JP3961271B2 - フィルム一体キーシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話や自動車電話等の情報通信機器、音響機器等の各種電子機器において押釦スイッチに用いられるフィルム一体キーシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話や自動車電話等の移動通信端末をはじめとする各種電子機器においては、軽量化、小型化及び薄型化が要望されている。そのため、これらに用いられる押釦スイッチにおいても同様に、軽量化、小型化及び薄型化が要望されている。このような要望に応えるものとして、透光性樹脂フィルムが透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートが知られ、近年では、この種のフィルム一体キーシートが広く採用されるに至っている。
【0003】
図9に、従来のフィルム一体キーシートの断面図を示す。このフィルム一体キーシート31は、透光性樹脂フィルム32が透光性樹脂キートップ33の裏面33aを除く残余の面に固着した構成となっている。そのため、このフィルム一体キーシート31においては、透光性樹脂フィルム32の上面側に押圧部34が凸状に形成された構成となっている。そして、このフィルム一体キーシート31は、押圧部34となる透光性樹脂フィルム32の裏面32aに文字表示部35が設けられるとともに、透光性樹脂キートップ33の裏面33aに樹脂注入ゲート部36aを有する構成となっている。そして、このフィルム一体キーシート31は、一般に、透光性樹脂フィルム32を透光性樹脂キートップ33の上面側形状と略同形状に湾曲形成した後、その湾曲部内にモールド樹脂を注入することにより製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、この種のフィルム一体キーシートにおいてはデザイン競争が激化し、例えば携帯電話等に用いられる押釦スイッチのフィルム一体キーシートにおいては、多種多様なデザインが要求されている。かかる背景のもと、この種のフィルム一体キーシートにおいては、視認性に優れた高品位なデザインが要求されている。
【0005】
ところが、上記従来のフィルム一体キーシート31においては、透光性樹脂キートップ33の裏面33aに樹脂注入ゲート部36aが設けられているため、シートの押圧部34の表面側からこの透光性樹脂キートップ33を見た場合、この樹脂注入ゲート部36aが視認されてしまう。そのため、上記従来のフィルム一体キーシート31は見栄えが悪いものであった。特に、透光性樹脂フィルム32の裏面32aに文字表示部35を形成した場合に、シートの押圧部34の表面側から文字表示部35を見ると、この樹脂注入ゲート部36aによって文字表示部35の表示が歪んで視認されることとなる。すなわち、この樹脂注入ゲート部36aの存在は、文字表示部35の視認性を悪化させ、美観を損なわせる要因となっていた。
【0006】
この問題を解決するために、樹脂注入ゲート部36aの設置箇所を、図9において仮想線で示すように、透光性樹脂キートップ33の周縁部に移す方法が検討されている。しかしながら、このように構成しても、シートの押圧部34の表面側から透光性樹脂キートップ33を見た場合に樹脂注入ゲート部36aが視認されてしまい、かかる問題を解決することはできなかった。
【0007】
一方、図10に示すように、樹脂キートップ43を樹脂フィルム板42の下面よりも所定寸法下方向に突出させ、この樹脂フィルム板42の下面に突出した樹脂キートップ43の外周所定位置から半径方向外側に、樹脂注入ゲート部46aを設けたフィルム一体キーシート41が、特開平8−7698号公報に開示されている。
【0008】
しかしながら、このように樹脂キートップ43を樹脂フィルム板42の下面よりも所定寸法下方向に突出させると、その厚さLだけ樹脂キートップ43が厚くなり、フィルム一体キーシート41の薄型化が図れなくなる。また、かかる形状の樹脂キートップ43は、その製造時において溶融した熱可塑性樹脂を金型のキャビティ内に均一に充填することが難しく、所謂ショートショットやエアーポケット等が発生し易いという製造上の問題があった。そのため、特開平8−7698号公報に開示されているフィルム一体キーシート41は、外観品質に劣る低品位なものとなるばかりか生産性が低いものであり、実用に与するものではなかった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型軽量且つ薄型で、視認性に優れた高品位なデザインを具備した製造容易なフィルム一体キーシートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、透光性樹脂フィルムと透光性樹脂キートップとを備え、透光性樹脂フィルムが透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂キートップの外周側面下端に、外方へ突出する凸部が設けられ、該凸部の裏面に、前記透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部、及びエアーベント部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記凸部を、前記透光性樹脂キートップを挟んで対向する位置にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記凸部が、前記透光性樹脂キートップの外周側面の全周にわたって形成されたフランジ部であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂キートップの