JP3960093B2 - 保管庫、保管管理方法、保管管理プログラム、および保管管理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば食料品を保管する冷蔵庫や、医薬品を保管する薬箱などの保管庫に関するものであり、特に、在庫管理を的確に行うことが可能な保管庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、野菜、肉、魚、穀物、およびそれらの加工品などの食料品は、冷蔵庫あるいは食品庫などの保管庫で保管されている。このような保管庫に保管される食料品の量が多い場合には、各食料品の種類、量、賞味期限などについて的確に管理することが困難になってくる。保管庫における食料品の管理は、従来、例えば業務用途の場合には、管理台帳のような紙面による記録によって行ったり、コンピュータのデータベースを利用したりすることによって行われている。また、一般家庭においては、基本的には個人の記憶によって食料品の管理が行われている。
【0003】
また、一般家庭においては、常備薬を薬箱などに保管しておくことがよく行われている。この常備薬の保管に関しても、その種類、量、有効期限などについては、個人の記憶によって管理されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
業務用途での保管庫の管理方法において、上記のように管理台帳やデータベースを用いる場合、食料品の出し入れを行うと、その都度記録を書き換えたり、残量を確認したりしなければならない。したがって、食料品を頻繁に出し入れするような使用形態の場合には、管理のための記録を行う手間が非常に煩わしいものとなり、作業効率の低下を招くことになる。また、手間の煩わしさが原因で記録処理が省かれるようなことが多くなると、管理に関する情報の信憑性が低くなり、的確な管理が行えなくなるということも考えられる。
【0005】
また、一般家庭における冷蔵庫内の管理あるいは常備薬の管理では、個人の記憶に頼っているので、思い違いや忘却などが生じる可能性があり、正確な管理を行うことは困難である。したがって、必要なときに在庫がないというような事態や、賞味期限、有効期限などが切れているものを長期間保管しているというような事態を招くという問題が生じやすかった。
【0006】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、保管物の在庫管理を容易かつ的確に実行することができ、また、在庫管理状況を利用者が十全に把握することが可能な保管庫および保管管理方法などを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る保管庫は、無線によるデータ通信が可能な情報記録担体を備えた保管物を保管する保管庫であって、上記保管物の保管が行われる保管空間と、上記情報記録担体から無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みを行うリーダ/ライタ装置と、上記情報記録担体から上記リーダ/ライタ装置によって読み出した情報をデータベースとして記憶するメモリ部とを備え、上記リーダ/ライタ装置における、上記情報記録担体に対する通信可能範囲が上記保管空間内となるように設定されており、上記リーダ/ライタ装置が、保管空間内に保管されている1つ以上の保管物に備えられている上記情報記録担体のそれぞれに対して、時間をずらして情報の読み出しおよび/または書き込みを行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始することを特徴としている。
【0008】
上記の構成では、保管空間内に保管されている保管物に備えられた情報記録担体に対して、リーダ/ライタ装置が無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みが行われるようになっている。そして、リーダ/ライタ装置によって情報記録担体から読み出した情報が、メモリ部においてデータベースとして記録されるようになっている。したがって、情報記録担体に、その保管物に関する情報、例えば品名、製造年月日、消費期限などの情報が記録されていれば、これをデータベースに登録することによって、保管物の在庫管理を行うことが可能となる。
【0009】
また、リーダ/ライタ装置は、情報記録担体に対する通信可能範囲が保管空間内となるように設定されている。よって、リーダ/ライタ装置による情報記録担体に対する情報の読み出しおよび/または書き込みを、保管物が保管空間内に保管されている状態で行うことが可能となる。したがって、利用者は、ある保管物を保管庫におけるデータベースに登録しようとする場合などにおいて、例えば所定の情報読み取り装置の近傍に保管物を近づけて情報を読み取らせる、というような処理を行うことなく、単に保管物を保管空間内に入れるだけでよいことになる。これにより、保管物の在庫管理のための煩わしい処理などを行う必要がなくなるとともに、通常の保管動作を行うことのみによって、在庫管理を的確に行うことが可能となる。
【0010】
また、リーダ/ライタ装置は、保管空間内に保管されている1つ以上の保管物に備えられている情報記録担体のそれぞれに対して、時間をずらして情報の読み出しおよび/または書き込みを行うようになっている。よって、保管空間内に複数の情報記録担体が存在している場合にも、各情報記録担体に対するデータ通信が相互に衝突することなく、的確なデータ通信を行うことが可能となる。すなわち、上記の構成によれば、多数個の保管物のそれぞれに対して、保管空間内に保管されている状態で、情報の読み出しおよび/または書き込みを行うことができるので、従来のように保管庫を開放して中の保管物を個別に目視で確認するというような煩雑な在庫管理作業を行う必要をなくすことができる。
【0011】
また、本発明に係る保管庫は、上記の構成において、上記リーダ/ライタ装置によって上記情報記録担体から読み取った情報、および/または、上記データベースの情報を表示する表示装置をさらに備えている構成としてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、保管物に備えられている情報記録担体から読み取った情報、および/または、上記データベースの情報を、表示装置に表示させることが可能となる。これにより、情報記録担体に記録されている詳細な情報や、保管状況に関する情報を利用者が確認することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る保管庫は、上記の構成において、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行う制御部を備えている構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、まず、利用者が保管物を保管庫内に入庫させた場合、この保管物が備えている情報記録担体がリーダ/ライタ装置の通信可能範囲内に入ることによって、新たな保管物の入庫が検出されることになる。そして、制御部によって、入庫が検出された保管物に関する情報が情報記録担体から読み出され、この情報がデータベースに登録されることになる。すなわち、利用者は、保管物を入庫させる際に、特別な動作を行うことなく、単に保管空間内に保管物を配置するのみで、その保管物に関する情報をデータベースに登録させることが可能となる。