JP3963968B2 - シーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体 - Google Patents

シーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、通気性及び吸水率が低く、且つ発泡体中に配合される疎水性のエステルが、被着体等との界面に適度に浸出し、両者の密着性が高められるため、優れた止水性をも併せ持ち、総合的な防水性能が安定して維持されるシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体に関する。本発明のシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体は、シーリング材又はコーキング材などとして使用できる。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材、コーキング材等として使用されるポリウレタンフォーム等の樹脂発泡体には、従来より防水性が付与されており、そのための方法としては、
(1) フォームのセル径を小さくし、同一密度であっても表面積を大きくして通気性を低くし、その結果、防水性を向上させる、
(2) コールタール、アスファルト、分解ナフサ中の炭素数4〜9の留分を重合して得られる石油樹脂、ポリブテン、及びジアルキルフタレート等をフォームに添加し、水との接触角を75度以上として防水性を向上させる(特開昭55−71777号公報)、
【0003】
(3) 疎水性のポリオールを使用し、且つ、整泡剤として特定のオルガノシリコン化合物を使用することにより、フォームを撥水性とし、防水性を向上させる(特開平3−68677号公報等)、
(4) 市販の撥水剤(保土谷化学株式会社製、商品名「オクテックスEM」)、シリコンワックス、或いはパーフロロアルキル化合物等で、フォームを処理する、
などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記(1) 〜(4) の方法は、各々下記の欠点を有する。
上記(1) の方法では、フォームは独泡になり易く、圧縮残留歪が大きくなるという欠点があるため、シーリング材、コーキング材として使用し、長期間圧縮された状態にあると、歪んだまま回復せず、使用箇所に隙間ができて水漏れが起こる。そのため、使用可能期間が短く、耐久性に劣る。
【0005】
上記(2) のワックス類、コールタール、アスファルト等をフォーム原料に添加する方法では、原料各成分が相溶し難く、セル径、セルの分布等が不均一となる。また、上記各材料の他、可塑剤等も含めて、フォームとの相溶性に乏しく、比較的短期間でフォーム表面に多量に浸出してしまい、フォーム表面が汚損されるとともに、防水効果が安定して維持されない。また、長鎖炭化水素化合物を添加した場合は、圧縮残留歪等の物性はフォーム本来の性能が維持されるが、セル径が大きくなって、通気性が高くなるため、その止水性は、ダイマー酸エステル系のポリオールを使用したフォームに比べても劣っており、疎水性材料の添加効果がまったくみられない。
【0006】
上記(3) の特定のポリオールと整泡剤とを使用する方法では、フォームが不均質となり、通気性及び止水性にバラツキを生じ、十分な防水効果が得られない。また、特に80℃程度の高温における圧縮残留歪等の物性が低下する。
更に、(4) の方法では、一般に処理時に煩雑な加熱、加圧加工を要し、その処理をしないものは防水効果が下降し易い傾向がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防水性樹脂発泡体が本来必要とする圧縮残留歪等の特性が良好であり、且つ、通気性及び吸水率が低く、優れた止水性等、総合的な防水性が安定して維持されるシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体を提供することを課題とする。
尚、本発明では、疎水性が高く、セル数が多く(セル径が小さく)通気性及び吸水率が低く、且つ止水性に優れるという各性能のすべてを防水性に優れるという表現で表す。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体(以下、単に「防水性樹脂発泡体」という。)は、ポリイソシアネート、少なくとも2個の活性水素基を有する化合物、及びエステルを含む発泡性組成物を発泡、硬化させて得られるシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体であって、上記エステルは、炭素数4〜50のダイマージオール、分子量1000〜4000のポリアルキレングリコール、分子量1000〜4000の両末端水酸基含有水添ポリイソプレン、及びメチルペンタンジオールのうちの少なくとも1種と、ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種又は該ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種及び炭素数8以上のジカルボン酸とからなるものであり、上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物を100重量部とした場合に、上記エステルは7〜100重量部であることを特徴とする(但し、ビスフェノールA、ブタジエンポリオール及びヒマシ油と、オレイン酸とからなるエステルは除く。)。