裏面、前記フランジ部の裏面、及び前記フランジ部の外方へ突出する前記透光性フィルムの裏面が同一平面上に位置することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記エアーベント部が、前記透光性樹脂キートップを挟んで前記樹脂注入ゲート部と対向する位置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂フィルムの表面および/または裏面に、文字表示部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂キートップの裏面に、装飾層が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記装飾層が、金属光沢を有することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一の実施の形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態のフィルム一体キーシート11は、透光性樹脂フィルム12と複数の透光性樹脂キートップ13とを備えている。透光性樹脂フィルム12は、その一部が透光性樹脂キートップ13の上面側形状と略同形状に湾曲し、透光性樹脂キートップ13の裏面13aを除く残余の面に固着している。そのため、このフィルム一体キーシート11においては、透光性樹脂フィルム12の上面側に、複数の押圧部14が凸状に形成された構成となっている。
【0020】
透光性樹脂フィルム12を構成する樹脂フィルムは、透光性を有するものであればその組成や種類、色調について特に限定されるものではなく、公知の樹脂フィルムから要求性能に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、成形加工性の良好な熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましく、特に、透光性の良好なポリカーボネート樹脂フィルムやポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム等を用いることが好ましい。
【0021】
押圧部14となる透光性樹脂フィルム12の裏面12aには、文字表示部15が形成されている。この文字表示部15は、押圧部14の上方から透光性樹脂フィルム12を介して視認されるものであり、文字・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を描画したものである。この文字表示部15は、透光性樹脂フィルム12の裏面12aに、例えばインクや塗料などを塗布又は印刷、転写等することにより形成される。なお、この文字表示部15は、乗せ文字状に描画されたものであっても、抜き文字状に描画されたものであっても構わない。また、文字表示部15は、透光性樹脂フィルム12の表面および/または裏面に形成する構成としても構わない。
【0022】
透光性樹脂キートップ13を構成する合成樹脂は、透光性を有するものであればその組成や種類、色調について特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、硬化性樹脂或いは架橋ゴムなどの公知の合成樹脂から要求性能に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、成形加工性の良好な熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、特に、透光性、機械的強度及び耐熱性等の良好なポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等を用いることがより好ましい。
【0023】
図1〜図3に示すように、この透光性樹脂キートップ13は略円筒状に形成され、その外周側面下端に、半径方向外方へ突出する凸部としてのフランジ部16が設けられた構成となっている。このフランジ部16は、透光性樹脂キートップ13の外周側面の全周にわたって形成されている。そして、透光性樹脂キートップ13の裏面13a及びフランジ部16の裏面16aは、段差のない平滑な面に形成されている。
【0024】
透光性樹脂キートップ13の裏面13aには、装飾層17が設けられている。この装飾層17は、押圧部14の上方から透光性樹脂フィルム12及び透光性樹脂キートップ13を介して視認されるものであり、赤色・青色・黄色・緑色等の有彩色、或いは白色・黒色・灰色等の無彩色、若しくは金属色を呈する層である。この装飾層17は、透光性樹脂キートップ13の裏面13aにインクや塗料などを塗布或いは印刷、転写等したり、又は、無機物を蒸着或いは転写等したりすることにより形成される。なお、装飾層17は、文字・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を表示するものであっても構わない。
【0025】
また、装飾層17は、金属光沢を有するものであることが好ましい。かかる金属光沢を有する装飾層17は、例えば、金属粉末配合塗料(メタルインク)を塗布或いは印刷などすることにより、又は、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を蒸着或いは転写等することにより形成される。このように金属光沢を有する装飾層17とすることにより、金属光沢調を呈するデザインを実現でき、高光沢で美観に優れデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0026】
