JP3642822B2 - 防水性樹脂発泡体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、防水性に優れ、しかもその性能が長期に渡って安定して維持される防水性樹脂発泡体に関する。本発明の防水性樹脂発泡体は、シーリング材、コーキング材、或いは吸湿性のない衛生的なマットレス用クッション材などとして使用できる。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材、コーキング材等として使用されるポリウレタンフォーム等の樹脂発泡体には、従来より防水性が付与されており、その方法としては、
(1) フォームのセル径を小さくし、同一密度であっても表面積を大きくして通気性を低くし、その結果、防水性を向上させる、
(2) ワックス類、コールタール、アスファルト、分解ナフサ中の炭素数4〜9の留分を重合して得られる石油樹脂、ポリブテン、及びジアルキルフタレート等をフォームに添加し、水との接触角を75度以上として防水性を向上させる(特開昭55−71777号公報)、
【0003】
(3) 疎水性のポリオールを使用し、且つ整泡剤として特定のオルガノシリコン化合物を使用することにより、フォームを撥水性とし、防水性を向上させる(特開平3−68677号公報等)、
(4) 市販の撥水剤(保土谷化学株式会社製、商品名「オクテックスEM」)、シリコンワックス、或いはパーフロロアルキル化合物等によってフォームを処理する、
などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記(1) 〜(4) は、以下の如く、各々欠点を有する。
上記(1) の方法では、フォームは独泡になり易く、圧縮残留歪が大きくなるという欠点があるため、シーリング材、コーキング材として使用した場合、耐久性に劣る。
また、上記(2) のワックス類、コールタール、アスファルト等をフォーム原料に添加する方法では、原料各成分が相溶し難くなり、セル径、セルの分布等が不均一となる。また、上記各材料の他、可塑剤等も含めて、フォームとの相溶性に乏しく、比較的短期間でフォーム表面に浸出してしまい、フォーム表面が汚損されるとともに、防水効果が安定して維持されない。
【0005】
更に、上記(3) の特定のポリオールと整泡剤とを使用する方法では、フォームが不均質となって吸水性にバラツキを生じ、十分な防水効果が得られない。
また、(4) の方法では、一般に処理時に煩雑な加熱、加圧加工を要し、その処理をしないものは防水効果が低下し易い傾向にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防水性樹脂発泡体が本来必要とする圧縮残留歪等の特性が良好であり、且つ長期に渡って安定した防水性が維持される防水性樹脂発泡体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリイソシアネート、1又は2以上の少なくとも2個の活性水素基を有する化合物、及び整泡剤を含有する発泡性組成物を、発泡、硬化させて得られる樹脂発泡体において、上記化合物のうちの少なくとも一つは、主鎖が実質的に炭素−炭素結合のみからなるものであり、且つ上記発泡性組成物に、一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基を有し、他端に、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基と反応する1個の活性基、若しくは上記化合物に含まれる活性水素基と反応する1個の活性基(これら活性基は末端の炭素原子又は該末端炭素原子の隣の炭素原子に結合している。)を有するモノイソシアネート及びモノアミンから選ばれる1種又は2種以上である末端単官能性化合物を含有させ、上記樹脂発泡体に防水性を付与したことを特徴とする。
【0008】
本発明では、上記「発泡性組成物」を構成する各成分は、上記「少なくとも2個の活性水素基を有する化合物」(以下、多官能性化合物という。)を除き、従来より「樹脂発泡体」の生成に使用されているものを、特に制限されることなく使用できる。それらの成分としては、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒等の他、更に必要に応じて可塑剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、その他の添加剤等が使用される。
【0009】
上記「ポリイソシアネート」としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、水添XDI、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート、及びそれらの変性体等を使用できる。これらの中では、特にTDI、MDI及びそれらの変性体が好適である。
【0010】
