JP3961090B2 - スムージング処理機能を備えた画像処理装置 - Google Patents

スムージング処理機能を備えた画像処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は画像の輪郭を滑らかにするスムージング機能を備えた画像処理装置と画像処理方法および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像処理装置たとえば複写機は、原稿上の画像を光学的に読取り、その読取り画像を像担持体であるところの感光体ドラム上に静電潜像として形成し、その静電潜像を現像剤により顕像化して用紙に転写する。
【0003】
この複写機の画像処理の一つに、スムージング処理がある。この処理では、先ず画像を所定数の画素からなる画素ブロック単位で順次サンプリングし画素マトリクスが形成され、この画素マトリクスからデータがサンプリング画像データとして提供される。これらサンプリング画像データと予め用意されたルックアップテーブル内の種々の基準画像データいわゆるテンプレート画像データとを比較し(パターンマッチング)、一致した場合にはサンプリング画像データにおける黒色画像の輪郭部(座標値)を求めてその輪郭部に黒色画素または白色画素のデータを適宜に付加することで、輪郭部の“ぎざぎざ”いわゆるジャギーの目立たない滑らかな画像が得られる。
【0004】
このスムージング処理によって得られる画像の例を図21に示している。また、スムージング処理の例として特開平7-57102 号公報に示されるものがある。
【0005】
ただし、スムージング処理は、文字画像に対しては適切であるが、階調変化を有する写真画像に対しては中間調濃度が微妙に変化して画質劣化を生じるため不適切である。
【0006】
そこで、処理対象の画像の文字領域と写真領域を識別し(像域識別という)、写真領域に対してはスムージング処理を施さない処理が一般に採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
画像が誤差拡散法などの擬似階調化手段によって2値化されたものである場合、写真領域中に現れる、数個の黒色画素が集合してできた極めて小さな島状領域が、文字(点)として誤って認識されることが多い。
【0008】
この場合、写真領域に対し不要にもスムージング処理が施されることになり、写真領域の画質劣化が避けられない状況となる。
【0009】
すなわち、誤差拡散処理では、複数の画素の平均的な濃度(面積階調という)により中間調を表現している。そのため誤差拡散処理を行った写真領域に対してスムージング処理を施すと、複数の画素の平均で表現している濃度値が微妙に変化し写真画像としての画質が劣化する。たとえば、図22に示すように、中間調画像に点状のノイズ模様が現われる。この点状のノイズ模様は、図23に示すように、所定数(図では4個)の画素で表わされるはずの画像部分に、新たな画素が加わることで生じる。
【0010】
この発明は上記の事情を考慮したもので、その目的とするところは、画像の写真領域などに対する不要なスムージング処理を確実に防止して画質劣化を回避できる画像処理装置または画像形成装置を提供することにある。
【0011】
またこの発明は、画像の写真領域などに対する不要なスムージング処理を確実に防止して画質劣化を回避できる画像処理方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像処理装置は、画像データから構成される画像の輪郭を滑らかにするスムージング手段と、入力画像データを所定数の画素ずつ順次サンプリングし画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成手段と、前記マトリクス形成手段から提供される前記サンプリング画像データの黒色画像の輪郭を検出する検出手段と、前記検出手段で検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別手段と、前記識別手段の識別結果が島状領域なしのとき前記スムージング手段により処理された画像を選択し、前記識別結果が島状領域ありのとき、前記マトリクス形成手段のサンプリング画像データを選択し、出力するデータ切換手段を具備する。
【0013】
上記所定数以下の画素の集合により構成される特定領域は写真画像内の領域として処理され、この領域に対してスムージング処理は施されない。
【0015】
