JP3961580B2 - 一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板および大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法 - Google Patents

一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板および大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板および大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
船や橋梁のような大型構造物は、あらかじめ除錆し一次防錆塗装した鋼材を用いて建造する方式、いわゆる“ショッププライマー方式”が広く採用されている。
【0003】
このようなショッププライマー方式で用いられる一次防錆塗料としては、ウォッシュプライマー、エポキシジンクプライマー、エポキシノンジンクプライマーなどの有機一次防錆塗料、シリケート系結合剤などの結合剤を用いた無機ジンク一次防錆塗料が知られている。これらの一次防錆塗料のうちでは、溶接性に優れた無機ジンク一次防錆塗料が広く用いられている。
【0004】
ところで、従来は、鋼板の表面に形成される無機ジンク一次防錆塗料の標準的な平均乾燥膜厚は15μmである。溶接性を向上させるため10〜12μmの薄膜で塗装することも試みられてきたが、膜厚のバラツキが大きいため防錆効果が不十分となるなどの問題点があった。
【0005】
なお、従来最も一般的に採用されている一次防錆塗料の塗装方法は次のとおりである。すなわち、2個のスプレーチップをそのスプレーパターンの端が互いに10cm程度重なるように設置し、これらを一定速度で移動する鋼板の上を鋼板の進行方向と直交方向に往復運動させて塗装する方法である。この方法は2個のスプレーチップで一度に幅広く塗装できるため塗装効率が高いが、2回塗り重ねの設定に対して、スプレーパターンの端の重なりが描くX文様によって3回、4回の塗り重ね部が高頻度で現れる欠点がある。この様子を図8に示す。図8の(a)は鋼板の進行方向と直交方向にスプレー塗装した際の塗り回数を示す図であり、図8の(b)は(a)のスプレー塗装方向と反対方向にさらにスプレー塗装した後の塗り回数を示す図であり、図8の(c)は、(b)のスプレー塗装方向と反対方向、すなわち(a)のスプレー塗装方向とおなじ方向にスプレー塗装した後の塗り回数を示す図である。また、スプレーパターンの端の重なりを小さくし過ぎると、スプレーチップを高速で往復運動させる塗装方法においてはスプレーパターンが揺らぐため塗り残しや極度な薄膜となる危険が伴うという欠点がある。
【0006】
したがって、膜厚が均一で防食性(防錆性)に優れた一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板、および大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、防錆性に優れた一次防錆塗料の均質塗膜が形成された大型構造物用鋼板を提供することを目的としている。
【0008】
また本発明は、このような均質塗膜を形成することができるような大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明により得られる、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板は、一次防錆塗料の塗膜が表面に形成された大型構造物用鋼板であって、塗膜の平均乾燥膜厚が10μmを超え50μm以下であり、かつ、塗膜の膜厚のバラツキ指数(=標準偏差/塗膜の平均乾燥膜厚)が0.18以下であることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る大型構造物用鋼板の一次防錆塗料塗装方法は、スプレーチップの互いのスプレーパターン巾が同一である複数の固定スプレーチップを、塗装すべき大型構造物用鋼板の進行方向沿いに互いに間隔をおいて配設した塗装ラインであって、
前記スプレーチップを互いのスプレーパターンが同時にはそれぞれ重ならない位置に配置するとともに、
進行方向に互いに隣接するスプレーチップの大型構造物用鋼板進行方向と直交方向における間隔をスプレーパターン巾の1/n[nは2以上の整数]にし、かつ、
進行方向におけるスプレーパターンの重なりが重ね塗り回数nに応じた数となるように、進行方向にスプレーチップを配列した塗装ラインを設けておき、
