JP3963552B2 - 管用溶接治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管用溶接治具に関する。詳しくは、一つの治具で仮溶接及び本溶接のときに、溶接する管同士を固定すると同時に仮溶接用トーチ及び本溶接時の溶接ヘッドの位置決めを簡単正確に行うことができる管用溶接治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道管、食品加工用機械の給排水用管等の管を溶接接続する場合には、正確な接続をするために、接続すべき2本の管の端面同士を突き合わせて支持する治具を用いて固定し、仮付け、及び本溶接を行っている。
【0003】
図5及び図6は従来の溶接ヘッド及び溶接治具を説明するための図であり、図5は溶接ヘッド、図6は溶接治具を示す。
図5に示す溶接ヘッド20は、モータ21、該モータにより溶接すべきパイプの外周を回転する図示なき電極を有する本体22、ライナー23、シールカバー24、起動・停止用押しボタンスイッチ25、制御ケーブル26、マイナス用ケーブル27、ガスホース28等を有し、管の全周を自動的に溶接することができるようになっている。
【0004】
また、図6に示す溶接治具30は、2つのVブロック31、31を並列して連結した本体32と、各Vブロックに設けられたクランプ33、33とを有し、該クランプ33,33はクランプノブ38を回動することにより上下に移動し、Vブロック31、31との間に管を保持することができるようになっている。
【0005】
前記、溶接ヘッド20、溶接治具30を用いた管の溶接作業を図7及び図8により説明する。先ず図7(a)の如く、溶接治具30の一方のクランプ33により管40を一方のVブロック31にセットする。次に図7(b)の如く、他方の管41の端面を前記一方の管40の端面に突き合わせて他方のクランプ33により管41を他方のVブロック31にセットする。次いで図7(c)の如く仮溶接用トーチ42により突き合わせ部43を複数か所仮溶接する。
【0006】
次いで、図8(a)の如く、クランプ33,33を弛めて管を移動して、その突き合わせ部43を本体51の外に出した後、2つのクランプ33,33を締め付けて固定する。次に、図8(b)の如く、管40,41に溶接ヘッド20をセットする。この場合、溶接ヘッド20の電極29が管の突き合わせ部43に一致するようにセットする。この状態で管突き合わせ部43の全周を溶接ヘッド20により本溶接を行うのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の溶接方法では、図7(c)に示した仮溶接を行う際に、仮溶接用トーチ42を手持ちで操作しているため、正確な位置に仮溶接するには熟練を要するという問題があった。また、図8(b)に示した溶接ヘッド20を管40,41にセットする際、管の突き合わせ部43に電極29を目視で位置合わせするため、暗所や高所では位置合わせが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、管を突き合わせて仮溶接する場合、熟練を要さず、正確に且つ容易に仮溶接ができ、さらに本溶接時に溶接ヘッドの位置決めが正確にできる溶接治具を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1においては、2本の管の端面同士を突き合わせて支持できる管用溶接治具であって、2つのVブロック55,55が並列して一体に形成された本体51と、各Vブロック55,55に設けられたクランプ52,52と、2つのVブロック55,55の中間に陰顕自在に設けられたセットピン53とを具備し、前記本体51には仮溶接用トーチ72を案内する2つのガイド用突起57,57よりなる案内部58が設けられたことを特徴とする。また、請求項2においては、前記セットピン53は、上部が半円状断面に形成され、その平面部を左右に回動可能で、Vブロック55に管をセットするとき、本体51の左右いずれからでも管の端面を前記セットピン53の平面部に当接させることができることを特徴とする。また、請求項3においては、前記案内部58は少なくとも2か所設けられたことを特徴とする。
【0010】
この構成を採ることにより、管を突き合わせて仮溶接する場合、案内部58により溶接用トーチが管の突き合わせ部に案内されるため、熟練を要さずに、正確に且つ容易に仮溶接することができる。
【0011】
また、請求項4においては、前記本体51に溶接ヘッド本体74の位置決め用として本体51の側部に当りピン75を設けると共に、該当りピン75に当接される溶接ヘッド本体74の電極76に、仮溶接した管の突き合わせ部73を位置決めするため、前記本体51のVブロック55のV溝に並行して本体51に貫通孔を設け、該貫通孔に、一端に位置決め用のニードル65を有し、他端にスライドロッドノブ66を有するスライドロッド54を摺動可能に設けたことを特徴とする。また、請求項5においては、前記スライドロッドノブ66は、前記本体51からのスライドロッド54の突出長さを調整可能な調整手段を有することを特徴とする。この構成を採ることにより、溶接ヘッド本体の電極と管の突き合わせ部との位置合わせを正確に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明の実施の形態を示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は側面図、図2(a)は上面図、図2(b)は図1(a)のb−b線における断面図、図2(c)は図1(b)のc−c線における断面図である。
【0013】
本実施の形態の管溶接用治具50は、本体51と、クランプ52と、セットピン53と、スライドロッド54とを具備して構成されている。
【0014】
そして本体51は、2つのVブロック55,55が並列して連接されてその中間部には底部が平坦な溝56が形成されており、該溝56の前後には、本発明の要点である2つのガイド用突起57,57よりなる案内部58が2ヵ所に設けられている。その一方の案内部58はVブロック55の前方に突出し、他方の案内部58はVブロック55の上方に突出している。そして、溝56の幅及び案内部58の2つの突起57,57の間隔は仮溶接用のトーチの先端がガタなく挿入されるような幅となっている。
【0015】
