JP3960111B2 - 送信開始制御装置、及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信開始制御装置に関し、より詳しくは、データを効率的にネットワークに送信する送信開始制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネットワークを介して、オーディオデジタルデータ等を送受信するIEEE1394等の規格がある。このIEEE1394によれば、オーディオデジタルデータ等の転送を高速で行える上に、該ネットワークに接続される機器の設定も高速に行うことが出来る。しかし、IEEE1394等の高速通信の規格は、短距離通信向けのものであり、例えば、IEEE1394で高速通信を行う場合、実質転送可能距離は、10m以下であり、長距離通信を行うことが出来ない。
【0003】
遠距離通信ネットワークを介して、オーディオデジタルデータ等を送受信する規格としては、例えば、CobraNet(登録商標)等の多チャンネル非圧縮オーディオ信号(オーディオデジタルデータ)及び設定情報をイーサネット(登録商標)で送受信する規格がある。この規格では、100m〜数kmの距離で、通信を行うことが出来る。
【0004】
このような遠距離通信ネットワークを介したオーディオデジタルデータ等の送受信を行う装置においては、同一のネットワークに接続される機器の中の1つが、通信の順番を管理するマスタに設定され、その他の機器はスレーブに設定される。この場合、ネットワークに接続されている全機器の優先度が比較され、最も優先度の高いものが、常にマスタとなる。
【0005】
マスタとなった機器は、自機を含めた全機器の送信の順番をネットワークに送信し、他の機器(スレーブ)は、その順番に従い1つずつ送信を行う。1つの機器の送信が終了すると、次の機器への送信開始指示が出され、次の順番を有する機器はその指示を受信して、送信を開始する。このようなことを繰り返すことにより、一度に1機器ずつの送信が順次なされる。
【0006】
上述の遠距離通信ネットワークを介したオーディオデジタルデータ等の送受信を行う装置においては、通常90Mbps程度の通信レートで、データが送受信される。しかし、通信レートの大部分(70〜80%)が、オーディオデジタルデータ等の主要データの通信に使われ、設定情報等は、主要データよりも低い優先度しか有していない。よって、設定情報等は、通信レートのわずかな部分(1%以下)程度しか使用することが出来ず、非常に通信速度が遅いものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通信ネットワークでは、1つの機器のデータ送信が終わったときに次の機器へ送信開始指示が送信され、次の機器はその指示を受けてデータ送信を始める。ある機器の送信が終わって次の機器の送信が開始されるまでの間はネットワーク上にデータが流れていない。そのため、ネットワーク上に何もデータが流れていない時間が頻繁に発生し、効率よくデータを送信することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、ネットワーク上に何もデータが流れていない時間を極めて短くでき、効率よくデータ通信を行うことができる送信開始制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、オーディオ伝送ネットワークに接続され、該ネットワークにおけるオーディオ伝送の合間である一部の帯域を利用して制御データを通信する複数の装置により構成されたオーディオ伝送システムにおける装置はそれぞれ、送信すべきデータを送信にかかる送信時間と前記ネットワークに前記データを送信する場合に生じる遅延時間に相当する繰上時間に従い、ネットワークに接続されている他の装置への送信開始指示を送信する送信時刻を決定する決定手段と、前記送信すべきデータを送信するとともに、該データの送信途上であっても前記送信時刻に到達した時、前記他の装置への送信開始指示を送信する送信手段と、ネットワークに接続されている他の装置からの送信開始指示を受信する受信手段とを有し、前記送信手段が、前記送信開始指示の受信に応じてデータ送信処理を開始することにより、他の装置のデータ伝送が完了した後、直ちに前記送信すべきデータを前記ネットワークに上げることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例による送信開始制御システム1のネットワーク構成を示すブロック図である。送信開始制御システム1は、それぞれが送信開始制御装置としての機能を有する発生源コントローラ2とアンプコントローラ3とを遠距離通信ネットワーク6を介して接続することにより構成される。
【0011】
遠距離通信ネットワーク6は、例えば、CobraNet等の多チャンネル非圧縮オーディオ信号(オーディオデジタルデータ)及びネットワーク6に接続された機器の設定情報等をイーサネット(登録商標)等で送受信することの出来る通信ネットワークである。また、遠距離通信ネットワーク6では、オーディオデジタルデータや動画デジタルデータ等のデータサイズの大きい主要データは、高い通信レートで伝送され、その他の、例えば設定情報等は、低い通信レートで伝送される。
【0012】
音楽データ出力装置(発生源)4は、デジタルオーディオデータ又はMIDIでータが出力可能な電子楽器、音源装置、オーディオ機器等の電子音楽装置等で構成される。
【0013】
コンピュータPCは、パーソナルコンピュータ等で構成され、発生源コントローラ2から、後述するアンプ5等の設定状態を表す設定データASを含む状態データ18を受信して、送信開始制御システム1上の全機器の設定状態を表示する。ユーザは、表示される設定状態を参照して、その内容を変更することが出来る。変更された設定状態は、変更データとして、発生源コントローラ2に送信される。なお、設定データ及び変更データについては、後に詳述する。
【0014】
また、コンピュータPCは、ネットワーク上の全ての送信開始制御装置(発生源コントローラ2及びアンプコントローラ3)に接続可能であり、どの送信開始制御装置に接続しても、上述の処理を実行することが出来る。例えば、図1に点線で示すように、アンプコントローラ3に接続したとしても、発生源コントローラ2に接続した場合と同様の処理を行うことが出来る。
【0015】
発生源コントローラ2は、音楽データ出力装置(発生源)4及びコンピュータPC等と接続される。発生源コントローラ2は、音楽データ出力装置(発生源)4から入力されるオーディオデジタルデータ及びMIDIデータを受信する。また、コンピュータPCに状態データ18を送信するとともに、コンピュータPCから変更データを受信する。
【0016】