また、上記多官能性化合物としては1種又は2種以上が使用され、そのうちの少なくとも一つは、「主鎖が実質的に炭素−炭素結合のみからなるもの」(以下、疎水性ポリオールという。)である。そのような多官能性化合物としては、「ポリジエン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール及び液状クロロプレン系ポリオール」等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、主鎖が実質的に炭素−炭素結合のみからなるとは、その主鎖中にエーテル結合、エステル結合等の繰り返し単位などを含まない、例えば飽和或いは不飽和の長鎖アルキレン基などを意味する。
【0011】
多官能性化合物は、そのすべてが疎水性ポリオールであってもよいが、末端単官能性化合物との相溶性の向上という配合目的からみて、疎水性ポリオールの使用割合は、末端単官能性化合物1重量部に対して、1重量部以上、好ましくは3重量部以上であればよい。この使用量が10重量部であれば、相溶性向上の目的は十分に達せられ、それ以上多量に配合する必要はなく、1〜10重量部配合することが好ましい。疎水性ポリオールの使用量が1重量部未満では、特に冬季等低温時には、両者を均一に混合することが難しく、また、混合後、経時的に末端単官能性化合物が析出することがあり、フォーム製造の工程上及び得られるフォームの品質面いずれにおいても好ましくない。
【0012】
上記疎水性ポリオール以外の多官能性化合物としては、従来よりポリウレタンフォーム等の製造に使用されているポリオール、ポリアミン等を使用でき、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びそれらの変性体等、ポリアミンとしては、単分子ジアミン、トリアミン、芳香族ジアミン、ポリエーテルの末端がアミノ基となったポリエーテルポリアミン等が挙げられる。これら多官能性化合物は1種のみを使用してもよいし、ポリオールとポリアミンのように2種以上を併用してもよい。
【0013】
上記ポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素基を有する出発物質に、塩基性触媒の存在下、アルキレンオキサイドをランダム又はブロック状に付加重合して得られる。例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、サッカロール等のポリオール、エチレンジアミン、トリレンジアミン等のポリアミンなどの活性水素化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、3,3−ジメチルトリ(メチレン)オキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。また、これらにアクリロニトリル、スチレン等をグラフト重合させた、所謂ポリマーポリオール、更にはテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルの開環重合又は共重合によって得られるポリエーテルポリオールなどが使用できる。
【0014】
また、上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖等の低分子ポリオールと、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等のカルボン酸とを縮合させて得られるものの他、ε−カプロラクトン開環重合物、β−メチル−δ−バレロラクトン開環重合物等のラクトン系ポリオールなどが挙げられる。
【0015】
上記「末端単官能性化合物」としては、「モノイソシアネート、モノアルコール及びモノアミン」等が挙げられ、その「炭化水素基」は、直鎖状の基でも分岐した基でもよく、また、飽和基でも不飽和基でもよい。更に、芳香族基、脂環族基或いはこれらの基を含むものであってもよい。末端単官能性化合物は、これら各種の炭化水素基の1種を有するものであってもよいし、2種以上の炭化水素基を有するものの混合物であってもよい。
【0016】
また、炭化水素基の炭素数は6〜48、特に8〜22程度が好ましく、これらは必要とされる防水性、取り扱い易さ等を勘案して適宜使用される。この炭素数が6未満では、得られる樹脂発泡体の防水性が不十分となり、48を越える場合は、粘度が高く、少し低温になると固化し易いため好ましくない。更に、末端単官能性化合物としては、上記「イソシアネート基若しくは活性水素基と反応する1個の活性基」を有する化合物の1種類を使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0017】
尚、上記末端単官能性化合物とは、複数の分子末端を有する化合物の、該複数の分子末端のうち一つのみに上記活性基が結合していることを意味しており、末端以外の中間部に、例えば、−NH−、−O−、−S−、−CO−及び−N(R)−(Rはアルキルとする。)などの基を有する化合物も含まれる。また、これらの基の両側に結合している炭化水素基のうちの少なくとも一方の炭素数が6以上であればよい。
【0018】
