JP3963865B2 - 地図表示システム、地図表示方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば地理情報システム等との連携を図りつつ地図データを適正に表示する装置等に係り、特にレイヤ構造に対応したラスタレイヤを取り扱う地図表示装置、地図表示システム、及び地図表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日では、地図データをサーバよりクライアント端末に送信し、当該クライアント端末で表示することが一般的になされている。例えば、インターネットを介して地図データの送受信をする場合には、クライアント端末側では、ブラウザ等を用いて地図データを解析し、画面表示する。ここで、地図データには、一般的に、ラスタデータとベクトルデータとがある。前者のラスタデータは地図を細かなドットの集合で示したイメージデータであり、後者のベクトルデータは地図を線分や図形の集合で示したデータである。そして、ネットワーク環境に配設されたサーバで地図データを保持する場合には、情報の検索や更新処理の便宜上、ベクトルデータで管理されていることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来技術のように、ネットワーク環境下で地図データをベクトルデータで管理する場合、別々に開発された地理情報システムの地図データは独自のフォーマットとなっていることから、当該地図データを取り扱うためには個別のアプリケーションソフトウェアを用いる必要がある。更に、各地図データのフォーマットが異なっている事から、異なる地理情報システムの地図データ等を加工・編集して適正に表示することも困難である。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、異なる地理情報システムにおいて異なるフォーマットで管理されている地図データをラスタデータに変換し各種処理を行うことでラスタレイヤを生成し、地図データの加工・編集等といった利用の自由度を高めることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、
河川地理情報システムサーバ、道路地理情報システムサーバ、災害支援用地理情報システムサーバを含む複数の地図情報システムサーバと、この各地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信自在に接続された地図表示装置と、を有する地図表示システムにおいて、上記各地図情報システムサーバは、上記地図表示装置と通信する第1通信部と、ベクトルレイヤを展開する表示メモリと、上記地図表示装置からデータ取得要求がなされると、ベクトルレイヤを読み出し、当該ベクトルレイヤを上記表示メモリに展開してイメージデータを生成し、当該イメージデータと、当該イメージデータに付随する位置情報、縮尺、ラスタレイヤの大きさのデータを含む属性データと、を上記第1通信部を介して上記地図表示装置に送信するよう制御する第1制御部と、を有しており、上記地図表示装置は、上記地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信する第2通信部と、上記第2通信部を介して受信した上記イメージデータ及び上記属性データを少なくとも記憶する記憶部と、上記イメージデータに付随する属性データを付加したテーマ別ファイルとしてラスタレイヤを生成し、当該ラスタレイヤについて正規化変換処理、変換補正処理を含む所定処理を行った後に、これら所定処理後のラスタレイヤを上記第2通信部を介してクライアント端末に送信するように制御する第2制御部と、を有する、ことを特徴とする地図表示システムが提供される。
本発明の第2の態様では、河川地理情報システムサーバ、道路地理情報システムサーバ、災害支援用地理情報システムサーバを含む複数の地図情報システムサーバと、この地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信自在に接続された地図表示装置と、を有する地図表示システムによる方法において、上記各地図情報システムサーバが、第1制御部により、上記地図表示装置からデータ取得要求がなされると、ベクトルレイヤを読み出し、当該ベクトルレイヤを表示メモリに展開してイメージデータを生成し、当該イメージデータと、当該イメージデータに付随する位置情報、縮尺、ラスタレイヤの大きさのデータを含む属性データとを第1通信部を介して上記地図表示装置に送信し、上記地図表示装置が、第2制御部により、第2の制御部により受信した上記イメージデータに付随する属性データを付加したテーマ別ファイルとしてラスタレイヤを生成し、当該ラスタレイヤについて正規化変換処理、変換補正処理を含む所定処理を行った後に、これら所定処理後のラスタレイヤを上記第2通信部を介してクライアント端末に送信する、ことを特徴とする地図表示方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