発生源コントローラ2は、入力されたオーディオデジタルデータ及びMIDIデータ、受信した変更データ、及び状態データ18、後述の獲得データ20、順番データ21、参加データ22、開始データ24等をパケット化してネットワーク6に送信する。
【0017】
また、発生源コントローラ2は、変更データ、状態データ18、獲得データ20、順番データ21、参加データ22、開始データ24等のパケットをネットワーク6から受信して、パケット化を解除する。なお、オーディオデジタルデータ及びMIDIデータを受信した場合もパケット化を解除して、外部に出力することが出来る。
【0018】
アンプコントローラ3は、オーディオデジタルデータ及びMIDIデータ、変更データ、状態データ18、獲得データ20、順番データ21、参加データ22、開始データ24等のパケットをネットワーク6から受信して、パケット化を解除する。パケット化を解除された受信データの内、変更データは、アンプ5に送信される。
【0019】
また、受信したオーディオデジタルデータ及びMIDIデータは、オーディオアナログデータ(アナログ音声信号)に変換された後に、アンプ5に出力される。なお、受信したオーディオデジタルデータ及びMIDIデータは、通常のアンプで再生可能な形式のデジタルデータに変換して、デジタルオーディオ信号としてアンプ5に出力するようにしても良い。
【0020】
また、アンプコントローラ3には、複数のアンプ5が接続可能であり、新たに接続されたアンプ5から設定データASを取得(受信)するとともに、既に接続されているアンプ5の設定に変更がある場合は、変更データを取得(受信)する。
【0021】
さらに、アンプコントローラ3は、変更データ、状態データ18、後述の獲得データ20、順番データ21、参加データ22、開始データ24等をパケット化してネットワーク6に送信する。また、オーディオデジタルデータ及びMIDIデータが外部から入力された場合は、それらもパケット化してネットワーク6に送信することが出来る。
【0022】
アンプ5は、アンプコントローラ3から入力されるオーディオアナログデータを再生するためのアンプである。アンプ5は、自機の操作子を使って設定が変更されると、その内容を表す変更データを作成して、アンプコントローラ3に送信する。また、新たにアンプコントローラ3に接続された時は、自機の全ての設定状態を表す設定データASをアンプコントローラ3に送信する。
【0023】
図2は、本発明の実施例による送信開始制御装置(発生源コントローラ2及びアンプコントローラ3)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3のバス7には、ROM8、RAM9、CPU10、タイマ11、検出回路12、表示回路14、音源回路16、通信インターフェイス17が接続される。
【0025】
ROM8には、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。また、ROM8には、後述の機器IDが記憶されている。RAM9は、フラグ、レジスタ又はバッファ、各種パラメータ等を記憶するCPU10のワーキングエリアを有する。また、ネットワーク6から受信するオーディオデジタルデータ及びMIDIデータを一時的に記憶するとともに、状態データ18等の各種データを保持する一時記憶領域(バッファ)を有する。
【0026】
なお、ROM8及びRAM9に加えて、送信開始制御装置のバス7にフラッシュメモリや半導体メモリ、ハードディスク等の記憶保持機能のある書き換え可能な外部記憶装置を接続して、電源を切った後も、状態データ18等の各種データを保持できるようにしても良い。
【0027】
CPU10は、ROM8に記憶されている制御プログラム等に従い、演算又は制御を行う。タイマ11は、バス7に接続されており、基本クロック信号、再生処理タイミング、割り込み処理のタイミング等をCPU10に供給する。
【0028】
操作子13は、例えば、複数のスイッチ、文字入力用キーボード、マウス等であり、検出回路12に接続される。操作子13は、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。
【0029】
表示回路14は、表示部15に接続され、ネットワークに接続された各機器の設定状態等の各種情報を表示することができる。ユーザは、この表示部15に表示される情報を参照して、各種情報の入力及び各種設定を行う。
【0030】
音源回路16は、D/A変換器を含み、通信インターフェイス17を介してネットワーク6から受信するオーディオデジタルデータ及びMIDIデータをオーディオアナログデータに変換して、再度通信インターフェイス17を介してアンプ5等に出力する。また、音源回路16は、通信インターフェイス17を介して音楽データ出力装置4からオーディオアナログデータを受信した場合は、それをオーディオデジタルデータに変換して、通信インターフェイス17を介してネットワーク6に送信することも出来る。
【0031】
通信インターフェイス17は、ネットワーク接続用の通信インターフェイス及びコンピュータPC接続用の通信インターフェイス等を含む複数のインターフェイスで構成される。
【0032】
ネットワーク接続用の通信インターフェイスは、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線等の遠距離通信ネットワーク6に接続可能であり、オーディオデジタルデータ、MIDIデータ、状態データ18、獲得データ20、順番データ21、参加データ22、開始データ24等をパケット化して該通信ネットワーク6に送信することが出来るとともに、それらのパケットを受信して、パケット化を解除することが出来る。
【0033】
コンピュータPC接続用の通信インターフェイスは、コンピュータPCと接続可能であり、該接続されたコンピュータPCに状態データ18を送信するとともに、コンピュータPCから変更データを受信する。
【0034】
送信開始制御装置を発生源コントローラ2として利用する場合は、上記の2つのインターフェイスに加えて、さらに、発生源接続用のインターフェイスを備えるようにする。発生源接続用のインターフェイスは、発生源4からのMIDIデータ及びオーディオデジタルデータを入力することが出来る各種の入力端子である。
【0035】
また、送信開始制御装置をアンプコントローラ3として利用する場合は、上記の2つのインターフェイスに加えて、さらに、アンプ接続用のインターフェイスを備えるようにする。アンプ接続用のインターフェイスは、アンプ5にオーディオアナログデータ(アナログ音声信号)を出力可能な出力端子と、アンプ5に変更データを送信するとともに、アンプ5から設定データAS及び変更データを受信可能な通信インターフェイスとを含む。
【0036】
