JP3960184B2 - 表示装置及びその表示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックス状に配置された複数の画素を有し、表示データに対応する信号電圧を用いて各画素に表示データに応じた階調を表示させる表示装置及びその表示方法に係り、特に、画素が発光ダイオードや有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという。)等の自発光素子からなり、パルス幅変調(PWM)方式を用いて各画素に表示データに応じた階調を表示させる表示装置及びその表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL等に代表される自発光素子において階調表示を行う手段として、「パルス幅変調(PWM)方式」と呼ばれる方式がある。この方式は、階調信号に従って、画素に印加する電圧のパルス幅(印加時間)を制御する方式である。PWM方式の一例として主にプラズマディスプレイ(PDP)において用いられているサブフィールドを用いた方式がある。この方式は、日経エレクトロニクス1999.10.4号掲載の論文「新駆動法の採用でPDPの画質を上げる」P156等に開示されている技術であり、ある単位時間(例えば1フレーム期間)をサブフィールドと呼ばれる期間に分割し、その分割した時間ごとにオン、オフを制御、組み合わせることにより、1フレーム内の発光時間を決定する方式である。
【0003】
しかし、上記の1フレーム期間をサブフィールドに分割する方法では、画素が1フレーム期間内に複数回発光をするため、表示装置を見る目線を動かしたとき等に、もともと見ていた画素の発光時間と隣の画素の発光時間がつながって、本来中間調表示をすべき画素が明るく見えてしまうことがある。人間の肌など、輝度傾斜のあるものを表示するときには、この明るく見える画素が線状に連なって見え、本来見えるはずのない輪郭が見えてしまうため、この現象は擬似輪郭現象と呼ばれている。
【0004】
そこで、1フレーム期間をサブフィールドに分割せず、1フレーム期間内に1回だけ連続して自発光素子を発光させることで、擬似輪郭現象を回避できる。これに合致する技術が特開2000−235370号公報に開示されている。この方式は、階調信号電圧に従って、画素に印加する電圧のパルス幅(印加時間)を制御する方式である。この特開2000−235370号公報の技術を実行すれば、擬似輪郭現象の無いパルス幅変調(PWM)方式による自発光素子表示装置の階調制御が可能である。
【0005】
ところで、マトリクス型表示装置において表示品位を高める技術が、特開2000−221945号公報に開示されている。この特開2000−221945号公報の技術は、表示画像の特徴に応じて表示装置の表示特性を制御するもので、具体的には、表示画像の平均輝度を測定し、この平均輝度に応じて表示素子に印加する電圧を制御するというものである。例えば、画面全体はそれほど明るくないが、一部に明るい領域のある場面を表示する場合には、一部の領域の表示を、通常のピーク輝度よりも明るくすれば迫力のある表示になることが知られている。また、逆に画面全体が概ね明るい領域で占められている場合、ピークの輝度を高めてもあまり画質は向上しない。そこで、平均輝度の低い画像を表示するときだけ、ピーク輝度を高め、画面内の一部の領域の輝度を高くするよう制御することで、表示品位を向上させることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−235370号公報
【特許文献2】
特開2000−221945号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
自発光素子表示装置において表示品位を高める技術として、特開2000−221945号公報に、表示画像の平均輝度を測定し、この平均輝度に応じて表示素子に印可する電圧を制御する技術が開示されている。
【0008】
しかし、平均輝度の測定だけでは画像の特徴をつかむには不十分な場合もあり、例えば、画面全体が暗くて一部だけ明るい画像と画面全体が薄暗いグレーのときでは平均輝度が同じとなってしまい、これらを区別することができない。
【0009】
