JP3960217B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、像担持体上の転写残トナーをクリーニングするブラシを有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写体に一旦転写した後、その中間転写体から記録媒体に転写されたトナー像を再転写させるか、あるいは感光体上に形成したトナー像を直接記録媒体上に転写し、その記録媒体上のトナー像を加熱および加圧して定着させ、記録媒体上に画像を形成している。
【0003】
しかし、感光体上のトナー像を100%転写することは困難であり、転写後にトナーが残留する。この転写残トナーは、次の画像形成サイクルにおいて、画像欠陥の原因となるため除去する必要がある。そこで、感光体、あるいは中間転写体など像担持体上の、トナー像転写後の所定の位置に転写残トナーを除去するクリーニング手段が設けられる。一方、感光体上のトナー像は、中間転写体又は記録媒体を挟んで感光体とニップ部を形成する転写器から所定のバイアス電圧が印加されて転写されるが、そのとき感光体と中間転写体又は記録媒体との間に放電が起こり、転写されたトナーの一部が正極性に帯電する。そして、この正極性に帯電したトナーの一部は、感光体上にリトランスファーすることがあるため、感光体上の転写残トナーにはそれぞれの極性のトナーが混在するのが一般的である。
【0004】
そこで、それぞれの極性を有する転写残トナーを、交流電圧を印加したブラシロールで吸着し除去するものがある(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、ブラシに一旦吸着されたトナーは、ブラシロールに印加されている、交流電圧により、感光体にそのまま吐き出されてしまうという不具合がある。すなわち、感光体上の転写残トナーは、回転するブラシロールによる振動を受けるとともに、両極性の電界が加わるため、感光体とブラシロールとの間のギャップを浮遊する。そして、ブラシの機械的な力によりブラシの隙間に取り込まれる。このとき、ブラシロールに、プラス電界が加わるときはマイナス極性のトナーがブラシに捕獲され、マイナス電界が加わるときはプラス極性のトナーがブラシに捕獲される。しかし、ブラシに捕獲されたトナーは、ブラシロールの回転により、再度感光体に接触するときに、両極性の電界を受けるので、再び感光体に吐き出される。
【0006】
そこで、ブラシロールに吸着されたトナー等が飛散しないように、ブラシロールに、回収部材を接触させることにより、ブラシロールから回収部材にトナー等を転移させ、ブラシロールをリフレッシュするものがある(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−151187号公報(第1実施例、第2実施例、図1、図2)
【特許文献2】
特開平第8−194418号公報(段落番号0038〜段落番号0043、図1、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブラシロールから、回収ロールにトナーを転移させても、回収ロールからトナーを掻き落とすスクレーパなどが必要となり、ブラシロール、回収ロールなどを含むクリーニング装置全体が大型化し、コスト高となる。また、ブラシロールから回収ロールへのトナーの転移を促すために回収ロールに直流電圧を印加しても、効率がそれほどよくならないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、回収ロールなどを設けることなく、ブラシロール単独で、感光体上のそれぞれの極性の転写残トナーを確実に除去することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、所定の方向に移動し、トナー像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成されたトナー像を被転写体に転写し、最終的に記録媒体上に転写および定着させることにより定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記被転写体にトナー像が転写された後の上記像担持体に接触する、互いに抵抗値が異なる、2種類以上の毛体が植設されたブラシと、
上記ブラシに交番電圧を印加する電圧印加部とを備え、
上記ブラシは、上記電圧印加部からの交番電圧の印加を受けて、上記被転写体にトナー像を転写した後の上記像担持体上に残留する転写残トナーを吸着するものであることを特徴とする。
【0011】