本発明の画像処理装置は更に、前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データが文字領域か写真領域か判断する像域判断手段を具備する。前記データ切換手段は、前記識別手段の識別結果が島状領域がなく、前記像域判断手段の判断結果が文字領域であると判断されたとき、前記スムージング手段が処理した画像を選択し、それ以外のとき前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データを選択し出力する手段を有する。従ってこの像域判断手段により文字領域と判断された領域であっても、前記識別手段により島状領域があると識別された領域は、スムージング処理が行われない。
【0016】
更に又、本発明の画像形成方法は、入力画像データを順次サンプリングして画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成ステップと、前記マトリクス形成ステップにより提供されるサンプリング画像データと予め用意された複数のテンプレート画像とを比較し、一致したテンプレート番号を提供する比較ステップと、前記比較ステップにより提供される前記一致画像の輪郭を構成する輪郭点の座標値を検出するステップと、前記検出ステップで検出された輪郭に黒色画素または白色画素を適宜付加し、輪郭の滑らかな画像を提供するスムージングステップと、前記検出ステップで検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別ステップと、前記マトリクス形成ステップから提供されるサンプリング画像データが文字領域か写真領域か判断する像域判断ステップと、前記識別ステップの識別結果が島状領域なしで、前記像域判断ステップの判断結果が文字領域であるとき、前記スムージングステップで処理された画像を選択し、それ以外のとき前記マトリクス形成ステップにより提供されるサンプリング画像データを選択し出力するステップとを具備する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。まず、図2は画像処理装置たとえば電子複写機の構成を示している。
【0018】
本体1の上部に原稿載置用の原稿台(ガラス板)2があって、その原稿台2の上に原稿台カバー3が開閉自在に設けられる。原稿台2には原稿4が適宜にセットされる。
【0019】
本体1内の上部に、露光系10が設けられる。この露光系10は、原稿台2の下面に対向して設けられた露光手段たとえば露光ランプ11、第1ないし第3の反射ミラー12a,12b,12c、変倍用レンズブロック13、および画像信号出力手段たとえばCCD型のラインセンサ(以下、CCDセンサと称する)14により構成される。
【0020】
露光ランプ11は移動手段であるところのキャリッジ(CRG)15に設けられて往復動が自在となっており、キャリッジ15の図示右方向への往動と露光ランプ11の発光とにより、原稿台2の全面にわたって露光走査が行なわれる。この露光走査により、原稿台2に載置される原稿4の反射光像が得られ、それが上記各反射ミラーおよび変倍用レンズブロック13によってCCDセンサ14に投影される。CCDセンサ14は、受光量に対応するレベルの画像信号を出力する。この画像信号は、レーザユニット20に送られる。
【0021】
本体1内の略中央部に、像担持体として、矢印方向への回転が自在な感光体ドラム30が設けられる。この感光体ドラム30の周囲に、帯電チャージャ31、上記レーザユニット20、現像器32、転写チャージャ33、剥離チャージャ 34、剥離ツメ35、クリーナ37、除電ランプ38が順次に配設される。
【0022】
レーザユニット20は、半導体レーザ素子(図示しない)から発せられるレーザビームに集束性を与えて概ね円形の断面形状を有するレーザビームに変換する第1レンズ、この第1レンズを経たレーザビームを感光体ドラム30の軸方向に沿って偏向させるレーザ偏向装置21、このレーザ偏向装置21にて偏向されたレーザビームを感光体ドラム30上に順次結像させるためにレーザビームの偏向角と感光体ドラム30上における光軸からビームが結像されるべき位置までの距離を一致させる結像レンズ22、およびこの結像レンズ22を経たレーザビームを感光体ドラム30上に案内するミラー23などを有する。
【0023】
帯電チャージャ31は、帯電高圧トランス(図示しない)から供給される高電圧をコロナワイヤによって感光体ドラム30に印加することにより、感光体ドラム30の表面に静電荷を帯電させる。
【0024】