【0009】
また、発明の防水性樹脂発泡体は、上記発泡性組成物は、一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基を有し、他端に、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基と反応する1個の活性基、若しくは上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物に含まれる活性水素基と反応する1個の活性基(これら活性基は分子鎖の末端の炭素原子又は該末端炭素原子の隣の炭素原子に結合している。)を有するモノアルコール、モノアミン及びモノイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上である末端単官能性化合物を含有させることができる
【0010】
本発明では、上記「発泡性組成物」を構成する各成分は、ポリイソシアネート及びポリオール、ポリアミン等の少なくとも2個の活性水素基を有する化合物、更に発泡剤、並びに防水性改良のために添加されるエステル、及び併用してもよい末端単官能性化合物の他、従来より樹脂発泡体の生成に使用されているものを、特に制限されることなく使用できる。それらの成分としては、触媒、整泡剤、更に必要に応じて難燃剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、その他の添加剤等が挙げられる。
【0011】
上記「ポリイソシアネート」としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、水添XDI、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート、及びそれらの変性体等を使用できる。これらの中では、特にTDI、MDI及びそれらの変性体が好適である。
【0012】
また、上記「少なくとも2個の活性水素基を有する化合物」(以下、多官能性化合物という。)としては、ポリオール、ポリアミン等が使用でき、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びそれらの変性体等、ポリアミンとしては、単分子ジアミン、トリアミン、芳香族ジアミン、ポリエーテルの末端がアミノ基となったポリエーテルポリアミン等が挙げられる。これら多官能性化合物は1種のみを使用してもよいし、ポリオールとポリアミンのように2種以上を併用してもよい。
【0013】
上記「ポリエーテルポリオール」は、2個以上の活性水素基を有する出発物質に、塩基性触媒の存在下、アルキレンオキサイドをランダム又はブロック状に付加重合して得られる。例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、サッカロール等のポリオール、エチレンジアミン、トリレンジアミン等のポリアミンなどの活性水素化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、3,3−ジメチルトリ(メチレン)オキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。また、これらにアクリロニトリル、スチレン等をグラフト重合させた、所謂ポリマーポリオール、更にはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルの開環重合又は共重合によって得られるポリエーテルポリオールなどが使用できる。
【0014】
また、上記「ポリエステルポリオール」としては、例えば、エチレングリコー、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖等の低分子ポリオールと、ダイマー酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等のジカルボン酸とを縮合させて得られるものなどが挙げられる。
【0015】
更に、上記発泡剤としては、水、HCFC、空気、窒素、ペンタン、塩化メチレン、ニトロアルカン、蟻酸等、通常ポリウレタンフォーム等の製造に使用される発泡剤を特に制限することなく使用できる。また、上記可塑剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート等を使用でき、上記難燃剤としては、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等の燐系ハロゲン化物などを使用できる。尚、可塑剤、難燃剤などの配合量は、発泡体の防水性を損なわない範囲であればよい。
【0016】
発明における上記「エステル」としては、上記の特定の各種のポリオールと、ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種とのエステル、又は上記ポリオールと、上記ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種及び炭素数8以上のジカルボン酸とのエステルから選ばれる少なくとも1種を使用できる。これらエステルは、発泡体製造時に、通常、多官能性化合物、発泡剤などからなる成分に配合し、その後、ポリイソシアネートを加えて、混合、攪拌して発泡性組成物を調製し、発泡、硬化させて防水性樹脂発泡体とすることができる。