このように、抵抗値が異なる毛体が植設されたブラシを備え、ブラシに正と負の極性が交互に繰り返される電圧を印加すると、毛体の抵抗値の高低により強弱のある電界が像担持体上に残留する正および負それぞれの極性のトナーに印加される。このため、それぞれの極性のトナーを浮遊状態にさせることができるとともに、印加電界が弱い毛体にその浮遊トナーを確実に捕獲することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の画像形成装置を示す図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置は、各色のトナー像が形成される、4つの画像形成ユニット20a〜20bと、駆動ロール11、従動ロール12、および対向ロール13に張架されて、4つの画像ユニット20a〜20bそれぞれに接触しながら循環移動する中間転写ベルト7と、画像形成ユニット20a〜20bそれぞれとと中間転写ベルト7を挟んでニップ部を形成し、各画像形成ユニット20a〜20bから中間転写ベルト7にトナー像を1次転写する4つの1次転写器6a〜6bと、対向ロール13と中間転写ベルト7を挟んでニップ部を形成し、中間転写ベルト7からトナー像を記録媒体に転写する2次転写器9と、記録媒体上のトナー像を記録媒体上に定着させる定着器8と、中間転写ベルト7上の転写残トナーを除去するベルトクリーナ10とを備えている。
【0014】
また、画像形成ユニット20a〜20bそれぞれは、トナー像が形成される感光体ドラム1a〜1dと、感光体ドラム1a〜1dを均一に帯電させる接触帯電器2a〜2dと、均一に帯電した感光体ドラム1a〜1dに露光光を照射し静電潜像を形成する露光装置3a〜3dと、感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像器4a〜4dと、トナー像を中間転写ベルト7に1次転写した後の感光体ドラム1a〜1dに残留する転写残トナーを除去するブラシロール5a〜5dとを備えている。
【0015】
ここで、本実施形態は、タンデム式の画像形成装置に基づいて説明したが、画像形成装置は、タンデム式のものに限定する必要はなく、感光体が1つのものであっても、また、感光体から直接用紙に転写するものであっても適用される。
【0016】
図2は、画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【0017】
図2に示す画像形成ユニットは、矢印A方向に回転しトナー像が形成される感光体ドラム1と、感光体ドラム1を均一に帯電させる接触帯電器2と、均一に帯電した感光体ドラム1に露光光を照射し静電潜像を形成する露光装置3と、感光体ドラム1上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像器4と、トナー像を中間転写ベルト7に1次転写した後の感光体ドラム1に残留する転写残トナーを除去する、矢印B方向に回転するブラシロール5とを備えており、画像形成ユニット20は、1次転写器6との間に中間転写ベルト7を挟んでニップ部を形成している。
【0018】
本実施形態のブラシロール5は、絶縁性毛15と導電性毛16とがそれぞれ植設されたものが用いられる。そして、感光体ドラム1から転写残トナーを除去するときは、電圧印加部17からブラシロール5に、正と負の極性が交互に繰り返される交流電圧が印加され、感光体ドラム1上の両極性を有する転写残トナーは、絶縁性毛15に吸着され、保持される。そして、所定のタイミングで、このブラシロール5に保持されたトナーを感光体ドラム1に吐き出すことにより、そのトナーを現像器4に戻したり、あるいは中間転写ベルト7を介してベルトクリーナ10で回収する。
【0019】
ブラシロール5に保持されたトナーを吐き出すときは、電圧印加部17からブラシロール5に、所定期間毎に極性が反転する直流電圧が重畳された交流電圧が印加される。
【0020】
本実施形態では、ブラシロール5に溜まったトナーを感光体ドラム1に吐き出しているが、ブラシロール5に、例えば回収ロールを当接させることにより、溜まったトナーを回収してもよい。
【0021】
図3は、ブラシロールと感光体ドラムとの間のギャップにおけるトナーの挙動を示す模式図である。
【0022】
図3に示すように、ブラシロール5には、斜線で示した絶縁性毛15と、白抜きで示した導電性毛16とがそれぞれ植設され、電圧印加部17から交流電圧が印加されている。
【0023】
ここで、絶縁性毛15は、電気抵抗が、11logΩ・cm以上のものであり、導電性毛16は、電気抵抗が絶縁性毛15の電気抵抗より低ければよく、例えば4logΩ・cmのものを用いることができる。
【0024】
図3(a)は、感光体ドラム1からブラシロール5に転写残トナーが吸着される状態をあらわす図である。
【0025】
図3(a)に示すように、ブラシロール5に、電圧印加部17から正と負の極性が交互に繰り返される交流電圧(例えば、周波数3kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧600V、直流電圧ゼロ)が印加され、ブラシロール5の絶縁性毛15および導電性毛16と感光体ドラム1との間に電界が印加されるので、多数の正負両極性を有するトナーTが浮遊する。しかし、絶縁性毛15との間の電界E2は、導電性毛15との間の電界E1に較べて弱いので、浮遊するトナーTは、電界の弱い絶縁性毛15に捕獲される。このとき、絶縁性毛15の腰を導電性毛16よりも強くしてあれば、ブラシロール5の回転により、絶縁性毛15によって機械的にも掻き取られるので、絶縁性毛15の間により多くのトナーを捕獲することができる。