また、クランプ52はVブロック55を、V溝に対して直角方向に貫通し、キー溝59に係合した回転止めねじ60により回転せずに上下に摺動可能なクランプボルト61と、該クランプボルト61の先端に設けられたクランプブロック62と、クランプボルト61の他端に螺合したクランプノブ63と、ランプブロック62を上方に付勢する戻しばね64とよりなり、クランプノブ63を回転することによりクランプブロック62を上下に移動させることができ、Vブロック55に載置した管をクランプブロック62により押圧固定することができるようになっている。
【0016】
また、セットピン53は断面が半円状の先端部を有し、本体51の溝56の中央に回転可能に且つ上下に移動可能に設けられている。また、スライドロッド54は、2つのVブロック55,55の前部を貫通して左右に移動可能に設けられ、その一端には位置決め用のニードル65が該スライドロッドの軸線に対して直角に設けられ、他端には該スライドロッドの本体51からの突出長さを微調整できるスライドロッドノブ66が設けられている。なお、セットピン53の断面が半円状になっているのは、管を本体の左右いずれからでもセットしたとき、その端面を本体の中央に位置決めできるようにするためである。
【0017】
このように構成された本実施の形態の溶接治具の作用を図3及び図4により説明する。
先ず、図3(a)の如く、セットピンノブ53aを押圧し、セットピン53をV溝より押し出しておき、該セットピン53の先端の平面部に一方の管70の端面を押しあて、その状態でクランプノブ63を締付方向に回動して一方のクランプブロック62を引き下げ一方のVブロック55とクランプブロック62との間に管70を固定する。
【0018】
次に図3(b)の如く、セットピンノブ53aによりセットピン53をV溝より引下げ、他方の管71の端面を一方の管70の端面に突き当て、該管71を他方のクランプブロック62により他方のVブロック55に固定する。これにより管突き合わせ部73は本体51の中央に位置決めされる。次いで、図3(c)の如く仮溶接用トーチ72のノズルを2つのガイド用突起57,57間に差し込み、管の突き合わせ部73を複数か所仮溶接する。図は2か所の案内部58,58により2か所を仮溶接している状態である。
【0019】
この場合、仮溶接用のトーチ72は案内部58のガイド用突起57,57により案内されるため、未熟練者でも正確且つ容易に仮溶接することがでいる。この後、図4(a)に示すように、スライドロッド54のスライドロッドノブ66を押し込み、該スライドロッド54を矢印A方向に移動させると共に、2つのクランプノブ63を弛め、管70,71の仮付けした突き合わせ部73をニードル65の先端に合わせる。次いで(b)図の如く、スライドロッド54を矢印B方向へ移動させ、溶接ヘッド本体74を本体51に設けられた当りピン75に密接するようにして管71に取り付けた後、該溶接ヘッド本体74により突き合わせ部73の全周を溶接するのである。
【0020】
なお、溶接ヘッド本体74は、その端面から電極76までの寸法が溶接ヘッド個々により多少異なる場合があるが、その場合は、ニードル65が電極76の位置に合致するように、本体51からのスライドロッド54の突出長さをスライドロッドノブ66により予め調整しておく。これにより、管突き合わせ部73の本溶接を正確に行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の管用溶接治具に依れば、2本の管の端面同士を突き合わせて溶接する場合、仮溶接時は、仮溶接用のトーチを案内部のガイド用突起により案内することができるため、未熟練者でも正確に且つ容易に仮溶接することができ、また同一治具で本溶接を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、(a)は上面図、(b)は図1(a)のb−b線における断面図、(c)は図1(b)のc−c線における断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の作用を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態の作用を説明するための図である。
【図5】従来の溶接ヘッドを示す図である。
【図6】従来の溶接治具を示す図である。
【図7】従来の管溶接方法を説明するための図である。
【図8】従来の管溶接方法を説明するための図である。
【符号の説明】
50…管用溶接治具
51…本体
52…クランプ
53…セットピン
54…スライドロッド
55…Vブロック
56…溝
57…ガイド用突起
58…案内部
59…キー溝
60…回転止めねじ
61…クランプボルト
62…クランプブロック
63…クランプノブ
64…戻しばね
65…ニードル
66…スライドロッドノブ
70、71…管
72…仮溶接用トーチ
73…突き合わせ部
74…溶接ヘッド本体
75…当りピン
76…電極
Claims (5)
- 2本の管の端面同士を突き合わせて支持できる管用溶接治具であって、
2つのVブロック(55,55)が並列して一体に形成された本体(51)と、各Vブロック(55,55)に設けられたクランプ(52,52)と、2つのVブロック(55,55)の中間に陰顕自在に設けられたセットピン(53)とを具備し、
前記本体(51)には仮溶接用トーチ(72)を案内する2つの突起(57,57)よりなる案内部(58)が設けられたことを特徴とする管用溶接治具。 - 前記セットピン(53)は、上部が半円状断面に形成され、その平面部を左右に回動可能で、Vブロック(55)に管をセットするとき、本体(51)の左右いずれからでも管の端面を前記セットピン(53)の平面部に当接させることができることを特徴とする請求項1記載の管溶接治具。
- 前記案内部(58)は少なくとも2か所設けられたことを特徴とする請求項1記載の管用溶接治具。
- 前記本体(51)に溶接ヘッド本体(74)の位置決め用として本体(51)の側部に当りピン(75)を設けると共に、該当りピン(75)に当接される溶接ヘッド本体(74)の電極(76)に、仮溶接した管の突き合わせ部(73)を位置決めするため、前記本体(51)のVブロック(55)のV溝に並行して本体(51)に貫通孔を設け、該貫通孔に、一端に位置決め用のニードル(65)を有し、他端にスライドロッドノブ(66)を有するスライドロッド(54)を摺動可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の管溶接治具。
- 前記スライドロッドノブ(66)は、前記本体(51)からのスライドロッド(54)の突出長さを調整可能な調整手段を有することを特徴とする請求項4記載の管溶接治具。
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