また、自発光素子表示装置において、鮮明な表示を行うには、単純に自発光素子表示装置の最大表示輝度を高めて表示コントラストを高めることが有効であるが、自発光素子の劣化特性や発光効率すなわち消費電力の問題等を勘案すると、最大表示輝度・表示コントラストはある値で頭打ちとなってしまう。さらに、表示画像がもし明るい領域ばかりであったり、逆に暗い領域ばかりであった場合、表示にメリハリがないので、画面の中に表示されている物体を認識しづらい不鮮明な表示になってしまうことがある。
【0010】
そこで、表示画像の輝度分布を測定することで、平均輝度を測定するより表示画像の特徴をより正確に把握することができる。ゆえに、表示画像の輝度分布を測定し、表示画像の輝度分布に応じて表示装置の階調特性を制御すれば、表示品位をより向上することが可能である。
【0011】
本発明は、PWM方式によって階調表示を行う自発光素子表示装置において、表示画像の輝度分布を測定することと、その表示画像の輝度分布に応じて表示装置の階調特性を制御し表示品位を向上すること、目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パルス幅変調方式によって点燈、消燈する複数の画素に供給する電流量を、1フレーム期間内に、階調順に画素が消燈又は点燈するタイミングに応じて複数回測定することにより、階調間での電流変化量を求め、階調間での電流変化量を階調の出現頻度とみなして、1画面中の階調の出現頻度分布情報を生成する。
【0013】
そして、輝度分布情報に基づいて、表示データの階調と表示輝度の関係を制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は自発光素子表示装置をPWM(パルス幅変調)方式を用いて階調表示したときにおける、(a)各階調の画素の点燈−消燈タイミングと、(b)画面全体の自発光素子を流れる電流量の総和の変化と、(c)輝度分布の関係を表したものである。図1では各画素の濃淡値の階調数が64であるとして表している。
【0015】
PWM方式で階調をかける方法について説明する。時刻T0において、階調番号が0(黒表示)である画素を除く階調番号1〜63である画素がいっせいに点燈を開始する。所定の時間間隔をおいて、階調番号1である画素から順に消燈してゆき、最後に階調番号63である画素が消燈する。PWM方式では、このように、1フレーム期間内における各画素の点燈時間の長さを制御することで階調表示を行う。階調番号xである画素が消燈するタイミングを時刻Txとする。
【0016】
このようなPWM方式において、各画素の点燈期間における発光輝度は同一であり、各画素の発光期間中に各画素を流れる電流量も同一である。ゆえに、画面全体の発光電流量の総和は、その電流量を測定した瞬間に点燈している画素の数に比例する。図1(a)に示すように時刻T0からT63へと時間が進行すると低い階調である画素から順に消燈してゆく、点燈している画素の数が減少すると共に図1(b)に示すように発光電流量も減少してゆく。ここで、例えば、時刻T32における発光電流の総和と、時刻T40における発光電流の総和を測定し、これらの差を算出することで、階調番号が32〜40である画素の数を推定することができる。以上のように、1フレーム期間内における時間区間ごとの発光電流の総和の変化量を測定することで、図1(c)に示すような表示画像内の階調毎の画素の出現頻度すなわち輝度分布を推定することが可能である。
【0017】
上記のようにして得られた表示画像の輝度分布に応じて、表示装置の階調特性を制御すれば、表示画質を向上することが可能である。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、有機EL素子表示装置を例に取り説明する。
【0019】
本発明の第1の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図2は本発明の一実施形態である有機EL素子表示装置の例である。図2において、1〜5は外部から入力される映像デジタル信号で、1は映像データ信号、2は垂直同期信号、3は水平同期信号、4はデータイネーブル信号、5はデータ同期クロックである。映像データ信号1は画像の各画素の濃淡値を表す信号である。垂直同期信号2は表示一画面周期(1フレーム)の信号で映像データ信号1の1フレーム分の始まりを示す。水平同期信号3は一水平周期の信号で表示データデジタル信号1の1水平ライン分の始まりを示す。