JP3962159B2 - 湯水混合栓における壁面取付機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、湯水混合水栓における壁面取付機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に、湯水混合栓を壁面に設置するための従来の取付機構の一例を示す。
【0003】
図5において、配管取出し金具71,71が、壁72に形成された給湯・給水の取出口a,bに埋め込まれた状態で給湯・給水配管(図示せず)にねじ止めされており、各取出し金具71,71と湯水混合栓73の各偏心管74,75との間に取付けられるアダプター76,77を介して湯水混合栓73が配置されている。このアダプター76,77は、その一端が、偏心管74,75に設けた通水孔Kに挿入されてメクラ栓78,78により固定されており、一方、他端は、アダプター76,77に固定配置されている座金79,80とともにシールテープSでねじ山81,82をシールすることにより取出し金具71,71にねじ止めされる。なお、83は蛇口である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、湯水混合栓73の場合においては、単独水栓と異なり、湯水混合栓73の配管への取付を取出口a、取出口bごとに別個に行う必要があり、作業工数が多くなり、施工に手間がかかる。
【0005】
また、取出し金具71,71、アダプター76,77等の継手部品や、偏心管74,75等の取付に必要な接続部品が多く必要となる。また、コスト高になる。
【0006】
さらに、湯水混合栓73は壁72との間に偏心管74,75を介して設置されるので、その分、前出しが大きくなり、コンパクト化に問題がある。
【0007】
しかも湯水混合栓3を取出し金具71,71から離脱する際には、その取出し金具71,71からの取り外し時に、ねじ止めを解除する必要があるから、特殊な環境下や設置場所により、作業性が容易ではないという問題が生じる。
【0008】
この発明は、上記問題に鑑みてなしたもので、その目的は、容易な取付作業で、湯水混合栓本体を給湯、給水各配管に取付けることができるとともに、構成部品を少なくしてコスト安を実現でき、さらに、取付スペースを縮小化できる湯水混合栓における壁面取付機構を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、湯水混合栓本体を壁面に設置して、給湯配管および給水配管からそれぞれ供給される湯および水を、湯水混合栓本体の湯・水導入口から、湯水の混合室に連通する湯室・水室に導くための湯水混合栓における壁面取付機構において、給湯配管に接続される湯取入口、給水配管に接続される水取入口および湯・水の取出口を一体的に形成した管継手と、前記湯取入口と給湯配管を連通する連通部材と、前記水取入口と給水配管を連通する連通部材と、湯水混合栓本体の前記湯・水導入口に嵌め込まれて前記湯室・水室にそれぞれ連通する湯および水の導入路を形成する第1嵌込部材と、管継手の前記湯・水の取出口に嵌め込まれて給湯、給水各配管に連通する湯および水の取出路を形成する第2嵌込部材と、管継手を壁面に形成された設置穴に固定・設置する固定部材と、前記設置穴に設置された管継手の前記湯・水の取出口と湯水混合栓本体の前記湯・水導入口とを接続して管継手に湯水混合栓本体を取付ける取付部材とから構成され、更に、管継手に形成された前記湯取入口および水取入口をねじ穴とし、前記連通部材を、可撓性の接続管と、この接続管に接続される被接続部材と、前記可撓性の接続管の下流端に連通連結し、管継手に形成された前記湯取入口および水取入口に螺着する下流側中継管と、前記可撓性の接続管の上流端に連通連結する上流側中継管とで構成するとともに、この上流側中継管の管端と前記被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、このフランジ同士を当接させた状態で、上流側中継管に対して前記被接続部材を抜け止め保持するクリップを設け、また、前記管継手は、湯・水の取出口が形成されたフランジ部分と、設置穴に挿入可能な本体部分とを備え、前記本体部分は下面が平坦面にカットされた形状を有すると共に、本体部分の平坦面を除く外周面にねじが形成されている一方、前記固定部材は、管継手の平坦面に係合する正面視D型の開口および壁の背面に形成された溝に嵌合する突起を有するリングと、前記本体部分の外周面のねじに螺着し前記リングを壁の背面に押圧するナットとを備えている。
また、上記湯水混合栓における壁面取付機構において、前記下流側中継管を、管継手の下側に接続するように構成してあってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、それによってこの発明は限定を受けるものではない。