さらに、装飾層17は透光性を有するものであることが好ましい。かかる透光性を有する装飾層17は、透光性を有するインクや塗料などを塗布或いは印刷等したり、又は、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を2〜300nmの厚さで蒸着等することにより形成される。このように透光性を有する装飾層17とすることにより、透光性樹脂キートップ13の裏面13a側に、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)などの照光器を付設することにより、簡易に照光機能を付与することができ、夜間や暗い場所でのフィルム一体キーシート11の視認性を向上させることができる。なお、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を5〜50nmの厚さで蒸着等することにより、金属光沢と透光性とを併せ持つ装飾層17を実現することができる。
【0027】
前記フランジ部16は、透光性樹脂キートップ13の外周側面の全周にわたって形成されいても、その一部のみを切り欠いた構成に形成されていても構わない。けれども、本実施形態の如く透光性樹脂キートップ13の外周側面の全周にわたって形成すると、透光性樹脂フィルム12を湾曲変形させる際に、その応力が透光性樹脂フィルム12に均一に加わるようになる。従って、透光性樹脂フィルム12の伸張が均一となり、生産性が向上すると共に歩留まりを向上させることができ、高品位なフィルム一体キーシート11を簡易に実現することができる。なお、フランジ部16の厚さは、透光性樹脂キートップ13の大きさや形状にもよるが、透光性樹脂キートップ13の成形性等の観点から、少なくとも0.2mm以上であることが好ましい。
【0028】
このフランジ部16の裏面16aには、透光性樹脂キートップ13の樹脂注入ゲート部G及びエアーベント部Fがそれぞれ設けられている。このように樹脂注入ゲート部G及びエアーベント部Fをフランジ部16の裏面16aに形成することにより、透光性樹脂キートップ13の裏面13aを、段差のない平滑な面とすることができる。そして、樹脂注入ゲート部Gとエアーベント部Fとは、透光性樹脂キートップ13を挟んで180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0029】
以下、本実施形態のフィルム一体キーシート11の製造方法を図4及び図5に基づいて説明する。ここでは、透光性樹脂キートップ13の成形用の上下一対の成形金型(上金型21,下金型22)を用いた製造方法を説明する。
【0030】
この上金型21には、透光性樹脂キートップ13を成形するための略円筒状の成形凹部21aと、透光性樹脂キートップ13のフランジ部16を成形するための略円筒状の成形凹部21bとが同軸線上に形成され、図示の如く、略段付円筒状のキャビティSが設けられている。一方、下金型22には、溶融樹脂を注入するための樹脂注入ゲート22aとエアーベント22bとが形成されている。この樹脂注入ゲート22a及びエアーベント22bは、上金型21の成形凹部21bに対応する位置にそれぞれ設けられ、図示の如く、上金型21のキャビティSを挟んで180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0031】
なお、樹脂注入ゲート22aは、ピンポイントゲート、ファンゲート、フィルムゲート、リングゲート、ディスクゲート、サブマリンゲート、オーバーラップゲート、ダイレクトゲート、タブゲート、エッジゲートなどが挙げられ、特に限定されるものではないが、透光性樹脂キートップ13に残るゲート痕(樹脂注入ゲート部G)が小さい等の理由から、ピンポイントゲートであることが好ましい。また、エアーベント22bのクリアランスは、通常、0.01〜0.03mm程度とすることが好ましい。
【0032】
そして、このフィルム一体キーシート11を製造するには、まず、透光性樹脂フィルム12の裏面12aに文字表示部15を形成した後、この透光性樹脂フィルム12を、上金型21と下金型22との間に挟持して型締めする。ここで、上金型21と下金型22との間に挟持する透光性樹脂フィルム12の一部を、冶具などを用いて、成形する透光性樹脂キートップ13の上面側形状(上金型21のキャビティS形状)と略同形状に予め湾曲変形させておくことが好ましい。
【0033】
次いで、下金型22の樹脂注入ゲート22aから、溶融した合成樹脂をキャビティS内に射出する。この溶融した合成樹脂のキャビティS内への注入に伴い、透光性樹脂フィルム12は上金型21のキャビティS形状と略同形状に湾曲して伸張される。ここで、透光性樹脂キートップ13の成形時にキャビティS内にて発生するガスは、エアーベント22bを通ってキャビティS外へ抜け出るため、溶融した合成樹脂はキャビティS内に均一に充填される。その結果、透光性樹脂キートップ13及びフランジ部16が一体成形されるとともに、透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13とが熱融着により固着して、フィルム一体キーシートが作製される。
【0034】
そして冷却後、上金型21及び下金型22を離型させてフィルム一体キーシートを取り出し、このフィルム一体キーシートの透光性樹脂キートップ13の裏面13aに装飾層17を形成することにより、本実施形態のフィルム一体キーシート11が製造される。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば以下に示す作用効果が奏される。
(1) 透光性樹脂キートップ13の外周側面下端に、外方へ突出する凸部としてのフランジ部16を設け、このフランジ部16の裏面16aに、透光性樹脂キートップ13の樹脂注入ゲート部Gを設けた。
【0036】
