JP3963891B2 - 播種装置 - Google Patents
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本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繰出ロールを取り換えることなく、条播と均播との切り替え作業ができるようにした播種装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る播種装置1は、育苗箱3を搬送する移送機構4上方に設けられていてそのロール外周面15Aに種子を個別収納可能な繰出凹部50が軸方向多数列形成されている繰出ロール15と、
この繰出ロール15の上方に配置されたホッパ12と、
このホッパ12内に貯留された種子を前記繰出ロール15のロール外周面15Aの上部側へ向けて供給する種子溜部46と、
前記ホッパ12と繰出ロール15との間に配置されていて繰出ロール15のロール外周面15Aに対して前記種子溜部46よりも回転方向の後方側で摺接しつつ回転可能に設けられ且つ当該ロール外周面15Aの繰出凹部50以外に付着する種子を払い出す回転ブラシ48と、
この回転ブラシ48の繰出ロール回転方向後方側から繰出ロール回転方向に向けて且つロール外周面に沿って設けられていて繰出凹部50内に収納された種子を繰出ロールの下部側に案内する繰出案内体16と、
これらを支持する装置フレーム11とを有する播種装置において、
前記繰出ロール15の多数列の繰出凹部50による播種密度は均播となる密ピッチに設定され、
前記繰出ロール15の軸方向に間隔をおいて配置されると共に繰出ロール15のロール外周面15Aに繰出凹部50を横切って繰出ロール15の周方向に形成された周溝55に挿脱自在に挿入されていて繰出凹部50に入る種子を制限する繰出制限部材56を備え、
この繰出制限部材56を支持する連接棒61を回転ブラシ48と繰出案内体16の上端側との間に繰出ロール15の回転軸心方向に配置すると共に該連接棒61を装置フレーム11に着脱自在に取り付け、
前記繰出制限部材56は、連接棒61から回転ブラシ48に向けて且つ繰出ロール15に沿って延出されていると共にその延出端側が回転ブラシの下部側を通って該回転ブラシから繰出ロール回転方向前方側に延出するように設けられている。
また、繰出制限部材56を周溝55から離脱させれば、既に収納状態にある種子をそのまま放置する(即ち、収納状態のままにする)ことになり、全ての繰出凹部50による種子繰り出しによって均播を行うことができる。
これらによって、繰出ロール15を取り換えることなく、条播と均播との切り替え作業ができる。
このようにすることで、繰出制限部材56を配置する周溝55にスクレーパ57が挿入される周溝を利用することができ、また、繰出制限部材56の挿脱作業、即ち、条播、均播の切り替え作業が簡単にできる。
図2は本発明に係る播種装置1の一実施形態を示す平面図であり、図3はその側面図である。また図4は図3に対応する側断面図である。これら図2乃至図4から明らかなように、この播種装置1は、育苗箱3を移送する移送機構4に対しその上方に、床土及び覆土を供給する土入れ手段や灌水手段を具備して設置されている。
移送機構4は、例えば長手方向を平行させて設けられるアングル材等の条材から形成された左右一対のコンベアフレーム5間に、その長手方向に多数本のコロ6が回転自在に架設され、このコロ6がチェーン等の伝動手段7を介してモータにより駆動される構造である。この移送機構4により、育苗箱3は図3及び図4の右から左方へ向けて移送される。
ロール軸14に平行する状態で装置フレーム11内に変速軸20が回転自在に架設されており、これらロール軸14と変速軸20とは互いに同じ側の軸端部に設けられた連動ギヤ21,22の噛合によって連動回転が可能になっている。変速軸20はロール軸14よりも長く、連動ギヤ22が設けられた側とは反対側へ突出するようになっており、この突出部分には第1変速入側ギヤ23と第2変速入側ギヤ24とがそれぞれ一体回転可能に設けられている。
ホッパ12の下側には、繰出ロール15へ向けて斜めに傾斜したシュート部45が設けられ、このシュート部45と繰出ロール15のロール外周面15Aとの間に種子溜部46が形成されるようになっている。