データイネーブル信号4は映像データ信号1が有効である期間を示す信号である。1〜4は全てデータ同期クロック5に同期して入力される。本実施形態では、映像データ信号1は、一画面分が左上端の画素から順次ラスタスキャン形式で転送されるものとして以下説明する。6は表示制御部、7は表示データ信号、8はデータ信号駆動回路制御信号、9は走査信号駆動回路制御信号、29は階調特性制御部制御信号である。表示制御部6は表示装置全体をコントロールする部分で、外部から入力される1〜5の映像信号に応じて所定のタイミングで表示データ信号7、データ信号駆動回路制御信号8、走査信号駆動回路制御信号9を出力する。また、表示制御部6は、表示制御部6と階調特性制御部27の動作タイミングを同期させるための信号である階調特性制御部制御信号29を出力する。10はデータ信号駆動回路で、11はデータ線、12は走査信号駆動回路で13は走査線、14は表示部である。データ信号駆動回路10は、データ信号駆動回路制御信号8によって制御され、データ線11を介して表示部14内の各画素にアナログ信号で表示データを書き込む。走査信号駆動回路12は、走査信号駆動回路制御信号9によって制御され、走査線13を介して表示部14に書き込み選択信号を送る。15は陽極電源部、16は発光電力供給線、19は電流測定部、20は発光電流信号、27は階調特性制御部、28はPWM制御信号である。陽極電源部15は有機EL素子の陽極側の電源である。陽極電源部15は、有機EL素子が発光するために必要な電力を、発光電力供給線16を介して表示部14に供給する。電流測定部19は発光電力供給線16を流れる電流を測定することにより、表示部14内の有機EL素子を流れる電流の総量を測定する。電流測定部19はその電流測定値を信号化して、発光電流信号20として階調特性制御部27に入力する。階調特性制御部27は、発光電流信号20に応じて、表示装置に入力される映像信号の階調に対する実際の表示輝度すなわち階調特性を制御する。PWM制御信号28は、階調特性制御部27が表示装置の階調特性を制御するために表示装置14に入力する信号で、画素回路内のPWM回路の動作タイミングを制御する。17は陰極電源部で、18は陰極電源線である。陰極電源部17は表示部14内各画素の有機EL素子の陰極側に陰極電源線18を介して接続されている。
【0021】
図3は表示部14の内部構成を示している。図3において、111は第1データ線、112は第2データ線であり、これらは端部でデータ信号駆動回路10に接続されている。131は第1走査線、132は第2走査線であり、これらは端部で走査信号駆動回路12に接続されている。画素の内部の構成を第1行第1列画素141にのみ示しているが、第1行第2列画素142、第2行第1列画素143、第2行第2列画素144についても同様の構成である。
【0022】
以下、第1行第1列画素141について説明する。21はスイッチングTFTであり、22はデータ記憶容量、24が有機EL素子、25はPWM回路、26は点燈スイッチである。有機EL素子24の陽極側は点燈スイッチ26をはさんで発光電力供給線16に接続されている。また、有機EL素子24の陰極側は陰極電源線18に接続されている。スイッチングTFT21のゲートは第1走査線131に接続されており、ドレインは第1データ線111に接続されている。走査信号駆動回路12によって、第1走査線に選択信号が出力されると、スイッチングTFT21はオン状態になり、データ信号駆動回路10が第1データ線111に出力するアナログ電圧による表示データ信号電圧がデータ記憶容量22に記録される。データ記憶容量22に記録された表示データ信号は、走査信号駆動回路12によって、スイッチングTFT21がオフされた後も保持されつづける。
【0023】
有機EL素子24の表示輝度は、有機EL素子24に印加する電圧をON−OFF制御することにより、1フレーム期間内における点燈時間と消灯時間の割合を変化させることで、制御される。
【0024】
PWM回路25は、PWM制御信号28の点燈開始パルスを受けて点燈スイッチ26をONにして有機EL素子24に所定の電圧を印加し、有機EL素子24に電流が流れるようにして点燈を開始させ、PWM制御信号28の与えるパルスをカウントし、データ記憶容量22に記録された電圧に応じて所定のタイミングで点燈スイッチ26をOFFにして有機EL素子24に流れる電流を停止し有機EL素子24を消燈させる。
【0025】