【0011】
まず、湯水混合栓側の構成要素について説明する。
図1、図2において、1は、混合湯水の吐水管2を備えた湯水混合栓本体で、吐水管2の接続口が連設された湯水の混合室を備えている。そして、混合室に対する湯室および水室の連通部に、レバー3の回動操作に連動して湯・水の混合比と流量の調整を行うための弁が設けられている。前記レバー3は、湯水混合栓本体1の上面側に設置される上面タイプのものではなく、湯水混合栓本体1の一端に設置される、いわゆる正面タイプのものである。4は、湯水混合栓本体1に設けた湯・水導入口で、第1嵌込部材5が嵌め込まれている。この第1嵌込部材5は断熱機能を有する材料からなり、湯室、水室7を仕切る仕切部に嵌め込まれる形で回り止めされており、湯室に連通する湯導入路Mへ後述する管継手7側からの湯を取り入れるための湯穴8と、水室に連通する水導入路へ水を取り入れるための水穴が並設されている。なお、6は、シール部材である。
【0012】
次に、湯水混合栓本体1に取付けられる管継手7の構成要素について説明する。
前記管継手7は、流し台N正面の壁9に形成された設置穴10に固定・設置される。管継手7は、正面視D型の湯・水の取出口11が形成されたフランジ部分40と、設置穴10に挿入可能な大きさの本体部分41とで構成されている。この本体部分41は下面が平坦面41aにカットされた形状を有する。そして、前記湯・水の取出口11の上流側に形成された湯穴11aおよび水穴に嵌め込まれる第2嵌込部材12によって湯取出路13および水取出路が形成される。すなわち、前記湯取出路13および水取出路は、第2嵌込部材12を構成する一対の筒状アダプター14,15によって形成される。湯取出路13は前記筒状アダプター14によって形成され、水取出路は前記筒状アダプター15によって形成され、両筒状アダプター14,15共、第1嵌込部材5と同様に断熱機能を有する材料からなる。
【0013】
更に、前記筒状アダプター14は、筒体部分14aとフランジ部分14bとから構成され、同じく筒状アダプター15は、筒体部分とフランジ部分15bとから構成され、筒状アダプター14,15同士は、フランジ部分14b,15bに形成された切欠きを当接面Aとして湯・水の取出口11から湯穴11aおよび水穴に嵌め込まれる。なお、16は筒状アダプター14の外周に設けたシール部材で、筒状アダプター15の外周にも同様のシール部材が設けられている。なお、湯・水の取出口11内には、湯供給路mおよび水供給路を仕切る仕切壁が形成されており、この仕切壁によって前記当接面Aを除いた筒状アダプター14,15の部分が仕切られて位置決めされる。
【0014】
17は、管継手7に形成された湯取入口で、ねじ穴としてある。このねじ穴17には、一端が給湯配管18に接続された連通部材19の他端が螺着される。そして、給湯配管18からの湯は、連通部材19を通りねじ穴17から湯供給路mに至る。同様に、給水配管20からの湯は、連通部材21を通りねじ穴から水供給路に至る。
【0015】
前記連通部材19,21は、可撓性のサプライ管(接続管)22,23を有し、サプライ管22,23の上流端に中継管24,24が連通連結されている。そして、この中継管24,24には逆止弁(被接続部材)25,25が連通連結されている。
【0016】
以下、連通部材19について図3を参照して説明する。
前記サプライ管22は例えば合成樹脂からなる可撓管であり、その外側面を例えばステンレス製の網体によって耐圧保護している。26はサプライ管22の上流端に嵌合される金属からなるリングであり、中継管24の下流端にサプライ管22を挿入した状態でこのリング26をかしめることにより、中継管24とサプライ管22との接続を強固にしている。
【0017】
前記中継管24は例えば真鍮からなるパイプ材を例えばプレス加工することにより形成されている。すなわち、中継管24の下流側の外周には前記サプライ管22の抜け止め用の波状部分24aを形成し、上流側の端部にはフランジ24bと内径拡大部分24cとを形成している。
【0018】
一方、逆止弁25は例えば真鍮からなる棒材を旋盤加工などにより切削して形成しており、その内部には逆止弁本体(図示せず)を挿入するための弁室25aを形成し、上流端側には給湯配管18に接続する雌ねじ25bを形成している。逆止弁25の下流端側の接続部分25cは前記内径拡大部分24cの内径に挿入できる外径であり、この接続部分25cの外周には二つのOリング25d,25dを埋設している。そして、これらのOリング25d,25dより内側の管にはフランジ25eを形成している。
【0019】