よって、データベースに対する情報の記録もれなどを防止することができ、より的確な在庫管理を行うことが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る保管庫は、上記の構成において、上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報が含まれているとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新する構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、データベースおよび/または情報記録担体に対して、その保管物の入庫回数情報が記録されることになる。よって、例えば、対象となる保管物に関して、1回の出庫時に使用される平均的な使用量の情報をデータベースに記録しておけば、この情報と入庫回数情報とを組み合わせることによって積算使用量が予想できる。すなわち、この積算使用量と、その保管物の内容量とを考慮することによって残存量を算出することが可能となる。ここで、例えば残存量が所定の値を下回った際に、該当保管物の残存量が少ないことを表示装置などを用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその保管物の残存量がほとんどない、というような事態を回避することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る保管庫は、上記の構成において、日時情報を取得する日時情報取得部をさらに備えるとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させる構成としてもよい。
【0018】
上記の構成のように、データベースおよびまたは情報記録担体に入庫日時情報が記録される場合には、例えば長期間入庫されたままになっている保管物を、表示装置などを用いて利用者に警告する、というようなシステムとすることが可能となる。このようなシステムとすれば、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間保管庫に保管されたままになった保管物が発生することを防止することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る保管庫は、上記の構成において、外部のコンピュータと通信を行う通信部をさらに備えるとともに、上記通信部によって、上記データベースの情報の少なくとも一部が、外部のコンピュータに送信される構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、通信部によって、保管庫における在庫状況を外部のコンピュータに伝送することが可能となる。したがって、例えば、ある保管物に関して、保管庫における在庫が残り少なくなった場合に、この情報が、その保管物の納入元の業者が備えているサーバコンピュータに通知される、というようなシステムを構築することが可能となる。また、保管庫の在庫管理者が、保管庫とは離れた場所にいる場合などに、保管庫の在庫情報が在庫管理者に通知されるようなシステムを構築することが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る保管管理方法は、無線によるデータ通信が可能な情報記録担体を備えた保管物を保管する保管庫であって、上記保管物の保管が行われる保管空間と、上記情報記録担体から無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みを行うリーダ/ライタ装置と、上記情報記録担体から上記リーダ/ライタ装置によって読み出した情報をデータベースとして記憶するメモリ部とを備えた保管庫における保管管理方法であって、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始することを特徴としている。
【0022】
上記の方法によれば、まず、利用者が保管物を保管庫内に入庫させた場合、この保管物が備えている情報記録担体がリーダ/ライタ装置の通信可能範囲内に入ることによって、新たな保管物の入庫が検出されることになる。そして、入庫が検出された保管物に関する情報が情報記録担体から読み出され、この情報がデータベースに登録されることになる。すなわち、利用者は、保管物を入庫させる際に、特別な動作を行うことなく、単に保管空間内に保管物を配置するのみで、その保管物に関する情報をデータベースに登録させることが可能となる。よって、データベースに対する情報の記録もれなどを防止することができ、より的確な在庫管理を行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る保管管理方法は、上記の方法において、上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報を含めるとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新させる方法としてもよい。
【0024】
上記の方法によれば、データベースおよび/または情報記録担体に対して、その保管物の入庫回数情報が記録されることになる。よって、例えば、対象となる保管物に関して、1回の出庫時に使用される平均的な使用量の情報をデータベースに記録しておけば、この情報と入庫回数情報とを組み合わせることによって積算使用量が予想できる。すなわち、この積算使用量と、その保管物の内容量とを考慮することによって残存量を算出することが可能となる。ここで、例えば残存量が所定の値を下回った際に、該当保管物の残存量が少ないことを表示装置などを用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその保管物の残存量がほとんどない、というような事態を回避することが可能となる。
【0025】
また、本発明に係る保管管理方法は、上記の方法において、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させる方法としてもよい。
【0026】
上記の方法のように、データベースおよびまたは情報記録担体に入庫日時情報が記録される場合には、例えば長期間入庫されたままになっている保管物を、表示装置などを用いて利用者に警告する、というようなシステムとすることが可能となる。このようなシステムとすれば、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間保管庫に保管されたままになった保管物が発生することを防止することが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る保管管理プログラムは、上記本発明に係る保管管理方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0028】
これにより、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記保管管理方法を実現することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る保管管理プログラムを記録した記録媒体は、上記本発明に係る保管管理方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0030】