この帯電と、感光体ドラム30に対するレーザユニット20のレーザビームによる結像とにより、感光体ドラム30上に静電潜像が形成される。
【0025】
現像器32は、非磁性のトナーと磁性のキャリアとからなる2成分現像剤を収容するとともに、その現像剤を感光体ドラム30に供給するための現像ローラ 32aを有する。
【0026】
現像ローラ32aは、現像剤を外周にて保持しつつ、負に帯電されたトナーのみを感光体ドラム30上の静電潜像に付着させる。この付着により、感光体ドラム30上の静電潜像が顕像化される。この現像を行うために、現像ローラ32aおよび現像剤に対し、現像バイアス発生回路(図示しない)から所定レベルの現像バイアス電圧が印加される。
【0027】
また、現像ローラ32aは、円周方向にS極およびN極が配置されマグネットローラと、このマグネットローラの周囲を矢印方向に回転する非磁性のスリーブとから構成される。このスリーブ上に、かつマグネットローラの磁力線に沿うように、キャリアの穂(穂立ち)が形成される。このキャリアの穂に鏡像力にて卜ナーが付着し、その卜ナーが、感光体ドラム30と現像ローラ32aとが対向する現像位置で、かつ現像バイアス電圧と感光体ドラム30の表面電位とで形成される電界により、感光体ドラム30側に移行する。
【0028】
本体1内の底部に、給紙手段として複数の給紙カセット40が設けられる。これら給紙カセット40には、画像形成媒体として、互いに異なるサイズのコピー用紙が多数枚収容されている。後述するコントロールパネル(操作盤)123 におけるコピーキーのオン操作に応じて、かつ原稿サイズセンサ(図示しない)の検知結果に応じて、各給紙カセット40のいずれか一つからピックアップローラ (図示しない)によりコピー用紙が一枚ずつ取出される。取出されたコピー用紙は、搬送ローラ41によってアライニングローラ42に送られ、そこで感光体ドラム30の回転を待つことになる。
アライニングローラ42は、コピー用紙の傾きを補正するとともに、感光体ドラム30上のトナー像の先端とコピー用紙の先端とを整合させ、さらに感光体ドラム30における外周面の移動速度と同じ速度でコピー用紙の給送を行う。なお、アライニングローラ42の近傍には、アライニングローラ42の動作タイミングの制御用として、コピー用紙の先端を検知するためのアライニングスイッチ(図示しない)が配置される。
【0029】
転写チャージャ33は、転写高圧トランス(図示しない)から供給される高電圧を、感光体ドラム30の回転に同期してアライニングローラ42から送り込まれるコピー用紙に印加することにより、感光体ドラム30上の顕像(トナー)をコピー用紙に転写する。
【0030】
剥離チャージャ34は、剥離高圧トランス(図示しない)から供給される高電圧をコロナワイヤによってコピー用紙に印加することにより、感光体ドラム30からコピー用紙を剥離する。
【0031】
剥離ツメ35は、剥離チャージャ34によるコピー用紙の剥離を補助する働きをする。
【0032】
クリーナ37は、感光体ドラム30の表面に残つた未転写トナーを掻き落として回収する。回収されるトナーはトナー回収装置(図示しない)に集められ、所定量に達するたびに廃却される。
【0033】
除電ランプ38は、光源ドライバ(図示しない)から供給される電圧により発光動作し、感光体ドラム30に残る残存電位を除去する。
【0034】
上記剥離チャージャ34で剥離されるコピー用紙は、搬送ベルト43によって定着器(ヒートローラ)44に送られる。定着器44は、コピー用紙に転写された顕像を加熱/圧着することでコピー用紙に定着させる。
【0035】
定着の済んだコピー用紙は排紙ローラ45によって排紙トレイ46へ排出される。排紙ローラ45の近傍には、排紙スイッチ(図示しない)が配置されており、この排紙スイッチがコピー用紙の後端を検知することで、コピー用紙に対する画像形成動作が完了したことになる。
【0036】
当該電子複写機の制御を行なう制御回路を図3に示す。
【0037】
主CPU(中央処理装置)111 に、通信ラインを介してコンパネCPU112 、スキャナCPU113 、プリンタCPU114 が接続される。主CPU111 は、これらコンパネCPU112 、スキャナCPU113 、プリンタCPU114 を統括的に制御し、複写の全般にわたる制御を行なう。
【0038】
コンパネCPU112 に、ROM(リ−ド・オンリ・メモリ)121 、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)122 、コントロールパネル(操作盤)123 が接続される。コンパネCPU112 は、コンパネ123 上のスイッチ(倍率や用紙サイズを設定するためのスイッチを含む)の操作の検知、LEDの点灯、消灯、表示器の制御等を行う。