27はクリップで、一枚の帯状の金属部材を折曲形成してなり、図4に示すように、挿通部Gと、開口部Bと、一対の長孔C,Cとを有している。そして、全体として弾性を有している。
【0020】
30は、クリップ27の脱落防止カバーである。この脱落防止カバー30は、クリップ27の前記開口部Bを形成する一対の開口端j,jに跨がって開口部Bを被覆するカバー本体31と、このカバー本体31から連設され、クリップ27の前記開口端j,jのそれぞれ外周面側から当接する一対の防止片32,32とから構成され、前記カバー本体31によって、外部力によるクリップ27の脱落を防止できるとともに、前記防止片32,32によって、クリップ27の前記開口端j,j同士が外側へ開くのを防止できる。
【0021】
この脱落防止カバー30の取り付けは以下のようにして行われる。すなわち、まず、逆止弁25の前記接続部分25cを中継管24の内径拡大部分24cに挿入し、かつ、フランジ24b,25e同士が当接した状態で、クリップ27を両フランジ24b,25eを挟み込むように挿入することにより、中継管24に対して逆止弁25が抜け止め保持された状態となる。
【0022】
しかる後に、クリップ27の開口端j,jに跨がって上方側から脱落防止カバー30を防止片32,32を通してクリップ27に外嵌装着する。これにより、防止片32,32が開口端j,jのそれぞれ外周面に当接し、開口端j,j同士が外側へ開くのを防止できる。よって、クリップ27が容易に脱落することがない。
【0023】
更に、脱落防止カバー30のカバー本体31には、逆止弁25の二つのOリング25d,25dを梱包・出荷時等に保護するための保護口33aを有するキャップ部33を内側に設けて、当該Oリング25d,25dの保護カバーを兼用するように構成してある。
【0024】
一方、サプライ管22,23の下流端にも中継管35,35が連通連結されている。また、36は、サプライ管22,23の上流端に嵌合される金属からなるリングであり、中継管35,35の下流端にサプライ管22,23を挿入した状態でこのリング36をかしめることにより、中継管35,35とサプライ管22,23との接続を強固にしている。この構成は、中継管24とサプライ管22との接続と同様である。
【0025】
前記中継管35は、先端外周に、管継手7に形成されたねじ穴17に螺着するねじ35aが形成されている。
【0026】
次に、管継手7を設置穴10に固定・設置する固定手段について説明する。
【0027】
管継手7の本体部分41の前記平坦面41aを除く外周面にはねじrが形成されている。また、管継手7の前記フランジ部分40の外周面にもねじsが形成されている。43は、管継手7の回り止め機能を持つリングで、ナット44によって壁9の背面9aに押圧された状態で設置される。このリング43は、管継手7の前記平坦面41aに係合する正面視D型の開口43aを有する。また、リング43は、壁9の背面9aに形成された溝9bに嵌合する突起45を有する。よって、壁9の正面9b側から設置穴10に挿入された管継手7は、リング43を介してナット44締めにより壁9に固定される。なお、47は、メクラ栓である。
【0028】
続いて、管継手7に湯水混合栓本体1を取付ける取付手段について説明する。
【0029】
50は、一端がワッシャ51を介してEリング52で湯水混合栓本体1に接続設置される第1取付部材で、この第1取付部材50の他端は内周に、管継手7の前記フランジ部分40の外周面に形成されたねじsに螺合するねじを有する。53は第2取付部材で、管継手7の本体部分41に形成されたねじrに螺合するねじを内周に有するとともに、取付時において前記第1取付部材50の他端を覆う被覆部53aを有する。よって、壁9の正面9b側から設置穴10に挿入された管継手7は、リング4およびナット44で設置穴10に固定・設置された後、第2取付部材53および第1取付部材50の順で管継手7に対してねじ止めすることにより管継手7に湯水混合栓本体1を取付けることができる。
【0030】
更に、前記連通部材19,21の管継手7への接続は、中継管35に形成したねじ35aを管継手7に形成されたねじ穴17に螺着するだけで容易に行われる。この場合、漏れ防止のためにシールテープを使用するのが好ましい。
【0031】