これにより、上記記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記保管管理方法を実現することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0032】
本実施形態に係る保管庫は、例えば食料品などを冷蔵/冷凍保管したり、医薬品を保管したりする用途で、業務用、一般家庭用を問わず用いられるものである。図1は、本実施形態に係る保管庫1の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、保管庫1は、リーダ/ライタ装置2、表示装置3、入力装置3A、および保管空間4を備えた構成となっている。
【0033】
保管空間4は、保管庫1において保管すべき食料品や医薬品などからなる保管物5…が保管される空間である。保管庫1が冷蔵/冷凍保管あるいは温熱保管する用途で用いられる場合には、保管空間4は、その内部を所定の温度に空調するための空調装置、たとえば冷却器や温熱器を備えた構成となる。
【0034】
保管空間4に保管される保管物5には、RFIDタグ(以降、単にRFIDと称する)6が取り付けられている。RFID(情報記録担体)とは、無線によってデータの読み出し/書き込みが可能なメモリを備えた微小なICチップモジュールである。このRFID6には、該当保管物5に関する情報、例えば種類、量、消費期限、購入店などの情報が記録されており、さらに、保管庫1において保管される際に用いられる情報(詳細は後述する)の記録が行われる。
【0035】
リーダ/ライタ装置2は、保管空間4内に保管される保管物5に取り付けられているRFID6に対して、情報の読み出しおよび書き込み動作を行う装置である。リーダ/ライタ装置2とRFID6との間のデータ通信は、RF(Radio Frequency)電波による電磁誘導方式によって非接触で行われる。すなわち、リーダ/ライタ装置2から送信された変調電磁波が、リーダ/ライタ装置2の応答範囲内となる保管空間4内に存在するRFID6…の全てによって同時に受信され(ブロードキャスト方式)、各RFID6の情報がリーダ/ライタ装置2に読み取られる。
【0036】
この時、全てのRFID6…が同時にデータ送信を行うと、各データ送信が相互に衝突して多重アクセスの問題が生じるが、この問題は各RFID6からのデータ送信を時間的にずらす方法(TDMA:Time Division Multiple Access )などによって解消することができる。すなわち、本実施形態に係る保管庫1では、多数個の保管物5…に関する情報を一度に読み取ることが可能となっている。
【0037】
表示装置3は、リーダ/ライタ装置2によってRFID6から読み取られた情報や、リーダ/ライタ装置2において記憶されている情報などを表示する装置である。この表示装置3は、例えば液晶表示装置、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイなどの小型薄型ディスプレイによって構成され、利用者が確認しやすい場所、例えば装置の上部や、扉あるいは扉以外の装置の前面部などに設置される。
【0038】
入力装置3Aは、リーダ/ライタ装置2において記憶される情報の編集を行ったり、RFID6に対して書き込みを行う情報の編集を行ったりする際に、利用者が入力を行うために使うものである。なお、上記のような編集作業が不要である場合は、入力装置3Aを必ずしも設けなくともよい。
【0039】
次に、リーダ/ライタ装置2およびRFID6の構成について、図2を参照しながら以下に説明する。同図に示すように、リーダ/ライタ装置2は、搬送波発生部10、変調部11、増幅部12、アンテナコイル13、制御部14、メモリ部15、通信部16、および日時情報取得部17を備えた構成となっている。
【0040】
搬送波発生部10は、RFID8との間でRF通信を行う際に、データを搬送させるために用いる搬送波を発生するブロックである。この搬送波としては、例えば周波数13.56MHz帯の波が用いられる。
【0041】
変調部11は、制御部14から送られてくるデータに基づいて、搬送波発生部10にて発生された搬送波にデータを重畳させる変調処理を行うブロックである。搬送波に対してのデータの重畳は、例えばASK(Amplitude Shift Keying)によって搬送波を変調することによって行われる。
【0042】
増幅部12は、変調部11において変調された搬送波の電力を増幅するブロックである。アンテナコイル13は、増幅部12で増幅された搬送波を電波としてRFID8に向けて出力することによってデータの送信を行うとともに、RFID8からの信号の受信を行うブロックである。アンテナコイル13におけるRFID8からの信号の受信は次のようにして行われる。アンテナコイル13は、交信領域において、RFID8におけるアンテナコイル20との間で電磁結合状態となるので、アンテナコイル13のインピーダンスは、RFID8のインピーダンスの変化によって変化することになる。すなわち、アンテナコイル13に流れる電流の変化を検出することによって、RFID8からの信号の受信が行われる。
【0043】
制御部14は、リーダ/ライタ装置6における動作を総合的に制御するブロックであり、データ生成部18およびデータ取得部19を備えている。データ生成部18は、RFID6に対して記録を行う情報を生成するブロックである。このデータ生成部18によって生成され、RFID6に対して記録が行われる情報としては、該当保管物の入出庫回数、入庫日時、出庫日時などが挙げられる。データ生成部18によって生成されたデータは制御部14から変調部11に伝送され、このデータに基づいて変調された搬送波がアンテナコイル13からRFID6に向けて送信される。
【0044】
データ取得部19は、RFID6からの信号を、アンテナコイル13に流れる電流の変化を検出することによって受信し、これを復調することによって、RFID6から送信されるデータを取得するブロックである。このデータ取得部19によって取得されたデータは表示装置3に伝送され、表示装置3で表示されることによって、その内容が利用者に確認されることになる。
【0045】
メモリ部15は、保管庫1内で保管される保管物5に関する情報のデータベースを記憶するブロックである。このメモリ部15としては、不揮発性のメモリを用いることが好ましく、例えばフラッシュEEPROM(Electrically Erasable/Programmable Read Only Memory)や、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、FeRAMなどの各種不揮発性RAM、あるいはハードディスクなどを用いることが好ましい。メモリ部15に記憶されるデータベースは、例えば、保管物6のID、商品名、量、消費期限、購入店、入出庫回数、入庫日時、出庫日時などの情報によって構成される。
【0046】
また、このデータベースに、1回の出庫あたりの平均的な使用量に関する情報が記録されていてもよい。この情報は、例えば入力装置3Aから利用者によって入力されるようにすることができる。この平均使用量情報を用いることによって、入出庫回数からその保管物5の残存量を予測することが可能となり、保管物5の残量管理を行うことが可能となる。
【0047】