図4は、データ信号線を通してデータ記憶容量22に信号電圧(Vsig)を記録することで階調値を指定された各画素が、点燈・消燈するタイミングを表している。各画素は時刻T0において一斉に点燈を開始する。各画素はPWM制御信号28のパルスを指定された階調に応じた回数カウントした時に消燈する。ここでも、階調値xである画素が消燈する時刻をTxとしている。
【0026】
図5は、PWM制御信号28の波形と階調−表示輝度特性の関係を示している。図5(a)のようにPWM制御信号28のパルス発生の時間間隔を一定にした場合、階調がxである画素が消燈する時刻Txと、階調がx+1である画素が消燈する時刻Tx+1の時間差は常に一定で、階調がxである画素と階調がx+1である画素の表示輝度の差は常に一定になる。よって、このときの階調−輝度特性のグラフは図5(a)のように直線になる。一方、図5(b)のように、時刻T31を境にPWM制御信号28のパルス発生の時間間隔を変化させた場合、階調がxである画素と階調がx+1である画素の表示輝度の差は、階調値31を境に変化する。よって、階調−輝度特性のグラフは図5(b)のように折れ線になる。
【0027】
図5に示した例は簡単な例であるが、PWM制御線28のパルス発生のタイミングをさらに複雑に制御することにより階調−輝度特性(階調特性)を任意に制御することが可能である。
【0028】
図6は図2記載の電流測定部19の構成例を示している。図6において、191は電流測定抵抗、192は差動増幅器である。電流測定部19は、陽極電源部15と表示部14の間の発光電力供給線16上に設けられ、表示部14内の有機EL素子の発光に供される電流は全て電流測定部19を流れる。
【0029】
電流測定抵抗191の両端の電位差は発光電力供給線16を流れる電流に比例する。この電流測定抵抗191の両端の電位差を差動増幅器192に入力し、この電位差を増幅することでアナログ電圧信号である発光電流信号20が得られる。図5のような構成を取ることで、発光電力供給線16を流れる電流に比例するアナログ電圧信号である発光電流信号20が得られる。
【0030】
図7は図2記載の階調特性制御部27の内部構成例を示している。図7において、601はA/Dコンバーター、602と603はDQフリップフロップ、604はTx2電流情報、605はTx1電流情報、606は減算回路、607は階調範囲1区間の画素存在頻度情報、608は輝度分布レジスタ、609は輝度分布情報、610はコントローラ、611は書きこみアドレス制御信号、612はDQフリップフロップ制御クロック、613はタイミングコントローラーである。
【0031】
A/Dコンバーター601は発光電力供給線16を流れる瞬間電流をアナログ電圧信号化した信号である発光電流信号20をA/D変換し、デジタルの信号にする。DQフリップフロップ602とDQフリップフロップ603はコントローラ610の出力するDQフリップフロップ制御クロックによって与えられるパルスの立ちあがりのタイミングで、D端子に入力されている信号をQ端子に出力する。Tx2電流情報604は時刻Tx2における発光電力供給線16を流れる瞬間電流を表すデジタル信号である。Tx1電流情報605は前述の時刻Tx2よりDQフリップフロップ制御クロック612の1クロック前の時刻であるTx1における発光電力供給線16を流れる瞬間電流を表すデジタル信号である。減算回路606はTx1電流情報605とTx2電流情報604の差を計算し、階調範囲1区間の画素存在頻度情報607として出力する。輝度分布レジスタ608は、いくつかのレジスタの集合で、コントローラ610の出力する書き込みアドレス制御信号611の指定するアドレスに階調範囲1区間の画素存在頻度情報607の示す値を格納する。コントローラ610は、階調特性制御部制御信号29によって表示制御部6と同期を取りながら、DQフリップフロップを制御するための信号であるDQフリップフロップ制御クロック612と、輝度分布レジスタ608に書きこむアドレスを指定する信号である書きこみアドレス制御信号611を出力する。また、コントローラ610は、輝度分布レジスタ608から輝度分布情報609を読み出し、輝度分布情報609に応じた階調特性制御を行うために、所定のタイミングでPWM制御信号28にパルス信号を出力する。PWM制御信号28に出力するパルスのタイミングを制御することにより、表示装置の階調特性を制御することができるということは図5で示した。