なお、送信開始制御装置の利用態様(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3としての利用)に関わらず、上述した全てのインターフェイスを備えるようにしても良い。そうすることにより、状況に応じて、送信開始制御装置の利用態様を変更することが可能である。
【0037】
なお、本明細書では、上述した各種の通信インターフェイスをまとめて、通信インターフェイス17と呼ぶ。
【0038】
図3は、本実施例による状態データ18の構成を示す概念図である。図3では、図1の発生源コントローラ2に保持されている場合の状態データ18を示すが、アンプコントローラ3では、図3の機器Bのデータを自機のデータとして保持している。
【0039】
状態データ18は、自機の設定状態を表す状態データ18a及び外部機器の設定状態を表す状態データ18b1〜18bnを含んで構成される。状態データ18を外部に送信する場合は、自機の設定状態を表す状態データ18aのみを送信しても良いし、外部機器の設定状態を表す状態データ18b1〜SDbnを併せて送信するようにしても良い。
【0040】
自機の設定状態を表す状態データ18a(この例では、発生源コントローラ2の設定状態を表すデータ)は、各機器に固有の機器ID、後述のマスタ獲得要求時に参照される優先度PR、及び発生源コントローラ2に接続されている発生源4の入力割当てと出力割当て(発生源から入力する複数チャンネルのそれぞれのデータをどのアンプに出力するかを表す情報)とを含んで構成される。なお、優先度PRは、他の機器(外部機器)と重ならないように手動で設定される。
【0041】
外部機器の設定状態を表す状態データ18b1〜18bn(この例では、アンプコントローラ3の設定状態を表すデータ)は、各機器に固有の機器ID、優先度PR、及びアンプコントローラ3に接続されているアンプ5の数(n)及び各アンプ5の設定を表す設定データAS1〜ASnを含んで構成される。また、発生源コントローラ2に接続されている発生源4の入力割当てと出力割当てとを含めて構成しても良い。
【0042】
アンプ5の設定を表す設定データAS1〜ASnは、各アンプに固有のアンプID(アンプID1〜IDn)及びアンプ設定(アンプ設定1〜n)で構成される。アンプ設定1〜nは、それぞれのアンプの現在の設定状態を表し、例えば、スピーカ出力、ミュート設定、ボリューム等の通常のアンプにおいてユーザが設定可能なパラメータである。
【0043】
このアンプ設定1〜nに含まれる一部のパラメータに変更がなされた場合は、該変更されたパラメータと設定を変更するアンプIDを合わせて変更データを生成する。
【0044】
図4は、本実施例によるマスタ機器決定の第1の例を表す概念図である。この例では、ネットワーク上に始めて接続した機器がマスタとなる場合を示す。なお、図中左から右に時間進行を表す。また、ネットワークとは、ネットワーク上を流れるデータの状況を表している。
【0045】
機器A(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)が、通信ネットワーク6に接続されると、通信準備をするための初期設定が行われる。図では、機器Aの通信準備が完了して送受信が可能になった時点をタイミングCRで示す。
【0046】
機器Aは、通信準備が完了すると送信処理を停止する送信待機時間分の時間の計時を始める。送信待機時間は、ネットワーク上で全機器が少なくとも1回ずつデータを送信することが出来る1つのサイクルを複数回分含む程度の長さである。本実施例では、送信待機時間を予め2秒と定めている。すなわち、本実施例では、通信準備完了タイミングCRから、2秒後のパケット転送開始タイミングPTまでの間を送信待機時間としている。
【0047】
この送信待機時間は、後述する獲得データ20若しくは順番データ21が、他の機器から送信されていないことを確認するための時間であり、これらのデータ20、21が送信されていなければ、ネットワーク上にマスタ機器が存在していないと判断することが出来る。
【0048】
機器Aは、送信待機時間が経過すると、パケット転送開始タイミングPTにおいて、獲得データ20をネットワーク6に送信する。獲得データ20は、自機がマスタとなることを希望するためのデータであり、少なくとも、機器IDと優先度PRが含まれる。
【0049】
機器Aから送信された獲得データ20は、遅延時間経過後にネットワーク上に現れる。遅延時間は、機器間のデータ通信にかかる時間であり、送信機の送信データの蓄積時間+送信機のパケット化時間+伝送時間+受信機のパケット解除時間が含まれる。本実施例では、この遅延時間を20msとしている。
【0050】
獲得データ20を送信した後、機器Aは、マスタ獲得時間分の時間の計時を開始する。マスタ獲得時間は、他の機器からの獲得データ20を受信するための待機時間であり、この間に他の機器からの獲得データ20を受信しなければ、マスタ獲得時間経過後のタイミングMSにて、マスタとなるための設定を行う。
【0051】
なお、マスタ獲得時間は、送信待機時間と同様に、ネットワーク上で全機器が少なくとも1回ずつデータを送信することが出来る1つのサイクルを複数回分含む程度の長さである。よって、本実施例では、マスタ獲得時間も送信待機時間と同じ2秒に設定している。
【0052】
ネットワーク6上に他の機器が存在しない場合は、以上のようにして、ネットワーク6に最初に接続された機器Aがマスタとなる。
【0053】
図5は、本実施例によるマスタ機器決定の第2の例を表す概念図である。この例では、マスタ機器の存在しないネットワーク上に、機器A及び機器Bが同時に接続した場合の、マスタ設定動作を示す。なお、図中左から右に時間進行を表す。また、ネットワークとは、ネットワーク上を流れるデータの状況を表している。また、機器A及び機器Bの横線の、上側に送信データ、下側に受信データを示している。
【0054】
また、この例では、機器A及び機器Bが同時にネットワーク6に接続した場合を説明しているが、機器A(機器B)が接続した後、送信待機期間中に機器B(機器A)が接続した場合も同様の動作を行う。以降、本明細書では、最初にネットワーク6に接続した機器の送信待機期間中に接続する場合を含めて「同時に接続する」と呼ぶ。
【0055】
機器A及び機器Bのいずれがマスタになるかは獲得データ20に含まれる優先度PR(図3の状態データ18の優先度PRに基づく)を比較することにより決定されるが、この例では、機器Aの優先度PRが、機器Bの優先度PRよりも高いものとする。
【0056】
機器A及び機器B(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)が、通信ネットワーク6に接続されると、通信準備をするための初期設定が行われる。機器A及び機器Bの通信準備が完了して送受信が可能になった時点をそれぞれタイミングCRa、CRbで示す。