【0026】
図3(b)は、ブラシロールに捕獲されたトナーが保持される状態をあらわす図である。
【0027】
図3(b)に示すように、ブラシロール5に正と負の極性が交互に繰り返される交流電圧が印加され、感光体ドラム1と絶縁性毛15との間の電界E2は、感光体ドラム1と導電性毛16との間の電界E1に較べて弱いので、絶縁性毛15に捕獲されたトナーはそのまま保持される。
【0028】
図3(c)は、ブラシロールに捕獲されたトナーが感光体ドラムに吐き出される状態をあらわす図である。
【0029】
図3(c)に示すように、ブラシロール5に、電圧印加部17から極性がスイッチにより切り替えられて一定期間毎に極性が反転する直流電圧が重畳された交流電圧(例えば、周波数5kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧1000V、直流電圧マイナス500V又はプラス500V)が印加され、ブラシロール5の絶縁性毛15および導電性毛16と感光体ドラム1との間には、転写残トナーが吸着される状態のときよりも、高周波の、より強力な電界E'1、E'2が印加される。
【0030】
したがって、絶縁性毛15に捕獲されていたトナーTも、周波数が高くて、より強力な電界E'1、E'2の作用により、それぞれの極性のトナーTが感光体ドラムに吐き出される。
【0031】
次に、本実施形態のブラシロールによる転写残トナーの捕獲、保持および吐出し、それぞれの効果を確認した結果について説明する。
【0032】
図4は、転写残トナーが、ブラシロールに突入したときの捕獲性能をあらわす実験結果を示す図であり、図4(a)は、負極性を有する転写残トナー(以下、「RST;ライト・サイン・トナー」と呼ぶ。)がブラシロールで捕獲されないすり抜け量の確認結果を示し、図4(b)は、正極性を有する転写残トナー(以下、「WST;ロング・サイン・トナー」と呼ぶ。)がブラシロールで捕獲されないすり抜け量の確認結果を示す。
【0033】
図4(a)および図4(b)において、縦軸は、転写残トナーがブラシロールで捕獲されないすり抜け量(g/m2)、横軸は、ブラシロールに突入した、転写残トナー量(g/m2)をあらわし、図中の◆印は、導電性毛および絶縁性毛が植設された本実施形態のブラシロールの実験結果を示し、□印は、比較例として示す、導電性毛のみが植設されたブラシロールの実験結果を示す。
【0034】
図4(a)および図4(b)何れにおいても、導電性毛および絶縁性毛が植設された本実施形態のブラシロールは、すり抜け量が極めて少なく、RSTおよびWSTとも確実に捕獲していることがわかる。
【0035】
一方、導電性毛のみが植設された比較例のブラシロールは、ブラシロールに突入した転写残トナー量が増加すると次第にすり抜け量が多くなる傾向があり、特に、WSTにおいては顕著であることがわかった。
【0036】
ここで、RSTよりWSTのすり抜け量が多くなる理由について考察すると、図5に示すように、本実施形態のブラシロールと接触する位置における感光体ドラム表面電位は、画像形成領域が5V、非画像形成領域がマイナス60Vであり、ブラシロールに印加される交流電圧は、周波数が3.2kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧が600V、直流電圧がゼロボルトである。したがって、リトランスファーによって正極性を有する転写残トナーは、ブラシロールに印加される交流電圧の正極性による電界(240V)によりブラシロールに吸着され、負極性を有する転写残トナーは、ブラシロールに印加される交流電圧の負極性による電界(295V)によりブラシロールに吸着されるが、交流電圧の負極性による電界の方が強いことによると考えられる。
【0037】
図6および図7は、ブラシロールの回転に伴って捕獲されたトナーがブラシロールに保持される保持性能をあらわす実験結果を示す図であり、図6は、本実施形態のブラシロールの実験結果を示し、図7は、比較例として示す、導電性毛のみが植設されたブラシロールの実験結果を示す。
【0038】
図6および図7において、横軸は、ブラシロールの回転数(t1は、所定量の転写残トナーが突入した直後、t2は、ブラシロール1回転後、t3は、ブラシロール2回転後、t4は、ブラシロール5回転後、t5は、ブラシロール10回転後)、縦軸は、感光体ドラムに吐き出してしまったトナー量(g/m2)を表わし、図中の◇印は、転写残トナーの捕獲量が0.3(g/m2)の場合、□印は、転写残トナーの捕獲量が0.18(g/m2)の場合、△印は、転写残トナーの捕獲量が0.14(g/m2)の場合をそれぞれ示している。
【0039】
図6からわわかるように、本実施形態のブラシロールは、ブラシロールにおける転写残トナーの捕獲量如何に拘わらず、ブラシロールの回転数が増加しても感光体ドラムに吐き出したトナー量は、ほぼ一定であり、図7に示す比較例のブラシロールと較べて1/2以下となっており、保持性能が高いことが確認された。