このように構成すると、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から透光性樹脂キートップ13或いは文字表示部15を見た場合に、この樹脂注入ゲート部Gが視認されない。従って、外観が良好で美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0037】
また、透光性樹脂キートップ13を厚くする構成を回避することができるため、上記特開平8−7698号公報にて開示されたフィルム一体キーシートとは異なり、フィルム一体キーシート11の薄型化を図ることができる。
【0038】
そして、フランジ部16の裏面16aに樹脂注入ゲート部Gを設けたため、上記従来のフィルム一体キーシートとは異なり、透光性樹脂キートップ13の裏面13aを段差のない平滑な面とすることができる。従って、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに高品質な文字や装飾等を簡易に施すことができるようになり、種々のデザインを具現化することができるようになる。そのため、デザインバリエーションを拡大することができるようになり、生産性が高く美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0039】
(2) 透光性樹脂キートップ13の外周側面下端において外方へ突出する凸部として、透光性樹脂キートップ13の外周側面の全周にわたって形成されたフランジ部16を設けた。
【0040】
このように構成すると、フィルム一体キーシート11の製造時において透光性樹脂フィルム12を湾曲させて伸張させる際に、その応力が透光性樹脂フィルム12に均一に加わるようになる。従って、透光性樹脂フィルム12の伸張が均一となり、生産性が向上すると共に歩留まりを向上させることができ、高品位なフィルム一体キーシート11を簡易に製造することができる。
【0041】
(3) フランジ部16の裏面16aに、エアーベント部Fを設けた。すなわち、成形凹部21a及び成形凹部21bからなるキャビティSを有する上金型21と、この上金型21の成形凹部21bに対応する位置にエアーベント22bが設けられた下金型22とを用いて、このフィルム一体キーシート11を製造した。
【0042】
このようにフランジ部16の裏面16aにエアーベント部Fを設けると、透光性樹脂キートップ13を射出成形する際にキャビティS内に発生するガスを、エアーベント22bから外部へ排出させることができる。そのため、キャビティS内に溶融した合成樹脂を均一に充填することができるようになり、外観品質に優れた高品位なフィルム一体キーシート11を簡易に実現することができる。
【0043】
しかも、このようにフランジ部16の裏面16aにエアーベント部Fを設けると、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から透光性樹脂キートップ13或いは文字表示部15を見た場合に、このエアーベント部Fが視認されない。従って、美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0044】
(4) エアーベント部Fを、透光性樹脂キートップ13を挟んで前記樹脂注入ゲート部Gと対向する位置に設けた。すなわち、成形凹部21a及び成形凹部21bからなるキャビティSを有する上金型21と、この上金型21の成形凹部21bに対応する位置に樹脂注入ゲート22a及びエアーベント22bが設けられた下金型22とを用いて、このフィルム一体キーシート11を製造した。
【0045】
このようにフランジ部16の裏面16aにエアーベント部Fを設けると、透光性樹脂キートップ13を射出成形する際にキャビティS内に発生するガスを、エアーベント22bから外部へ効率的に排出させることができる。そのため、キャビティS内に溶融した合成樹脂を均一に充填することができるようになり、外観品質に優れた高品位なフィルム一体キーシート11を簡易に実現することができる。
【0046】
(5) 透光性樹脂フィルム12の裏面12aに文字表示部15を設けた。ここで、本実施形態のフィルム一体キーシート11においては、上記のようにフランジ部16の裏面16aに樹脂注入ゲート部Gを設けたため、このように文字表示部15を設けても、樹脂注入ゲート部Gが文字表示部15の視認性を悪化させる要因とならない。従って、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から文字表示部15が明瞭に視認されることとなり、視認性を向上させた美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。そして、このように文字表示部15を設ける構成とすることにより、さらに多種多様のデザインを具現化することができ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0047】
(6) 透光性樹脂キートップ13の裏面13aに装飾層17を設けた。ここで、本実施形態のフィルム一体キーシート11においては、上記のようにフランジ部16の裏面16aに樹脂注入ゲート部Gを設けたため、このように装飾層17を設けても、樹脂注入ゲート部Gが装飾層17の視認性を悪化させる要因とならない。従って、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から装飾層17が明瞭に視認されることとなり、視認性を向上させた美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。そして、このように装飾層17を設ける構成とすることにより、さらに多種多様のデザインを具現化することができ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0048】