上記「モノイソシアネート」としては、オクタデシルイソシアネート、ヘキサデシルアミンとオクタデシルアミンとの混合物から誘導されるモノイソシアネート等が挙げられる。また、上記「モノアルコール」としては、1−オクタノール、1−デカノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、その他分岐高級アルコール、及び末端側に−O−、−S−等を有するモノアルコール(例えば、ROCH2-CH2-OH等)が、更に、上記「モノアミン」としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、オクタデシルアミン及び末端側に−O−、−S−等を有するモノアミン等が挙げられる。
【0019】
末端単官能性化合物は、主成分であるポリイソシアネートと、ポリオール、ポリアミン等の多官能性化合物とを混合する前に、予めモノイソシアネートは通常ポリイソシアネート成分に、モノアルコール、モノアミン等は通常多官能性化合物に加え、その後それら2成分を混合、攪拌して発泡性組成物を調製し、発泡、硬化させて樹脂発泡体を生成させてもよいし、発泡性組成物の攪拌、混合時、又は攪拌、混合後発泡、硬化反応が進行中に加えてもよい。
【0020】
末端単官能性化合物は何れも長鎖の炭化水素基を有するため、通常は主成分であるポリイソシアネート及び多官能性化合物よりも反応性が低く、主成分を混合する前或いは混合直後に添加しても、末端単官能性化合物が優先して反応することはないが、比較的反応性が高い末端単官能性化合物を使用する場合は、主成分を混合し、攪拌してフォーム生成の反応が進行している時に添加すれば、主成分がより確実に先行して反応するため好ましい。
【0021】
末端単官能性化合物の配合量は、多官能性化合物を100重量部とした場合に、0.1〜35重量部、好ましくは0.1〜25重量部、特に好ましくは0.3〜10重量部の範囲が好適である。配合量は添加する末端単官能性化合物の炭化水素基の炭素数、官能基の種類、及び主成分であるポリイソシアネート及び多官能性化合物との反応性の差等を考慮し、用途、目的、及び必要とする防水性等によって適量に決定すればよい。
【0022】
上記配合量が0.1重量部未満であると十分な防水性が得られず、35重量部を越えて多い場合は、フォームの形成そのものが困難となったり、得られるフォームの物性等、本来フォームが有する特性が損なわれたりするため好ましくない。また、正常なフォームが得られたとしても、末端単官能性化合物が未反応のままフォーム中に取り込まれることがあり、その場合、疎水性材料を物理的に含有させた従来公知の防水性フォームと同様に、末端単官能性化合物が経時的にフォーム表面から徐々に浸出し、フォーム表面が汚損したりすることもあるため好ましくない。
【0023】
本発明では、疎水性ポリオールの使用により、末端単官能性化合物とポリイソシアネート、ポリオール等の主成分、又は難燃剤、充填剤等との相溶性が大きく向上しているが、末端単官能性化合物を、例えば、可塑剤及び/又は塩化メチレン、セロソルブアセテート等の溶剤に予め溶解或いは分散させて、更に相溶性を向上させてもよい。また、一般に高級アルコール等では分子量の大きいものほど融点が高くなり、取り扱いが難しくなるため可塑剤等、例えば、トリクレジルホスフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェートなどを所要量使用して混合することが好ましい。
【0024】
更に、得られる防水性樹脂発泡体の防水性をより向上させるためには、ポリイソシアネート、疎水性ポリオール以外のポリオール等の主成分も、親水性のものより少しでも疎水性の強いものの方が好ましく、また、フォームの表面積を可能な限り大きくした方が防水効果が大きいため、フォームのセル径はより小さいものの方が好ましい。
【0025】
また、上記「整泡剤」としては、シリコーン系のものが多用され、例えばジアルキルポリシロキサン共重合体(a)、ポリシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体(b)等が使用される。(b)はポリシロキサン部分とポリオキシアルキレン部分とからなり、ポリシロキサン部分はジメチルポリシロキサンにより構成されている場合が多く、そのような共重合体であれば、防水性樹脂発泡体を安定して成形できる。尚、上記(b)の代表的な構造は化1の式の通りである。
【0026】
【化1】
【0027】
尚、上記式(1)において、分子末端又は中間のメチル基或いはR中の水素が、水酸基、アミノ基等によって置換され、親水性が付与されたものであってもよい。
上記共重合体(b)において、優れた整泡効果を得るためには、ポリシロキサン部分とポリオキシアルキレン部分がともに高分子量であることが好ましく、m+nが10以下では整泡効果に乏しく、通常m+nが25〜100程度のものが使用される。
【0028】