大型構造物用鋼板を一定速度で一方向に進行させながら大型構造物用鋼板の表面に一次防錆塗料をスプレー塗装して平均乾燥膜厚が10μmを超え50μm以下で、かつ膜厚のバラツキ指数(=標準偏差/塗膜の平均乾燥膜厚)が0.18以下である均質塗膜を形成することを特徴としている。
【0011】
本発明では、スプレーチップとしては塗料の霧化を促進する二重チップ構造を有するFFチップを用いることが好ましい。
本発明によれば、防錆性に優れ一次防錆塗料の厚い均質塗膜が形成された大型構造物用鋼板が提供される。従って、本発明によれば、形成された一次防錆塗膜の表面に塗布すべき塗料の量を節減させることができる。
【0012】
また本発明によれば、このような均質塗膜を形成することができるような大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法が提供される。
【0013】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明により得られる、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板および大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法について具体的に説明する。
【0014】
まず、本発明により得られる、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板について説明する。本発明の大型構造物用鋼板表面に形成された塗膜は、有機一次防錆塗料からなる有機系塗膜であってもよく、無機一次防錆塗料からなる無機系塗膜であってもよい。有機一次防錆塗料としては、ウォッシュプライマー、エポキシジンクプライマー、エポキシノンジンクプライマーなどが挙げられ、無機一次防錆塗料としては、シリケート系結合剤などの結合剤を用いた無機ジンク一次防錆塗料が挙げられる。とくに有機一次防錆塗料を用いると、膜厚が均一で防食性に優れ、一次防錆塗膜表面に塗布すべき塗料の量を節減できる。また無機一次防錆塗料を用いると、溶接性に優れ、膜厚が均一で防食性に優れた塗膜が得られる。これらの防錆塗料のうちでは無機系一次防錆塗料が好ましく、特に無機ジンク一次防錆塗料が好ましい。
【0015】
本発明の大型構造物用鋼板表面に形成された塗膜は、平均乾燥膜厚が10μmを超え50μm以下、好ましくは10μmを超え35μm以下、特に好ましくは10μm〜20μmの薄膜であり、かつ膜厚のバラツキ指数(=標準偏差/塗膜の平均乾燥膜厚)が0.18以下、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.12以下の均質塗膜である。塗膜の平均乾燥膜厚および塗膜の膜厚のバラツキ指数を上記のような範囲にすると、大型構造物の防食(防錆)効果を十分に発揮することができる。とくに、塗膜の平均乾燥膜厚および塗膜の膜厚のバラツキ指数を上記のような範囲にすると、例えば無機ジンク一次防錆塗料の場合にはその優れた防錆性を低下させることなく、溶接性の向上も図ることができる。
【0016】
上記のような本発明により得られる、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板は、次のような一次防錆塗料の塗装方法を採用することによって製造することができる。
【0017】
たとえば実質的に同一のスプレーパターン巾を有する複数の固定スプレーチップを、塗装すべき大型構造物用鋼板の進行方向沿いに互いに間隔をおいて配設した塗装ラインであって、前記スプレーチップを互いのスプレーパターンがそれぞれ重ならない位置に配置するとともに、進行方向に互いに隣接するスプレーチップの大型構造物用鋼板進行方向と直交方向における間隔をスプレーパターン巾の1/n[nは2以上の整数]にした塗装ラインを設けておき、大型構造物用鋼板を一定速度で一方向に進行させながら大型構造物用鋼板の表面に一次防錆塗料をスプレー塗装して均質塗膜を形成する塗装方法である。
【0018】
上記nが2の場合にはスプレーパターン巾の1/2が重なって塗装されるので2回塗りができ、nが3の場合にはスプレーパターン巾の2/3が重なって塗装されるので3回塗りができる。また、nが4の場合にはスプレーパターン巾の3/4が重なって塗装されるので4回塗りができる。さらに、nが5の場合にはスプレーパターン巾の4/5が重なって塗装されるので5回塗りができる。