この回転ブラシ48は、例えば繰出ロール15を回転駆動させるためのモータ42により変速軸20に一体回転可能に設けられるギヤ50から歯車列などを介してブラシ軸49へと回転駆動力の分配を受けるようにして、繰出ロール15と同一方向に回転駆動される。
上記した回転ブラシ48は、これらの繰出ロール15の繰出凹部50に対して種子溜部46内の種子を押し入れる役目と、繰出凹部50に入らずにそれ以外のロール外周面15Aに付着する種子を払い出して種子溜部46へ押し戻す役目とを奏することになる。
一般に、平面長方形の育苗箱3に対して条播を行う場合、育苗箱の短手方向(幅方向)では種子間隔を粗くして20列(16列や26列とする場合もある)とする。そのため従来であれば、繰出ロール15のロール外周面15Aに設ける繰出凹部50の条列数もロール軸方向で20列だけとしていたが、本発明に係る播種装置1が具備する繰出ロール15において、繰出凹部50の条列数は、ロール軸方向で39列設けてある。この条列数は、育苗箱3に対して条播を行う条列数の約2倍に相当することになるが、繰出ロール15としての軸方向長さは従来のものと変えていないため、条列相互間の間隔寸法で比較すれば20列にする場合の半分に(密状態に)圧縮されていることになる。
繰出ロール15のロール外周面15Aには、その周方向で並ぶ全ての繰出凹部50(各条列中に含まれる繰出凹部50)を横切ってこのロール外周面15Aを一周する周溝55が設けられている。この周溝55はロール軸方向で並ぶ全ての繰出凹部50の条列に対して設けられている。また、この周溝55は繰出凹部50内の略中央部で、この繰出凹部50よりも深く形成されている。
図5から明らかなように、繰出制限部材56は1本おきとなる合計19列分の周溝55に対応して設けられている。すなわち、繰出制限部材56が設けられていない周溝55により横切られている繰出凹部50の条列は20列分あり、これらは互いに条播に対応した粗ピッチ(H=2h)になっていることになる。これら繰出制限部材56は、スペーサ用カラー60と交互に連接棒61に串刺し状に貫通され、並設状態に固定されている。図2に示したように、この連接棒61にはその両端部に取付用ブラケット62が設けられており、装置フレーム11の左右の側板10間にこの取付用ブラケット62をボルト止めすることにより、これら側板10間で架設されるようになっている。
図1に示すように、繰出ロール15に対してこの繰出制限部材56が設けられる位置は、種子溜部46内にあって回転ブラシ48へ至るまでの周方向領域とされている。好ましくは、回転ブラシ48が繰出ロール15のロール外周面15Aに対して摺接している領域内(ブラシの中)に繰出制限部材56の先端が分け入るような配置で位置付ければよい。
勿論、これと逆の動作をすることで、繰出制限部材56を各周溝55へ一斉に挿入させることも可能である。すなわち、必用に応じて繰出制限部材56を周溝55に挿入させたり離脱させたりすることが自在になっている。
これに対し、繰出制限部材56を全ての周溝55から脱出させた状態では、種子溜部46にて繰出凹部50内に収納された全ての種子が、その収納されたままの状態で回転ブラシ48を通過することになる。
そして、クラッチ34によって繰出ロール15の回転速度を高低に切り換えることを可能にすることにより、例えば、均播をする場合は、繰出ロール15を高速回転して、育苗箱3の長手方向の播種量を多くし、条播をする場合は、繰出ロール15を低速回転して、育苗箱3の長手方向の播種量を少なくしたりすることができ、条播においては、各条の種子間隔を条間隔と一致させたりすることも可能になる。
図4に示すように、繰出ロール15に対してこのスクレーパ57が設けられる位置は、育苗箱3の真上で対向するようになる周方向領域とされている。このスクレーパ57よって繰出凹部50内に収納されている全ての種子は周確実に押し出され、育苗箱3へと播種される。また枝梗、ゴミ等の掃除もできるようになっている。
すなわち、このような種子が繰出ロール15の回転、回転ブラシ48による摺接、種子相互の衝突等によって攪拌されるとき、種子はその長軸を繰出ロール15の周方向に対して傾斜させる姿勢となる傾向にあり、従って繰出凹部50の長軸50Aを繰出ロール15の周方向に平行にさせた場合に比べて入り易くなるのである。
そのため、この長軸50Aが繰出ロール15の周方向に対して傾斜した挟角θを5〜30°の範囲にするのが好適であることがわかっている。なお、長軸50Aの傾斜の向きは回転ブラシ49の回転方向及びブラシの螺旋向き(要するに種子が横移動する向き)により決定される。