また、共重合体(a)、(b)は、そのケイ素含有率が高いものほど疎水性が増すため、共重合体(b)においては、オキシアルキレン鎖よりもシロキサン骨格部分が長いものがより好ましく、言い換えれば、(m+n)/(m+n+a+b)比が大きい共重合体(b)からなる整泡剤を使用すれば、より防水性の高い樹脂発泡体を得ることができる。より具体的には、下記の測定方法によって得られる上記ケイ素含有率が、5%以上、特に10〜25%の範囲であればより吸水率の低い防水性樹脂発泡体が得られる。尚、本発明では、上記共重合体(a)及び(b)において、水酸基末端及び/又はアミノ基末端の共重合体を使用することが好ましい。
【0029】
共重合体のケイ素含有率:共重合体をベンゼンに溶解し、赤外吸収スペクトルを測定した。一方、ジメチルポリシロキサン(トーレシリコン株式会社製、グレード名「SH200」)について、同濃度、同溶媒の溶液の赤外吸収スペクトルを測定して、波数800cm-1における吸収ピーク面積を比較した。
ケイ素含有率=(整泡剤の吸収ピーク面積/ジメチルポリシロキサン「SH200」の吸収ピーク面積)×37.8(%)
【0030】
【作用】
本発明では、生成中の樹脂発泡体に末端単官能性化合物を化学的に結合させることにより防水性を付与している。末端単官能性化合物は、一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基、他の分子末端又はその隣の炭素原子に、イソシアネート基若しくは活性水素基と反応する1個の活性基が結合した構造であるため、通常、主成分であるポリイソシアネート及びポリオール等に比べその反応性が低い。そのため主成分の反応が進み、フォームが形成されつつある時点、或いはフォーム形成の終了近くになって、フォームの表面近傍のイソシアネート基或いは活性水素基と反応し、ウレタン結合、ウレア結合、アロハネート結合、或いはビウレット結合他の結合により、フォームに化学的に強く結合され、フォーム表面が、疎水性の強い長鎖の炭化水素基等で覆われた状態となる。
【0031】
末端単官能性化合物は上記のようにしてフォーム表面に結合されるため、その使用量が非常に少なくても十分な防水効果が得られ、しかも、末端単官能性化合物はその活性基が一旦フォーム表面のイソシアネート基或いは水酸基、アミノ基等の活性水素基と結合してしまえば、その結合は極めて安定しており、フォーム表面には疎水性の強い長鎖炭化水素基或いは芳香族基等が多数安定して存在することになる。そのため、従来技術のように多量の疎水性材料、或いは撥水剤等が物理的にフォーム中に取り込まれただけのものと違い、本発明の防水性樹脂発泡体は、物性の低下もなく、日光に暴露した場合などにも防水性の変化はみられず、優れた防水性が長期に渡って極めて安定して維持される。
【0032】
また、本発明では、ポリオール成分は、末端単官能性化合物との相溶性に優れる特定の疎水性ポリオールを含有しているため、冬季等低温時に固化したり、溶解性が低下する末端単官能性化合物を、ポリオール成分中に容易に溶解させることができる。そのため、低温時においても発泡性組成物の調製及び発泡体の製造が容易であり、且つ得られる製品の品質もより優れたものとなる。更に、使用可能な末端単官能性化合物の範囲も広がるため、幅広い防水性及び物性等を有する樹脂発泡体を容易に得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(1) 実施例及び比較例に用いた成分
1) ポリオール:
▲1▼グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオール(水酸基価;56)
▲2▼ダイマー酸系ポリオール、株式会社花王製、商品名「エディーフォームE−408」(水酸基価;80)
【0034】
▲3▼ヒマシ油系ポリオール、伊藤製油株式会社製、商品名「URIC H−30」(水酸基価;160)
▲4▼ポリブタジエン系ポリオール、出光石油化学株式会社製、商品名「R−45HT」(水酸基価;46.6)
▲5▼液状クロロプレン系ポリオール、電気化学工業株式会社製、商品名「LCR FH−050」(水酸基価;24)
▲6▼ポリオレフィン系ポリオール、三菱化成株式会社製、商品名「ポリテールHA」(水酸基価;48)
【0035】
2) 発泡剤:水
3) 触媒:
▲1▼トリエチレンジアミン/ジプロピレングリコールの33/67(重量比)混合物、DABCO社製、商品名「33LV」
▲2▼アミン系、ユニオンカーバイド社製、商品名「NIAX A1」
▲3▼スズ系、オクチル酸第1錫
▲4▼株式会社花王製、商品名「カオーライザーNO.3」
▲5▼和光純薬株式会社製、N−メチルモルホリン
【0036】
4) 整泡剤:いずれもポリアルキルシロキサン共重合体
▲1▼日本ユニカー株式会社製、商品名「Y6827」
▲2▼東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SH194」
▲3▼日本ユニカー株式会社製、商品名「L532」
5) 難燃剤:大八化学株式会社製、商品名「CRP」
【0037】
6) 末端単官能性化合物:
▲1▼ 株式会社花王製、オクタデシルアミン
▲2▼ 保土谷化学株式会社製、オクタデシルイソシアネート
▲3▼ 東京化成株式会社製、1−オクタノール
▲4▼ 三洋化成株式会社製、商品名「エマルミン40」(高級アルコール)
▲5▼ 東京化成株式会社製、オクチルアミン