【0040】
図8は、ブラシロールに印加される交流電圧の周波数および電圧を変化させたときのブラシロールの吐出し性能をあらわす実験結果を示す図である。
【0041】
実験は、A3版用紙1枚の面積分の0.3g/m2のRSTをブラシロールに突入させてブラシロールにトナーを捕獲させた後、ブラシロールに直流重畳の交流電圧を印加して感光体ドラムへの吐出し量を測定した。
【0042】
図8において、横軸は、ブラシロールの回転数、縦軸は、感光体ドラムに吐き出したトナー量(g/m2)を表わし、図中の◇印は、周波数6kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧800V、直流電圧マイナス400Vの直流重畳交流電圧がブラシロールに印加された場合、□印は、周波数4.5kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧600V、直流電圧マイナス400Vの直流重畳交流電圧がブラシロールに印加された場合、△印は、周波数4.5kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧600V、直流電圧マイナス400Vの直流重畳交流電圧がブラシロールに印加された場合、×印は、周波数3.2kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧600V、直流電圧マイナス400Vの直流重畳交流電圧がブラシロールに印加された場合をそれぞれ示している。
【0043】
図からわかるように、ピーク・ツー・ピーク電圧が高いほど、そして周波数が高いほど感光体ドラムに吐き出したトナー量は多く、しかも回転数が少ないうちに保持しているトナーを吐き出すことがわかる。
【0044】
次に第2の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて、ブラシロールに印加される交流電圧に直流電圧が重畳されている点が相違するが、それ以外の点は共通するので、相違点について説明する。
【0045】
図9は、第2の実施形態のブラシロールの印加電圧とトナー像転写後の感光体ドラム表面電位との関係を示す図である。
【0046】
図9において、感光体ドラムの画像形成領域の電位は、マイナス100Vであり、非画像形成領域の表面電位は、マイナス200Vである。そして、ブラシロールには、周波数が3.2kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧が600V、直流電圧がマイナス150Vの交流電圧が印加される。
【0047】
感光体ドラム表面の画像形成領域には、負極性の転写残トナーが付着し、非画像形成領域には、正極性を有するリトランスファートナーが付着している。したがって、リトランスファートナーは、ブラシロールに印加される交流電圧の正極性による電界(250V)によりブラシロールに吸着され、負極性を有する転写残トナーは、ブラシロールに印加される交流電圧の負極性による電界(250V)によりブラシロールに吸着される。
【0048】
本実施形態では、ブラシロールに150Vの直流電圧を重畳しているが、重畳される直流電圧は、転写後の画像形成領域および非画像形成領域における電位を勘案して調整することができる。
【0049】
次に、第3の実施形態について説明する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態と比べて、ブラシロールに印加される電圧が矩形波電圧である点が相違するが、それ以外の点は共通するので、相違点について説明する。
【0050】
図10は、第2の実施形態のブラシロールの印加電圧とトナー像転写後の感光体ドラム表面電位との関係を示す図である。
【0051】
図10において、感光体ドラムの画像形成領域の電位は、5Vであり、非画像形成領域の表面電位は、マイナス60Vである。そして、ブラシロールには、周波数が3.2kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧が600V、直流重畳電圧がゼロボルトの矩形波電圧が印加される。
【0052】
ここで、矩形波電圧のデューティ比が8対2に設定されているが、デューティ比は、正負の極性を有する転写残トナーの割合によって任意に設定することができる。
【0053】
感光体ドラム表面の画像形成領域には、負極性の転写残トナーが付着し、非画像形成領域には、正極性を有するリトランスファートナーが付着している。したがって、リトランスファートナーは、ブラシロールに印加される矩形波電圧の正極性による電界(240V)によりブラシロールに吸着され、負極性を有する転写残トナーは、ブラシロールに印加される交流電圧の負極性による電界(295V)によりブラシロールに吸着される。
【0054】
図11は、矩形波電圧のデューティ比を変化させた場合の、転写残トナーの、ブラシロールからのすり抜け量を示す実験結果である。
【0055】
