JP3959776B2 - α,β−不飽和アルデヒド類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はα,β−不飽和アルデヒド類を製造する方法に関するものである。詳しくは、新規な触媒の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させるヒドロホルミル化反応により、対応するα,β−不飽和アルデヒド類を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて炭素が1つ多いアルデヒドを生成させるヒドロホルミル化反応は既知の反応であり、工業的にも利用されているアルデヒド類の製造方法である。従来、この反応を工業的に行うには、コバルト又はロジウムを含む均一系触媒が用いられている。一方、アセチレン性化合物と一酸化炭素及び水素との反応に上記のコバルト又はロジウム触媒を用いた報告例もあるが、コバルト触媒を用いた場合にはアセチレン化合物の三重結合の還元反応が進行し、対応する飽和炭化水素が得られたり、飽和のアルコールが得られる。ロジウム触媒を用いた場合には、ホルミル基が導入された場合においても、期待されるα,β−不飽和アルデヒドではなく、飽和のアルデヒドが選択的に得られる(“New Syntheses with Carbon Monoxide”,Ed.by Falbe,Springer−Verlag(1980))。また、ロジウムを特殊な2座ホスファイトで修飾した錯体を用い、内部アセチレン性化合物のヒドロホルミル化反応によりα,β−不飽和アルデヒドを製造する方法が報告されている(J.R.Johnson,G.D.Cuny,and S.L.Buchwald,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,34,1760(1995))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、コバルト触媒によりアセチレン性化合物を工業的に対応するα,β−不飽和アルデヒド類に変換する方法は知られていない。また、ロジウム触媒を用いる場合には、特殊で高価な配位子を使用する必要があり、実用的とは言えない。従って本発明は、より安価な触媒系を用いて、アセチレン性化合物のヒドロホルミル化反応により対応するα,β−不飽和アルデヒド類を効率的に製造する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は先に周期表の第6族ないし第11族から選ばれる2種以上の金属を含む触媒系の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて、対応する不飽和アルデヒドを製造する方法を提案した(特願平8−322767号参照)。本発明者はさらに検討の結果、周期表の第6族ないし第11族の元素としてパラジウムを用いた場合には、他の金属元素を併用しなくても、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて対応する不飽和アルデヒドを生成する反応の触媒として有効に作用することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明によれば、パラジウム触媒の存在下にアセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させて対応する不飽和アルデヒドを製造することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明について更に詳細に説明すると、本発明において反応原料として使用されるアセチレン性化合物とは、分子内にアセチレン性三重結合を少なくとも一つ有する有機化合物であれば特に制限はなく、例えば、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、3−メチルブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、3,3−ジメチル−1−ブチン等のヘキシン類、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン等のヘプチン類、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン等のオクチン類、1−ノニン、2−ノニン、4−ノニン等のノニン類、1−デシン、5−デシン等のデシン類、シクロドデシンのようなシクロアルキン類、フェニルアセチレン、p−メトキシフェニルアセチレン、トリメチルシリルアセチレン、ジフェニルアセチレン、トリメチルシリルフェニルアセチレン、1−トリメチルシリル−1−オクチン、1−トリメチルシリル−5−クロロ−1−ペンチン、1,7−オクタジイン、シクロドデカ−1,6−ジイン、ジプロパルジルエーテル、プロパルジルアセテート、アセチレンジカルボン酸ジメチルエステル等が用いられる。
本発明で触媒調製に用いられるパラジウム化合物は、次の一般式(1)で表される。
【0006】
【化1】
Pdm Xn …(1)
【0007】
上記式(1)中、mは正の数を表す。Pdの価数は、0価ないし4価である。
上記式(1)中、Xは同一または相互に異なる任意の無機若しくは有機の基又は陰性原子を表し、nは0〜4の整数を表す。nの値が0の場合にはパラジウム金属そのものを表す。金属はそのままでも、又は担体に担持させて用いてもよい。担体としては、例えばシリカ、ゼオライト、活性炭、モンモリロナイト等が用いられる。
【0008】
無機基としては、硝酸基、硫酸基、炭酸基等の金属塩形成基が挙げられ、陰性原子としては酸素、ハロゲン等が挙げられる。
有機基としては、炭素数が通常1〜30の各種の基が挙げられる。例えば、炭化水素基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基及びアミド基等が用いられる。炭化水素基としては、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、アルケニル基、シクロペンタジエニル基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリール基、アリロキシ基等が挙げられる。
【0009】
また、上記のパラジウム化合物と電子供与体からなる錯体も好適に使用することができる。電子供与体としては、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、窒素、酸素、リン、硫黄、又は砒素を含有する化合物の中から選択されたものが用いられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物としては、オレフィン性化合物、ジエン類、アセチレン性化合物などが用いられ、例えばエチレン、1,5−シクロオクタジエン、ブタジエン、アセチレンジカルボン酸ジメチル、ジベンジリデンアセトン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン等が用いられる。