通信部16は、保管庫1における在庫状況などを、通信ネットワークなどを介して外部のコンピュータに送信する処理を行うブロックである。通信ネットワークとしては、例えば電話回線や、インターネット、専用線などが挙げられる。インターネットを使う場合、情報の秘匿性を重視する場合には、データを暗号化したり、IPVPN(Internet Protocol Virtual Private Network)などを用いることが好ましい。また、保管庫1からアクセスポイントまでを無線LAN(Local Area Network)によって接続する形態としてもよい。
【0048】
この通信部16は、保管庫1における在庫状況を、外部のコンピュータに伝送するという用途で用いられるものである。このような用途としては、例えば、ある商品に関して、保管庫1における在庫が残り少なくなった場合に、これがメモリ部15に記録されているデータベースに基づいて検知され、この情報が、その商品の納入元の業者が備えているサーバコンピュータに通知される、というようなシステムを構築する場合が考えられる。また、在庫管理者が、保管庫1とは離れた場所にいる場合などに、保管庫1の在庫情報を在庫管理者に通知するようなシステムとすることによって、在庫調整を迅速に行うことも可能となる。なお、このような通知システムが不要である場合には、通信部16は設けられていなくてもよい。
【0049】
日時情報取得部17は、ある時点での年月日および時間の情報(日時情報)を取得するためのブロックである。ここで取得された日時情報は、例えばメモリ部15におけるデータベースに対して、ある保管物の入出庫日時などを記録する際に用いられる。
【0050】
この日時情報取得部17は、例えばカレンダー機能および時計機能を備えたICなどによって構成される。また、この日時情報取得部17は、標準電波JJYを受信するための受信アンテナおよび復調部などによって構成されていてもよい。標準電波JJYとは、日本において、通信総合研究所が発信しているタイムコードに関する情報を含んだ電波信号であり、この標準電波を受信することによって、その時点の時刻を秒単位で把握することができる。
【0051】
なお、上記の例では、標準電波を用いて日時情報を得る例を示したが、これに限定されるものではなく、公的に発信されている時間情報であれば、どのような時間情報発信源を用いてもよい。例えば、電話による時報サービスを利用したり、インターネット上で時刻情報を発信しているサーバからの情報を利用する形態などであってもよい。
【0052】
一方、図2に示すように、RFID6は、アンテナコイル20、制御部21、およびメモリ部22を備えた構成となっている。アンテナコイル20は、データの送受信を行う際のアンテナとして機能するものである。制御部21は、RFID6におけるデータの送受信処理、およびメモリ部22に対するデータ読み出し/書き込み処理を制御するものである。
【0053】
メモリ部22は、情報を記録する記録手段であり、RFID6が取り付けられている保管物5に関する情報、すなわち、保管物6のID、商品名、量、消費期限、購入店、入出庫回数、入庫日時、出庫日時などの情報を記録する。基本的には、RFID6におけるメモリ部22に記録されている内容と、リーダ/ライタ装置2におけるメモリ部15のデータベースに記録されている、該当RFID6に関する内容とは同じものとなる。
【0054】
(実施例1)
次に、上記の保管庫を、食料品を貯蔵する冷蔵/冷凍庫(以降、単に冷蔵庫と称する)として適用した例について説明する。図3は、本実施例における冷蔵庫31の外観を示している。同図に示すように、冷蔵庫31は、リーダ/ライタ装置32、表示装置33、および入力装置33Aを備えている。
【0055】
リーダ/ライタ装置32は、冷蔵庫31における保管空間内の上部に設けられており、通信可能範囲が保管空間内となるように設定されている。すなわち、リーダ/ライタ装置32は、RFIDが保管空間内にあれば、これと通信可能であり、RFIDが保管空間から取り出されると通信が不能となる。
【0056】
表示装置33は、冷蔵庫31の上部に設けられており、本実施例では、入力装置33Aと一体型の構成となっている。なお、表示装置33および入力装置33Aの設置方法は、この実施例に限定されるものではなく、保管物の出し入れ時に利用者が確認しやすい位置に設置されていればよい。また、入力装置33Aが設けられる場合には、利用者の操作性を考慮した位置に設置することが好ましい。例えば、冷蔵庫31のスペース上の問題ならびにデザイン上の問題を考慮して、扉の前面に表示装置33および入力装置33Aを設ける構成としてもよい。
【0057】
次に、冷蔵庫31において、保管物5の出し入れが行われる際の処理の流れについて、図4および図5に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。まず、前提として、冷蔵庫31に保管される保管物5としての食料品には、全てRFID6が取り付けられているものとする。図6は、保管物5としての食料品が、食肉のパック製品である場合を示している。食肉は、梱包材としての容器34に、品名などを表示するシールラベル35が取り付けられたラップなどによって密閉包装された状態で販売される。また、容器34には、RFID6が取り付けられている。ここで、シールラベル35には、消費者が、その商品がどのようなものであるかを最低限認識することが可能となるような情報、たとえば商品名、値段、内容量、賞味期限などの情報が記載されることになる。そして、このRFID6には、取り付けられる食料品に関する情報、例えば品名、種類、量、賞味期限、購入店などの情報が記録されている。
【0058】
なお、図6に示す例では、RFID6が容器34に取り付けられている構成となっているが、これに限定されるものではなく、シールラベル35と同様にラップに取り付けられていてもよい。また、RFID6の取り付け、ならびにRFID6に対する情報の記録は、食料品の流通業者、販売業者、あるいは梱包品の加工業者など、どの業者によって行われてもよい。
【0059】
まず、食料品の入庫処理について図4を参照しながら説明する。上記のような食料品が冷蔵庫31に入庫される(ステップ1、以降、S1のように称する)と、その食料品に取り付けられているRFID6が、冷蔵庫31のリーダ/ライタ装置32における通信可能範囲に入ることになる。ここで、リーダ/ライタ装置32は、例えば扉が開けられたことをトリガーとして、RFIDからの電磁波の受信動作を開始させる。そして、通信可能範囲である保管空間内に新たなRFID6が入ってきたことを検知すると、このRFID6から情報を読み取る処理を行う(S2)。
【0060】
ここでリーダ/ライタ装置32によって読み取られた情報は、まず、表示装置33に伝送され、表示装置33の表示画面上に表示される(S3)。また、メモリ部15に記録されているデータベースを照会することによって、入庫された食料品が、データベースに記録されているか否かが制御部14によって判定される(S4)。
【0061】
S4においてNO、すなわちデータベースには記録されていない食料品であると判定された場合には、その食料品は、冷蔵庫31に対して新規に入庫されたものであると判定され、RFID6から読み取った情報をデータベースに新規に登録する(S5)。また、その食料品に関する情報として、入庫回数が1である情報がデータベースに記録されるとともに、この入庫回数情報がRFID6に対しても書き込まれる(S6)。さらに、データベースおよびRFID6に対して、入庫日時情報が記録されるようにしてもよい。
【0062】
