JP3960101B2 - インテークマニホールド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負圧を蓄えるサージタンク部を備えるインテークマニホールドに関し、さらに防音対策を図ることのできるインテークマニホールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インテークマニホールド1は、図1(後述の発明装置と同様の図面で説明する。)に示すように、図示しないスロットルと図示しないエンジンとの間に配置され、スロットル側から供給された空気をサージタンク部4からエンジンの各気筒に連通する連結管部2に分配するように構成されている。図1に示すインテークマニホールド1は、樹脂製の材料で形成され、サージタンク部4と各連結管部2とは、相互に対向する溶着フランジ部40・20を有して、振動により接合するようにして一体的に形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、インテークマニホールドの材質がアルミニウムから樹脂製に替わって軽量になると、インテークマニホールドには、エンジンの吸気脈動音やスロットル弁の急開切替え時による気流音等がインテークマニホールドを透過し、騒音として目立つようになってきた。そのため、快適さが失われて不快感をもたらすことになってきた。
【0004】
従来のインテークマニホールド1においては、エンジンの脈動音は、各連結管部2からサージタンク部4に伝達され、スロットル弁の気流音もサージタンク部4に伝達される。サージタンク部4は広い表面積を有することから、音の透過性がよく、これによって騒音として発生することとなっていた。さらに、特にサージタンク部4の外周壁においては、エンジンから伝達する熱により高温となり、吸気温度を上昇させることから、体積効率を低減させてエンジン性能を低下させる原因となっていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、サージタンク部を透過する透過音を低減させて防音効果を向上させるとともに、断熱効果の向上を図ることのできるインテークマニホールドを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインテークマニホールドは、上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、サージタンク部の外周壁を第1の壁部と第2の壁部とを備える二重壁構造に構成するものである。これによって、エンジンから発生する吸気脈動音、又はスロットル弁から発生する気流音等の音が、それぞれ、連結管部からサージタンク部に伝達する際、音はサージタンク部の第1の壁部と第2の壁部を透過することから、インテークマニホールドの外部に透過する音を大幅に低減することとなって、防音効果を達成することができる。しかも、二重壁構造により断熱性を向上できることから吸気温度の上昇を阻止することができる。これによって、体積効率を上昇してエンジン性能を高めることができる。
【0007】
また、サージタンク部の二重壁内に空気層を形成することによって、サージタンク部に伝達された音は、確実に第1の壁部と第2の壁部を2回通ることとなって、例えば、空気層を設けない構造に比べて遮音効果を向上することができる。従って、二重壁構造の第1の壁部から第2の壁部に伝達される音は、空気層を含んだ二重の壁を透過することによって、インテークマニホールドの外部に透過する音を確実に低減することとなって、防音効果を達成することが可能となる。しかも、空気層はサージタンクとは別にタンクとして利用することができる。
【0009】
また、空気層内にブローバイガスやパージガスを導入することによって、ガスタンクとして利用できるとともに、空気層内には、ブローバイガスやパージガスを各気筒に接続するための分配孔をそれぞれ設けることにより、空気層内のガスを各気筒に連通する連結管部に均等に分配することができる。
【0010】
さらに請求項2記載の発明では、第1の壁部又は第2の壁部に、減衰性の高い制振部材を貼着することによって、さらに音を消音することができ、二重壁を通って外部に透過する透過音を大幅に低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、実施形態おけるインテークマニホールド1の全体斜視図を示し、図2は要部断面を含む斜視図であり、インテークマニホールド1は、エンジン側に装着する取付けフランジ部3を先端に配置する複数の連結管部2と、各連結管部2を湾曲状に屈曲するとともに湾曲状の各連結管部2の元部に連接するサージタンク部4と、サージタンク部4の一方の側部から延設するスロットル連結管部5と、スロットル連結管部5の先端部に配置する取付けフランジ部6とを備えて形成されている。