【0019】
この塗装方法を図1の(a)をn=2の例にとって説明すると、同一のスプレーパターン巾を有する6個の固定スプレーチップ(1) を、塗装すべき大型構造物用鋼板の進行方向沿いに互いに間隔をおいて配設した塗装ラインであって、前記スプレーチップ(1) を互いのスプレーパターン(1')がそれぞれ重ならない位置に配置するとともに、進行方向に互いに隣接するスプレーチップ(1) の大型構造物用鋼板進行方向と直交方向における間隔をスプレーパターン巾の1/2にした塗装ラインを設けておき、大型構造物用鋼板(2) を図中の矢印の方向に一定速度で進行させながら大型構造物用鋼板(2) の表面に一次防錆塗料をスプレー塗装すれば2回塗りができる。図1の(a)中、斜線部分が2回塗りされた部分である。
【0020】
この鋼板が塗装ラインを通過し終わると、鋼板の全表面が2回塗りされることになる。
また、この塗装方法を図1の(b)をn=3の例にとって説明すると、同一のスプレーパターン巾を有する8個の固定スプレーチップ(1) を、塗装すべき大型構造物用鋼板の進行方向沿いに互いに間隔をおいて配設した塗装ラインであって、前記スプレーチップ(1) を互いのスプレーパターン(1')がそれぞれ重ならない位置に配置するとともに、進行方向に互いに隣接するスプレーチップ(1) の大型構造物用鋼板進行方向と直交方向における間隔をスプレーパターン巾の1/3にした塗装ラインを設けておき、大型構造物用鋼板(2) を図中の矢印の方向に一定速度で進行させながら大型構造物用鋼板(2) の表面に一次防錆塗料をスプレー塗装すれば3回塗りができる。図1の(b)中、斜線部分が3回塗りされた部分である。この鋼板が塗装ラインを通過し終わると、鋼板の全表面が3回塗りされることになる。
【0021】
この方法で用いられる一次防錆塗料は、上記のように有機一次防錆塗料であってもよく、無機一次防錆塗料であってもよい。例えば有機一次防錆塗料としては、ウォッシュプライマー(容量不揮発分10〜15%)、エポキシジンクプライマー(容量不揮発分25〜35%、塗膜中亜鉛重量濃度50〜90%)、ノンジンクエポキシプライマー(容量不揮発分18〜28%)などが挙げられる。また無機ジンクプライマーとしてはシリケート系結合剤と防錆顔料としての亜鉛末を含有して成り、容量不揮発分が17〜27%、塗膜中亜鉛重量濃度が20〜95%のものが用いられる。これ等の一次防錆塗料中、溶接性に優れる無機ジンク一次防錆塗料は最も広く用いられる。本発明による均質塗装を実施するに際しては設定する膜厚、塗り重ね回数に応じて、シンナー希釈によって粘度や容量不揮発分濃度の調整を行なうこともできるし、スプレーチップ(吐出量とパターン巾)の選定や吐出圧力の調整を行なうこともできる。このような一次防錆塗料を用いることにより均質な塗膜を得ることが可能となる。一次防錆塗料の顔料体積濃度は、塗り回数および塗膜の膜厚などの設定条件に合わせて調整すればよい。この塗装方法には、スプレーチップが固定されているためスプレーパターンの揺らぎが小さく、鋼板が一定速度で移動する限り得られる塗膜の膜厚のバラツキは小さいという利点がある。
【0022】
本発明においては、実質的に同一のスプレーパターンを有する複数のスプレーチップをそれぞれスプレーパターン巾の1/2、1/3、1/4、1/5、・・・・1/nなど任意の間隔に配置することによって、それぞれ2回、3回、4回、5回、・・・・n回などの塗り重ねをすることができる。本発明においては、nは、通常2以上の整数、好ましくは2〜5の整数であるが、このように複数回の塗り重ねを行うことにより所望の厚さの一次防錆塗膜を大型構造物用鋼板の表面に形成することができる。このような塗装の際には、塗料を射出するスプレーチップ口径(ノズル口径)、塗料の射出圧、塗装スピード、塗料中の樹脂成分あるいは固形分含有量などを適宜調整することにより塗り重ね回数を適宜選択し、所望の厚さの塗膜を形成することができる。
【0023】
