる。
蛍光色素FITCの蛍光を測定することも可能であるが、蛍光色素の光褪色、バックグラウンドノイズなどを考慮する必要がある。最終的に可視光により、高感度で測定できる方式が好ましい。可視光の吸光分析が優れるのは、蛍光測光よりも機器が汎用的であり、妨害因子が少なくデータ処理も容易であるためである。金コロイド抗FITC抗マウスIgGを用いた金コロイドの光学検出を利用するかわりに、上記蛍光色素の代わりに上記プローブを西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)で標識してもよい。検出にはこの酵素が触媒する発色反応を利用することもできる。そのための典型的な発色物質として、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3'−ジアミノベンジジン(DAB)、p−フェニレン
ジアミン(OPD)などが知られている。他にアルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼな
どの酵素・発色系も使用できる。
コントロールの測定
生体物質の分析では、通例、分析にネガティブコントロールを加え、検体の分析と並行して行われる。コンタミネーション、例えば試薬等に混在する物質の発色、蛍光などの補正に必須であるためである。さらに分析結果の信頼性を増すためには、分析クォリティ管理用にポジティブコントロールも加えることも必要である。添加する試薬等における妨害因子の検出、設定した条件の適切性、非特異的な相互作用などの検証に有用である。同様にインターナルコントロールを加えることも往々必要とされ、特に定量分析には有用である。
ポジティブコントロール、インターナルコントロールを同時に行うことは、特にPCR法による遺伝子増幅、抗原抗体反応では重要である。PCR反応、抗原抗体反応が正しく起きていることのチェックも特に必要とされるためである。例えば何らかの問題が生じた場合、それが設定条件、試薬類、操作、分析系に由来するか、あるいは検体に由来するかの検証に最適である。とりわけPCR法は検体中に存在する微量の遺伝子を数十万〜数百万倍以上にも増幅できることから、クロス・コンタミネーションといった汚染による影響は著しく深刻である。
偽陽性および偽陰性の判定に有用なこれらのコントロールの設定は、従来の分析技術の慣行に従う。本発明のマイクロリアクタの流路構成によれば、検体とは別個の分析流路において、同一試薬、同一条件のもとで、同時進行で行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施態様の一例として示された図面を参照しながら、遺伝子検査を主たる例として説明したが、本発明は、かかる態様および例に限定されるものではない。
本発明の生体物質検査デバイスは、遺伝子の種々の解析、臨床検査・診断、医薬スクリ
ーニング、医薬、農薬あるいは各種化学物質の安全性・毒性の検査、環境分析、食品検査、法医学、化学、醸造、漁業、畜産、農産製造、農林業等で利用可能である。
図1は、マイクロリアクタと装置本体とからなる生体物質検査デバイスの概略図である。 図2は、本発明の一実施形態における生体物質検査用マイクロリアクタの概略図である。 図3は、マイクロリアクタの一部の断面図である。試薬収容部からの流路、図4の検体前処理部20a、サンプルポート19からの合流の位置関係を示している。なお点線で表示したエレメントは、実線のエレメントとは同一断面の位置にはないことを示す。また、検体処理液収容部20bはこの図には示されていない。 基板4枚からなるマイクロリアクタの、微細流路と直交する位置における断面図を示す。 図5(a)は、ピエゾポンプの一例を示した断面図、図5(b)は、その上面図である。図5(c)は、ピエゾポンプの他の例を示した断面図である。 図6(a)、(b)は、流路中に設けられる逆止弁の一例を示した断面図である。 図7は、流路中に設けられる能動弁の一例を示した断面図であり、(a)は開弁状態を、(b)は閉弁状態を示す。 図8は、本発明の一実施形態におけるマイクロリアクタの試薬混合部および試薬分割の構成を示した図である。 図9は、検体収容部20、検体前処理部20a及び検体分割を示した図である。
符号の説明
1 マイクロリアクタ
2 装置本体
11 マイクロポンプ
12 ポンプ接続部
13 送液制御部
14a 被覆基板
14b 溝形成基板
15 流路
16 逆流防止部
17a 試薬貯留部
17b 検体貯留部
18 試薬収容部
19 サンプルポート
20 検体収容部
20a 検体前処理部
20b 検体処理液収容部
21a 停止液収容部
21b 変性液収容部
21c ハイブリダイゼーションバッファー収容部