【0013】
エンジン側の取付けフランジ部3には、各連結管部2の中空部に対向する開口部31がそれぞれ形成され、開口部31からサージタンク部4に通気路21が形成されている。さらにスロットル側の取付けフランジ部6には開口部61が形成されスロットル連結管部5の中空部を通ってサージタンク部5に通気路が形成され、これによって、インテークマニホールド1は、スロットル側から供給された空気をエンジン側に流入できるように形成される。
【0014】
又、サージタンク部4は、一方の側面において1本のスロットル連結管部5から供給される空気を各連結管部2に分配するようにタンク状に形成するとともに、図2〜3に示すように、下部外周部が連結管部2の湾曲状の外形に合わせた円弧状として形成されている。サージタンク部4は、湾曲状の連結管部2との間に空間部7を間にして配置されるとともに、上部が開口された断面略半円状に形成して、スロットル連結管部5・取付けフランジ部6を含めた状態で、複数の連結管部2とそれぞれ対向して配置する溶着フランジ部40・20どうしを振動で接合する(振動溶着)ことによって一体的に形成される。
【0015】
一方、円弧状に形成されるサージタンク部4の外周部は、二重壁部41を構成している。つまりサージタンク部4内に連接する第1の壁部42を内部に配置し、大気側に連接する第2の壁部43を、中空部を介して外部に配置する。これによって第1の壁部42と第2の壁部43との間の中空部が空気層44として形成される。この空気層44を含めた二重壁部41の構成は、連結管部2から伝達されるエンジンの吸気脈動音、あるいはスロット連結管部5から伝達されるスロットル弁の急開切替え時による気流音を遮音するものとして配置するとともに、負圧取り出し・取り入れポート8を装着することによって負圧取り出し・取り入れ用のタンクとして形成することができる。
【0016】
そして、負圧タンクとして利用する場合、図4に示すように空気層44には、外部からの負圧導入用流体と連通できるように、第2の壁部43に空気層44に向かって複数の負圧取り出し・取り入れポート8を配置する。
【0017】
また、図4に示す負圧導入ポート8を、例えば、ブローバイガスを導入するブローバイガス導入用ポート、又は、パージガスを導入するパージガス導入用ポート9に置き換えれば、空気層44にはブローバイガス又はパージガスが導入されてブローバイガスやパージガス等のガスタンクとして利用することができる。
【0018】
ブローバイガスやパージガス等を導入する場合には、これらのガスは各気筒に均等に分配する必要があることから、図3又は図5に示すように、空気層44と各連結管部2とを接続する分配孔45を空気層44の一端側に形成する。これによって空気層44内に導入されたブローバイガス又はパージガスは、均等に各連結管部2に供給されることとなる。
【0019】
次に、上記のように構成されたインテークマニホールド1の作用について説明する。
【0020】
インテークマニホールド1は、図示しないスロットルボディと図示しないエンジンとの間に配置され、スロットル側から供給される空気をエンジンの各気筒に供給する。
【0021】
この際、エンジンから吸気脈動音が発生し、この吸気脈動音は各連結管部2に伝わってサージタンク部4に伝達される。一方、スロットル弁側からは、スロットル弁の急開切替え時による気流音がスロットル連結管部5に伝わって、サージタンク部4に伝達される。サージタンク部4の外周部は、広い表面積を有していることから、伝達された脈動音や気流音等の音は、サージタンク部4の外周部を透過して外部に放射することとなる。
【0022】
しかし、サージタンク部4の外周部は、内側に配置される第1の壁部42と、外側に配置される第2の壁部43とを有し、第1の壁部42と第2の壁部43との間には空気層44が形成されている。従って、サージタンク部4の外周部に伝達されてきたこれらの音は、第1の壁部42から空気層44を通り第2の壁部43に伝わってから外部に透過される。この際、空気層44を設けることによって、音は第1の壁部42と第2の壁部43を確実に2回透過することになって遮音効果を向上することとなる。
【0023】
一方、第2の壁部43に、空気層44に向かう複数の負圧取り出し・取り入れポート8が配管されているものであれば、例えば、負圧で作動するアクチュエータ等を作動することができる。
【0024】