【0017】
エステルを構成する上記「ポリオール」としては、発明では、上記に特定した各種の二価以上のポリオールを使用できる。
【0019】
また、上記「炭素数8以上のジカルボン酸」としては、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシリン酸、タブシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、及びフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を使用できる。
【0020】
尚、本発明では、ポリオールとモノカルボン酸とのエステルによって十分な防水性を有する発泡体を得ることができるが、これに更にジカルボン酸を組み合わせたエステルも使用できる。この場合、例えばダイマー酸、フタル酸等のジカルボン酸の両カルボキシル基に、1,4−ブタンジオール、メチルペンタンジオール、ノナンジオールとメチルオクチルジオールとの混合物及びジエチレングリコール等のポリオールが2分子付加し、このポリオールの他の水酸基に、ステアリン酸等のモノカルボン酸が2分子付加した、4個のエステル結合を有するエステルを使用できる。
【0021】
上記エステルは、前記多官能性化合物を100重量部とした場合に、7〜100重量部を配合して用いられる。この配合量は、10〜70重量部、特に20〜70重量部であることが好ましく、配合量がこの範囲であれば、樹脂発泡体が本来有する圧縮残留歪等の良好な物性を何ら損なうことなく、優れた止水性等を有する防水性樹脂発泡体を得ることができる。エステルの配合量が7重量部未満では、その添加効果が十分に発現せず、100重量部を超える場合は上記の樹脂発泡体本来の特性が損なわれることがある。
【0022】
また、発明においては、エステルを構成するポリオールの炭素数は6〜50、及びジカルボン酸の炭素数は15〜36の範囲が特に好ましく、この範囲であれば、長鎖アルキル基の有する疎水性が、発泡体の止水性に有効に作用する。尚、上記各成分の炭素数の上限は疎水性基としての特性上の問題というよりも、常温或いは低温で固体になり易く、取り扱い難いという理由による。
【0023】
更に、エステルを構成する上記ポリオールとしては、上記のように、ダイマージオール、分子量1000〜4000のポリアルキレングリコール、分子量1000〜4000の両末端水酸基含有水添ポリイソプレン、及びメチルペンタンジオールが特に好ましく、上記モノカルボン酸としては、ステアリン酸及びオレイン酸が好適である。これらのポリオールとモノカルボン酸からなるエステルを使用すれば、本発明の効果が最大限発揮される。
【0024】
また、発明の防水性樹脂発泡体には、エステルの他に、「一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基を有し、他端に、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基と反応する1個の活性基、若しくは上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物に含まれる活性水素基と反応する1個の活性基(これら活性基は分子鎖の末端の炭素原子又は該末端炭素原子の隣の炭素原子に結合している。)を有するモノアルコール、モノアミン及びモノイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上である末端単官能性化合物(以下、単に末端単官能性化合物という)を併用することができる。
【0025】
上記末端単官能性化合物の「炭化水素基」は、直鎖状の基でも分岐した基でもよく、また、飽和基でも不飽和基でもよい。更に、脂肪族基の他、芳香族基、脂環族基或いはこれらの基を含むものであってもよい。末端単官能性化合物は、これら各種の炭化水素基の1種を有するものであってもよいし、2種以上の炭化水素基を有するものの混合物であってもよい。
【0026】
また、炭化水素基の炭素数は6〜48、特に8〜36程度が好ましく、これらは必要とされる防水性、取り扱い易さ等を勘案して適宜使用される。更に、末端単官能性化合物としては、上記「イソシアネート基若しくは活性水素基と反応する1個の活性基」を有する化合物の1種類を使用してもよいし、モノアルコール等、各種のものを2種以上併用してもよい。
【0027】
尚、上記末端単官能性化合物とは、複数の分子末端を有する化合物の、該複数の分子末端のうち一つのみに上記活性基が結合していることを意味しており、末端以外の中間部に、例えば、−NH−、−O−、−S−、−CO−及び−N(R)−(Rはアルキル基とする。)などの基を有する化合物も含まれる。また、これらの基の両側に結合している炭化水素基のうちの少なくとも一方の炭素数が6以上であればよい。
【0028】