そしてその他の繰出凹部50(繰出制限部材56が設けられていない周溝55により横切られている繰出凹部50)では種子が収納された状態のまま回転ブラシを通過することになる。繰出凹部50内に収納された種子は、繰出案内体16に案内されながら、繰出ロール15の下部まで移動してきたときに、繰出案内体16の届かない位置で自然落下するか、又はスクレーパ57により押し出されて育苗箱3内の床土の上に強制落下される。その結果、育苗箱3に対しては例えば20条の条播が実施される。
一方、繰出制限部材56が外されていれば、種子溜部46にて全ての繰出凹部50内に種子が収納された状態のまま回転ブラシ48を通過することになるので、育苗箱3に対しては例えば39条の均播が実施される。
この播種された種子は、相互に衝突するということがなく、育苗箱3の移送方向に対して傾斜した状態で、かつ育苗箱3の移送方向に条列となっており、育苗後に田植え機の掻き取り爪で掻き取られる範囲に確実に入る。
例えば、繰出ロール15に設ける繰出凹部50の条列数は、39条(繰出制限部材56の挿入対象は19条)とすることが限定されるものではなく、31条(同、16条)としたり、51条(同、26条)としたりすることも可能である。
また、繰出凹部50の条列数を45条とし、3列おきを条播用の繰出凹部50とし、その条播用の繰出凹部50の各間に2枚の種子制限部材56を配置することも可能である。
3 育苗箱
4 移送機構
15 繰出ロール
15A ロール外周面
46 種子溜部
48 回転ブラシ
50 繰出凹部
55 周溝
56 繰出制限部材
Claims (3)
- 育苗箱(3)を搬送する移送機構(4)上方に設けられていてそのロール外周面(15A)に種子を個別収納可能な繰出凹部(50)が軸方向多数列形成されている繰出ロール(15)と、
この繰出ロール(15)の上方に配置されたホッパ(12)と、
このホッパ(12)内に貯留された種子を前記繰出ロール(15)のロール外周面(15A)の上部側へ向けて供給する種子溜部(46)と、
前記ホッパ(12)と繰出ロール(15)との間に配置されていて繰出ロール(15)のロール外周面(15A)に対して前記種子溜部(46)よりも回転方向の後方側で摺接しつつ回転可能に設けられ且つ当該ロール外周面(15A)の繰出凹部(50)以外に付着する種子を払い出す回転ブラシ(48)と、
この回転ブラシ(48)の繰出ロール回転方向後方側から繰出ロール回転方向に向けて且つロール外周面に沿って設けられていて繰出凹部(50)内に収納された種子を繰出ロールの下部側に案内する繰出案内体(16)と、
これらを支持する装置フレーム(11)とを有する播種装置において、
前記繰出ロール(15)の多数列の繰出凹部(50)による播種密度は均播となる密ピッチに設定され、
前記繰出ロール(15)の軸方向に間隔をおいて配置されると共に繰出ロール(15)のロール外周面(15A)に繰出凹部(50)を横切って繰出ロール(15)の周方向に形成された周溝(55)に挿脱自在に挿入されていて繰出凹部(50)に入る種子を制限する繰出制限部材(56)を備え、
この繰出制限部材(56)を支持する連接棒(61)を回転ブラシ(48)と繰出案内体(16)の上端側との間に繰出ロール(15)の回転軸心方向に配置すると共に該連接棒(61)を装置フレーム(11)に着脱自在に取り付け、
前記繰出制限部材(56)は、連接棒(61)から回転ブラシ(48)に向けて且つ繰出ロール(15)に沿って延出されていると共にその延出端側が回転ブラシの下部側を通って該回転ブラシから繰出ロール回転方向前方側に延出するように設けられていることを特徴とする播種装置。 - 前記繰出制限部材(56)よる制限を受けない繰出凹部(50)による播種密度は条播となる粗ピッチに設定されていることを特徴とする請求項1記載の播種装置。
- 前記周溝(55)は全列の繰出凹部(50)に形成され、繰出ロール(15)の下部の種子放出位置において全周溝(55)にスクレーパ(57)が挿入されており、前記繰出制限部材(56)は1列おきの周溝(55)に挿入されていて一体挿脱可能にすべく互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の播種装置。
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