一方、S4においてYES、すなわち、入庫された食料品がデータベースに記録されている食料品であると判定された場合には、その食料品は、冷蔵庫31に以前に保管されていたものであると判定される。この場合、データベースおよびRFID6に対して、その食料品に関する情報の入庫回数情報の値を1インクリメントさせる処理が行われる(S7)。また、データベースおよびRFID6に対して、入庫日時情報が記録あるいは更新されるようにしてもよい。
【0063】
このように、データベースおよびRFID6に対して、その食料品の入庫回数情報が記録されることによって、その食料品自体の残量を予測することが可能となる。例えば、対象となる食料品に関して、1回の出庫時に使用される平均的な使用量の情報をデータベースに記録しておけば、この情報と入庫回数情報とを組み合わせることによって積算使用量が予想できるので、その食料品の内容量を考慮することによって残存量を算出することが可能となる。ここで、残存量が所定の値を下回った際に、該当食料品の残存量が少ないことを表示装置32を用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその食料品の残りがほとんどない、というような事態を回避することが可能となる。
【0064】
また、データベースおよびRFID6に、入庫日時情報が記録される場合には、例えば長期間入庫されたままになっている食料品を、表示装置32を用いて利用者に警告する、というようなシステムとすることが可能となる。このようなシステムとすれば、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間冷蔵庫31に保管されたままになった食料品が発生することを防止することが可能となる。
【0065】
次に、食料品の出庫処理について図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。利用者が、冷蔵庫31から特定の食料品を取り出す際には、まず冷蔵庫31の扉が開けられることになる。この扉が開けられたことが検出されると(S11)、リーダ/ライタ装置32がRFIDからの電磁波の受信動作を開始させる(S12)。この受信動作は数ミリ秒の単位で繰り返し実行される。そして、通信可能範囲である保管空間内から特定の食料品が出庫されると、その食料品に取り付けられているRFID6からのレスポンスが検出されなくなる。この場合に、該当食料品が出庫されたと制御部14が判定する(S13)。
【0066】
以上のようにして出庫された食料品が特定されると、データベースからその食料品に関する情報が抽出され(S14)、その情報が表示装置33に表示される(S15)。
【0067】
ここで、利用者が、取り出した食料品は2度と冷蔵庫31に戻すことがないと判断した場合には、入力装置33Aを用いて、該当食料品に関する情報をデータベースから削除する指示を行うことが可能となっていてもよい。すなわち、S16において、出庫された食料品に関する情報の削除が利用者から指示されたか否かが判定され、削除指示されたと判定された場合(S16においてYES)には、該当食料品に関する情報を、データベースから削除する処理が行われる(S18)。
【0068】
一方、出庫された食料品に関する情報の削除指示が行われない場合(S16においてNO)には、データベースに、該当食料品が出庫中である旨の情報が記録される(S17)。このように、データベースにおいて、出庫中の食料品に関する情報が記録されることによって、食料品の管理をより的確に行うことが可能となる。例えば、長時間出庫中となっている食料品がある場合には、その旨を表示装置32に表示させるなどによって、利用者に警告を発することなどが可能となる。
【0069】
以上のように、本実施例の冷蔵庫31によれば、食料品の入庫時においては、利用者は、特別な動作を行うことなく、食料品を冷蔵庫31内に入れる動作のみで、該当食料品に関する情報を表示装置33に表示させることができるとともに、冷蔵庫31において管理しているデータベースに登録させることが可能となる。
【0070】
また、食料品の出庫時においては、利用者が食料品を無意識に取り出した場合でも、取り出した食料品に関する情報が自動的に表示装置33に表示されるようになる。よって、利用者は、例えば、取り出した食料品の消費期限や、最初に冷蔵庫31に入庫された日時などの情報を、食料品を取り出すという通常の動作のみで表示装置33に表示させて確認することが可能となる。
【0071】
なお、上記の例では、食料品の入庫および出庫に際して、扉の開閉をトリガーにしてRFIDからの電磁波の受信動作が開始されるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば利用者が特定のボタンなどを押すことによって上記の受信動作が開始されるようにしてもよい。
【0072】
また、上記の例では、例えば入庫回数や入庫日時などの情報が、データベースとRFID6との両方に記録されるようになっているが、どちらか一方のみに記録されるようになっていてもよい。例えば、RFID6が、情報の読み出しのみが可能となっているように設定されているような場合には、上記の入庫回数や入庫日時などの情報は、データベースのみに記録されることになる。言い換えれば、本実施例における冷蔵庫31によれば、情報の読み出しのみが可能となっているRFID6が取り付けられている食料品であっても、入出庫に関する情報をリーダ/ライタ装置32側のデータベースに記録することによって、的確に入出庫管理を行うことが可能となる。
【0073】
(実施例2)
次に、上記の保管庫を、一般家庭において用いられる、医薬品を保管する薬箱として適用した例について説明する。図7は、本実施例における薬箱41の外観を示す斜視図である。同図に示すように、薬箱41は、リーダ/ライタ装置42、表示装置33、および入力装置43Aを備えている。
【0074】
リーダ/ライタ装置42は薬箱41における保管空間内に設けられており、通信可能範囲が保管空間内となるように設定されている。すなわち、リーダ/ライタ装置42は、RFIDが保管空間内にあれば、これと通信可能であり、RFIDが保管空間から取り出されると通信が不能となる。
【0075】
表示装置43は薬箱41の前面に設けられており、この表示装置43の近傍には入力装置43Aが設けられている。なお、表示装置43および入力装置43Aの設置形態は、この実施例に限定されるものではなく、保管物の出し入れ時に利用者が確認しやすい位置に設置されていればよい。例えば、表示装置43および入力装置43Aを、薬箱41の蓋の上面に設ける構成としてもよい。
【0076】
次に、薬箱41において、保管物5の出し入れが行われる際の処理について説明する。なお、この薬箱41における入出庫処理は、基本的には前記した実施例1における冷蔵庫31における入出庫処理に準じており、処理の流れとしては、図4および図5に示したフローチャートとほぼ同様となる。
【0077】
まず、前提として、薬箱41に保管される保管物5としての医薬品には、全てRFID6が取り付けられているものとする。図8は、保管物5としての医薬品が、ビン入りの錠剤である場合を示している。このビンの表面には、品名、成分、効能、用法・容量、発売元、使用期限などの情報を表示するラベルが貼り付けられているとともに、RFID6が貼り付けられる、あるいは埋め込まれている。このRFID6には、該当医薬品に関する情報、例えば上記のラベルに記載されている情報などが記録されている。
【0078】