【0057】
機器A及び機器Bは、図4に示した例と同様に、通信準備完了後、送信待機時間分の時間の計時を始める。図5では、この送信待機時間中に、獲得データ20又は、順番データ21が、他の機器から送信されないので、ネットワーク上にマスタ機器が存在していないと判断する。
【0058】
ネットワーク上にマスタ機器がいないと判断すると、通信準備完了タイミングCRa(CRb)から2秒後のパケット転送開始タイミングPTa(PTb)において、機器A(機器B)は、獲得データ20a(20b)をネットワーク6に送信する。機器A(機器B)から送信された獲得データ20a(20b)は、遅延時間経過後にネットワーク上に現れる。
【0059】
獲得データ20a(20b)を送信した後、機器A(機器B)は、マスタ獲得時間分の時間の計時を開始する。機器A(機器B)は、獲得データ20a(20b)がネットワーク6上に現れた後、それを受信して、受信した獲得データ20b(20a)と、自機の優先度PRを比較する。
【0060】
機器Aは、受信した獲得データ20bに含まれる機器Bの優先度PRが、自機の優先度PRよりも低いので、比較終了時のタイミングRC以降も、他の機器からの獲得データ20を受信した場合は、マスタ獲得時間終了タイミング(マスタ設定タイミング)MSまで、同様の比較を継続する。
【0061】
機器Bは、受信した獲得データ20aに含まれる機器Aの優先度PRが、自機の優先度PRよりも高いので、比較終了時のタイミングRE以降は、優先度の比較を終了し、スレーブ設定タイミング(マスタ獲得時間終了タイミング)SSにて、自機をスレーブとして設定する。
【0062】
以上のように、ネットワーク6に複数の機器が同時に接続されると、それぞれが、優先度を含む獲得データを送受信し、他の機器の優先度と比較することにより、最も優先度の高い機器をマスタに設定する。
【0063】
図6は、本実施例によるマスタ機器決定の第3の例を表す概念図である。この例では、ネットワーク上に既にマスタである機器Aが接続されている場合の、ネットワークに新たに接続された機器Bの動作を示す。なお、図中左から右に時間進行を表す。また、ネットワークとは、ネットワーク上を流れるデータの状況を表している。
【0064】
機器B(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)が、通信ネットワーク6に接続されると、通信準備をするための初期設定が行われる。図では、機器Aの通信準備が完了して送受信が可能になった時点をタイミングCRで示す。また、機器A及び機器Bの横線の、上側に送信データ、下側に受信データを示している。
【0065】
機器Bは、通信準備が完了すると通信準備完了タイミングCRから2秒間送信処理を停止する送信待機時間の時間の計時を始める。この例では、既に、機器Aがマスタとして機能しているので、この通信待機時間中に、機器Aから少なくとも一回は、各機器の送信順を表す順番データ21が、ネットワーク6に送信される。
【0066】
機器Bは、機器Aから送信される順番データ21がネットワーク6上に現れると、それを受信する。順番データ21の受信は、既にマスタ機器が存在することを示すので、順番データ21の受信タイミングSEにて、通信待機を終了する。
【0067】
その後、機器Bは、以降の順番データ21に自機を含めることを要求する参加データ22をネットワーク6に送信する。機器Aは、ネットワーク6から参加データ22を受信し、以降の順番データ21に機器Bを含めるように設定する。
【0068】
従来の装置では、ネットワークに新たな機器が接続されると、例えば、図5に示したような優先度の比較をその都度行っていたが、この第3のマスタ設定例では、既にマスタが設定されている場合は、新たな機器が持つ優先度が現行のマスタが持つ優先度よりも高い場合でも、新たな機器は必ず自動的にスレーブとして設定されるようにした。
【0069】
このようにすると、ネットワーク6に新たな機器(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)が接続されても、優先度の比較を行う必要がないので、その他の通信を停止しなくても良い。よって、他の通信を阻害することなく、迅速に新たな機器を接続することが出来る。
【0070】
図7は、本実施例による設定情報23の通信の一例を表す概念図である。この例では、ネットワーク上にマスタに設定された機器A及びスレーブに設定された機器B、機器Cが接続されている。なお、図中左から右に時間進行を表す。また、ネットワークとは、ネットワーク上を流れるデータの状況を表している。また、機器A、機器B、及び機器Cのそれぞれの横線の、上側が送信データ、下側が受信データを示す。また、データの送信順が機器A−機器B−機器Cと決められるものとしている。。
【0071】
ここで設定情報23とは、オーディオデジタルデータ等の優先度が高い(高通信レート伝送される)データ以外の、優先度の低い(低通信レートで伝送される)データである。例えば、状態データ18、変更データ、獲得データ20、順番データ21、及び参加データ22等が設定情報23に含まれる。なお、MIDIデータは、機器の設定又は設定状態を表すデータではないが、低い優先度で伝送されるので、設定情報23と同様の処理で送受信される。
【0072】
機器Aは、パケット転送開始タイミングPT1において、送信すべきデータである設定情報23a(その情報の前半部である設定情報23a1)の送信を開始する。設定情報23aの送信は、、開始データ24aの送信時刻ST1まで続けられ、送信時刻ST1になると、設定情報23aの送信に割り込むようにして開始データ24aの送信が行われる。開始データ24aの送信が終了すると、機器Aが送信すべきデータの残りである設定情報23a2の送信が開始される。機器Aは、マスタであるので、開始データ24aには、順番データ21が含まれている。。
【0073】
開始データ24の送信時刻STは、後述するように送信すべきデータ及び開始データ24の送信にかかる時間である送信時間TTと設定されている繰上時間とに基づき決定する。すなわち、送信時刻STは現時時刻(タイミングPT)+送信時間TT−繰上時間(20ms)により求められる。
【0074】
ここで、繰上時間とは、ネットワークにおける遅延時間を考慮して、開始データ24の送信時刻を繰り上げるための時間であり、本実施例では、遅延時間と同じ20msに設定されている。遅延時間と等しい繰上げ時間分だけ、パケット転送終了予定時刻より早めに開始データ24を送信することにより、次に送信を開始する機器は、前に送信をしている機器のパケット転送終了後直ちにパケット転送を開始することが出来る。このように、予めネットワーク上の遅延時間を考慮することにより、ネットワーク上にデータが何も流れていない状態を極力減らすことが出来る。