(7) 透光性樹脂フィルム12の裏面12aに文字表示部15を設けるとともに、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに装飾層17を設けた。このように構成すると、文字表示部15の周囲において装飾層17が視認されるとともに、文字表示部15の文字等の影が装飾層17に映し出されて、文字表示部15が立体的に浮き出た外観として視認されるようになる。そのため、この種のフィルム一体キーシート11において、従来存在しなかった新たなデザインを具現化することができ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。従って、フィルム一体キーシート11のデザインバリエーションを拡大することができる。
【0049】
(8) 透光性樹脂キートップ13の裏面13aに、金属光沢を有する装飾層17を設けた。このように構成すると、金属光沢調を呈するデザインを実現でき、高光沢で美観に優れデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0050】
(第二実施形態)
以下、本発明を具体化した第二の実施の形態を図6及び図7に基づいて説明する。なお、以降の説明にとおいては、上記第一実施形態と重複する構成についての説明を省略し、本実施形態に固有の構成のみを説明する。
【0051】
図6及び図7に示すように、本実施形態のフィルム一体キーシート11においては、略円筒状の透光性樹脂キートップ13の外周側面下端に、半径方向外方へ突出する凸部として略半円筒状の凸状片18,19がそれぞれ設けられた構成となっている。この凸状片18及び凸状片19は、透光性樹脂キートップ13を挟んで180度対向する位置にそれぞれ設けられている。そして、透光性樹脂キートップ13の裏面13a及び凸状片18,19の裏面18a,19aは、段差のない平滑な面に形成されている。
【0052】
前記凸状片18の裏面18aには、透光性樹脂キートップ13の樹脂注入ゲート部Gが設けられている。また、前記凸状片19の裏面19aには、エアーベント部Fが設けられている。従って、本実施形態においても、樹脂注入ゲート部Gとエアーベント部Fとは、透光性樹脂キートップ13を挟んでそれぞれ180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0053】
従って、この第二実施形態のフィルム一体キーシート11においても、上記第一実施形態のフィルム一体キーシート11と同様に、上記(1),(3)〜(8)に示す作用効果が奏される。
【0054】
(変形例)
尚、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して具体化してもよい。
【0055】
・ 前記エアーベント22bの形状或いはその設置箇所を適宜変更すること。例えば、図8に示すように、エアーベント22bを設けること。このように構成しても、上記各実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0056】
・ 透光性樹脂キートップ13或いはフランジ部16の形状(透光性樹脂キートップ13を成形するための成形凹部21aの形状,フランジ部16を成形するための成形凹部21bの形状)を適宜変更すること。このように構成しても、上記各実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0057】
・ 透光性樹脂キートップ13の裏面13a側に、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)などの照光器を付設すること。このように構成すると、フィルム一体キーシート11に簡易に照光機能を付与することができ、夜間や暗い場所でのフィルム一体キーシート11の視認性を向上させることができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて上記各実施形態をさらに具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0059】
(実施例1)
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透光性樹脂フィルム12の裏面12aに、黒色塗料を印刷して数字を描画して文字表示部15を形成した後、この透光性樹脂フィルム12を治具にて透光性樹脂キートップ13の上面側形状と略同形状となるように湾曲状に絞り加工をした。
【0060】
次いで、この絞り加工を施した透光性樹脂フィルム12を、図4及び図5に示す上金型21及び下金型22の間に挟持した後、下金型22の樹脂注入ゲート22aからキャビティS内にポリカーボネート樹脂を射出して、図3に示す透光性樹脂キートップ13及びフランジ部16を一体成形すると同時に、透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13とを熱融着させて、フィルム一体キーシートを作製した。さらに、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに、白色塗料を印刷して装飾層17を形成し、図1及び図2に示すフィルム一体キーシート11を製造した。得られたフィルム一体キーシート11は、透光性樹脂キートップ13の裏面13aが段差のない平滑な面となり、透光性樹脂キートップ13の外観品質が良好なものであった。
【0061】