21d 洗浄液収容部
21e 金コロイド収容部
21f プローブDNA収容部
21g インターナルコントロール用プローブDNA収容部
21h ポジティブコントロール収容部
21i ネガティブコントロール収容部
22 ストレプトアジビン吸着部
23 廃液貯留部
31 チップ
41 上側基板
42 基板
43 振動板
44 圧電素子
45 加圧室
46 第1流路
47 第2流路
48 第1液室
49 第2液室
61 溝形成基板
62 中間基板
63 可撓性被覆基板
64 弁部
65 開口
66 被覆基板
67 微小球
68 開口
69 可撓性基板
71 基板
72 ポート
73 ポート

Claims (10)

  1. 少なくとも2つの基板で本体が構成されるチップタイプのマイクロリアクタであり、
    溝形成基板と被覆基板を用いて、構造部としてマイクロポンプ・ポート、弁基部および液溜部を形成するとともに、
    微細流路が該溝形成基板上に形成されており、該溝形成基板における、少なくともこれらの構造部、該微細流路および検出部を、光透過性の被覆基板を密着させて覆うことを特徴とする生体物質検査用マイクロリアクタ。
  2. 前記基板が、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート、硝酸セルロース、フルオロカーボン樹脂、ポリカーボネートまたはポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  3. 前記溝形成基板が、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  4. 前記微細流路の内表面が、タンパク質でコーティングされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  5. 前記微細流路は少なくとも2以上に分岐した微細流路であって、マイクロポンプおよび送液分割手段により、検体を含む液体を分岐した該微細流路中の下流へ送液し、および/または封入した試薬またはその混合液を、マイクロポンプおよび送液分割手段により分岐した該微細流路の下流へ送液し、分岐した微細流路のそれぞれの下流で、検体の多項目、および/またはコントロールについて同時測定することができることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  6. 前記マイクロポンプは、
    流路抵抗が差圧に応じて変化する第一流路と、
    差圧の変化に対する流路抵抗の変化の割合が該第一流路よりも小さい第二流路と、
    該第一流路および該第二流路に接続された加圧室と、
    該加圧室の内部の圧力を変化させるためのアクチュエータと
    を備えたピエゾポンプであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生体物質
    検査用マイクロリアクタ。
  7. 前記送液分割手段が、
    分岐した微細流路、
    正方向への送液圧力が予め設定された圧に達するまで液体の通過を遮断し、予め設定された圧以上の送液圧力を加えることにより液体の通過を許容する、前記マイクロポンプのポンプ圧により液体の通過を制御可能な送液制御部、および
    流路内の液体の逆流を防止する逆流防止部
    から構成され、分岐した流路内における液体の送液、送液量の定量および各液体の混合を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリア
    クタ。
  8. 検体の濃縮、洗浄および測定の結果、生じる廃液を貯留するための廃液貯留部を形成するために、前記溝形成基板の底部に作製された凹部を覆うように、底基板として基板をさ
    らに貼り付けてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  9. 前記微細流路内に流す液体の粘度が10mPa・s以下に調整されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の生体物質検査用マイクロリアクタ。
  10. 検体に含まれる生体物質の検出を光学的に行う検出装置とともにマイクロポンプおよびマイクロポンプの制御装置および温度の制御装置が一体化された装置本体と、この装置本体に装着可能な生体物質検査用マイクロリアクタとからなり、装置本体に該マイクロリアクタを装着することにより、生体物質の測定を自動的に行うことを特徴とする生体物質検査デバイス。
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