【0075】
機器Bは、機器Aが送信した開始データ24aを受信したら、その受信終了時刻であるタイミングER1から、開始データ24bの送信を開始する。これは、機器Bが送信すべき設定情報23bのデータ量が小さいため、送信時間TTよりも繰上時間が長くなってしまうからである。このような場合には、図に示すように、設定情報23bに先駆けて開始データ24bが送信される。開始データ24bの送信が終了すると、設定情報23bの送信が開始される。
【0076】
機器Cは、機器Bが送信した開始データ24bを受信したら、その受信終了時刻であるタイミングER2から、送信すべきデータである設定情報23c(その情報の前半部である設定情報23c1)の送信を開始する。設定情報23cの送信は、、開始データ24cの送信時刻ST3まで続けられる。送信時刻ST3になると、設定情報23cの送信に割り込むように、開始データ24cがネットワーク6に送信される。開始データ24cの送信が終了すると、機器Cが送信すべきデータの残りの設定情報23c2の送信が開始される。
【0077】
機器Cにより送信される開始データ24cが、機器Aに受信されるとその終了時刻であるタイミングER3から次開始待機時間の計時が開始される。次開始待機時間中は、既にネットワークに接続されているスレーブ機器の送受信は、停止される。
【0078】
次開始待機時間とは、1サイクル分の送信が終わる(開始データ24cを受信する)タイミングER3から、次のサイクルが始まるタイミングPT4までに設けられる特定長の時間であり、新たにネットワーク6に接続された機器は、その時間内に参加データ22を送信する。
【0079】
次開始待機時間が経過すると、タイミングPT4において、マスタである機器Aが新たな順番データ21を含む開始データ24Aとパケットの転送を再開する。
【0080】
以上のように、次に送信する機器は、前に送信する機器が送信した設定情報23n−1の受信を完了する前に、自機が送信すべき設定情報23nの送信を開始することが出来る。
【0081】
本実施例では、ネットワーク上での遅延時間を考慮して、次の機器に送信の開始を指示する開始データ24の送信時刻STを早めているので、受信完了前に送信を開始したとしても、ネットワーク上に2つ以上の機器が送信する設定情報23が一度に現れることを避けつつ、ネットワーク上に設定情報23が何もない状態を減らすことが出来る。
【0082】
図8は、本実施例によるメイン処理を表すフローチャートである。このメイン処理は、送信開始制御装置(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)がネットワーク6に接続されると開始され、ネットワーク6から切断されると終了する。このメイン処理は、前述の図4〜図6に示す機器A及び機器Bでマスタ設定を行うための処理である。
【0083】
ステップSA1では、メイン処理を開始し、ステップSA2では、初期設定を行い、通信を開始できる状態にする。すなわち、送信データの蓄積、送信機のパケット化、パケット伝送、及び受信パケット解除等の通信に関する処理を開始出来る状態にする。この時、図10に示す受信処理を開始するが、図9に示す送信処理は、図4から図6に示す送信待機時間の計時を開始して、送信停止(待機)状態にする。
【0084】
ステップSA3では、送信待機時間分の時間が経過したか否かを判断する。送信待機時間分の時間が経過した場合は、YESの矢印で示すステップSA7に進み、経過していない場合は、NOの矢印で示すステップSA4に進む。
【0085】
ステップSA4では、順番データ21(図6)をネットワーク6から受信したか否かを判断する。順番データ21を受信しない場合は、NOの矢印で示すステップSA3に戻る。順番データ21を受信した場合は、既にマスタがネットワーク6上に存在していると判断して、YESの矢印で示すステップSA5に進む。
【0086】
ステップSA5では、図7に示す次開始待機時間が到来するのを待ち、次開始待機時間が到来したら、図6に示す参加データ22を送信し、ステップSA6では、自機をスレーブに設定する。その後、図9に示す送信処理を起動(開始)して、ステップSA13に進む。
【0087】
上記のステップSA5及びステップSA6は、スレーブとして動作する場合の処理である。以下のステップSA7〜ステップSA12は、マスタとして動作する場合の処理である。
【0088】
ステップSA7では、図4及び図5に示す獲得データ20を送信するとともに、マスタ獲得時間の計時を開始する。ステップSA8では、ネットワーク6に接続されている他の機器の獲得データ20を受信したか否かを判断する。獲得データ20を受信した場合は、YESの矢印で示すステップSA9に進み、受信しない場合は、NOの矢印で示すステップSA11に進む。
【0089】
ステップSA9では、自機の優先度PRと受信した獲得データ20に含まれる他の機器の優先度PRを比較する。ステップSA10では、ステップSA9での比較結果を参照して、自機の優先度他の機器の優先度より高いか否かを判断する。自機の優先度が高い場合は、YESの矢印で示すステップSA11に進む。自機の優先度が低い場合は、スレーブ設定を行うので、NOの矢印で示すステップSA5に進む。
【0090】
ステップSA11では、図4及び図5に示すマスタ獲得時間分の時間が経過したか否かを判断する。マスタ獲得時間が経過していない場合は、NOの矢印で示すステップSA8に戻り他の機器の獲得データ20の受信に備える。マスタ獲得時間が経過している場合は、YESの矢印で示すステップSA12に進み、自機をマスタに設定する。その後、図9に示す送信処理を起動(開始)して、ステップSA13に進む。
【0091】
ステップSA13〜ステップSA15は、マスタ設定及びスレーブ設定のいずれにおいても行われる共通の処理である。
【0092】
ステップSA13では、自機の設定状態(状態データ18)が変更されたか否かを判断する。自機の設定状態には、当然、接続されているアンプ等の設定も含まれる。変更された場合は、YESの矢印で示すステップSA14に進み、変更がない場合は、NOの矢印で示すステップSA15に進む。
【0093】
ステップSA14では、変更内容を表す変更データを作成して送信待機にする。送信待機にされた変更データは、後述の図9に示す送信処理でネットワークに送信される。
【0094】
ステップSA15では、ネットワーク6から切断されたか否かを判断する。ネットワーク6から切断された場合は、YESの矢印で示すステップSA16に進み、ネットワーク通信に関する全ての処理を停止して、メイン処理を終了する。ネットワーク6から切断されていない場合は、NOの矢印で示すステップSA13に戻り以降の処理を繰り返す。