【0010】
窒素含有化合物としては、ニトリル、アミン、アミド等が用いられ、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ピリジン、ジメチルピリジン、2,2′−ビピリジン、フェナンスロリン、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリドン等が用いられる。
【0011】
酸素含有化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が用いられ、例えば、エチルアセテート、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等が用いられる。
【0012】
リン含有化合物としては、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホラストリアミド、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリブチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ジフェニルホスフィノフェロセン、2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン等が用いられる。
【0013】
硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、チオフェン、ジメチルスルフィド等が用いられ、砒素含有化合物としては、トリフェニルアルシン、トリメチルアルシン等が用いられる。
触媒調製に用いられるパラジウム化合物のいくつかを下記に例示する。
【0014】
Pd/C、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酸化パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、カリウムヘキサクロロパラデート、ナトリウムヘキサクロロパラデート、ジ−μ−クロロビス(π−アリル)ジパラジウム、ビス(π−アリル)パラジウム、ジクロロ(2,2′−ビピリジン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス{トリ(p−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロ{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジクロロ{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}パラジウム、ジクロロ{1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン}パラジウム、ジクロロ{1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン}パラジウム、ジクロロ(フェロセニルホスフィン)パラジウム、ヨウド(フェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(π−アリル)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムヘキサフルオロホスフェート、(π−アリル)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムヘキサフルオロホスフェート、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)(カルボニル)パラジウム、テトラキス(アセトニトリル)パラジウムビス(テトラフルオロボレート)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が挙げられる。
【0015】
これらのパラジウム化合物のうち、リン配位子を含むパラジウム化合物が好ましく、例えばジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリ(o−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス{トリ(p−トリル)ホスフィン}パラジウム、ジクロロ{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジクロロ{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}パラジウム、ジクロロ{1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン}パラジウム、ジクロロ{1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン}パラジウム、ジクロロ(フェロセニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)(カルボニル)パラジウム、(π−アリル)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムヘキサフルオロホスフェート、(π−アリル)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムヘキサフルオロホスフェート等を用いるのが好ましい。
【0016】
また、リン配位子を含むパラジウム化合物の代りに、リン化合物とパラジウム化合物をそれぞれ別々にヒドロホルミル化反応の反応帯域へ供給して、反応の場でリン化合物とパラジウム化合物との錯体を形成させてもよい。リン化合物としては、例えばトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンのようなトリ(アルキル)ホスフィン類、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリキシリルホスフィンのようなトリ(アリール)ホスフィン類、ジメチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンのような混合ホスフィン類、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、ジクロロ(フェロセニルホスフィン)パラジウム、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタンのようなビスホスフィン類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等のホスファイト類、トリフェニルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシドのようなホスフィンオキシド類が用いられる。これらのうち、ホスフィン類を用いるのが好ましい。
【0017】
リン化合物は、パラジウム化合物のパラジウム原子に対しリン原子として0.1〜20倍、特に1〜10倍用いるのが好ましい。