また、第2の壁部43に、負圧取り出し・取り入れポート8に置き換えて、ブローバイガス導入用ポート9が配管されているものであれば、エンジンクランクケース内で使用されずに回収したブローバイガスを空気層44に導入することができ、空気層44に導入されたブローバイガスは、それぞれの連結管部2に連通する分配孔45を通って、各連結管部2に均等に流入される。
【0025】
又、第2の壁部43にパージガス導入ポート9が配管されているものであれば、パージガス導入ポート9が、ガソリンタンク内の蒸気を導入するものであるから、ガソリン蒸気は同様に空気層44に導入され、空気層44から分配孔45を通って各連結管部2に均等に流入される。
【0026】
以上のように、実施形態のインテークマニホールド1によれば、サージタンク部4の外周部には第1の壁部42・空気層44・第2の壁部43を備える二重壁部41構造となっていることから、サージタンク部4に伝達されたそれぞれの音は、第1の壁部43と第2の壁部44を通ることによって、外部に透過する音を大幅に低減することとなり、この際、空気層44を第1の壁部42と第2の壁部43との間に配置することよって、音は、第1の壁部42と第2の壁部43との2回分を確実に透過することとなって、さらに遮音効果を向上することができる。しかも、二重壁部41がサージタンク部4と連結管部2との空間部7を利用して配置するために、余分なスペースを取ることなく効率的に形成することができる。
【0027】
さらに、第2の壁部43に空気層44に連通する負圧取り出し・取り入れポート8を連通させることによって、負圧タンクとして利用することができ、また、第2の壁部43にブローバイガス導入用ポート9あるいはパージガス導入用ポート9を連通させることによって、ガスタンクとして利用でき、その際、空気層44から各連結管2に連通する分配孔45を形成することによって、空気層44内に導入されたブローバイガスまたはパージガスは、均等に各連結管2人流入される。従って、実施形態のインテークマニホールド1は、極めて効率的に各種の機能を備えたものとして使用することができる。
【0028】
なお、本発明のインテークマニホールド1は、主に防音効果を向上するものとして構成するものであり、防音効果を向上する構成は上記に限定するものではない。例えば、第1の壁部42と第2の壁部43には、高減衰性のある材料を使用するものであってもよい。この場合、第1の壁部42は強度を有することから硬質性の樹脂材を使用し、第2の壁部43には軟質性のエラストマーで形成した樹脂材を使用する。エラストマーは減衰性が高いことから、サージタンク部4からの透過音を低減することができ防音効果を向上することができる。
【0029】
さらに、第1の壁部42と第2の壁部43とに減衰性の高いゴム製の制振部材を貼着しても、間に空気層44が形成されることもあって、さらに、防音効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態によるインテークマニホールドを示す斜視図である。
【図2】図1のインテークマニホールドの一部を切断して要部断面を含む斜視図である。
【図3】図2における側部断面図である。
【図4】空気又はガス導入用ポートを配置した状態を示す側面図である。
【図5】図3における分配孔を示す一部正面図である。
【符号の説明】
1 インテークマニホールド
2 連結管部
4 サージタンク部
8 負圧取り出し・取り入れポート
9 ブローバイガス導入用ポート(又はパージガス導入用ポート)
41 二重壁部
42 第1の壁部
43 第2の壁部
44 空気層
45 分配孔
Claims (2)
- エンジンルーム側に延設する複数の連結管部と、前記連結管部に連接するサージタンク部と、を備えるインテークマニホールドであって、
前記サージタンク部は湾曲状の連結管部との間に空間部を間にして配置されるとともに前記空間部と対面する前記サージタンク部の外周壁が内側に配設する第1の壁部と、外側に配設する第2の壁部とを備える二重壁構造に形成され、
前記二重壁構造が、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間に空気層を形成して構成され、
前記空気層にブローバイガス又はパージガスを導入する導入ポートが形成されるとともに、前記空気層から前記空気層と各連結管部との間に形成された壁を介して各連結管部に向かって、前記ブローバイガス又はパージガスを直接流出するための分配孔が複数形成されていることを特徴とするインテークマニホールド。 - 前記二重管構造における第1の壁部又は第2の壁部に、減衰性の高い制振部材が貼着されていることを特徴とする請求項1記載のインテークマニホールド。
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