上記「モノアルコール」としては、1−オクタノール、1−デカノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール等の直鎖高級アルコール他、イソステアリルアルコール等の分岐高級アルコール、4−ターシャリーブチルシクロヘキサノール等の環状の基を含む高級アルコール、及び末端側に−O−、−S−等を有するモノアルコール(例えば、ROCH2-CH2-OH等)が挙げられる。また、上記「モノアミン」としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、オクタデシルアミン及び末端側に−O−、−S−等を有するモノアミン等が挙げられ、更に、上記「モノイソシアネート」としては、オクタデシルイソシアネート、ヘキサデシルアミンとオクタデシルアミンとの混合物から誘導されるモノイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
末端単官能性化合物は、発泡体形成のための主成分であるポリイソシアネートと、ポリオール、ポリアミン等の多官能性化合物とを混合する前に、予めモノイソシアネートは通常ポリイソシアネート成分に、モノアルコール、モノアミン等は通常、触媒、発泡剤等が配合されている多官能性化合物に加え、その後、それら2成分を混合、攪拌して発泡性組成物を調製し、発泡、硬化させて樹脂発泡体を生成させればよい。
【0030】
また、末端単官能性化合物は、発泡性組成物の攪拌、混合時、又は攪拌、混合後発泡、硬化反応が進行中に加えても、上記とまったく同様に優れた防水性を有する発泡体が得られる。尚、末端単官能性化合物を、予めポリオール等の主成分に配合する場合、エステルと末端単官能性化合物との配合順序は特に問題ではなく、また、両者を混合してからポリオール等に配合してもよい。
【0031】
末端単官能性化合物は何れも長鎖の炭化水素基を有するため、通常は主成分であるポリイソシアネート及び多官能性化合物よりも反応性が低く、主成分を混合する前或いは混合直後に添加しても、末端単官能性化合物が優先して反応することはないが、比較的反応性が高い末端単官能性化合物を使用する場合は、主成分を混合し、攪拌して発泡体生成の反応が進行している時に添加すれば、主成分がより確実に先行して反応するため好ましい。
【0032】
末端単官能性化合物の配合量は、多官能性化合物を100重量部とした場合に、0.1〜35重量部、好ましくは0.1〜25重量部、特に好ましくは0.3〜10重量部の範囲が好適である。配合量は添加する末端単官能性化合物の炭化水素基の炭素数、官能基の種類、及び主成分であるポリイソシアネート、多官能性化合物との反応性の差等を考慮し、用途、目的、及び必要とする防水性等によって決定されるが、この配合量が0.1重量部未満であると十分な防水性が得られず、35重量部を越えて多い場合は、発泡体の形成そのものが困難となったり、得られる発泡体の物性等、本来、発泡体が有する特性が損なわれたりするため好ましくない。
【0033】
また、末端単官能性化合物が過剰の場合は、たとえ正常な発泡体が得られたとしても、末端単官能性化合物が未反応のまま発泡体中に取り込まれることがあり、その場合、疎水性材料を物理的に含有させた従来公知の防水性発泡体と同様に、末端単官能性化合物が経時的に発泡体表面から徐々に浸出し、発泡体表面が汚損したりすることもあるため好ましくない。
【0034】
ポリイソシアネート、ポリオール等の主成分とエステル及び末端単官能性化合物、又は難燃剤、充填剤等との相溶性が乏しい場合は、エステル及び末端単官能性化合物を、例えば、可塑剤及び/又は塩化メチレン、セロソルブアセテート等の溶剤に予め溶解或いは分散させて相溶性を向上させてもよく、また、一般に高級アルコール等では分子量の大きいものほど融点が高くなり、取り扱いが難しくなるため可塑剤等、例えば、トリクレジルホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェート等を、防水性を低下させない範囲で使用し、混合することもできる。
【0035】
更に、エステル、或いはエステル及び末端単官能性化合物を配合することにより、得られる樹脂発泡体の防水性は十分優れたものとなるが、この防水性をより向上させるためには、ポリイソシアネート、ポリオール等の主成分も親水性のものより疎水性のものの方が防水効果が大きく、また、発泡体の表面積を可能な限り大きくした方が防水効果が大きいため、フォームセルはより細かい方が好ましい。本発明の防水性樹脂発泡体のセル数は、65〜120個/25mm、特に80個/25mm以上であることが好ましい。このセル数が65個/25mm未満では安定した止水性が得られないことがあり好ましくない。
【0036】
【作用】
長鎖の脂肪族炭化水素化合物に代表される疎水性物質を添加剤として配合し、樹脂発泡体に防水性を付与する技術は良く知られている。しかし、それら炭化水素化合物はセルオープナーとして作用する化合物であり、添加することにより、発泡体のセル径が大きくなり、通気性が高くなって防水性は却って低下することも知られている。従って、相対的に疎水性の低い芳香族炭化水素化合物を使用して、通気性と防水性とをバランスさせる手法も提案されているが、芳香族系の炭化水素を使用した場合でも、安定した低通気性を得ることが困難であり、そのため、止水性等、防水性の良好な発泡体が得られない。
【0037】