【0039】
スキャナCPU113 に、ROM131 、RAM132 、モータ・ソレノイドなどメカコン等の制御部133 、ADF(オートドキュメントフィーダ)134 、エディタ(座標入力装置)135 、上記CCDセンサ14から出力されるアナログの画像信号を例えば8ビットの画像データに変換するA/D回路(アナログ・デジタル変換回路)137 、シェーディング補正回路(SHD)回路138 、ラインメモリ139 が接続される。制御部133 にはキャリッジ40を副走査方向において動かすためのパルスモ−タが接続される。さらに、スキャナCPU113 に、ランプレギュレータ136 を介して露光ランプ11が接続される。
【0040】
プリンタCPU114 に、モータ・ソレノイド・スイッチなどメカコン等の制御部141 、RAM142 、ROM143 、LCF(ラージカセットフィーダ)144 、ソータ145 、レ−ザユニット20を駆動するためのレ−ザドライブ147 およびレーザ変調回路148 が接続される。
【0041】
さらに、主CPU111 に、ROM151 、RAM152 、スキャナ部103 で読取ったデータをどこへ送るか、プリンタエンジンへはどのデータを送るのかの切り替えとバッファリングを行なうデータ切り替え及びバッファメモリ回路153 、画像データに対し画像的な処理を行なう画像処理回路154 、画像データの圧縮伸長を行なう圧縮・伸長回路155 、圧縮・伸長回路155 で圧縮されたデータを蓄える圧縮メモリ156 、ハードディスクドライブ・光ディスクドライブ・ファクシミリ・アダプタとのインタフェースを行なうI/Fコントローラ回路157 、ディスプレイ158 に表示する画像データを記憶するめのディスプレイメモリ回路159 、パソコン160 からのコードデータを画像データに展開するためのプリンタコントローラ回路161 、画像データをページごとに蓄えるページメモリ回路162 、ディスプレイ158 にコードデータを展開するためのディスプレイフォントROM163 、ページメモリ回路162 上にコードデータを展開するためのプリントフォントROM164 が接続される。
【0042】
101 は基本処理部、102 はコントロ−ルパネル、103 はスキャナ部、104 はプリンタエンジンである。
【0043】
このような構成の制御回路において、画像処理回路154 内 に図1に示す本発明によるスムージング処理回路154a が設けられる。
【0044】
スムージング処理回路154aは、マトリクス形成部201 、輪郭点抽出部202 、像域識別部205 、スムージング部206 、島状領域識別部207 、画像データ切換部208 からなる。輪郭点抽出部202 は、テンプレート回路203 および座標値出力回路204 からなる。
【0045】
マトリクス形成部201 は、図4に示すように、5ライン分のラインメモリと、マトリクス配列された複数個のフリップフロップ回路(F/F )とで構成され、所定数(i×j)の入力画像データを用いてm×nの画素マトリクスを形成する。この画素マトリクスは走査方向に1ビットづつシフトされ、サンプリング画像データとして後段の回路で参照される。サンプリング画像データの中心位置の画素データは、注目画素201aとして指定される。
【0046】
テンプレート回路203 は、図5に示すように、各々異なるパターンの多数のテンプレート(1,2,…m:mは例えば64)をルックアップテーブルとして有し、各テンプレートには図4のマトリクス形成部201の出力が接続されている。テンプレート回路203 は各テンプレート画像データと上記マトリクス形成部201 からのサンプリング画像データとを比較(パターンマッチング)し、一致した場合、そのテンプレートからの出力が「1」となる。不一致の場合は「0」を出力する。図6はテンプレートの一例(テンプレートk)を示す。このテンプレートkに例えば後述の図14に示すデータが入力されると、テンプレートkは「1」を出力する。 尚、一致するテンプレートは1つのみであるため、出力信号の「1」を出力するものも1つのみである。
【0047】