先ず、図1には本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムの構成を示し説明する。地図表示システムは、基本的には、地図表示装置としてのサーバ1と、各種の地理情報システム(GIS; Geographic Information System)サーバ2からなる。但し、これらにクライアント端末3a,3b,3c・・・(以下、これらを符号3で総称する)を加えたものを地図表示システムとしてもよい。
【0015】
GISサーバ2は、環境情報と経済情報の地理的位置分布状況をデータベースで保持し、これら情報に基づく各種シミュレーションも可能である。GISサーバ2には、例えば、河川GISサーバ2a、道路GISサーバ2b、災害支援用GISサーバ2c、その他のGISサーバ2d等が含まれている。
【0016】
そして、地図表示装置としてのサーバ1とGISサーバ2とは、専用線4等を介して通信可能に接続されている。サーバ1とクライアント端末3とは、インターネット等のネットワーク5等を介して通信可能に接続されている。
【0017】
尚、GISサーバ2においては、同じ地域に対して建物や道路等、データの内容別にファイルを作成し、保持する。これらのファイルは個別に見ると、その地域における建物だけを抜き出した地図、道路だけを描いた地図に対応する。こうしたテーマ別ファイルを「レイヤ」と称する。さらに、地理情報を表現したデータの中で、空間の構造を表現する位置等の情報(図形情報)以外のものは属性データと称される。この「属性データ」は、関係データベース等で管理し、利用時に図形情報と結合されるのが一般的であるが、これに限定されない。
【0018】
ここで、図2を参照して、前述したような構成である、本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムによる特徴的な動作の概略を説明する。
【0019】
サーバ1よりGISサーバ2に対してデータ取得要求(リクエスト)がなされると(#1,#3)、GISサーバ2では、不図示のデータベースに蓄積されたベクトルレイヤ(数値データ)を読み出し、当該ベクトルレイヤをGISサーバ2内の表示メモリに展開してBMP等のイメージデータを生成し、このイメージデータと属性データとをサーバ1に返信する(#2,#4)。なお、この属性データには、例えば、位置情報、縮尺、大きさ等のデータが含まれる。
【0020】
第1の実施の形態では、上記GISサーバ2は、情報の検索や更新処理の便宜からベクトルレイヤで地図データを管理しているが、これには限定されないことは勿論である。また、GISサーバ2の表示メモリ上でベクトルレイヤを展開してイメージデータを生成するため、高速で出力することができる。BMP等のイメージデータは、ベクトルレイヤに比べてデータサイズが小さいことから処理系への負担は軽く、送信時間も短時間となることは勿論である。
【0021】
サーバ1では、受信したイメージデータと属性データとに基づいて、縮尺調整や大きさの調整を行い、その結果をラスタレイヤとして管理する。このラスタレイヤの重ね合わせ処理では、地図の正規化変換、各種レイヤ補正、色合わせを行う。サーバ1は、ラスタレイヤをクライアント端末3に送信する。クライアント端末3では、ラスタレイヤを重ね合わせ処理して表示メモリ等に展開し、不図示の表示部にて表示する。なお、サーバ1側でラスタレイヤの重ね合わせ処理を行った後に、その結果をクライアント端末3に送信してもよい。
【0022】
ここで、地図表示装置としてのサーバ1の詳細な構成は、図3(a)に示される通りである。図3(a)に示されるように、サーバ1は、当該サーバ1全体の制御を司るための制御部11に、通信部12、外部記憶部13、表示部14、入出力部15、記憶部16の各部が通信自在に接続され、構成されている。
【0023】
通信部12は、専用線4を介してGISサーバ2と、或いはネットワーク5を介してクライアント端末3と通信するためのものである。表示部14は、地図等を実際に表示するためのものである。入出力部15は、各種操作入力等を受けるものである。そして、記憶部16、外部記憶部13は、アプリケーションプログラムやGISサーバ2等から送られたデータを記憶するものである。
【0024】
図3(b)には、制御部11により実行されるアプリケーションプログラム20の各機能を示し説明する。このアプリケーションプログラム20は、ラスタレイヤ作成機能20aと正規化変換機能20b、変換補正機能20c、ラスタレイヤ送信機能20dからなる。このようなアプリケーションプログラム20の各種機能20a〜20dにより、GISサーバ2から送信されたイメージデータ及び属性データの入力を受けて、生成したラスタレイヤを出力する。
【0025】
以下、図4乃至図8を適宜参照して、上記アプリケーションプログラム20の各機能20a乃至20dに基づく制御部11の処理について説明する。
【0026】
先ず、図4を参照して、ラスタレイヤ作成処理について説明する。
【0027】