反応系に添加するパラジウム化合物の量は、触媒活性及び経済性等を考慮して決定すればよいが、通常ヒドロホルミル化反応帯域における濃度がパラジウム金属換算で液相1リットルに対し、0.05mg〜100g、好ましくは1mg〜50gの範囲から選ばれる。
【0018】
ヒドロホルミル化反応は、溶媒の存在下又は不存在下のいずれでも行うことができる。溶媒としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が用いられる。これらのうち、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が好ましい。また、超臨界二酸化炭素や超臨界フルオロホルムのような、超臨界条件下の媒体中で反応を行うこともできる。
【0019】
本発明においては、反応系中にアミン類や塩基性塩のような塩基性化合物が存在すると、反応速度が向上する点で好ましい。アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、アニリンのような1級アミン化合物、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ピロール、2,5−ジメチルピロール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンのような2級アミン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、キヌクリジン、プロトンスポンジのような3級アミン化合物、ピリジン、キノリン、イソキノリン、2,2′−ビピリジン、フェナンスロリン、ピリミジン等の含窒素芳香環化合物などが用いられる。塩基性塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸塩、フッ化カリウム等の無機塩、酢酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、安息香酸ナトリウム等のカルボン酸塩が用いられる。またナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルコキシドや水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物を用いることもできる。これらのうち、アミン類を用いるのが好ましい。
【0020】
塩基性化合物は、通常、アセチレン性化合物1モルに対し、0.01ないし100モルとなるように用いられる。好ましくはアセチレン性化合物1モルに対し0.1ないし50モル、特に0.5ないし10モルとなるように用いられる。
本発明によるヒドロホルミル化反応は、通常のオレフィンのヒドロホルミル化と同様の条件で行うことができる。反応温度は室温〜350℃、好ましくは50〜250℃の範囲から選ばれ、反応圧力は、常圧〜300気圧、好ましくは5〜200気圧、特に10〜150気圧の範囲から選ばれる。反応系に供給する水素と一酸化炭素のモル比(H2 /CO)は通常、20/1〜1/20、好ましくは6/1〜1/6の範囲から選択される。反応は連続式でも回分式でも行うことができ、反応装置としては、撹拌型反応槽や気泡塔型反応槽など常用のものを用いることができる。
反応装置から抜出した反応液は、蒸留して生成したアルデヒドを留出させる。パラジウム触媒を含む蒸留残渣は、触媒液として反応系に循環することができる。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
内容積50ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、撹拌子及び0.1ミリモルのジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムを入れ、内部を窒素置換した。次いで窒素雰囲気下、これに5ミリモルの4−オクチン、3ミリモルのトリエチルアミン及び5ミリリットルのベンゼンを入れオートクレーブを密閉した。ついでオートクレーブに一酸化炭素ガスを分圧が35kg/cm2 になるまで圧入し、さらに水素ガスを同じく分圧が35kg/cm2 になるまで圧入した。これを150℃に昇温し、6時間反応を継続した。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷やし、内部のガスを放出したのち液相を捕集し、ガスクロマトグラフを用いて分析した。
その結果、4−オクチンの転化率は84%であり、4−ホルミル−4−オクテンが83%、2−プロピルヘキサナールが<1%の収率で生成していた。さらに、(Z)−4−オクテンが<1%生成していた。
【0022】
比較例1
内容積50ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、撹拌子及び0.05ミリモルのジコバルトオクタカルボニル(Co2 (CO)8 )を入れ、内部を窒素置換した。次いで窒素雰囲気下、これに5ミリモルの4−オクチン及び5ミリリットルのベンゼンを入れ、オートクレーブを密閉した。ついでオートクレーブに水素ガス及び一酸化炭素ガスをそれぞれの分圧が25kg/cm2 になるまで圧入した。これを150℃に昇温し、24時間反応を継続した。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷やし、内部のガスを放出したのち液相を捕集し、ガスクロマトグラフを用いて分析した。
その結果、4−オクチンの転化率は74%であり、4−ホルミル−4−オクテンが2%の収率で生成していた。2−プロピルヘキサナールは生成していなかった。またZ−4−オクテンが39%の収率で生成していた。
【0023】
実施例2
4−オクチンに代えて5ミリモルのジフェニルアセチレンを用い、反応時間を5時間とした以外は、全て実施例1と同様に反応を行った。
その結果、ジフェニルアセチレンの転化率は94%であり、α−フェニルシンナムアルデヒドが77%、スチルベンが15%、1,2−ジフェニルエタンが2%の収率で生成していた。
【0024】
【発明の効果】
本発明方法により、安価な触媒系を用いて、アセチレン性化合物のヒドロホルミル化反応により、対応するα,β−不飽和アルデヒド類を効率的に製造することが出来る。
Claims (4)
- パラジウム触媒の存在下に、アセチレン性化合物を一酸化炭素及び水素と反応させて、対応するα,β−不飽和アルデヒド類を生成させることを特徴とするα,β−不飽和アルデヒド類の製造方法。
- パラジウム触媒がリン配位子を含むことを特徴とする請求項1に記載のα,β−不飽和アルデヒド類の製造方法。
- 塩基性化合物の存在下に、アセチレン性化合物に一酸化炭素及び水素を反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のα,β−不飽和アルデヒド類の製造方法。
- 塩基性化合物がアミン類であることを特徴とする請求項3に記載のα,β−不飽和アルデヒド類の製造方法。
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