座標値出力回路204 は、図7に示すように、P1 座標値出力回路ないしPn 座標値出力回路を有し、各座標値出力回路には図5のテンプレート回路203 の出力(mビット)が接続されている。座標値出力回路204 はテンプレート回路203 の比較においてサンプリング画像データが各テンプレート画像データのいずれかに一致したとき、サンプリング画像データにおける黒色画像の輪郭を検出する検出手段として機能するもので、その輪郭をなす画素(輪郭点P1 ,P2 ,…Pn )の X-Y座標値(P1X,P1Y 、(P2X 2Y 、…(PnX,PnY)を検出し出力する。輪郭をなす各画素の中心は輪郭点と呼ばれる。ここでnはマトリクスサイズの一辺の画素数に対応し、本実施例の場合、5×5のマトリクスであるので、n=5となる。
【0048】
図8はPn座標値出力回路の例を示す。X座標用セレクタ及びY座標用セレクタはテーブルで構成されており、mビットの入力パターンに応じてLビットの信号として出力する。このLビットは以下の式を満足する。
【0049】
(L−1)≦例えばn<2
例えば、本実施例の5×5マトリクスデータの場合、上述の通りn=5なので、3ビットの信号で出力される。後述される図14の例では、P1はP1X=4、P1Y =3、P2はP X =4、P Y =2、P3はP X =3、P Y P4はP X =3、P Y =4、P5はP X =4、P Y =3を出力する。
図1の像域識別部205 は、上記マトリクス形成部201 のサンプリング画像データが文字領域か写真領域か識別する(識別結果C2 )。
【0050】
スムージング部206 は、座標値出力回路204 から出力される黒色画像の輪郭点の X-Y座標値に基づき、その黒色画像の輪郭部に黒色画素または白色画素のデータを適宜付加し、輪郭部の“ぎざぎざ”いわゆるジャギーの目立たない滑らかな画像データを作成する。
【0051】
島状領域識別部207 は、サンプリング画像データ中のたとえば写真領域に含まれるような所定数以下の黒色画素が集合してできた特定領域たとえば小さな島状領域(写真画像内の点)を識別する。島状領域識別部207 は、輪郭点の連結状態を判定する。島状領域識別部207 は図9に示すように、X座標用とY座標用の二つのコンパレータで構成され、座標値出力回路204 から出力される黒色画像の輪郭点の連結状態、即ち輪郭点の起点と終点が一致するか判定する。
【0052】
一致した場合コンパレータは「1」を、逆に不一致の場合「0」を出力する。両方のコンパレータが「1」を出力した場合のみC1は「0」を出力することになる。従って島状領域識別部207 は、P1X=PnXかつP1Y=PnYの条件が満足されるとき、所定個数(たとえば5個)で構成される輪郭点があるのを示すことになるので、対応する黒色画素の集合を島状領域であると識別する(識別結果C1 )。尚、上記所定個数は誤差拡散処理によって形成された原稿内の島状領域の大きさとスキャナの解像力とによって決められる値であり、5個に限られるものではない。又、4及び5個の両方を島状領域として判断したい場合には、図10のように、連結状態判定部を複数設ければよい。
【0053】
画像データ切換部208 は、図11に示すように、セレクタを有し、マトリクス形成部201 のサンプリング画像データAとスムージング部206 の処理済み画像データBのいずれか一方を、島状領域識別部207 および像域識別部205 の識別結果C1 ,C2 に応じて選択的に出力する(出力画像データD)。
【0054】
次に、本発明によるスムージング処理回路154aの動作を図12を参照して詳述する。
【0055】
入力画像データは、マトリクス形成部201 に供給され、そこで所定数(i×j)の画素ずつ順次にマトリクス状に取り込まれ、サンプリング画像データとして保持される(ステップS1)。
【0056】
マトリクス形成部201 のサンプリング画像データは像域識別部205 に供給されており、そこでサンプリング画像データ内の文字領域と写真領域とが識別される(ステップS2)。この識別結果は画像データ切換部208 に供給される。
【0057】
マトリクス形成部201 のサンプリング画像データは又、テンプレート回路203及び画像データ切替え部(ステップS10)に供給され、サンプリング画像データとテンプレート回路 203 におけるルックアップテーブルの各テンプレート画像データとが比較される(ステップS3)。この比較において、サンプリング画像データが各テンプレート画像データのいずれか(例えばテンプレートk)に一致すると(ステップS4)、サンプリング画像データにおける黒色画像のn個の輪郭点P1 ,…Pn の X-Y座標値P1X・P1Y、…PnX・PnYが座標値出力回路204 から出力される(ステップS5)。
【0058】