【0032】
64階調の画像に対して輝度分布に応じた階調特性の制御を行った場合の動作例を以下に示す。64階調を八つの区間(階調番号1〜7、8〜15、16〜23、24〜31、32〜39、40〜47、48〜55、56〜63)に分割し、それぞれの区間における画素の存在頻度を計測し、表示画像の輝度分布を求めるものとする。階調番号が0である画素は黒を表示するために点燈せず、1フレーム期間内における点燈時間は常に0であるから階調特性制御に関係が無いため、ここでは階調番号が0である画素の出現頻度は求めない。前述のように、時刻T0において、階調番号が0(黒表示)である画素を除く階調番号1〜63である画素がいっせいに点燈を開始し、階調番号xである画素が消燈するタイミングを時刻Txとし、最後に階調番号が63である画素が消灯するタイミングをT63とする。
【0033】
まず、階調番号が1〜7である画素の出現頻度を求める方法について示す。階調番号1である画素が消燈するタイミングである時刻T1でコントローラ610からDQフリップフロップ制御クロック612にパルスを出力し、このときの発光電力供給線16を流れる電流量の瞬間値をTx2電流情報604に出力する。次に、階調番号が7である画素が消燈するタイミングである時刻T8においてコントローラ610からDQフリップフロップ制御クロック612にパルスを出力し、605に時刻T1における電流量を出力し、604に時刻T8における電流量を出力する。減算回路606は時刻T1における電流量と時刻T8における電流量の差を計算する。時刻T1から時刻T8までの時間帯で階調番号が1〜7である画素が消燈したため、時刻T1における電流量と時刻T8における電流量の差が、表示画像内における階調番号が1〜7である画素の出現頻度に比例する。この出現頻度情報を輝度分布レジスタ608の区間1〜7に対応するアドレスに格納する。次に、時刻T16においてDQフリップフロップ制御クロック612にパルスを出力すれば、表示画像内における階調番号が8〜15である画素の出現頻度を求めることができる。階調番号が他の値である区間においても同様にして出現頻度を算出し、輝度分布レジスタ608に格納する。以上のようにして、表示画像内における8つの階調番号区間の画素出現頻度を求めることができ、表示画像の輝度分布を推定することができる。
【0034】
次に、表示画像の輝度分布情報に対して行う階調特性制御の例を示す。
【0035】
図8は表示画像の輝度分布に応じた階調特性制御の一例を示したものである。図8の左半分はある画像Aの輝度分布とその画像に対して適用する階調特性の関係を示したものであり、右半分はある画像Bの輝度分布とその画像に対して適用する階調特性の関係を示している。
【0036】
図8における画像Aのように輝度分布が図8左上のグラフのように低階調から高階調まで一様な分布をしている画像には、図8左下のグラフのような階調特性を適用するものとする。これに対して、図8における画像Bのように一部の階調の画素出現頻度が高い画像には、画素出現頻度の高い階調範囲において表示輝度のダイナミックレンジが大きくなるように制御する。例えば、図8の画像Bでは階調番号が16〜47である画素が表示画像内の大部分を占めるので、階調番号が16〜47の範囲において表示輝度のダイナミックレンジが大きくなるように階調特性制御を行うと、表示画像内の大部分で鮮明な表示をすることが可能になる。
【0037】
また、図9は表示画像の輝度分布に応じて、表示のピーク輝度制御を行った場合の一例を示している。図9の左半分はある画像Cの輝度分布とその画像に対して適用する階調特性の関係を示したものであり、右半分はある画像Dの輝度分布とその画像に対して適用する階調特性の関係を示している。
【0038】
図9における画像Cのように輝度分布が図9左上のグラフのように低階調から高階調まで一様な分布をしている画像には、図9左下のグラフのような階調特性を適用するものとする。これに対して、図9における画像Dのように輝度分布が高階調に偏っている画像を表示するとき、すなわち白い部分が大部分を占める画像を表示するときには、表示の最大輝度を落としても表示品位に対する影響は少ない。このような輝度分布が高階調に偏っている画像を表示するときにだけ最大輝度を落として表示すれば、画質低下を抑えつつ有機EL素子の劣化を緩和することが可能である。また逆に、輝度分布が低階調に偏っていて、わずかに高階調な画素が存在するような画像を表示するときには、最大輝度を高めるよう制御すれば、表示品位を向上させることができる。