まず、医薬品の入庫処理について説明する。上記のような医薬品が薬箱41に入庫されると、その医薬品に取り付けられているRFID6が、薬箱41のリーダ/ライタ装置42における通信可能範囲に入ることになる。ここで、リーダ/ライタ装置42は、例えば蓋が開けられたことをトリガーとして、RFIDからの電磁波の受信動作を開始させる。そして、通信可能範囲である保管空間内に新たなRFID6が入ってきたことを検知すると、このRFID6から情報を読み取る処理を行う。
【0079】
ここでリーダ/ライタ装置42によって読み取られた情報は、まず、表示装置43に伝送され、表示装置43の表示画面上に表示される。また、メモリ部15に記録されているデータベースを照会することによって、入庫された医薬品が、データベースに記録されているか否かが制御部14によって判定される。
【0080】
ここで、データベースには記録されていない医薬品であると判定された場合には、その医薬品は、薬箱41に対して新規に入庫されたものであると判定され、RFID6から読み取った情報をデータベースに新規に登録する。また、その医薬品に関する情報として、入庫回数が1である情報がデータベースに記録されるとともに、この入庫回数情報がRFID6に対しても書き込まれる。さらに、データベースおよびRFID6に対して、入庫日時情報が記録されるようにしてもよい。
【0081】
一方、入庫された医薬品がデータベースに記録されている医薬品であると判定された場合には、その医薬品は、薬箱41に以前に保管されていたものであると判定される。この場合、データベースおよびRFID6に対して、その医薬品に関する情報の入庫回数情報の値を1インクリメントさせる処理が行われる。また、データベースおよびRFID6に対して、入庫日時情報が記録あるいは更新されるようにしてもよい。
【0082】
このように、データベースおよびRFID6に対して、その医薬品の入庫回数情報が記録されることによって、その医薬品自体の残量を予測することが可能となる。例えば、対象となる医薬品に関して、1回の出庫時に使用される平均的な使用量の情報、例えば用法・容量などの情報をデータベースに記録しておけば、この情報と入庫回数情報とを組み合わせることによって積算使用量が予想できるので、その医薬品の内容量を考慮することによって残存量を算出することが可能となる。ここで、残存量が所定の値を下回った際に、該当医薬品の残存量が少ないことを表示装置32を用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその医薬品の残りがほとんどない、というような事態を回避することが可能となる。
【0083】
また、データベースおよびRFID6に、入庫日時情報が記録される場合には、例えば長期間入庫されたままになっている医薬品を、表示装置42を用いて利用者に警告する、というようなシステムとすることが可能となる。このようなシステムとすれば、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間薬箱41に保管されたままになった医薬品が発生することを防止することが可能となる。
【0084】
次に、医薬品の出庫処理について説明する。利用者が、薬箱41から特定の医薬品を取り出す際には、まず薬箱41の蓋が開けられることになる。この蓋が開けられたことが検出されると、リーダ/ライタ装置42がRFIDからの電磁波の受信動作を開始させる。この受信動作は数ミリ秒の単位で繰り返し実行される。そして、通信可能範囲である保管空間内から特定の医薬品が出庫されると、その医薬品に取り付けられているRFID6からのレスポンスが検出されなくなる。この場合に、該当医薬品が出庫されたと制御部14が判定する。
【0085】
以上のようにして出庫された医薬品が特定されると、データベースからその医薬品に関する情報が抽出され、その情報が表示装置43に表示される。
【0086】
ここで、利用者が、取り出した医薬品は2度と薬箱41に戻すことがないと判断した場合には、入力装置43Aを用いて、該当医薬品に関する情報をデータベースから削除する指示を行うことが可能となっていてもよい。すなわち、出庫された医薬品に関する情報の削除が利用者から指示されたか否かが判定され、削除指示されたと判定された場合には、該当医薬品に関する情報を、データベースから削除する処理が行われる。
【0087】
一方、出庫された医薬品に関する情報の削除指示が行われない場合には、データベースに、該当医薬品が出庫中である旨の情報が記録される。このように、データベースにおいて、出庫中の医薬品に関する情報が記録されることによって、医薬品の管理をより的確に行うことが可能となる。例えば、長時間出庫中となっている医薬品がある場合には、その旨を表示装置42に表示させるなどによって、利用者に警告を発することなどが可能となる。
【0088】
以上のように、本実施例の薬箱41によれば、医薬品の入庫時においては、利用者は、特別な動作を行うことなく、医薬品を薬箱41内に入れる動作のみで、該当医薬品に関する情報を表示装置43に表示させることができるとともに、薬箱41において管理しているデータベースに登録させることが可能となる。
【0089】
また、医薬品の出庫時においては、利用者が医薬品を無意識に取り出した場合でも、取り出した医薬品に関する情報が自動的に表示装置43に表示されるようになる。よって、利用者は、例えば、取り出した医薬品の使用期限や、最初に薬箱41に入庫された日時などの情報を、医薬品を取り出すという通常の動作のみで表示装置43に表示させて確認することが可能となる。
【0090】
なお、上記の例では、医薬品の入庫および出庫に際して、蓋の開閉をトリガーにしてRFIDからの電磁波の受信動作が開始されるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば利用者が特定のボタンなどを押すことによって上記の受信動作が開始されるようにしてもよい。
【0091】
また、上記の例では、例えば入庫回数や入庫日時などの情報が、データベースとRFID6との両方に記録されるようになっているが、どちらか一方のみに記録されるようになっていてもよい。例えば、RFID6が、情報の読み出しのみが可能となっているように設定されているような場合には、上記の入庫回数や入庫日時などの情報は、データベースのみに記録されることになる。言い換えれば、本実施例における冷蔵庫31によれば、情報の読み出しのみが可能となっているRFID6が取り付けられている医薬品であっても、入出庫に関する情報をリーダ/ライタ装置32側のデータベースに記録することによって、的確に入出庫管理を行うことが可能となる。
【0092】
次に、上記の薬箱41におけるリーダ/ライタ装置42が、図2に示す通信部16を備えており、この通信部16を介して外部のコンピュータと通信を行う例について説明する。図9は、家庭に備えられている薬箱41が、通信線を介して、薬局に備えられているサーバコンピュータ51に接続されているシステムを示している。ここで、薬局としては、通常の薬局であってもよいし、医薬品の処方を行っている病院などでもよい。
【0093】
また通信線としては、前記したように、例えば電話回線、インターネット、専用線などを用いることができる。また、通信線としてインターネットを利用する場合、薬箱41に、無線LAN機能を有する通信部16を設け、家庭内に設けられた無線LAN対応アクセスポイントによってインターネットに接続する形態としてもよい。このように、薬箱41における通信を無線によって行う形態とすれば、薬箱41の可搬性を向上させることができる。なお、無線LANに限らず、例えばBluetooth(登録商標)などを利用したシステムであってもかまわない。