発明は、特定のポリオールと、長鎖のモノカルボン酸又は該モノカルボン酸及びジカルボン酸とからなるエステルを、疎水性の添加剤として使用するものであり、その分子中のエステル基の作用により、セル数の多い(セル径の小さい)発泡体を安定して製造することができる。そのため、発泡体の通気性が抑えられ、優れた防水性が付与される。
【0038】
また、上記添加剤はエステル基を有するため、主原料であるポリエステルポリオール等との相溶性も、通常の長鎖炭化水素化合物に比べ格段に良好であり、発泡体原料調製時の作業性に優れるとともに、発泡体からの経時的なブリードアウトも抑えられる。更に、添加剤が発泡体表面に適度に浸出することにより、シーリング材等として使用した場合に、被着体との密着性が向上して優れた防水性、特に止水性が安定して維持される。
【0039】
更に、発明では、更に生成中の樹脂発泡体に末端単官能性化合物を化学的に結合させることによっても防水性を付与している。末端単官能性化合物は、一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基、他の分子末端又はその隣の炭素原子に、イソシアネート基若しくは活性水素基と反応する1個の活性基が結合した構造であるため、通常、主成分であるポリイソシアネート及びポリオール等に比べその反応性が低い。そのため主成分の反応が進み、発泡体が形成されつつある時点、或いは発泡体形成の終了近くになって、発泡体の表面近傍のイソシアネート基或いは水酸基、アミノ基等の活性水素基と反応し、ウレタン結合、ウレア結合、アロハネート結合、或いはビウレット結合他の結合により、発泡体に化学的に強く結合され、発泡体表面が、疎水性の強い長鎖の炭化水素基等で覆われた状態となる。
【0040】
末端単官能性化合物は上記のようにして発泡体表面に結合されるため、その使用量が非常に少なくても発泡体に十分な疎水性が付与され、しかも、末端単官能性化合物はその活性基が一旦発泡体表面のイソシアネート基或いは水酸基、アミノ基等の活性水素基と結合してしまえば、その結合は極めて安定しており、発泡体表面には疎水性の強い長鎖炭化水素基或いは芳香族基等が多数安定して存在することになる。
【0041】
本発明では、前記のように、使用するエステルは、発泡体原料との相溶性に優れるものであり、それに加え、末端単官能性化合物を併用した場合は、その上記特性により、従来技術のように疎水性材料、或いは撥水剤等が物理的に発泡体中に取り込まれただけのものと違い、物性の低下もほとんどなく、日光に暴露した場合などにも、その止水性(主に被着体との界面からの漏水がないとの意味)の低下は少なく、防水性の変化はほとんどない。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(1) 実施例及び比較例に用いた成分
1) 発泡体を形成するポリオール
▲1▼ジエチレンアジペート系、日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「N−101」(水酸基価;56)
▲2▼グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオール、三洋化成株式会社製、商品名「PPG−3000」(分子量;3000、水酸基価;56)
【0043】
▲3▼エチレングリコール及び1,4−ブタンジオールとアジピン酸とからなるポリエステルポリオール、三洋化成株式会社製、商品名「AH405」(水酸基価;60)
▲4▼3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とからなるポリエステルポリオール、株式会社クラレ製、商品名「F−3010」(水酸基価;56)
▲5▼β−メチル−δ−バレロラクトンの開環重合により得られるポリエステルポリオール、株式会社クラレ製、商品名「L−2010」(水酸基価;56)
【0044】
▲6▼1,4−ブタンジオールとアジピン酸及びイソフタル酸とからなるポリエステルポリオール、日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスラックTA22−193」(水酸基価;56)
▲7▼ジエチレングリコールとダイマー酸とからなるポリエステルポリオール、日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスラック2458」(水酸基価;70)
▲8▼エチレングリコール及び1,4−ブタンジオールとアジピン酸とからなるポリエステルポリオール、日立化成ポリマー株式会社製、商品名「テスラック2460」(水酸基価;56)
【0045】
2)発泡剤:メチレンクロライド、水
3) 触媒
▲1▼N,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、日本乳化剤株式会社製
▲2▼スタナスオクトエート
4) 整泡剤:水酸基含有ポリアルキルシロキサン共重合体、トーレ・シリコーン株式会社製、商品名「SH−193」
【0046】
5) エステル
(a) オレイン酸とプロピレングリコールとのエステル
(b) ステアリン酸とダイマージオール(東亞合成株式会社製、商品名「ベスポール」、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に変換した製品)とのエステル
(c) オレイン酸と上記ダイマージオールとのエステル