こうして、 座標値出力回路204 からX-Y 座標値が出力されると、その X-Y座標値に基づくスムージング処理がスムージング部206 で実行される(ステップS6)。つまり、黒色画像の輪郭部に黒色画素または白色画素のデータが適宜に付加されて、輪郭部の“ぎざぎざ”いわゆるジャギーの目立たない滑らかな画像データが作られる。この画像データが画像データ切換部 208 に供給される。
【0059】
一方、座標値出力回路204 から出力されるX-Y 座標値は島状領域識別部207 にも供給されており、そこで座標値出力回路204 から出力される黒色画像の輪郭点の X-Y座標値に基づいて、サンプリング画像データ中の島状領域が識別される(ステップS7−S9)。
【0060】
島状領域を有するサンプリング画像データの例を図13に示す。黒色画素の集団から離れて存在する数個の黒色画素の集合体が島状領域であり、楕円で囲んで示している。このサンプリング画像データに対しては、島状領域識別部207 において図14に示す処理が実行される。
【0061】
すなわち、これら輪郭点を結ぶラインの起点P1 と終点P5 とが一致する条件が成立している。ここで輪郭点とは黒色画素の集団をループ状に結ぶラインを構成する各点を示す。
【0062】
1 (X=4,Y=3) 、 P2 (X=4,Y=2) 、 P3 (X=3,Y=3) 、
4 (X=3,Y=4) 、 P5 (X=4,Y=3)
このように、これら輪郭点を結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立する場合、所定個数以下の輪郭点で構成された島状領域ありの識別結果が出る。この識別結果は画像データ切換部208 に供給される。
【0063】
図13では島状領域から離れた位置の黒色画素の集団についても輪郭点が存在するが、これら輪郭点は各輪郭点を結ぶラインの起点と終点とが一致しないため、島状領域なしの識別結果が出る。
【0064】
画像データ切換部208 では、マトリクス形成部201 で構成されたサンプリング画像データAとスムージング部206 でスムージング処理された画像データBのうち、一方の画像データが図15のように像域識別部205 および島状領域識別部207 の識別結果に応じて選択され出力される(ステップS11)。
【0065】
たとえば、像域識別部205 の識別結果が写真領域の場合には、島状領域識別部207 の識別結果にかかわらず、マトリクス形成部201 のサンプリング画像データAが選択され出力される。
【0066】
像域識別部205 の識別結果が文字領域で、島状領域識別部 207 の識別結果が島状領域なしの場合、スムージング部206 の処理済み画像データBが選択出力される。
【0067】
像域識別部205 の識別結果が文字領域であっても、島状領域識別部207 の識別結果が島状領域ありの場合には、マトリクス形成部201 のサンプリング画像データが選択出力される。
【0068】
つまり、写真領域中に現れる小さな島状領域が像域識別部205で文字として誤認識される状況であっても、島状領域ありが識別されることで、不要なスムージング処理画像を避けることができる。これにより、誤差拡散画像の中間調濃度を損なわない画像処理を提供し、写真領域の画質劣化を回避できる。
【0069】
図16はサンプリング画像データとテンプレート画像データのパターンマッチングの例を示している。この例では、図17に示すように、黒色画素の集合体に5個以下の輪郭点P1 ,…P5 があって、しかもこれら輪郭点を結ぶラインの起点と終点とが一致している。
【0070】
1 (X=3,Y=3) =P3 =P5 、 P2 (X=4,Y=2) 、 P4 (X=3,Y=4)
識別結果は島状領域ありとなる。
【0071】
また、図18のパターンマッチング例では、図19に示すように、黒色画素の集合体に5個以下の輪郭点P1 ,…P5 があるものの、これら輪郭点を結ぶラインの起点と終点とが一致していない。
【0072】
1 (X=5,Y=2) 、 P2 (X=4,Y=2) 、 P3 (X=3,Y=3) 、
4 (X=2,Y=4) 、 P5(X=2,Y=5)、
識別結果は島状領域なしとなる。
【0073】
このように、輪郭点の座標値に基づいて島状領域を識別し、かつその識別を像域識別処理と併用することにより、誤差拡散画像の中間調濃度を損なわない画像処理が実現できる。従って、図20に示すように濃度値が微妙に変化する中間調画像に対し不要なスムージング処理を回避し、図22に示すような点状のノイズ模様など全くない良好な画質を得ることができる。