図11において、縦軸は、RSTとWSTとのすり抜け量をあらわす。図中の斜線で示す棒状グラフは、デューティ比が5対5の場合をあらわし、図中の白抜きの棒状グラフは、デューティ比が8対2の場合をあらわしている。
【0056】
図から明らかなように、0.27g/m2のRSTをブラシロールに突入させると、デューティ比が8対2の場合は、ブラシロールに確実に捕獲され、すり抜け量は極めて少ないが、デューティ比が5対5の場合は、すり抜け量が約10%に達する。また、0.06g/m2のWSTをブラシロールに突入させると、絶対量が少ないこともあり、デューティ比が8対2の場合、デューティ比が5対5の場合ともに、すり抜け量はほとんど変わらない。すなわち、WSTに較べてRSTの割合が大きい転写残トナーは、矩形波電圧のプラス極性側の割合が大きくなるようにデューティ比を、例えば8対2にすればRST、WST合わせたすり抜け量を少なくすることができる。
【0057】
したがって、転写残トナーのうちRSTとWSTとの割合によってデューティ比を変化させるとブラシロールからのすり抜け量を少なくすることができることが裏付けられた。
【0058】
次に、第4の実施形態について説明する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態と比べて、ブラシロールに植設された毛体が、互いに抵抗値が異なる導電性毛である点が相違するが、それ以外の点は共通する。したがって、本実施形態のブラシロールによる転写残トナーの捕獲、保持および吐出し、それぞれの効果を確認した結果についてのみ説明する。
【0059】
図12は、RSTが、ブラシロールに突入したときの捕獲性能をあらわす実験結果を示す図である。
【0060】
本実施形態のブラシロールは、4logΩ・cmの導電性毛および8logΩ・cmの導電性毛が植設されている。
【0061】
図12において、縦軸は、転写残トナーがブラシロールで捕獲されないすり抜け量(g/m2)、横軸は、ブラシロールに突入した、転写残トナー量(g/m2)をあらわし、図中の◆印は、4logΩ・cmの導電性毛および8logΩ・cmの導電性毛が植設された本実施形態のブラシロールの実験結果を示し、□印は、比較例として示す、4logΩ・cmの導電性毛のみが植設されたブラシロールの実験結果を示す。
【0062】
図からわかるように、本実施形態のブラシロールは、すり抜け量が極めて少ない。一方、比較例のブラシロールは、ブラシロールに突入した転写残トナー量が増加すると次第にすり抜け量が多くなる傾向がある。
【0063】
図13は、ブラシロールの回転に伴って捕獲されたトナーがブラシロールに保持される保持性能をあらわす実験結果を示す図である。
【0064】
図13において、横軸は、ブラシロールの回転数(t1は、所定量の転写残トナーが突入した直後、t2は、ブラシロール1回転後、t3は、ブラシロール2回転後、t4は、ブラシロール5回転後、t5は、ブラシロール10回転後)、縦軸は、感光体ドラムに吐き出してしまったトナー量(g/m2)を表わし、図中の◇印は、転写残トナーの捕獲量が0.3(g/m2)の場合、□印は、転写残トナーの捕獲量が0.18(g/m2)の場合、△印は、転写残トナーの捕獲量が0.14(g/m2)の場合をそれぞれ示している。
【0065】
図からわわかるように、本実施形態のブラシロールは、ブラシロールにおける転写残トナーの捕獲量如何に拘わらず、ブラシロールの回転数が増加しても感光体ドラムに吐き出したトナー量は、第1の実施形態におけるブラシロールと同様であり、保持性能が高いことが確認された。
【0066】
図14は、ブラシロールに直流重畳交流電圧が印加されたときのブラシロールの吐出し性能をあらわす実験結果を示す図である。
【0067】
実験は、A3版用紙1枚の面積分の0.3g/m2のRSTをブラシロールに突入させてブラシロールにトナーを捕獲させた後、ブラシロールに直流重畳の交流電圧を印加して感光体ドラムへの吐出し量を測定した。
【0068】
図14において、横軸は、ブラシロールの回転数、縦軸は、感光体ドラムに吐き出したトナー量(g/m2)を表わし、図中のデータは、周波数6kHz、ピーク・ツー・ピーク電圧800V、直流電圧マイナス400Vの直流重畳交流電圧がブラシロールに印加された場合の実験結果を示す。
【0069】
図からわかるように、本実施形態のブラシロールもブラシロールが3回転すると、保持しているトナーをほとんど吐き出すことがわかる。
【0070】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の画像形成装置によれば、抵抗値が異なる毛体が植設されたブラシを備えるとともに、そのブラシに交番電圧が印加されるので、像担持体上に残留する正および負それぞれの極性のトナーを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置を示す図である。
【図2】画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【図3】ブラシロールと感光体ドラムとの間のギャップにおけるトナーの挙動を示す模式図である。