GISサーバ2の各種データベースには、ベクトルレイヤ(数値データ)A乃至Cが蓄積されている。このベクトルレイヤA乃至CをGISサーバ2の表示メモリ等に展開し、BMP等のイメージデータを生成し、このイメージデータと属性データDをサーバ1に送信する。サーバ1では、制御部11が、ラスタレイヤ作成機能20aに基づいて、このイメージデータと属性データDとに基づいてラスタレイヤを生成する。即ち、ラスタレイヤとは、イメージデータに付随する情報(属性データ等)を付加したテーマ別ファイルをいう。
【0028】
次に、図5,6を参照して、正規化変換処理について説明する。
【0029】
図5(a),(b)に示される各ラスタレイヤは、その基点や縮尺、色指定が異なる。そこで、ラスタレイヤの基点を確認し、更には各ラスタレイヤの拡大縮小を行い、地図表示の縮尺に合わせ、色指定が異なる場合には色補正を行う。
【0030】
次いで、図6(a),(b)に示されるように、各ラスタレイヤの基点を合せた後に、座標の位置合わせを行う。以上の正規化変換処理は、制御部11がアプリケーションプログラム20の正規化変化機能20bに基づいて行う。
【0031】
次に、図7を参照して、変換補正処理について説明する。
【0032】
ここでは、先ず緯度、経度を基に座標変換を行い(せん断処理)、球面補正、ズレ補正等を行う(ビットデータ整合変換)。以上の変換補正処理は、制御部11がアプリケーションプログラム20の変換補正機能20cに基づいて行う。
【0033】
最後に、図8を参照して、ラスタレイヤ送信処理について説明する。
【0034】
ここでは、ベース地図と前述のようにして生成されたラスタレイヤを各クライアント端末3に送信する。このラスタレイヤ送信処理は、制御部11がアプリケーションプログラム20のラスタレイヤ送信機能20dに基づいて行う。
【0035】
以下、図9のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムの地図表示に係る一連の動作を詳細に説明する。
【0036】
これは、第1の実施形態に係る地図表示方法にも相当する。
【0037】
クライアント端末3よりサーバ1に対してラスタレイヤのデータ取得要求(リクエスト)がなされる(ステップS1)。サーバ1は、このクライアント端末3からのリクエストを受信すると(ステップS2)、GISサーバ2に対してラスタ描画要求を行う(ステップS3)。GISサーバ2は、ラスタ描画要求を受けるとレイヤ描画を行い(ステップS4)、画面表示を行い(ステップS5)、表示・描画されたデータの選択を受け(ステップS6)、表示・描画されたデータの送信を行う(ステップS7)。サーバ1は、GISサーバ2で描画されたイメージデータと属性データを受信すると(ステップS8)、前述した手法によりラスタレイヤを生成し、当該ラスタレイヤの全てに対して大きさの調整(ステップS9)、正規化変換、各種レイヤ補正、色合わせ等を行い(ステップS10)、表示・描画されたラスタレイヤをクライアント端末3に送信する(ステップS11)。こうして、クライアント端末3は、描画メモリ毎にラスタレイヤを受信し(ステップS12)、送信された描画用画像を描画する(ステップS13)。
【0038】
尚、以上説明した図9のフローチャートでは、クライアント端末3からのリクエストに応じてデータ送信する例を挙げて説明したが、これに限定されず、GISサーバ2からの自発的な送信(例えば、バッチ処理や一定時間毎に自動的に送信するような設定に基づく処理等)によりクライアント端末3に描画させるように変更することも可能であることは勿論である。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、効率よく分類されたラスタレイヤをサーバ1からクライアント端末3に送信するので、ベクトルレイヤを送信する場合に比べて送受信時間を短縮することができ、更にクライアント端末による表示のための処理負担も軽減される。尚、上記処理をスタンドアロン型の地図表示装置で実現する場合にも、表示のための処理負担が軽減され、しかも各種処理を施すのに好適な形式で地図データを保持できる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、前述したような第1の実施の形態に係る地図表示システムの基本構成を採用して災害対策に応用した第2の実施の形態に係る災害支援システムについて説明する。図10には、第2実施形態に係る災害支援システムの構成を示し説明する。この災害支援システムは、画面表示部100、仮想地図生成部101、ラスタレイヤ地図管理部102、GISマネジャ部103、ラスタ地図管理部104、GISオブジェクト部105、外部情報管理部106からなる。
【0041】
このような構成において、各部100乃至106は、以下の役割を担う。
【0042】
即ち、画面表示部100は、操作者からの入力情報を受け付けて当該入力情報に基づく演算結果を画面表示する。仮想地図生成部101は、対象地域の地図と災害情報とを合成し、地図情報を画面表示部100に送る。ラスタレイヤ地図管理部102は、地図データと災害情報GISデータとを組み合せて管理する。GISマネジャ部103は、他の災害情報GISシステムに対して情報の取得を指示、管理する。ラスタ地図管理部104は、ラスタファイル化した基盤地図、他のGISシステムから取得した災害情報のラスタファイルを管理する。GISオブジェクト部105は、他のGISシステムや外部から取得した災害情報を管理する。外部情報管理部106は、他のシステムや電話、FAX、無線、報道情報から取り込んだ災害情報を管理する。