本発明では図1の(a)、(b)に示すように、スプレーチップ(1) はスプレーパターン(1')同士が互いに重ならないように大型構造物用鋼板(2) の進行方向に前後にずらして配置するか、あるいは図5に示すように一直線状に並べたすべてのスプレーチップをスプレーパターンが鋼板の進行方向に対して一定角度を有し、互いに平行となるように配置してもよい。さらには、図6に示すように配置し、あるいは図7に示すようにスプレーチップ(1)を、大型構造物用鋼板(2) の進行方向に対して横一列に配置し、かつ各スプレーチップ(1)によるスプレーパターン(1')同士が同時には互いに重ならないようにスプレーチップのスプレーパターンが鋼板の進行方向に対して一定角度を有するようにしてもよい。すなわち、大型構造物用鋼板上の同一の位置に複数のスプレーチップによるスプレーパターンが同時に形成されず、かつ上述したような塗り重ねが形成される限り、スプレーチップの配置は特に限定されず、大型構造物用鋼板の移動方向に対して互いに相い前後して配置されていてもよい(図示せず)。図1および図5〜図7中の矢印はスプレーチップに対する大型構造物用鋼板(2)の相対的な移動(進行)方向を示す。
【0024】
本発明においては、大型構造物用鋼板を進行させずにスプレーチップを移動させて大型構造物用鋼板表面に一次防錆塗料をスプレー塗装することもできる。しかしながら、鋼板を固定してスプレーチップを移動させる塗装方法よりも、スプレーチップを固定して鋼板を進行させる塗装方法の方が、スプレーパターンの揺らぎが少なく、かつ塗装速度を速くすることができるため好ましい。
【0025】
本発明では、図2の(a)に示す標準チップ(3) よりも図2の(b)に示す塗料の霧化を促進する二重チップ構造を有するFFチップ(Fine Finish Tip 、美装仕上げ用チップ)(4) を用いることが好ましい。このFFチップを用いることによって、一次防錆塗料のスプレーミストがより微粒化するため塗装仕上りが良くなる。図3の(a)は、標準チップ(3) により鋼板(2) 表面に形成されるスプレーパターンにおける塗膜(5) の厚みの状態を示す。また図3の(b)は、FFチップ(4) により鋼板(2) 表面に形成されるスプレーパターンにおける塗膜(5) の厚みの状態を示す。図3の(a)と(b)を比較してわかるように、FFチップ(4) は、標準チップ(3) に比べて、スプレーパターンの端の部分の霧化性に優れるため、塗膜(5) の膜厚のバラツキを減らすことができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明により得られる、一次防錆塗料塗膜が形成された大型構造物用鋼板は、一次防錆塗料の塗膜が表面に形成された大型構造物用鋼板であって、塗膜の平均乾燥膜厚が10μmを超え50μm以下であり、かつ塗膜の膜厚のバラツキ指数が0.18以下であるので、膜厚が均一であり優れた防錆性を最大限に発揮させるこができる。
【0027】
本発明に係る大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法によれば、上記のような効果を有する均質塗膜が形成された大型構造物用鋼板が得られる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0029】
【比較例1〜3および実施例1〜3】
[供試塗料]
比較例1と実施例1については市販の長曝型ウォッシュプライマー(商品名「エバボンドK」、中国塗料社製、主剤:添加剤=4:1、容量不揮発分12.5%)を、シンナーを加えて容量不揮発分が9%となるよう調整して用いた。
【0030】
比較例2,3、実施例2,3については市販の無機ジンクショッププライマー(商品名「ウエルボンドHグリーンK」、中国塗料社製、主剤:ペースト=3:5、顔料体積濃度13%)をシンナーを加えて顔料体積濃度10%に調整して用いた。
(1)塗装試験
比較例
比較例1〜3は上述した従来の方式で塗装を行なった例であり、巾4.5m、長さ6mの鋼板を一定速度で水平に移動させ、鋼板の移動方向に対して90゜の方向にスプレーチップを往復運動させて塗装を行なった。
【0031】
塗装を全体として均等に行なうため、下式に従って鋼板とスプレーチップの移動速度を連動させた。
P=LV/v
(P:合成スプレーパターン巾[m]、
L:スプレーチップの往復移動距離[m](鋼板の巾×2[m])、
V:鋼板移動速度[m/分]、
v:スプレーチップ移動速度[m/分])
圧縮比が45:1のエヤレスポンプで、2個のスプレーチツプのそれぞれのパターン巾が被塗面とスプレーチップとの距離が0.3mのとき0.45mとなるよう圧力を調整し、かつ、2個のスプレーチップのパターン巾が互いに0.1m重なるようにスプレーチップを設置した。したがって、上記式における合成スプレーパターン巾Pは0.8mとした。
【0032】
比較例1〜3に用いた塗料の顔料体積濃度およびスプレーチップからの塗料吐出量は、塗装する膜厚に応じてそれぞれ調整した。
比較例1〜3の塗装条件等を第2表に示す。
【0033】
実施例