【0094】
まず、薬箱41において、データベースを用いた上記のような処理によって、保管している医薬品の在庫管理が行われる。この在庫管理処理において、制御部14が、ある特定の医薬品の残量が少ないことを検知すると、その旨を通信部16を介して薬局のサーバコンピュータ51に向けて送信する。薬局では、契約している家庭に設けられている薬箱41から、残量が少ない医薬品の情報をサーバコンピュータ51で受信すると、該当する医薬品を例えば宅配などによってその家庭に送付し、補充を行う。
【0095】
このようなシステムによれば、家庭において、ある医薬品の残量が少なくなっていることに気付かなくても、このことが自動的に薬局に通知され、適宜補充が行われることになる。したがって、利用者は、医薬品の在庫管理ならびに補充に関して配慮する必要がなくなることになる。
【0096】
また、薬局において、契約している家庭における医薬品の使用状況を把握することが可能となるので、例えば在宅介護が必要な患者に対して、必要以上に医薬品を摂取していないかとか、逆に医薬品の摂取が適切に行われていないのではないか、というような、利用者の医薬品使用状況の把握を行うことが可能となる。また、医薬品の使用履歴などを考慮して、利用者の状況に応じた医薬品を納入するというようなことも可能となる。さらに、薬局側において、各利用者の医薬品の使用状況データを蓄積することによって、医薬品の消費動向を把握するための統計データに利用することも可能である。
【0097】
なお、上記の例では、ある医薬品の残量が少なくなった場合に、制御部14の指示によって自動的に薬局のサーバコンピュータ51に向けて情報の送信が行われるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば表示装置43に残量が少ない旨の表示が行われ、これを利用者が確認し、利用者によって薬局への通信指令が行われた場合に情報の送信が行われるようにしてもよい。
【0098】
また、上記では、薬箱41が通信機能を有している例を示したが、これに限定されるものではなく、同様の在庫管理および発注処理が必要となる保管庫においても適用可能である。例えば、実施例1に示した食料品を保管する冷蔵庫31においても、例えば食料品の販売店などと契約することによって、不足している食料品の補充が行われるようにすることが可能である。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る保管庫は、保管物の保管が行われる保管空間と、上記情報記録担体から無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みを行うリーダ/ライタ装置と、上記情報記録担体から上記リーダ/ライタ装置によって読み出した情報をデータベースとして記憶するメモリ部とを備え、上記リーダ/ライタ装置における、上記情報記録担体に対する通信可能範囲が上記保管空間内となるように設定されており、上記リーダ/ライタ装置が、保管空間内に保管されている1つ以上の保管物に備えられている上記情報記録担体のそれぞれに対して、時間をずらして情報の読み出しおよび/または書き込みを行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始する構成である。
【0100】
これにより、情報記録担体に、その保管物に関する情報、例えば品名、製造年月日、消費期限などの情報が記録されていれば、これをデータベースに登録することによって、保管物の在庫管理を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0101】
また、リーダ/ライタ装置による情報記録担体に対する情報の読み出しおよび/または書き込みを、保管物が保管空間内に保管されている状態で行うことが可能となるので、利用者は、保管物の在庫管理のための煩わしい処理などを行う必要がなくなるとともに、通常の保管動作を行うことのみによって、在庫管理を的確に行うことが可能となるという効果を奏する。
【0102】
また、多数個の保管物のそれぞれに対して、保管空間内に保管されている状態で、情報の読み出しおよび/または書き込みを行うことができるので、従来のように保管庫を開放して中の保管物を個別に目視で確認するというような煩雑な在庫管理作業を行う必要をなくすことができるという効果を奏する。
【0103】
また、本発明に係る保管庫は、上記リーダ/ライタ装置によって上記情報記録担体から読み取った情報、および/または、上記データベースの情報を表示する表示装置をさらに備えている構成としてもよい。
【0104】
これにより、上記の構成による効果に加えて、表示装置に表示させることによって、情報記録担体に記録されている詳細な情報や、保管状況に関する情報を利用者が確認することが可能となるという効果を奏する。
【0105】
また、本発明に係る保管庫は、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行う制御部を備えている構成としてもよい。
【0106】
これにより、上記の構成による効果に加えて、利用者は、保管物を入庫させる際に、特別な動作を行うことなく、単に保管空間内に保管物を配置するのみで、その保管物に関する情報をデータベースに登録させることが可能となるという効果を奏する。
【0107】
また、本発明に係る保管庫は、上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報が含まれているとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新する構成としてもよい。
【0108】
これにより、その保管物の残存量を算出することが可能となるので、例えば残存量が所定の値を下回った際に、該当保管物の残存量が少ないことを表示装置などを用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその保管物の残存量がほとんどない、というような事態を回避することが可能となるという効果を奏する。
【0109】
また、本発明に係る保管庫は、日時情報を取得する日時情報取得部をさらに備えるとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させる構成としてもよい。
【0110】
これにより、上記の構成による効果に加えて、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間保管庫に保管されたままになった保管物が発生することを防止することが可能となるという効果を奏する。
【0111】
また、本発明に係る保管庫は、外部のコンピュータと通信を行う通信部をさらに備えるとともに、上記通信部によって、上記データベースの情報の少なくとも一部が、外部のコンピュータに送信される構成としてもよい。
【0112】
これにより、上記の構成による効果に加えて、通信部によって、保管庫における在庫状況を外部のコンピュータに伝送することが可能となるという効果を奏する。
【0113】
また、本発明に係る保管管理方法は、リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始する方法である。