【0043】
以下、図11のフローチャートを参照して、第2の実施の形態に係る災害支援システムによる、管内地図の表示、地図のスクロール等の操作、レイヤ設定変更の操作の各々に伴う処理を説明する。
【0044】
災害対策本部長等の操作により、画面表示部100に所定地域の管内地図を表示するコマンドが入力されると(ステップS21)、画面表示部100は、ラスタレイヤ地図管理部102に対して、指定の地域、位置の地図を表示するように指示する(ステップS22)。この指示を受けると、ラスタレイヤ地図管理部102は、ラスタ地図管理部104に対して所定地域の地図の展開を指示する(ステップS23)。この指示を受けると、ラスタ地図管理部104は、ディスクから所定地域の地図を読み込んで展開準備する(ステップS24)。そして、展開完了すると、ラスタレイヤ地図管理部102は、仮想地図生成部101に地図データを展開する(ステップS25)。こうして、仮想地図生成部101は、画面表示部100に地図を表示する(ステップS26)。
【0045】
一方、災害対策本部長等の操作により、管内地図のスクロール、縮尺変更、ランドマークの操作が行われると、画面表示部100は、地図のスクロール、縮尺変更、ランドマーク操作(特定位置の検索、表示)を行うため、ラスタレイヤ地図管理部102に対して指定地域の位置変更、縮尺変更を指示する(ステップS27)。ラスタレイヤ地図管理部102は、地図の表示位置を修正するため、仮想地図生成部101に対して地図情報の差分展開を指示する(ステップS28)。仮想地図生成部101は、ラスタ地図管理部104に対して、非表示地域の地図を選択する(ステップS29)。ラスタ地図管理部104は、所定地域の地図の展開準備する(ステップS30)。こうして、仮想地図生成部101は、画面表示部100に地図を表示する(ステップS31)。
【0046】
一方、災害対策本部長等の操作により、レイヤの色設定情報を変更を行うコマンドが入力されると(ステップS32)、画面表示部100は、ラスタレイヤ地図管理部102に対して地図上に表示されている災害情報の色補正を指示する(ステップS33)。ラスタレイヤ地図管理部102は、色補正した災害情報を仮想地図生成部101に送信する(ステップS34)。こうして、仮想地図生成部101は、画面表示部100に地図を表示する(ステップS35)。
【0047】
次に、図12のフローチャートを参照して、第2実施形態に係る災害支援システムによる、被害状況の確認、特定被害情報の表示に伴う処理を説明する。
【0048】
災害対策本部長等の操作により被害情報が災害支援GISにアクセスすることで確認され(ステップS41)、災害対策本部長等により、画面表示部100に対してGISマネジャ部103より被害情報を取得するよう指示がなされると(ステップS42,S43)、GISマネジャ部103は、災害支援GISから被害情報、ラスタレイヤを取得し、ラスタ地図管理部104に格納する(ステップS44,S45)。GISマネジャ部103は、ラスタレイヤを取得し、GISオブジェクト部105に格納する(ステップS46)。すると、GISオブジェクト部105は、GISマネジャ部103を経由して、ラスタレイヤ地図管理部102に対して、災害支援GISから被害情報の取得完了を通知することになる(ステップS47)。こうして、GISマネジャ部103は、画面表示部100に災害支援GISの被害情報取得完了通知を行う(ステップS48)。
【0049】
一方、災害対策本部長等による操作で、画面表示部100に対して特定の被害情報を表示するコマンドが入力されると(ステップS49)、画面表示部100はラスタレイヤ地図管理部102に対して被害情報の表示を指示する(ステップS50)。ラスタレイヤ地図管理部102は、この指示を受けると、GISオブジェクト部105に対してGISオブジェクトの取得を要求し(ステップS51)、GISオブジェクトを展開する(ステップS52)。ラスタレイヤ地図管理部102は、ラスタ地図管理部104に対して、被害情報の地図展開を指示する(ステップS53)。ラスタ地図管理部104は、地図ファイルを仮想地図生成部101に展開する(ステップS54)。こうして、仮想地図生成部101は、画面表示部100に地図を表示する(ステップS55)。
【0050】
次に、図13のフローチャートを参照して、第2実施形態に係る災害支援システムによる、外部情報から被害情報を入力して表示する処理を説明する。
【0051】
災害対策本部長等の操作により、被害情報が、外部情報管理部106にアクセスすることで確認される(ステップS61)。災害対策本部長等により、画面表示部100に対してGISマネジャ部103より被害情報を取得するように指示がなされると(ステップS62,S64)、GISマネジャ部103は、外部情報管理部106に対して被害状況の取得要求を行う(ステップS63)。GISマネジャ部103は、GISオブジェクト部105を介して、外部情報管理部106から、被害情報、位置情報を取得し(ステップS65乃至S67)、それらを画面表示部100に表示する(ステップS68)。