【0039】
図8と図9のように、入力される映像の輝度分布に応じて、最適な階調−表示輝度特性(階調特性)を選択することにより、表示装置の表示品位を向上することと有機EL素子の劣化を緩和することができる。
【0040】
図2〜図9に示した表示装置の構成及び信号波形で、1フレーム期間内における有機EL素子の点燈時間を制御することによる各画素の階調表示と、表示画像の輝度分布に応じた階調特性の制御が可能である。ただし、図2〜図3に示した表示装置の構成はあくまでPWM方式による階調表示方法の一例である。PWM制御により階調表示を行うのであれば、画素回路内にカウンターを設ける構成にするよう限定はしない。また、PWM制御を行うために消燈(点燈)タイミングを指定するという目的を逸脱しなければ、PWM制御信号28の波形も、クロック信号に限定するものでない。また、本実施形態においては図4に示すように最初に全画素が点燈し階調の低い画素から消燈していくことでPWM制御による階調表示を行うものとして説明したが、階調の高い画素から先に点燈を開始することで点燈時間制御を行い階調表示を行うなど、表示装置内の有機EL素子発光電流の変化量から輝度分布を測定できるものであれば、各階調の画素の点燈消燈の順序は図4に示したものには限定しない。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0042】
図10は本発明の第2の実施形態を実現するための有機EL素子表示装置の構成例を示したものである。本発明の第2の実施形態は、表示部の発光電力供給線をRGBなど色ごとに設け、各色ごとに発光に寄与する電流をモニターし、各色ごとの輝度分布を測定する。これにより表示画像の特徴の情報が増え、よりきめ細かな階調−表示輝度特性(階調特性)制御を行うことができる。また、RGBなど各色ごとの輝度分布情報に基づいて各色の色バランスの補正にも応用できる。
【0043】
35はR陽極電源部、36はR発光電力供給線、39はR電流測定部、30はR発光電流信号、45はG陽極電源部、46はG発光電力供給線、49はG電流測定部、40はG発光電流信号、55はB陽極電源部、56はB発光電力供給線、59はB電流測定部、50はB発光電流信号である。先述のように、本発明の第2の実施形態においては陽極電源部をR・G・Bの各色ごとに設けている。R陽極電源部35はR色の画素専用の発光電源で、R発光電力供給線36はR色専用の電力供給線で、R電流測定部39はR発光電力供給線36を流れる電流を測定しその測定値を信号化してR発光電流信号30として出力する。以下、G陽極電源部45、G発光電力供給線46、G電流測定部49、G発光電流信号40、B陽極電源部55、B発光電力供給線56、B電流測定部59、B発光電流信号50はG・Bの各色において、R色における35、36、39、30と同様なはたらきをする。また、44は電源分離型表示部で、R・G・B各色ごとに発光電源線を分離した構造の表示部である。
【0044】
第2の実施形態における階調特性制御部27が、第1の実施形態のときと異なる点は、階調−表示輝度特性(階調特性)制御を行うために参照する発光電流信号が1本からR・G・B色用の3本に増え、R・G・B各色ごとの輝度分布推定を行う点のみで、その他の点は第1の実施形態の場合と変わらない。
【0045】
第2の実施形態におけるデータ信号駆動回路10、データ線11、走査信号駆動回路12、走査線13、陰極電源部17、陰極電源線18、PWM制御信号28、階調特性制御部制御信号29についてもそのはたらきは第1の実施形態の場合と同じである。
【0046】
図11は電源分離型表示部44の内部構成の一実施例である。441と444はR色画素回路で、442と445はG色画素回路で、443と446はB色画素回路である。R色画素回路はR発光電源線45に接続されており、B色画素回路はB発光電源線55に接続されている。各画素回路の内部構成に関しては第1の実施形態で示したものと同様で、その動作も第1の実施形態で示したものと同様である。
【0047】