而して、リング43およびナット44で壁9に固定した管継手7に湯水混合栓本体1を第1,2取付部材50,53、ワッシャ51およびEリング52で取付けることができるとともに、管継手7に形成した湯取入口17および水取入口用の各ねじ穴に可撓性のサプライ管22,23の下流端に連通連結した中継管35,35をねじ込むだけで、連通部材19,21を介して管継手7と給湯、給水各配管18,20を連通でき、更に、可撓性のサプライ管22,23の上流端に連通連結した中継管24,24の管端と逆止弁25,25との両方にそれぞれ設けたフランジ24b,25e同士を当接させた状態で、クリップ27,27を用いて中継管24,24に対して逆止弁25,25を抜け止め保持できる。なお、図1には、脱落防止カバー30を省略している。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、1つの管継手で、給湯、給水各配管からの湯水の供給と、湯水混合栓本体への取出を行うことができ、作業工数を削減できて取付の手間が省ける。
【0033】
また、従来用いていた偏心管を不要にできるとともに、取付に必要な接続部品を減数できる。また、コスト安になる。
【0034】
更に、偏心管を不要にできた分、前出しを小さくできてコンパクト化が可能になるとともに、コンパクト化に伴う取付スペースの縮小化が可能である。
【0035】
また、この発明では、湯水混合栓本体の湯・水導入口に第1嵌込部材を嵌め込み、管継手の湯・水の取出口に第2嵌込部材を嵌め込むので、第1,2嵌込部材を断熱機能を有する材料で形成すれば、漏れ防止を図ることができる上に、水温の湯温による上昇を防止できるとともに、圧力の拡張も防止できる利点を有する。
【0036】
また、クリップを用いて接続管に対して被接続部材を抜け止め保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 上記実施形態における構成説明図である。
【図3】 上記実施形態におけるクリップを装着した状態を示す構成説明図である。
【図4】 上記実施形態におけるクリップ装着時の状態を示す斜視図である。
【図5】 従来例を示す全体構成説明図である。
【符号の説明】
1…湯水混合栓本体、4…湯・水導入口、5…第1嵌込部材、7…管継手、9…壁、10…設置穴、11…湯・水の取出口、12…第2嵌込部材、17…湯取入口、18…給湯配管、19,21…連通部材、20…給水配管、22,23…可撓性のサプライ管(接続管)、24…上流側中継管、24b,25e…フランジ、25…逆止弁(被接続部材)、27…クリップ、35…下流側中継管、43…リング、44…ナット、50…第1取付部材、51…ワッシャ、52…Eリング、53…第2取付部材。
Claims (2)
- 湯水混合栓本体を壁面に設置して、給湯配管および給水配管からそれぞれ供給される湯および水を、湯水混合栓本体の湯・水導入口から、湯水の混合室に連通する湯室・水室に導くための湯水混合栓における壁面取付機構において、給湯配管に接続される湯取入口、給水配管に接続される水取入口および湯・水の取出口を一体的に形成した管継手と、前記湯取入口と給湯配管を連通する連通部材と、前記水取入口と給水配管を連通する連通部材と、湯水混合栓本体の前記湯・水導入口に嵌め込まれて前記湯室・水室にそれぞれ連通する湯および水の導入路を形成する第1嵌込部材と、管継手の前記湯・水の取出口に嵌め込まれて給湯、給水各配管に連通する湯および水の取出路を形成する第2嵌込部材と、管継手を壁面に形成された設置穴に固定・設置する固定部材と、前記設置穴に設置された管継手の前記湯・水の取出口と湯水混合栓本体の前記湯・水導入口とを接続して管継手に湯水混合栓本体を取付ける取付部材とから構成され、更に、管継手に形成された前記湯取入口および水取入口をねじ穴とし、前記連通部材を、可撓性の接続管と、この接続管に接続される被接続部材と、前記可撓性の接続管の下流端に連通連結し、管継手に形成された前記湯取入口および水取入口に螺着する下流側中継管と、前記可撓性の接続管の上流端に連通連結する上流側中継管とで構成するとともに、この上流側中継管の管端と前記被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、このフランジ同士を当接させた状態で、上流側中継管に対して前記被接続部材を抜け止め保持するクリップを設け、また、前記管継手は、湯・水の取出口が形成されたフランジ部分と、設置穴に挿入可能な本体部分とを備え、前記本体部分は下面が平坦面にカットされた形状を有すると共に、本体部分の平坦面を除く外周面にねじが形成されている一方、前記固定部材は、管継手の平坦面に係合する正面視D型の開口および壁の背面に形成された溝に嵌合する突起を有するリングと、前記本体部分の外周面のねじに螺着し前記リングを壁の背面に押圧するナットとを備えていることを特徴とする湯水混合栓における壁面取付機構。
- 前記下流側中継管を、管継手の下側に接続するように構成してある請求項1に記載の湯水混合栓における壁面取付機構。
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