本実施例1のフィルム一体キーシート11は、押圧部14において、黒色の文字表示部15の周囲に白色の装飾層17が視認されるものであった。そして、黒色の文字表示部15の影が白色の装飾層17に映し出されて、黒色の文字表示部15が立体的に浮き上がって視認されるものであった。
【0062】
(実施例2)
まず、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂のポリマーアロイ材からなる透光性樹脂フィルム12の裏面12aに、赤色塗料を印刷して電話機の形状を描画して文字表示部15を形成した後、この透光性樹脂フィルム12を治具にて透光性樹脂キートップ13の上面側形状と略同形状に湾曲状となるように絞り加工をした。
【0063】
次いで、この絞り加工を施した透光性樹脂フィルム12を、図8に示す上金型21及び下金型22の間に挟持した後、上記実施例1と同様に、下金型22の樹脂注入ゲート22aからキャビティS内にポリカーボネート樹脂を射出して、図7に示す透光性樹脂キートップ13及び凸状片18,19を一体成形すると同時に、透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13とを熱融着させて、フィルム一体キーシートを作製した。さらに、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに、透光性のアルミニウム箔をホットスタンプ法によって転写して装飾層17を形成し、図6に示すフィルム一体キーシート11を製造した。得られたフィルム一体キーシート11は、透光性樹脂キートップ13の裏面13aが段差のない平滑な面となり、透光性樹脂キートップ13の外観品質が良好なものであった。
【0064】
本実施例2のフィルム一体キーシート11は、押圧部14において、赤色の文字表示部15の周囲に銀白色の金属光沢を呈する装飾層17が視認されるものであった。そして、赤色の文字表示部15の影が銀白色の金属光沢を呈する装飾層17に映し出されて、赤色の文字表示部15が立体的に浮き上がって視認されるものであった。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、透光性樹脂キートップの外周側面下端に外方へ突出する凸部を設け、この凸部の裏面に、前記透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部が設けたため、小型軽量且つ薄型で、視認性に優れた高品位なデザインを具備した製造容易なフィルム一体キーシートを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態のフィルム一体キーシートを示す概略斜視図。
【図2】 図1のA−A断面図。
【図3】 第一実施形態のフィルム一体キーシートの透光性樹脂キートップを示す概略斜視図。
【図4】 第一実施形態のフィルム一体キーシートの製造方法を示す断面図。
【図5】 第一実施形態のフィルム一体キーシートの製造方法を示す断面図。
【図6】 第二実施形態のフィルム一体キーシートを示す概略斜視図。
【図7】 第二実施形態のフィルム一体キーシートの透光性樹脂キートップを示す概略斜視図。
【図8】 変形例のフィルム一体キーシートの製造方法を示す断面図。
【図9】 従来のフィルム一体キーシートを示す断面図。
【図10】 従来のフィルム一体キーシートを示す断面図。
【符号の説明】
F…エアーベント部、G…樹脂注入ゲート部、11…フィルム一体キーシート、12…透光性樹脂フィルム、12a…裏面、13…透光性樹脂キートップ、13a…裏面、15…文字表示部、16…凸部としてのフランジ部、16a…裏面、17…装飾層、18,19…凸部としての凸状片、18a,19a…裏面。
Claims (8)
- 透光性樹脂フィルムと透光性樹脂キートップとを備え、透光性樹脂フィルムが透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートにおいて、
前記透光性樹脂キートップの外周側面下端に、外方へ突出する凸部が設けられ、
該凸部の裏面に、前記透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部、及びエアーベント部が設けられていることを特徴とするフィルム一体キーシート。 - 前記凸部を、前記透光性樹脂キートップを挟んで対向する位置にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記凸部が、前記透光性樹脂キートップの外周側面の全周にわたって形成されたフランジ部であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記透光性樹脂キートップの裏面、前記フランジ部の裏面、及び前記フランジ部の外方へ突出する前記透光性フィルムの裏面が同一平面上に位置することを特徴とする請求項3に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記エアーベント部が、前記透光性樹脂キートップを挟んで前記樹脂注入ゲート部と対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記透光性樹脂フィルムの表面および/または裏面に、文字表示部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記透光性樹脂キートップの裏面に、装飾層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記装飾層が、金属光沢を有することを特徴とする請求項7に記載のフィルム一体キーシート。
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