【0074】
なお、上記実施例では、島状領域を識別するための画素数を5個としたが、その個数に限定はなく、サンプリング画像データの画素数などに応じて適宜に設定可能である。
【0075】
その他、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0076】
【発明の効果】
即ち、この発明によれば、画像の輪郭をなす複数の画素の相互関係に基づき、その画像中に所定数以下の画素の集合による特定領域があるか否か識別し、この識別結果に応じてスムージング処理が許容または禁止される。従って、画像の写真領域などに対する不要なスムージング処理を確実に防止して画質劣化を回避できる画像処理装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るスムージング処理回路のブロック図。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の内部機構の構成を示す断面図。
【図3】図2に示す装置の制御回路のブロック図。
【図4】図1におけるマトリクス形成部の具体的なブロック図。
【図5】図1におけるテンプレート回路の具体的なブロック図。
【図6】テンプレートの一例を示す.
【図7】図1における座標値出力回路の具体的なブロック図。
【図8】Pn座標値出力回路の例を示す。
【図9】図1における島状領域識別部の部分的ブロック図。
【図10】図1における島状領域識別部の他の部分的ブロック図。
【図11】図1における画像データ切換部の具体的なブロック図。
【図12】同実施例における島状領域識別部の動作を説明するための図。
【図13】同実施例におけるサンプリング画像データの例を示す図。
【図14】同実施例におけるサンプリング画像データの例を示す図。
【図15】データ切換え部の動作を説明するための図。
【図16】同実施例におけるサンプリング画像データとテンプレート画像データのパターンマッチングの例を示す図。
【図17】図16のパターンマッチングの場合の各輪郭点の相互関係を示す図。
【図18】同実施例におけるサンプリング画像データとテンプレート画像データのパターンマッチングの他の例を示す図。
【図19】図18のパターンマッチングの場合の各輪郭点の相互関係を示す図。
【図20】同実施例の作用を濃度値が微妙に変化する写真画像を例として示した図。
【図21】一般的なスムージング処理によって得られる画像の例を示す図。
【図22】一般的なスムージング処理によって写真画像に点状のノイズ模様が現われた状態を示す図。
【図23】図22において点状のノイズが生じる様子を説明するための図。

Claims (8)

  1. 画像データから構成される画像の輪郭を滑らかにするスムージング手段と、
    入力画像データを所定数の画素ずつ順次サンプリングし画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成手段と、
    前記マトリクス形成手段から提供される前記サンプリング画像データの黒色画像の輪郭を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別手段と、
    前記識別手段の識別結果が島状領域なしのとき前記スムージング手段により処理された画像を選択し、前記識別結果が島状領域ありのとき、前記マトリクス形成手段のサンプリング画像データを選択し、出力するデータ切換手段を具備することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記検出手段は、前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データと予め用意された複数のテンプレート画像とを比較し、一致した場合その一致画像を提供する比較手段、及び前記比較手段から提供される前記一致画像の輪郭を構成する輪郭点の座標値を提供する手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データが文字領域か写真領域か判断する像域判断手段を更に具備し、
    前記データ切換手段は、前記識別手段の識別結果が島状領域なしで、前記像域判断手段の判断結果が文字領域であるとき、前記スムージング手段が処理した画像を選択し、それ以外のとき前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データを選択し出力する手段を有することを特徴とする請求項記載の装置。