▲6▼ アミン変性シリコーン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SF8417」
7) トリレンジイソシアネート:日本ポリウレタン株式会社製、商品名「T−80」〔2,4−TDI/2,6−TDIの80/20(重量比)混合物〕
【0038】
(2)実施例及び比較例の発泡性組成物
実施例1〜5は、末端単官能性化合物としてオクタデシルアミンを配合し、疎水性ポリオールの種類等を変えた例であり、実施例6、9及び参考例1〜3は、疎水性ポリオールとして液状クロロプレン系のものを使用し、末端単官能性化合物を変えた例である。また、実施例11では、実施例4において、フォーム原料の混合温度を10℃と低温(他の実施例はすべて23℃で混合した。)にした例である。
【0039】
更に、実施例12〜20は、実施例4の配合において、整泡剤を式(1)に示した共重合体(但し、Rは水素である。)とし、その水酸基価及びケイ素含有率を変化させた例である。
一方、比較例1〜3は末端単官能性化合物をまったく用いずにポリウレタンフォームを製造した例である。
【0040】
上記実施例1〜5、6、9、実施例12〜16及び実施例17〜20の各配合を、それぞれ表1、表2、表3及び表4に、また、各比較例の配合を表5に示す。尚、表中の数値は全てポリオールを100重量部とした場合の重量部を表す。
【0041】
(3) 防水性の評価方法
防水性の指標として吸水率を求めた。吸水率は、50×50×20(厚さ)mmの試験片を、厚さ方向に圧縮率50%で圧縮し(従って、厚さは10mmとなる。)、水温23℃で、水面下10cmの水中に24時間浸漬した時の重量増加を測定し、この重量増加の割合を、50%圧縮時の試験片の体積を基準として表す。〔吸水率(%)={浸漬前後の重量変化(g)/50%圧縮時の試験片の体積(cm3 )}×100〕
【0042】
実施例11の樹脂発泡体について、上記方法によってその吸水率を測定したところ、3.6%であり、原料混合を低温で行った場合であっても、防水性にはほとんど影響はなかった。
【0043】
上記実施例11以外の各実施例及び比較例の吸水率を、それぞれ表1、2、3、4及び表5に併記する。尚、実施例4については、70℃に設定された恒温槽中で72時間及び168時間加熱後の吸水率も併せて測定した。その結果を表1に併記する。
また、末端単官能性化合物を添加することによる、ポリウレタンフォーム本来の特性に対する影響を確認するため、実施例4及び6並びに比較例1の物性を測定した。その結果を表6に示す。
尚、各物性の測定方法は下記の通りである。
【0044】
▲1▼ 密度、反発弾性及び硬さ:JIS K6401
▲2▼ 引張強さ、引張伸び及び引裂強さ:JIS K6301
▲3▼ 圧縮残留歪:JIS K6401
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
表1の結果によれば、ポリオールの全量をダイマー酸系ポリオールとした実施例1、及び汎用のポリエーテルポリオールに各種疎水性ポリオールを20重量部併用した実施例2〜5では、吸水率は最大でも4.3%であり、極めて防水性に優れたフォームであることが分かる。また、表2の結果によれば、疎水性ポリオールとして液状クロロプレン系のものを20重量部使用し、各種末端単官能性化合物を配合した実施例6、9でも、吸水率は最大で4.8%であり、同様に非常に優れた防水性を有するフォームである。
【0052】
更に、表3〜4の結果によれば、整泡剤のケイ素含有率を変化させた場合、含有率の低下とともに吸水率が大きくなる傾向にはあるが、含有率が最も低い実施例20でも20%弱であって、各比較例に比べれば格段に優れており、また、ケイ素含有率が5%以上であれば吸水率は10%以下となり、含有率が10%を越えれば吸水率は5%前後以下となり、非常に優れた防水性を有することが分かる。
【0053】
一方、表5の結果によれば、末端単官能性化合物を全く配合していない比較例1〜3では、吸水率は100%を少し越えており、各実施例に比べてその防水性は極めて劣るものであることが分かる。
また、本発明では、得られたフォームを高温(70℃)に長時間さらした場合も、吸水率の増加はみられるものの、上記の各比較例の吸水率の絶対値と比べれば遙かに優れており、防水性能の耐久性も高いことが分かる。
更に、表6の結果によれば、末端単官能性化合物を配合することによる物性の低下はほとんどみられず、本発明では、フォームの特性は実用上何ら損なわれることなく、優れた防水性が実現されていることが分かる。
【0054】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、活性基が、末端単官能性化合物の末端の隣の炭素原子に結合している場合、末端はメチル基ばかりでなく、反応さえすれば炭素数6以上の長鎖の炭化水素基であってもよいし、その中間部に、例えば、−NH−、−O−、−S−、−CO−及び−N(R)−などの基を有するものであってもよく、これらは反応性が低く、フォーム表面に結合すると考えられ、防水性の向上にとってより好ましい。