実施例1〜3においては、巾1.5m、長さ3mの鋼板を、本発明による方法で配置し固定した複数のスプレーチップより塗料が吐出されて形成されるスプレーパターンの下を一定速度で通過させることによって塗装を行なった。
【0034】
実施例1〜3においては、圧縮比45:1のエヤレスポンプを用い、被塗面からのスプレーチップの位置を0.4mとしてスプレーパターン巾が0.6mとなるよう圧力を調整した。
【0035】
実施例1,2においては、隣接するスプレーチップのスプレーパターンが1/2巾ずつ重なり、かつ1.5m巾の鋼板を均等に2回塗りするために6個のスプレーチップを用いた。
【0036】
実施例3においては、隣接するスプレーチップのスプレーパターンが2/3巾ずつ重なり、かつ1.5m巾の鋼板を均等に3回塗りするために10個のスプレーチップを用いた。またスプレーチップへ塗料を送るポンプとしてエヤレスポンプ2台を用いた。10個のスプレーチップに配列順に1,2,3,4,5,6,7,8,9,10とナンバーをつけるとき、2台のエヤレスポンプのうち、1台のエヤレスポンプがナンバー1,3,5,7,9のスプレーチップに塗料を送り、他のエヤレスポンプがナンバー2,4,6,8,10のスプレーチップに塗料を送るようにして、全体として塗装が均等に行なわれるように配慮した。
【0037】
実施例1については市販のウォッシュプライマー(中国塗料社製、商品名「エバボンドK」)を、実施例2,3においては市販の無機ジンクプライマー(中国塗料社製、商品名「ウエルボンドH−K」)を用い、塗料の顔料体積濃度、スプレーチップの塗料吐出量は塗装する膜厚に応じてそれぞれ調整した。
【0038】
実施例1〜3の塗装条件等を第2表に示す。
上記比較例、実施例における塗膜の膜厚の測定は、鋼板中央の鋼板の移動方向に対して直行する方向に置いて塗装したミガキ軟鋼板(長さ1m、巾3cm、厚さ0.8mm)を用いて、KETT社製膜厚計(モデルLE−210)で20点以上の膜厚を測定して、塗膜の平均乾燥膜厚、標準偏差、膜厚のバラツキ指数を求めた。
【0039】
結果を第2表に示す。
(2)防錆性試験
サイズ300mm×600mm×3.2mmのサンドブラスト処理したSS400鋼板を、塗装試験に用いた大型鋼板の上に置いて塗装し、この塗装によりSS400鋼板表面に形成された塗膜を1週間屋内で硬化させて試験片を得た。
【0040】
得られた試験片を、広島県大竹市の海岸地区に設置したバクロ台に南面45゜で固定してバクロし、経時による発錆状況を観察した。
(3)溶接性試験
サイズ600mm×100mm×12mmのサンドブラスト処理したSS400鋼板2枚を1組として、一方を上板(図4の2bに相当)として、他方を下板(図4の2aに相当)として逆T字状に組合せて水平隅肉溶接を実施した。上板の端面(下板との接触面)は機械加工によって平滑とし、溶接に先立って下板と上板の仮付溶接の際、治具を用いてクサビを打込んで固定し、下板との隙間が生じないようした。
【0041】
上板の両サイドと下板は塗装試験に用いた大型鋼板の上に置いて塗装試験と同一条件で塗装し、上板の端面(下板と接する面)は塗装しなかった。この塗装により上板と下板に形成された塗膜を室内で1週間硬化させてこの上板と下板を試験片とした。
【0042】
溶接はツインシングル法(溶接速度800mm/分)によって行なった。次いで、溶接欠陥の現れ易い第2ビードについて、ピット発生率(個/m)とブローホール発生率(溶接部破断面における全気泡断面の最大幅の合計長さ/溶接長さ×100%)を評価した。繰返しを5回行ないその平均値で評価した。
【0043】
溶接条件を第1表に示し、結果を第2表に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003961580
【0045】
【表2】
Figure 0003961580
【0046】
【表3】
Figure 0003961580
【0047】
評価結果のまとめ
[比較例1と実施例1]
比較例1と実施例1とを比較すると、バクロ3カ月目の時点で比較例1には部分的に点錆の発生がみられた。平均膜厚では、前者(比較例1)が15.6μm、後者(実施例1)が15.2μmとなっており、前者の方が厚いにもかかわらず後者の防錆性が優れていることが分かる。この理由は、最低膜厚が前者が9.4μm、後者が12.3μmであることによると考えられる。
【0048】
バクロ4カ月目の時点では、実施例1のバクロ板にも点錆の徴候がみられたが、それは全体に均等に分散していた。比較例1においては点錆の発生部の拡大とともに先の発錆部がより顕在化した。