【0095】
図9は、本実施例による設定情報23及びMIDIデータの送信処理を表すフローチャートである。この処理は、設定情報及びMIDIデータの通信レートに従い起動される割り込み処理である。この送信処理は、例えば、図7に示す設定情報23(及び開始データ24)の送信時に、機器A〜C(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)で行われる処理である。
【0096】
ステップSB1では、送信処理を開始する。ステップSB2では、データ送信の開始が新たに指示されたか否かを判断する。スレーブに設定されている時は、自機の送信順を表す開始データ24を受信したときに開始が指示されたものと判断する。マスタに設定されている時は、1サイクル分の送信を終了したことを表す開始データ24c(図7)を受信して、それから図7の次開始待機時間が経過した後に開始が指示されたものと判断する。送信開始の指示があった場合は、YESの矢印で示すステップSB3に進み、指示がない場合は、NOの矢印で示すステップSB6に進む。
【0097】
ステップSB3では、送信すべきデータのデータ量から送信時間TT(図7)を算出する。送信すべきデータとは、送信待機している全てのデータであり、例えば、状態データ18、変更データ、獲得データ20、順番データ21、及び参加データ22等の設定情報23及びMIDIデータ等である。なお、ネットワークに接続して最初の送信時には、自機の全ての状態データ18を送信し、その後は変更分のみの変更データを送信する
なお、この送信時間TTには、開始データ24の送信にかかる時間も含まれる。ステップSB4では、ステップSB3で算出した送信時間TTと繰上時間(図7)から開始データ24の送信時刻STを決定する。送信時刻STは現時時刻(図7のタイミングPT)+送信時間TT−繰上時間(20ms)により求められる。ステップSB5では、送信すべきデータの送信を開始(許可)する。
【0098】
ステップSB6では、送信が許可されているか否か、すなわち、ステップSB5で送信が開始(許可)されたか否かを判断する。ステップSB2からこのステップSB6に進んだ場合は、送信は許可されていないので、NOの矢印で示すステップSB12に進み、今回の割り込みタイミングによる送信処理を終了する。ステップSB5からこのステップSB6に進んだ場合は、送信が許可されているので、YESの矢印で示すステップSB7に進む。
【0099】
ステップSB7では、ステップSB4で決定した送信時刻STが到来したか否かを判断する。送信時刻STが到来している場合は、YESの矢印で示すステップSB8に進む。図7にある機器Bのデータ送信例のように、決定された送信時刻STがパケット転送開始時刻PTよりも過去の時間である場合は、送信すべきデータにさきがけて開始データ24(又は順番データ21)が送信される。送信時刻STが到来していない場合は、NOの矢印で示すステップSB9に進む。
【0100】
ステップSB8では、自機の送信すべきデータ(設定情報23)の送信を一時停止して、次の順番の機器に送信を指示する開始データ24(又は順番データ21)を作成してネットワークに送信する。スレーブに設定されている時は、次の順番の機器に開始を指示するか、自機が1サイクルの最後の機器であれば1サイクルが終了したことを表す開始データ24cを作成する。マスタに設定されている時は、現時点でネットワーク上に存在している全ての機器の送信順を表す順番データ21と最初にデータ送信を行う機器に対する指示を含む開始データ24aを作成する。
【0101】
ステップSB9では、送信すべきデータである設定情報23を順次ネットワークに送信する。ステップSB10では、送信すべきデータの送信が完了したか否かを判断する。送信が完了した場合は、YESの矢印で示すステップSB11に進み、データの送信を停止(禁止)する。送信が完了していない場合は、ステップSB12に進み、今回の割り込みタイミングによる送信処理を終了する。そして、送信すべきデータである設定情報23が全て送信されるまで、この図9の処理が起動されるごとに設定情報23の一部ずつがネットワークに送信されることになる。
【0102】
図10は、本実施例による設定情報23及びMIDIデータの受信処理を表すフローチャートである。この処理は、設定情報及びMIDIデータの通信レートに従い起動される割り込み処理である。この受信処理は、例えば、図7に示す設定情報23(及び開始データ24)の受信時に、機器A〜C(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)で行われる処理である。
【0103】
ステップSC1では、受信処理を開始して、ステップSC2では、変更データ又はMIDIデータを受信したか否かを判断する。受信した場合は、YESの矢印で示すステップSC3に進み、受信していない場合は、NOの矢印で示すステップSC4に進む。
【0104】
ステップSC3では、ステップSC2で受信を確認したのが変更データである場合は、受信した変更データに従い保持されている状態データ18の該等箇所を変更する。受信した変更でータが、自機に接続されている発生源4、アンプ5又はコンピュータPCからのものである場合は、該変更データを送信待機にし、ネットワークからのものであれば、対応する(その変更データを反映させるべき)アンプ5又はコンピュータPCに送信する。ステップSC2で受信を確認したのがMIDIデータである場合は、該MIDIデータを送信待機にする。
【0105】
ステップSC4では、この送信開始制御装置(発生源コントローラ2又はアンプコントローラ3)が、前述のステップSA6でスレーブに設定されているか否かを判断する。スレーブに設定されている場合は、YESの矢印で示すステップSC5に進む。スレーブに設定されていない場合、すなわち前述のステップSA12でマスタに設定された場合は、NOの矢印で示すステップSC11に進む。
【0106】
以下のステップSC5〜ステップSC10は、スレーブとしての処理であり、ステップSC11〜ステップSC15は、マスタとしての処理である。
【0107】
ステップSC5では、自機の順番を表す開始データ24(図7)を受信したか否かを判断する。開始データ24を受信した場合は、YESの矢印で示すステップSC6に進む。受信していない場合は、NOの矢印で示すステップSC7に進む。
【0108】
ステップSC6では、前述の図9に示す送信処理(ステップSB2)に対して、データ送信の開始を指示する。ステップSC7では、順番データ21(図6)を受信したか否かを判断する。順番データ21を受信した場合は、YESの矢印で示すステップSC8に進み、受信していない場合は、NOの矢印で示すステップSC9に進む。
【0109】