以上、図10と図11に示すように、R・G・B各色の電源を分割することにより、表示画像のR・G・B各色ごとの輝度分布を推定し、これに応じた階調−輝度特性(階調特性)制御を行うことが可能である。R・G・B各色ごとの輝度分布情報に基づいて、表示部の最大輝度制御及び色バランスの補正を行っても構わない。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。図12は本発明の第3の実施形態を実現するための有機EL素子表示装置の構成例を示したものである。
【0049】
図12の構成が、第1の実施形態と異なる点は階調特性制御部27の代わりに信号処理階調特性制御部227が設置されている点と、表示制御部6は所定のタイミングでPWM回路を制御して各画素の点燈消燈タイミングを与えるPWM制御信号28も出力する点で、その他の部分のはたらきは第1の実施形態と同様である。信号処理階調特性制御部227は発光電流信号20を受信し、第1の実施形態で示した方法で、表示画像の輝度分布を推定する。信号処理表示制御部227は表示画像の輝度分布に応じて階調特性を制御するために、表示装置の外部から入力される映像データ信号1をデジタル信号処理により変換し、表示データ信号7として出力する。データ信号駆動回路10は、この変換済みの表示データ信号7に応じて表示部14内にアナログの表示信号を書きこみ、表示画像の輝度分布に応じた階調特性に変換した画像を表示する。この表示画像の輝度分布に基づいた階調特性制御処理はデータ信号駆動回路10においてデータ線に出力する電圧を制御するなどアナログ信号処理を行うことで実現しても構わない。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、PWM方式で駆動する自発光素子表示装置において、表示画像の輝度分布を測定することができる。表示画像の輝度分布に応じて階調特性を制御することで、鮮明な表示を行うことができる。また、表示画像の輝度分布に応じて表示の最大輝度を制御することにより、表示品位の向上を図ったり、有機EL素子の劣化を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL表示装置をPWM(パルス幅変調)方式を用いて階調表示したときにおける、各階調の画素の点燈-消燈タイミングと、画面全体の有機EL素子を流れる電流量の総和の変化の関係を表している。
【図2】本発明の第1の実施形態である有機EL素子表示装置の例である。
【図3】図2記載の表示部14の内部構成を示している。
【図4】図3記載のPWM回路25に入力するアナログ信号電圧と有機EL素子24の点燈時間の関係を示す。
【図5】図2記載のPWM制御線28の波形と表示装置の階調特性の関係を示している。
【図6】図2記載の電流測定部19の内部構成の一実施例を示している。
【図7】図2記載の階調特性制御部27の内部構成の一実施例を示している。
【図8】表示画像に応じた階調特性(階調−輝度特性)の制御例である。
【図9】表示画像に応じた階調特性(階調−輝度特性)の制御を、最大輝度制御に応用した場合の例である。
【図10】本発明の第2の実施例を実現するための有機EL素子表示装置の構成例を示している。
【図11】図10記載の電源分離型表示部44の内部構成の一実施例である。
【図12】本発明の第3の実施形態を実現するための有機EL素子表示装置の構成例を示している。
【符号の説明】
1…映像データ信号、2…垂直同期信号、3…水平同期信号、4…データイネーブル信号、5…データ同期クロック、6…表示制御部、7…表示データ信号、8…データ信号駆動回路、9…走査信号駆動回路制御信号、10…データ信号駆動回路、11…データ線、12…走査信号駆動回路、13…走査線、14…表示部、15…陽極電源部、16…発光電力供給線、17…陰極電源部、18…陰極電源線、19…電流測定部、20…発光電流信号、21…スイッチングTFT、22…データ記憶容量、24…有機EL素子、25…PWM回路、26…点燈スイッチ、27…階調特性制御部、28…PWM制御信号、29…階調特性制御部制御信号、30…R発光電流信号、35…R陽極電源部、36…R発光電力供給線、39…R電流測定部、40…G発光電流信号、44…電源分離型表示部、45…G陽極電源部、46…G発光電力供給線、49…G電流測定部、50…B発光電流信号、55…B陽極電源部、56…B発光電力供給線、59…B電流測定部、111…第1データ線、112…第2データ線、131…第1走査線、132…第2走査線、141…第1行第1列画素、142…第1行第2列画素、143…第2行第1列画素、144…第2行第2列画素、191…電流測定抵抗、192…差動増幅器、227…信号処理階調特性制御部、441…R色画素回路、442…G色画素回路、443…B色画素回路、444…R色画素回路、445…G色画素回路、446…B色画素回路、601…A/Dコンバータ、602…DQフリップフロップ、603…DQフリップフロップ、604…Tx2電流情報、605…Tx1電流情報、606…減算回路、607…階調範囲1区間の画素存在頻度情報、608…輝度分布レジスタ、609…輝度分布情報、610…コントローラ、611…書きこみアドレス制御信号、612…DQフリップフロップ制御クロック