【図4】転写残トナーが、ブラシロールに突入したときの捕獲性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図5】本実施形態のブラシロールと接触する位置における感光体ドラム表面電位。
【図6】ブラシロールの回転に伴って捕獲されたトナーがブラシロールに保持される保持性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図7】ブラシロールの回転に伴って捕獲されたトナーがブラシロールに保持される保持性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図8】ブラシロールに印加される交流電圧の周波数および電圧を変化させたときのブラシロールの吐出し性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図9】第2の実施形態のブラシロールの印加電圧とトナー像転写後の感光体ドラム表面電位との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態のブラシロールの印加電圧とトナー像転写後の感光体ドラム表面電位との関係を示す図である。
【図11】矩形波電圧のデューティ比を変化させた場合の、転写残トナーの、ブラシロールからのすり抜け量を示す実験結果である。
【図12】RSTが、ブラシロールに突入したときの捕獲性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図13】ブラシロールの回転に伴って捕獲されたトナーがブラシロールに保持される保持性能をあらわす実験結果を示す図である。
【図14】ブラシロールに直流重畳交流電圧が印加されたときのブラシロールの吐出し性能をあらわす実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 接触帯電器
3 露光装置
4 現像器
5 ブラシロール
6 1次転写器
7 中間転写ベルト
8 定着器
9 2次転写器
10 ベルトクリーナ
11 駆動ロール
12 従動ロール
13 対向ロール
15 絶縁性毛
16 導電性毛
17 電圧印加部
20 画像形成ユニット

Claims (8)

  1. 所定の方向に移動し、トナー像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成されるトナー像を被転写体に転写し、最終的に記録媒体上に転写および定着させることにより定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
    前記被転写体にトナー像が転写された後の前記像担持体に接触する、互いに抵抗値が異なる、2種類以上の毛体が植設されたブラシと、
    前記ブラシに交番電圧、又は直流電圧が印加された交番電圧を印加する電圧印加部とを備え、
    前記ブラシは、前記電圧印加部からの交番電圧の印加を受けて、前記被転写体にトナー像を転写した後の前記像担持体に残留する転写残トナーを吸着し、前記電圧印加部から印加される所定期間毎に極性が反転する直流電圧を、更に受けて、吸着した前記転写残トナーを前記像担持体に吐き出すものであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ブラシは、導電性毛と絶縁性毛とが植設されたものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記ブラシは、抵抗値が異なる少なくとも2種類の導電性毛を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記電圧印加部は、前記直流電圧の極性を反転させる切換手段を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記ブラシは、前記転写残トナーを吸着するときよりも、前記転写残トナーを吐き出すときの方が、周波数が高い交番電圧が印加されるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記ブラシは、前記転写残トナーを吸着するときよりも、前記転写残トナーを吐き出すときの方が、振幅の大きい交番電圧が印加されるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記交番電圧が、交流電圧であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  8. 前記交番電圧が矩形波交番電圧であって、
    前記電圧印加部は、転写残トナーとの極性毎の割合に応じて、該矩形波交番電圧のデューティ比を変化させるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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