  4. 入力画像データを所定数の画素ずつ順次サンプリングし画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成手段と、
    前記マトリクス形成手段から提供される前記サンプリング画像データの黒色画像の輪郭を検出する検出手段と、
    この検出手段で検出される輪郭に黒色画素または白色画素を適宜付加し、輪郭の滑らかな画像を提供するスムージング手段と、
    前記検出手段で検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別手段と、
    前記識別手段の識別結果が島状領域なしのとき前記スムージング手段により処理された画像選択し、前記識別結果が島状領域ありのとき、前記マトリクス形成手段のサンプリング画像データを選択し、出力する画像データ切換手段を有することを特徴とする画像処理装置。
  5. 前記検出手段は、前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データと予め用意された複数のテンプレート画像とを比較し、一致したテンプレート番号を提供する比較手段、及び前記比較手段から提供される前記一致画像の輪郭を構成する輪郭点の座標値を提供する手段を更に具備することを特徴とする請求項4記載の装置。
  6. 前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データが文字領域か写真領域か判断する像域判断手段と、
    前記識別手段の識別結果が島状領域なしで、前記像域判断手段の判断結果が文字領域であるとき、前記スムージング手段が処理した画像を選択し、それ以外のとき前記マトリクス形成手段から提供されるサンプリング画像データを選択し出力するデータ切換手段を有 することを特徴とする請求項4記載の装置。
  7. 入力画像データを順次サンプリングして画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成ステップ、
    前記マトリクス形成ステップにより提供されるサンプリング画像データと予め用意された複数のテンプレート画像とを比較し、一致したテンプレート番号を提供する比較ステップ、
    前記比較ステップにより提供される前記一致画像の輪郭を構成する輪郭点の座標値を検出するステップ、
    前記検出ステップで検出された輪郭に黒色画素または白色画素を適宜付加し、輪郭の滑らかな画像を提供するスムージングステップと、
    前記検出ステップで検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別ステップと、
    前記マトリクス形成ステップから提供されるサンプリング画像データが文字領域か写真領域か判断する像域判断ステップ、
    前記識別ステップの識別結果が島状領域なしで、前記像域判断ステップの判断結果が文字領域であるとき、前記スムージングステップで処理された画像を選択し、それ以外のとき前記マトリクス形成ステップにより提供されるサンプリング画像データを選択し出力するステップ、
    を具備することを特徴とする画像形成方法。
  8. 画像データから構成される画像の輪郭を滑らかにするスムージング手段と、
    入力画像データを所定数の画素ずつ順次サンプリングし画素マトリクスを形成し、この画素マトリクスの画像データをサンプリング画像データとして提供するマトリクス形成手段と、
    前記マトリクス形成手段から提供される前記サンプリング画像データの黒色画像の輪郭を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出される黒色画像の輪郭をなす輪郭点の数が所定個数以下で、しかもこれらを結ぶラインの起点と終点とが一致する条件が成立するとき、サンプリング画像データに所定面積以下の島状領域があることを識別する識別手段と、
    前記識別手段の識別結果が島状領域なしのとき前記スムージング手段により処理された画像を選択し、前記識別結果が島状領域ありのとき、前記マトリクス形成手段のサンプリング画像データを選択し、出力するデータ切換手段と、
    前記データ切換手段から出力される画像データに基づいて、被画像形成媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
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