ステップSC8では、ステップSC7で受信した順番データ21を一時記憶領域に記憶して、マスタ確認時間の計時を新たに開始する。ステップSC9では、マスタ確認時間分の時間が経過したか否かを判断する。時間が経過した場合は、YESの矢印で示すステップSC10に進み、経過していない場合は、NOの矢印で示すステップSC16に進み、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0110】
ステップSC10では、マスタ確認時間が経過するまでの間に順番データ21を受信しなかったので、ネットワーク上からマスタがいなくなったと判断し、メイン処理をステップSA7に移行しマスタ獲得の動作を実行する。また、図9の送信処理の起動を停止する。この時、ネットワーク上のすべてのスレーブ機器がマスタ獲得の動作を実施する。その後、ステップSC16に進み、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0111】
ステップSC11では、1サイクル分の送信の終了を表す開始データ(例えば、図7の開始データ24c)を受信したか否かを判断する。受信した場合は、YESの矢印で示すステップSC12に進み、次開始待機時間(図7)に相当する時間の計時を開始する。受信していない場合は、NOの矢印で示すステップSC13に進む。
【0112】
ステップSC13では、次開始待機時間分の時間を計時している場合に、その次開始待機時間時間が経過したか否かを判断する。次開始待機時間分の時間が経過した場合は、YESの矢印で示すステップSC14に進み、経過していない場合は、NOの矢印で示すステップSC16に進み、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0113】
ステップSC14では、新たな順番データ21(図6)を作成して、該作成した順番データ21を送信待機にする。なお、次開始待機時間内に、新たに接続された機器からの参加データ22(図6)を受信した場合は、この時に新たにネットワークに接続した機器を含めた順番データ21を作成する。
【0114】
ステップSC15では、次開始待機時間の計時を終了して、ステップSC16にて、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0115】
図11は、本実施例による主要データ(オーディオデジタルデータ)の送信処理を表すフローチャートである。この処理は、主要データ(オーディオデジタルデータ)の通信レートに従って起動される割り込み処理である。すなわち、オーディオデータの通信を他のデータの通信よりも、極めて優先的に行うために、割り込み周期は、前述図9の送信処理や図10の受信処理よりも極めて短い時間間隔に設定される。
【0116】
図11(A)は、発生源コントローラ2で行う主要データ(オーディオデジタルデータ)の送信処理を表すフローチャートである。
【0117】
ステップSD1では、送信処理をスタートして、ステップSD2では、後述のステップSF2で保持されるオーディオデジタルデータをネットワーク6に送信する。その後、ステップSD3に進み、今回のタイミングにおける送信処理を終了する。
【0118】
図11(B)は、アンプコントローラ3で行う主要データ(オーディオデジタルデータ)の送信処理を表すフローチャートである。
【0119】
ステップSE1では、送信処理をスタートして、ステップSE2では、後述のステップSG2で、保持されているオーディオデジタルデータをオーディオアナログデータ(アナログ音声信号)に変換して、アンプ5に出力する。その後、ステップSE3に進み、今回のタイミングにおける送信処理を終了する。
【0120】
図12は、本実施例による主要データ(オーディオデジタルデータ)の受信処理を表すフローチャートである。この処理は、主要データ(オーディオデジタルデータ)の通信レートに従って起動される割り込み処理である。すなわち、オーディオデータの通信を他のデータの通信よりも、極めて優先的に行うために、割り込み周期は、前述図9の送信処理や図10の受信処理よりも極めて短い時間間隔に設定される。
【0121】
図12(A)は、発生源コントローラ2で行う主要データ(オーディオデジタルデータ)の受信処理を表すフローチャートである。
【0122】
ステップSF1では、受信処理を開始して、ステップSF2では、外部機器(音楽データ出力装置4)から受信した(入力される)オーディオデジタルデータをRAM9等の一時記憶領域に保持する。その後、ステップSF3に進み、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0123】
図12(B)は、アンプコントローラ3で行う主要データ(オーディオデジタルデータ)の受信処理を表すフローチャートである。
【0124】
ステップSG1では、受信処理を開始して、ステップSG2では、前述のステップSD2で送信されるオーディオデジタルデータをネットワーク6から受信して、RAM9等の一時記憶領域に保持する。その後、ステップSG3に進み、今回のタイミングにおける受信処理を終了する。
【0125】
以上、本実施例によれば、ネットワークに接続されている各機器の設定状態をそれぞれの機器が保持しているので、全ての機器に関する希望のデータを迅速に確認することが出来る。また、ネットワーク上のどの機器からも、全ての機器の設定状態を迅速に確認することが出来る。
【0126】
また、本実施例によれば、設定が変更された場合にも、変更データのみをネットワーク6を介して送受信し、各機器に保持されている設定情報を更新することが出来る。よって、ネットワークに接続されている機器の設定状態に変更があった場合にも、ネットワークのトラフィック量を増大させることなく、且つ通信速度が遅い場合でも、迅速に設定状態の変更をすることが出来る。
【0127】
また、本実施例によれば、既にネットワーク上に各機器の送信順を管理するマスタが存在する時は、マスタ獲得動作を行わないので、マスタが頻繁に変更されることを防ぐことが出来る。
【0128】
よって、マスタ変更に伴う、マスタ獲得のためのデータの送受信が不必要となり、その間に起こるその他の情報の通信の阻害を防ぐことが出来る。
【0129】
また、本実施例によれば、ネットワーク通信に伴う遅延時間を予め繰り上げ時間として、次の機器の送信開始を指示する開始データを、データ送信終了時より該繰上げ時間分早めて送信することが出来る。
【0130】
よって、ネットワーク上に何もデータが流れていない時間を極めて短くすることができ、通信レートが低い環境でも、効率よくデータ通信を行うことが出来る。
【0131】
なお、実施例では発生源コントローラ2とアンプコントローラ3とで機能が異なる部分があるが、1つのコントローラ(送信開始制御装置)に実施例での発生源コントローラ2とアンプコントローラ3の全ての機能を持たせてもよい。