(d) ステアリン酸と両末端水酸基含有水添ポリイソプレン(株式会社クラレ製、商品名「TH−LIR」、グレード;TH−21、数平均分子量;2600、水酸基価;56.1)とのエステル
(e) オレイン酸と上記両末端水酸基含有水添ポリイソプレンとのエステル
【0047】
(f) ステアリン酸とポリアルキレングリコール(三菱化学株式会社製、商品名「ポリテールHA」、数平均分子量;2000、水酸基価;56)とのエステル
(g) オレイン酸と上記ポリアルキレングリコールとのエステル
(h) 1分子のダイマー酸と、各2分子の1,4−ブタンジオール及びステアリン酸とからなるエステル
(i) 1分子のダイマー酸と、各2分子のメチルペンタンジオール及びステアリン酸とからなるエステル
【0048】
(j) オレイン酸と1,4−ブタンジオールとのエステル
(k) ステアリン酸とブタジエンポリオール、出光石油株式会社製、商品名「R−45HT」との化合物
(l) ステアリン酸と水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、新日本理化株式会社製、商品名「リカビノールHB」との化合物
(m) ステアリン酸とヒマシ油、伊藤製油株式会社製、商品名「精製ひまし油」との化合物
【0049】
6) 比較例に使用した添加物
▲1▼ジオクチルフタレート
▲2▼ポリブテン、日本石油化学株式会社製、商品名「HV15」
▲3▼石油樹脂、三井石油化学工業株式会社製、商品名「FTR−6100」
▲4▼石油系液状樹脂、日本石油化学株式会社製、商品名「ハイゾールSAS−LH」
▲5▼ヒマシ油モノオール、伊藤製油株式会社製、商品名「URIC H−31」(水酸基価;155)と、純MDI、日本ポリウレタン株式会社製、商品名「ミリオネートMT」との化合物
【0050】
7) 末端単官能性化合物:
▲1▼イソステアリルアルコール
▲2▼オレイルアルコール
▲3▼炭素数32〜36の高級アルコールの混合物、新日本理化株式会社製、商品名「エヌジェコールC3236」
▲4▼オクタデシルアミン
▲5▼オクタデシルイソシアネート
【0051】
8) ポリイソシアネート
▲1▼ポリメリックMDI、日本ポリウレタン株式会社製、商品名「MR−200」
▲2▼TDI、日本ポリウレタン株式会社製、商品名「T−80」〔2,4−TDI/2,6−TDIの80/20(重量比)混合物〕
【0052】
(2)実施例及び比較例の発泡性組成物
実施例1〜は、主成分であるポリイソシアネートとポリオールに、各種ポオールとモノカルボン酸等からなるエステルを配合して防水性ポリウレタンフォームを製造した例である。実施例1〜6は、エステルとして、上記ダイマージオール、両末端水酸基含有水添ポリイソプレン及びポリアルキレングリコールにステアリン酸又はオレイン酸を組み合わせたものを使用した例である。また、実施例8は、ジオールとモノカルボン酸及びジカルボン酸からなるエステルを使用した例である
【0053】
また、実施例13〜17は、エステルとしてステアリン酸とダイマージオールとからなるものを使用し、発泡性組成物中のポリオールの種類を変化させた例であり、実施例18〜20は、このエステルの配合量を変化させた例である。更に、実施例21〜23は、末端単官能性化合物として特に好ましいイソステアリルアルコールと、各種エステルを併用した例である。また、実施例25〜29は、エステルとして特に好ましい上記のものを使用し、これに各種末端単官能性化合物を併用した例である。
【0054】
一方、比較例1は、エステルとして、オレイン酸と炭素数3のジオールであるプロピレングリコールとからなるものを使用した例であり、比較例2〜3は、ステアリン酸とダイマージオールとのエステルの配合量を下限未満とした例、及びエステルをまったく使用しなかった例である。また、比較例4〜15は、本発明のエステルではない各種疎水性添加物を配合し、且つ発泡体を形成するポリオール及びポリイソシアネートの種類を一部変えて防水性ポリウレタンフォームの製造を試みた例である。
【0055】
上記実施例1〜4、実施例5〜8の各配合をそれぞれ表1、表2に、実施例13〜17及び18〜20の各配合を表4、表5に、及び実施例21〜23、実施例25〜29の各配合をそれぞれ表6、表7に示す。また、比較例1の配合を表1に、比較例2〜3の各配合を表5に、比較例4〜9、比較例10〜15の各配合をそれぞれ表8、表9に示す。尚、表中の数値はすべてポリオールを100重量部とした場合の重量部を表す。
【0056】
(3) 通気性、吸水率及び止水性の評価方法
▲1▼通気性:JIS P 8117による。
厚さ10mmの試験片を用いた場合に、100mlの空気が通過するのに要する時間。
【0057】
▲2▼吸水率:50×50×20(厚さ)mmの試験片を、厚さ方向に圧縮率50%で圧縮し(従って、厚さは10mmとなる。)、水温23℃で、水面下10cmの水中に24時間浸漬した時の重量増加を測定し、この重量増加の割合を、50%圧縮時の試験片の体積を基準として表す。〔吸水率(%)={浸漬前後の重量変化(g)/50%圧縮時の試験片の体積(cm3 )}×100〕
【0058】
▲3▼止水性:厚さ及び幅ともに15mmの断面を有する試験片をU字状とし、厚さ方向両側から2枚のアクリル樹脂板で50%圧縮した状態(従って、厚さは7.5mmとなる。)で挟み、U字状底部内面から100mmの高さまで水を入れて放置した時の、U字状底部外面から水がしみだしてくるまでの時間。