【0052】
一方、災害対策本部長等による操作で、画面表示部100に対して特定の被害情報を表示するコマンドが入力されると(ステップS69)、画面表示部100はラスタレイヤ地図管理部102に対して被害情報の表示を指示する(ステップS70)。ラスタレイヤ地図管理部102は、この指示を受けると、GISオブジェクト部105に対してGISオブジェクトの取得を要求し(ステップS71)、GISオブジェクトを展開する(ステップS72)。ラスタレイヤ地図管理部102は、ラスタ地図管理部104に対して被害情報の地図展開を指示する(ステップS73)。ラスタ地図管理部104は、地図ファイルを仮想地図生成部101に展開する(ステップS74)。こうして、仮想地図生成部101は、画面表示部100に地図を表示する(ステップS75,S76)。
【0053】
ここで、図14乃至図17には災害情報取得例を示し説明する。
【0054】
先ず、図14(a)に示される例では、ラスタレイヤ311には、イメージデータ312と属性データ313が含まれている。この属性データ313には、地名、緯度、経度、縮尺、縦、横サイズ、GISオブジェクトが含まれている。このラスタレイヤ311に基づく表示は、図14(b)に示される通りである。この例では、災害情報はGISオブジェクトに格納されており、当該災害情報に基づいて、地図314には道路崩落個所315(×印)と迂回路316(曲線)が表示されることになる。
【0055】
次に、図15(a)に示される例では、ラスタレイヤ321には、イメージデータ322と属性データ323が含まれている。この属性データ323のGISオブジェクト324には、災害情報として、
災害種別 ・・・ 崩落
位置情報 ・・・ ○○○大使館
地図上の色情報・・・ 赤色
が含まれている。このラスタレイヤ321に基づく表示は、図15(b)に示される。この例では、地図325には、道路崩落個所326(×印)と迂回路327(曲線)が示される。
【0056】
一方、図16(a)に示される例では、ラスタレイヤ331は、イメージデータ332と属性データ333からなる。そして、図16(b)に示されるFAX336による浸水域被害領域情報より、当該FAXの地図335上の浸水領域338を抽出して、図16(c)に示される当該浸水領域338を含む地図337をイメージデータ332として蓄積する。このとき、属性データ333には、地名、緯度、経度、縮尺、縦、横サイズ、GISオブジェクト334が含まれ、当該GISオブジェクト334には、例えば「青山川5Km地点にて破堤発生」で浸水領域が青く塗られる旨の情報が蓄積されることになる。
【0057】
最後に、図17を参照して、基盤地図とラスタレイヤ地図との重ね合わせについて説明する。図17(a)は基盤地図341を示しており、位置情報は地図の中心点(×印)を示している。図17(b)はGISサーバから送られた災害情報の例を示しており、ラスタレイヤ地図342の位置情報は崩落地点(×印)を示している。図17(c)は外部から得た災害情報の例を示しており、ラスタレイヤ地図の位置情報は破堤地点(×印)を示している。そして、これら各位置情報を基にして、基盤地図とラスタレイヤ地図を重ね合わせると、図17(d)に示されるように災害情報が反映された地図表示がなされる。
【0058】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る災害支援システムによれば、効率よく分類されたラスタレイヤを用いることで、災害情報等を適正に表示することができる。そのとき、ラスタレイヤを用いているので、画面表示部100による表示のための処理負担も軽減されることになる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変更が可能である。上記アプリケーションプログラムを記録した記録媒体としての実施も可能である。
【0060】
さらに、上記イメージデータの中に属性データを入れ込んだデータコンテナとして通信を行うことも可能である。この場合、通信フォーマットを変更した場合であっても、当該データコンテナの内部処理を行えば足りることから、各システム及び端末の処理負担が軽減される。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、異なる地理情報システムにおいて異なるフォーマットで管理されている地図データをラスタデータに変換し各種処理を行うことでラスタレイヤを生成し、地図データの加工・編集等といった利用の自由度を高める地図表示装置、地図表示システム、地図表示方法、地図表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムによる特徴的な動作の概略を説明するための概念図である。
【図3】(a)はサーバ1の詳細な構成を示す図であり、(b)はサーバ1のアプリケーションプログラム20の各種機能を示す図である。