Claims (10)
- パルス幅変調方式によって点燈、消燈する複数の画素がマトリクス状に配置された表示部と、
前記画素に電流を供給する駆動電源回路と、
前記画素に接続された信号線に、外部から入力される表示データに応じて前記画素に流れる電流を制御する信号電圧を供給する信号線駆動回路と、
前記画素に接続された走査線に、前記信号電圧を供給すべき画素のラインを選択するための選択信号を供給する走査線駆動回路と、
前記表示データを、前記信号線駆動回路と、前記走査線駆動回路を制御する制御信号に変換する表示制御回路とを備えた表示装置において、
前記駆動電源回路が前記複数の画素に供給する電流量を、1フレーム期間内に、階調順に画素が消燈又は点燈するタイミングに応じて複数回測定することにより、階調間での電流変化量を求める電流変化量測定手段と、
前記階調間での電流変化量をその階調の出現頻度とみなして、1画面中の階調の出現頻度分布情報を生成する分布情報生成手段とを備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記階調の出現頻度分布情報に基づいて、前記表示データの階調と表示輝度の関係を制御することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記表示制御部又は前記信号線駆動回路が、前記表示データの階調と前記表示輝度の関係を制御することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
- 前記階調の出現頻度分布情報に基づいて、表示輝度の最大値を制御することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記表示制御部又は前記信号線駆動回路が、表示輝度の最大値を制御することを特徴とする請求項4記載の自発光素子表示装置。
- 前記駆動電源回路と前記電流変化量測定手段を、前記画素の発光色ごとに設けることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の表示装置。
- 表示部にマトリックス状に配置されたパルス幅変調方式によって点燈、消燈する画素に電流を供給し、
前記画素に接続された信号線を介して、外部から入力される表示データに応じて前記画素に流れる電流を制御する信号電圧を供給し、
前記画素に接続された走査線を介して、前記信号電圧を供給すべき画素のラインを選択するための選択信号を供給することによって、前記表示部に前記表示データを表示するための表示方法において。
前記複数の画素に供給する電流量を、1フレーム期間内に、階調順に画素が消燈又は点燈するタイミングに応じて複数回測定することにより、階調間での電流変化量を求め、
前記階調間での電流変化量をその階調の出現頻度とみなして、1画面中の階調の出現頻度分布情報を生成することを特徴とする表示方法。 - 各画素は、前記信号電圧に応じたパルス数に応じて前記各画素に流す電流を停止して前記各画素を消燈するパルス幅変調回路を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の表示装置。
- 前記1フレーム期間内に、黒階調を除く画素が点燈し、低階調の画素から高階調の画素へ順に消燈することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の表示装置。
- 前記1フレーム期間内に、高階調の画素から低階調の画素へ順に点燈することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の表示装置。
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