【0059】
各実施例及び比較例の配合により得られたポリウレタンフォームの、密度、セル数及び圧縮残留歪、並びに通気性、吸水率及び止水性を測定した。その結果をそれぞれの配合を示した各表に併記する。尚、密度、セル数、圧縮残留歪の測定方法は下記の通りである。
▲1▼密度:JIS K 6401
▲2▼セル数:JIS K 6402
▲3▼圧縮残留歪:JIS K 6401
【0060】
【表1】
Figure 0003963968
【0061】
【表2】
Figure 0003963968
【0063】
【表4】
Figure 0003963968
【0064】
【表5】
Figure 0003963968
【0065】
【表6】
Figure 0003963968
【0066】
【表7】
Figure 0003963968
【0067】
【表8】
Figure 0003963968
【0068】
【表9】
Figure 0003963968
【0069】
尚、表2及び6のSTA−1,4BD−DA−1,4BD−STAは、ダイマー酸の両カルボキシル基に1,4−ブタンジオールが2分子付加し、このジオールの他の水酸基にステアリン酸が2分子付加したものであり、STA−MPD−DA−MPD−STAは、上記の1,4−ブタンジオールに代えてメチルペンタンジオールを使用したものである。また、表7のC32C36高級アルコールの、C32C36は、炭素数32〜36のモノアルコールの混合物であることを意味する。
【0070】
表1及び2の結果によれば、ステアリン酸等のカルボン酸と、ダイマージオール等のポリオールとからなる各種エステルを60重量部配合した各実施例では、セル数は少なくとも60個/25mm以上であり、優れた圧縮残留歪を有するとともに、通気性は少なくとも18秒、吸水率は1%未満、且つ止水性は24時間以上と、いずれも優れた防水性を有することが分かる。特にモノカルボン酸とジカルボン酸を併用した実施例8では、通気性及び吸水率がより優れている。尚、実施例9では、他の実施例に比べて通気性等がやや劣るが、各比較例に比べれば格段に優れている。
【0071】
また、表4の結果によれば、ステアリン酸とダイマジオールとからなるエステルを60重量部配合した各例では、使用したポリオールの種類にかかわりなく、セル数は65〜80個/25mmであり、圧縮残留歪も優れており、且つ防水性においても、ポリオールの種類によって通気性には差があるものの、吸水率及び止水性も含め、非常に優れている。これらの結果から、本発明では、発泡性組成物中のポリオールの疎水性に特に配慮する必要はまったくなく、広く各種のポリオールを使用し得ることが分かる。
【0072】
更に、表5の結果によれば、上記エステルの配合量を、60重量部から30、10及び7重量部へと減量した場合、セル数、圧縮残留歪及び通気性はそれほど低下しないものの、吸水率と止水性とは減量に伴って低下していることが分かる。しかし、それでも各比較例の結果を上回るものであり、本発明のエステルの配合の効果が現れている。
【0073】
また、表6の結果によれば、各種エステルにイソステアリルアルコール2重量部を併用した場合、使用したエステルの種類によらず、セル数は60個/25mm以上であり、通気性等の防水性もエステルによるばらつきはあるものの、いずれの例においても良好な結果となっている。
【0074】
更に、表7の結果によれば、ステアリン酸とダイマージオールからなるエステル10重量部に加え、各種末端単官能性化合物を併用した場合、使用した末端単官能性化合物の種類或いは配合量にかかわりなく、セル数は65〜70個/25mmとなっており、圧縮残留歪も優れている。また、防水性においても、いずれも非常に優れており、上記エステル10重量部のみを配合した実施例19に比べ、通気性、吸水率及び止水性のいずれもが向上していることが分かる。
【0075】
上記のように本発明の防水性樹脂発泡体では、使用するエステル又は末端単官能性化合物の種類及びその配合量を適宜選択し、組み合わせることにより、たとえエステルの添加量が下限値に近い少量であっても、用途、目的等に応じて、幅広い物性、防水性等を備えた製品を得ることができる。
【0076】
一方、表1の比較例1では、ポリオールの炭素数が3と少ないため、セル数、圧縮残留歪には問題ないものの、通気性がやや劣っており、また、吸水率及び止水性はともに非常に劣っていることが分かる。実施例9ではエステルとしてオレイン酸と炭素数4の1,4−ブタンジオールとのエステルを使用しており、ポリオールの炭素数が3のプロピレングリコールと、炭素数が4の1,4−ブタンジオールとの間に非常に大きな違いがあることが分かる。
【0077】
また、表5の比較例2では、上記エステルの配合量を5重量部としたが、その結果、セル数、圧縮残留歪は各実施例と同等であるものの、配合量が7重量部の実施例20と比べて、通気性及び吸水率は大きく低下し、且つ止水性は僅か1時間と著しく低下している。また、エステルを配合しなかった比較例3では、セル数もやや減少し、止水性等も極端に劣っていることが分かる。
【0078】
更に、表8及び表9の結果によれば、本発明のエステル或いは末端単官能性化合物とは異なる各種疎水性材料を添加した比較例4〜15では、各比較例間で差はあるものの、ほとんどの場合、物性、防水性いずれも各実施例に比べて大きく劣っていることが分かる。