【図4】ラスタレイヤ作成処理を説明するための概念図である。
【図5】正規化変換処理を説明するための概念図である。
【図6】正規化変換処理を説明するための概念図である。
【図7】変換補正処理を説明するための概念図である。
【図8】ラスタレイヤ送信処理を説明するための概念図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る地図表示システムの地図表示に係る一連の動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムの構成を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる、管内地図の表示、地図のスクロール等の操作、レイヤ設定変更の操作の各々に伴う処理を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる、被害状況の確認、特定被害情報の表示に伴う処理を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる、外部情報から被害情報を入力して表示する処理を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる災害情報取得例を示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる災害情報取得例を示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる災害情報取得例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る災害支援システムによる災害情報取得例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・サーバ、2・・GISサーバ・、3・・・クライアント端末、4・・・専用線、5・・・ネットワーク、11・・・制御部、12・・・通信部、13・・・外部記憶部、14・・・表示部、15・・・入出力部、16・・・記憶部、20・・・アプリケーションプログラム。

Claims (2)

  1. 河川地理情報システムサーバ、道路地理情報システムサーバ、災害支援用地理情報システムサーバを含む複数の地図情報システムサーバと、この各地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信自在に接続された地図表示装置と、を有する地図表示システムにおいて、
    上記各地図情報システムサーバは、
    上記地図表示装置と通信する第1通信部と、
    ベクトルレイヤを展開する表示メモリと、
    上記地図表示装置からデータ取得要求がなされると、ベクトルレイヤを読み出し、当該ベクトルレイヤを上記表示メモリに展開してイメージデータを生成し、当該イメージデータと、当該イメージデータに付随する位置情報、縮尺、ラスタレイヤの大きさのデータを含む属性データと、を上記第1通信部を介して上記地図表示装置に送信するよう制御する第1制御部と、
    を有しており、
    上記地図表示装置は、
    上記地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信する第2通信部と、
    上記第2通信部を介して受信した上記イメージデータ及び上記属性データを少なくとも記憶する記憶部と、
    上記イメージデータに付随する属性データを付加したテーマ別ファイルとしてラスタレイヤを生成し、当該ラスタレイヤについて正規化変換処理、変換補正処理を含む所定処理を行った後に、これら所定処理後のラスタレイヤを上記第2通信部を介してクライアント端末に送信するように制御する第2制御部と、
    を有する、
    ことを特徴とする地図表示システム。
  2. 河川地理情報システムサーバ、道路地理情報システムサーバ、災害支援用地理情報システムサーバを含む複数の地図情報システムサーバと、この地図情報システムサーバ及びクライアント端末と通信自在に接続された地図表示装置と、を有する地図表示システムによる方法において、
    上記各地図情報システムサーバが、第1制御部により、上記地図表示装置からデータ取得要求がなされると、ベクトルレイヤを読み出し、当該ベクトルレイヤを表示メモリに展開してイメージデータを生成し、当該イメージデータと、当該イメージデータに付随する位置情報、縮尺、ラスタレイヤの大きさのデータを含む属性データとを第1通信部を介して上記地図表示装置に送信し、
    上記地図表示装置が、第2制御部により、第2の制御部により受信した上記イメージデータに付随する属性データを付加したテーマ別ファイルとしてラスタレイヤを生成し、当該ラスタレイヤについて正規化変換処理、変換補正処理を含む所定処理を行った後に、これら所定処理後のラスタレイヤを上記第2通信部を介してクライアント端末に送信する、ことを特徴とする地図表示方法。
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