【0132】
また、送信待機時間及びマスタ獲得時間は1サイクルを複数回分ふくむ時間長であればよいので、所定値(例えば、2秒)に限らず、コンピュータPCやアンプ5又は各種コントローラ(発生源コントローラ2とアンプコントローラ3)で設定できてもよいし、マスタ機器に通信の状態を監視させて通信状態が悪ければ時間長を長くするなどして、動的に(通信状態に応じて)変更するようにしてもよい。
【0133】
また、実施例では、獲得データがネットワーク上に複数現れた場合には優先度の高い方を採用しているが、いずれか1つの機器をマスタに設定することが出来ればよく、各機器の優先度に限らず、例えば通信回線の良好な場所に接続されている機器の獲得データを採用する方法や、コンピュータPCやアンプ5又は各種コントローラを使っていずれかを手動で選ぶ方法によってもよい。
【0134】
また、実施例では、繰上時間は送信の遅延時間と同じ時間長に決められているが、送信の遅延時間とほぼ同じ長さの時間を設定すればよい。例えば、通信の状態に合わせて変化する遅延時間に追従させて、繰上時間も変更する方法や、コンピュータPCやアンプ5や各種コントローラを使って手動で設定及び変更する方法が考えられる。
【0135】
また、主要データ(オーディオデータ等)だけを、それ以外のデータ(設定情報23及びMIDIデータ)とは別に早い速度で通信しているが、楽音を再生するデータは、全て早い速度で通信するようにしてもよい。例えば、MIDIデータを含んでいるパケットもオーディオデータと同じ速度で通信してもよい。
【0136】
なお、通信インターフェイスはLANやインターネットや電話回線などの通信ネットワークに接続されており、該通信ネットワークを介してサーバコンピュータと接続される。外部記憶装置内に制御プログラムや各種データが記憶されていない場合、サーバコンピュータからプログラムやデータをダウンロードするために用いられる。
【0137】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組合せ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワーク上に何もデータが流れていない時間を極めて短くでき、効率よくデータ通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による送信開始制御システム1のネットワーク構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施例による送信開始制御装置(発生源コントローラ2及びアンプコントローラ3)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】 本実施例による状態データ18の構成を示す概念図である。
【図4】 本実施例によるマスタ機器決定の第1の例を表す概念図である。
【図5】 本実施例によるマスタ機器決定の第2の例を表す概念図である。
【図6】 本実施例によるマスタ機器決定の第3の例を表す概念図である。
【図7】 本実施例による設定情報23の通信の一例を表す概念図である。
【図8】 本実施例によるメイン処理を表すフローチャートである。
【図9】 本実施例による設定情報23及びMIDIデータの送信処理を表すフローチャートである。
【図10】 本実施例による設定情報23及びMIDIデータの受信処理を表すフローチャートである。
【図11】 本実施例による主要データ(オーディオデジタルデータ)の送信処理を表すフローチャートである。
【図12】 本実施例による主要データ(オーディオデジタルデータ)の受信処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1…送信開始制御システム、2…発生源コントローラ、3…アンプコントローラ、4…発生源、5…アンプ、6…通信ネットワーク、7…バス、8…ROM、9…RAM、10…CPU、11…タイマ、12…検出回路、13…操作子、14…表示回路、15…表示部、16…通信インターフェイス、20…獲得データ、21…順番データ、22…参加データ、23…設定情報、24…開始データ
Claims (3)
- オーディオ伝送ネットワークに接続され、該ネットワークにおけるオーディオ伝送の合間である一部の帯域を利用して制御データを通信する複数の装置により構成されたオーディオ伝送システムにおける装置であって、
前記装置はそれぞれ、
送信すべきデータを送信にかかる送信時間と前記ネットワークに前記データを送信する場合に生じる遅延時間に相当する繰上時間に従い、ネットワークに接続されている他の装置への送信開始指示を送信する送信時刻を決定する決定手段と、
前記送信すべきデータを送信するとともに、該データの送信途上であっても前記送信時刻に到達した時、前記他の装置への送信開始指示を送信する送信手段と、
ネットワークに接続されている他の装置からの送信開始指示を受信する受信手段とを有し、
前記送信手段が、前記送信開始指示の受信に応じてデータ送信処理を開始することにより、他の装置のデータ伝送が完了した後、直ちに前記送信すべきデータを前記ネットワークに上げることを特徴とする。 - 前記オーディオ伝送ネットワークを構成する複数の装置のうち1つの装置がマスタとして機能し、該マスタは、前記複数の装置の送信順序を規定する順番データを作成して前記ネットワークに送出する手段を有し、
前記送信手段は、前記順番データに基づいて、前記送信開始指示を送信する他の装置を特定することを特徴とする請求項1記載の装置。 - オーディオ伝送ネットワークに接続され、該ネットワークにおけるオーディオ伝送の合間である一部の帯域を利用して制御データを通信する複数の装置により構成されたオーディオ伝送ネットワークにおける前記装置で実行されるプログラムであって、
送信すべきデータを送信にかかる送信時間と前記ネットワークに前記データを送信する場合に生じる遅延時間に相当する繰上時間に従い、ネットワークに接続されている他の装置への送信開始指示を送信する送信時刻を決定する決定手順と、
前記送信すべきデータを送信するとともに、該データの送信途上であっても前記送信時刻に到達した時、前記他の装置への送信開始指示を送信する送信手順と、
ネットワークに接続されている他の装置からの送信開始指示を受信する受信手順とを有し、
前記送信手順が、前記送信開始指示の受信に応じてデータ送信処理を開始することにより、他の装置のデータ伝送が完了した後、直ちに前記送信すべきデータを前記ネットワークに上げることを特徴とするプログラム。
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