【0079】
特に、添加剤として芳香族ジカルボン酸であるフタル酸と、炭素数8のモノアルコールであるオクチルアルコールとからなるエステルである、ジオクチルフタレートを60重量部使用した比較例4では、セル数が40個/25mmと少なくなっており(セル径が大きくなっており)、吸水率は23.5%と著しく大きく、且つ通気性及び止水性は、測定開始と同時に通気或いは漏水を生じ、測定不可であった。また、比較例5も同様に著しく防水性に劣るものであった。
【0080】
また、発泡性組成物中のポリオールとして疎水性の高いダイマー酸系のポリエステルポリオールを使用した比較例12でも、止水性は15分と極端に劣っており、この結果は疎水性材料を樹脂骨格中に取り入れただけでは、十分な防水性が得られないことを裏付けている。更に、各比較例の中では、疎水性の添加物として石油樹脂30重量部と石油系液状樹脂30重量部を併用した比較例11及び13〜14において、通気性が10〜15秒、吸水率が1%、止水性が6時間と比較的良い結果となっているが、本発明のエステルを7重量部配合した実施例24に比べれば劣っていることが分かる。
【0081】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、多官能性化合物として疎水性を大きく高めたポリオール成分等を使用することもできる。また、エステル、末端単官能性化合物の他に、更にセロソルブアセテート類、ナフサ、キシレン、トルエン等の有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ステアリン酸等の炭素数8以上のカルボン酸及び/又はその塩、及び精油等の単品又は混合物などを発泡体本来の特性が損なわれない範囲、通常は多官能性化合物100重量部に対して0.5〜5重量部程度の量を配合することにより、防水性をより高めることもできる。更に、ビスフェノールA、ブタジエンポリオール及びヒマシ油と、オレイン酸とからなるエステル含有させた発泡性組成物を使用しても、同様に優れた防水性を有する樹脂発泡体を得ることができる。
【0082】
【発明の効果】
発明の防水性樹脂発泡体では、疎水性の強い長鎖の炭化水素基がエステル基によって結合され、その疎水性が長鎖炭化水素化合物に比べてやや抑えられたエステルを疎水性材料として使用している。そのため、疎水性材料とポリオール等との相溶性が向上し、発泡性組成物調製時等において作業性に優れるものである。
【0083】
また、得られる発泡体はセル径の小さい均質なものであり、例えば長鎖炭化水素化合物を添加した場合のように、セル径が大きくなり、通気性が過大となるようなことがなく、非常に優れた止水性が実現される。
【0084】
これらエステルの配合量は、多官能性化合物100重量部に対して、10〜70重量部の範囲が好ましく、この範囲であれば、発泡体本来の特性を損なうことなく、優れた防水性を有する樹脂発泡体が得られる。更に、本発明では、エステルに加えて、特定の末端単官能性化合物等を併用することが好ましく、これによって優れた防水性が長期に渡って維持される。

Claims (2)

  1. ポリイソシアネート、少なくとも2個の活性水素基を有する化合物、及びエステルを含む発泡性組成物を発泡、硬化させて得られるシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体であって、
    上記エステルは、炭素数4〜50のダイマージオール、分子量1000〜4000のポリアルキレングリコール、分子量1000〜4000の両末端水酸基含有水添ポリイソプレン、及びメチルペンタンジオールのうちの少なくとも1種と、ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種又は該ステアリン酸及びオレイン酸のうちの少なくとも1種及び炭素数8以上のジカルボン酸とからなるものであり、
    上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物を100重量部とした場合に、上記エステルは7〜100重量部であることを特徴とするシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体。
    (但し、ビスフェノールA、ブタジエンポリオール及びヒマシ油と、オレイン酸とからなるエステルは除く。)
  2. 上記発泡性組成物は、更に一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基を有し、他端に、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基と反応する1個の活性基、若しくは上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物に含まれる活性水素基と反応する1個の活性基(これら活性基は分子鎖の末端の炭素原子又は該末端炭素原子の隣の炭素原子に結合している。)を有するモノアルコール、モノアミン及びモノイソシアネートから選ばれる1種又は2種以上である末端単官能性化合物を含有している請求項1記載のシーリング材又はコーキング材用防水性樹脂発泡体。
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