【0114】
これにより、利用者は、保管物を入庫させる際に、特別な動作を行うことなく、単に保管空間内に保管物を配置するのみで、その保管物に関する情報をデータベースに登録させることが可能となるという効果を奏する。
【0115】
また、本発明に係る保管管理方法は、上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報を含めるとともに、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新させる方法としてもよい。
【0116】
これにより、上記の方法による効果に加えて、その保管物の残存量を算出することが可能となるので、例えば残存量が所定の値を下回った際に、該当保管物の残存量が少ないことを表示装置などを用いて利用者に警告するようにすれば、必要なときにその保管物の残存量がほとんどない、というような事態を回避することが可能となるという効果を奏する。
【0117】
また、本発明に係る保管管理方法は、上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させる方法としてもよい。
【0118】
これにより、上記の方法による効果に加えて、保管していたことを利用者が忘れていて、長期間保管庫に保管されたままになった保管物が発生することを防止することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る保管庫の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 上記保管庫が備えるリーダ/ライタ装置、および、保管物に取り付けられるRFIDの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 上記保管庫の実施例としての冷蔵庫の外観を示す図である。
【図4】 実施例としての冷蔵庫において、保管物の入庫処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】 実施例としての冷蔵庫において、保管物の出庫処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】 保管物としての食料品が、肉のパック製品である場合を示す斜視図である。
【図7】 上記保管庫の実施例としての薬箱の外観を示す斜視図である。
【図8】 保管物としての医薬品の外観を示す図である。
【図9】 家庭に備えられている薬箱が、通信線を介して、薬局に備えられているサーバコンピュータに接続されているシステムの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 保管庫
2・32・42 リーダ/ライタ装置
3・33・43 表示装置
3A・33A・43A 入力装置
4 保管空間
5 保管物
6 RFID
14 制御部
15 メモリ部
16 通信部
17 日時情報取得部
51 サーバコンピュータ
Claims (11)
- 無線によるデータ通信が可能な情報記録担体を備えた保管物を保管する保管庫であって、
上記保管物の保管が行われる保管空間と、
上記情報記録担体から無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みを行うリーダ/ライタ装置と、
上記情報記録担体から上記リーダ/ライタ装置によって読み出した情報をデータベースとして記憶するメモリ部とを備え、
上記リーダ/ライタ装置における、上記情報記録担体に対する通信可能範囲が上記保管空間内となるように設定されており、上記リーダ/ライタ装置が、保管空間内に保管されている1つ以上の保管物に備えられている上記情報記録担体のそれぞれに対して、時間をずらして情報の読み出しおよび/または書き込みを行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始することを特徴とする保管庫。 - 上記リーダ/ライタ装置によって上記情報記録担体から読み取った情報、および/または、上記データベースの情報を表示する表示装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の保管庫。
- 上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行う制御部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の保管庫。
- 上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報が含まれているとともに、
上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新することを特徴とする請求項3記載の保管庫。 - 日時情報を取得する日時情報取得部をさらに備えるとともに、
上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記制御部が、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させることを特徴とする請求項3または4記載の保管庫。 - 外部のコンピュータと通信を行う通信部をさらに備えるとともに、
上記通信部によって、上記データベースの情報の少なくとも一部が、外部のコンピュータに送信されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の保管庫。 - 無線によるデータ通信が可能な情報記録担体を備えた保管物を保管する保管庫であって、上記保管物の保管が行われる保管空間と、上記情報記録担体から無線によって情報の読み出しおよび/または書き込みを行うリーダ/ライタ装置と、上記情報記録担体から上記リーダ/ライタ装置によって読み出した情報をデータベースとして記憶するメモリ部とを備えた保管庫における保管管理方法であって、
上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、この情報記録担体から読み出した情報を上記データベースに登録する処理を行うとともに、当該保管庫の扉または蓋が開けられたことをトリガーとして、上記情報記録単体からの電磁波の受信動作を開始することを特徴とする保管管理方法。 - 上記データベースにおける各保管物に関する情報として、入庫回数情報を含めるとともに、
上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫回数情報を更新させることを特徴とする請求項7記載の保管管理方法。 - 上記リーダ/ライタ装置が、通信可能範囲内に新たに入ってきた情報記録担体を検出した場合に、上記データベースおよび/または上記情報記録担体に対して、当該情報記録担体を備える保管物の入庫日時情報を記録させることを特徴とする請求項7または8記載の保管管理方法。
- 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の保管管理方法をコンピュータに実行させる保管管理プログラム。
- 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の保管管理方法をコンピュータに実行させる保管管理プログラムを記録した記録媒体。
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