【0055】
更に、セロソルブアセテート類、ナフサ、キシレン、トルエン等の有機溶媒、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、メタノール、ブタノール等のモノアルコール及び有機カルボン酸とのエステル類、DBP等の多塩基酸エステル類、ステアリン等の炭素数8以上の脂肪酸及び/又はその塩類、及び精油等の単品又は混合物などを、フォームの本来有する特性が損なわれない範囲、通常はフォーム100重量部に対して0.5〜5重量部程度の量配合することにより、防水性能を更に高めることもできる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の防水性樹脂発泡体では、疎水性の非常に強い長鎖の炭化水素基を有する末端単官能性化合物がフォーム表面に化学的に結合されているため、優れた防水性能が実現されるとともに、それが長期に渡って安定して維持される。また、フォームを高温の環境に晒した場合も、従来技術による防水性能に比べ、遙かに高い防水効果が維持される。更に、ポリオールとして、末端単官能性化合物との相溶性に優れる疎水性ポリオールを使用しているため、低温においてフォーム原料を調製した場合でも、何ら問題なく発泡体を得ることができ、また、優れた防水性もそのまま維持される。
【0057】
また、特に上記のように末端単官能性化合物との相溶性に優れる疎水性ポリオールを適量使用することにより、末端単官能性化合物の種類が限定されず、フォーム表面に結合される長鎖炭化水素基等の種類、結合量等を容易に制御することができ、用途、目的に応じて適宜の防水性を有する防水性フォームを得ることができる。この防水性は、特定量のケイ素を含有する整泡剤を使用することによっても調整できる。
【0058】
更に、本発明では、各実施例からも分かるように、末端単官能性化合物の配合量が少量でも十分な防水効果が得られる。そのため、従来品のようにフォーム中に物理的に取り込れた多量の疎水性材料等が、経時的にフォーム表面に浸出し、フォーム表面が汚損されるという問題もなく、電子部品等塵埃を嫌う部品のパッキン材等としても使用でき、また、シーリング材等両面粘着テープによって貼着、固定するような材料にも何ら問題なく使用できる。更に、従来技術のように油性のものを多量に使用することによる整泡の難しさ、言い換えれば、フォームが製造し難いという問題もない。
Claims (5)
- ポリイソシアネート、1又は2以上の少なくとも2個の活性水素基を有する化合物、及び整泡剤を含有する発泡性組成物を、発泡、硬化させて得られる樹脂発泡体において、
上記化合物のうちの少なくとも一つは、主鎖が実質的に炭素−炭素結合のみからなるものであり、且つ上記発泡性組成物に、一端又は中間部に炭素数6以上の炭化水素基を有し、他端に、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基と反応する1個の活性基、若しくは上記化合物に含まれる活性水素基と反応する1個の活性基(これら活性基は末端の炭素原子又は該末端炭素原子の隣の炭素原子に結合している。)を有するモノイソシアネート及びモノアミンから選ばれる1種又は2種以上である末端単官能性化合物を含有させ、上記樹脂発泡体に防水性を付与したことを特徴とする防水性樹脂発泡体。 - 上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物は、ポリジエン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール及び液状クロロプレン系ポリオールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の防水性樹脂発泡体。
- 上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物を100重量部とした場合に、上記末端単官能性化合物が0.1〜35重量部配合される請求項1又は2記載の防水性樹脂発泡体。
- 上記末端単官能性化合物1重量部に対し、上記少なくとも2個の活性水素基を有する化合物のうち、主鎖が実質的に炭素−炭素結合のみからなるものを1〜10重量部配合してなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防水性樹脂発泡体。
- 下記の方法によって測定した上記防水性樹脂発泡体の吸水率が、1.5〜20%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防水性樹脂発泡体。
吸水率:50×50×20(厚さ)mmの試験片を、厚さ方向に圧縮率50%で圧縮し(従って、厚さは10mmとなる。)、水温23℃で、水面下10cmの水中に24時間浸漬した時の重量増加を測定し、この重量増加の割合を、50%圧縮時の試験片の体積を基準として表す。〔吸水率(%)={浸漬前後の重量変化(g)/50%圧縮時の試験片の体積(cm 3 )}×100〕
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