【0049】
バクロ5カ月目においては、実施例1の場合、発錆は全体に及んだが、その進行は緩やかであった。比較例1においては一部の無発錆部(厚膜部)に対して顕著な発錆部が見られ、この発錆部は帯状の分布を示した。
[比較例2〜3、実施例2〜3]
実施例2では比較例2の場合よりも平均膜厚が2.2μm薄く、実施例3では比較例3の場合よりも平均膜厚が3.3μm薄いにもかかわらず、実施例2では比較例2の場合と、また実施例3では比較例3の場合とそれぞれ同等の防錆性を示した。すなわち点錆発生までのバクロ期間は実施例2、比較例2では5カ月であり、実施例3、比較例3では6.5カ月であった。
【0050】
さらにバクロ試験を続けたところ、これら比較例、実施例では発錆の進行は前記実施例1、比較例1の場合と同様の経過をたどり、実施例2,3では全体的にゆるやかに錆が進行したのに対し、比較例2,3では無発錆部と顕著な発錆部が見られ、この発錆部は、帯状の分布を示した。
【0051】
溶接試験においては、平均膜厚のみならず、最大膜厚及び厚膜部分の頻度(凸部の数)が大きく寄与(影響)しており、比較例2,3に比べて実施例2,3では著しい溶接性の向上が認められた。
【0052】
以上のように本発明による均質塗装によって一次防錆塗料の防錆性を犠牲にすることなく膜厚の低減、従って塗付量の低減を図ることができ、さらに溶接性を大巾に向上させ得ることが実証できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a)および(b)は、それぞれ本発明に係る大型構造物用鋼板の一次防錆塗料塗装方法における塗膜形成過程の例を示す説明図である。
【図2】図2は、スプレーチップの構造を示す断面図であり、図2の(a)は標準チップの構造を示す断面図であり、図2の(b)は従来公知のFFチップの構造を示す断面図である。
【図3】図3の(a)は、標準チップによるスプレー塗装で形成される塗膜の厚みの状態を示す説明図であり、図3の(b)は、FFチップによるスプレー塗装で形成される塗膜の厚みの状態を示す説明図である。
【図4】図4は、大型構造物用鋼板の水平隅肉溶接後の斜視図である。
【図5】図5は、本発明で用いられるスプレーチップの配置および該スプレーチップによるスプレーパターン配置の他の例を示す。
【図6】図6は、本発明で用いられるスプレーチップの配置および該スプレーチップによるスプレーパターン配置の他の例を示す。
【図7】図7は、本発明で用いられるスプレーチップの配置および該スプレーチップによるスプレーパターン配置の他の例を示す。
【図8】図8は、従来行なわれていた一次防錆塗料のスプレー往復塗装方法における塗膜形成過程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・スプレーチップ
1’ ・・・・・スプレーパターン
2,2a,2b ・・・・・大型構造物用鋼板
3 ・・・・・標準チップ
4 ・・・・・FFチップ
5 ・・・・・塗膜
6 ・・・・・溶接ビード

Claims (2)

  1. スプレーチップの互いのスプレーパターン巾が同一である複数の固定スプレーチップを、塗装すべき大型構造物用鋼板の進行方向沿いに互いに間隔をおいて配設した塗装ラインであって、
    前記スプレーチップを互いのスプレーパターンが同時にはそれぞれ重ならない位置に配置するとともに、
    進行方向に互いに隣接するスプレーチップの大型構造物用鋼板進行方向と直交方向における間隔をスプレーパターン巾の1/n[nは2以上の整数]にし、かつ、
    進行方向におけるスプレーパターンの重なりが重ね塗り回数nに応じた数となるように、進行方向にスプレーチップを配列した塗装ラインを設けておき、
    大型構造物用鋼板を一定速度で一方向に進行させながら
    大型構造物用鋼板の表面に一次防錆塗料をスプレー塗装して平均乾燥膜厚が10μmを超え50μm以下で、かつ膜厚のバラツキ指数(=標準偏差/塗膜の平均乾燥膜厚)が0.18以下である均質塗膜を形成すること
    を特徴とする大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法。
  2. 前記スプレーチップが、塗料の霧化を促進する二重チップ構造を有するFFチップであることを特徴とする請求項1に記載の大型構造物用鋼板の一次防錆塗料の塗装方法。
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